区分 専門科目-基礎看護学-基礎看護学
ディプロマ・ポリシーとの関係
コミュニケーション能力 アセスメント能力 判断力
創造力 実践力 自己研鑽力
カリキュラム・ポリシーとの関係

カリキュラム全体の中でのこの科目の位置づけ
専門科目の中の「基盤看護学」に位置づけ、看護学の基礎的な知識を学ぶ。
科目の目的
看護学の導入として初学者に「看護とは何か」「看護の機能・役割」など概要を学ぶ基盤となる科目である。看護の過去・現在・未来について探求することや、主要な看護理論をとおして、看護の対象である「人間」について広く学ぶ。さらに「健康」「環境」「看護」という看護学のメタパラダイムについて様々な角度から理解を深め、豊かな人間性を修得することや、クリティカル・シンキングや看護過程という看護を実践するために必要不可欠となる思考についても学習し、今後の学習により知識・技術、判断力を修得するための基盤を形成する。
到達目標
看護の基本的概念を学び、自己の看護観を培う。
科目の概要
看護学原論では、看護学の初学者が「看護とは何か」「看護の機能・役割」の概要を学ぶ。「看護とは何か」この問いに答えるために、看護師たちは長い間、自らに問うと同時に研究と論議を重ねてきた。看護が専門職として、社会に求められている責任を果たすためには、看護の本質を探究し、看護の目的や役割、機能を明らかにすることが重要だからである。さらには明らかにするだけではなく、それを自らが言葉にする、行動で示すなど表現することが重要である。そのため、看護の定義・概念を学ぶ。看護は本来、病気やけがで苦しむ人に対して、手当や世話をすることであり、人類が誕生して依頼、絶えることなく、行われてきた行為であるが、時代の社会状況に大きく影響を受けている。看護のあり方を歴史的変遷からとらえることで、今後の看護を見据える。また、また根拠ある看護を実践するためにも、主な看護理論を学ぶ。また看護実践を支える法や様々な基準・ガイドラインを学ぶ。具体的に看護を実践するときに重要となる思考であるクリティカル・シンキングや看護過程について学習し、自分の看護観を確立していく。また、未来の看護として、AIやICTを活用した医療・看護や、看護教育の6年一貫教育なども考えていく。
科目のキーワード
看護の概念(メタパラダイム)・定義、歴史的変遷、看護理論、看護倫理、看護制度・法律・未来の看護
授業の展開方法
書き込み式の「看護学原論」のノートを準備する。そのノートを活用しながら、指定テキストおよびパワーポイントで講義をすすめる。自分で独自のノートを作成しても良いが、必要な項目を示したノートは講義時には持参し、確認をすることが必要である。シラバスには予習・復習が明示してあるため、必ず時間外学習をしている前提で講義はすすめていく。毎回講義開始時に前回の内容の確認テストを実施する。そして、講義終了時には、コミュニケーションペーパーを配布する。そのコミュニケーションペーパーに書かれた内容(質問事項など)と確認テストの解説を中心に、前回の講義内容の復習を行い、本時の授業内容を展開する。看護理論を学ぶにあたっては、指定された期日までに、フローレンス・ナイチンゲールの「看護覚え書き」とヴァージニア・ヘンダーソンの「看護の基本となるもの」を完読し、看護師としての実践で得た経験や事例をもとに、看護理論や倫理、看護を取り巻く法を学生に講義をすすめる。
オフィス・アワー
篠崎惠美子:(準備中)
伊藤千晴:(準備中)

科目コード BH10
学年・期 1年・前期
科目名 看護学原論
単位数 2
授業形態 講義
必修・選択 必修
学習時間 【授業】30h 【予習・復習】60h
前提とする科目 全ての看護学の基礎となるもので、他の科目の履修を前提としない。看護学の導入となる科目である。
展開科目 全ての看護学の基礎となるもので、全ての看護学の展開に必要となる科目である。
関連資格 看護師,保健師,養護教諭
担当教員名 篠崎惠美子・伊藤千晴
主題コマシラバス項目内容教材・教具
1 看護の概念・定義 科目の中での位置付け 看護学原論では、看護の初学者が「看護とは何か」「看護の機能・役割」の概要を学ぶ。このコマにおいては、これから学習するすべての看護学の導入として、看護の定義・概念を知ることを目指して学習する。「看護とは何か」この問いに答えるために、看護師たちは長い間、自らに問うと同時に研究と論議を重ねてきた。看護が専門職として、社会に求められている責任を果たすためには、看護の本質を探究し、看護の目的や役割、機能を明らかにすることが重要だからである。さらには明らかにするだけではなく、それを自らが言葉にする、行動で示すなど表現することが重要である。
したがって、初めて看護学を学ぶために、看護学原論の大まかな学習内容を把握し、「看護とは何か」をどのように自ら学ぶのかを理解するための位置づけとしている。
 まずは、自ら「看護とは何か」を考える。さらに「看護」「ケア」「ケアリング」という言葉について知り、看護の対象について考えるための大前提を知る。看護の職能団体や様々な先人たちが述べている看護の定義を学び、再度自ら「看護と何か」を考え、それを表現する。つまりは、看護学を初めて学ぶ学習者が、その時点での「看護観」を考え表現するための位置づけである。ここでは教員が看護実践現場での経験を踏まえ、より具体的にイメージができるよう教授する。

テキスト ナーシンググラフィカ基礎看護学①看護学概論P20-21(ケアとケアリング、看護の定義、看護とは)P70-79(看護の対象)、看護者の基本的責務P2-11、
配布する看護学原論ノート 第1回
コマ主題細目 ① ケアとケアリング ② 看護の対象 ③ 看護の定義 ④ 看護とは
細目レベル ① 様々な看護の場面(未熟児の足と看護師の手、ターミナル期の高齢者と看護師、褥婦と新生児そして看護師、防御用具を装着した看護師、ヒジャブを装着した看護師、患者を抱きかかえる介護ロボット、COVID-19の病棟で働く看護師)をとおして、看護師とその対象について考える。看護の場面が様々であることを確認する。特に、看護の場が病院という施設に留まらず、地域・在宅など、人が生活する場に看護場面が必ず存在すること、今まで「看護」「看護師」に対する知識やイメージが限定されたものであることを学習者は学ぶ。そして、今までの知識・イメージとは異なる「看護」が必要なのだということを考える。そのうえで、看護Nursing care、CareケアとCureキュア、ケアとケアリングの言葉の意味を学ぶ。この言葉を知ることで、「看護の道具となるものは、看護師自身である」ことを実感する。
② 様々な看護の場面で考えた看護の対象について、さらに掘り下げて学ぶ。看護の対象は「人間」であり、新生児(胎児を含む)から高齢者であること、さらにあらゆるライフステージにある人々(生から死)、あらゆる健康レベルの人々、個人、家族さらにはコミュニティであることを学ぶ。また「人」というのはどういう存在なのかを考える。
そして人とは、身体的側面、心理的側面、社会的側面、霊的側面を持つ統合体であることを学ぶ。つまり、単に「部分の総和」ではない「統合体」であり、複雑な生物であることを学ぶ。さらにこの考えを深めていくためには、人間環境学や哲学などの学問での探求も必要であり、看護学は看護学のみならず多くの学問を学習することが必要不可欠であることを伝える。

③ 様々な看護の定義から、共通していることを見いだすことを求めてすすめる。
一般的な看護の定義を知る。さらに看護は専門職業であるため、職能団体を有している。その職能団体である日本看護協会、アメリカ看護師協会、国際看護師協会の看護の定義を学ぶ。さらに、フローレンス・ナイチンゲール、ジョイス・トラベルビー、吉田時子など看護の先人たちが、それぞれ述べている看護の定義について説明する。それらを学び、共通する事項(対象、看護の機能)などを明確にしていく。看護の機能としては単に診療の補助だけではなく、療養上の世話や健康増進などがあるということを学ぶ。また、日本看護協会の看護の概念や、看護の本質的な機能を学び、自己の看護観を形成するための基礎とする。

④ 「聞いてください看護師さん」(ルース・ジョンストン、1971)の詩をとおして、看護師が患者にどのようにみえているのか、看護に必要な姿勢や「看護とは何か」、看護の対象が求めているものは何かを感じる。特にこの詩から、看護の対象と向き合う必要性や、形だけの看護ではなく、真に看護の対象と向き合い、対象を知ることの必要性を感じることで、今後看護を学ぶものとしての意識を新たにしていく。さらに看護の様々な場面、多くの先人たちの看護の定義、職能団体が示す看護の定義などを学び始めた今の時点での「看護とは何か」を考え、自らの言葉で表現する。それらを通して、今後看護に必要な知識・技術・態度について、自らが主体的に学び修得することの必要性を考える。
キーワード ① 看護の定義 ② ケアとケアリング ③ 看護の対象 ④ 看護の機能 ⑤ ICN
コマの展開方法 社会人講師 AL ICT PowerPoint・Keynote 教科書
コマ用オリジナル配布資料 コマ用プリント配布資料 その他 該当なし
小テスト 「小テスト」については、毎回の授業終了時、manaba上において5問以上の、当該コマの小テスト(難易度表示付き)を実施します。
復習・予習課題 予習:指定されたテキストの目次一覧を確認し、P20-21,P70-79,を熟読する。
復習:指定されたテキストP12-15,P18-P24,P33を熟読する。また、配布した「看護学原論」のノートの第1回の内容を確認する。看護の定義については、日本看護協会、アメリカ看護師協会、国際看護協会のものを比較し、共通事項を確認する。看護者の基本的責務のⅠ.看護の基本となる定義と概念(ナイチンゲールによる看護の概念、ヘンダーソンによる看護の定義、看護の<概念的定義><歴史的変遷><社会的文脈>、ICN看護の定義、ICN看護師の定義、ICN助産師の定義を熟読する。レポート課題として、4月15日10時までに「今の時点で考える看護」を800文字程度にまとめて提出する。

2 看護の歴史的変遷(諸外国) 科目の中での位置付け 看護学原論では、看護学の初学者が「看護とは何か」「看護の機能・役割」の概要を学ぶ。「看護とは何か」この問いに答えるために、看護師たちは長い間、自らに問うと同時に研究と論議を重ねてきた。看護が専門職として、社会に求められている責任を果たすためには、看護の本質を探究し、看護の目的や役割、機能を明らかにすることが重要だからである。看護を学ぶ者として、看護の歴史的変遷を知ることは、今後の看護を担うためにも必要である。看護は本来、病気やけがで苦しむ人に対して、手当や世話をすることであり、人類が誕生して依頼、絶えることなく、行われてきた行為である。看護を歴史的にまた社会的に捉えるとき、看護は時代の社会状況に大きく影響を受けている。文化、宗教、科学(特に医療技術)、あるいは女性の社会的地位などの影響である。これらの影響を受けながら、人々の健康維持・回復・向上に働きかけてきた。医師との違い、介護との違いなどを考えながら、独自の役割を果たす専門職へと発展してきた経過がある。看護のあり方を歴史的変遷からとらえること、すなわち発展してきた背景の概要を知ることは、今後の看護を見据えるうえで重要である。このコマでは諸外国の看護の歴史的変遷を学ぶ。
テキスト:ナーシンググラフィカ 看護学概論P43-50
配布する看護学原論ノート第2回目
コマ主題細目 ① 看護の起源~古代の看護 ② 中世~近代社会の宗教看護 ③ 近代の看護(欧州)とナイチンゲール ④ 現代の看護(アメリカとイギリス)
細目レベル ① Every woman makes a good nurse( 女性はみな良い看護ができる) というフローレンス・ナイチンゲールの言葉から、看護は人類の誕生から存在していることを学ぶ。古代から原始にかけては本能的な行動の積み重ねの結果、経験的な行動であった。つまりは家庭内看護であったことや奴隷による看護であったことを学ぶ。古代インドでは、バラモン教では看護は卑しい行為であったが、仏教が布教されて以降は看護を仏教の最上の善行となった。このように看護は人類の誕生から存在しているが、現代の看護とは異なり、知識からの看護ではなく、経験からなされる家庭内看護であったことや、職業とは結びついていないものであったということを知る。

