区分 学部共通科目
ディプロマ・ポリシーとの関係
(心)専門的知識と実践的能力 (心)分析力と理解力 (心)地域貢献性
(環)専門性 (環)理解力 (環)実践力
カリキュラム・ポリシーとの関係
(心)課題分析力 (心)課題解決力 (心)課題対応力
(環)専門知識 (環)教養知識 (環)思考力 (環)実行力
カリキュラム全体の中でのこの科目の位置づけ
本科目は学部共通科目のなかでも、1年次の必修科目として設置されており、大学で学ぶ専門分野の諸課題を総合的に捉えるための学問的基礎を身につける科目として位置づけられている。
科目の目的
本科目は、本学での四年間の学びの基礎を成すところのリテラシー、すなわち、人間環境学の理念を現実化していくための方途としての基礎的学術技法の会得を目指すものである。具体的には、学術的な文章の内容を、その論理的な構造の正確な把握の上に立って十全に理解・批判するための文章読解能力、および、明晰かつ論理的な文章でもって、しかもアカデミックなマナーに落ち度のない形で学術的なレポートを構成するための文章執筆能力の涵養を企図する。
到達目標
学術的な文献の論理構造を正確に把握し、その内容を要約することができる。また、学術的なレポートについて、その主題にふさわしい文献をアカデミックマナーに則って引用しつつ、論理的な議論を構成し、明晰な文でもってこれを執筆することができる。具体的には、後に示す履修判定指標の各項目を参照のこと。
科目の概要
大学の学びにおいては、学術的な文章を読んだり書いたりすることが毎日のように行われる。しかし、普段から私たちは日本語の文章の読み・書きをしているため、それをあらためて大学生になってまで教わる必要はない、と考える人がいるかもしれない。あるいは、読み・書きの力というのは、ある種の才能に依存するものであって、それは学習によって容易に向上するものではないという、諦めに近い気持ちを抱いている人もいるかもしれない。

しかし、実際には、学術的な文章を読むこと・書くことには、日頃の文章の読み・書きとは異なる特定の約束事があり、その約束事には、分野ごとで小さな違いがあるものの、共通した部分もある。また、学術的な文章は、それ以外の文章と比べて、論理性が高く、それを的確に読んだり、実際に自分で書いたりするためには、ある種の学習が必要である。そこで本講義では、こうした学術的な文章の読み・書きについて学習するための機会を提供し、受講生各自が本科目の履修後に、広大な知の世界を自由に歩き回ることができるようになることを目指す。本講義は、教員の指導の下、他の受講生と共に、自信をもって、その第一歩を踏み出すものである。

具体的には、第一回において、コマシラバスの使用法を中心に今後の講義を受講する上で留意すべき点を確認した上で、第二回から第七回にかけては、学術的な文章を読むための視座として、種々の読解の方法・段落への着目・接続詞の用法(本講義では接続詞の使用については論理的な文章の肝として徹底的にこだわりたい)といった点をレクチャーする(これを本講義第Ⅰ部「読解編」とする)。その後、第八回から第十五回にかけては、レポートの構成や引用の方法といったアカデミックマナーを講じた上で、より明晰で論理的な文章を書くことができるよう、修飾・被修飾関係を明確にする語順、読点の打ち方、「は」と「が」の使い分け、さらには接続詞・指示詞・予告文の用法について確認し、最終的に受講生各自が期末課題として、初めての学術レポートを提出するに至るまでを指導する(これを本講義第Ⅱ部「執筆編」とする)。なお、第七回・第十三回は、それまでの講義内容を復習するための「復習コマ」とする。

科目のキーワード
①コマシラバス、②接続詞、③指示詞、④先行オーガナイザー、⑤パラグラフ・ライティング、⑥修飾、⑦図書館、⑧要約、⑨引用、⑩批判
授業の展開方法
本科目は、前にも述べた通り、第Ⅰ部「読解編」と第Ⅱ部「執筆編」とに大きく分かれている。ただし、第Ⅰ部で「読み手」の立場から学んだことの多くは、第Ⅱ部で「書き手」の立場からあらためて取り上げられることになるため、第Ⅰ部と第Ⅱ部とは独立しているわけではなく、むしろ両部の学習内容には有機的なつながりがあり(読解技法の要点は、裏を返せば、執筆技法の要点でもある)、その学習内容は第Ⅰ部から第Ⅱ部へと進行するにしたがって深まっていくことになる。

【第Ⅰ部「読解編」】
さて、まずは第Ⅰ部「読解編」の具体的な授業展開についてである。第Ⅰ部では、文章読解のための視座を担当教員から順次レクチャーしていくが、それにあたっては、教員の選定した学術的な文章をアカデミックな現場の実例として使用する。(第Ⅰ部で輪読する文献については、学科全体で、そのレベルを完全に統一するか、もしくは、同一の文献を用いることとする。具体的には、中井久夫『西欧精神医学背景史』(みすず書房)のレベルの文献で、しかも接続詞の使用等の文章の分析に適ったものを選定する。)。なお、第Ⅰ部の最終的な目標は、教員の指定した学術的な文章について、その論理構造を正確に把握した上で、400字程度で要約する、というものである。(第七回講義終了後から第八回講義までの間の指定された期日に、要約した文章を担当教員まで提出すること。)

【第Ⅱ部「執筆編」】
つぎに第Ⅱ部「執筆編」の展開方法についてである。第Ⅱ部では、第Ⅰ部の最後に各受講生の作成した要約文や、コマごとに適宜学生に提出を求めるレポートの途中経過を題材として、学術レポート執筆のための要点を教員がレクチャーしていく(執筆過程における担当教員への相談は主に各教員のオフィスアワーを利用すること。本科目はオフィスアワーとの連携を密にするものである)。なお、第Ⅱ部の最終的な目標は、言うまでもなく期末レポートの完成である。(ただし、正式なレポート提出以前に、第十三回講義終了後から第十四回講義までの間の指定された期日に、レポートを仮提出すること。第十四回・第十五回講義では、その仮提出されたレポートの中からいくつかを教員が抽出し、それをサンプルとして見直しのポイントをレクシャーする。それを踏まえて、適宜、自分自身のレポートを修正の上、第十五回終了後の指定された期日に、指定された方法で、最終版の期末レポートを正式に提出すること。)

オフィス・アワー
【水曜日】昼休み・3・4・5時限目(会議日は除く)、【木曜日】2・5時限目、【金曜日】2時限目
科目コード COM101
学年・期 1年・前期
科目名 基礎ゼミナールⅠ
単位数 2
授業形態 演習
必修・選択 必須
学習時間 【授業】90分×15 【予習】90分以上×15 【復習】90分以上×15
前提とする科目 なし
展開科目 基礎ゼミナールⅡ
関連資格 なし
担当教員名 皿谷陽子
主題コマシラバス項目内容教材・教具
1 大学への招待―コマシラバスの「使い方」― 科目の中での位置付け 本科目は、第Ⅰ部「読解編」と第Ⅱ部「執筆編」とから成る。第I部では、教員の選定した学術的な文章をアカデミックな現場の実例として用いつつ、コマ主題細目に挙げている、文章読解のための具体的な視座を順次レクチャーしていく。最終的に第Ⅰ部では、担当教員の指定した文章を400字程度で要約することが求められる。

また、第Ⅱ部では、第Ⅰ部の内容を踏まえ、文章執筆のための要点が、各コマのコマ主題細目にしたがって、各担当教員からレクチャーされる。なお、第Ⅱ部の終盤では、仮提出された各受講生のレポート課題をサンプルとして、文章執筆のポイントを再確認していく。

このコマでは、こうした本科目全体の展開の前提として、初年次演習科目としての本科目の性格に鑑み、コマシラバス(とくに「科目の中での位置付け」・「コマ主題細目」・「履修判定指標」の欄)の使用を中心に、本学での授業を受講する上での基本的な留意点を確認する。また、ノート・テイキングについても、単に板書内容を写すだけではない仕方をレクチャーする。

【コマ主題細目①】
・芦田宏直『シラバス論―大学の時代と時間、あるいは〈知識〉の死と再生について―』、晶文社、2019年、118-125頁。

【コマ主題細目②】
・学習技術研究会編『知へのステップ(第5版)』、くろしお出版、2019年、3-28頁。

・芦田宏直『シラバス論―大学の時代と時間、あるいは〈知識〉の死と再生について―』、晶文社、2019年、243-251頁。

【コマ主題細目③】
・芦田宏直『シラバス論―大学の時代と時間、あるいは〈知識〉の死と再生について―』、晶文社、2019年、166-171頁。
コマ主題細目 ① コマシラバスの使い方①―「科目の中での位置付け」と「コマ主題細目」― ② 「ノート・テイキング」 ③ コマシラバスの使い方②―履修判定指標― ④ ⑤
細目レベル ① 大学の講義では、高等学校までの授業と比して、より高度に専門的な内容が講じられる。その際には、配布資料や板書・PowerPoint等が補助的に使用されるが、ただし、高等学校までの授業とは異なり、必ずしも教科書が指定されているわけではなく、仮に教科書が指定されていたとしても、その教科書の内容自体が批判的に検討されるなどするため、一般に、大学の講義においては、その回の講義が当該科目の全ての内容の中でどのように位置づけられているのか、また、いま教員が講じている内容は当該回の全体のどの部分なのか、といったことが受講生にとって不明瞭になり、現在地点を確かめるための全体地図が喪失されているように感じることもしばしばある。

しかし、本学においては、各回の講義内容が詳細に記載されたコマシラバスが、講義科目、演習科目を問わず、全ての科目について用意されており、これは、教員にとってのペースメーカーの働きをすることはもちろんであるが、それだけにとどまらず、受講生にとっては、まさしく上でその喪失が危惧されたところの全体地図の役割を果たすことになる。

具体的には、コマシラバスの各コマ冒頭の「科目の中での位置付け」には、当該コマが講義全体の中にどのように位置づけられているかが記されており、また、各コマのコマ主題細目とその細目レベルの欄には、当該コマの中では何について論じられるのかというときの「何」と、その論じられる事柄はどの程度まで掘り下げられるのかというときの「どの程度」が記載されている。

さらに、多くの大学のシラバスにおいて見られるような、科目全体に対する参考文献の記載ではなく、各コマ主題細目に対する参考文献の記載があるため、受講生の側もコマシラバスを積極的に用いることで、それは単に講義内での全体地図として機能するだけでなく、当該専門分野の文献の参照ネットワークに分け入っていくための参照地図としても機能することになる。本学でのあらゆる科目の受講にあたって必須となる、コマシラバスの「使い方」について、まずはこの点まで押さえる。

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② 大学の講義では、コマ主題細目①で既に確認した通り、教科書を用いず講義レジュメが配布される形や、板書やPowerPointを中心に講義が展開される形などがあり、そこで講義全体ないし各コマの全体から現在地点を確認するための方途としてコマシラバスが有効であるということであったが、ただし、教科書・講義レジュメ・板書・PowerPoint資料はもとより、コマシラバスをもってしても、教員によって講じられる内容の全てがそこで文章化されるには至らないため、受講生は自筆で「ノート」をとることが必要になる。

ただし、「ノート」とは言っても、そこで求められるのは、高等学校までの授業ノートでしばしば見られるような、教員が板書した内容を、ただそのまま書き写すだけのものではなく(その習慣が抜けないためか教員の配布したPowerPoint資料をそのままノートに書き写している学生さえ稀に見受けられる)、むしろ、教科書・講義レジュメ・板書・PowerPoint資料、そしてコマシラバスには記載されていないことで、それを超えて教員が講じたような内容をこそ、(例えば教科書、配布資料、あるいは板書を写したノートなどに、「斜め書き」(蛍光ペンなどを用いる代わりにその手間を省いて文字を縦でも横でもなく斜めに書いて目立つようにすること)をするなどして)積極的に書き込むべきである。

教員が各回で講じる内容は、配布資料や板書、コマシラバスにおいて書き尽くされているかに思われるが、実際の講義においては、論じようとしている内容そのものを相対化するような説明が行われることもしばしばあるため、これを大学教員の有する学術的に高度な視点を得るための絶好の機会と捉えた上で、板書内容の単なる模写に止まらない「斜め書き」を加えることが、学術的な創造性という点においては決定的に重要である。大学における「ノート・テイキング」のポイントについて、以上の点まで押さえる。

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③ 大学の講義では、その科目の最終的な評価は筆記試験やレポートによって行われることがほとんどであるが、一般に多くの大学においてしばしば見られるように、「○○について知るところを述べよ」といった形の問いに対する回答によって期末評価がなされる場合には、実際のところ、どういった観点から評価がなされており、その観点についてどの水準まで到達することが求められているのかという点が、(受講生にとっても担当教員にとっても)不明瞭である。このことは、成績評価の透明性という観点からも無論問題として取りあげられるべきであろうが、受講生の側からすれば、それだけにとどまらず、そもそも自分が履修しているある科目について、どの点について、どのレベルまで到達することを目指せばよいのかが分からない、という切実な問題にも直結する。

