区分 専門科目-基礎看護学-地域・在宅看護学
ディプロマ・ポリシーとの関係
コミュニケーション能力 アセスメント能力 判断力
創造力 実践力 自己研鑽力
カリキュラム・ポリシーとの関係

カリキュラム全体の中でのこの科目の位置づけ

科目の目的
本科目の目的は、在宅看護に関連する諸概念と、在宅看護における理念と倫理を理解するとともに、在宅療養者と家族を理解するために、療養者の特徴と今日の動向、家族の特徴と変遷、対象者(療養者と家族)の発達課題について、社会・歴史的背景を踏まえて学修することで、在宅療養者と家族の望む生活を実現するための、日常生活援助や医療ケアの援助と看護師の役割、地域包括ケアシステムにおける多職種連携と在宅看護の役割について理解を深めることである。
到達目標
①在宅看護の概念と理念、関連する諸概念の理解と、在宅看護過程の概要が理解できる。②在宅看護の対象の特徴と地域包括ケアシステムにおける多職種連携の理解と看護師の役割、及び社会福祉サービス提供上の法的根拠の理解ができる。③療養者と家族の日常生活の特徴と援助技術、及び看護師の役割が理解できる。④医療依存度の高い療養者と家族の特徴と援助技術、及び看護師の役割が理解できる。⑤様々な状況(小児期、エンドステージ)にある対象の理解と在宅看護の特徴が理解できる。⑥災害発生時の在宅看護の援助内容と役割の理解ができる。
科目の概要
本科目では、在宅ケア、及び在宅看護の概念、及び理念と目的を理解するとともに、在宅看護学にて使用される重要概念についても理解を深め、在宅看護を構成する概念全体の理解を深める。さらに、在宅看護の対象者と家族における世界と我が国の社会的背景と、我が国における社会資源、地域包括ケアシステムと保健福祉制度を理解する。対象者と家族への理解としては、わが国における近年の在宅療養者の特徴と動向、家族の変遷と世帯構造の変化、加えて、家族の発達課題と、療養者をはじめとした家族成員個々の発達課題を学ぶ。以上により、在宅療養上の課題を見出せる基礎的思考力を醸成するとともに、家族を含めた対象となる人々の生活とニーズ、身体的特徴、提供されるケアの内容、在宅看護の在り方と、地域包括ケアシステムにおける看護職者の役割について理解を深める。
科目のキーワード
在宅ケア、在宅看護、利用者・家族、生活者、地域包括ケアシステム、多職種連携、ケアマネジメント
授業の展開方法
本科目では、地域で展開する在宅看護について段階的に学んでいく。加えて、本科目にて教授する内容は、臨床経験の豊富な教員による事例を用いた展開を随所に加える。そのため、各回に記載した予習を以て臨むことが必要となる。具体的には次の通りである。授業後に実施する小テストでは、授業内容を踏まえた知識確認のための問題と、より実践的な臨床判断を要する問題を提示する。それらの小テストに臨み自らの授業理解度を認識した上で、授業後の復習に臨む。本科目は、前述したように段階的に理解を進めるため、前回までの内容が理解できていることで、授業中の学生個々に対する口頭質問に答える事が可能となるとともに、授業後の小テストの得点率の高さに反映される。
なお、各回による授業展開と関連性は後述の通りであるため、本科目全体における知識の全体構成と学生自身の知識構築の流れを把握した上で臨む。
 第1回より在宅看護の対象者と家族を取り巻く社会的背景と在宅療養の現状について課題に焦点を当てつつ学びを進めるとともに、在宅看護を展開するために必要な諸概念について理解を深める。第2回では第1回の学びを踏まえつつ、対象者と家族の特徴として家族背景、家族への支援も踏まえつつ学ぶ。第3回では在宅看護を支える訪問看護の実際に視点を移し、第1,2回で学んだ社会的背景、対象者と家族の特徴を踏まえ理解を深める。第4回ではさらに地域に視野を広げ、地域における支援システムである「地域包括ケアシステム」を中心に理解を深める。第5、6では、療養者と家族の在宅療養を支える社会資源と諸制度について学ぶ。第7,8回では、在宅看護で提供される療養者と家族に対する援助技術の基礎的知識の習得として、日常生活上のケアについて学ぶ。

オフィス・アワー
(準備中)
科目コード BH31
学年・期 1年・後期
科目名 地域・在宅看護学概論Ⅰ
単位数 1
授業形態 講義
必修・選択 必修
学習時間 【授業】15h 【予習・復習】30h
前提とする科目 看護学原論
展開科目 地域・在宅看護学概論Ⅱ、在宅看護援助論、在宅看護演習、在宅看護体験演習、在宅看護体験実習、地域・在宅看護学実習
関連資格 看護師,保健師,養護教諭
担当教員名 肥後恵美子・佐々木詩子
主題コマシラバス項目内容教材・教具
1 在宅看護の概念と理念、地域療養を支える在宅看護の役割と機能 科目の中での位置付け 本科目では、在宅ケア、及び在宅看護の概念、及び理念と目的を理解するとともに、在宅看護学にて使用される重要概念についても理解を深め、在宅看護を構成する概念全体の理解を深める。さらに、在宅看護の対象者と家族における世界と我が国の社会的背景と、我が国における社会保障を理解し、在宅療養上の課題を見出せる基礎的思考力を醸成する。以上の段階を踏まえたうえで、在宅看護の役割を理解するとともに、家族を含めた対象となる人々の生活とニーズ、身体的特徴、提供されるケアの内容、さらには、在宅ケア事業所の運営について学習する。以上の本科目全体の中で、本コマ(第一回)は、本科目全体の流れを理解したうえで、在宅看護学の理念・定義と基本理念を理解するとともに、在宅療養者と家族を取り巻く社会的背景を理解する。さらに、在宅看護学における重要用語(重要概念)を理解する。以上を理解したうえで、わが国の在宅ケアの特徴について理解を深める。
①テキスト「地域療養を支えるケア」第1章「地域・在宅看護の概念(p.16~50)」
②テキスト「地域療養を支える技術」第1章「訪問看護技術」の「家庭訪問・初回訪問」(p.18~22)」
・授業ノート
・内閣府 令和3年版「高齢社会白書(全体版)」第1章「高齢化の状況」
コマ主題細目 ① 在宅ケアとは何か? ② 在宅看護の社会的背景 ③ 在宅看護における重要用語(重要概念) ④ 在宅看護の基本理念 ⑤ 在宅看護における倫理
細目レベル ① 在宅ケアとは、在宅生活者で健康問題や生活障害を有する、あるいはリスクが高い状態の人々に対して、セルフケア予防、健康回復、リハビリテーション、現状維持、安全や安楽、自立促進、自己実現や、安らかな死を可能にするために、生活圏を拠点にした保健医療福祉の総合的なケアを提供することである。在宅ケアにおける考え方を理解するとともに在宅看護は、在宅ケアを支える柱の一つであり、在宅医療や在宅福祉における様々専門職者との連携・協働のもとに提供されることを理解する。在宅ケアにおける在宅看護の位置づけへの理解を踏まえて、在宅看護の目的は、在宅で療養者する人やその家族が、健康課題に対するセルフケア力の維持・向上を目的として提供されることを理解する。