② 中世までは、宗教に結びついて看護がなされてきたことを学ぶ。ヨーロッパではキリスト教の影響を受けて教会や修道院で活動が行われていた。キリスト教・仏教の慈善事業により発展し 宗教的な動機で看護ケアがなされるようになり、家庭内のケアから、他人のケアへ変化した。しかし、宗教革命により、看護の質は低下する。しかし、この時点であっても、看護は職業ではない。近代に入り、16~18世紀に医学は発展するが、看護にとっては暗黒の時代であった。17世紀は医学が近代医学へ発展( 解剖学確立、外科手術の発展、血液循環の解明)、18世紀はルネサンスにより科学・医学進歩し、産業革命により労働衛生面の問題や職業病の問題が発生し、また宗教改革によって教会の制度改革がなされた。そのため、看護の需要は多く、慈善事業として行われていた。
③ 19世紀は、宗教から独立した社会福祉活動となり、つまり宗教的看護から医学的知識に基づく看護へ変化した。尼僧による看護から民間の婦人による看護へと変化した。1853年クリミア戦争によりアンリ・デュナンが国際赤十字を結成したことや、テオドール・フリドナー(ドイツ)による病院やカイザースベルト学園創設(ディアコ ニッセによる看護婦養成所)により3年制の看護婦養成施設(職業的な養成ではない)が設立されたことや、フローレンス・ナイチンゲールが看護を職業として、現代の教育の基礎を築いたことが大きく変化した。ナイチンゲールの功績として、1860年ナイチンゲール看護学校設立(ロンドンのセントトーマス病院)、ナイチンゲール方式による看護の養成、看護教育のための著述(「看護覚え書」「病 院覚え書」など)や看護教育の体系化、各国への拡大などがあることを学ぶ。

④ アメリカはナイチンゲール方式の教育を導入後急速に発展した。南北戦争後1873年にベルビュー病院看護学校、コネチカット看護学校、マサチューセッツ総合病院看護学校でナイチンゲール方式の看護教育が開始され、リンダ・リチャーズが米初の看護婦となった。1891年にはナイチンゲール方式の学校18校創設され、卒業生による看護婦卒業者連合が組織化され1911年にアメリカ看護婦協会(ANA)が創立された。1900年には「アメリカ看護雑誌」発刊され、1907年にはナッテイング(ジョンズ・ホピキンズ大学看護学校第1回卒業生)がコロンビア大学教育学部で世界初の看護学教授となり、学問として看護学が発展していく。さらに1918年ゴールドマークレポート(「アメリカにおける看護および看護教育」)、1948年ブラウンレポート(「これからの看護」)などが報告され、20世紀後半、世界の看護界に対するリーダーシップを発揮している。
一方イギリスでは、ラスボーンが貧民救護のため巡回看護をはじめ、公衆衛生看護へ発展し、また、貧民街にある小学校へ看護師の学校訪問が学校看護師へ発展するなど看護教育は実践重視の独自のやり方で発展している。

キーワード ① 家庭内看護 ② 宗教看護 ③ 社会福祉活動 ④ ナイチンゲール ⑤ 近代看護
コマの展開方法 社会人講師 AL ICT PowerPoint・Keynote 教科書
コマ用オリジナル配布資料 コマ用プリント配布資料 その他 該当なし
小テスト 「小テスト」については、毎回の授業終了時、manaba上において5問以上の、当該コマの小テスト(難易度表示付き)を実施します。
復習・予習課題 予習:指定されたテキストのP43-50を熟読する。
復習:指定されたテキストP43-50を熟読する。また、配布した「看護学原論」のノートの第2回の内容を確認する。諸外国の看護の歴史的変遷については、社会的な背景とともに整理をしておく。さらに1918年ゴールドマークレポート(「アメリカにおける看護および看護教育」)、1948年ブラウンレポート(「これからの看護」)については、報告者と年代、その背景、内容を整理し、十分に理解を深めておく。フローレンス・ナイチンゲールの「看護覚え書き 本当の看護とそうでない看護」を熟読し、ナイチンゲールがこの著書を執筆した背景を考えながら、本当の看護とは何かを読み解く。

3 看護の歴史的変遷(日本) 科目の中での位置付け 看護学原論では、看護学の初学者が「看護とは何か」「看護の機能・役割」の概要を学ぶ。「看護とは何か」この問いに答えるために、看護師たちは長い間、自らに問うと同時に研究と論議を重ねてきた。看護が専門職として、社会に求められている責任を果たすためには、看護の本質を探究し、看護の目的や役割、機能を明らかにすることが重要だからである。看護を学ぶ者として、看護の歴史的変遷を知ることは、今後の看護を担うためにも必要である。看護は本来、病気やけがで苦しむ人に対して、手当や世話をすることであり、人類が誕生して依頼、絶えることなく、行われてきた行為である。看護を歴史的にまた社会的に捉えるとき、看護は時代の社会状況に大きく影響を受けている。文化、宗教、科学(特に医療技術)、あるいは女性の社会的地位などの影響である。これらの影響を受けながら、人々の健康維持・回復・向上に働きかけてきた。医師との違い、介護との違いなどを考えながら、独自の役割を果たす専門職へと発展してきた経過がある。看護のあり方を歴史的変遷からとらえること、すなわち発展してきた背景の概要を知ることは、今後の看護を見据えるうえで重要である。このコマでは我が国の看護の歴史的変遷を学ぶ。
ナーシンググラフィカ 看護学概論P43-65
配布する看護学原論ノート 第3回目
コマ主題細目 ① 仏教看護 ② 職業看護 ③ 戦争と看護 ④ GHQと看護
細目レベル ① 古代日本においても、経験的医術、魔法医術が施行されており、大和朝廷時代 病気の原因となるものを汚れたものとして扱い、住居から隔離するなど、病人がでれば看病がなされていた。中世の飛鳥時代に中国をとおして儒教と仏教が伝来し、奈良時代には、仏教は国策として保護された。その結果、救療事業では僧医(行基、鑑真)や看病僧が出現した。特に光明皇后、和気広虫は看護に尽力した女性として業績がある。701年に大宝律令公布され医疾令(医事制度)が発令された。そして医療は国営、医師は国から給料支給され、患者の費用負担なしとなった。また医疾令に看護の規定があったが、医師と異なり、職業ではなく、家庭内看護が明記された。平安時代末期から鎌倉時代は戦乱、飢饉・疫病により不安定な社会となり、僧侶が看病層となり、仏教看護は黄金時代を迎える
② 医療は仏教から離れて独自の歩みをたどり、桃山時代に急速に学問として発展していく。フランシスコ・ザビエルの来日により、西洋医学が導入される。鎖国によりキリスト教は弾圧を受けるが、学問の奨励により医学は学問として多くの書が発行され、発展する。
その一部である貝原益軒の「養生訓」や香月牛山の「老人養草」には看護に関する内容が記述されている。しかし、看護について江戸時代は宗教からはなれ再び家庭内看護にもどっていく。その一方で医学が発展すると、職業的な看護も、小石川養生所や横浜陸軍病院で開始される。知識・経験はないが、女性の看護人が薬を渡したり、病人の身の回りの世話、病室環境の整備などを実施した。

③ 明治時代は、明治政府が多くの改革し、男女別学で女性は家事家政中心の学習であった。西南戦争により、佐野常民らが博愛社結成し戦傷者救護した。その後博愛社は「日本赤十字社」となり、日清・日露戦争・第一次世界大戦や災害時の救護活動を行った。このように戦争により戦傷者の救護をするための看護人が必要となり、明治維新後に看護は戦争と深く結びついて発展していく。その中で官軍病院の臨時看護婦、初の看護婦杉本かね(1838〜1915)が誕生する。杉本は明治6年順天堂医院の看護婦取締となる。明治18年に有志共立東京病院看護婦教育所(現慈恵 会看護専門学校)が初の看護教育機関 として創立され、その後数校の看護教育機関が創設された。しかし、アメリカなど外国人が教授のため、帰国後は衰退していく。組織的な統一なく実施されていて、入学資格、修業年限、教育内容は多様であったが、職業として教育された看護師を養成されるようになったことは進歩であった。その後第二次世界大戦により看護婦需要が増大し、若年者を短期間で看護婦として養成し、戦地へ派遣する必要があったため、看護教育のレベルは低下していった。
④ 第二次世界大戦後はアメリカ(GHQ)指導による新しい看護制度・看護教育制度がなされた。昭和23年に厚生省医務局に看護課設置、初代課長保良せきが任用され、看護の社会的地位が向上したが、昭和31年に医事課へ統合される。日本看護協会の運動により昭和38年に医務局内に看護課再設置され、現在の厚生労働省医政局看護課の元となった。昭和23年に「保健婦助産婦看護婦法」制定され、三者は看護職、国家免許となった。昭和25年には第1回看護婦免許看護婦国家試験が実施された。昭和27年に高知女子大学家政学部衛生看護学科にて初の4年制大学での教育が開始され、昭和55年に聖路加看護大学に修士課程、昭和63年に聖路加看護大学に日本初の博士課程が設置された。平成7年に専門看護師(CNS)誕生、平成9年に認定看護師誕生するなど、大学が急速に増加した。その一方で、新人看護師の実践能力の低下が問題となり、文部科学省、厚生労働省から様々な提言がなされている。看護業務も昭和25年には完全看護方式だったものが、基準看護、診療報酬改定により看護料が 入院基本料に包含、看護必要度、7:1の看護基準導入など大きく変化してきている。平成4年の「看護師等の人材確保の促進に関する法律」や、特定行為に係る看護師の研修制度など新たな法も制定されている。また今後は人材確保のためEPAによる外国人看護師の導入など看護を取り巻く環境は大きく変化している。
キーワード ① 仏教看護 ② 職業看護 ③ 戦争と看護 ④ GHQと看護 ⑤ 近代看護
コマの展開方法 社会人講師 AL ICT PowerPoint・Keynote 教科書
コマ用オリジナル配布資料 コマ用プリント配布資料 その他 該当なし
小テスト 「小テスト」については、毎回の授業終了時、manaba上において5問以上の、当該コマの小テスト(難易度表示付き)を実施します。
復習・予習課題 予習:指定されたテキストのP43-65を熟読する。
復習:指定されたテキストP43-65を熟読する。また、配布した「看護学原論」のノートの第3回の内容を確認する。我が国の看護の歴史的変遷については、社会的な背景とともに整理をしておく。特に近年の看護の変遷についてはめまぐるしいものであるため、丁寧にまとめて整理しておく。新に制定された法律や制度は特に注意してまとめる必要がある。第2回で学んだ諸外国の看護の変遷と比較して、また医学と比較をして整理しておくとよい。