そこで本学のコマシラバスにおいては、末尾に「履修判定指標」なる項目が設けられており、受講生はこの箇所を折にふれて参照することによって、最終的な目標地点はどこであり、その目標地点に対して自分はどこまで到達しているのか(まだどれくらいの距離があるのか)ということを明確に知ることができるようになっている。つまり、コマシラバスは、(コマ主題細目①で見てきたような)講義内容全体から見た現在地を知るための地図であるにとどまらず、最終的な到達目標から見た現在地を知るための地図としての役割も果たすわけである。コマシラバスの使い方について、コマ主題細目①の内容からさらに進んで、この点まで理解する。



キーワード ① コマシラバス ② 科目の中での位置付け ③ コマ主題細目 ④ 履修判定指標 ⑤ ノート・テイキング
コマの展開方法 社会人講師 AL ICT PowerPoint・Keynote 教科書
コマ用オリジナル配布資料 コマ用プリント配布資料 その他 該当なし
小テスト 「小テスト」については、毎回の授業終了時、manaba上において5問以上の、当該コマの小テスト(難易度表示付き)を実施します。
復習・予習課題 【本コマの復習】
本コマで学んだ、コマシラバスの使い方の復習として、本科目本コマの「科目の中での位置付け」・「コマ主題細目」・「細目レベル」、および、コマシラバス末尾の「履修判定指標」の内容を確認し、実際に本コマの90分の内容を振り返りながら、どのコマ主題細目の内容がどのように扱われていたのか、授業の実際とコマシラバスとの対応を振り返る。また、「履修判定指標」の水準に到達するために、今後どのようなことを学んでいくのかを、次コマ以降の内容に目を通すことで確かめておく。

また併せて、『知へのステップ』3-28頁を読み、本コマで確認した、高等学校までの授業と大学の講義との違いをあらためて確認し、大学での学習において必要となる基本的なリテラシーにはどのようなものがあるのか再度押さえておく。

【次コマの予習】
次コマでは、文章読解の技法を具体的に学んでいくことになる。それにあたって、『知へのステップ』29-33頁にあらかじめ目を通しておくと共に、29-30頁に掲載されている課題に取り組んでおく。

また、ここではテキストの重要な箇所にマーキングすることが課題となっているが、それと併せて、次コマに学ぶ「スキャニング」や「スキミング」という読解技術のための基礎訓練として、ここに掲載されている文章の各段落を30秒程度で読み、その各要旨を30文字程度でまとめられるかどうか試みておく。

2 学術的な文章読解の視座1―素早く文意を見抜くために― 科目の中での位置付け 本科目は、第Ⅰ部「読解編」と第Ⅱ部「執筆編」とから成る。第I部では、教員が選定した学術的な文章をアカデミックな現場の実例として用いつつ、コマ主題細目に挙げている、文章読解のための具体的な視座を順次レクチャーしていく。最終的に第Ⅰ部では、担当教員の指定した文章を400字程度で要約することが求められる。

また、第Ⅱ部では、第Ⅰ部の内容を踏まえ、文章執筆のための要点が、各コマのコマ主題細目にしたがって、各担当教員からレクチャーされる。なお、第Ⅱ部の終盤では、仮提出された各受講生のレポート課題をサンプルとして、文章執筆のポイントを再確認していく。

本コマは、第Ⅰ部「読解編」の着手点にあたるものであり、「文章読解の視座1」として、素早く文意を見抜くための技法に習熟することを目指す。テキストの読み方には、おおまかに「スキャニング」、「スキミング」、「クリティカル・リーディング」といった種類があると考えられるが、本コマではこのうちの「スキャニング」および「スキミング」を扱う。

【コマ主題細目①】
・学習技術研究会編『知へのステップ(第5版)』、くろしお出版、2019年、33頁。

・石黒圭『「読む」技術―速読・精読・味読の力をつける―』、光文社新書、2010年、36-38頁。

【コマ主題細目②】
・学習技術研究会編『知へのステップ(第5版)』、くろしお出版、2019年、33頁。

・石黒圭『「読む」技術―速読・精読・味読の力をつける―』、光文社新書、2010年、39-42頁、56-64頁。

【コマ主題細目③】
・石黒圭『「読む」技術―速読・精読・味読の力をつける―』、光文社新書、2010年、39-42頁、70-72頁。
コマ主題細目 ① スキャニングの技法 ② スキミングと知識の枠組みとしてのスキーマ ③ スキミングの技法 ④ ⑤
細目レベル ① 『知へのステップ』33頁には、「スキャニング(scanning)」について、これは、「特定の情報をねらって、重点的にすばやく読む方法」とある。この『知へのステップ』の記述を補って、より詳細に言うと、この「スキャニング」という読みの技術は、例えば、報告書の本文に含まれているあるキーワードを探す場合や、電話帳で目的の店舗の名前を見つけ出す場合などに用いられるものであり、この読み方の場合には、当然ながら、探索している内容以外の情報はほとんど頭に入ってこないことになる。

とはいえ、まずはスキャニングによって「画像取得」・「文字認識」のレベルで特定のキーワードを見つけ出し、そこから、その部分を中心として意味や内容の理解に進んでいく、という技術は、今後大学の講義や演習において大量のテキスト情報を処理していくにあたって、必要不可欠の技術でもある。ここでは、具体的に、教員の提示した400字程度の文章の中から特定の語を8秒以内に見つけ出すことができるレベルまで、スキャニングの技術の訓練を行う。

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② 『知へのステップ』33頁には、「スキミング(skimming)」について、これは、「文章の大意をつかむために、すばやく文章全体に目を通して、ざっと意味をすくい取って理解する方法」とある。実際、「スキミング」の「スキム(skim)」とは「すくい取る」という意味であり、これは、重要と思われるところをすくい取りながら読む、いわゆる「斜め読み」と呼ばれるものに近い読み方である。このスキミングにおいては、文章を貫く「話題」が何であるのかを素早く洞察し、その話題に関する知識を利用して、以降の文章の理解を迅速かつ的確に行っていくことが肝要である(なお、「スキャニング」と「スキミング」の主な相違点は、「スキャニング」では、画像として脳内に取り込まれたものを文字として認識する活動に定位するのに対して、「スキミング」では、文字として認識されたものを、文章の文脈や、読み手が既に有している知識の枠組みから特定の意味に変換していく活動に定位する、という点である)。

ここで言う「話題」については、「スキーマ(schema)」という、ドイツの哲学者カントが18世紀に出版した『純粋理性批判』で(現象をカテゴリーの下に包摂する媒介的役割を果たすものとして)用いられ、その後、認知心理学者バートレットが『想起の心理学』において提唱して広く普及した概念を念頭に置くことで、その理解が容易になる。

「スキーマ」とは、構造化、一般化された知識の枠組みを指し、文章理解においては、このスキーマの働きによって、文章が一貫したものとして捉えられるようになる。例えば、次の文章を、これが何について書かれたものなのかを意識して読んでみよう。

「鉄のくさりを両手で握って、行ったり来たりをくり返す。最初はゆっくりしているが、次第に速くなる。しかし、ゆっくりでも速くても、リズムはつねに一定である。立つこともできるし、座ることもできる。並んですることもある。」

これは実際には「ブランコ」についての文章(ブランコを「話題」とする文章)であり、そのことが分かった瞬間に、私たちにはブランコについてのスキーマ(知識の枠組み)が働き、上の文章内の各表現をブランコの形状や機能に結びつけて考えることができる。ここでは、「スキミング」の技術に関して、まずは、その文章が何について書かれた文章なのか、という「話題」を捉え、スキーマを働かせることが文章理解を迅速かつ効率的にする、ということまで押さえる。

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③ コマ主題細目①では、「スキミング」の読み方について、それを行う際には「スキーマ」を素早く働かせられるよう、当該の文章の「話題」を迅速に捉える重要性を確認した。ここでは、では文章の「話題」を知るためには、どのような点に留意すればよいのかを押さえる。

これを知るためのもっとも簡便な方法としては、本の書名、記事の見出し、論文の目次などを見ることである。文章の冒頭に示されるこれらのものは、文章の究極の要約として機能し、読むかどうかの選別に役立つだけでなく、実際に読みはじめたときの内容理解を補助するスキーマとしても機能することになる。また、文章の書き出しの一文、さらには最初の一段落に注意して読むように留意することによって、その後の文章の内容理解を助けるスキーマが得られることも多々ある。ここでは、上に提示したスキミングを行う際の留意点を踏まえた上で、教員によって提示される800字程度の文章を30秒以内で読み、筆者が言いたいことを30文字程度でまとめられる程度まで、スキミングの技術に習熟する。



キーワード ① スキャニング ② スキミング ③ 話題 ④ スキーマ ⑤ 理解
コマの展開方法 社会人講師 AL ICT PowerPoint・Keynote 教科書
コマ用オリジナル配布資料 コマ用プリント配布資料 その他 該当なし
小テスト 「小テスト」については、毎回の授業終了時、manaba上において5問以上の、当該コマの小テスト(難易度表示付き)を実施します。
復習・予習課題 【本コマの復習】
本コマでは、400字程度の文章を8秒程度で読んで、特定の語を見つけ出したり、800字程度の文章を30秒で読んでそのポイントを30文字でまとめられたりする力を身につけることを目指してきたのであった。本科目のコマシラバスの各コマ主題細目の文字数は、短いもので400字、長いもので800字程度のものが多いので、これを利用して、短めのコマ主題細目を8秒程度で読んでキーワードを見つけたり、長めのコマ主題細目を30秒以内に読んでそのポイントをまとめられるように訓練しておく。

【次コマの予習】
次コマで「クリティカル・リーディング」の技法について学ぶことに備えて、まずは『知へのステップ』34-40頁に目を通し、不明な点がないかどうかを確認しておく。とりわけ、同著34-35頁については授業内では扱わず、むしろそこでふれられている内容を今後、同著の内容以上に深いレベルまで扱っていくことになるので、上記頁の事前理解は必須である。35頁に掲載されている「接続語の例」をランダムに組み合わせて、自由なテーマで400字程度の文章が作成できるようにしておくこと。

3 学術的な文章読解の視座2―要点の的確な把握・段落・接続詞― 科目の中での位置付け 本科目は、第Ⅰ部「読解編」と第Ⅱ部「執筆編」とから成る。第I部では、教員が選定した学術的な文章をアカデミックな現場の実例として用いつつ、コマ主題細目に挙げている、文章読解のための具体的な視座を順次レクチャーしていく。最終的に第Ⅰ部では、担当教員の指定した文章を400字程度で要約することが求められる。

また、第Ⅱ部では、第Ⅰ部の内容を踏まえ、文章執筆のための要点が、各コマのコマ主題細目にしたがって、各担当教員からレクチャーされる。なお、第Ⅱ部の終盤では、仮提出された各受講生のレポート課題をサンプルとして、文章執筆のポイントを再確認していく。

本コマは、第Ⅰ部「読解編」の「文章読解の視座2」として、(前コマに「スキャニング」、「スキミング」に習熟したことを踏まえて)「クリティカル・リーディング」の技法の概要を、段落と接続詞への着目を中心に学ぶ。また、次コマ・次々コマにかけて、とくに上の技法のうちの接続詞への着目に関して、より詳細に学んでいくことになるが、本コマはその取り掛かりのコマでもあり、まずは、「よって」に代表される順接の接続詞について見ていく。

【コマ主題細目①】
・学習技術研究会編『知へのステップ(第5版)』、くろしお出版、2019年、36-40頁。

【コマ主題細目②】
・石黒圭『段落論―日本語の「わかりやすさ」の決め手―』、光文社新書、2020年、168-172頁。

【コマ主題細目③】
・石黒圭『文章は接続詞で決まる』、光文社新書、2008年、60-67頁。
コマ主題細目 ① クリティカル・リーディングの技法 ② 接続詞と段落 ③ 順接の接続詞「よって」 ④ ⑤
細目レベル ① 『知へのステップ』33頁には、「クリティカル・リーディング(critical reading)」について、これは、「内容を理解した上で、その内容を分析し、自分の意見や考えをもち、ときには批判的に読む方法」とある(学術的な「批判」とは、相手の主張を闇雲に否定するということではなく、むしろ相手の主張がどこまで正しいのかを吟味するということを意味する。したがって、「批判」の結果、相手の主張が全て正しいことが確認されることも当然ありうる)。

このレベルの読みをする際には、文章全体の内容を理解するために、文章を構成している文と文との論理的な関係を把握し、各段落の要旨を的確に押さえていく必要がある。まずは、『知へのステップ』36-40頁に沿って、そこに掲載されている文章を読解しつつ、分析的に読むにあたっての留意点を広汎に押さえていく。

具体的な留意点としては、

(1)前コマのコマ主題細目③で取り上げたような、文の見出しや、段落冒頭の文、文章の最初の段落に注意して内容理解のスキーマを働かせるという点、
(2)文と文との論理的な関係を接続詞に着目しながら捉えるという点、
(3)各段落の主張の要点を押さえると共に、段落と段落との関係も的確に理解するという点、