② 我が国における、療養者と家族を取り巻く社会背景として、高齢化率の上昇と年少人口・出生人口の急減、および生産年齢人口の減少がある。内閣府の報告によると今後も高齢化率は上昇を続け2050年には、現役世代1.2人で1人の高齢者を支える社会が到来するといわれており、国民医療費増加を抑止する必要性から入院期間の短縮化と在宅医療への早期移行が行われている。在宅療養者においては、高齢世代における70歳以上人口の増加により訪問看護利用者数は、80~89歳が最も多く、かつ世帯規模の縮小は今後も続き、一人暮らし高齢者世帯はさらに増加すると推計されている。加えて、在宅医療の伴い、訪問看護の対象者は、医療依存度が比較的高い傾向にあること、家族介護力の低下と独居高齢者が増加していることを理解する。
③ 在宅看護を理解するうえで必要ないくつかの重要用語(重要概念)を理解する。これらの用語は、在宅看護における様々な課題において対象者と家族の価値観、生活様式、セルフケアが最も重要な事柄であることを理解するために必要な用語(概念)である。プライマリヘルスケアとは「人間の基本的ニーズの一部をなす基本的健康上のニーズに対応する保健サービスである。全10項目のうちの第4項では、「人々は個人として、自らのヘルスケアの企画と実施に参加する権利と義務を有する」としており、健康は人類共通の権利であるとともに義務であるとしている。「プライマリヘルスケア」を理解することで訪問看護において対象者とパートナーシップを持つことの必要性を理解する。また、ヘルスプロモーションの原理を受け継ぐヘルスプロモーションは、「人々が自らの健康と、その社会要因を管理し、改善できるようにするプロセス」であり、在宅看護を展開するうえで重要な概念であることを理解する。
④ 細目①~③の理解を踏まえ、在宅看護の基本理念を理解するとともに、訪問看護にて提供されるサービスを理解する。在宅看護論の基本理念は、医療が実現すべき理念として揚げられる「patient-centered medicine(療養者中心の医療)」に準ずるものであり、この基本理念は個人の尊重という基本的人権の思想に基づく。在宅看護は対象者と家族の自宅で提供される看護であり前述の基本理念を深く理解し在宅看護を提供することでより良い在宅生活を実現するための一役を担う。そして、療養者中心の医療において最も大切な理念は、「patient first(療養者第一主義)」であることを理解し、そのために、対象者と家族の意思決定が適切に行われるように在宅看護を展開することを理解する。以上を理解したうえで社会保障制度に基づく訪問看護の具体的なサービスの内容を理解し、訪問看護の特徴を理解する。
⑤ 倫理とは「人倫のみち、実際道徳の規範となる原理、道徳」であり、人倫とは「人として守るべき道」、道徳とは「ある社会でその成員の社会に対する、あるいは成員相互間の行為の善悪を判断する基準として、一般に承認されている規範の総体である」(テキストp.36抜粋)本細目では、倫理における基本的な考え方を学ぶ。倫理を理解した上で、日本看護協会が提示している「看護者の倫理綱領 15項目」についてその概要を学びつつ、在宅看護における倫理について図を用いながら学ぶこととする。加えて、訪問時における倫理的行動の実際についても、テキストを踏まえつつ学ぶ。
キーワード ① 在宅ケア ② 在宅看護/訪問看護 ③ 発達課題(家族・個人) ④ エンパワメント(empowerment)/パートナーシップ(partnership) ⑤ 看護者の倫理綱領
コマの展開方法 社会人講師 AL ICT PowerPoint・Keynote 教科書
コマ用オリジナル配布資料 コマ用プリント配布資料 その他 該当なし
小テスト 「小テスト」については、毎回の授業終了時、manaba上において5問以上の、当該コマの小テスト(難易度表示付き)を実施します。
復習・予習課題 テキスト①「地域療養を支えるケア」当該ページ、並びにテキスト②「地域療養を支える技術」の当該ページを熟読しておく。日本の年齢別の人口構成、世帯数の変化と特徴について予習をするとともに、近年のわが国における、在宅療養上の課題について時事内容なども踏まえて考えておく。また、ヘルスプロモーションとプライマリーヘルスケアについて予習をしておく。復習として、わが国における在宅療養者と家族の特徴と動向について復習し理解を深める。また、在宅ケア、在宅看護、訪問看護の各概念と、重要概念について再度復習し理解を深める。加えて、授業にて説明した「生活」について具体的にイメージできる様にテキストを再度熟読し理解をしておく。さらに、在宅看護の基本理念、看護者の倫理要領について復習する。
2 在宅療養者と家族の支援 科目の中での位置付け 本科目では、在宅ケア、及び在宅看護の概念、及び理念と目的を理解するとともに、在宅看護学にて使用される重要概念についても理解を深め、在宅看護を構成する概念全体の理解を深める。さらに、在宅看護の対象者と家族における世界と我が国の社会的背景と、我が国における社会保障を理解し、在宅療養上の課題を見出せる基礎的思考力を醸成する。以上の段階を踏まえたうえで、在宅看護の役割を理解するとともに、家族を含めた対象となる人々の生活とニーズ、身体的特徴、提供されるケアの内容、さらには、在宅ケア事業所の運営について学習する。以上の本科目全体の中で、本コマ(第二回)は、在宅看護の対象者の特徴と看護のポイント、並びに対象者を含めた家族について対象者の特徴と関連付けて理解する。そのために、先ずは「家族」という言葉の様々な見地を理解するとともに、そのシステムについても理解を深める。そのうえで、対象者と家族の心身・生活状況に合わせた退院支援と意思決定支援の概要について学習する。
①「地域療養を支えるケア」第2章「在宅療養者と家族の支援(p.56~83)」②「地域療養を支える技術」第6章「事例で学ぶ在宅看護の技術(p.204~243)
コマ主題細目 ① 地域・在宅療養者と家族の支援 ② 様々な健康課題を有する療養者と家族の特徴 ③ 在宅看護を支える家族と退院支援
細目レベル ① 在宅看護は、在宅ケアに包摂される概念である。さらに訪問看護とは、在宅看護を遂行するための手段の一つであることを理解する。また、在宅看護の対象者で最も多いのは、高齢者であり、その次に心身障がい者(児)、精神障がい者、難病患者(児)である。それぞれの生活状況や特徴をよく理解したうえで訪問看護師にとって対象者と家族の価値観や希望を最大限に重視することが重要である。また、対象者を含めた家族の発達課題をよく理解した上で在宅看護を展開することを理解する。加えて、対象者の年齢、心身の状況は、多岐にわたるため、訪問看護を利用する際の保険は、介護保険法、健康保険法、高齢者の医療の確保に関する法律と、複数種類あることを理解したうえで訪問看護を展開する。