4 看護実践と看護理論 科目の中での位置付け 看護学原論では、看護学の初学者が「看護とは何か」「看護の機能・役割」の概要を学ぶ。「看護とは何か」この問いに答えるために、看護師たちは長い間、自らに問うと同時に研究と論議を重ねてきた。看護が専門職として、社会に求められている責任を果たすためには、看護の本質を探究し、看護の目的や役割、機能を明らかにすることが重要だからである。フローレンス・ナイチンゲールが「看護覚え書き 本当の看護とそうでない看護」において看護とは何かを問いかけて以来、看護の学問的な発展と同時に看護理論が発展してきた。看護理論とは、看護の中にみられる現象に名前をつけたり、その現象を説明したり、あるいは他の減少との関連を説明するものである。看護理論は、事象の本質を解明できるような要素や特徴を明確にするもので、重要であるものとないものを区別できる。看護を学ぶ者として、また根拠ある看護を実践するためにも、看護理論を学ぶことは必要である。このコマでは看護理論とは何か、また看護実践との関連、看護の主要テーマ、すなわちメタパラダイムについて学ぶ。このコマの位置づけは「看護とは何か」を考えるために、先人たちが考えた看護理論を理解するために「看護理論とは何か」を学ぶ。この子までは教員の看護実践の経験を踏まえて理論の説明を行う。
テキスト:ナーシンググラフィカ 看護学概論 P126-149 [細目レベル①p126-127,②p147-149,③p127-129,④p129,p73-74,⑤p129-131]およびp345-347
配布する看護学原論ノート第4回目
コマ主題細目 ① 理論・概念・命題 ② 看護理論と看護実践の関係 ③ 看護理論のメタパラダイムと理論の4つの範囲 ④ ニード論、人間関係論 ⑤ 看護理論の活用の意義と評価
細目レベル ① 理論とは、概念・定義・命題といった一連のものである。これらの概念・定義・命題は[記述すること][説明すること][予測すること]という目的のために、特定の概念どうしの相互関係をデザインすることによって、現象に対する系統的な見方を提示するものである。そして、理論とは「もの(thing)」や「こと(event)」に対する書いた人の考えであり、重要なものとそうでないものがある。いわゆる地図のようなものである。概念とは「事物の本質をとらえる思考の形式」で、物を理解するときに、無意識のうちに見つけている物事の共通なところである。命題とは、「何々は何々である」といった文が表現する意味内容のことである。
② 長い看護実践の歴史のなかで、学問的な発展とともに理論が生成された。「看護とは何か?」という問いの答えを導く積み重ねである。看護は実践の科学であるため、理論と研究と実践の3本の柱からなる。看護の中にみられる現象に対して、①名前をつける②説明をする③ほかの現象との関連性を組織化するものであり、重要であるものとそうでないものに区別されるものである。対象の理解を助け、看護実践を説明し、導く手段として活用されるものであり、実践とは切り離せない。具体的には、看護実践について、①どのように行われたか、②どのような意味があったか、③何のために行われたのか、④目指すものは何かである。看護理論を理解して活用するためには、重要な言葉(概念、中心概念)の理解が必須である。
③ 「メタパラダイム」とは、学問を体系化するための概念枠組みのことである。看護学のメタパラダイムは、「看護学が関心を寄せる領域」すなわち、健康、人間、環境、看護から成り立っている。看護理論の大理論Grand Theoryは、1学問分野を総括的に説明・解釈する理論で、メタパラダイム(人間・環境・健康・看護)概念を含んでいるものである。大理論は看護の方向性を示すものである。中理論Meso Theoryは、特定領域の現象を広範囲に扱うものである。中範囲理論Midle Range Theoryは、経験的に識別可能な現象を扱うための理論であり、患者理解に必須である。小範囲理論Micro Theoryは、狭く限定した現象を扱う理論的記述で、痛みや不安など特定看護問題を扱う。
④ 具体的にわかりやすい理論で、看護に重要なニード論や人間関係論について学ぶ。マズローMaslow, A.H.は、基本的ニードは生理的ニードから自己実現のニードへと階層的な序列があると述べている。マズローの欲求の階層である。このマズローのニード論はここ数年の国家試験において必ず出題されているため、心理学でも学習する内容と重複しても、理解できるまで学習を進める。また、同様にヴァージニア・ヘンダーソンは「看護の基本となるもの」で人間には14の基本的欲求があると述べている。看護師と対象者の対人的過程について、患者と看護師の間で交わされる相互作用に着目した理論(オーランド、ウィーデンバック)や、患者自身が看護師との人間関係形成のなかで、自己理解・洞察を深め意味を見いだしたり、問題解決をするものに着目した理論(ペプロウ、 トラベルビーなど)がある。
⑤ 看護理論の活用の意義としては、①専門職としてのアイデンティティの確立(看護と看護でないものの区別をつける、看護の価値を理解し、創造していく、看護の道具としての自己の成長)、②専門的知識の蓄積と発展(看護理論を適用することで、問題に対する新たな見方や考え方をもたらす)、③看護の目的の一貫性の保持(看護実践の方向がずれない、看護計画立案しやすい、患者に対しての看護計画の意味が明確、看護計画の具体策の選択肢が増える、計画の視点が明確、ケアの継続が可能)、④専門職間のコミュニケーションが円滑(他者に看護行為の意味が伝えられる、行為の評価と根拠が伝えられる、他者と他の方法を検討できる、蓄積された知識を他者に伝えられる)がある。評価の視点としては、①明快である、②重要性(自分の看護観と一致する)、③経験的適切性、④利便性がある。

キーワード ① 理論・概念・命題 ② 看護理論 ③ 看護のメタパラダイム ④ ニード論 ⑤ 人間関係論
コマの展開方法 社会人講師 AL ICT PowerPoint・Keynote 教科書
コマ用オリジナル配布資料 コマ用プリント配布資料 その他 該当なし
小テスト 「小テスト」については、毎回の授業終了時、manaba上において5問以上の、当該コマの小テスト(難易度表示付き)を実施します。
復習・予習課題 予習:指定されたテキストのP126-14-、p73-74を熟読する。
復習:指定されたテキストP126-14-、p73-74を熟読する。p345-347を確認し、理論の概要を確認しておく。また、配布した「看護学原論」のノートの第4回の内容を確認する。マズローのニード論は欲求の階層を理解し、覚える。ヴァージニア・ヘンダーソンの14の基本的欲求も内容を理解し覚え、マズローとヴァージニア・ヘンダーソンを合わせて覚える。またヴァージニア・ヘンダーソンの「看護の基本となるもの」を熟読する。

5 看護理論(ナイチンゲール) 科目の中での位置付け 看護学原論では、看護学の初学者が「看護とは何か」「看護の機能・役割」の概要を学ぶ。「看護とは何か」この問いに答えるために、看護師たちは長い間、自らに問うと同時に研究と論議を重ねてきた。看護が専門職として、社会に求められている責任を果たすためには、看護の本質を探究し、看護の目的や役割、機能を明らかにすることが重要だからである。フローレンス・ナイチンゲールが「看護覚え書き 本当の看護とそうでない看護」において看護とは何かを問いかけて以来、看護の学問的な発展と同時に看護理論が発展してきた。看護理論とは、看護の中にみられる現象に名前をつけたり、その現象を説明したり、あるいは他の減少との関連を説明するものである。看護理論は、事象の本質を解明できるような要素や特徴を明確にするもので、重要であるものとないものを区別できる。看護を学ぶ者として、また根拠ある看護を実践するためにも、看護理論を学ぶことは必要である。このコマではフローレンス・ナイチンゲールの看護覚え書きをとおして、本当の看護とそうでない看護について学ぶ。このコマでの内容が看護技術の基礎となる「生活援助方法」「診療援助方法」にも関わっていく。
看護覚え書 本当の看護とそうでない看護、フローレンス・ナイチンゲール著、小玉香津子他訳、
日本看護協会出版会
テキスト:ナーシンググラフィカ 看護学概論 P132-133
配布する看護学原論ノート 第5回目
コマ主題細目 ① ナイチンゲールが看護にどのように影響したのか ② 看護覚え書きの3つのキーワード ③ 看護覚え書きに示された看護の定義 ④ 看護とは何をすべきか
細目レベル ① フローレンス・ナイチンゲールは看護の歴史をかえた7つの素顔をもつ(1.著述家2.看護の発見者、3.優れた看護管理者、5.衛生改革者、6.病院建築家、7.社会改革者)。1820年5月12日誕生し、現在5月12日は「看護の日」として制定されている。近代看護創始者であり、人間・環境・健康・看護の4つの基本概念=看護のメタパラダイムがあることを示唆した。 基本概念は「病むものを看護し、みまもるため」の彼女の明快な行動実践によって明示される。「感染は予防できる」という明確な信念のもと、開け放した窓から新鮮な空気を取り入れる、部屋の清潔を保つ、陽光を取り込む、一つの屋根のもとに、多数の病人を密集させない、室温を下げない(寒さを感じさせない)、病院が本来の機能を発揮し、感染を防止するためには、病院の構造や立地条件を考慮することなどを実施した。この感染に対する考え方は、現在のCOVID-19においても共通している考え方である。この考え方を丁寧に理解することで、根拠に基づく看護を提供することの重要性や、理論に基づく看護を提供することが必須であることも学ぶ。
② 「看護覚え書き」は19世紀イギリスにおいて書かれた。当時の病院は不潔の巣窟で、病院で働く看護師は教育を受けてないものであった。看護師は、治療用アルコールと盗み飲み、酔っぱらうため最低の職業であった。また、家庭内看護も時代の慣習に習って誤った手当がされていた。ナイチンゲールは、家族の健康を担う女性に本来の看護を説き、また病院で働く看護婦たちに看護のあるべき姿を教え、otes on Nursing(看護に関する覚え書(ノート)What it is, and what it is notにおいて、「看護であること」と「看護でないこと」を説いた。看護覚え書きの3つのキーワードは1.自然 nature、2.生活 life、3.生命力 vital power life-giving powerである。
③ 「看護覚え書き」には、「多くの人びとは内科的治療がすなわち病気を癒す過程であると思っているがそうではない。内科治療とは、外科的治療が〜どちらも病気を癒すことはできない。癒すのは自然のみである。このどちらの場面においても看護がなすべきこと、それは自然が患者に働きかけるに最も良い状態に患者を置く事である。」と述べている。そして、看護の独自性として、「日々の健康上の知識や看護の知識は、つまり病気にかからないような、あるいは病気から回復できるような状態にからだを整えるための知識は、もっと重視されてよい。こうした知識は誰もがみにつけておくべきものであって、それは専門家のみが身につける医学知識とははっきり区別されるものである」と述べ、看護師には「診療の補助」という役割にとどまらない、本来あるべき姿があることや、看護の知識は医学の知識とは区別されることを述べた。

④ 「看護覚え書き」において、「ほんどすべての女性が一生のうちに何回かは、こどもとか病人とか、とにかく誰かの健康上の責任をおうことになる。言い換えれば、女性は誰でも看護師なのである」と女性は誰もが看護師になりうることを述べている。さらに、「すべての病気は、その経過のどの時期をとっても、程度の差こそあれ、その性質は回復過程reparative processであって、必ずしも苦痛をともなうものではない」「つまり病気とは、毒されたり衰えたりする過程を癒そうとする自然の努力の現れ」と説明し、病気とは、体内で自然の治癒力や回復システムが発動されて、身体を元のバランスのとれた状態にもどそうとしている状態であると述べている。そうしたうえで、「看護とは、新鮮な空気、陽光、暖かさ、清潔さ、静かさなどを適切に整え、これらを活かして用いること、また食事内容を適切に選択し適切に与えることーこういったことのすべてを、患者の生命力の消耗を最小にするように整えること」と述べている。

キーワード ① 看護覚え書 ② 自然、生活、生命力 ③ 看護の独自性 ④ 看護が何をすべきか ⑤ フローレンスナイチンゲール
コマの展開方法 社会人講師 AL ICT PowerPoint・Keynote 教科書
コマ用オリジナル配布資料 コマ用プリント配布資料 その他 該当なし
小テスト 「小テスト」については、毎回の授業終了時、manaba上において5問以上の、当該コマの小テスト(難易度表示付き)を実施します。
復習・予習課題 予習:指定されたテキストのP38-41、109-111を熟読する。また、「看護覚え書き 本当の看護とそうでない看護」を完読する。
復習:指定されたテキストP38-41、109-111を熟読する。また、配布した「看護学原論」のノートの第5回の内容を確認する。ナイチンゲールが主張してきたことを丁寧にまとめる。特に、病気とどのような状態か、看護がしなくてはいけないことは何か、自然、生活、生命力とはどのようなことをさすのかをまとめる必要がある。そうしたうえで、再度「看護覚え書き 本当の看護とそうでない看護」を読み直すと良い。