という、主に三点が挙げられる。

ここでは、まずは『知へのステップ』36-40頁に掲載されている文章とその説明に沿って、「クリティカル・リーディング」においてポイントとなる三つの点を押さえる。

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② ② 本コマのコマ主題細目①においては、(1)~(3)のポイントが挙げられたが、そのうちの(1)については前コマのコマ主題細目③で既に扱った。本講義第Ⅰ部では、次のコマ主題細目以降、上の(2)の接続詞に関するポイントを中心に、『知へのステップ』の内容から進んで、担当教員の選定した学術的な文章に用例を求めつつ、さらに具体的に見ていくことになる。(3)の段落に関するポイントについては、(2)の理解から派生的に捉えられる面も大いにあるが、このコマ主題細目では、とくに(3)について、段落と接続詞との関係について押さえておきたい。

段落は、視覚的に目立つ単位であり、とりわけその先頭は目に留まりやすいものである。そのため、段落の先頭に接続詞があると、その接続詞は読者の目を惹くことになる。今後見ていくように、文の先頭にある接続詞には文と文とをつなぐ働きがあるわけであるが、それと同様に、段落の先頭にある接続詞は段落と段落とをつなぐ働きをする。言い換えれば、段落の先頭にある接続詞は、いわば箇条書きの先頭にある記号や数字のようなものであり、「・」・「※」・「→」や「I」・「⑴」・「①」のような働きをしている、ということになる。

そのため、段落の先頭にある接続詞を頼りに文章を読んでいくことで、正確かつ効率的に文章の流れをつかむことが可能になる。ここでは、担当教員の用意した1600字程度の文章について、段落冒頭の接続詞に留意しながらこれを読み、150~200字程度でその要旨をまとめられるレベルまで、接続詞と段落の関係について習熟する。

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③ ここでは、接続詞の中でも、学術的な文章において決定的に重要な役割を果たす「よって」等の「順接の接続詞」について見ていく(以下の接続詞に係る内容については、担当教員によって実際の学術的な文章の中の用例が示される)。順接の接続詞は、条件関係に従った論理的な帰結を予告するものであり、これはさらに、「よって」・「したがって」・「ゆえに」・「そのため」・「だから」といった確定条件を表すものと、「それなら」・「そうであれば」といった仮定条件を表すものとに分類される。

【③-1 確定条件を表す順接の接続詞「よって」・「したがって」・「ゆえに」】
例えば、確定条件とは、「今年の夏は猛暑であった。よって、ビールがよく売れた」といったものであり、一方、仮定条件とは、「今年の夏は猛暑であるかもしれない。それなら、ビールはよく売れるだろう」といったものである。つまり、「今年の夏が猛暑である」という事柄が事実であれば確定条件に、見込みであれば仮定条件になる。確定条件を表す接続詞群の中では、学術的な文章においては、「よって」・「したがって」・「ゆえに」といった、数学の証明問題に用いられるような接続詞が、論理的必然性の高い結論に帰着する際に好んで用いられる。

【③-2 確定条件を表す順接の接続詞「だから」】
「だから」もまた順接の接続詞であり、因果関係を表す接続詞として一般的なものであるが、ただし、「だから、やめとけと言ったんだ」といったような会話文で用いられる「だから」が、もはや因果関係を表していないことからも分かるように、あらかじめ用意していた結論に強引に結びつけるような語感があるため、上記の「よって」・「したがって」・「ゆえに」と較べると、学術的な文章で用いられる頻度は小さい。

【③-3 仮定条件を表す順接の接続詞「そうであれば」】
なお、仮定条件を表す接続詞群については、学術的な文章の中では、例えば、接続詞「そうであれば」などが、「Aという仮説が正しいと前提して推論するならばBという結論が得られるが、実際にはどうであろうか」といった論理展開をする上で用いられることがある。順接の接続詞に関する要点を、担当教員の用意した学術的な文章の中から実際の用例を見つつ、以上の点まで理解する。



キーワード ① クリティカル・リーディング ② スキーマ ③ 段落 ④ 接続詞 ⑤ 「よって」
コマの展開方法 社会人講師 AL ICT PowerPoint・Keynote 教科書
コマ用オリジナル配布資料 コマ用プリント配布資料 その他 該当なし
小テスト 「小テスト」については、毎回の授業終了時、manaba上において5問以上の、当該コマの小テスト(難易度表示付き)を実施します。
復習・予習課題 【本コマの復習】
今回のコマで順接の接続詞について学んだことのポイントの一つとして、順接の接続詞が確定条件を表すものと、仮定条件を表すものとに分けられる、ということがあった。確定条件の文例と、仮定条件の文例を自身で作成できるようにしておく。とりわけ、仮定条件を表す接続詞「そうであるならば」の使用に習熟することは、高度に論理的な文章を構成する上で重要であるので、今回講義内で学んだ例文を参考にして、「そうであるならば」を用いた分を作成できるようにすること。

【次コマの予習】
次コマでは、「しかし」に代表される逆接の接続詞と、「そして」に代表される順接の接続詞について学ぶ。新聞や雑誌等で「しかし」の用いられている箇所を探し出し、その「しかし」の用いられ方は一様なものであるのか、もし違いがあるとすれば、それはどのような違いなのか、という点についてまとめておく。それと併せて、「しかし」の用いられている文章の例を、三つ以上抜き書きしてノート等に書いておくこと。

4 学術的な文章読解の視座3―「論理」と「整理」の接続詞― 科目の中での位置付け 本科目は、第Ⅰ部「読解編」と第Ⅱ部「執筆編」とから成る。第I部では、教員が選定した学術的な文章をアカデミックな現場の実例として用いつつ、コマ主題細目に挙げている、文章読解のための具体的な視座を順次レクチャーしていく。最終的に第Ⅰ部では、担当教員の指定した文章を400字程度で要約することが求められる。

また、第Ⅱ部では、第Ⅰ部の内容を踏まえ、文章執筆のための要点が、各コマのコマ主題細目にしたがって、各担当教員からレクチャーされる。なお、第Ⅱ部の終盤では、仮提出された各受講生のレポート課題をサンプルとして、文章執筆のポイントを再確認していく。

本コマは、第Ⅰ部「読解編」の中の「文章読解の視座3」として、前コマに学んだ「クリティカル・リーディング」の技法のうちの、接続詞への着目という点について詳細に学んでいく。今回は、「しかし」に代表される逆接の接続詞の用法について集中的に学んだ後に、「そして」に代表される並列の接続詞についても、担当教員の用意した学術文献を例に、文章読解上ポイントになる点を見ていく。なお、本コマのコマシラバス記載の接続詞の中で扱えなかったものがある場合には、適宜復習コマを利用して教員がレクチャーするなどして補足する。

【コマ主題細目①】
・石黒圭『文章は接続詞で決まる』、光文社新書、2008年、67-68頁。

【コマ主題細目②】
・石黒圭『文章は接続詞で決まる』、光文社新書、2008年、68-69頁、81-83頁。

【コマ主題細目③】
・石黒圭『文章は接続詞で決まる』、光文社新書、2008年、88-101頁。
コマ主題細目 ① 逆接の接続詞「しかし」(条件関係を前提とする用法) ② 逆接の接続詞「しかし」(並列関係を前提とする用法) ③ 並列の接続詞「そして」 ④ ⑤
細目レベル ① 前コマのコマ主題細目③で見た確定条件と仮定条件の接続詞はいずれも順接であり、「こうなればこうなる」という前提をなぞるものであったが、一方、ここで扱う逆接の接続詞は、「こうなればこうなる」という前提に反することを予測する表現である。つまり、「こうなってもこうならない」、「こうなったけどこうならなかった」ということを表すものだと言える。

例えば、「室内の温度が30℃を超えていた。それゆえ、多くの人はクーラーを入れた」といった、自然な条件関係をなぞる場合には、順接の接続詞「それゆえ」が用いられるわけであるが、それに対して、「室内の温度が30℃を超えていた。しかし、多くの人はクーラーを入れなかった」というように、その条件関係に反する場合には、逆接の接続詞「しかし」を用い、予想に反する結果を予告する。まずは、逆接の接続詞について、順接の接続詞と同様に条件関係を前提とする用法を、担当教員の選定した学術的な文章を例として、上のレベルまで押さえる。

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② 逆接の接続詞「しかし」には、コマ主題細目①で見てきたような条件関係を前提とする用法以外にも、並列関係を前提とする用法がある。例えば、「私の名前は山田太郎である。しかし、彼の名前は山田太郎ではない」といった文においては、「私の名前が山田太郎である」ことは「彼の名前が山田太郎である」ための条件関係を構成するものではなく、むしろ「私の名前が山田太郎である」ことと「彼の名前が山田太郎である」こととは(「山田太郎」という同じ名前をもっている点で)並列関係にあり、「しかし」は、(実際には「彼」は「山田太郎」という名前をもっていないという点で)その並列関係を否定する役割を果たしている。

ちなみに、並列関係を肯定する場合には、「私の名前は山田太郎である。しかも、彼の名前も山田太郎である」というように、接続詞「しかも」が用いられる。このように、逆接の接続詞には、「しかも」と対になるような、並列関係を否定する用法があることも併せて押さえる。

以上のように逆接の接続詞には、「よって」と対になる用法、「しかも」と対になる用法の二つが主にある。ちなみに、「しかし」以外に学術的な文章で頻繁に使用される逆接の接続詞の例としては、「だが」・「ところが」・「にもかかわらず」などがある。このうちの、「ところが」や「にもかかわらず」は、「しかし」や「だが」と比べて、より予想に反する内容が後続することを表現することができる、という点も押さえる。

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③ 本コマでは、並列の接続詞と対比の接続詞についても、担当教員の選定した文章の中から用例を見つつ学んでいく。並列の接続詞には、「そして」・「また」・「かつ」といったものがある。文章を執筆する際には、とりわけ「そして」の系統の接続詞は、過剰に使用してしまいがちであるため注意が必要であるが(この点については本講義の第Ⅱ部の文章執筆編で詳しく扱う)それに比して文章を読解する上での留意点が少ないと言える。

【③-1 並列の接続詞「そして」】
ここでは、これらの並列の接続詞群について、読解の際の要点に絞って見ていきたい。まず、並列の接続詞の代表的なものである「そして」についてであるが、読解の上で重要なのは、この接続詞は、単なる並列関係を表す際に用いられる頻度は小さく、むしろ最後に一つ重要な情報を付け加えられる際に使用されることが多い、という点である。例えば、「この研究の意義としては、A、そしてB、そしてCという点が挙げられる」という文からは、「そして」の繰り返しに無理が感じられるのに対して、「この研究の意義としては、A、B、そしてCという点が挙げられる」という文は、より自然に読むことができる。このように、接続詞「そして」には、並列的な情報がここで終わる、ということを表す役割があることを押さえる。

【③-2 並列の接続詞「また」・「かつ」・「および」・「ならびに」】
また、学術的な文章の中では「そして」の他に、「また」という並列の接続詞が用いられることがあるが、この「また」は、上に挙げた「そして」と比べて用法上の制約が少なく、文と文、あるいは段落と段落などを結びつける「&」に相当する働きが主である。ちなみに、学術的な文章で頻繁に用いられる並列の接続詞には、他に、「かつ」・「および」・「ならびに」といった「A∧B」の「∧」に相当するものもある。並列の接続詞について、以上の点まで理解する。



キーワード ① 「しかし」 ② 「ところが」 ③ 「しかも」 ④ 「そして」 ⑤ 「また」
コマの展開方法 社会人講師 AL ICT PowerPoint・Keynote 教科書
コマ用オリジナル配布資料 コマ用プリント配布資料 その他 該当なし
小テスト 「小テスト」については、毎回の授業終了時、manaba上において5問以上の、当該コマの小テスト(難易度表示付き)を実施します。
復習・予習課題 【本コマの復習】
本コマでは、逆接の接続詞と並列の接続詞について学んだが、学術的な文章を読解したり執筆したりする上でとりわけ重要なのは、「しかし」に代表される逆接の接続詞の用法の種類である。とはいえ、本コマで学んだ、逆接の接続詞の、条件関係を否定する用法と、並列関係を否定する用法との区別は、難易度が高いものでもある。これに習熟するために、並列関係を否定する「しかし」の例文を、自ら三つ以上作成できるようにしておくこと。

【次コマの予習】
次コマでは、文章の内容理解を補助する接続詞や、文章の展開を予告する接続詞について学んでいく。とくに前者の内容理解を補助する接続詞の中には、文にナンバリングする働きをもつ列挙の接続詞があり、これは学術的な文章においても頻出するものである。具体的には、この接続詞群は、(1)「第一に」・「第二に」・「第三に」というタイプ、(2)「最初に/はじめに」・「つづいて/ついで」・「その後」というタイプ、(3)「まず」・「つぎに」・「さらに」というタイプがある。次コマへの予習として、この(1)・(2)・(3)の各グループの列挙の接続詞を使って文章を作成しておくこと。

5 学術的な文章読解の視座4―「理解」と「展開」の接続詞― 科目の中での位置付け 本科目は、第Ⅰ部「読解編」と第Ⅱ部「執筆編」とから成る。第I部では、教員が選定した学術的な文章をアカデミックな現場の実例として用いつつ、コマ主題細目に挙げている、文章読解のための具体的な視座を順次レクチャーしていく。最終的に第Ⅰ部では、担当教員の指定した文章を400字程度で要約することが求められる。