② ①を踏まえたうえで様々な健康課題を抱える対象者と家族の特徴について状態別に具体的に理解を深める。例えば、脳血管疾患後遺症を有した対象者と家族の特徴、認知症高齢者を家族の特徴、さらには精神疾患・終末期についても幅広く理解を深めていく。加えて、近年、増加傾向にある医療的ケア児と家族の特徴についても理解する。さらに、訪問看護対象者についての法的根拠をより具体的に理解する。先ず、最も重要な前提として訪問看護は医師の指示により実施されることが定められていることを理解する。そのうえで、介護保険法に適用される1号被保険者と2号被保険者の年齢の違い、及び介護保険法で訪問看護を利用する際の規定されている範囲を理解する。その次に、健康保険法、並びに高齢者の医療の確保に関する法律に規定されている範囲を理解する。次に、要支援と要介護を規定する理由、各要介護度の具体的な介護について理解する。
③ ①②を理解したうえで、入院患者に対して退院支援が必要となる対象者と家族について学ぶ。先ず、入退院を繰り返している患者は自宅でのセルフケアに何らかの課題がある可能性があるため、退院支援を必要とする場合が多い。また、創傷処置(褥瘡など)があり、退院後も高度で熟練的医療が必要な患者や、入院前よりもADLが低下し退院後の生活について住宅改修や新たなサービスの利用、家族の介護負担の増加の可能性など、生活の再編成が必要な場合、そして、独居高齢者や家族等の介護が望めない場合などは、退院支援が必要となる。これらを①②の内容を踏まえて理解し、入院時からスクリーニングを行い、支援を開始する必要性を理解する。
キーワード ① 介護保険法 ② 健康保険法 ③ 高齢者医療確保法 ④ 家族の発達課題 ⑤ 医療的ケア児
コマの展開方法 社会人講師 AL ICT PowerPoint・Keynote 教科書
コマ用オリジナル配布資料 コマ用プリント配布資料 その他 該当なし
小テスト 「小テスト」については、毎回の授業終了時、manaba上において5問以上の、当該コマの小テスト(難易度表示付き)を実施します。
復習・予習課題 テキスト①「地域療養を支えるケア」第2章、②「地域療養を支える技術」第6章の当該ページを熟読し、理解を深めておく。特に、「地域療養を支える技術」については、当該ページに事例が多く掲載されているのでイメージしやすいように熟読する。加えて、介護保険法、健康保険法、高齢者医療確保法の適用範囲(適応される対象者の範囲)について予習する。また、障害者総合支援法についても予習しておく。復習としては、家族という概念の理解について再度復習しておくとともに、家族の発達課題について再度復習し理解深める。今後、在宅看護を学んでいくうえで、「家族の発達課題」は非常に重要な概念である。加えて、社会福祉関係の法律については、本日の講義の範囲内でよいので理解を深める。退院支援が必要となるのはどのような場合であるか、必要な支援は何か復習する。
3 在宅療養を支える訪問看護 科目の中での位置付け 本科目では、在宅ケア、及び在宅看護の概念、及び理念と目的を理解するとともに、在宅看護学にて使用される重要概念についても理解を深め、在宅看護を構成する概念全体の理解を深める。さらに、在宅看護の対象者と家族における世界と我が国の社会的背景と、我が国における社会保障を理解し、在宅療養上の課題を見出せる基礎的思考力を醸成する。以上の段階を踏まえたうえで、在宅看護の役割を理解するとともに、家族を含めた対象となる人々の生活とニーズ、身体的特徴、提供されるケアの内容、さらには、在宅ケア事業所の運営について学習する。以上の本科目全体の中で、本コマ(第三回)は、訪問看護サービス利用における法的根拠となる介護保険法と医療保険法の違いについて学習するとともに、訪問看護サービスを利用するうえでのシステムについて具体的に学ぶ。さらに、訪問看護実践の中で活用される、在宅看護のためのアセスメントの基礎について学習する。
「地域療養を支えるケア」第5章「在宅療養を支える訪問看護(p.198~232)」        尾崎章子、佐野けさ美編集 地域・在宅看護学論 第4章 医歯薬出版株式会社
コマ主題細目 ① 訪問看護における介護保険法と医療保険法 ② 訪問看護サービスの概要 ③ 在宅看護のためのアセスメント
細目レベル ① 第二回にて理解したように、訪問看護を利用するために適用される保険は、介護保険、健康保険、後期高齢者医療保険の3種類である。それぞれに対象範囲が定められており、介護保険法が適用される範囲は、1号被保険者、16特定疾病に罹患している2号被保険者である。また、健康保険法や高齢者医療確保法が適用される範囲は、要介護認定非該当者であり、2号保険者については、16特定疾病に理解していない者であることを理解する。
② ①にて理解した制度に基づきながら訪問看護サービスは提供されることを理解する。訪問看護の利用開始までのプロセスは、医療保険制度と介護保険制度では異なる。介護保険制度では、ケアマネージャーが介護保険サービスの1週間のスケジュールを作成するため、訪問看護サービスにおいても同様に居宅サービス計画に組み込まれることとなる。一方、医療保険制度では、対象者がかかりつけ医を受診した後に訪問看護ステーションに「訪問看護指示書」が発行され、訪問看護サービスが提供される。また、社会のニーズにて生まれたサービス(看護小規模多機能型居宅介護など)をについて事例を基に、看護の役割を確認する。
③ 訪問看護は、看護過程による実施計画に基づき提供される。実施計画立案のためには、対象者と家族の生活状況や心身の状況を把握し、アセスメントを実施、それらから導き出された根拠に基づく計画である必要があることを理解する。アセスメントのための情報収集については、第1回で抑えた「マズローの欲求の階層」を理解したうえで、「対象者にとって生命に危険が及ぶことは何か」「対象者が最も望むことは何か」「対象者と家族が最も望む生活はどのような生活か」を視点として情報収集を行う。看護過程は、在宅看護学実習にて実際に展開するが、その際にはSOAPの考え方を習得したうえで臨むことを理解する。
キーワード ① ケアマネジメント ② 居宅サービス計画 ③ 在宅看護過程 ④ 在宅医療連携 ⑤ 訪問看護指示
コマの展開方法 社会人講師 AL ICT PowerPoint・Keynote 教科書
コマ用オリジナル配布資料 コマ用プリント配布資料 その他 該当なし
