区分 専門基礎科目-健康と生活支援
ディプロマ・ポリシーとの関係
実践能力 倫理観 専門性探求
地域社会貢献 グローバル性
カリキュラム・ポリシーとの関係
豊かな人間性 広い視野 知識・技術
判断力 探求心
カリキュラム全体の中でのこの科目の位置づけ
専門基礎科目の中の「健康と生活支援」に位置づけ、個人から集団を対象とした公衆衛生学の基礎的な知識を学ぶ。
科目の目的
看護学部の教育理念にある「人々のライフサイクルに応じた多様な健康ニーズに対応できる広い視野で、科学的・専門的な知識と技術に基づく判断力と探究心」の育成として、地域社会の中で疾病と健康を捉える考え方やしくみを理解し、看護実践に結びつけられることを目指す。看護職の公的責任として、日本看護協会や国際看護師協会の看護師の倫理綱領に看護職が公衆衛生の担い手として、ケアや支援を行いながら全体のしくみを把握し、調整する役割をもつことが明示されている。
到達目標
(1)社会の中で、集団としての疾病と健康を扱うための考え方について理解できる。
(2)公害から環境問題へ環境施策の変遷をとおして、環境が健康に及ぼす影響を理解できる。
(3)公衆衛生活動としての、疾病のコントロールとヘルスプロモーションの考え方を理解できる。

科目の概要
「人々が社会の中で健康に生きることについて、公衆衛生の歴史と公衆衛生行政の発展を概観し、公衆衛生の概念を学ぶ。また、日本の公衆衛生のシステムを国・都道府県・市町村の役割を通して学ぶと共に保健所・保健センターの役割を理解する。健康指標や健康に関する情報から読み解き、健康問題の予防と解決のために公衆衛生活動につなげる考え方を学ぶ。また、近年特に注目されている感染症、環境問題について学ぶ。各論では母子保健、精神保健支援や難病対策の根拠となる保健医療福祉制度とその背景を学び、対象別及び集団・地域や学校及び産業の場における公衆衛生の実践、以上の項目における公衆衛生活動と看護職の役割について学ぶ。
科目のキーワード
①公衆衛生学 ②集団の健康 ③健康関連環境要因 ④健康指標 ⑤健康問題への支援 ⑥公衆衛生活動 ⑦母子保健 ⑧精神保健 ⑨学校保健 ⑩産業保健
授業の展開方法
公衆衛生学は公衆衛生活動につながる基盤科目である。このため、次の科目と関連があることを、適宜、伝えてゆく。地域・在宅看護学概論Ⅰ(1年次、後期、必修)、地域看護・公衆衛生看護学概論(2年次前期、必修)、保健看護情報学(3年次、前期、必修)、研究方法論(3年次、前期、必修)、疫学(2年次、後期、必修)、保健医療福祉行政論(3年次、前期、必修)、国際看護学Ⅰ(1年次、後期、必修)、国際看護学Ⅱ(2年次、前期、必修)、人間環境学(1年次、前期、必修)、微生物学(1年次、後期、必修)、栄養学(2年次、前期、必修)。
毎回の授業では、パワーポイント資料を配付する。事前にコマシラバスに記述されているキーワードをみつけ、コマシラバスと教科書の該当部分にマークをして授業に臨むようにする。授業後の復習は当該コマのポイントをノート等にまとめておく。

オフィス・アワー
藤原奈佳子:(準備中)
巽あさみ:(準備中)

科目コード BG04
学年・期 1年・後期
科目名 公衆衛生学
単位数 1
授業形態 講義
必修・選択 必修
学習時間 【授業】15h 【予習・復習】30h
前提とする科目 看護学の基盤となる科目であり、該当しない
展開科目 各看護学へ展開する
関連資格 看護師,保健師,養護教諭
担当教員名 藤原奈佳子・巽あさみ
主題コマシラバス項目内容教材・教具
1 公衆衛生の考え方(藤原) 科目の中での位置付け 公衆衛生とは、「公衆(集団、人々))」の「衛生(生を衛(まも)る)」であり、人々の「保健(健康をまもり保つ)」ことである。本科目では、看護学部の教育理念にある「人々のライフサイクルに応じた多様な健康ニーズに対応できる広い視野で、科学的・専門的な知識と技術に基づく判断力と探究心」の育成として、地域社会の中で疾病と健康を捉える考え方やしくみを理解し、看護実践に結びつけられることを目指して展開する。具体的には、第1回・第2回は公衆衛生学の総論として、健康に関する多様なニーズをとらえる力を育むためのコマ、第3回は科学的な根拠をもつ公衆衛生活動を展開するための方法論を修得するためのコマ、第4回から第8回は実践活動につながる各論のコマとして構成している。このような本科目の構成の中で、本コマ(第1回)は、社会情勢や疾病構造の変化に応じた対策などを歴史的に概観し、集団の健康を捉え、公衆衛生学を学ぶ意義は何であるか考える。
オリジナル配布資料

主な参照部分
主題細目①:
教科書
pp.18-20「1.公衆衛生改善の歩み」、「2.公衆衛生とは何か」

主題細目②:
-教科書
pp.20-23「3.公衆衛生の歴史」

主題細目③:
教科書
pp.23-24「4.公衆衛生を学ぶ意義」
コマ主題細目 ① 公衆衛生とは何か ② 公衆衛生の歴史 ③ 公衆衛生を学ぶ意義
細目レベル ① ▶1.個人をとりまく社会(社会集団)を多角的とらえることを理解する。
個人の生活や健康は、その人の体内でおこっている状況(ミクロの視点)に起因する他、その人をとりまく社会環境(気象的環境、生態的環境、人間関係、経済的環境など)から影響をうけている(マクロの視点)。また、時の流れの中で個人の変化は社会の変化とともに影響をうけることも考慮したみかたが必要である。公衆衛生 は、「公衆(集団、人々))」の「衛生(生を衛(まも)る)」であり、人々の「保健(健康をまもり保つ)」をめざしている。臨床医学が一個人水準(一人の患者の側面)で健康を扱うのに対して、公衆衛生は社会水準(社会的、環境的側面)で健康を扱う。
▶2.公衆衛生の定義を理解する。
公衆衛生の定義は様々あるが、ウインスローC-E.A.Winslow (1877-1957)の定義が広く用いられている。要約すると「公衆衛生とは、共同社会の組織的な努力を通じて、疾病を予防し、寿命を延長し、身体的・精神的健康と能率の増進を図る科学であり、技術である。活動領域として環境衛生、コミュニティにおける感染症のコントロール、衛生教育、疾病の早期診断と予防的治療のための医療と看護サービスの組織化、社会制度の改善がある。」となる。


② 日本における公衆衛生の歴史から人々の健康に関する諸制度と保健活動の推進の変遷を学び、公衆衛生活動を理解する。
内務省衛生局初代局長の長与専斎(1838-1902)は、「衛生」を「生命をまもる」という意味で用い、1874年には医療制度や衛生行政に関する各種規定を定めた法令「医制」が公布された。その後、19世紀末から20世紀半ばにかけての富国強兵策を一般の日本国民全体にも現実として認識させ、個々人の身体を国民共有化し、国をまもり強くする「健康増進」が推進された。1938年に国民体力の向上、および国民福祉の増進を目的として厚生省が内務省から独立した。日本国憲法(公布:1946年11月3日、施行:1947年5月3日)第25条で「すべて国民は、健康で文化的な最低限度の生活を営む権利を有する。」「国は、すべての生活部面について、社会福祉、社会保障及び公衆衛生の向上及び増進に努めなければならない。」と「健康」と「公衆衛生」がすべての国民を対象とした事柄であることが示された。


③ ▶1. 健康のとらえ方と人生の質(QOL)
WHO憲章(1948年発効)と日本国憲法25条(1947年施行)にみられる「健康」の定義と考え方を理解する。生活の質(QOL)のとらえ方について学び、健康と直接関連のあるQOLと健康と直接関連のないQOLについて考える。たとえ病気や障害があっても、残された健康状態を資源として生きがいを見いだすことが可能である。健康と直接関連のあるQOLと健康と直接関連のないQOLがある。つまり、健康の先には、QOLとウェルビーイング(Well-being、幸福、安寧、生きがい、福祉)があることから健康の改善(ヘルスプロモーション)が見いだせる。
▶2.保健医療の場と保健医療従事者の取り組み
人々の健康と公衆衛生の視野にたつ公衆衛生活動、看護活動を理解する。
公衆衛生の対象とする広い視野からみた看護活動は、倫理綱領にもうたわれている。保健医療従事者として、人々や人々が生活する地域、職域、学校、社会全体の枠組みの中で、広く健康やQOLをとらえて、保健医療従事者としてまた一人の人間として働きかけをしてゆくことができるように心がけたい。