また、第Ⅱ部では、第Ⅰ部の内容を踏まえ、文章執筆のための要点が、各コマのコマ主題細目にしたがって、各担当教員からレクチャーされる。なお、第Ⅱ部の終盤では、仮提出された各受講生のレポート課題をサンプルとして、文章執筆のポイントを再確認していく。

本コマは、第Ⅰ部「読解編」の中の「文章読解の視座4」として、前々コマ・前コマと継続して学んできている、文章読解上ポイントになる接続詞の用法について見る。具体的には、対比の接続詞、列挙の接続詞に続き、文章内容の理解に関わる換言・例示・補足の接続詞、そして文章の展開に関わる転換・結論の接続詞について、担当教員の用意した学術文献に用例を求めつつ学び、第Ⅰ部での接続詞についての学習の区切りとする。なお、本コマのコマシラバス記載の接続詞の中で扱えなかったものがある場合には、適宜復習コマを利用して教員がレクチャーするなどして補足する。

【コマ主題細目①】
・石黒圭『文章は接続詞で決まる』、光文社新書、2008年、101-114頁。

【コマ主題細目②】
・石黒圭『文章は接続詞で決まる』、光文社新書、2008年、116-125頁。

【コマ主題細目③】
・石黒圭『文章は接続詞で決まる』、光文社新書、2008年、126-138頁。

【コマ主題細目④】
・石黒圭『文章は接続詞で決まる』、光文社新書、2008年、140-152頁。
コマ主題細目 ① 対比の接続詞「一方」・列挙の接続詞「第一に」 ② 換言の接続詞「つまり」 ③ 例示の接続詞「例えば」・補足の接続詞「ただし」 ④ 転換の接続詞「さて」・結論の接続詞「このように」 ⑤
細目レベル ① ここでは対比の接続詞と列挙の接続詞について見ていく。

【①-1 対比の接続詞「一方」・「他方」・「それに対して」・「反対に」・「反面」・「逆に」】
対比の接続詞は、大きく、「一方」の系統のものと、「または」の系統のものとに分けることができる。「一方」の系統のものとしては他に、「他方」、「それに対して」、「反対に」、「反面」、「逆に」が含まれる。これらの系統の接続詞群は、対立を表すものであり、その中では「一方」の使用頻度が最も高い。「反対に」・「反面」・「逆に」は、前後の文脈が文字通り反対でなければならならず、また、「それに対して」は、「反対に」などほど厳しくはないものの、少なくとも前後が対になっている必要がある。それに対して、「一方」は、それらと比べて前後の関係を制約する程度が低く、前後が何らかの点で異なっていればよい。(前コマで学んだ「また」が、共通点を示すために比較的緩い制約のもとに用いられることと類比的に、今回学んだ「一方」は、相違点を示すものとしてやはり比較的容易く用いられるものと理解することができる。)

【①-2 対比の接続詞「または」・「もしくは」・「ないし(は)」・「あるいは」】
なお、対比の接続詞には、「または」の系統のものもある。学術的な文章で用いられる「または」の系統の接続詞群には、「もしくは」、「ないし(は)」、「あるいは」などがある。これらのうち、「または」・「もしくは」・「ないし」は、二つの中からの選択を表すのに対して、「あるいは」は、三つ以上の中からの選択を表すケースが多い。

【①-3 列挙の接続詞「第一に」・「第二に」・「第三に」等】
さらにここでは、列挙の接続詞についても見る。列挙の接続詞は、文にナンバリングする働きを持つ。具体的には、「第一に」・「第二に」・「第三に」というタイプ、「最初に/はじめに」・「つづいて/ついで」・「その後」というタイプ、「まず」・「つぎに」・「さらに」というタイプがあり、単調さを防ぐために各タイプが混在して用いられることもある。学術的な文章読解に定位する本講義の第Ⅰ部では、まずは列挙の接続詞について以上の点まで押さえる。

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② ② 本コマのコマ主題細目の2として、先行表現を端的に言い換えることを予告する「換言の接続詞」を扱う。「換言の接続詞」は、「つまり」の系統のものと、「むしろ」の系統のものとに分けることができる。

【②-1 換言の接続詞「つまり」・「すなわち」・「要するに」等】
学術的な文章の中で用いられる「つまり」の系統の接続詞群には、「すなわち」・「つまり」・「要するに」・「言い換えると」・「換言すると」・「いわば」・「言ってみれば」などがある。これらのうち、「いわば」や「言ってみれば」は、「比喩的に言えば」の意味であり、前に述べたことを比喩的・象徴的な表現に言い換えるもので、読解上それほど難解な点はない。また、「すなわち」・「つまり」・「要するに」は、先行文脈の内容を言い換えるものであるが、とくに「要するに」は、内容の核心をつかんで端的に言い換えようとする際に用いられるため、文章読解の上でこれが登場した場合には、後続文脈の情報にとりわけ注意を傾ける必要がある。

【②-2 換言の接続詞「むしろ」・「かえって」】
なお、「換言の接続詞」には、「つまり」の系統のもの以外に、「むしろ」の系統のものもある。この系統の接続詞群の中で、学術的な文章の中で使用されるものとしては、「むしろ」・「かえって」などがある。これらの接続詞は、一見すると当然のように見える内容を否定し、常識的・直感的にはおかしく見える事態の方が、実のところ相対的に高い妥当性を持つ、ということを予告する接続詞だと言える。換言の接続詞のうち、「つまり」の系統のもの、「むしろ」の系統ものの用法について、担当教員の選定した文章の中での用例を見つつ、以上の点まで理解する。

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③ 本コマではさらに、例示の接続詞および補足の接続詞について見ていく。先行文脈が具体的に理解できるような例を示すことを予告するものが「例示の接続詞」、先行文脈で欠けていた理由や条件などを補うことを予告するものが「補足の接続詞」である。

【③-1 例示の接続詞「例えば」・「具体的には」・「実際」・「事実」】
まず、例示の接続詞について、これは「例えば」の系統と「とくに」の系統に分けて考えることができる。「例えば」の系統の接続詞群としては、「具体的には」・「実際」・「事実」などがあり、これらは、現実にありそうな例を具体的に示すという点に特徴がある。ちなみに、「例えば」は、学術的な文章の中でも使用頻度が非常に高い接続詞であるが、これは、具体的な例が複数ある中で、論旨が明確になりそうなものが一つ選ばれて示される、という場合に用いられるものであり、例が一つに限られる場合には用いられない。むしろ、例が一つに限られる場合には、「例えば」ではなく、「具体的には」が使用される。

【③-2 例示の接続詞「とくに」・「とりわけ」・「こと(殊)に」・「中でも」】
そして、例示の接続詞には、「とくに」の系統のものもある。「とくに」・「とりわけ」・「こと(殊)に」・「中でも」などが、この系統の接続詞に含まれ、これらの接続詞群は、先行文脈に示された内容に特別よく当てはまりそうな例を予告する際に用いられる。学術的な文章を読解する上では、これらの「とくに」の系統の接続詞が用いられる場合には、先行する内容に適う典型的な例が示されることになるため、よく注意してその部分を読む必要がある。つぎに、ここでは、補足の接続詞について見てみる。

【③-3 補足の接続詞の種類】
補足の接続詞は、文章の構造としてはそこまでの部分で既にこれが成立しているものの、内容を理解する上での情報が不足している、という場合に、情報を後から補うために用いられるものである。補足の接続詞には、理由を補足する「なぜなら」の系統のものと、関連情報を補足する「ただし」の系統のものがある。「なぜなら」の系統の接続詞には、「なぜなら」・「なぜかというと」・「というのは」・「というのも」などがあり、「ただし」の系統の接続詞には、「ただし」・「なお」・「ちなみに」などがある。

【③-4 補足の接続詞「ただし」(逆接の接続詞「しかし」との対比を含む)】
学術的な文章において「ただし」は、多くの場合、先行文脈の内容に対する例外規定や条件を補うことを予告する。実際に使用される際には、例えば、「○○の主張は日本文化の特徴を考える上で非常に示唆に富んだものである。ただし、○○の主張には、一部事実の誤認が見られる」というように用いられ、逆接の意味合いが強くなることもある。しかし、逆接の「しかし」が、先行文脈の内容と後続文脈の内容とが食い違っていることを強調するのに対して、補足の「ただし」は、あくまでも先行文脈の内容に対して後続文脈の内容のような部分的な例外があることを示そうとする、という違いがあるので注意すること。

【③-5 補足の接続詞「なお」・「ちなみに」】
また、他の補足の接続詞としては、「なお」や「ちなみに」がある。これらは、議論の本筋からは外れるが、必要な情報・参考になるかもしれない情報を示す、ということを予告する接続詞である。ちなみに、学術的な文章、とりわけ学術論文においては、これらの補足の接続詞に後続する内容は、脚注において表現されることもしばしばある。例示・補足の接続詞について、以上の点まで押さえる。

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④ 本講義の第Ⅰ部における接続詞についての学習の最後に、ここでは、転換の接続詞および結論の接続詞を扱う。

【④-1 転換の接続詞「さて」・「ところで」・「では」】
まず、転換の接続詞についてであるが、この接続詞には話題の切り替えを予告する働きがあり、学術的な文章で用いられる転換の接続詞としては、自由な連想に基づいて話題を転換する「ところで」、書き手が準備していた話題に戻す「さて」、いよいよ本題に入ることを示す「では」などが挙げられる。これらの接続詞の具体的な用例については、教員の準備した学術的なテキストを参照のこと。

なお、文章における話題の転換は、基本的には段落の変更のみで示すことができるわけであるから、あえて転換の接続詞が用いられる場合には、文章の全体構造から考えて、単なる段落の変更のみで示される話題の転換よりも、いっそう大きな話の転換が生じていることが予想される。転換の接続詞に関する文献読解上の留意点として、以上の点まで押さえる。

【④-2 結論の接続詞「このように」・「こうして」・「かくして」・「以上」・「結局」】
つぎに、結論の接続詞についてであるが、これは、それまでに述べてきた内容をまとめて最終的な結論に帰着させることを示すものである。このような、結論を示す働きは、今までに本講義において既に見てきた「だから」や「したがって」といった順接の接続詞や、「つまり」や「要するに」といった換言の接続詞にも見ることができる。これらのものに加えて、結論の接続詞として挙げられるのは、「このように」・「こうして」・「かくして」・「以上」・「結局」などである。

【④-3 接続詞とソ系列の指示詞・コ系列の指示詞】
一般に、接続詞の多くは、「それ」・「そう」・「そこ」など、ソ系列の指示詞から派生して成立するものであるが、結論の接続詞については、コ系列の指示詞から成立しているものが多数見られる。そもそもコ系列の指示詞は、文章の中心的な話題を指すときにしばしば用いられるもので、直前の語だけでなく、しばらく前に出てきた内容を指すことも可能であるから、こうしたコ系列の指示詞の性格は、先行文脈の内容の総括という、結論の接続詞の役割に適っていると言える。

【④-4 結論の接続詞「このように」】
さて、以上のようなコ系列の結論の接続詞の代表的なものとしては「このように」があり、文章全体の内容を総括する際に頻繁に用いられる。用例については、担当教員の選定してきた文章からこれを確認すること。

【④-5 結論の接続詞「とにかく」・「いずれにしても」】
ちなみに、結論の接続詞には、他にも「とにかく」・「いずれにしても」などもあるが、これらはそれまでの議論の経過を無視して強引に結論に帰着させる場合に使用されることが多いため、学術的な文章における使用頻度は低い。ただし、「いずれにしても」については、その論理性が高いとき、すなわち「いずれにしても」の「いずれ」が先行文脈から特定可能なときには、どの場合であっても同じ結論に至る、ということを予告する高度な働きをすることがある。転換の接続詞・結論の接続詞について、学術的な文章の読解のために必要な以上の点までを押さえる。


キーワード ① 「一方」 ② 「つまり」 ③ 「例えば」 ④ 「さて」 ⑤ 「このように」
コマの展開方法 社会人講師 AL ICT PowerPoint・Keynote 教科書
コマ用オリジナル配布資料 コマ用プリント配布資料 その他 該当なし
小テスト 「小テスト」については、毎回の授業終了時、manaba上において5問以上の、当該コマの小テスト(難易度表示付き)を実施します。
復習・予習課題 【本コマの復習】
今回のコマでは、文章の内容理解を補助する接続詞や、文章の展開を予告する接続詞について、多種類のものを学んだ。今回のコマシラバスを読み直してそれらについての理解を再確認した上で、今回の授業内で教員によって与えられた文章にもあらためて目を通すこと。その際には、今回学んだ接続詞が用いられている部分に注目し、その箇所で、当該の接続詞がどのような働きをしているのかを、各100文字程度で説明できるようにしておくこと。

【次コマの予習】
次コマでは大学附属図書館の機能とその利用方法について学ぶと共に、インターネット上のデータベースを用いて学術雑誌に掲載された論文を検索する方法についても習得する。そのための予習として、まずは『知へのステップ』57-82頁に目を通しておくこと。