小テスト 「小テスト」については、毎回の授業終了時、manaba上において5問以上の、当該コマの小テスト(難易度表示付き)を実施します。
復習・予習課題 《予習》
前回に引き続き、介護保険の適用範囲となる疾患や身体的状態について予習しておくとともに、訪問看護までの流れ(訪問看護利用までにどのような手続きが必要なのか)について予習しておく。加えて、看護過程について予習しておく。具体的には、2つのアプローチ、看護過程の5つのサイクル、またテキスト「地域療養を支えるケア」第5章「在宅療養を支える訪問看護(p.215~218)にて必要な情報項目を確認しておく。
《復習》
1号被保険者と2号被保険者の違い、「16特定疾病」、「厚生労働大臣が定める疾病等」、「特別訪問看護指示書による訪問の対象者」、訪問看護時に必要な記録と関係職種との連携について復習する。看護過程においては、在宅看護過程の特徴について復習しておく。

4 地域包括ケアシステムと在宅ケア 科目の中での位置付け 本科目では、在宅ケア、及び在宅看護の概念、及び理念と目的を理解するとともに、在宅看護学にて使用される重要概念についても理解を深め、在宅看護を構成する概念全体の理解を深める。さらに、在宅看護の対象者と家族における世界と我が国の社会的背景と、我が国における社会保障を理解し、在宅療養上の課題を見出せる基礎的思考力を醸成する。以上の段階を踏まえたうえで、在宅看護の役割を理解するとともに、家族を含めた対象となる人々の生活とニーズ、身体的特徴、提供されるケアの内容、さらには、在宅ケア事業所の運営について学習する。以上の本科目全体の中で、本コマ(第4回)は、地域アセスメントの考え方と地域包括ケアシステムについて理解を深めるとともに、在宅看護におけるケアマネジメントとそれを支える介護保険法、医療保険法への理解と、ケアマネジメントに必要となる地域包括ケアシステムの概要とシステムにおける専門機関と多職種連携の実際と特徴について学ぶ。
①「地域療養を支えるケア」第3章「地域包括ケアシステムと多様な生活の場における看護(p.88~138)」
コマ主題細目 ① ケアマネジメントと介護保険法 ② 在宅看護におけるケアマネジメント ③ 地域包括システムと地域アセスメント
細目レベル ① ケアマネジメントとは、「保健・医療・福祉の専門家や機関が、相互に話し合い、総合的な福祉サービスを施すことであり、狭義には、介護保険制度下で、個々人の多様な要求に対応し、各種サービスを調整して適切で効果的なケアを提供すること」と定義される。具体的には、介護保険法は、対象者ご利用するサービスの種類、回数等について介護支援専門員(ケアマネージャー)がマネジメントを行う。介護保険法による介護サービスを利用する場合は、介護認定を受ける必要がある。介護サービス利用の手続きについては、テキストp.36図4-1を基に理解する。この制度は、在宅高齢者が介護を受けながら自立して生活するための仕組みとして発足したことを理解する。また、介護保険制度が円滑に運用されるためにどのように資金が流れているのか、保険者は市町村であることも併せて理解する。
② 地域で働く看護師、特に訪問看護や看護小規模多機能型居宅介護などに従事する看護師は、療養者の在宅での生活を知り、生活に直接かかわる援助を提供する役割を担う。訪問看護でいうと、療養者の一日の過ごし方や一週間の過ごし方、一カ月の過ごし方まで考慮して、毎回の訪問看護を提供することが重要である。利用者の生活を知ることは、訪問看護師にとって必要なことである。同時に、看護職の視点から利用者の健康状態や生活状況をアセスメントし、ケアプラン全体を評価し、ケアマネージャーにケアプランの追加や変更を提案することも看護職の重要社役割であることを理解する。また、訪問看護以外のサービスを変更する必要があると判断した際には、ケアマネージャーにケアプランの変更について提案・そう産することも訪問看護に求められる能力であることを理解する。
③ 「地域包括ケア」とは、「ニーズに応じた住宅が提供されることを基本とした上で生活上の安全、安心、健康を確保するため、医療や介護・予防などが日常生活の場で適切に一体的に提供される生活支援サービスのこと」と定義されている。地域包括ケアシステムとは、高齢者の尊厳の保持と自立生活の支援を目的とし、高齢者が医療や介護などの」支援を受けながら、可能な限り住み慣れた地域で生活を継続することができるような、包括的な支援・サービスを提供する体制のことである。また、その生活上の圏域は「おおむね30分以内に駆け付けられる圏域」とし、中学校区を基本とすることが提唱されている。つまり、「包括ケアシステム」とは、前述の環境が対象者のよりよい生活のために協働して機能することを意味する。本講義では、「地域包括ケアシステム」の意義と概要について理解するとともに、地域包括ケアシステムが存在する地域アセスメントから同システムへの展開についてその概要を理解する。
キーワード ① 地域包括ケアシステム ② 地域アセスメント ③ ケアマネジメント ④ ケースマネジメント ⑤ 介護保険法
コマの展開方法 社会人講師 AL ICT PowerPoint・Keynote 教科書
コマ用オリジナル配布資料 コマ用プリント配布資料 その他 該当なし
小テスト 「小テスト」については、毎回の授業終了時、manaba上において5問以上の、当該コマの小テスト(難易度表示付き)を実施します。
復習・予習課題 テキスト①「地域療養を支えるケア」の第3章にある、地域包括ケアシステムについて熟読し予習をしておくとともに、「地域アセスメント」とはどのようなものであるのか、予習をしておく。加えて、介護保険制度の概要について予習をしておくこと。復習では、今回の単元を再度熟読するとともに、地域アセスメントのプロセスと、地域包括ケアシステムへの展開について、その意義と実際を具体的に理解する。更には、ケアマネジメントの意味について、介護サービスを提供するうえでのケアマネージャーの業務、介護保険認定のプロセスについて、並びに医療依存度の高い療養者に対するケアマネジメントと看護師の役割について復習するとともに、サービス利用の実際についても復習しておく。
5 地域療養を支える制度(1) 科目の中での位置付け 本科目では、在宅ケア、及び在宅看護の概念、及び理念と目的を理解するとともに、在宅看護学にて使用される重要概念についても理解を深め、在宅看護を構成する概念全体の理解を深める。さらに、在宅看護の対象者と家族における世界と我が国の社会的背景と、我が国における社会保障を理解し、在宅療養上の課題を見出せる基礎的思考力を醸成する。以上の段階を踏まえたうえで、在宅看護の役割を理解するとともに、家族を含めた対象となる人々の生活とニーズ、身体的特徴、提供されるケアの内容、さらには、在宅ケア事業所の運営について学習する。以上の本科目全体の中で、本コマ(第5回)は、地域で療養する対象と家族を支える様々な社会資源について学ぶ。具体的には、先ず、「社会資源」という概念について理解するとともに、医療保険制度、介護保険制度、障がい者福祉に関する種々の制度、医療ケア児や障害児を支える制度や、生活困難者の権利を守るための制度について理解を深める。特に、第5回では、「社会資源」という概念について理解するとともに、医療保険制度、介護保険制度、障がい者福祉に関する種々の制度について学ぶ。