キーワード ① 集団の健康 ② ウインスロー(Winslow C.E.) ③ 公衆衛生史 ④ 健康とQOL ⑤ 公衆衛生活動
コマの展開方法 社会人講師 AL ICT PowerPoint・Keynote 教科書
コマ用オリジナル配布資料 コマ用プリント配布資料 その他 該当なし
小テスト 「小テスト」については、毎回の授業終了時、manaba上において5問以上の、当該コマの小テスト(難易度表示付き)を実施します。
復習・予習課題 【予習(2時間)】①教科書の「はじめに」と「目次」に目を通し、公衆衛生で扱う範囲を概観して授業に臨む。特に、「はじめに」の下部6行の「何らかの健康問題に対して、これを個々の患者・被害者の個人的な問題として対処するのではなく、ある集団全体の問題としてとらえ、その集団における発生状況を調査し、その結果に基づいて、法律などを通じて対策を講じ、さらにその健康問題の発生自体を予防しようとする営みが、公衆衛生の原点といえる」の部分について、具体的な内容を考えておく。②本科目コマシラバスの<科目の概要>と各コマの<キーワード>を読み、どのような内容で展開されるのか概観する。③本コマ(第1回)の、細目レベルの中に、キーワードをみつけてコマシラバスと教科書の該当部分にマークをしておく。
【復習(2時間)】第1回のポイントとして、教科書p.20.表1-1「臨床診療と公衆衛生の比較一覧」から、公衆衛生とは何かを説明できるようにしておく。

2 公衆衛生システムと政策(藤原) 科目の中での位置付け 公衆衛生とは、「公衆(集団、人々))」の「衛生(生を衛(まも)る)」であり、人々の「保健(健康をまもり保つ)」ことである。本科目では、看護学部の教育理念にある「人々のライフサイクルに応じた多様な健康ニーズに対応できる広い視野で、科学的・専門的な知識と技術に基づく判断力と探究心」の育成として、地域社会の中で疾病と健康を捉える考え方やしくみを理解し、看護実践に結びつけられることを目指して展開する。具体的には、第1回・第2回は公衆衛生学の総論として、健康に関する多様なニーズをとらえる力を育むためのコマ、第3回は科学的な根拠をもつ公衆衛生活動を展開するための方法論を修得するためのコマ、第4回から第8回は実践活動につながる各論のコマとして構成している。このような本科目の構成の中で、本コマ(第2回)は、医療提供体制や国民健康づくり対策をとりあげながら、公衆衛生行政のシステムのもと、国や地方自治体の働きかけで、公共の衛生が維持・管理・向上されていることを学ぶ。
オリジナル配布資料

主な参照部分
主題細目①:
教科書
p.48「2.公衆衛生と政治経済学-1)公衆衛生と経済と政治」、
p.50「2.公衆衛生と政治経済学-3)公衆衛生と政治」、
pp.26-28「1.日本の公衆衛生システムの特徴および国と地方自治体の役割」

主題細目②:
-教科書
pp.32-35「5.医療制度改革と健康政策」

主題細目③:
教科書
pp.112-115「2.健康づくり対策」、
pp.87-88「(3)予防活動」、p.88表5-3予防の段階
コマ主題細目 ① 公衆衛生と政治経済、日本の公衆衛生行政 ② 医療制度改革と医療法 ③ 国民健康づくり対策
細目レベル ① ▶1.公衆衛生と政治経済
昨今のCovid-19感染拡大に対する対策において、政治や経済の関与を身近に感じるところである。感染症対策は公衆衛生活動の一つであるが、日本国憲法第25条に「国は、すべての生活部面について、社会福祉、社会保障及び公衆衛生の向上及び増進に努めなければならない。」とあるように、公衆衛生活動は、一国の社会基盤として必要不可欠な衛生環境を整える事業であることを理解する。行政の方針や方向性を政府や政治家が掲げたもの大まかな方針(政策)は、法のもとに施策としておこなわれる。
▶2.日本の公衆衛生行政
日本の公衆衛生行政システムを理解する。
国や地方自治体が公共の衛生を維持・管理・向上させるために、さまざまな政策を立案実行していく政治的取り組みとして、衛生行政という。国、都道府県、その出先機関としての保健所、市町村という一貫した体系がある。


② ▶1.医療制度改革の方向性と健康増進法
日本では、高齢化の急速な進展や経済の低成長を背景に、医療費が増大している。医療制度改革大綱(2005年公表)が目指す改革の方向は、①安心・信頼の医療の確保と予防重視の政策推進、②医療費適正化の総合的な推進、③超高齢社会を展望した新たな医療保険制度体系の実現である。なお、予防の重視に関連して国民の健康寿命の延伸および生活の質の向上を実現するための運動を推進するための法的基盤として2002年に健康増進法が公布された。
▶2.医療提供体制
医療法(1948年、制定)は、医療提供体制の確保と国民の健康の保持を目的とし、医療を取り巻く環境の変化に応じて改正を重ねている。病院などの病床の機能分化・集約化と連携強化、在宅医療の推進など、医療計画等の策定と推進の実施主体として地域包括ケアシステムの構築など、都道府県の役割が重視されている(地域医療構想)。
▶3.高齢者を支えるシステム(pp.154-157)
高齢者の健康を支える視点として、疾病や障害自体ではなく、日常生活や生活(人生)の質に着目することが必要である。高齢者自身と家族を中心に、さまざまな専門職、行政機関、民間機関、地区組織、一般住民が地域の特性を生かしながら協働してゆくことが必要である。高齢者の保健・医療・福祉に関わる法律として、高齢者の医療の確保に関する法律(高齢者医療確保法)、介護保険法などがある。


③ オタワ憲章で定義された健康増進(ヘルスプロモーション)の考え方を学び、疾病予防と国民健康づくり対策における主要な健康課題を理解する。
 ヘルスプロモーションは、オタワ憲章(1986年)で「みずからの健康を、みずからよりよくコントロールできるようにしていくプロセス」と定義された。人々が健康づくりをすることが可能になるような支援をしてゆくプロセスである。ヘルスプロモーションのめざすところは、人生を豊かに生きるために、今もっている健康をいかそうという考え方である。ヘルスプロモーションは、疾病を予防することにもつながる。疾病予防は一次予防(病気にならないようにする、予防接種、環境的衛生など)、二次予防(早期発見・早期治療)、三次予防(障害を最小限にする、リハビリテーション)の3つのレベルがある。
 疾病予防に対する日本の健康づくり対策(健康日本21)は、その時代の社会背景を考慮して1978年度からはじまり、現在は第4次(2013年度から2022年度)が展開されている。

キーワード ① 厚生労働省と公衆衛生行政 ② 地方自治と地域保健法 ③ 医療提供体制と医療法 ④ 高齢者医療確保法 ⑤ 健康増進と予防活動
コマの展開方法 社会人講師 AL ICT PowerPoint・Keynote 教科書
コマ用オリジナル配布資料 コマ用プリント配布資料 その他 該当なし
小テスト 「小テスト」については、毎回の授業終了時、manaba上において5問以上の、当該コマの小テスト(難易度表示付き)を実施します。
復習・予習課題 【予習(2時間)】①本コマ(第2回)のコマシラバスを読んでおく。細目レベルの中に、キーワードをみつけてコマシラバスと教科書の該当部分にマークをしておく。②公衆衛生と政策、経済に関係すると思われる事柄を1つ以上とりあげ、ノートにメモをしておく。
【復習(2時間)】第2回のポイントとして、次の2つを復習しておく。
1.公衆衛生行政の組織について:教科書p.26.図2-1「日本の公衆衛生行政システム」の説明をノートに記しておく。また、予習でノートにメモをした事柄について、公衆衛生行政システムのどの部分が関与しているのかを調べてノートに書いておく。
2.疾病予防の3段階について:教科書p.88表5-3「予防の段階」を理解し、表5-3の例にあげられている肺癌の他に、各自で教科書またはノートに追加しておく。