その上で、本学附属図書館のホームページにアクセスし、キーワード検索機能を用いて、任意のキーワードを入力し、どのような書籍が表示されるのかを見る。その上で、そこで表示された任意の書籍について、「請求記号」ないし「分類」の項目に着目し、当の書籍の請求記号の数字を確かめ、ノート等に書籍名と併せて控えておくこと。

6 図書館の利用と情報収集 科目の中での位置付け 本科目は、第Ⅰ部「読解編」と第Ⅱ部「執筆編」とから成る。第I部では、教員が選定した学術的な文章をアカデミックな現場の実例として用いつつ、コマ主題細目に挙げている、文章読解のための具体的な視座を順次レクチャーしていく。最終的に第Ⅰ部では、担当教員の指定した文章を400字程度で要約することが求められる。

また、第Ⅱ部では、第Ⅰ部の内容を踏まえ、文章執筆のための要点が、各コマのコマ主題細目にしたがって、各担当教員からレクチャーされる。なお、第Ⅱ部の終盤では、仮提出された各受講生のレポート課題をサンプルとして、文章執筆のポイントを再確認していく。
本コマは、第Ⅰ部「読解編」の中に位置づけられるものであり、これまでに「読解編」では教員の指定した学術文献について、各コマの分析視角に基づいて読解を進めてきたが、ここからはさらに自らの問題意識に基づいて文献を渉猟していくことが求められる。そこで本コマでは、本学附属図書館の機能を知った上でその利用方法に習熟すると共に、さらにJ-STAGEを例として、インターネット上のデータベースで学術雑誌を検索する方法についても学んでいく。

【コマ主題細目①】
・学習技術研究会編『知へのステップ(第5版)』、くろしお出版、2019年、59-64頁。

・市古みどり編『アカデミック・スキルズ―資料検索入門―』、慶應義塾大学出版会、2014年55-58頁。

【コマ主題細目②】
・学習技術研究会編『知へのステップ(第5版)』、くろしお出版、2019年、64-66頁。

【コマ主題細目③】
・学習技術研究会編『知へのステップ(第5版)』、くろしお出版、2019年、70-82頁。

・市古みどり編『アカデミック・スキルズ―資料検索入門―』、慶應義塾大学出版会、2014年、69-74頁。
コマ主題細目 ① 大学図書館の諸機能 ② NDCと図書館蔵書の利用 ③ J-STAGEを用いた雑誌論文検索 ④ ⑤
細目レベル ① ここでは大学図書館の有する基本的な機能について学ぶ。大学図書館の機能には、図書の閲覧・貸出し、レファレンス・サービス、相互貸借といったものがある。図書の閲覧は、図書館内の資料を利用することであり、しばしば館内利用と言われる。

一般に、図書の閲覧方式には、開架式と閉架式の二種類がある。いずれの場合にも、利用者は、自らが必要とする資料を、大学図書館ウェブサイトの蔵書検索やOPAC(Online Public Access Catalog)と言われる検索システムで確認することになる。その上で、開架式の場合には、利用者が自ら書架まで足を運び実際に資料を手に取ることができるわけであるが、それに対して、閉架式の場合には、図書館司書に依頼して必要な資料を出納してもらう必要がある。

また、図書館の機能には、レファレンス・サービスもある。これは、単に文献を探すというのではなく、文献の探し方そのものについて、あるいは、どのような参考図書を利用することで問題が解決するのかということについて、図書館員に質問した上で回答してもらう、というものである。

さらに、図書館には相互貸借の機能もある。閲覧したい文献が大学図書館に所蔵されていない場合であっても、その文献が、本学の他キャンパスの図書館、他大学の附属図書館、公立図書館、国会図書館などに所蔵されている場合、本学附属図書館を通じて手続きを行うことで、これを貸出してもらうことができる。大学図書館の基本的な機能について、以上の点まで理解する。

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② 大学図書館の基本的な機能について本コマのコマ主題細目①で学んだことを踏まえて、自らが探している資料を迅速かつ的確に見つけ出すことができるようにする。そのためには、図書館資料の分類法である「日本十進法分類法」(NDC:Nippon Decimal Classification)を理解しておく必要がある。この分類では、三桁の数字で図書が分類されている。

一桁目の数字は、10に大きく区分された分野を示しており(0:「総記」、1:「哲学」、2:「歴史・世界史・文化史」、3:「社会科学」、4:「自然科学」、5:「技術・工学」、6:「産業」、7:「芸術・美術」、8:「言語」、9:「文学」)、二桁目の数字は、その10の大区分内での下位区分を、さらに三桁目の数字は、その(二桁目の数字で表されている下位区分の)さらに下位の区分を示している。

例えば、大区分1の「哲学」は、二桁目の数字でもって、11:「哲学各論」、12:「東洋思想」、13:「西洋哲学」、14:「心理学」、15:「倫理学・道徳」、16:「宗教」、17:「神道」、18:「仏教」、19:「キリスト教・ユダヤ教」というように下位区分され、これが三桁目の数字で、さらに下位区分されていくことになる。

まずここでは10の大区分を記憶した上で、コマ主題細目①で学んだ開架式の閲覧方法の習得も兼ねて、指定された3冊程度の書籍を10分以内に見つけられるところまで、大学図書館の利用に習熟する。

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③ 本コマのコマ主題細目①および②においては、大学図書館を利用した資料検索について学んだが、ここでは、インターネット上のデータベース「J-STAGE」を用いた雑誌論文の検索についても押さえる。

大学図書館にも学術雑誌は所蔵されているが、全ての学術雑誌が所蔵されているわけではなく、また、OPACでは雑誌名から学術雑誌を検索することはできるものの、当該の学術雑誌に掲載されている個々の論文名から学術論文を検索することまではできない。

そこでJ-STAGE等のデータベース(他にもGoogle Scholar等のデータベースある)を用いることで、キーワードから雑誌掲載論文を検索することができるため有用である。しかも、例えばJ-STAGEの場合では、論文本文のpdfファイルへのリンクが掲載されているため、インターネット上で容易に雑誌論文に目を通すこともできる。

ただし、日本における学術論文の電子化はまだ進行途上にあり、全ての雑誌論文をインターネット上で読むことができるわけではないため、電子化された雑誌論文だけに安易に頼ることなく、必要な文献については、仮に電子化されていないものであっても、コマ主題細目①で学んだ大学図書館における図書の相互貸借等を利用して入手することが求められる。

なお、J-STAGEにおける検索に限らず、一般にインターネット上での検索に際しては、複数のキーワード(例えば「キーワードA」と「キーワードB」)の間にスペースを空けて入力することで、「AND検索」と呼ばれる検索が行われ、「複数のキーワードの全て(上の例では「キーワードA」と「キーワードB」の両方)が含まれている」という条件での検索が行われる。

それに対して、検索時に、「複数のキーワードのうちの少なくともいずれか一つ(上の例では「キーワードA」か「キーワードB」のどちらか)が含まれている」という条件で検索をする「OR検索」も可能である。(その方法としては、例えば、キーワード間に大文字で「OR」を入力するといったものがある。)

検索結果が少なすぎる場合には「OR検索」を用いたり、反対に多すぎる場合には「AND検索」を用いたりするなど、検索方法を工夫することも、文献収集の上では重要である。以上の点を押さえた上で、実際にJ-STAGEを用い、自らが関心のある分野についての雑誌論文にアクセスできるようになるところまで、インターネット上のデータベースを用いた雑誌論文の検索に習熟する。



キーワード ① 図書館 ② OPAC ③ 相互貸借 ④ NDC ⑤ J-STAGE
コマの展開方法 社会人講師 AL ICT PowerPoint・Keynote 教科書
コマ用オリジナル配布資料 コマ用プリント配布資料 その他 該当なし
小テスト 「小テスト」については、毎回の授業終了時、manaba上において5問以上の、当該コマの小テスト(難易度表示付き)を実施します。
復習・予習課題 【本コマの復習】
本コマのコマ主題細目③で学んだ、インターネット上のデータベースJ-STAGEの使用に習熟することも兼ねて、これまでに担当教員によって与えられてきた文献を読んでいて、とくに関心をもったキーワードについて、これをJ-STAGEの検索窓に入力して、とくに興味の惹かれた論文をダウンロードして目を通しておく。

【次コマの予習】
次コマは第I部「読解編」の復習コマにあたることから、それに備えて各自で本科目のコマシラバスの第一回から第六回の部分をあらためて読み直し、理解が不十分な点がないかどうか確かめておく。またその際には、これまでに接続詞について詳細に学んできたことを踏まえ、本科目のコマシラバスの記載の接続詞の使用法に着目し、各接続詞がどのように用いられているのかを確かめておく。

7 復習コマ1―第Ⅰ部「読解編」の復習― 科目の中での位置付け 本科目は、第Ⅰ部「読解編」と第Ⅱ部「執筆編」とから成る。第I部では、教員が選定した学術的な文章をアカデミックな現場の実例として用いつつ、コマ主題細目に挙げている、文章読解のための具体的な視座を順次レクチャーしていく。最終的に第Ⅰ部では、担当教員の指定した文章を400字程度で要約することが求められる。

また、第Ⅱ部では、第Ⅰ部の内容を踏まえ、文章執筆のための要点が、各コマのコマ主題細目にしたがって、各担当教員からレクチャーされる。なお、第Ⅱ部の終盤では、仮提出された各受講生のレポート課題をサンプルとして、文章執筆のポイントを再確認していく。

本コマは、第Ⅰ部「読解編」の「復習コマ」に該当し、これまで担当教員の選定した学術文献を例に「読解編」で学んできた、文章読解の技法、留意すべき接続詞の用法について復習した上で、ここまでのまとめとして、文章の要約課題に取り組み、次コマにあたる第Ⅱ部「執筆編」の一コマ目「学術的な文章執筆の視座1―引用の方法―」の学習に備えていく。

【コマ主題細目①】
・学習技術研究会編『知へのステップ(第5版)』、くろしお出版、2019年、33-40頁。

・石黒圭『「読む」技術―速読・精読・味読の力をつける―』、光文社新書、2010年、36-38頁、39-42頁、56-64頁、70-72頁。

【コマ主題細目②】
・学習技術研究会編『知へのステップ(第5版)』、くろしお出版、2019年、36-40頁。

・石黒圭『段落論―日本語の「わかりやすさ」の決め手―』、光文社新書、2020年、168-172頁。

・石黒圭『文章は接続詞で決まる』、光文社新書、2008年、55-152頁。

【コマ主題細目③】
・学習技術研究会編『知へのステップ(第5版)』、くろしお出版、2019年、43-52頁。
コマ主題細目 ① 文章読解の技法 ② 接続詞の用法の理解 ③ 文章の要約と批判 ④ ⑤
細目レベル ① 本コマでは、本科目のここまでの内容(第Ⅰ部文章読解編)を総じて振り返っていくが、まずは本科目第二回・第三回で扱った文章読解のための技法について復習する。『知へのステップ』33頁によれば、文章読解には、「スキャニング(scanning)」・「スキミング(skimming)」・「クリティカル・リーディング(critical reading)」という三つの方法があるのだという。

まず、スキャニングは、特定の情報をねらって、重点的にすばやく文章を読む方法であり、与えられたテキスト量に対して読解の時間が限られている場合などに、まずは「画像取得」・「文字認識」のレベルでキーワードを発見することで、その後重点的に読み込むべき箇所を見定めることができる。

また、スキミングは、「斜め読み」と呼ばれる読み方に近いものであり、文章を貫く「話題」が何であるのかを素早く洞察し、知識の枠組みとしての「スキーマ」を効果的に働かせることで、以降の文章の理解を迅速かつ的確に行っていくことができる。

最後に、クリティカル・リーディングは、文章の論理的な構造を正確に把握した上で、その内容の分析や批判を行っていくものであり、その際には、(1)文の見出し・段落冒頭の文・文章の最初の段落に注意して内容理解のスキーマを働かせるという点、(2)文と文との論理的な関係を接続詞に着目しながら捉えるという点、(3)各段落の主張の要点を押さえると共に、段落と段落との関係も的確に理解するという点が重要であった。文章読解の技法について、以上の点を復習する。

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② クリティカル・リーディングを行っていく上では、接続詞に着目し、文と文との関係や、段落と段落との関係を適切に把握することが極めて重要であった。本科目第三回・第四回・第五回では、順接の接続詞「よって」・逆接の接続詞「しかし」・並列の接続詞「そして」・対比の接続詞「一方」・列挙の接続詞「第一に」・換言の接続詞「つまり」・例示の接続詞「例えば」・補足の接続詞「ただし」・転換の接続詞「さて」・結論の接続詞「このように」などについて、担当教員の選定した学術的な文章の中に用例を見出しつつ、文章読解上ポイントとなる各接続詞の用法について学んできた。

なお、前回までは、とりわけ文と文との論理的な関係把握に重点を置いてきたが、ここではさらに、段落と段落との論理的な関係把握についても、今までに学んできた接続詞の用法に着目して、あらためて確認しておきたい。第三回・第四回・第五回の講義の中で読んできた文章などの、段落冒頭に接続詞が配されている箇所に着目し、段落間の関係を整理した上で、文章全体の構造把握へと至ることができるようにする。