6 看護理論(オレム) 科目の中での位置付け 看護学原論では、看護学の初学者が「看護とは何か」「看護の機能・役割」の概要を学ぶ。「看護とは何か」この問いに答えるために、看護師たちは長い間、自らに問うと同時に研究と論議を重ねてきた。看護が専門職として、社会に求められている責任を果たすためには、看護の本質を探究し、看護の目的や役割、機能を明らかにすることが重要だからである。フローレンス・ナイチンゲールが「看護覚え書き 本当の看護とそうでない看護」において看護とは何かを問いかけて以来、看護の学問的な発展と同時に看護理論が発展してきた。看護理論とは、看護の中にみられる現象に名前をつけたり、その現象を説明したり、あるいは他の減少との関連を説明するものである。看護理論は、事象の本質を解明できるような要素や特徴を明確にするもので、重要であるものとないものを区別できる。オレムは、看護の実践家として何をすべきかを述べている。看護を学ぶ者として、また根拠ある看護を実践するためにも、看護理論を学ぶことは必要である。このコマではオレムの看護理論をとおして、セルフケアと看護について学ぶ。このセルフケアという概念は、「生活援助方法」の基礎になり、また「成人看護学:慢性期看護」などを学ぶためには多いに影響する内容である。
テキスト:ナーシンググラフィカ 看護学概論 P135-137
配布する看護学原論ノート 第6回目
コマ主題細目 ① 1オレムの考える看護師がすべきことは何か ② セルフケアとは何 ③ セルフケア要件 ④ セルフケア理論と看護システム論
細目レベル ① オレムは「オレム看護論 看護実践における基本概念」(1971)において3つの問いを述べている。「看護の中心的な問題は何か?」という問いに関して、①看護婦は看護の実践家として何をすべきか、②看護婦が現在していることをしているのはなぜか、③看護の実践家として看護婦が行うことから何が生ずるのかについてである。看護の実践家として何をすべきかという問いに対して、「人は自らの生命と健康を維持するために一連の行動を要求される。このケアが提供できないとき、他者の援助が必要となる。援助の必要が家族構成員によって満たされない場合、看護婦が当該者の利益のために行動すること、すなわち教え、導き、補佐し環境を調整することで適切な援助が提供される。患者及び家族の協力を得て看護婦が実践する行動は、患者が自らの健康と安寧を維持もしくは回復するためのセルフケアのニードを満たすものを援助することを目的とする」と述べている。そうしたうえで、オレムはセルフケア理論、セルフケア不足の理論、看護システム論の3つの理論での看護論を構成している。
② オレムは「セルフケア」とは生命・健康・安寧を維持するために積極的に行う活動と実践と述べ、「治療的セルフケアディマンド」とは、セルフケアを達成するための行為の必要性や需要と述べている。セルフケア理論において、人間は、自分で自分の世話をすることができる。病気や怪我で自分の世話をすることができなくなったとき、代わりに世話をするのが看護であり、「自分で自分の世話をする」ことをセルフケア(self care)、セルフケアを遂行する能力を「セルフケア能力」「セルフケアエージェンシー」と説明している。つまり、治療的セルフケアディマンドがセルフケア能力より大きくなったとき、看護する力が必要となると説明している。
③ セルフケア要件には、①普遍的セルフケア要件、②発達的セルフケア要件、③健康逸脱に対するセルフケア要件がある。①普遍的セルフケア要件は、人生のあらゆる段階すべての人間に共通するもので、年齢、発達段階、環境およびその他の要因によって変化する。生命過程および人間の構造や機能の統合性の維持ならびに一般的な安寧に関連しているものである。②発達的セルフケア要件とは、年齢、つまり人間が発達していくにつれて変化するニーズのことである。③健康逸脱に対するセルフケア要件とは、病理状態、つまり健康から逸脱した状態が、基本的欲求に影響する、この健康からの逸脱がもたらす特殊なニードのことである。これらの要件はヘンダーソンの14の基本的欲求とも共通するものである。
④ オレムは、そのとき世話をしたり手助けしたりするのが看護であると述べ、病気やけがの程度によるその異なる世話のあり方を「看護システム」と説明している。つまり、看護援助を行う枠組みには、①全代償看護システム、②一部代償看護システム、③支持ー教育看護システムがある。①全代償システムは、患者が全く自分のことができないため、全面的にそのセルフケアを代わることである。②部分代償システムは、患者が部分的に自分のことができるために部分的に手伝うことである。③支持教育システムは、患者がほとんど自分のことができようが、そのセルフケアをより良く正しいものになるように指導・教育することである。このように、オレムの看護システム論を活用することで、患者(セルフケア不足を有する個人)、看護師(セルフケア不足を補うよう援助する)の役割と、達成すべき目標が明確になり、患者ー看護師関係において利用される看護システムが与えられるので看護の枠組みが明白になるため、他の医療職に看護の機能を説明する根拠となる。ここで学ぶ内容は「基礎看護学実習」において学生は多く実感する内容であるため、病院看護の内容を想起しながら学習する。
キーワード ① セルフケア ② セルフケア要件 ③ 看護システム ④ セルフケア理論 ⑤ オレム
コマの展開方法 社会人講師 AL ICT PowerPoint・Keynote 教科書
コマ用オリジナル配布資料 コマ用プリント配布資料 その他 該当なし
小テスト 「小テスト」については、毎回の授業終了時、manaba上において5問以上の、当該コマの小テスト(難易度表示付き)を実施します。
復習・予習課題 予習:指定されたテキストのP135-137を熟読する。
復習:指定されたテキストP135-137を熟読する。また、配布した「看護学原論」のノートの第6回の内容を確認する。オレムの重要なキーワードを再度確認すること。看護システムを暗記すること。また、ヘンダーソンの基本的欲求の14項目と比較する。「オレム 看護論~看護実践における基本概念~(第4版)」(著:ドロセア E. オレム、訳:小野寺 杜紀)を読むことをすすめる。

7 看護理論(ワトソン) 科目の中での位置付け 看護学原論では、看護学の初学者が「看護とは何か」「看護の機能・役割」の概要を学ぶ。「看護とは何か」この問いに答えるために、看護師たちは長い間、自らに問うと同時に研究と論議を重ねてきた。看護が専門職として、社会に求められている責任を果たすためには、看護の本質を探究し、看護の目的や役割、機能を明らかにすることが重要だからである。フローレンス・ナイチンゲールが「看護覚え書き 本当の看護とそうでない看護」において看護とは何かを問いかけて以来、看護の学問的な発展と同時に看護理論が発展してきた。看護理論とは、看護の中にみられる現象に名前をつけたり、その現象を説明したり、あるいは他の減少との関連を説明するものである。看護理論は、事象の本質を解明できるような要素や特徴を明確にするもので、重要であるものとないものを区別できる。ワトソンは、ケアリングの概念を主張し、さらに現在もそのケアリング理論は進化している。看護を学ぶ者として、また根拠ある看護を実践するためにも、看護理論を学ぶことは必要である。このコマではワトソンのケアリング理論をとおして、看護について学ぶ。このコマは1回目で学んだ「ケア」「ケアリング」の概念を深く学ぶ。
テキスト:ナーシンググラフィカ 看護学概論 P144-146
配布する看護学原論ノート 第7回目
コマ主題細目 ① ケアリングの主要概念と7つの前提 ② ワトソンの人間・環境・健康・看護 ③ 10のケア因子 ④ さらに進化するワトソンの世界観
細目レベル ① ワトソンのケアリングは、看護の有り様、立場などを示す看護の本質、看護の哲学に迫った理論である。医学的立場とは異なり、看護は人間の心と体と魂をいやすヒューマンケアそのものであることを主張している。ケアリング理論において以下の7つの前提がある。①ケアリングは対人関係においてのみ実践することができまた適切に提示できる。
②ケアリングはケア因子からなり、それらは人間のニードを充足する、③ケアリングは健康を増進するのみでなく、また個人だけでなく、その家族の成長も促進する、④ケアリングは人びとをあるがままの姿でかつ成長の可能性のある存在として受け入れる、⑤ケアリング環境は、その人にとってその状況に最もふさわしい行為を選択できる潜在能力の発達を促進する、⑥ケアリングはキュアよりも健康増進の機能を果たす、身体に関する病理学的知識と人間行動に関する知識との統合が必要、それは人びとの健康の増進と病む人の援助に活用、ケアリングの科学はキュアの科学と補完し合う、⑦ケアリングは看護の本質である。主要概念として、ケア因子、ヒューマンケア、トランスパーソナルがある。

② ワトソンは人間について、看護者も患者も人間であり、一人の人間は人格を備えた存在、かけがえのない人間、心mind・肉体body・魂soulを宿した存在であると述べている。また、個人の各部分を集めても全体として1個の人間にいたらないし、各部の総和とは異なる存在(部分の寄せ集めではなくそれらの総和以上のもの=ゲシュタルト)と説明している。健康とは、心と身体と魂における統一と調和で、自分自身がとらえる自己と実際に経験している自己との間の一致度=健康の度合いとしている。環境とは、その人がいる時間と空間、「社会」あるいは「世界world」としている。看護とは、一個の人間が職業として行うヒューマンケアのサイエンス・美学・倫理の部分によって解決されるもので、人間の健康-不健康という経験および一個の人間に関する人間科学として定義している。つまり、ヒューマンケアの理念を理論・実践・研究のなかで展開していくことによって人類や社会に対して社会的に道徳的に科学的に貢献できるもの、健康を増進し、不健康を予防し、病人をケアし、健康を回復することにかかわることとしている。
③ ケア因子とは、ケアリングの核となる因子である。10因子からなる。
①人道主義的—利他的な価値観の形成、②誠心誠意—希望の吹き入れ、③自己および他者に対する感受性の育成、④援助—信頼関係の発展、⑤肯定的感情と否定的感情の表出の促進と受容、⑥意思決定への科学的問題解決法の体系的活用、⑦対人的教授—学習の促進、⑧支持的、保護的、強制的な精神的・身体的・社会文化的環境およびスピリチュアル環境の提供、⑨ニード充足に関しての援助、⑩実存的—現象学的な力の認識である。
これらの因子は、ケアリングの哲学的基盤を形成し、また専門職としての価値観を示す。さらには現象や実存を理解する内容である。

④ ワトソンは現象野phenomenal fieldという言葉を示している。個人の経験世界は一つの「現象野」をもたらす本人のみが把握できる、個人的で主観的な世界であると説明している。人が様々な状況で感じたり、対応したりするのは、その人の主観的な現象野によって左右される述べ、他者は共感により推測することしかできないと述べている。
ワトソンは人間や看護を宇宙のなかでとらえており、看護は人の心・肉体・魂の統合に働きかけるとしている。また、人と人とのトランスパーソナルといった精神性や、自己、他者、自然、宇宙が相互にハーモニーをなすことを説明している。さらに、トランスパーソナルな関係性については、ケアリング理論の土台は「トランスパーソナル・ケアリング」であるとし、「トランスパーソナル・ケアリング・ヒーリング」(意識、エネルギー、自由な意思、ケアリング、真実性が前提)という概念や、ケア因子から「クリニカル・カリタス・プロセス」へ進化し続けている。

キーワード ① ケアリング ② ケア因子 ③ トランスパーソナル ④ トランスパーソナル・ケアリング・ヒーリング ⑤ ワトソン
コマの展開方法 社会人講師 AL ICT PowerPoint・Keynote 教科書
コマ用オリジナル配布資料 コマ用プリント配布資料 その他 該当なし
小テスト 「小テスト」については、毎回の授業終了時、manaba上において5問以上の、当該コマの小テスト(難易度表示付き)を実施します。
復習・予習課題 予習:指定されたテキストのP144-146を熟読する。
復習:指定されたテキストP144-146を熟読する。また、配布した「看護学原論」のノートの第7回の内容を確認する。ワトソンの重要なキーワードを再度確認すること。ワトソンの人間・環境・健康・看護をまとめておくこと。また、「ワトソン 看護論~ヒューマンケアリングの科学~」(著:ジーン・ワトソン、訳:稲岡文昭ほか)を読むことをすすめる。