3 公衆衛生のものさしー健康指標(藤原) 科目の中での位置付け 公衆衛生とは、「公衆(集団、人々))」の「衛生(生を衛(まも)る)」であり、人々の「保健(健康をまもり保つ)」ことである。本科目では、看護学部の教育理念にある「人々のライフサイクルに応じた多様な健康ニーズに対応できる広い視野で、科学的・専門的な知識と技術に基づく判断力と探究心」の育成として、地域社会の中で疾病と健康を捉える考え方やしくみを理解し、看護実践に結びつけられることを目指して展開する。具体的には、第1回・第2回は公衆衛生学の総論として、健康に関する多様なニーズをとらえる力を育むためのコマ、第3回は科学的な根拠をもつ公衆衛生活動を展開するための方法論を修得するためのコマ、第4回から第8回は実践活動につながる各論のコマとして構成している。このような本科目の構成の中で、本コマ(第3回)は、前回までの総論をうけて、科学的な根拠をもつ実践活動につなげる際に必要な健康関連の情報を収集し分析する力を養っていく。
オリジナル配布資料

主な参照部分
主題細目①:
・教科書
pp.13-16「看護の現場で出合う統計」、
pp.60-64「1.集団の見方と健康指標」

主題細目②:
・教科書pp.74-80「6.統計情報の収集と見方」
・教材2「厚生統計要覧、付録Ⅱ主な厚生統計調査一覧」、
教材3「厚生統計要覧、付録Ⅲ厚生統計に用いる主な比率及び用語の解説」、
教材4「政府統計の総合窓口(e-stat)」
教材5「OECDヘルスデータ」

主題細目③:
・教科書
p.60「1-1集団の見方-個人をみるのとどう違うのか」、
pp.73-74「5.公衆衛生活動における疫学」、
p.110-112「1.日本の健康問題の現状と課題」、
p.66「3-1リスクファクターをみる(因果関係)」、
pp.116-125「3.生活習慣病」、
pp.125-127「4.がん」、
pp.127-129「5.自殺」
・教材6「厚生労働省、e-ヘルスネット」

▶教材1.厚生労働統計のあらまし2021 https://www.mhlw.go.jp/toukei/youran/index-kourou.html
→全体版または目次
▶教材2.厚生統計要覧(令和2年度)https://www.mhlw.go.jp/toukei/youran/index-kousei.html
→付録Ⅱ主な厚生統計調査一覧https://www.mhlw.go.jp/toukei/youran/datar02k/furoku-2.pdf
▶教材3.厚生統計要覧(令和2年度)https://www.mhlw.go.jp/toukei/youran/index-kousei.html
→付録Ⅲ厚生統計に用いる主な比率及び用語の解説https://www.mhlw.go.jp/toukei/youran/datar02k/furoku-3.pdf
▶教材4.「政府統計の総合窓口」(e-stat) https://www.e-stat.go.jp/
▶教材5.OECDヘルスデータhttps://www.oecd.org/els/health-systems/health-data.htm
▶教材6.厚生労働省、e-ヘルスネット https://www.e-healthnet.mhlw.go.jp/
コマ主題細目 ① 集団の見方と健康指標 ② 統計情報の収集と見方、既存資料の利用 ③ 公衆衛生活動における疫学、日本の健康問題の現状と課題
細目レベル ① 集団の健康水準を測定するための「ものさし(健康指標)」として、罹患率、有病率、死亡率などがある。これらの健康指標は、決められた定義(分母と分子)に基づいて算出されている。このため、ある健康指標の年次推移や、地域(または国)間を比較することで、対象とする地域や職域の人々の集団がどのくらい健康なのか、保健医療のニーズは何か、必要な保健医療計画の作成、支援へとつなぐことができる。また、どのような生活や環境が疾患の発生に影響を与えているのか、どのような条件や要因にさらされていることが、疾患や健康状態の発生に影響を与えるのかを知りたい時に、疾患や健康状態を測る健康指標を用いることを理解する。


② 対象とする集団の状態を知りたい時に、既存資料の全国データが参考になる。日本に関する既存資料には、国勢調査、人口動態統計、患者調査、国民生活基礎調査、国民健康・栄養調査、生命表、感染症発生動向調査(サーベイランス)、疾病登録などがある。また、これらは、国民衛生の動向(厚生労働統計協会)や、教材4「政府統計の総合窓口」(e-stat)から、閲覧、ダウンロードが可能である。
また、「高齢者の医療の確保に関する法律」を根拠として、厚生労働省保険局において管理されるデータベースとして医療機関から保険者に発行しているレセプト(診療報酬明細書)と特定検診及び保健指導の結果から構成されたNDB(National Database)のうち、NDBオープンデータが利用可能である。また、利用には特別の申請が必要となるが、NDBや介護保険総合データベース(介護DB)などのビッグデータを用いた行政利用や研究がおこなわれ医療費適正化計画を策定するための資料となっている。OECD加盟国との比較では、教材5.OECDヘルスデータが参考になる。


③ ▶1.集団の健康をとらえるための手法としての疫学を学び、科学的な根拠をもつ公衆衛生活動を理解する。
公衆衛生活動の実践は、①現状の把握、②原因の分析、③対策の計画・実行、④対策の評価の手順をふんでおこなわれる。①と②は科学的根拠(エビデンス)を得る過程を含む。
疫学は、「人間集団における健康状態とそれに関連する要因の分布を明らかにする学問」である。公衆衛生活動は、その集団の中で取り組むべき優先度の高い問題を見いだし、その問題の原因(危険因子、予防因子)を特定し、根拠のある対策を実施し、その結果の評価を行う活動である。慢性疾患や生活習慣病は、さまざまな要因(たとえば、喫煙や飲酒)への曝露が疾患に関連している。あるいは、1つの要因がさまざまな健康事象につながっていることも多い。
▶2.生活習慣病の特性を理解し、健康習慣について考えることができる。
健康習慣獲得のための環境支援の必要性を理解し、疾病予防対策としての一次・二次・三次予防を具体的に考える。
生活習慣病とは、「食習慣、運動習慣、休養、喫煙、飲酒等の生活習慣が、その発症・進行に関与する疾患群」である。がん(悪性新生物)、循環器疾患(虚血性心疾患、動脈系疾患、脳血管障害など)、糖尿病、慢性閉塞性肺疾患(COPD)、うつ病などの動向や文献の研究成果などをみながら、疾病と生活習慣の関連をみてゆく。


キーワード ① 健康指標(罹患率・有病率・死亡率など) ② 既存資料(国勢調査・人口動態統計など) ③ 政府統計の総合窓口(e-Stat) ④ 疫学と公衆衛生活動 ⑤ 生活習慣病の危険因子と予防因子
コマの展開方法 社会人講師 AL ICT PowerPoint・Keynote 教科書
コマ用オリジナル配布資料 コマ用プリント配布資料 その他 該当なし
小テスト 「小テスト」については、毎回の授業終了時、manaba上において5問以上の、当該コマの小テスト(難易度表示付き)を実施します。
復習・予習課題 【予習(2時間)】①本コマ(第3回)のコマシラバスを読んでおく。細目レベルの中に、キーワードをみつけてコマシラバスと教科書の該当部分にマークをしておく。
②教材1.厚生労働統計のあらまし2021→「まえがき」(pp.1-2)をクリックして、人々のライフサイクルの各段階に対応して、様々な日本の統計データがあることを概観しておく。
③教材3.厚生統計要覧(令和2年度)→付録Ⅲ厚生統計に用いる主な比率及び用語の解説を概観し、指標は、分母と分子で集団の中での頻度があらわされること、また習慣的に人口千対とか人口10万対であらわされることを確認しておく。
④教材6.厚生労働省、e-ヘルスネットには、生活習慣病予防などについてわかりやすく説明がされている。概観しておくこと。
【復習(2時間)】第3回のポイントとして、次の2つを復習しておく。
1.既存資料などから得られる集団の健康をあらわす健康指標の数値は何をあらわしているのか(分母と分子)(この分母と分子は記憶するというより、利用に際してその都度、確認する態度を身につけることが重要)。
2.疾病予防の3段階について、第2回のコマ主題細目③で学んだ内容とあわせて、教科書p.88表5-3「予防の段階」を理解し、表5-3の例にあげられている肺癌の他にも、各自で教科書または予習④で閲覧した厚生労働省、e-ヘルスネットに掲載されている内容で、気になった部分をノートに追加しておく。