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③ 文章の要約をする際には、要約すべき文章の中心的な主張を抽出した上で、副次的な主張や補足的な説明を、収めるべき文章量に応じて適宜削ぎ落していくことが求められる。その際には、これまでに学んできた接続詞についての理解を十分に活かし、例えば、例示の接続詞「例えば」・補足の接続詞「ただし」等に後続する内容については、相対的に重要性が低いものである可能性が高いこと、あるいは、順接の接続詞「よって」・換言の接続詞「つまり」・結論の接続詞「このように」等に後続する内容については、当該文章における中心的な主張である可能性があることなどを念頭に置くとよい。

ここでは、こうして要約を行った上で、当該の文章の内容についての批判的な検討まで行う。(以前に「クリティカル・リーディング」の箇所でも確認したが、学術的な「批判」とは、相手の主張を闇雲に否定するということではなく、むしろ相手の主張がどこまで正しいのかを吟味するということを意味する。したがって、「批判」の結果、相手の主張が全て正しいことが確認されることも当然ありうる。)要約した文章の内容について、著者の主張の前提は正しいのか、その主張を支持する証拠・事実は正しいのか、推論された結果として主張されていることは正しいのか、といった視点から、主張の是非を検討していく。ここでは、教員の指定した文章を400字程度で要約し、その内容に対する疑問点・批判の対象となりうる点を見つけるところまで行う。



キーワード ① スキャニング ② スキミング ③ クリティカル・リーディング ④ 接続詞と段落 ⑤ 要約と批判
コマの展開方法 社会人講師 AL ICT PowerPoint・Keynote 教科書
コマ用オリジナル配布資料 コマ用プリント配布資料 その他 該当なし
小テスト 「小テスト」については、毎回の授業終了時、manaba上において5問以上の、当該コマの小テスト(難易度表示付き)を実施します。
復習・予習課題 【本コマの復習】
本コマのコマ主題細目③で試みた文章の要約課題について、これを次コマまでに教員の指定した期日・方法にしたがって提出できるよう準備しておく。その際には、当然ながら、これまでの本講義第Ⅰ部で学んだ文章読解上のポイントを押さえた上で課題文献の内容を正確に理解できているかどうかを、再確認しておく必要がある。

【次コマの予習】
上の復習課題に続き、次コマ以降の学習に備えて、本コマの復習課題で要約した文献の内容についての自らの考えをまとめ、とくに疑問に思う点や、注目した点については、そこに注目した根拠を明確にしつつ、当該箇所に関わる関連文献を収集しておく。その際には第六回で学んだ文献収集の方法を実践すること。なお、必要に応じて、『知へのステップ』83-99頁を参考にして文献リストを作成してもよい。

8 学術的な文章執筆の視座1―先行研究とその批判― 科目の中での位置付け 本科目は、第Ⅰ部「読解編」と第Ⅱ部「執筆編」とから成る。第I部では、教員が選定した学術的な文章をアカデミックな現場の実例として用いつつ、コマ主題細目に挙げている、文章読解のための具体的な視座を順次レクチャーしていく。最終的に第Ⅰ部では、担当教員の指定した文章を400字程度で要約することが求められる。

また、第Ⅱ部では、第Ⅰ部の内容を踏まえ、文章執筆のための要点が、各コマのコマ主題細目にしたがって、各担当教員からレクチャーされる。なお、第Ⅱ部の終盤では、仮提出された各受講生のレポート課題をサンプルとして、文章執筆のポイントを再確認していく。

さて、本コマは、第Ⅱ部「執筆編」の第一回目にあたるものであり、第Ⅰ部の最後に文献の要約を完成させたことを受けて、要約したその文献の内容を踏まえたレポートの執筆に向けて、論点を明確化する作業を行う。さらに、論点の明確化を終えた後には、その点を中心とした学術的な批判に着手し、収集して引用する必要のある文献を見定めていく。

【コマ主題細目①】
・河野哲也『レポート・論文の書き方入門(第4版)』、慶應義塾大学出版会、2018年、17-23頁。

【コマ主題細目②】
・河野哲也『レポート・論文の書き方入門(第4版)』、慶應義塾大学出版会、2018年、23-30頁。

【コマ主題細目③】
・佐渡島紗織・オリベイラ,ディエゴ・嶼田大海・デルグレゴ,ニコラス『レポート・論文をさらによくする「引用」ガイド』、大修館書店、2020年、20-31頁。
コマ主題細目 ① 論点の明確化 ② 批判 ③ 文献収集 ④ ⑤
細目レベル ① 各分野における研究手法には、実験、観察、調査、内省、インタビュー調査、文献研究等の様々なものがあるが、いずれの研究手法を採用するにしても、その前段階においては、先行研究を渉猟し、それらの文献の内容を批判的に理解するというステップが伴う。本科目では、このように研究という営み全般の基礎を成すところの先行研究の内容理解(要約)とその批判という点にフォーカスして、学術的な文章執筆の訓練を行う。

具体的には、今回のレポート課題では、第Ⅰ部で要約した文献の内容に対して(要約文自体もレポートの内に含めることとする)、学術的な「批判」ができるようになることを目指したい。なお、この点は、これまでにこのコマシラバスで繰り返し強調してきたことであるが、学術的な意味での「批判」とは、相手の主張を闇雲に否定するということではない。むしろ相手の主張がどこまで正しいのかを吟味するというのが、ここでの「批判」の意味である。それゆえ「批判」の結果として相手の主張が全て正しいことが確認されることもありうる、という点についても、これまでに学んだとおりである。

本コマでは、第Ⅰ部において要約した文章の内容について、上の意味での批判を行っていく。この主題細目では、それに向けてまず、その文章の中でとくに重要だと思われる主張や、とくに関心をもった意見をピックアップし、なぜそれが重要だと思うのかという点と併せて、次のように論点を明確化するための文章を作成する。

すなわち、「私の要約した○○という文献の第△章の内容については、以下の□点が重要である。まず、××という主張は、◇◇を考える上で、示唆的であると思われる。というのも、……」といった文章である。ここでは、要約した文章の中から重要だと思われる点をピックアップし、それが重要だと思われる理由を説明できるようにする。

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② 上のコマ主題細目①では、本講義第Ⅰ部で要約してきた文献について、その中で重要と思われる点をピックアップし、その理由が述べられる、というところまで到達した。つぎに、コマ主題細目①では、こうしてピックアップした著者の主張について、上の意味での「批判」に着手する。

具体的には、著者の主張の前提は正しいのか、その主張を支持する証拠・事実は正しいのか、推論された結果として主張されていることは正しいのか、といった視点から、主張の是非を検討していくことになる。

なお、学術的な文章における議論の展開の型としては、

(1)著者の主張について疑問点を見つけ、それに対する反論を行っていく「反論-否定的結論」型、
(2)(1)の議論を展開した上で最終的により説得的な代替案を提示する「反論-対案提示」型、
(3)著者の主張に対してあり得る反論を検討し、その反論に再反論することで最終的に著者の主張を肯定していく「批判的検討-肯定」型などがある。

以上のような議論の展開を見据えつつ、ここでは、著者の主張の中で批判の対象となりうる部分を検討するところまでを行う。ただし、自分自身の内省だけに頼った「批判」では、批判を行う上での根拠や実例に乏しかったり、自身の問題意識の根本が自覚できなかったりと、多くの場合、限界に直面する。

そうして、自らの展開しようとしている批判的な議論を補強するためには、文献の渉猟が必要不可欠である、という点も自覚されることになろう。ここでは、批判に着手すると共に、それを進めるために文献収集の果たす意義についても納得できるようにする。

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③ 他者の議論に対する批判を展開するためには、文献の収集を行う必要がある。そして、学術的な文章においては、こうした文献の内容を引用することも、自らの主張に説得力を持たせるために欠かすことができない。具体的な引用の方法については、次コマにおいて集中的に学んでいくが、このコマ主題細目では、学術的な文章の中で文献の引用が果たす役割についてあらかじめ押さえておきたい。

文献を引用するケースとして考えられるのは、例えば、次のような場合である。

(1)同じ立場の主張を引用して自分の立場を強めたいとき、
(2)他者を批判して自分の主張を補強したいとき、
(3)データを引用して自分の主張を補強したいとき、
(4)権威者の言を借りて自分の主張を補強したいとき、
(5)自分の示してきた事例を一般化したいとき、
(6)自分の主張に適う事例を示したいとき、などである。

コマ主題細目①で見てきたように、レポートにおける議論の展開にはいくつかのバリエーションがあるが、その基本となるのは、先行研究に対して疑問をもつ、ということである。その意味では、今後文献を収集する上では、とりあえず上の(文献を引用するケースの)(2)を念頭に置いて、引用した文章における著者の主張と対立する文献を探してみる、というも一つの方法である。その上で、二つの対立する主張について、どちらがより説得的であるのかを、さらに関連する文献にも手を伸ばしつつ検討していく、といった流れが考えられるだろう。学術的な文章の中で文献が果たす役割について、以上の点まで押さえる。



キーワード ① 先行研究 ② 論点の明確化 ③ 批判 ④ 文献 ⑤ 引用
コマの展開方法 社会人講師 AL ICT PowerPoint・Keynote 教科書
コマ用オリジナル配布資料 コマ用プリント配布資料 その他 該当なし
小テスト 「小テスト」については、毎回の授業終了時、manaba上において5問以上の、当該コマの小テスト(難易度表示付き)を実施します。
復習・予習課題 【本コマの復習】
本コマで学んだ議論の型、すなわち、(1)「反論-否定的結論」型、(2)「反論-対案提示」型、(3)「批判的検討-肯定」型といった型は、今後、レポートの構成について学び、実際にレポートを執筆していく際にも、議論の枠組みを構築していく上で有用である。本コマの復習として以上3つの型を意識しながら、これまでに収集してきた文献の議論の展開をフォローし、その議論がどの型に近い流れで行われているのかを確認する。

【次コマの予習】
次コマで「引用」について学ぶことに備えて、前の予習課題を通して集めた文献の中で、とくに重要と思われる主張や、批判の対象になりうると思われる主張については、当該箇所にマーキングするなどした上で、さらに、その箇所を抜き書きして、ノートやWordファイルに引用集の形でまとめておく。次回の講義ではその抜き書きをレクチャーの中で用いる。

9 学術的な文章執筆の視座2―引用の方法― 科目の中での位置付け 本科目は、第Ⅰ部「読解編」と第Ⅱ部「執筆編」とから成る。第I部では、教員が選定した学術的な文章をアカデミックな現場の実例として用いつつ、コマ主題細目に挙げている、文章読解のための具体的な視座を順次レクチャーしていく。最終的に第Ⅰ部では、担当教員の指定した文章を400字程度で要約することが求められる。

また、第Ⅱ部では、第Ⅰ部の内容を踏まえ、文章執筆のための要点が、各コマのコマ主題細目にしたがって、各担当教員からレクチャーされる。なお、第Ⅱ部の終盤では、仮提出された各受講生のレポート課題をサンプルとして、文章執筆のポイントを再確認していく。

さて、本コマは、第Ⅱ部「執筆編」の2コマ目に位置づけられるものである。ここでは、前コマで先行研究についての論点を明確化し、学術的な批判を展開していく上で必要な文献を見定めてきたことを踏まえて、収集した文献を引用していく手法を習得する。引用には直接引用と間接引用の二種類があり、どちらの引用をするにせよ、出典を明示し、引用の範囲を明確化することが求められる。本コマでは、学術的な文章に特有かつ重要なマナーである文献の引用方法について、こうした点から習熟していく。

【コマ主題細目①】
・石黒圭『論文・レポートの基本』、日本実業出版社、195-201頁。

【コマ主題細目②】
・学習技術研究会編『知へのステップ(第5版)』、くろしお出版、2019年、115-117頁。

【コマ主題細目③】
・戸田山和久『論文の教室―レポートから卒論まで―』、NHKブックス、2002年、234-238頁。

・石黒圭『論文・レポートの基本』、日本実業出版社、195-201頁。
コマ主題細目 ① 直接引用と間接引用 ② 出典の明示 ③ 引用の範囲の明確化 ④ ⑤
細目レベル ① 学術的な文章執筆においては、自分自身の主張と他者の主張とを明確に区別して示すことが重要である。とりわけ、先行研究で既に議論されていることを基礎として、それを踏まえて自らの主張をする場合には、どこまでが他者の主張で、どこからが自分の主張であるのかの境界を明示することが厳密に求められる。

これが明示されていない場合には、「他者の主張を自らの主張であるかのように論じた」(これを「剽窃」と言う)と受け止められかねない。剽窃行為は、学術的な文書における最も重大なルール違反の一つである(ちなみに、Aという本で引用されていたBという論文の一節を、Aだけを見て引用するのは「孫引き」と呼ばれ、これもルール違反の一つである)。