テキスト①「地域療養を支えるケア」第4章「地域療養を支える制度(p.142~176)」、テキスト②「地域療養を支える技術」第6章「事例で学ぶ在宅看護の技術(p.206~209、213~219、224~231)
コマ主題細目 ① 社会資源の実際と活用 ② 在宅療養を支える制度(医療保険制度、介護保険制度) ③ 在宅療養を支える制度(障がい者福祉に関する制度)
細目レベル ① 社会資源(社会サービス)とは、「生活上の諸欲求の充足や問題解決を目的として利用できる各種の制度・機関・団体および人々の李子規・技術などの物的人的諸要素を総称したもの」である。社会資源には、行政主導による公的サービスと、ボランティア、NPO、自治会、近隣の知人などといった民間・私的なサービスの2種類がある。前者を「フォーマルな社会資源」、後者を「インフォーマルな社会資源」という。これらの社会資源は、人とのつながりによって構築される。故に、ソーシャル・キャピタル(第1回参照)が重要な概念である。また、一定の方向性をもって構築され対象者が利用しやすいサービスであるためには、法整備が必要となることを理解し、種々の制度の必要性について理解する。
② 在宅療養者と家族が、様々な社会資源を利用し望む暮らしを実現するためには、各種の制度を理解しておく必要がある。加えて、対象者の年齢、健康課題や障害によって利用する社会資源や法律が異なることを知っておく。例えば、高齢者を対象とした社会サービスは、介護保険法によって定められている。一方、医療依存度のある高齢者や成人・子どもの場合は、医療保険制度のもとに、薬剤師による服薬管理指導や、医師による往診、16特定疾病などの場合の訪問看護といった医療的サービスを利用する。加えて、生活保障のために、経済的困窮者では、生活保護法のもとに生活に必要な物資や現金が支給される。高齢者は年金制度を利用する。以上のように、様々な社会資源と法的根拠について理解を深める。
③ 国際障害分類(ICF)は、在宅療養者の生活を含めた全体像を理解する上で重要な概念である。ICFは、健康状態(変調または疾病)、心身機能・身体構造、活動、参加、背景因子(環境因子、個人因子)の要素と各下位の要素によって、対象者の全体像を理解する。在宅で暮らす障がいを有する対象者(以下、障がい者)は、「障害者総合支援法」のもとに様々な社会資源を利用することを理解する。特に、障害者総合支援法に基づくサービスの全体像を理解し把握する。また、障がい児・者が利用できる手帳についても学ぶ。加えて、障がいを有する高齢者の場合は、障害福祉サービスに先行して介護保険サービスを利用することとなることを理解する。
キーワード ① 社会資源(フォーマル、インフォーマル) ② ソーシャル・キャピタル ③ 健康保険法 ④ 介護保険法 ⑤ 障害者総合支援法
コマの展開方法 社会人講師 AL ICT PowerPoint・Keynote 教科書
コマ用オリジナル配布資料 コマ用プリント配布資料 その他 該当なし
小テスト 「小テスト」については、毎回の授業終了時、manaba上において5問以上の、当該コマの小テスト(難易度表示付き)を実施します。
復習・予習課題 第1回で学んだ、ソーシャル・キャピタルについて再度理解を深めておくこと。また、テキスト①「地域療養を支えるケア」の該当ページ(p.142~176)、テキスト②「地域療養を支える技術」第6章「事例で学ぶ在宅看護の技術(p.206~209、213~219、224~231)
を熟読しておき、社会資源、介護保険法、医療封建制度、障害者総合支援法、ICFについて、予習をしておくこと。復習では、先ず、社会資源の定義と種類(2種類)を理解できる様にしておく。医療封建制度では、組合の種類、後期高齢者を対象とした医療保険制度を理解する。介護保険法では、対象者の細かい区分や、高齢労働大臣が定める疾病等、16特定疾病について復習をしておく。ICFは、その概念を活用する意義、各要素とその意味を復習する。障害者総合支援法では、サービスの体系と各種サービスの概要を復習する。

6 地域療養を支える制度(2) 科目の中での位置付け 本科目では、在宅ケア、及び在宅看護の概念、及び理念と目的を理解するとともに、在宅看護学にて使用される重要概念についても理解を深め、在宅看護を構成する概念全体の理解を深める。さらに、在宅看護の対象者と家族における世界と我が国の社会的背景と、我が国における社会保障を理解し、在宅療養上の課題を見出せる基礎的思考力を醸成する。以上の段階を踏まえたうえで、在宅看護の役割を理解するとともに、家族を含めた対象となる人々の生活とニーズ、身体的特徴、提供されるケアの内容、さらには、在宅ケア事業所の運営について学習する。以上の本科目全体の中で、本コマ(第6回)は、第5回に引き続き、在宅療養者と家族を支えるための保健医療福祉制度として、難病法、子どもを対象とした諸制度、高齢者等の権利擁護のための制度と高齢者施策の概要について学ぶ。
テキスト①「地域療養を支えるケア」第4章「地域療養を支える制度(p.176~194)」、テキスト②「地域療養を支える技術」第6章「事例で学ぶ在宅看護の技術(p.210~212、p.220~223、p.232~236)
コマ主題細目 ① 難病を抱える療養者と家族を支える諸制度と社会資源 ② 子どもと家族の在宅療養を支える制度と社会資源 ③ 在宅療養者の権利擁護に関連する制度と高齢者施策
細目レベル ① 「難病」とは、「原因不明で治療方法が不確立であり、生活面で長期にわたり支障が生疾病のうち、がん、生活習慣病等のそれぞれの対策の体系がないもの」とされている。このうち、医療助成制度を利用できる難病を「指定難病(患者数が日本において構成両道省令で定める人数に達せず、かつ、当該難病の診断に関し客観的な指標による一定の基準が定まっていることなどの要件を満たすもの)」は、現在333疾患となっている。難病法における「難病」と「指定難病」について理解するとともに、医療助成の概要について学ぶ。併せて、「難病」を有する療養者と家族を対象とした療養生活整備や難病対策のための関係事業と関係機関について学び、難病対策の全様と制度について理解を深める。