8 看護理論(ヘンダーソン) 科目の中での位置付け 看護学原論では、看護学の初学者が「看護とは何か」「看護の機能・役割」の概要を学ぶ。「看護とは何か」この問いに答えるために、看護師たちは長い間、自らに問うと同時に研究と論議を重ねてきた。看護が専門職として、社会に求められている責任を果たすためには、看護の本質を探究し、看護の目的や役割、機能を明らかにすることが重要だからである。フローレンス・ナイチンゲールが「看護覚え書き 本当の看護とそうでない看護」において看護とは何かを問いかけて以来、看護の学問的な発展と同時に看護理論が発展してきた。看護理論とは、看護の中にみられる現象に名前をつけたり、その現象を説明したり、あるいは他の減少との関連を説明するものである。看護理論は、事象の本質を解明できるような要素や特徴を明確にするもので、重要であるものとないものを区別できる。ヘンダーソンは、「看護の基本となる者」において、人間には基本的欲求があることを主張している。看護を学ぶ者として、また根拠ある看護を実践するためにも、看護理論を学ぶことは必要である。このコマではヘンダーソンの14の基本的欲求をとおして、看護を考える。ここでは4回目に学んだマズローのニード論と合わせてに人間のニード(欲求)について理解を深める。
看護の基本となるもの、ヴァージニア・ヘンダーソン著、湯槇ます他訳、日本看護協会出版会
テキスト:ナーシンググラフィカ 看護学概論 P133-135
配布する看護学原論ノート 第8回目
コマ主題細目 ① ヘンダーソンの考える人間・環境・健康・看護 ② 14の基本的欲求(ニード) ③ 基本的欲求と看護
細目レベル ① ヘンダーソンは人間とは、14の基本ニードをもつもの、患者はニードの充足にむけて自立を獲得するために援助を必要とする個人であると述べている。健康を、基本的ニードを充足するだけの体力・意志力・知識を持っている状態であり、ニードを充足するための行動が他者の援助をかりなくてもできる状態としている。環境は、基本的ニードに影響を及ぼす条件や、ニードを補充する能力に影響を与えるものとしている。看護とは第一義的に、人々が(病気であれ、健康であれ)自分の健康あるいは健康の回復(あるいは平和な死)のための各種の行動、それらはもしもその人々が必要なだけの体力、意志力あるいは知識をもっていれば援助なしにすることができるである様な行動なのであるが、それらを遂行するのを助けることであり、人々が出来るだけ早い時期にそのような援助に依存しないですむようになるのを助けるのも看護独自の寄与であると説明している。
② 14の基本的ニードは、① 正常に呼吸する、② 適切に飲食する、③ 身体の老廃物を排泄する、④ 移動する、好ましい肢位を保持する、⑤ 眠る、休息する、⑥ 適当な衣類を選び、着たり脱いだりする、⑦ 衣類の調節と環境の調整により、体温を正常範囲に保持する、⑧ 身体を清潔に保ち、身だしなみを整え、皮膚を保護する、⑨ 環境の危険因子を避け、また、他者を傷害しない、⑩ 他者とのコミュニケーションを持ち、情動、ニード、恐怖、意見などを表出する、⑪ 自分の信仰に従って礼拝する、⑫ 達成感のあるような形で仕事をする、⑬ 遊び、あるいはさまざまな種類の レクリエーションに参加する、⑭“正常”発達および健康を導くような学習をし、発見をし、あるいは好奇心を満足させると述べている。
③ 基本的ニードには、影響を及ぼす常在条件、基本的ニードを変容させる病理的状態が影響を及ぼす。ヘンダーソンは、「看護婦は欠けたるところの担い手」と述べ、その人に体力、意志力あるいは知識が不足しているために、日常の生活体として、また医師による治療を受けていく上で援助を要する、その援助が看護であることや、役割分担の進んだ科学的理論的保健医療の場で、不在、分担のはっきりしない仕事に対してもギャップを埋める働きが必要であること、患者の代弁者となり他のチーム員と患者とのつながりを補強すること、各チーム員が分担した役割を果たしやすいようチーム員相互間の協調を図ることを説明している。また、患者の“皮膚の内側に入り込む”と表現し、コミュニケーションスキルの重要性も述べている。これらの考え方は今後の多職種連携での看護の役割にも繋がっていることを学ぶ。


④ マズローのニード論とヘンダーソンの基本的欲求について、同時に確認することで、マズローのニード論を詳細に示したものがヘンダーソンの14の基本的欲求であること、また先に学んだオレムの理論とも共通する内容があることを確認する。これらの学習により、理論家によって表現が異なるが、看護の対象である「人間」を捉える視点が大きく異ならないことを認識する。さらにナイチンゲールのクリミア戦争において実施した内容と重ねて、人間の欲求を満たすこととが看護であることを理論と結びつけて考える。
キーワード ① 看護の機能 ② 看護の基本となるもの ③ 基本的14のニード ④ ヘンダーソン ⑤ 皮膚の内側に入り込む
コマの展開方法 社会人講師 AL ICT PowerPoint・Keynote 教科書
コマ用オリジナル配布資料 コマ用プリント配布資料 その他 該当なし
小テスト 「小テスト」については、毎回の授業終了時、manaba上において5問以上の、当該コマの小テスト(難易度表示付き)を実施します。
復習・予習課題 予習:指定されたテキストのP133-135を熟読する。また講義までに、ヴァージニア・ヘンダーソンの「看護の基本となるもの」を完読する。
復習:指定されたテキストP133-135を熟読する。また、配布した「看護学原論」のノートの第8回の内容を確認する。ヘンダーソンの14の基本的欲求を暗記すること。また、オレムのセルフケア要件と比較し、共通点をまとめる。また、再度「看護の基本となるもの」を熟読し、理解をふかめる。

9 看護倫理の意義と目的 科目の中での位置付け 看護学原論では、看護学の初学者が「看護とは何か」「看護の機能・役割」の概要を学ぶ。看護師は国家資格を要する専門的職業であり、看護実践には科学的な知識と根拠に基づく技術、そして実践家としての態度が求められる。実践家としての態度において重要なのは、知識・技術をどのように使い、看護の実践をどのように使うべきかという「看護の倫理」である。本科目では、倫理学の基本的な考え方にはじまり、看護倫理の基礎、今日的な臨床における倫理的問題を取り上げ、さまざまな観点から倫理的問題への実践的なアプローチ方法を学び、事例分析と、「看護倫理」を体系的に学習できるよう8コマで構築している。本コマ(第1回)は、その後の授業を進めていくうえで基盤となるものである。具体的には、感性と倫理・道徳について考え、看護倫理の意義・目的について考察する。さらに看護倫理教育の歴史的変遷について理解し、看護倫理の重要性について理解を深める。また現代医療における倫理的問題について事例を提示し、倫理的感性を養うことを目的とする。
①ナーシング・グラフィカ基礎看護学①看護学概論:志自岐康子他編著、メディカ出版、
②2020年版看護者の基本的責務 定義・概念/基本法/倫理、日本看護協会監修、日本看護協会出版会
③講義PP資料
コマ主題細目 ① 看護倫理の意義と目的 ② 看護倫理教育の歴史 ③ 臨床倫理問題
細目レベル ① 倫理とは、地域や時代によって違いがある.また倫理というのはあらかじめ決まった答えが用意されているものではない.結果だけに着目するのではなく,プロセスが重要である。そこに倫理のむずかしさ、面白さがある.同じ医学的事実を共有したとしても、それをとらえる価値観が異なれば、医療従事者や患者・家族の間で治療上の判断が分かれる事態も起こり得る。臨床における倫理問題とは、こうした価値観の対立から生じる治療決定上の問題の事であることを、トロッコ問題や羅生門、また実際の事例から理解していく。臨床倫理問題の増加とその原因についても、医療技術の進歩、患者の家族形態の変化や高齢化、医療政策の転換という側面から考察する。
② 看護倫理教育の歴史は、昭和26年から42年まで連合国軍最高司令官総司令部(GHQ)の指導の下、専門職業教育としての教育内容の充実、看護従事者の質的向上、看護業務の重要性を認識し看護の主体的独立を目指すことなど、看護全般の改革方針が示され、日本の新しい看護教育が始まった時であったにもかかわらず、依然として、従来通りの医学診療モデル構成が保たれ、美徳中心の職業倫理教育であった。その後、今までの看護倫理教育は、民主主義の普及と看護教育の発展のなかで敬遠されるようになり、生命倫理学の普及により1980年代後半から、臨床現場で遭遇する倫理的問題(ジレンマ)を解決するための知識、つまり倫理的意思決定能力が看護基礎教育で求められるようになったことを押さえる。
③ 現在の救急医療現場の倫理的問題として、一旦治療が開始になると途中で中止にすることはできない?はじめから治療はしない?といった課題を、和歌山県立医大病院紀北分院で人工呼吸器を外された患者が死亡し、県警が殺人容疑で当時助教授だった50代の男性医師を書類送検した事件を紹介し考えを深めていく。さらに、リビングーウィルとは、 自分が不治の病や末期になった時のために,無意味な延命処置を断り,自然死を迎えるために,あらかじめ書いておく宣言書・またはそれを記録した遺言書.であり、事前指示(アドバンス‐ディレクティブ)とは、ある患者あるいは健常人が,将来自らが判断能力を失った際に,自分に行われる医療行為に対する意向を前もって意思表示することである。この二つの概念について押さえていく。
キーワード ① 看護倫理 ② 倫理的意思決定能力 ③ リビングウィル ④ ジレンマ ⑤ 職業倫理
コマの展開方法 社会人講師 AL ICT PowerPoint・Keynote 教科書
コマ用オリジナル配布資料 コマ用プリント配布資料 その他 該当なし
小テスト 「小テスト」については、毎回の授業終了時、manaba上において5問以上の、当該コマの小テスト(難易度表示付き)を実施します。
復習・予習課題 予習として生命倫理を1年時に選択で修得した学生は生命倫理で学んだ内容を本講義前に再度確認をしておく。高校で倫理を選択した学生は、倫理で学んだ内容を本講義前に再度確認をしておく。特に「倫理」「道徳」「法」の定義について説明ができることが望ましい。またすべての学生に共通としてナーシング・グラフィカ基礎看護学第6章を熟読して授業に臨む。
復習として、「倫理」「臨床倫理」「看護倫理」について共通点と違いについて説明ができることが必要である。また看護実践と倫理性について看護の専門性と技術の観点から考えることが必要である。歴史的に重要な出来事や事件と関連付けて看護師の意識や倫理観の変化について復習をする。復習としては授業で配布した資料を中心にナーシング・グラフィカ基礎看護学第6章を読み直しておくこと。