では、学術的な文章において他者の主張を用いるにはどのようにしたらよいのだろうか。その方法は、「引用」と呼ばれており、学術的な文章では(分野によって多少の違いがあるものの)そのマナーが詳しく定められている。引用には、大きく分けて、文章の内容をそのまま引用する「直接引用」と、文章の表現を加工して引用する「間接引用」との二つがある。(本科目第Ⅰ部で取り組んできた「要約」は、用いたい他者の文章の表現をそのまま用いるのではなく、その文章の内容を別の言葉で置き換えて簡潔にまとめるものであり、これも間接引用の一種と考えることができる。)各教員によって示されるサンプルを見て、引用について、以上の点を押さえる。

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② 上では引用がどのような場合に行われるのかを具体的なサンプルを見ながら確認してきた。次に本コマでは、学術的な文章における具体的な引用の方法を学んでいく。引用の際に重要なのは、①出典を明示すること、②引用の範囲を明確にすること、という二点である。かみ砕いて言うと、①は、引用しているのが誰の言葉かを分かるようにする、ということであり、②は、どこからどこまでが引用であるのかを分かるようにする、ということである。

さて、このコマ主題細目では①について見ていこう。①では、「城田(2021)によれば、~という。」「城田(2021)は~と述べている。」「○○は『~』と定義される(城田2021)。」のように示されることが多い。ここで「城田(2021)」と表記されているのは、「城田」という著者が2021年に公表した論文や著書という意味で、この場合には、巻末の参考文献に、その詳しい書誌情報を載せることが義務づけられている。

なお、①については、この方法以外にも、分野によっては、脚注を付して、その脚注の中で文献を示す場合もある(ちなみに、これは「シカゴ書式」と呼ばれ、哲学・歴史学などの分野で頻繁に用いられるものである)。例えば、「城田によれば、~という(1)。」(実際には(1)は「う」の字の右肩に小さく付されている)というように、Wordの「脚注の挿入」機能を用いるなどして、引用文の末尾に脚注記号を付した上で、該当する脚注の中で、「城田純平(2018)『前期ハイデガーにおける生の哲学』〇〇社」といったように文献情報を示す(文献情報の示し方についても分野によっていくつかの方法がある。これについては『知へのステップ』117頁を参照のこと)。まずは引用の際の要点のうち、出典の明示について、上の点まで押さえる。

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③ 引用の際の要点のうち、コマ主題細目②では、「①出典を明示すること」について見てきた。さらにここでは、引用の際のもう一つの要点である「②引用の範囲を明確にすること」について学ぶ。レポートや論文執筆に習熟していない人の書いた文章では、どこまでが他者の引用で、どこからが本人の主張なのかが不明瞭であることが、しばしばある。

コマ主題細目①で見てきたように、引用には大きく分けて、「直接引用」と「間接引用」の二つがある。直接引用は、他者の文章の表現をそのまま引用するものであり、「 」に入れてそれを示す。このとき、原則として、「 」の中には手を加えてはならず、語順の変更や、表記の変更等も禁止されている。

ただし、例えば、引用したい文章の中に代名詞が用いられている場合など、引用する側の者が補足説明を加えたいときには、「それゆえ、彼(=ハイデガー)の用いるピュシス概念には時代ごとの変遷が見られると言える(城田2021、括弧内引用者)」といったように( )を用いて補うなどの例外がある。

こうした直接引用に対して、他者の文章を加工して用いる間接引用の場合には、これを「 」に入れてはならない。そのため、直接引用に比べて間接引用は、引用の始点と終点が不明瞭になりがちなため、注意が必要である。引用の始点と終点は、例えば、「城田(2021)によれば、~という」のように示す。

なお、一般に、引用の終点を示す際には、引用の助詞「と」に、「述べている」、「言っている」、「指摘している」、「批判している」など、伝達動詞の「ている」の形をつなげるケースが多く、さらにこれを受身形にして、「述べられている」、「言われている」、「指摘されている」、「批判されている」という形で用いる場合も多い。引用の範囲の明確化について、以上の点まで押さえた上で、本コマの予習で作成してきた文献からの引用集を用いて、今回は各自で実際に直接引用を行い、教員からの指導を受ける。



キーワード ① 直接引用 ② 間接引用 ③ 要約 ④ 剽窃 ⑤ 出典
コマの展開方法 社会人講師 AL ICT PowerPoint・Keynote 教科書
コマ用オリジナル配布資料 コマ用プリント配布資料 その他 該当なし
小テスト 「小テスト」については、毎回の授業終了時、manaba上において5問以上の、当該コマの小テスト(難易度表示付き)を実施します。
復習・予習課題 【本コマの復習】
本コマで学んだ直接引用と間接引用のうち、とくに難易度が高い間接引用について、自らがこれまでに収集してきた文献を用いて、これを間接引用しつつ議論する文章を400文字程度で作成しておくこと。教員の指示で、その提出が次コマで求められることがある。また、『知へのステップ』115-123頁の「論文作法」の箇所では、本コマで扱った内容が簡易的にまとめられているので、これにも目を通しておくこと。

【次コマの予習】
『知へのステップ』103-114頁のレポート作成についての頁を熟読しておくこと。とりわけ、112-113頁に書かれているレポートの三部構成(「序論」・「本論」・「結論」)については、次コマ以降には、既にその内容を呼んできたことを前提に、その各部の構成方法などについてレクチャーしていくので、とくによく理解しておくこと。

10 学術的な文章執筆の視座3―論理的なレポートの構築― 科目の中での位置付け 本科目は、第Ⅰ部「読解編」と第Ⅱ部「執筆編」とから成る。第I部では、教員が選定した学術的な文章をアカデミックな現場の実例として用いつつ、コマ主題細目に挙げている、文章読解のための具体的な視座を順次レクチャーしていく。最終的に第Ⅰ部では、担当教員の指定した文章を400字程度で要約することが求められる。

また、第Ⅱ部では、第Ⅰ部の内容を踏まえ、文章執筆のための要点が、各コマのコマ主題細目にしたがって、各担当教員からレクチャーされる。なお、第Ⅱ部の終盤では、仮提出された各受講生のレポート課題をサンプルとして、文章執筆のポイントを再確認していく。

さて、本コマは、第Ⅱ部「執筆編」の3コマ目に該当するものである。ここでは、前コマまでの「執筆編」の2コマを通して、先行研究を批判する上での論点を取り出した上で、実際に批判を展開していくために必要となる文献を入手し、これを引用する仕方について習熟してきたことを受けて、いよいよ実際にレポート本文の執筆に着手することになる。レポートを執筆していく上では、トピック・センテンスと支持文とから成る意味のブロックとしての段落を構築した上で、さらにその個々の段落間の関係が論理的なものとなるようにアウトラインを描いていく必要がある。本コマでは、このように、段落という文章の単位に着目して、学術的なレポートを執筆する上での要点を押さえていく。

【コマ主題細目①】
・石黒圭『段落論―日本語の「わかりやすさ」の決め手―』、光文社新書、2020年、174頁。

【コマ主題細目②】
・石黒圭『段落論―日本語の「わかりやすさ」の決め手―』、光文社新書、2020年、174-177頁。

【コマ主題細目③】
・石黒圭『段落論―日本語の「わかりやすさ」の決め手―』、光文社新書、2020年、179-186頁。
コマ主題細目 ① 段落の構成(トピック・センテンスと支持文) ② 段落の構築 ③ アウトラインの構築 ④ ⑤
細目レベル ① 本コマでは、この前々コマ・前コマで学んできたことを組み合わせて、収集してきた文献を引用しつつ自らの主張をレポートにおいて論理的に段落を構築していくための手順を押さえていく。(それにあたっては、本講義第Ⅰ部で「読み手」の視点から学んできた文章読解技法を、今度は「書き手」にとっての文章執筆技法として応用し、深めていくことになる。)

本コマの予習課題として、文献を引用しつつ自らの議論を作り上げていく中で、次第に文のストックが増えてきていると思われるが、そこで、それらの文をしまっておくための収納容器のようなものとして段落を作成する必要がある。

段落を構築するための基本として、段落冒頭に、まずはその段落の中での主張を端的に表現した文(これを「トピック・センテンス」と呼ぶ)を配置するとよい。(本講義第Ⅰ部「読解編」で「スキミング」の技法について学んだ際に、段落冒頭の一文に着目して「話題」を把握することの重要性について学んだことの裏返し、ということになる。)そして、このトピック・センテンスによって示された段落の枠を、「支持文」によって埋めていくことで、段落は構成される。このコマ主題細目①では、まずは段落の構成について、上の点まで押さえる。

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② コマ主題細目①では、段落は、先頭のトピック・センテンスによって示された枠の中を支持文が埋めることによって構成されることを学んだ。学術的な文章におけるトピック・センテンスの内容を深めていくための方法としては、大きく分けて次の4つの型が考えられる。

第一に、「説明」の型がある。これは、トピック・センテンスで書き手の言いたいことを先に示し、それに説明や解説の支持文を加えていくものである。

第二に、「例示」の型がある。この型では、トピック・センテンスにおいて書き手の主張を示した上で、それに続けて具体的な例を述べていく。本講義第Ⅰ部で学んだ、例示の接続詞「例えば」をトピック・センテンスに後続する文において用いることでこの「型」の段落を容易に構成することができる。

第三に、「理由」の型がある。これは、トピック・センテンスで書き手の主張をあらかじめ示した上で、それに続けて理由や根拠を述べていくものである。第Ⅰ部で学んだ接続詞の中では、「なぜなら」・「なぜかというと」・「というのは」・「というのも」といった、「なぜなら」の系統の補足の接続詞群を活用するとよい。

第四に、「経緯」の型がある。この型は、一連の出来事を時間的な順序によって示していくものであり、例えば、これまでの研究史についての概略を述べる段落などで用いられる。

なお、これ以外にも、レポートの序論のような段落においては、段落冒頭で「本稿の論述の順序は以下のようになる」といった冒頭文を配置し、それに続けて、「まず」・「つぎに」・「さらに」といった序列の接続詞を用いた文をつなげることで、文章の構成を示していくパターンなども見られる。段落を構築する型について、以上の点まで押さえる。

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③ コマ主題細目①では、一つ一つの段落を構築するための考え方について学んできた。本コマの最後に、こうして構築された段落の一つ一つをどのようにつなげていくかを学んでいく。段落のつなげ方を考える際に重要なのが、文章のアウトラインである。アウトラインは、段落という収納容器を並べていくための設計図の役割を果たす。これを考える上では、各段落冒頭のトピック・センテンス間のつながりを論理的なものにすることが重要である。

具体的には、トピック・センテンスとトピック・センテンスとの間の関係を、第Ⅰ部で学んだ接続詞によってつなぐようにするとよい。そして、実際に各段落冒頭のトピック・センテンスでは、トピック・センテンス間の関係性を示すための接続詞を、その文頭で用いる。

例えば、段落①の内容が根拠となって段落②の内容が展開される場合には、段落②の冒頭には「そのため」といった接続詞が配置されるであろうし、あるいは、段落②の内容を段落③の内容が補足するような場合には、段落③の冒頭には「ただし」といった接続詞が配置されることになる。

さらには、段落③の内容から段落④の内容が大きな展開をしている場合には、段落④の冒頭に「さて」などの転換の接続詞を配置し、当の段落④の内容までを受けて段落⑤で結論が示される場合には、段落⑤の冒頭に「したがって」などの結論の接続詞(あるいは本講義の第十二回で扱う「コ系列」の指示詞を使用することなども考えられる)を配置する、といった具合である。

つまり、トピック・センテンスは、個々の段落内においては、当の段落の主張を端的にあらかじめ示す働きを担っているわけであるが、それと同時に、文章全体の中では、段落間の関係を明示するための役割も担っていると言える。(トピック・センテンスが正確に配置されている文章の場合には、各段落の冒頭のトピック・センテンスだけを拾い読みすることで、段落間の関係を構造的に捉えることが可能である。これは「パラグラフ・リーディング」と呼ばれるものであり、第Ⅰ部「読解編」で見た「スキミング」読みの応用として捉えることもできる。)

なお、英語教育におけるいわゆる「パラグラフ・ライティング」の考え方を採ると以上のようになるわけであるが、ただし、実際のレポート執筆においては、最初から厳密に段落間の関係が接続詞でつながるようにするのは難しいこともある。そのような場合には、まずは段落の「小見出し」を考えて、その各「小見出し」がスムーズに配置されるようにする、という方法もある。段落間の論理的な関係を念頭に、レポートのアウトラインを形成する仕方について、以上の点まで押さえる。



キーワード ① 段落 ② トピック・センテンス ③ 支持文 ④ アウトライン ⑤ パラグラフ・ライティング
コマの展開方法 社会人講師 AL ICT PowerPoint・Keynote 教科書
コマ用オリジナル配布資料 コマ用プリント配布資料 その他 該当なし
小テスト 「小テスト」については、毎回の授業終了時、manaba上において5問以上の、当該コマの小テスト(難易度表示付き)を実施します。
復習・予習課題 【本コマの復習】
本コマでは、とくにトピック・センテンスを用いたパラグラフ・ライティングの手法で文章を書くことについて学んだが、とりわけ英語圏の学術文献では、これが実践されていることが多いので、参考になる。翻訳されたものでよいので、自らそうした文献を検索したり、教員から紹介を受けたりしながら、実際にパラグラフ・ライティングの手法で書かれた文献を読み、段落冒頭のトピック・センテンスを抜き書きしてみたとき、それが論理的に接続されることを確認し、参考例とする。