4 感染症対策(藤原) 科目の中での位置付け 公衆衛生とは、「公衆(集団、人々))」の「衛生(生を衛(まも)る)」であり、人々の「保健(健康をまもり保つ)」ことである。本科目では、看護学部の教育理念にある「人々のライフサイクルに応じた多様な健康ニーズに対応できる広い視野で、科学的・専門的な知識と技術に基づく判断力と探究心」の育成として、地域社会の中で疾病と健康を捉える考え方やしくみを理解し、看護実践に結びつけられることを目指して展開する。具体的には、第1回・第2回は公衆衛生学の総論として、健康に関する多様なニーズをとらえる力を育むためのコマ、第3回は科学的な根拠をもつ公衆衛生活動を展開するための方法論を修得するためのコマ、第4回から第8回は実践活動につながる各論のコマとして構成している。このような本科目の構成の中で、本コマ(第4回)は、第2回で学んだ公衆衛生システムと政策を復習しながら、主な感染症の動向と感染症対策のしくみについて学ぶ。
オリジナル配布資料

主な参照部分
主題細目①:
・教科書
pp.218-222「1.感染症に関する基本的な知識」

主題細目②:
・教科書
p.79「(7)サーベイランスと疾病登録」、pp.222-227「2.感染症対策のシステム」
・教材1

主題細目③:
・教科書
pp.227-235「3.主な感染症の特徴と近年の動向」

▶教材1.国立感染症研究所、日本の感染症サーベイランス、2018
https://www.niid.go.jp/niid/images/epi/nesid/nesid_ja.pdf
p.3「図1.感染症サーベイランス(患者情報・病原体)体制」
p.5「表1.感染症法に基づく主な措置の概要」
p.7「表2.感染症法が対象とする感染症」
コマ主題細目 ① 感染症に関する基本的な知識 ② 感染症対策のシステム ③ 主な感染症の特徴と近年の動向
細目レベル ① 感染症に関する基本的な知識を理解する。
感染症は、「病原微生物などの病原体が体内に侵入して増殖し、望まれざる反応(症状)を引き起こす疾患」である。感染とは、病原体が身体に侵入した後、排除されることなく、身体の一部に定着あるいは増殖を始めた状態である。感染が成立後、さらに病原体が増殖し症状が出現した状態を、発病ないし発症という。病原体の感染から発病までの期間を潜伏期という。感染が成立していながら発病や発症に至らない状態を不顕性感染といい、無症状病原体保有者、あるいは無症候性キャリアという。
感染症は、1.感染源(病原体)、2.感染経路(経口感染、飛沫(ひまつ)感染、空気感染、接触感染、血液感染、昆虫(拙速動物)媒介感染)、3.宿主の感受性の3要因がそろって成立する。


② 法律(必要に応じて改正や新規制定される)に基づいて感染症対策が行われていることを理解する。
▶1.日本の感染症対策
明治維新後、海外との交流や年への人口集中が顕著になったことから、1897(明治30)年に「伝染病予防法」が制定され、隔離により集団としての感染症のまん延防止に重点がおかれた。しかし、多くの感染症について個別の予防及び治療が可能となっていることや、感染症に対する正しい知識の普及、感染症の発生動向に関する情報の収集・分析・提供、研究の推進、検査能力の向上、予防活動の充実、患者の人権尊重に努めるよう、伝染病予防法に代わる新たな感染症対策の基本法として、「感染症の予防及び感染症の患者に対する医療に関する法律」(以下「感染症法」という)が制定された(1999(平成11)年4月施行)。感染症法では、一類感染症、二類感染症、三類感染症、四類感染症及び指定感染症、五類感染症(全数把握)、新型インフルエンザ等感染症、五類感染症(定点把握)と分類され、それぞれの分類で主な対応・措置、医療体制などが定められている。
▶2.感染症サーベイランス
感染症法で定められている「感染症発生動向調査」事業は、国内における感染症サーベイランス(surveillance;監督、調査)として、医師・獣医師の届出に基づき、国内の感染症に関する情報の収集および公表、発生状況および動向の把握が行われている。これらの情報は、感染症に対する有効かつ的確な予防・診断・治療にかかわる対策や感染症のまん延防止、病原体の分析などに活用されている。
▶3.その他の感染症対策
厚生労働省所管の検疫所は、検疫法、感染症法、食品衛生法などに基づき入国者や輸入食品に対する検疫業務を行っている。保健所は地域における感染症対策の中核的機関である。
予防接種は、予防接種法に基づく法定接種と、法律に規定されていない任意接種とがある。


③ ▶1.結核(二類感染症)
結核は、明治以降の産業革命による人口集中に伴ってまん延し、死亡率も高かった。結核予防法が1951(昭和26)年に制定されたが、2007(平成19)年に感染症法に統合された。現在でも欧米先進国の罹患率よりも高い。国内での結核の特徴は、高齢者への偏在、大都市への偏在、結核発病の危険因子(糖尿病、悪性腫瘍、慢性腎不全、免疫抑制剤治療など)を有する者、在日外国人の結核患者の増加があげられる。結核の発病予防策としてBCG接種(予防接種法に基づく)と潜在性結核感染症(latent tuberculosis infection: LTBI)の治療がある。また、DOTS戦略(directly observed treatment short-course戦略, 直接服薬確認治療を主軸とする結核抑圧戦略)がある。
▶2.インフルエンザ
インフルエンザには、季節性インフルエンザは感染症法の五類(定点報告疾患)、鳥インフルエンザ(H5N1、H7N9)は感染症法二類、鳥インフルエンザ(H5N1、H7N9を除く)は感染症法四類、人畜共通感染症である新型インフルエンザなどさまざまな種類がある。
▶3.コロナウイルス感染症
従来からコロナウイルスを原因とする、いわゆるかぜ、はあったが、近年、重症急性呼吸器症候群(SARS、2002年11月から2003年7月)、中東呼吸器症候群(MERS、2012年9月発生)、新型コロナウイルス感染症(COVID-19、2019年12月発生)が流行している。


キーワード ① 感染症成立の3要件 ② 感染症法 ③ 感染症発生動向調査 ④ 感染症サーベイランス ⑤ DOTS戦略
コマの展開方法 社会人講師 AL ICT PowerPoint・Keynote 教科書
コマ用オリジナル配布資料 コマ用プリント配布資料 その他 該当なし
小テスト 「小テスト」については、毎回の授業終了時、manaba上において5問以上の、当該コマの小テスト(難易度表示付き)を実施します。
復習・予習課題 【予習(2時間)】①本コマ(第4回)のコマシラバスを読んでおく。細目レベルの中に、キーワードをみつけてコマシラバスと教科書の該当部分にマークをしておく。②厚生労働省は、新型コロナウイルス感染症についてhttps://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000164708_00001.htmlなどで情報を公表している。また新型コロナウイルス感染症の発生をさらに抑えるためには、1人ひとりが最新の知識を身につけて正しく対策を行うことが重要として、「新型コロナウイルス感染症の”いま”に関する11の知識」を公開している。授業前の予習として最新情報を閲覧しておくこと。
【復習(2時間)】第4回のポイントとして、次の2つを復習しておく。
1.感染症成立に関する基本的な知識として、感染症では必ず病原体が存在し、この病原体がどこにいて、どのように入り、人はそれにどのように反応するか、を知り、感染症対策につなげることを理解する。
2.感染症法により、感染症の類型と類型別の措置および感染症サーベイランスによる発生状況および動向の情報提供がされていることを理解する。教科書p.223表13-1「感染症法に基づく感染症の類型と主な感染症」のうち、一類感染症と五類感染症(全数報告疾患、定点報告疾患)の性格、感染症、主な対応・措置、医療体制について確認しておく。
3.感染症については、今後、他の授業や実習から修得する機会も多い。公衆衛生学では、主な感染症の特徴と近年の動向について、感染症対策や予防に着目の上、教科書pp.227-235を読んでおく。

5 環境保健(藤原) 科目の中での位置付け 公衆衛生とは、「公衆(集団、人々))」の「衛生(生を衛(まも)る)」であり、人々の「保健(健康をまもり保つ)」ことである。本科目では、看護学部の教育理念にある「人々のライフサイクルに応じた多様な健康ニーズに対応できる広い視野で、科学的・専門的な知識と技術に基づく判断力と探究心」の育成として、地域社会の中で疾病と健康を捉える考え方やしくみを理解し、看護実践に結びつけられることを目指して展開する。具体的には、第1回・第2回は公衆衛生学の総論として、健康に関する多様なニーズをとらえる力を育むためのコマ、第3回は科学的な根拠をもつ公衆衛生活動を展開するための方法論を修得するためのコマ、第4回から第8回は実践活動につながる各論のコマとして構成している。このような本科目の構成の中で、本コマ(第5回)は、公害から環境問題へと環境政策の変遷を概観し、健康への影響を削減させるためのリスクマネジメントについて学ぶ。このリスクマネジメントは第2回で学んだ公衆衛生システムと政策の基盤のもと、第4回の感染症対策など様々な場面での公衆衛生活動に適応される。
オリジナル配布資料