10 看護者の倫理綱領・倫理原則 科目の中での位置付け 看護学原論では、看護学の初学者が「看護とは何か」「看護の機能・役割」の概要を学ぶ。看護師は国家資格を要する専門的職業であり、看護実践には科学的な知識と根拠に基づく技術、そして実践家としての態度が求められる。実践家としての態度において重要なのは、知識・技術をどのように使い、看護の実践をどのように使うべきかという「看護の倫理」である。本科目では、倫理学の基本的な考え方にはじまり、看護倫理の基礎、今日的な臨床における倫理的問題を取り上げ、さまざまな観点から倫理的問題への実践的なアプローチ方法を学び、事例分析と、「看護倫理」を体系的に学習できるよう8コマで構築している。本コマ(第2回)は、倫理的な意思決定や倫理的行動を導くための基礎的知識として、1988年日本看護協会から出された「看護者の倫理綱領」とサラ・フライS.T.Fryらによって示された「看護の倫理原則」について具体的な事例を基に押さえる。特に「守秘義務」「個人情報保護」「患者の権利とインフォームドコンセント」については詳しく説明を加えていく
・看護者の基本的責務/日本看護協会出版会 第1条~15条
・講義資料PP
コマ主題細目 ① 看護者の倫理綱領   ② 患者の権利 ③ 守秘義務 ④ 倫理原則
細目レベル ① 人々は、人間としての尊厳を維持し、健康で幸福であることを願っている。看護は、このような人間の普遍的なニーズに応え、 人々の健康な生活の実現に貢献することを使命としている。看護は、あらゆる年代の個人、家族、集団、地域社会を対象とし、健康の保持増進、疾病の予防、健康の回復、苦痛の緩和を行い、 生涯を通してその最期まで、その人らしく生を全うできるように援助を行うことを目的としている。看護者は、看護職の免許によって看護を実践する権限を与えられた者であり、その社会的な責務を果たすため、 看護の実践にあたっては、人々の生きる権利、尊厳を保つ権利、敬意のこもった看護を受ける権利、平等な看護を 受ける権利などの人権を尊重することが求められることを押さえる。
② 看護者の倫理綱領第4条「看護者は、人々の知る権利及び自己決定の権利を尊重し、その権利を擁護する」つまり、患者の権利の重要性についてであり、基盤に告知やインフォームドコンセントのことが含まれる。患者の権利については、「ニュルンベルク綱領」「ヘルシンキ宣言」といったわが国における負の歴史についても触れる。また、患者本人が自らのもつ価値観に基づいて下す決断の基盤となるものがインフォームドコンセントであることを理解する。インフォームドコンセントとは、医療者から十分な説明を聞き、患者が理解・納得・同意して自分の治療法を選択することである。患者の年齢や判断能力に十分留意し、看護師は患者の望ましい自己決定を支援することが重要であることを押さえる。
③ 守秘義務とは、患者の情報を管理する主体は患者にある.診療上知り得た情報は,患者の個人情報であるためむやみに口外することは禁じることである。患者の死後や退職後に漏らしても罰せられる。ただし、守秘義務の解除として、1.法令に基づく場合(国の統計調査,感染症,届け出疾患,犯罪捜査照会等)2.本人の同意を得ることが困難な場合、3.患者が重大な危害にさらされている可能性が高い場合、以上3点について押さえ、職業倫理について考察を深める。さらに、患者側は自分自身についての情報をコントロールする権利を持っており,これを認めたのが個人情報保護イコールプライバシー権に基づくものであることを押さえる。
④ 臨床現場において、看護職員と看護ケアや治療の方針を決定する際に、釈然としない思い、いわゆるジレンマを抱くことがある。これは、看護を提供する人それぞれに異なった思考が存在するために起こるものである。さまざまな思考が存在することで、看護実施における困惑が生じ、患者に適切な看護・医療を提供できなくなってしまうため、看護を提供する者すべてに共通する概念として、サラTフライの倫理原則を用いて判断のよりどころとしている。「自律尊重原則」「善行原則」「無危害原則」「正義原則」の4つの原則に加え、医療専門職に課せられた義務や規則の基礎となる「誠実の原則」「忠誠の原則」(以下、統合)の2つの原則があることを押さえる。
キーワード ① 看護者の倫理綱領 ② 患者の権利 ③ 個人情報 ④ 守秘義務 ⑤ 倫理原則
コマの展開方法 社会人講師 AL ICT PowerPoint・Keynote 教科書
コマ用オリジナル配布資料 コマ用プリント配布資料 その他 該当なし
小テスト 「小テスト」については、毎回の授業終了時、manaba上において5問以上の、当該コマの小テスト(難易度表示付き)を実施します。
復習・予習課題 予習として、日本看護協会会出版会の「看護者の倫理綱領」前文および条文1~15条を熟読する。また1年時に習った「看護学概論」の中の2回分「看護倫理」に関する講義資料を読み返して授業に臨むこと。
復習として、「看護者の倫理綱領」1~15条の内容とサラ・フライS.T.Fryらによって示された「看護の倫理原則」、善行と無害、正義、自律、忠誠、誠実についてそれらの定義と看護における意味について理解する。なかでも「守秘義務」「個人情報保護」「患者の権利とインフォームドコンセント」については大変重要な概念であるため、十分理解し説明ができるようにしておくこと。

11 看護のメタパラダイム(人間・環境・健康・看護) 科目の中での位置付け 看護学原論では、看護学の初学者が「看護とは何か」「看護の機能・役割」の概要を学ぶ。「看護とは何か」この問いに答えるために、看護師たちは長い間、自らに問うと同時に研究と論議を重ねてきた。看護が専門職として、社会に求められている責任を果たすためには、看護の本質を探究し、看護の目的や役割、機能を明らかにすることが重要だからである。看護を学ぶ者として、また根拠ある看護を実践するためにも、看護理論を学ぶことは必要である。すでに、フローレンス・ナイチンゲール、ドロセア・オレム、ジーン・ワトソン、ヴァージニア・ヘンダーソンなど主要な理論家の看護理論を学習した。このコマでは、それらの理論をふまえて、看護のメタパラダイムである人間・健康・環境・看護について学ぶ。人間については看護理論家のみならず、心理学等からも捉えて多角的に看護の対象である人間を考える。健康については、世界保健機構(WHO)の定義などから学ぶ。環境については、看護における環境という視点だけではなく、地球規模での環境にも目を向けて考える。このコマでは今まで学んだ看護の歴史・看護理論をまとめることで、「私が考える看護」についてを言語化する位置づけである。
テキスト:ナーシンググラフィカ 看護学概論 P96-110,112-124
看護者の基本的責務 P2,38-11
配布する看護学原論ノート 第11回目
コマ主題細目 ① 看護の対象である人間 ② 環境 ③ 健康 ④ 看護
細目レベル ① 看護の対象である人間は、個人であり、①長・発達し続ける存在としての人間、②生活の主体としての人間である。統合体としての人間には成長発達がある。ハヴィ・ガーストは、児期から、老年期までそれぞれの時期に達成すべき課題(発達課題)があることや、ほとんどの発達課題は、それを学習するのに特定の時期がある。十分成熟したときが教育の適時であると述べている。エリク・エリクソンは発達段階には8つの段階 (1:乳児期、2:幼児期、3:児童期、4:学童期、5:思春期・青年期、6:成人期、7:壮年期、8:老年期)があると述べている。また、パウル・バルテスは、ヒトは生まれてから死ぬまで発達し続ける存在であると述べている。人間は、様々な欲求がある。
② 環境について、ヘンダーソンは、「基本的ニードに影響を及ぼす条件や、ニードを補充する能力に影響を与えるもの」と述べ、ワトソンは、その人がいる時間と空間、「社会」あるいは「世界world」であると述べている。ナイチンゲールは、人間の生命は「生活」のありようにより健康にも不健康にもなる。生命は生活により支えられ、影響を受けると述べている。さらに松木は、人は環境の中で、たえず成長・発達・変化している身体的・精神的・社会的統合体である。環境は物理的・化学的・生物的環境、および人的・社会的環境を含むが、別の視点に立てば外的環境と内的環境の両方を含むと説明している。国際人間環境会議(ストックホルムにて)が1972年6月5日に開催され、以降6月5日は、世界環境デーと制定されている。日本では平成5年に環境基本法が制定された。
③ 世界保健機構(WHO)はHealth is a state of complete physical, mental and social well-being and not merely the absence of disease or infirmity.と述べ、完全な肉体的、精神的及び社会的福祉の状態であり、単に疾病又は病弱の存在しないことではないと健康を定義している。オタワ憲章により、人びとが自らの健康とその決定要因をコントロールし、改善することができるようにするプロセスをヘルスプロモーションと定義された。ヘルスプロモーションには、健康な公共政策づくり、健康を支援する環境づくり、地域活動の強化、個人技術の開発、ヘルスサービスの方向転換が含まれる。また健康の条件として、1.平和、2.住居、3.教育、4.食糧、5.収入6.安定した環境、7.持続可能な資源、8.社会的公正と公平が基本であることが明示された。
④ オレムは「人々は、自分たちで自分たちの世話をすることができる。病気や怪我により自分たちで世話ができなくなったとき、代わりに世話をするのが看護である」と述べ、ヘンダーソンは「「看護とは第一義的に、人々が(病気であれ、健康であれ)自分の健康あるいは健康の回復(あるいは平和な死)のための各種の行動、それらはもしもその人々が必要なだけの体力、意志力あるいは知識をもっていれば援助なしにすることができるである様な行動なのであるが、それらを遂行するのを助けることである。加えて、人々が出来るだけ早い時期にそのような援助に依存しないですむようになるのを助けるのも看護独自の寄与である。」と看護の基本となるもので説明している。ナイチンゲールは「看護とは、新鮮な空気、陽光、暖かさ、清潔さ、静けさなどを適切に整え、これらを活かして用いること、また食事内容を適切に選択し適切に与えること、—こういったすべてのことを患者の生命力の消耗を最小にするように整えること、を意味すべきである」と述べている。それぞれに共通する点がある。
キーワード ① 人間 ② 環境 ③ 健康 ④ 看護 ⑤ WHO
コマの展開方法 社会人講師 AL ICT PowerPoint・Keynote 教科書
コマ用オリジナル配布資料 コマ用プリント配布資料 その他 該当なし
小テスト 「小テスト」については、毎回の授業終了時、manaba上において5問以上の、当該コマの小テスト(難易度表示付き)を実施します。
復習・予習課題 予習:指定されたテキストのP96-110,112-124を熟読する。看護者の基本的責務のP2,38-11を熟読する。
復習:指定されたテキストのP96-110,112-124を熟読する。看護者の基本的責務のP2,38-11を熟読する。また、配布した「看護学原論」のノートの第11回の内容を確認する。またWHOの健康の定義をひとおり確認し、重要なフレーズは暗記する。各理論家のメタパラダイムを再度まとめておく。