② 子どもと家族の在宅療養を支える社会資源と制度については、障害児福祉、疾病対策における対象年齢を理解することが重要である。小児慢性特定疾病対策では児童福祉法を根拠法とし、18歳未満(引き続き治療が必要であると認められる場合は、20歳未満)の児童を対象とし、都道府県、指定都市及び中核市が実施主体となり展開することを理解する。また、同対策では、児童の健全育成を目的として、疾患の治療方法の確立と普及、患者家庭の医療費の負担軽減につながるよう公費による医療費助成、自立支援事業を展開している。「小児慢性特定疾病」は現在、16疾患群に分けられ762疾患が指定されている。国民への普及啓発活動の中心機関は「小児慢性特定疾病センター」である。同対策のほかに、「未熟児療育医療(根拠法は母子保健法)」や「育成医療(根拠法は児童福祉法)」といった様々な制度による支援があることを理解する。
③ 権利擁護(アドボカシー)とは、「自らの思いを権利として主張できない人の、人としての権利を守ろうとする活動」である。権利擁護に関連する事業、制度について学修する。「日常生活自立支援事業」は認知症高齢者、知的障害者、精神障害者など判断能力が不十分な人たちが自立した地域生活が送れるよう、権利を擁護する仕組みであることをその実施主体は、都道府県の社会福祉協議会である。また「成年後見人制度」や「オンブズマン制度」なども権利擁護に関する制度として理解する。なお、これらの制度については、高齢者施策である「認知症施策」や「高齢者虐待防止法」等と併せて理解を深められるよう学修する。
キーワード ① 難病法 ② 小児慢性特定疾患 ③ 権利擁護 ④ 成年後見人制度 ⑤ 高齢者虐待防止法
コマの展開方法 社会人講師 AL ICT PowerPoint・Keynote 教科書
コマ用オリジナル配布資料 コマ用プリント配布資料 その他 該当なし
小テスト 「小テスト」については、毎回の授業終了時、manaba上において5問以上の、当該コマの小テスト(難易度表示付き)を実施します。
復習・予習課題 テキスト①「地域療養を支えるケア」第4章「地域療養を支える制度(p.176~194)」、テキスト②「地域療養を支える技術」第6章「事例で学ぶ在宅看護の技術(p.210~212、p.220~223、p.232~236)を熟読し対象者の在宅療養のイメージと必要な制度について予習をしておく。復習については、①「地域療養を支えるケア」第4章「地域療養を支える制度(p.176~194)」②「地域療養を支える技術」第6章「事例で学ぶ在宅看護の技術(p.220~223、p.232~236)を熟読するとともに、特に「難病法と特定疾患研究事業対象疾患」「小児慢性特定疾患と育成医療、児童扶養手当」「成年後見人制度の種別」「虐待予防に関連する法律」については、重要であるのでよく復習し理解を深めておく。
7 在宅における援助技術/生活ケア(食事・排泄のアセスメントと援助) 科目の中での位置付け 本科目では、在宅ケア、及び在宅看護の概念、及び理念と目的を理解するとともに、在宅看護学にて使用される重要概念についても理解を深め、在宅看護を構成する概念全体の理解を深める。さらに、在宅看護の対象者と家族における世界と我が国の社会的背景と、我が国における社会保障を理解し、在宅療養上の課題を見出せる基礎的思考力を醸成する。以上の段階を踏まえたうえで、在宅看護の役割を理解するとともに、家族を含めた対象となる人々の生活とニーズ、身体的特徴、提供されるケアの内容、さらには、在宅ケア業所の運営について学習する。以上の本科目全体の中で、本コマ(第7回)では、在宅看護における生活ケアの目的と意義、ならびに在宅療養に特徴的な観察の視点やアセスメント・リスクマネジメントの概要について学ぶ。さらに、在宅看護の対象となる療養者と家族への「生活ケア」の具体的な内容を学習する。生活ケアの援助技術には、食事・排泄・清潔・移動・呼吸などがあり、本コマ(第7回)では食事・排泄のアセスメントとケアの援助技術について学び、生活者としての視点を以て理解を深める。
テキスト①「地域療養を支えるケア」第7章「在宅における援助技術(p.252~261)」テキスト②「地域療養を支える技術」第3章「日常生活を支える看護技術(p.70~98)
コマ主題細目 ① 在宅看護における生活ケアの目的と意義、ケアのポイントと観察 ② 在宅における食事のアセスメントと援助 ③ 在宅における排泄のアセスメントと援助
細目レベル ① 在宅ケアを提供する目的は、療養者・家族のその時々の思いに沿って、望む生活を最期まで営めるようにすることである。在宅療養を支える看護師は、生活ケアと医療的ケアの双方を包括的に提供できる専門職として、地域包括ケアシステムの中で重要な役割を果たすことを理解する。また、在宅看護を提供する上での手段である「訪問看護」は、基本的に一人で実施する場面がおおい。そのため、状況に応じて臨機応変な支援やICTを活用した看護師・医師との協働的支援ができるよう、生活と医療の継続を支える看護技術と判断力が求められることを理解する。生活ケアの目指すものは、療養者と家族のセルフマネジメント機能(セルフケア技術を含む)の向上であることを理解する。
② 自宅での暮らしのクオリティを上げる生活支援の一つに、食べることと、排泄がある。口から食べることや、安楽な排泄の意義は、脳への刺激、心身の活性化、廃用性症候群の予防により全身状態を改善させる働きに加え、食べる喜びを得ること・自立した排泄を円滑に行うことにより人としての尊厳を維持することにもつながる。在宅における食事の生活ケアでは、嚥下機能や食行動における運動機能を的確に評価し、療養者にとって安全な食事と介助が行えるように支援する。根拠として、嚥下機能(先行期、準備期・口腔期、咽頭期、食道期)のメカニズムや、摂食嚥下機能の評価方法や誤嚥の機序を学び、理解を深める。また、在宅療養者の栄養状態の評価方法についても学ぶ。
③ 排泄は、食事ともに自立した排泄行動の実施により対象者自身の尊厳を高める重要な日常生活行動の一つである。排泄の意義を理解するとともに、排尿・排便のメカニズムと、異常の種類と機序について理解する。先ず、排尿の異常には、腹圧性尿失禁、切迫性尿失禁、溢流性尿失禁、反射性尿失禁、真性尿失禁といった器質性尿失禁と、運動機能の低下や認知症が原因の機能性尿失禁があることを理解し、それぞれの機序を学ぶことで適切な看護の提供について基礎的な理解を深める。また、排便のメカニズムを理解するとともに、便秘には手術等による器質性便秘と、直腸性便秘、弛緩性便秘、けいれん性便秘といった機能性便秘があることを理解し、それぞれの機序を学ぶことで適切な看護の提供について基礎的な理解を深める。在宅における排泄の援助の基本は療養者の自立を促すケアであり、環境の整備や排泄障害への援助、状況に応じて家族・介護者へのケアが重要であることを理解する。