主な参照部分
主題細目①:
・教科書
pp.278-279「1-1.国内外の環境問題の歴史」「1-2.環境保健の背景・目的」
  pp.21-22公害病「2-(2)戦後から高度成長期」
主題細目②:
・教科書
pp.279-281「1-3.健康のリスク」
p.303「リスクコミュニケーション」
・教材1、教材2

主題細目③:
・教科書
pp.289-291「6.地球環境の問題」
pp.281-284「2.食品保健」
pp.284-286「3.大気汚染」
pp.286-287「4.土壌汚染・海洋汚染」
pp.287-289「5.廃棄物」
pp.291-295「7.水道」
pp.295-299「8.居住環境」
pp.299-303「9.放射線・放射能」

▶教材1. 消費者庁パンフレット→https://www.caa.go.jp/policies/policy/food_labeling/information/pamphlets/、
→知っておきたい食品の表示(令和4年1月版)」https://www.caa.go.jp/policies/policy/food_labeling/information/pamphlets/assets/food_labeling_cms202_220131_01.pdf

▶教材2.
東京都墨田区、食品表示法の概要編、東京都墨田区、
https://www.city.sumida.lg.jp/kenko_fukushi/eisei/syoku_eisei/jigyousya/foodlavel_the_movie.files/vol1.pdf

コマ主題細目 ① 環境政策の変遷 ② 健康への影響とリスクマネジメント、リスクコミュニケーション ③ 環境問題の現状
細目レベル ① 環境政策の焦点が、公害問題から環境問題へと変遷していることを理解する。
1980年代までは、特定の地域に限定して起こった加害者と被害者の関係が明らかな公害(たとえば、1960年代前後の高度経済成長期の四大公害病(水俣病、新潟水俣病、イタイイタイ病、四日市喘息)が発生し、典型7公害(大気汚染、水質汚濁、土壌汚染、騒音、振動、地盤沈下、悪臭)が問題となっていた。1990年代に入り、特定の地域ではなく、だれもが加害者にも被害者にもなる地球規模の環境問題が顕在化した。1980年代までの環境法規制は、国内の公害対策を目的とした「公害対策基本法(1967年制定)」であったが、1993年に「環境基本法」が制定された。環境基本法には、政府による環境基本計画の策定、環境基準の設定、公害防止計画の策定、国による環境影響評価の推進、環境リスクの評価など、環境対策の中心となる施策が規定されている。


② 病気は、環境因子、遺伝因子など多岐にわたる因子の相互作用の中で発生する。環境因子の実態・曝露状態を把握し、それらに基づく健康影響評価を行うとともに、よりよい生活環境の形成と公衆衛生の向上に努めることが重要となる。
環境保健の場合、リスクとは、人間の生命や経済活動にとって望まない事態が発生しうる可能性をいう。リスクを削減するための一連の作業であるリスクマネジメントを行うにあたり、リスクと便益の両面の評価をする(リスク評価)。次にリスクに対する対策(リスク管理)として、リスクコミュニケーションを実施して多方面からの動向を把握してリスクをとらえてリスク処理手段を実施する。その後の監視、評価をして対処をしてゆく。環境基本法における環境基準による環境影響評価、食品安全基本法による食品健康影響評価などで人への健康影響を考慮した政策が推進されている。


③ ▶1.地球規模の環境問題
地球規模の環境として、①地球温暖化 ②酸性雨 ③オゾン層破壊 などは人類の課題である。
▶2.身のまわりの生活環境問題
①室内環境(環境たばこ煙(主流煙、副流煙、呼出煙)、シックハウス症候群、化学物質過敏症)
喫煙によるたばこ煙は、ガス成分と粒子成分に大別される。これらの成分は、環境たばこ煙(主流煙、副流煙、呼出煙)として、ガス成分のうち一酸化炭素は虚血性心疾患、低出生体重児、粒子成分のうちタールは発がん物質として、ニコチンによる血管の収縮など健康に影響を及ぼすことを理解する。
②食品(森永ヒ素ミルク中毒事件、カネミ油症事件、腸管出血性大腸菌O157、食品衛生法、HACCP、食品安全基本法、食品安全委員会、食品衛生監視員、食品添加物、許容一日摂取量ADI、残留農薬等期生、食品表示法)③家庭用品 ④ごみ・廃棄物(一般廃棄物、産業廃棄物、処理責任、特別管理廃棄物、感染性廃棄物、医療廃棄物、在宅医療廃棄物) ⑤排水(産業排水、生活排水、水質汚濁防止法、下水道法、生物化学的酸素要求量BOD、下水道処理人口普及率) ⑥バリアフリー(物理的バリアフリー、心のバリアフリー、ノーマライゼーション、バリアフリー新法)などの問題を考える。


キーワード ① 四大公害(病) ② 典型7公害 ③ 環境基本法 ④ 健康影響評価 ⑤ リスクマネジメント
コマの展開方法 社会人講師 AL ICT PowerPoint・Keynote 教科書
コマ用オリジナル配布資料 コマ用プリント配布資料 その他 該当なし
小テスト 「小テスト」については、毎回の授業終了時、manaba上において5問以上の、当該コマの小テスト(難易度表示付き)を実施します。
復習・予習課題 【予習(2時間)】
①本コマ(第5回)のコマシラバスを読んでおく。細目レベルの中に、キーワードをみつけてコマシラバスと教科書の該当部分にマークをしておく。
②身のまわりの生活環境問題のうち、食品保健にける食品表示について、令和2年4月1日以降は. 食品表示法(食品衛生法・JAS法・健康増進法の三法が一体化したもの)の新たな規定に基づく表示が必要となっている。食品の表示を確認する習慣をつけ、疾病予防に役立てるとよい。
食品表示の表記内容については、教科書p.284「4.食品の表示」および「図16-5食品表示に関する制度」のほか、教材1と教材2を閲覧しておくこと。
【復習(2時間)】
第5回のポイントとして、次の4つを復習しておく。
1.環境政策の焦点が、公害問題から環境問題へと変遷していることを理解する。
2.環境や健康影響への働きかけとして、客観的なリスクと主観的なリスクのずれが生じる可能性があり、各種関係者を交えた双方向でのリスクコミュニケーションの継続が必要となる場合があることを理解する。
3.居住(室内)環境の健康への影響として環境たばこ煙が、人体のどの部分に、特にどのような物質が影響し、どのような疾患となる懸念があるのかを確認し、説明ができるようにしておく。
4.環境問題の現状について、要点を整理しておく。

6 母子保健(親子保健)(巽) 科目の中での位置付け  少子高齢化社会において、公衆衛生の中で母子保健の現状や課題を読み解く。母子の健康を守り増進する仕組みや取り組みを理解できる。
 具体的には人口動態統計や母子保健統計の統計等から日本の母子保健の歩みを理解し、少子化対策についても理解を深める。また、母子保健の活動理念を母子保健法や児童福祉法等からも理解し、妊娠から出産、子育てを母子保健関連施策の体系、すなわち妊娠の届出、母子健康手帳交付、妊婦健診、母親学級・ 両親学級、低出生体重児の届出、乳児家庭全戸訪問事業、新生児訪問事業、未熟児の養育指導、1歳6カ月児健診、3歳児健検診等をライフサイクルの中で理解できる。その上で母子保健法に基づく具体的な母体保護や育児支援のための保健活動を理解する。
 また、医療対策や研究事業として子どもの心の診療ネットワーク事業、予防接種、妊産婦・乳幼児に対する高度な医療の提供、定治療支援事業、不妊に悩む方へ の特定不妊治療、 慢性疾患児の療育指導、未熟児養育医療、小児慢性特定疾患、子どもの事故予防強化事業等を概観する。
 一方で、社会的な課題になっている児童虐待について理解を深め、母子保健行政からの取り組みを理解する。
 さらに現在、国民運動計画として進行している「健やか親子21(第2次)」について、戦後,保健医療体制の充実に伴い、母子保健における死亡に関する指標は着実に改善している一方で、少子化の進行が続いている。このような状況において、21世紀に入り日本の母子保健の主要な取り組みを提示するビジョンが「健やか親子21」として示され、2001年から2014年を計画期間として実施された。そして2013年に最終評価が行われ,これを受けて2015年から「健やか親子21(第2次)」が開始されているところである。「健やか親子21(第2次)」では、「すべての子どもがどこでも健やかに育つ社会」を10年後の目指すべき姿とし,3つの基盤課題と2つの重点課題からなる合計5つの課題が設定された。基盤課題Aは「切れ目ない妊産婦・乳幼児への保健対策」、基盤課題Bは「学童期・思春期から成人期に向けた保健対策」、基盤課題Cは「子どもの健やかな成長を見守り育む地域づくり」、そして重点課題①は「育てにくさを感じる親に寄り添う支援」、重点課題②は「妊娠期からの児童虐待防止対策」である.。これらの課題について、健康水準の指標,健康行動の指標,環境整備の指標という3段階の指標設定が行われ、合計52指標に目標値が設定されているものである。
 この「健やか親子21(第2次)」のデータを用いて母子保健の現状と課題について概観する。少子化が進行する中,今後も母子保健に関する新たな課題に直面することが予想されることを学び自分自身の課題として考える。