12 看護を取り巻く法 科目の中での位置付け 看護学原論では、看護学の初学者が「看護とは何か」「看護の機能・役割」の概要を学ぶ。日常生活において「法」を強く意識することは少ない。しかし、私たちの社会生活においては「法」で守られている。国家試験に合格し、国家資格としての看護師として業務を実践するにあたっては、「法」を意識することが求められる。このコマにおいては、私たちの看護行為のもとになる保健師助産師看護師法や、医師法など、保健医療福祉をとりまく法について広く学ぶ。さらに看護を取り巻く環境の変化に基づき、改正された法や解釈についても学ぶ。また、看護を実践するなかで遭遇する医療事故について、その種類や法的責任などを学修し、安全管理が徹底されるようにどうしたらよいのかを考える機会とする。さらに看護実践において保健師助産師看護師法を基盤とした他に定められている法律についても学修する。法が看護実践を規定し、また看護実践を正しい方向へ導くものであることを知り、さらに看護実践において看護師を守る賠償保険制度についても正しい知識を得るために学ぶ。このコマでは「看護の役割と機能」を正しく理解するために、関連法規の視点から学ぶ。ここでの学びは「生活援助方法」「診療援助方法」に大きく関わる。
テキスト:ナーシンググラフィカ 看護学概論 のP206-234
新版看護職者の基本的責務 定義・概念・基本法・倫理、日本看護協会出版会  P12-29
配布する看護学原論ノート 第12回
コマ主題細目 ① 看護を取り巻く法と保健師助産師看護師法 ② 保健師助産師看護師法 ③ 看護師の業務と医療行為 ④ 看護実践と守秘義務、看護師の人材確保の促進に関する法律 ⑤ 医療事故・医療過誤、インシデント・アクシデントと法的責任
細目レベル ① 日本の法律は、公法、民事法、社会法 (労働法:労働基準、労使関係、雇用政策、労働福祉、社会保障・厚生法編:保健師助産師看護師法)、産業法がある。看護をとりまく法としては、医事関係法、規保健予防関係法規、薬事関係法規、社会福祉関係法規、医療保険・介護保険・労働関係法規、環境衛生関係法規、そして保健師助産師看護師法、看護師等の人材確保に関する法律がある。保健師助産師看護師法は、昭和23年(1948)7月に制定され公布され、看護職の「教育」「国家試験」「免許」「業務」等について規定している。これは、戦後GHQによる日本の保健医療行政全般の改革の一つで、看護業務を看護職の「業務独占」とし業務範囲を遵守する義務規定がなされている。これまでに22回法改正されており、ここ数年に大きな変更があった。
② 看護の定義として、保健師は「厚生労働大臣の免許を受けて、保健師の名称を用いて、保健指導に従事することを業とする者」(第2条)、助産師は「厚生労働大臣の免許を受けて、助産または妊婦、じょく婦若しくは新生児の保健指導を行うことを業とする者」(第3条)、看護師は「厚生労働大臣の免許を受けて、傷病者若しくはじょく婦に対する療養上の世話又は診療の補助を行うことを業とする者」(第5条)、准看護師は「都道府県知事の免許を受けて、医師、歯科医師又は看護師の指示を受けて」(第6条)、第5条に規定されていることを行うことを業とする者とされている。看護師になるためには、国家試験に合格し厚生労働大臣の免許を受ける。「(相対的)欠格事由」に該当する場合は、免許が与えられない場合がある。また第33条に、業務従事者届として、看護職員は2年に1回就業状況を各都道府県知事に届けることが義務付けられている。
③ 看護師の業務は看護師でなければ当該業務を実施してはならないという看護業務の独占=「業務独占」がある。助産師の業務は、准看護師・助産師以外のものが業務に携わることを禁止されている。保健師以外のものが、その名称またはそれに紛らわしい名称を使用して、保健師の業務をすることを禁止=「名称独占」という。しかし、2006年には看護師・助産師・准看護師も名称独占も規定された。看護師の業務は、療養上の世話と診療の補助である。医療行為には、絶対的医行為と相対的医行為がある。絶対的医行為については、看護師は絶対にしてはいけない。相対的医行為は診療の補助など、医師の指示のもとに行うことができる医行為である。看護行為は絶対的看護行為である。
④ 保健師助産師看護師法に守秘義務があり、これは看護師の「倫理綱領」にも規定されている。保助看法 「保健師、看護師又は准看護師は正当な理由なくその業務上知りえた秘密を漏らしてはいけない。保健師、看護師または准看護師でなくなった後においても同様とする」(第42条の2)とある。刑法134条(秘密漏示)では「医師、薬剤師、医薬品販売業者、助産師、弁護士、弁護人、公証人又はこれらの職にあった者」について、正当な理由がないのに、その業務上取り扱ったことについて知り得た人の秘密を漏らしたときは、6月以下の懲役又は10万円以下の罰金に処するとある。看護実践においては保助看法が基盤そのほかに別途法律があり、看護師等の人材確保の促進に関する法律では看護師等の確保を促進するために、人材確保の基本方針、国および地方公共団体の責務、ナースセンター設置、卒後臨床研修の努力義務などがある。
⑤ 医療事故(有害事象)とは、疾病そのものではなく医療を通じて患者に発生した傷害(an unintended injury caused by medical management rather than by the disease process)を意味し、合併症、偶発症、不可抗力によるものも含む。医療事故は「過失によるもの」と「過失によらないもの」に大別され、前者が医療事故防止の対象となる。医療過誤とは、「患者さんに傷害があること(injury)」「医療行為に過失があること(negligence)」「患者さんの傷害と過失との間に因果関係があること(causal relationship)」の3要件が揃った事態で、「過失によって発生した医療事故」と表現した場合には、医療過誤と同じ意味である。インシデントとは、本来のあるべき姿からはずれた行為や事態の発生のことであり、患者だけではなく訪問者や医療従事者に、傷害の発生した事例や傷害をもたらす可能性があったと考えられる状況も含み、エラーや過失の有無を問わない。「患者さんに傷害の発生しなかったもの」および 「発生したもの」の両方を含む。アクシデントとは、適切な処理がされないと障害を引き起こし事故となるものである。看護師の法的責任には、民事上の責任(民事責任)、刑事上の責任(刑事責任)、行政上の責任(行政処分)がある。
キーワード ① 保健師助産師看護師法 ② 医行為と看護行為 ③ 守秘義務 ④ 医療事故 ⑤ 法的責任
コマの展開方法 社会人講師 AL ICT PowerPoint・Keynote 教科書
コマ用オリジナル配布資料 コマ用プリント配布資料 その他 該当なし
小テスト 「小テスト」については、毎回の授業終了時、manaba上において5問以上の、当該コマの小テスト(難易度表示付き)を実施します。
復習・予習課題 予習:指定されたテキストのP206-234を熟読する。看護者の基本的責務のP12-29を熟読する。
復習:指定されたテキストのP206-234を熟読する。看護者の基本的責務の12-29を熟読する。また、配布した「看護学原論」のノートの第12回の内容を確認する。医療事故・医療過誤、インシデント・アクシデントを説明できるようにまとめておく。絶対的看護行為、相対的医行為、絶対的医行為の区別を整理する。

13 クリティカルシンキング 科目の中での位置付け 看護学原論では、看護学の初学者が「看護とは何か」「看護の機能・役割」の概要を学ぶ。看護において、必要な考え方として、クリティカル・シンキングがある。これは全ての看護の基盤となる思考スタイルである。このクリティカル・シンキングとはどのような思考なのかを学び、その思考スタイルを習慣化できるための基礎的な知識を学習する。クリティカルであるものとノンクリティカルであるものを比較しながら、クリティカル・シンキングの実際を学日、クリティカル・シンカーとしての要素を学ぶ。さらに看護の原理となる看護過程とは何かを学ぶ。具体的な看護過程の展開技術については2年次の「看護過程」の科目で学ぶ。今後生活援助方法論など全ての看護学を正しく理解するためには、考え方の基盤となる看護過程について5ステップから理解する必要性がある。またなぜ看護過程を活用するのかを理解する。クリティカル・シンキングと看護過程という全ての看護の基盤の概要をこのコマでは学ぶ。「看護とは何か」を様々な看護理論家の考えを学びながら考えを積み重ねてきた。その積み重ねで得た看護とは何かという考えを元に、ここで学ぶ看護過程も展開される。看護が専門職として、社会に求められている責任を果たすためには、看護の本質を探究し、看護の目的や役割、機能を理解した上で看護過程の展開をすることがらか重要であるということを学ぶ。このコマでの学びが次のコマにも関連し、さらには「看護過程」やこれからの各看護学の科目に関連する
テキスト:ナーシンググラフィカ 看護学概論  P202,198-204
配布する看護学原論ノート 第13回
コマ主題細目 ① クリティカル・シンキング ② 看護とクリティカル・シンキング ③ 看護過程
細目レベル ① クリティカル・シンキングとは、自分の周りにいる人のことや身近な問題について正確に理解し、自分の力で考え適切な判断ができる技術である。クリティカル・シンキングは「ものを考える」ということであり、看護において必要な考え方である。クリティカル・シンキングの5つの基本となる思考方法があり、①想起,②習性,③探究,④新しい発想と創造,⑤自己の思考方法である。また看護における思考のスタイルとしてTHINKがある。Total recall(全面的な想起)、Habit(習慣)、Inquiry(吟味)、New and creativity (新しいアイディアと創造性)、Knowing how you think(自分がどのようにして考えているのか知る)がある。
② 看護におけるクリティカル・シンキングを促進させる能力と行動として、情意領域の指標(クリティカル・シンキングの特性・態度を示す行動)、知識領域の指標(理論・経験)知的技能領域の指標(技術すなわち知的能力を示す行動)、対人関係スキルがある。そして、看護におけるクリティカル・シンキングでは、①目的あるいは成果志向(結果志向)的に考える、②患者・家族・地域のニーズに動機付けられる、③看護過程と科学的方法の原理に基づく、④知識や技術、経験が必要、⑤職業基準と倫理規約により導かれる、⑥人間の可能性を最大限に活用する、⑦常に再評価、自己修正、改善の努力を要すなどがある。そのため、クリティカル・シンカーになるべく努力が必要である。
③ 看護過程とは、Nursing Processであり、5つの相互に関連し合うステップによる系統的でダイナミックな看護ケアの問題解決法である。看護過程は、看護ケアの能力のレベルを高めるクリティカル・シンキングのモデルとして役立つ。ANAは看護過程は意思決定の基礎となり、それには看護師が行う重要な行為すべてが含まれると述べ、看護過程の原理は、あらゆるケアモデルの根底をなす。看護過程のステップは、①アセスメント、②診断、③計画、④実施、⑤評価である。看護過程を学ぶ理由としては、情報を安全に使用できる看護師となるため、行為中心から思考中心の看護師となるため、クリティカルに思考する看護師となる(すなわち、成果中心の批判的思考)ためである。看護過程を用いることで7つの利点がある。
キーワード ① クリティカルシンキング ② THINK ③ 看護過程 ④ クリティカル・シンカー ⑤ エビデンス
コマの展開方法 社会人講師 AL ICT PowerPoint・Keynote 教科書
コマ用オリジナル配布資料 コマ用プリント配布資料 その他 該当なし
小テスト 「小テスト」については、毎回の授業終了時、manaba上において5問以上の、当該コマの小テスト(難易度表示付き)を実施します。
復習・予習課題 予習:指定されたテキストのP202,198-204を熟読する。
復習:指定されたテキストのP202,198-204を熟読する。また、配布した「看護学概原論」のノートの第13回の内容を確認する。クリティカル・シンキングの意味を再度確認する。また看護過程とは何か、看護過程の5ステップを説明できるようにまとめる。さらに学習を深めたい者は、Critical Thinking in Nursing: An Intractive Approach( M.Gaie Rubenfeld Babara K. Scheffer著、中木高夫ほか監訳、南江堂、1997)を勧める。

14 看護診断・看護成果・看護介入 科目の中での位置付け 看護学原論では、看護学の初学者が「看護とは何か」「看護の機能・役割」の概要を学ぶ。看護において、必要な考え方としてのクリティカル・シンキングと看護過程についての関係などは前回学習した。その内容をさらに深めて行く。看護の原理となる看護過程とのアセスメント、診断、計画、実施、評価の5つのステップについて、概要を具体的に学習する。特に、診断と成果、計画の関係性をNANDA-NIC-NOCなどを通して学ぶ。看護過程は全ての看護実践の根底となるものである。今後の看護学の学習においては、「看護過程」を基礎として学習し、その後、成人看護学、母性看護学、小児看護学、精神看護学、高齢者看護学、在宅看護論など全ての看護学に共通する考え方でもある。そのため基本的な事項をここでは学習する。
テキスト:ナーシンググラフィカ 看護学概論 P22-28,198-204
配布する看護学原論ノート 第14回
コマ主題細目 ① アセスメント ② 診断 ③ 計画 ④ 実施・評価
細目レベル ① 問題を解決する方法としての看護過程がある。ここでいう問題というのは、本来あるべき状態からそうでない状態となったときのギャップのことである。その問題を科学的に解決するために、問題そのものや、原因・要因、対処方法を明らかにするために看護過程がある。仮説検証の過程、十分に検討された問題と計画を、患者の情報に照らし合わせて評価する方法で、質の高い患者情報を収集しながら集めることも含まれる。5ステップの1つ目のアセスメントは、健康状態に関する情報を収集し、機能の異常、危険因子の有無患者の強みの手がかりとなる情報を入手する。身体的・心理的・社会的問題をもれなく観察するための見方としてアセスメントの枠組みがある。
② 診断は看護過程の中心である。顕在的・潜在的な健康問題・生活過程に対する個人、家族、地域の反応を臨床的に「看護師」が判断することである。看護診断によって、看護師は成果を達成するための看護介入を選択する根拠が得られる。データを分析し、実際にある問題や、起こるおそれのある問題と強みを特定する。問題に対し、データを集める、その時に集めるデータは、良いこと、悪いことの両方を観察し収集する。診断には、実際の問題、予測される問題、強みの特定と記録がある。この診断時に、クリティカル・シンキングが重要となる。診断のツールには、NANDA看護診断分類法Ⅱ、カルペニート看護診断分類などがある。
③ 計画において、看護師はクライエントに期待される個別の成果を特定する。また、看護師は期待される成果を達成する介入計画を立案する。計画時には、優先度の査定も行う。それは、優先順位の決定であり、ニード論を活用し、1位は生理的、2位は安全、3位は愛情と所属、4位は尊重、5位は自己実現である。成果の設定では、成果志向(患者中心)のケアプラン、問題リストを作成する。看護介入方法の決定においては、直接的介入と間接的介入を検討し、看護指示の決定として、リスクと利益をはかる。さらに、ケアプランの記録をする。ケアプラン全体の評価時には、クリティカル・シンキングを活用する。
④ 看護師はケアプランに示された介入方法を実施する。実施には、計画を実行に移す、申し送り、1日ごとの優先順位の査定、アセスメントと再アセスメント、反応のモニタリング、安全・安楽・効果を意識した看護介入実施、ケースマネジメント、倫理的・法的留意事項の遵守、計画の修正・記録が含まれる。実施後には、評価を行う。患者の健康状態と機能は期待される成果とどのように異なっているか、計画で設定した期待される成果を達成できた場合、患者がセルフケアを実践していける見込みがあるかを検討する。評価は、クリティカルな評価が求められ、質の高いヘルスケア提供の鍵となる。また、消費者(患者)満足度(価値の最大化)につながる。評価は、個別ケアプランの評価、アセスメント・診断の正確性、計画、実施の適切性、看護ケアの質向上についての継続的・系統的評価がなされる。
キーワード ① 看護過程 ② アセスメント ③ 看護診断 ④ 実施 ⑤ 評価
コマの展開方法 社会人講師 AL ICT PowerPoint・Keynote 教科書
コマ用オリジナル配布資料 コマ用プリント配布資料 その他 該当なし
小テスト 「小テスト」については、毎回の授業終了時、manaba上において5問以上の、当該コマの小テスト(難易度表示付き)を実施します。
復習・予習課題 予習:指定されたテキストのP22-28,198-204を熟読する。
復習:指定されたテキストのP22-28,198-204を熟読する。また、配布した「看護学原論」のノートの第14回の内容を確認する。看護過程の5つのステップをステップごとにまとめなおし、またマズローのニード論を再度確認しておく。