キーワード ① 嚥下機能の評価 ② 嚥下障害の援助 ③ 栄養評価 ④ 器質性便秘・機能性便秘 ⑤ 器質性尿失禁・機能性尿失禁
コマの展開方法 社会人講師 AL ICT PowerPoint・Keynote 教科書
コマ用オリジナル配布資料 コマ用プリント配布資料 その他 該当なし
小テスト 「小テスト」については、毎回の授業終了時、manaba上において5問以上の、当該コマの小テスト(難易度表示付き)を実施します。
復習・予習課題 授業テキスト(第7回)の内容、テキスト①「地域療養を支えるケア」第7章「在宅における援助技術(p.252~261)」テキスト②「地域療養を支える技術」第3章「日常生活を支える看護技術(p.70~94)を熟読し、在宅看護における食事と排泄の援助についてイメージをして授業に臨む。食事では、嚥下機能・栄養状態の評価や、食事援助の方法について予習しておく。排泄では、排泄障害(便秘・尿失禁)の特徴やその援助について予習しておく。
復習では、食事のアセスメントと援助では、人間の摂食・嚥下のプロセス、摂食嚥下機能評価・スクリーニングテスト、嚥下障害時の援助方法について復習する。排泄のアセスメントと援助では、排泄のメカニズムについて復習すると共に、排尿障害の種類と内容、排便障害の種類と内容、在宅での排泄援助について復習する。

8 在宅における援助技術/生活ケア(清潔・移動・呼吸のアセスメントと援助) 科目の中での位置付け 本科目では、在宅ケア、及び在宅看護の概念、及び理念と目的を理解するとともに、在宅看護学にて使用される重要概念についても理解を深め、在宅看護を構成する概念全体の理解を深める。さらに、在宅看護の対象者と家族における世界と我が国の社会的背景と、我が国における社会保障を理解し、在宅療養上の課題を見出せる基礎的思考力を醸成する。以上の段階を踏まえたうえで、在宅看護の役割を理解するとともに、家族を含めた対象となる人々の生活とニーズ、身体的特徴、提供されるケアの内容、さらには、在宅ケア事業所の運営について学習する。以上の本科目全体の中で、本コマ(第8回)では、在宅看護の対象となる療養者と家族への「生活ケア」の具体的な内容を学習する。生活ケアの援助技術には、食事・排泄・清潔・移動・呼吸などがあり、本コマ(第8回)では清潔・移動・呼吸のアセスメントとケアの援助技術について学び、生活者としての視点を以て理解を深める。
テキスト①「地域療養を支えるケア」第7章「在宅における援助技術(p.252~261)」テキスト②「地域療養を支える技術」第3章「日常生活を支える看護技術(p.70~94)
コマ主題細目 ① 在宅における清潔のアセスメントと援助 ② 在宅における移動のアセスメントと援助 ③ 在宅における呼吸のアセスメントと援助
細目レベル ① 清潔行為には入浴、更衣、洗髪、洗顔、歯磨き、手洗いなどがある。在宅における療養者は体調不良や病状の悪化を心配して清潔行為を拒むこともあるため、療養者の状態に応じて適切な方法を選択する必要がある。また、日中は日常着に着替え、身だしなみを整えることで生活のリズムを維持し、自分らしさを表現することができる。清潔行動のケアは、新陳代謝・血液循環の促進と共に全身状態を観察する機会であり、褥瘡などの皮膚トラブルの早期発見や感染予防の観点からも有効である。在宅療養者の清潔ケアとしては自立を支援することが前提で、ケアを行う上でも自立を妨げないような関わりが重要である。また療養者のニーズを把握し、清潔習慣を考慮した上で支援することが、療養者の爽快感や満足感につながる。また、介護の労力や経済性を考慮し、自宅にあるものを工夫して使用することも重要である。
② 移動は日常生活で不可欠な動作であるため、移動の自立度は療養者の生活意欲に影響を与える。在宅では住環境が安全・安楽な移動ができるように整っているとはかぎらず、移動に支障をきたすと生活の幅を狭めることになり、筋力低下や関節拘縮などの生活不活発病(廃用症候群)などの二次的な障害が生じる可能性がある。
在宅療養者は、日常生活の動作の中で身体機能を維持していくことが大切であり、全身運動である歩行は介助が必要な状況でも日常生活の中に取り入れることが望ましい。歩行が難しい療養者には、日中の車椅子での坐位時間を増やし、余暇を楽しむなど生活の質(QOL)の高い生活が送れるように支援が必要である。さらに、住環境や居室環境を活動しやすいように整えること、保清行動においては福祉用具の活用により入浴環境を整えること、ディサービスや訪問入浴といった介護サービスの活用などによって、療養者の日常生活動作で身体機能が維持されるように支援することを理解する。

③ 呼吸は生命維持にとって不可欠な生理機能であり、呼吸の障害は死への不安や恐怖をもたらすものである。また、日常生活上の活動制限を生じやすく、QOLにも大きな影響を与える。このため在宅では、日常的に対象者の呼吸状態を十分に把握し、安楽な呼吸の確保、異常の早期発見と対処、QOLの維持・向上に努めることが大切である。呼吸のメカニズムは、肺、胸郭とそれらを拡張させる呼吸筋によって行われる。胸郭の容積を変化させる主な筋肉は、外肋間筋、横隔膜であり、外肋間筋による呼吸は胸式呼吸、横隔膜による呼吸は腹式呼吸であることを理解する。また、肺の換気量、肋間筋の動きを理解し、安楽な姿勢と体位の工夫、呼吸筋のストレッチ、呼吸法等の呼吸ケアの実際について学びを深める。
キーワード ① 保清ケア ② ADL・IADL ③ 日常生活自立度 ④ ヒュージョーンズ分類 ⑤ 呼吸ケア
コマの展開方法 社会人講師 AL ICT PowerPoint・Keynote 教科書
コマ用オリジナル配布資料 コマ用プリント配布資料 その他 該当なし
小テスト 「小テスト」については、毎回の授業終了時、manaba上において5問以上の、当該コマの小テスト(難易度表示付き)を実施します。
復習・予習課題 授業テキスト(第9回)の内容、テキスト①「地域療養を支えるケア」第7章「在宅における援助技術(p.252~261)」テキスト②「地域療養を支える技術」第3章「日常生活を支える看護技術(p.70~94)を熟読し、在宅看護における清潔・移動・呼吸の援助についてイメージをして授業に臨む。復習では、清潔のアセスメントと援助では、人間の皮膚の機能・常在菌、清潔保持の意義、保清ケアの援助方法について復習する。移動のアセスメントと援助では、ADL/IADLの知識や、移動の援助方法について復習する。呼吸のアセスメントと援助では、呼吸運動のメカニズム、気道と肺の換気量(一回換気量)、死腔、残気量等を復習する。呼吸のアセスメントと援助の方法と効果、その前後の観察内容について、根拠とともに復習する。