教科書 メディカ出版 ナーシング・グラフィカ 第3部各論【7親子保健】 P131~P152、国民衛生の動向P106~P115 母子健康手帳
コマ主題細目 ① 母子保健の動向 ② 母子保健活動 ③ 健やか親子(第2次)
細目レベル ① 母子保健のあゆみを第2次世界大戦以前と以後で理解する。近年は母子保健ではなく親子保健と呼ぶことが多い。母子保健と親子保健を同義語として扱う。母子保健統計の動向(妊産婦死亡率・死産率・周産期死亡率・乳児死亡率等)を教科書や国民衛生の動向のデータから理解する。日本の母子保健の活動が歴史的な経緯をみながら、現在の母子保健提携に発展していたかを理解する。少子高齢化時代における現在的な問題点として妊娠出産育児をするものの高年齢化、多胎の育児困難、産後うつ、育児不安や子ども虐待、子どもの貧困などについて考える。自身の母子健康手帳を確認することで、母子保健手帳の各項目の構成や母子健康手帳を活用することによる意味について理解する。


② 母子保健の活動理念を母子保健法や児童福祉法等からも理解し、妊娠から出産、子育てを母子保健関連施策の体系、すなわち妊娠の届出、母子健康手帳交付、妊婦健診、母親学級・ 両親学級、低出生体重児の届出、乳児家庭全戸訪問事業、新生児訪問事業、未熟児の養育指導、1歳6カ月児健診、3歳児健検診等をライフサイクルの中で理解できる。その上で母子保健法に基づく具体的な母体保護や育児支援のための保健活動を理解する。
 さらに医療対策や研究事業として子どもの心の診療ネットワーク事業、予防接種、妊産婦・乳幼児に対する高度な医療の提供、定治療支援事業、不妊に悩む方へ の特定不妊治療、 慢性疾患児の療育指導、未熟児養育医療、小児慢性特定疾患、子どもの事故予防強化事業等を実際の事例を通して概観する。
 母体保護・育児支援・児童虐待防止・思春期保健における母子保健活動を理解する。


③ 「健やか親子21(第2次)」では、「すべての子どもがどこでも健やかに育つ社会」を10年後の目指すべき姿とし,3つの基盤課題と2つの重点課題からなる合計5つの課題が設定された。基盤課題Aは「切れ目ない妊産婦・乳幼児への保健対策」、基盤課題Bは「学童期・思春期から成人期に向けた保健対策」、基盤課題Cは「子どもの健やかな成長を見守り育む地域づくり」、そして重点課題①は「育てにくさを感じる親に寄り添う支援」、重点課題②は「妊娠期からの児童虐待防止対策」である.。これらの課題について、健康水準の指標,健康行動の指標,環境整備の指標という3段階の指標設定が行われ、合計52指標に目標値が設定されているものである。
 この「健やか親子21(第2次)」のデータを用いて母子保健の現状と課題について概観する。
 さらに総合的・長期的な少子化対策である「少子化社会対策大綱」を概観する。

キーワード ① 健やか親子21(第2次) ② 母子保健法 ③ 乳児家庭全戸訪問事業 ④ 児童虐待防止 ⑤ エンパワーメント
コマの展開方法 社会人講師 AL ICT PowerPoint・Keynote 教科書
コマ用オリジナル配布資料 コマ用プリント配布資料 その他 該当なし
小テスト 「小テスト」については、毎回の授業終了時、manaba上において5問以上の、当該コマの小テスト(難易度表示付き)を実施します。
復習・予習課題 【予習】このコマシラバスを熟読してくること。教科書メディカ出版ナーシング・グラフィカ 第3部各論【7親子保健】 P131~P152、国民衛生の動向P106~P115をよく読み、自分自身の母子健康手帳に目を通しておく。また、最近の母子保健(親子保健)に関するニュースやトピックなどで印象に残っている事案について、新聞の切り抜きやネットニュースをノートに整理してまとめ、このような問題が起こっている背景や自身の考えについて記載しておくこと。(4時間)
【復習】講義を受けて知った知識についてノートにまとめておく。また、母子健康手帳については日本が発祥の地であり、この手帳が母子保健に貢献できている事柄について自身の意見をノートに少なくとも3つ書いてみる。

7 精神保健・難病保健(巽) 科目の中での位置付け <精神保健>私たちみんなが精神の健康を守り、支えあうことの重要性を理解でき、精精神の健康を支える予防策の段階を理解できる。神障害者の人権尊重について考えることができる。また、精神障害者の地域生活を支える仕組みを理解し看護職として知っておきたい相談機関についても理解する。さらにこころの健康づくりや精神保健福祉制度(精神保健福祉法・障害者総合支援法)について理解できる。

 これらの根拠法令の一つである精神保健福祉法は、精神障害者の医療及び保護を行うことで、障害者総合支援法とともに、精神障害者の社会復帰の促進、自立と社会経済活動への参加の促進のために必要な援助を行うこと精神疾患の発生の予防や、国民の精神的健康の保持及び増進に努めることによって、精神障害者の福祉の増進及び国民の精神保健の向上を図ることを目指している。それまでの流れを見ると、明治初期までは、精神病の治療はほとんどが加持祈祷に頼っており、精神保健の法的規制はなかったが、明治8年にわが国に精神病院が初めて設置され(当初は「癲狂院」と呼ばれていた)、明治33年に、「精神病者監護法」が施行されたが、精神病院の設置などは不十分であり、私宅監置が広く行われていた。大正8年には精神病院法が制定され、公的精神病院の設置などがうたわれましたが、病院の建設は進まず少ないままでだった。戦後、公衆衛生の向上増進を国の責務とした日本国憲法の成立を受け、精神障害者に適切な医療・保護の機会を提供するため、保健医療施策を内容とする「精神衛生法」が昭和25年に成立し、昭和39年にはいわゆる「ライシャワー事件」が起こり、昭和40年には通院公費負担制度を創設し、在宅精神障害者の訪問指導・相談事業を強化するなどの精神衛生法の改正が行われました。昭和59年に起こった、精神科病院における人権侵害事件を契機に、入院患者をはじめとする精神障害者の人権擁護を求める声が高まり、それを背景に、昭和62年には、精神障害者の人権に配慮した適正な医療及び保護の確保と精神障害者の社会復帰の促進を図る観点から、任意入院制度の創設や精神医療審査会の創設等を内容とする精神衛生法の改正が行われ、法律の名称も精神衛生法から精神保健法へと改められた。平成26年の改正においては、精神障害者の医療の提供を確保するための指針(厚生労働大臣告示)の策定され、「入院医療中心の精神医療から精神障害者の地域生活を支えるための精神医療への改革」という基本理念に沿って示したもので、この実現に向け精神障害者に対する保健医療福祉に携わる全ての関係者が目指すべき方向性を定めるものになった。