15 看護の役割と機能とは 科目の中での位置付け 看護学原論では、看護学の初学者が「看護とは何か」「看護の機能・役割」の概要を学ぶ。「看護とは何か」という問いについて、フローレンス・ナイチンゲール、ヴァージニア・ヘンダーソンをはじめとした看護理論家の考えや、保健師助産師看護師法など看護を取り巻く法の視点からなど様々な視点で学んできた。このコマでは、技術と技能の違いを確認した上で、看護実践時に活用される看護技術が技能ではなく、技術であるということを考え、また看護実践と看護業務とは何かを理解する。さらに看護専門職として看護学を生涯にわたり学ぶ必要があることを専門職の基準などを元に学習すし認識する。また看護の歴史的変遷を振り返り、過去を見つめることで、今日の看護の課題を考え、看護の未来を検討する。すなわち看護の過去・現在・未来を見つめ、考える。そして、これから看護学をさらに学ぶものとして、看護学概論Ⅰを学んだ今、初めて看護の実践現場に立つ基礎看護学実習Ⅰを目前にした今の時点での「看護とは何か」という看護観を自分の言葉で表現することを目指す。また、未来の看護として、AIやICTを活用した看護を考える。
テキスト:ナーシンググラフィカ 看護学概論 P55-67,318-325,326-335
新版看護職者の基本的責務 定義・概念・基本法・倫理、日本看護協会出版会 P12-22,23-27
配布する看護学原論ノート 第15回
コマ主題細目 ① 看護技術 ② 看護実践と看護業務 ③ 看護専門職としてのこれからの看護 ④ 看護の役割と機能 ⑤ 未来の看護(ICT,AI)
細目レベル ① まず技術と技能は異なるものである。看護技術とは、看護の専門知識に基づいて、対象の安全・安楽・自立をめざした目的意識的な直接行為であり、実施者の看護観と技術の修得レベルを反映すると日本看護科学学会は定義している。看護技術は、看護ケアの対象者が、安全で気持ちよく自分の力を発揮して生活できるように手助けするための手段であり、人と人との関係性のなかで実践されるため、実践する人の気持ち(看護観)が反映されるものである。基本的な看護技術には、1.コミュニケーションの技術、2.観察の技術、3.記録の技術、4.安全を守る技術、5.看護効率を高めるための技術、6.リハビリテーションの技術、7.患者指導の技術、8.死後のケアがある。
② 看護実践とは、看護職が対象に働きかける行為であり、看護業務の主要な部分を為すものである。その組織化を意味する看護管理や看護職の育成を意味する看護教育と比較すると看護そのものに近い用語である。看護業務とは、看護の提供者が主体で、「何を」「どのように」すべきかを提示することをいい、「看護実践」と比較すると「看護」を完治的な視点からとらえた様式や方法を示すものであり、看護倫理に基づいて実践される。看護業務はあらゆる健康レベルを対象としており、保健・医療・福祉の領域で展開される。看護実践の責務としては、①全ての看護実践は、看護職の倫理綱領に基づく②人の命および尊厳を尊重する立場にたって行動する、③安全で安心・信頼される看護を提供する、④チーム医療におけるメンバーの専門能力を理解し、恊働する、⑤専門職として、看護学生、看護職である後輩および同僚に学習資源を提供するとともに、役割モデルを示す。また看護実践のためには、看護業務基準や看護師の倫理綱領のほか、指針・ガイドラインがある。
③ 看護は専門職である。専門職とは、専門職は、①基本的に個人の大きな責任に伴う知的活動を含む、②常に学ぶべきである、③単に学問的、理論的であるばかりでなく その目的において極めて実務的であるという、④高度に専門化された教育訓練をとおして初めて伝達可能になる技術をもっている、⑤自分とともに業務に従事する者の注意をひきつけ、グループ意識を育てるような活動、職務、責任によって自らを形成していく、⑥組織化されない独立した個人よりも、公衆の利益に敏感である。したがって、社会の目標の達成により深い関心を抱いているといった基準がある。そして、看護の今日的課題として、1.安全で安心な医療・看護の提供、2.医療技術の進歩と高度医療における倫理的問題、3.患者の意識変化と医療への参加、4.変革期を迎える生活習慣病予防への取り組み、5.療養の場の拡大、6.多職種連携と、看護の専門性の発揮、7.災害時の取り組みがある。さらに今後は多職種連携や継続看護、退院調整などがキーワードとなっていく。
④ 未来の看護として、AIやICTを活用することにより医療・看護は大きな変化を遂げるであろう。実際にAIを活用した画像処理、スマートホスピタル構想、それらに伴う個人情報保護、アカウンタビリティー、など検討しなくてはいけない課題もある。実際に現在教員らが取り組んでいる研究などを紹介しながら、これらの技術を使うことができることはもちろん、これらをデザインすることも未来の看護には必要である。看護の歴史において大学での教育は進んできたが、医学・薬学・歯学教育では6年一貫性の教育である。今後看護教育においても、4年プラス2年の教育を推進することも必要であろう。
キーワード ① 看護技術 ② 看護実践 ③ 看護観 ④ 専門職 ⑤ ICTとAI
コマの展開方法 社会人講師 AL ICT PowerPoint・Keynote 教科書
コマ用オリジナル配布資料 コマ用プリント配布資料 その他 該当なし
小テスト 「小テスト」については、毎回の授業終了時、manaba上において5問以上の、当該コマの小テスト(難易度表示付き)を実施します。
復習・予習課題 予習:指定されたテキストのP P55-67,318-325,326-335を熟読する。多職種連携、チームアプローチ、チームカンファレンス、継続看護、地域連携クリティカルパス、退院調整の言葉を調べてまとめておく。
復習:指定されたテキストのP12-36、272-294を熟読する。また、配布した「看護学原論」のノートの第15回の内容を確認する。講義を終えた時点で考える「私の考える看護とは」を800文字程度にまとめて期限までに提出する。

履修判定指標
履修指標履修指標の水準キーワード配点関連回
看護の基本となる概念・定義を学ぶ ★ 「看護とは何か」「看護の役割・機能」を自分の言葉で述べることができる。また看護の定義について述べることができる。具体的には、フローレンス・ナイチンゲールや、ヴァージニア・ヘンダーソン、ドロセア・オレム、ジーン・ワトソンらの看護理論家や、日本看護協会、国際看護師協会、アメリカ看護師協会の示す看護の定義の理解を確認する。また看護のメタパラダイムが何か、そのメタパラダイムについて具体的に述べることができる。 看護の定義、看護の機能、看護の役割、看護の対象、看護のメタパラダイム 20 1.11.15
看護の変遷を学び、看護の今日的課題を考える ★ 護の歴史的変遷を時代の背景と合わせて述べることができる。歴史的変遷から看護が今日抱えている問題を明らかにし、看護の今後の課題について述べることができる。具体的には、諸外国と日本がどのような社会的背景のもと、看護が発展や衰退を繰り返し現在に至ったのかの概要が説明できること。特に日本の場合、どのような社会的背景で発展し、どのような背景で衰退したのか、さらに日本の近年の発展に伴う、機能・役割の拡大や今日的な課題などについて、法と合わせて説明できる。 諸外国の看護の歴史的変遷、日本の看護の歴史的変遷、看護の成り立ち、近年の看護、看護の今日的課題、 15 2.3.15.
根拠に基づいた看護実践の基盤となる主要な理論を学ぶ★★ 看護理論と、研究、実践の関係を理解し、主要な看護理論について述べることができる。具体的には、フローレンス・ナイチンゲール、ヴァージニア・ヘンダーソン、ドロセア・オレム、ジーン・ワトソンらの理論に関して、著書名、主要な概念、看護のメタパラダイムに関する考えなどを説明できることである。また、根拠に基づいた看護実践のためには看護理論のみならず、ニード論などの理論も必要となるため、マズローのニード論などはヴァージニア・ヘンダーソンの14の基本的欲求と合わせて説明できる。 看護理論、ニード論、看護のメタパラダイム、根拠に基づく看護、看護理論家 30 4.5.6.7.8.9
看護における倫理・取り巻く法について学ぶ ★★★ 看護における倫理について、患者の権利と擁護、倫理綱領など説明できる。保健師助産師看護師法の内容を述べることができる。看護倫理については倫理の原則が列挙できることや、倫理の必要性を述べることができる。また保健師助産師看護師法で定められている看護の役割や、免許、相対的欠格事由などが説明できる。看護行為と医療行為の違いや、医療事故・医療過誤・インシデント・アクシデントの説明ができる。医療事故の時の3つの責任、賠償保険などについても説明できる。 倫理綱領、患者の権利と擁護、保健師助産師看護師法、看護行為と医療行為、医療事故、 25 10.11.12
看護の基盤となる思考過程であるクリティカルシンキングと看護過程を学ぶ ★★ クリティカル・シンキングとは何かを説明できる。看護においてクリティカル・シンキングの思考スタイルがなぜ必要なのか、いつ必要なのかなどを説明できる。またクリティカル・シンキングとノンクリティカル・シンキングが区別できる。看護過程とは何か、そのステップを列挙し、ステップで行われることを正しく説明できる。なぜ看護過程が必要なのか説明できる。また看護過程のどのステップでクリティカル・シンキングが活用されるのかを説明することができる。 クリティカル・シンキング、看護過程、看護診断、思考スタイル、アセスメント 10 13.14
評価方法 期末試験100%(ただし、2回の課題レポートを期限内に提出することを前提条件とする)
評価基準 評語
    学習目標をほぼ完全に達成している・・・・・・・・・・・・・ S (100~90点)
    学習目標を相応に達成している・・・・・・・・・・・・・・・ A (89~80点)
    学習目標を相応に達成しているが不十分な点がある・・・・・・ B (79~70点)
    学習目標の最低限は満たしている・・・・・・・・・・・・・・ C (69~60点)
    学習目標の最低限を満たしていない・・・・・・・・・・・・・ D (60点未満)
教科書 ナーシング・グラフィカ基礎看護学①看護学概論(第7版):志自岐康子他編著、メディカ出版、3080円 最新版看護者の基本的責務 定義・概念/基本法/倫理、日本看護協会監修、日本看護協会出版会、2019,1210円、看護覚え書き書(新装版) 本当の看護とそうでない看護、フローレンス・ナイチンゲール(著)、小玉香津子他訳、日本看護協会出版会、2019,1650円、看護の基本となるもの、ヴァージニア・ヘンダーソン(著)、湯槇ます他訳、日本看護協会出版会、2018,1320円
参考文献 ワトソン看護論 ヒューマンケアリングの科学 ジーン・ワトソン著、稲岡文昭他訳、医学書院、2014、2916円 オレム看護論 看護実践における基本概念 ドロセアEオレム著、小野寺杜紀訳、医学書院、4536円
実験・実習・教材費