履修判定指標
履修指標履修指標の水準キーワード配点関連回
①在宅看護の概念と理念、関連する諸概念の理解と、在宅看護過程の理解 在宅ケアの定義、並びに在宅看護の目的と理念を理解することが出来る(★)。さらには訪問看護とは、在宅看護を遂行するための手段の一つであることを理解出来る(★)。加えて、在宅看護を理解するうえで重要な諸概念について理解できる(★★)。また、在宅看護の対象者の特徴と、それぞれの生活状況や特徴をよく理解したうえで訪問看護師にとって対象者と家族の価値観や希望を最大限に重視することが重要であることを理解することが出来る(★★)。さらに、在宅看護の対象者が保健医療福祉サービスを利用するうえで必要な法的根拠をより具体的に理解することが出来る(★★)。在宅看護過程を理解するうえで、ICFの概念と諸要素を理解することが出来る(★★★)。 在宅ケア、在宅看護・訪問看護、発達課題(個人・家族)、エンパワメント・パートナーシップ、看護者の倫理綱領 15 1.2
②在宅看護の対象の特徴と地域包括ケアシステムにおける多職種連携の理解と看護師の役割、及び社会福祉サービス提供上の法的根拠の理解 2025年問題をはじめとしたわが国の人口動態の変化と社会経済状況の変化の概要を理解する(★★★)。それによって世帯構造の変化が生じ単独世帯や高齢者世帯、高齢の親と未婚の子どもの世帯が増加している現状を理解する(★★)。さらには、家族という定義や概念の歴史的変遷の概要を理解するとともに、近年、提示されつつある「家族」の概念として複数機関の定義や家族システム論といった理論の概要を理解する(★★★)。その上で、近年の在宅看護の対象者である療養者と家族の特徴と健康上の課題について理解する(★★)。 介護保険法、健康保険法、高齢者医療確保法、家族の発達課題、医療的ケア児 15 2.4.5
③療養者と家族の日常生活の特徴と援助技術、及び看護師の役割 訪問看護サービス利用における法的根拠となる介護保険法と医療保険法の違いについて理解したうえで、訪問看護サービスを利用するうえでのシステムについて理解する(★★)。具体的には、介護保険制度では、ケアマネージャーが介護保険サービスの1週間のスケジュールを作成するため、訪問看護サービスにおいても同様に居宅サービス計画に組み込まれることとなる(★★)。一方、医療保険制度では、対象者がかかりつけ医を受診した後に訪問看護ステーションに「訪問看護指示書」が発行され、訪問看護サービスが提供されるさらに、訪問看護実践の中で活用される、在宅看護のためのアセスメントの基礎として、実施計画立案のためには、対象者と家族の生活状況や心身の状況を把握し、アセスメントを実施、それらから導き出された根拠に基づく計画である必要があることを理解し(★★)、情報収集と在宅看護過程展開において「マズローの欲求の階層」の考え方が必要であることを理解する。加えて、看護過程の展開には、SOAPの考え方を習得したうえで臨むことを理解する(★★★)。 ケアマネジメント、居宅サービス計画、在宅看護過程、在宅医療連携、訪問看護指示書 15 1.2.3.4.5
④医療依存度の高い療養者と家族の特徴と援助技術、及び看護師の役割 在宅看護が展開される地域の特徴や実状を踏まえた「地域包括ケアシステム」が構築・展開されている。地域包括ケアシステムの形成と構築において、地域をアセスメントし対象地域の生活上の健康課題することの必要性を理解する(★★)。さらには、在宅療養者、ならびに介護者である家族を支える地域包括ケアシステムにおける自助、互助、共助、公助と在宅看護師の役割が理解できる(★★)。地域包括ケアシステムの中でのケアマネジメントの重要性と多職種間の連携の必要性と意義、そして在宅看護の役割を理解する(★★)。 地域包括ケアシステム、地域アセスメント、ケアマネジメント、ケースマネジメント、介護保険法 15 2.3.4.5.6
⑤在宅療養療養者と家族を支えるための社会資源、及び制度の理解 療養者と家族の暮らしを支えるために活用できる社会資源について理解を深める(★)。社会資源とは何かについて理解した上で、それらの社会資源を円滑に運用するための諸制度について理解する(★★)。具体的には、介護保険法とサービスの内容、医療保険制度の概要について、障害者総合支援法とサービスの内容や、子どもの医療と暮らしを支える制度とサービス、高齢者をはじめとした対象者の権利擁護(アドボカシー)とそのための制度について理解する(★★)。 社会資源(フォーマル、インフォーマル)、ソーシャル・キャピタル、健康保険法、介護保険法、障害者総合支援法、成年後見人制度、小児慢性特定疾病自立支援事業 20 4.5.6
⑥療養者と家族の日常生活の特徴と在宅看護における援助技術についての理解 自宅での暮らしのクオリティを上げる生活支援として、食事、排せつ、清潔、移動、並びに活動において重要となる呼吸の観察の具体的方法とアセスメントの視点と実際が理解できる(★★)。特に、食事、排せつは解剖生理学的な意味づけのみならず、心地よい食事、安楽な排泄は、人としての尊厳を維持する重要な行為であることを理解することが出来る(★★)。加えて、それらの援助技術は、療養者の自立を促すケアであり、環境の整備や排泄障害への援助、状況に応じて家族・介護者へのケアが重要であることが理解できる(★★)。 嚥下機能の評価、嚥下障害の評価、栄養評価、器質性便秘・機能性便秘、器質性尿失禁・機能性尿失禁、保清ケア、ADL・IADL、日常生活自立度、ヒュージョーンズ分類、呼吸ケア 20 7.8
評価方法 期末試験100%にて評価する。
評価基準 評語
    学習目標をほぼ完全に達成している・・・・・・・・・・・・・ S (100~90点)
    学習目標を相応に達成している・・・・・・・・・・・・・・・ A (89~80点)
    学習目標を相応に達成しているが不十分な点がある・・・・・・ B (79~70点)
    学習目標の最低限は満たしている・・・・・・・・・・・・・・ C (69~60点)
    学習目標の最低限を満たしていない・・・・・・・・・・・・・ D (60点未満)
教科書 ①臺有桂,石田千絵他編,地域療養を支えるケア,第7版,メディカ出版,¥3,672/②臺有桂,石田千絵他編,在宅療養を支える技術,第2版,メディカ出版,¥3,024
参考文献 押川真喜子監修,写真でわかる訪問看護,アドバンス,インターメディカ,¥3996/篠崎惠美子著,事例から学ぶ 地域・在宅看護論,医学書院,¥2,420/島内節,内田陽子編著,在宅におけるエンドオブライフ・ケア,ミネルヴァ書房,¥2,860
実験・実習・教材費