 このような法改正の歴史を知ることで日本の精神保健の考えかたや理念の変化を理解し、改めて人権尊重など精神保健の重要性を考えることができる。


教科書 メディカ出版 ナーシング・グラフィカ、 第3部各論 10精神保健福祉:P171~P194、11難病対策:P195~P206
コマ主題細目 ① 精神保健の活動理念 ② 地域生活を支えるしくみ ③ 難病対策
細目レベル ①  精神保健の歴史からその理念を学ぶ。昭和62年には、精神障害者の人権に配慮した適正な医療及び保護の確保と精神障害者の社会復帰の促進を図る観点から、任意入院制度の創設や精神医療審査会の創設等を内容とする精神衛生法の改正が行われ、法律の名称も精神衛生法から精神保健法へと改められた。平成26年の改正においては、精神障害者の医療の提供を確保するための指針(厚生労働大臣告示)の策定され、「入院医療中心の精神医療から精神障害者の地域生活を支えるための精神医療への改革」という基本理念に沿って示したもので、この実現に向け精神障害者に対する保健医療福祉に携わる全ての関係者が目指すべき方向性を定めるものになった。このような精神保健の活動理念を理解し、公衆衛生の予防策の段階を一次予防・二次予防・三次予防それぞれ理解できる。


② 法律を紐解きながら精神保健の仕組みや活動を理解することができる。精神保健福祉センター、地方精神保健福祉審議会及び精神医療審査会、精神保健指定医、精神科病院及び精神科救急医療体制、医療及び保護、保健及び福祉の内容と役割を概観する。また、障害がある人の保健医療福祉は少しずつ地域生活中心へ移行するシステム改革を行っており、中でも障害者総合支援法におけるの介護給付・訓練等給付・地域生活支援事業・相談支援についておよび精神保健福祉法の目的や枠組みを理解する。
介護の支援を受ける場合には「介護給付」、訓練等の支援を受ける場合は「訓練等給付」に位置付けられ、介護給付の中には、居宅介護、重度訪問介護、同行援護、行動援護、生活介護、短期入所(ショートステイ)、重度障害者等包括支援、訓練等給付には自立訓練、就労移行支援、就労継続支援、就労定着支援、自立生活援助及び共同生活援助が包括的に提供されていることを概観して地域で暮らす障害者への支援を学び理解する。


③ 日本における難病対策の歴史から難病保健の取り組みを理解する。
1950年代半ばに下痢などが続いた後、急に足の感覚が無くなったり痺れたりする患者(スモン(subacute myelo-optico-neuropathy=亜急性脊髄視神経症))が各地で集団発生した。この病気の原因が整腸剤のキノホルムであることがわかったのは1970年であった。1972年に厚生省(当時)は「難病対策要綱」で総合的な難病対策の指針をうちだし難病保健の基礎がたてられた。難病対策要綱に基づく事業は、法律に基づく制度ではなかったため、制度の安定性や実施する都道府県によるサービスの差などが問題となっていた。その後、2011年に、「障害者基本法」改正に伴い、難病は法律上「障害」に組み入れられた。難病の定義は「難病の患者に対する医療等に関する法律(難病医療法)」(2014年制定、2015年施行)で、「発病の機構が明らかでなく、かつ、治療方法が確立していない希少な疾病であって、当該疾病にかかることにより長期に療養を必要とすることとなるもの」とされている。

キーワード ① 地域精神 ② 人権尊重 ③ 精神保健福祉法 ④ 難病法 ⑤ 社会資源
コマの展開方法 社会人講師 AL ICT PowerPoint・Keynote 教科書
コマ用オリジナル配布資料 コマ用プリント配布資料 その他 該当なし
小テスト 「小テスト」については、毎回の授業終了時、manaba上において5問以上の、当該コマの小テスト(難易度表示付き)を実施します。
復習・予習課題 【予習】教科書 メディカ出版 ナーシング・グラフィカ、 第3部各論 10精神保健福祉:P171~P194、11難病対策:P195~P206をよく読んでおく。また、精神保健福祉や難病は看護師として就職する場合に看護の対象として日常よく関わることが多い。特に難病の中でも筋萎縮側索硬化症(ALS)などは身体的支援だけではなく精神的支援も重要な疾病である。ALSの患者に対して、どのような支援が必要か自分なりに考えてノートに記載しておこう。
【復習】講義で学んだ精神保健福祉や難病対策について、法令が年々変更されている背景について学んだ知識の重要な項目についてマーカーや下線等で重要なポイントが分かるようにノートを整理しておくこと。(4時間)

8 学校保健・産業保健(巽) 科目の中での位置付け 学校保健とは、学校において、児童生徒等の健康の保持増進を図ること、集団教育としての学校教育活動に必要な健康や安全への配慮を行うこと、自己や他者の健康の保持増進を図ることができるような能力を育成することなど学校における保健管理と保健教育である。保健管理活動は健康診断や健康相談などと、体育科・保健体育科をはじめ関連する教科などを通じ、子どもが自分自身や他者の健康課題を理解し、自ら進んで自己管理を行うことが生涯にわたってできるようにすることを目指す保健教育の両者が行われ、また保健教育の成果を活用して保健管理が行われてきている。このように学校保健は、学校における保健教育と保健管理の活動を適切に行うことによって、児童生徒や教職員の健康を保持増進し、心身ともに健康な国民の育成を図るという教育目的の達成に寄与することを目指して行われる活動である。そこで公衆衛生の視点で地域で暮らす子供たちの健康を守るための学校保健の目的や対象、仕組み(保健教育、保健管理、保健組織活動)を理解する。また学校における対物保健である環境衛生、生活の場としての学校の安全を理解できる。集団感染しやすい学校感染症について理解する。他に特別な支援を要する子どもについても理解を進める。                           <産業保健>近年の高年齢労働者の増加、急速な技術革新の進展等の社会経済情勢の変化、労働者の就業意識や働き方の変化、業務の質的変化等に伴い、定期健康診断の有所見率が増加傾向にあるとともに、心疾患及び脳血管疾患の誘因となるメタボリックシンドロームが強く疑われる者とその予備群は、男性の約2人に1人、女性の約5人に1人の割合に達している。また、仕事に関して強い不安やストレスを感じている労働者の割合が高い水準で推移している。このような労働者の心身の健康問題に対処するためには、早い段階から心身の両面について健康教育等の予防対策に取り組むことが重要であることから、事業場において、全ての労働者を対象として心身両面の総合的な健康の保持増進を図ることが必要である。このような状況の中で産業保健活動の主目的は、働く人の労働と労働環境に関連する健康障害の予防と、健康の保持増進、ならびに福祉の向上に寄与することである。。産業保健専門職は職域における安全衛生の確保をはかる専門的立場から関連する情報の提供、評価、助言などの支援を行う。その活動対象には、個々の労働者だけでなく、労働者が所属する組織、地域をも含むことを前提に、産業保健の活動を通じて企業の生産性の向上、国民全体の健康的な生活の維持増進を図り社会の発展を支えていることを理解する。そしてその根拠となる労働安全衛生管理の3管理や法的枠組み、労働基準法等について理解する。また労働災害の実情や職業性疾病について知り考えることができる。

教科書 メディカ出版、ナーシンググラフィカ、各論14:学校保健P237~P252、15産業保健:P253~P275
コマ主題細目 ① 学校保健 ② 産業保健の動向 ③ 産業保健の活動
細目レベル ① 学校保健とは、学校において、児童生徒等の健康の保持増進を図ること、集団教育としての学校教育活動に必要な健康や安全への配慮を行うこと、自己や他者の健康の保持増進を図ることができるような能力を育成することなど学校における保健管理と保健教育である。保健管理活動は健康診断や健康相談などと、体育科・保健体育科をはじめ関連する教科などを通じ、子どもが自分自身や他者の健康課題を理解し、自ら進んで自己管理を行うことが生涯にわたってできるようにすることを目指す保健教育の両者が行われ、また保健教育の成果を活用して保健管理が行われてきている。
ここでは保健管理の活動を具体的に説明し知識を得る。それにより、児童生徒や教職員の健康を保持増進し、心身ともに健康な国民の育成を図るという学校の役割を理解し、学校保健が目指すものを理解する。


② 産業保健は働く人々にとってどのような行政体系で行われているか、知識として知ることが重要である。現在大学生である学生は卒業とともに就業する。労働衛生体系や労働基準法、労働安全衛生法、労働契約法など社会に出るにあたって自分自身のこととして学ぶことが重要である。ILO(国際労働機関)WHO(世界保健機関)より早く成立している。それは、働く人(労働者)は雇う人(経営者)より、すべてにおいて力が弱く、人権を守り、保護することが重要だからである。産業保健の知識は看護師国家試験においても頻出しており、ただ単に暗記をするだけではなく、なぜこの法律が作られたのか、歴史的背景も振り返りながら学び身につけることが大切である。


③ 産業保健は働く人の労働と労働環境に関連する健康障害の予防と、健康の保持増進、ならびに福祉の向上に寄与することである。産業保健専門職は職域における安全衛生の確保をはかる専門的立場から関連する情報の提供、評価、助言などの支援を行う。その活動対象には、個々の労働者だけでなく、労働者が所属する組織、地域をも含むことを前提に、産業保健の活動を通じて企業の生産性の向上、国民全体の健康的な生活の維持増進を図り社会の発展を支えていることを理解する。
その上で労働安全衛生法を理解し、労働者の健康課題の変化や現在の健康問題・労働災害を理解する。産業保健に関係する法令も理解する。また仕事に関して強い不安やストレスを感じている労働者の割合が高い水準で推移している中で、心身両面の健康管理体制と労働災害の現状および補償について理解する。生活習慣病の特性を理解し、健康習慣について考えることができる。

キーワード ① 学校保健安全法 ② 養護教諭 ③ 労働安全衛生法 ④ ストレス・メンタルヘルス ⑤ 3管理
コマの展開方法 社会人講師 AL ICT PowerPoint・Keynote 教科書
コマ用オリジナル配布資料 コマ用プリント配布資料 その他 該当なし
小テスト 「小テスト」については、毎回の授業終了時、manaba上において5問以上の、当該コマの小テスト(難易度表示付き)を実施します。
復習・予習課題 【予習】学校保健、産業保健について、教科書 メディカ出版、ナーシンググラフィカ、各論14:学校保健P237~P252、15産業保健:P253~P275学校保健を読んでおこう。また、このコマシラバスを熟読してくること。学校保健は自身が体験してきた、小学校・中学校・高校の時の保健室に関わる事柄を思い起こしてもらうことで学校保健活動がイメージしやすいと思われる、したがって、保健委員や保健室でのエピソードなど思いだしてノートに書きだしておくこと。産業保健は近年の過労自殺や成人のメタボリックシンドロームに関することを調べてノートに書きだしてみよう。
【復習】講義で学んだ学校保健、産業保健について、なぜ学校保健・産業保健医関する法令や支援が必要なのかを考えながら復習する事。予習で記載したノートについても重要なポイントを整理し、マーカーや下線を引いておくこと。(4時間)

履修判定指標
履修指標履修指標の水準キーワード配点関連回
1.★★公衆衛生の考え方 人をとりまく社会(社会集団)を多角的とらえることを理解する。このために、授業で学んだミクロの視点、マクロの視点をあわせて、教科書p.20.表1-1「臨床診療と公衆衛生の比較一覧」を参考にして、公衆衛生とは何かについて、ウインスローC-E.A.Winslow (1877-1957)の定義(教科書p.19)をもとに、説明できるようにしておく。
人々の健康と公衆衛生の視野にたつ公衆衛生活動、看護活動のために、健康とらえ方と人生の質(QOL)を考えてゆくことができる。
集団の健康、ウインスロー(Winslow C.E.)、健康とQOL、公衆衛生活動 12 第1回
2.★★★公衆衛生システムと政策 公衆衛生行政のシステムのもと、国や地方自治体の働きかけで、公共の衛生が維持・管理・向上されていることを理解する。日本の公衆衛生行政の組織と公衆衛生行政システムを説明することができる。
医療提供体制に関わる法律、高齢者の保健・医療・福祉に関わる法律をあげることができる。
疾病予防の3段階について、第一次予防、第二次予防、第三次予防を理解し、生活習慣病の予防について具体的にあげることができる。
厚生労働省と公衆衛生行政、地方自治と地域保健法、医療提供体制と医療法、高齢者医療確保法、健康増進と予防活動 12 第2回
3.★健康指標 指標は分母と分子で集団の中での頻度があらわされること、また習慣的に人口千対とか人口10万対であらわされることを確認し、既存資料(国勢調査・人口動態統計など)から何が得られるか、集団の健康をあらわす健康指標の数値は何をあらわしているのかを説明できる。
公衆衛生活動の実践は、保健事業の現状を把握して対策を練り、実施し、効果があったかを評価する過程ですすめられ、それぞれの段階で科学的根拠を得るために疫学的手法が役立つことを理解する。
主な疾患の危険因子と予防可能因子を説明することができる。
健康指標(罹患率・有病率・死亡率など)、疫学と公衆衛生活動、生活習慣病の危険因子と予防因子 13 第3回
4.★感染症対策 感染症成立の3要件を説明できる。
感染症法による感染症の類型別の特徴と主な感染症として、特に、一類感染症と五類感染症(全数報告疾患、定点報告疾患)の対応・措置、医療体制が理解できる。
感染症サーベイランスはどのように活用されているか説明できる。
国内での結核の特徴と発症予防策、DOTS戦略について説明できる。
感染症成立の3要件、感染症法、感染症発生動向調査、感染症サーベイランス、DOTS戦略 13 第4回
5.★環境保健 1.公害問題から環境問題にむけた環境施策を理解する。1980年代までは、特定の地域に限定して起こった加害者と被害者の関係が明らかな公害が発生し、典型7公害が問題となっていた。1990年代に入り、地球規模の環境問題が顕在化した。
2.環境基本法には、政府による環境基本計画の策定、環境基準の設定、公害防止計画の策定、国による環境影響評価の推進、環境リスクの評価など、環境対策の中心となる施策が規定されていることを理解する。
3.環境や健康への影響への働きかけとしてのリスクコミュニケーションについて説明できる。
4.室内環境に関して環境たばこ煙の健康に及ぼす影響を説明することができる。
四大公害(病)と典型7公害、環境基本法、環境たばこ煙、リスクマネジメント 13 第5回
6.★母子保健 母子保健(=親子保健と同義語)のあゆみを概観し、母子保健の動向を理解する。現代における母子保健の課題やその背景の特徴について社会経済的環境も含めて説明できる。少子化対策、子育て支援を理解し、切れ目のない支援が重要であることを考えることができる。
母子保健法(例:子育て包括支援センターなど)や健やか親子21における活動根拠について説明することができる。また、看護職の役割についても説明することができる。
健やか親子21、母子保健法、乳児家庭全戸訪問事業、エンパワメント 12 第6回
7.★★精神保健福祉、難病対策 精神保健福祉に関連する仕組み(法令等)や活動を説明することができる。対象者が自分らしく生活することができるよう支援の方法について説明できる。難病は難病対策要綱で、「原因不明、治療法が未確立であり、かつ、後遺症を残す恐れがすくなくない疾病。また経過が慢性にわたり、単に経済的な問題のみならず介護なのに著しく人手を湯要するために家庭の負担が重く、また精神的にも負担の大きい疾病と定義されている。2015年に難病法が制定された。法律が制定された根拠や支援のために必要な社会資源が説明できる。 地域精神、人権尊重、精神保健福祉法、難病法、精神疾患や難病患者に関する社会資源 12 第7回
8.★★学校保健、産業保健 学校保健に関する法的根拠について説明できる。また学校保健の目的。目標、支援等の特徴について説明できる。園児・児童・生徒・学生、教職員等の健康課題を理解し、学校保健が目指すものを理解し、養護教諭の役割について説明できる。産業保健に関連する法令について説明できる。また、働く人々の健康課題について理解し、その具体的な対策について説明できる。労働衛生の3管理やストレス、メンタルヘルス、生活習慣病(メタボリックシンドローム)、特定健康診査・保健指導にいついて説明できる。 学校保健計画、学校保健安全法、養護教諭、労働安全衛生法、ストレス、メンタルヘルス、メタボリックシンドローム、3管理 13 第8回
評価方法 期末試験(100%)によって評価する。
評価基準 評語
    学習目標をほぼ完全に達成している・・・・・・・・・・・・・ S (100~90点)
    学習目標を相応に達成している・・・・・・・・・・・・・・・ A (89~80点)
    学習目標を相応に達成しているが不十分な点がある・・・・・・ B (79~70点)
    学習目標の最低限は満たしている・・・・・・・・・・・・・・ C (69~60点)
    学習目標の最低限を満たしていない・・・・・・・・・・・・・ D (60点未満)
教科書 平野かよ子他編著、ナーシング・グラフィカ、健康支援と社会保障(2):公衆衛生 第5版、メディカ出版、3,520円
参考文献 国民衛生の動向、厚生労働統計協会、2,695円 ※毎年、8月下旬刊行
実験・実習・教材費