【次コマの予習】
『知へのステップ』127-140頁を読み、とくに130-132頁の「わかりやすい文とは」の部分については熟読し、131頁の読点を打つ問題に取り組んでおく。また、本コマまでの内容でもって、学術的なレポートを執筆するための基本的な技法は既にレクチャーされたことになるので、実際にレポート執筆を進め、少なくとも次コマまでに1600文字程度までは書き進めておくこと。その自らの作成途中のレポートの文章があることによって、次回以降の文章の見直しのポイントについてのレクチャーが、はじめて意味のあるものになる。

11 学術的な文章執筆の視座4―明晰な文を書くために― 科目の中での位置付け 本科目は、第Ⅰ部「読解編」と第Ⅱ部「執筆編」とから成る。第I部では、教員が選定した学術的な文章をアカデミックな現場の実例として用いつつ、コマ主題細目に挙げられている、文章読解のための具体的な視座を順次レクチャーしていく。最終的に第Ⅰ部では、担当教員の指定した文章を400字程度で要約することが求められる。

また、第Ⅱ部では、第Ⅰ部の内容を踏まえ、文章執筆のための要点が、各コマのコマ主題細目にしたがって、各担当教員からレクチャーされる。なお、第Ⅱ部の終盤では、仮提出された各受講生のレポート課題をサンプルとして、文章執筆のポイントを再確認していく。

本コマは、第Ⅱ部執筆編の第四回目にあたる。今回と次回の2回にかけては、第Ⅱ部の前半に学んできた学術的な執筆マナーに則って各自が執筆を進めてきているレポートについて、それを構成している文章を明晰なものにするためにはどのような点に留意すればよいのかを講じ、これまでに各自が書いた文章を見直し、ブラッシュアップするための視点を提供する。今回は、語順、読点、「は」と「が」の使い分けについて見ていく。

【コマ主題細目①】
・本多勝一『〈新版〉日本語の作文技術』、朝日文庫、2015年、55-60頁。

【コマ主題細目②】
・本多勝一『〈新版〉日本語の作文技術』、朝日文庫、2015年、107-109頁。

【コマ主題細目③】
・石黒圭『よくわかる文章表現の技術Ⅰ―表現・表記編―〔新版〕』、明治書院、2009年、25-28頁。
コマ主題細目 ① 語順と修飾 ② 読点と修飾 ③ 「は」と「が」 ④ ⑤
細目レベル ① 明晰な文を書くために留意すべきことの一つとして、文を構成する要素をどのような順に並べるか、という、いわゆる語順の問題がある。読み手にとって分かりやすい明晰な文を構成するためには、どのような語順を選べばよいのだろうか。端的に言うと、分かりやすく明晰な文を作成するためには、〈長い修飾語を前に、短い修飾語を後ろに配置する〉という原則を守るとよい。ここで例として、次のⓐ~ⓕ文の中で、最も分かりやすく自然な文はどれであるか、考えてみよう。

ⓐ Aが私がふるえるほど大嫌いなBを私の親友のCに紹介した。
ⓑ Aが私の親友のCに私がふるえるほど大嫌いなBを紹介した。
ⓒ 私がふるえるほど大嫌いなBをAが私の親友のCに紹介した。
ⓓ 私がふるえるほど大嫌いなBを私の親友のCにAが紹介した。
ⓔ 私の親友のCにAが私がふるえるほど大嫌いなBを紹介した。
ⓕ 私の親友のCに私がふるえるほど大嫌いなBをAが紹介した。

一読して分かるように、これらの文の中で、最も自然で明晰な文は、ⓓである。反対に、不自然で分かりにくい文としては、ⓐ・ⓑ・ⓔなどが挙げられるだろう。

こうした分かりやすさ/分かりにくさの相違を分析するために、これらのⓐ~ⓕの文の全てにおいて、「紹介した」という動詞を修飾している次の三つの要素を抽出してみる。すなわち、「Aが」という部分(これを(ア)とする)、「私の親友のCに」という部分(これを(イ)とする)、「私がふるえるほど大嫌いなBを」という部分(これを(ウ)とする)の三つである。これらは、(ア)、(イ)、(ウ)の順に長い固まりを形成している。先ほどのⓐ~ⓕの文を、この(ア)・(イ)・(ウ)の記号で置き換えてみると、次のようになる。

ⓐ(ア)(ウ)(イ)紹介した。
ⓑ(ア)(イ)(ウ)紹介した。
ⓒ(ウ)(ア)(イ)紹介した。
ⓓ(ウ)(イ)(ア)紹介した。
ⓔ(イ)(ア)(ウ)紹介した。
ⓕ(イ)(ウ)(ア)紹介した。

つまり、ⓐ~ⓕの中で最も明晰に思われるⓓの文は、(ウ)、(イ)、(ア)というように、長い修飾語(ここではいわゆる「主語」である「私が」も「紹介した」を修飾する要素として捉える)から順に前に置かれており、それに対して、分かりづらさを感じさせたⓐ・ⓑ・ⓔの文は、最も短い修飾語である(ア)が先頭に置かれていたり、最も長い修飾語である(ウ)が最も後ろに置かれていたりする、という特徴が見られる。

このことからも分かるように、分かりやすく明晰な文を作成するためには、〈長い修飾語を前に、短い修飾語を後ろに配置する〉という原則を守るとよい(これを「語順の原則」と呼ぶことにする)。語順と文の明晰さとの関わりについて、この点まで押さえる。

                     *


② コマ主題細目①で見てきた語順と修飾の問題に関連して、文の明晰さを考える上での日本語に特有の問題として、読点(、)の打ち方に関することがある。例えば、次の文を見てみよう。

「その教員は汗まみれになって逃げ出した学生を追いかけた。」

この文では、

(1)汗まみれになりつつあるのは「教員」である、という捉え方と、
(2)汗まみれになりつつあるのは「逃げだした学生」である、

という捉え方の二つが成立する。

仮に上記(2)の意味を表現する場合、上の誤解を防ぐために、コマ主題細目①で学んだ語順の原則を適用して、「追いかけた」を修飾している二つの要素について、より短い要素である「その教員は」を、より長い要素である「汗まみれになって逃げだした学生を」の後ろに配置する、という方法が一つある。(この場合、元の文は、次のように変形される。「汗まみれになって逃げだした学生をその教員は追いかけた。」)

ただし、上記(1)の意味を表現する場合や、上記(2)の意味を表現する場合で、語順を変更したくない場合には、どうすればよいのか。実はこの問題は、読点(、)の使用によって解消することができる。つまり、上記(1)の意味を表現する場合には、「その教員は、汗まみれになって逃げ出した学生を追いかけた」とすればよく、また、上記(2)の意味を表現する場合には、「その教員は汗まみれになって、逃げだした学生を追いかけた」とすればよい。

ここからは、読点の使用に関して、次の原則を確認することができる。すなわち、〈長い修飾語が二つ以上あるとき、その境界に読点を打つ〉という原則である(これを「読点の原則1」とする)。明晰な文を書くための読点に関する原則について、まずは以上の点まで理解する。

その上で、読点に関しては、もう一点重要な原則がある。コマ主題細目①で学んだ〈長い修飾語を前に、短い修飾語を後ろに配置する〉という「語順の原則」が破られている場合(これを「逆順」と呼ぶことにする)に、この原則は適用される。その原則とは、すなわち、〈「逆順」が生じている場合には、前方に配置されている短い修飾語の直後に読点を打つ〉というものである(これを「読点の原則2」とする)。

これは例えば、先に見た「その教員は汗まみれになって逃げだした学生を追いかけた」という文で、上記(2)の意味を表現する場合に、「その教員は」という短い修飾語の直後に読点を打った(「その教員は、汗まみれになって逃げ出した学生を追いかけた」)先ほどのケースにも該当する(つまりこのケースは、「読点の原則1」と「読点の原則2」の両方に当てはまるものと考えられる)。

また、「読点の原則2」について考えるための他の例として、コマ主題細目①の中で、明晰でない文(「語順の原則」が破られている文)として挙げられたⓐの文、すなわち「Aが私がふるえるほど大嫌いなBを私の親友のCに紹介した」という文についても見てみたい。この文についても、「逆順」が生じているのであるが、ここで、「読点の原則2」にしたがって、前方に配置されている短い修飾語「Aが」の直後に読点を打つことによって、元の文は次のような明晰なものとなる。「Aが、私がふるえるほど大嫌いなBを私の親友のCに紹介した。」

以上のように、読点の打ち方について、「逆順」が生じるような場合には、「読点の原則2」を用いることで明晰な文を構成することができる、という点まで、読点と修飾の関係について押さえる。

                     *


③ 最後に、今回ここまでに学んできた修飾に関する観点から、助詞「は」と「が」の使い分けについても、簡単に見ておきたい。「は」と「が」の使い分けの問題は、実は話し言葉まで含めて考えると非常に複雑であるが、学術的な文章を作成する上での要点は明確である。

例えば、「私が彼に初めて会ったとき、彼はまだやせていた」という文の「が」を「は」に置き換えると、「私は彼に初めて会ったとき、彼はまだやせていた」となり、「私」はどこか遠くにある動詞を修飾するように見えるため違和感がある。一方で、次の例、すなわち、「私は服を脱ぐと、それをハンガーに掛けた」という文の「は」を「が」に置き換えると、「私が服を脱ぐと、それをハンガーに掛けた」となり、今度は「私」は「服を脱ぐ」ことをしただけであり、「それをハンガーに掛けた」のは「私」以外の誰かであるように見えるため、やはり違和感がある。

これらのことから、〈遠くにある動詞を修飾したい場合には「は」を、直後にある動詞を修飾したい場合には「が」を用いる〉のがよい、ということが分かる(これを「「は」と「が」の原則」と呼ぶ)。つまり、「が」は直後の動詞を修飾して節の中に収まる傾向が強いのに対して、「は」は直後の動詞を飛び越えて遠くの文末の動詞を修飾する傾向が強いと言うことができる。

そのため、コマ主題細目①・②で見た、「Aが私がふるえるほど大嫌いなBを私の親友のCに紹介した」という文についても、「語順の原則」や「読点の原則2」を用いずとも、今回の「「は」と「が」の原則」を用いて、「が」を「は」に変換することにより、元の文は、「Aは私がふるえるほど大嫌いなBを私の親友のCに紹介した」となり、明晰な文を構成することが可能になる。「は」と「が」の使い分けについて、以上の原則を理解する。



キーワード ① 語順 ② 読点 ③ 修飾 ④ 「は」 ⑤ 「が」
コマの展開方法 社会人講師 AL ICT PowerPoint・Keynote 教科書
コマ用オリジナル配布資料 コマ用プリント配布資料 その他 該当なし
小テスト 「小テスト」については、毎回の授業終了時、manaba上において5問以上の、当該コマの小テスト(難易度表示付き)を実施します。
復習・予習課題 【本コマの復習】
本コマで学んできたいくつかの原則について、コマシラバスを読み直して再確認し、その上で、これまでに自分が書き溜めてきた文章のうち、その原則に反しているものがないかどうか点検作業を行う。また、これまでに読んできた文献や先行研究のうち、とくに文章が読みやすく感じたものをピックアップし、この原則に反しているものが少ないことを確認する。

【次コマの予習】
次コマでは第Ⅰ部「読解編」の第三回から第五回にかけて重点的に学んできた接続詞や、第二回で学んだ「スキミング」という読解技法に関連して学んだ「スキーマ」の考えなどについて、文章執筆の観点から、これをあらためて見ていくことになる。そこで、次コマへの予習として、コマシラバスの第三回から第五回の内容、および、第二回の内容を読み直し、各接続詞の用法と、スキーマの考えについて、理解を再確認しておくこと。とりわけ接続詞の各用法については、自らが作成中のレポートとも照らし合わせながら確認し、自分の文章中で誤った用法が見られないかどうか点検しておくこと。

12 学術的な文章執筆の視座5―予告文・指示詞・接続詞― 科目の中での位置付け 本科目は、第Ⅰ部「読解編」と第Ⅱ部「執筆編」とから成る。第I部では、教員が選定した学術的な文章をアカデミックな現場の実例として用いつつ、コマ主題細目に挙げられている、文章読解のための具体的な視座を順次レクチャーしていく。最終的に第Ⅰ部では、担当教員の指定した文章を400字程度で要約することが求められる。

また、第Ⅱ部では、第Ⅰ部の内容を踏まえ、文章執筆のための要点が、各コマのコマ主題細目にしたがって、各担当教員からレクチャーされる。なお、第Ⅱ部の終盤では、仮提出された各受講生のレポート課題をサンプルとして、文章執筆のポイントを再確認していく。

本コマは、第Ⅱ部執筆編の第五回目にあたる。今回は前回に引き続き、これまでに各自が執筆をすすめてきているレポートについて、それを構成している文章をより明晰なものにするための見直しの視点を提供する。今回は、後続する文章の展開を予告する文、指示詞、接続詞の用法という点について見ていきたい。

【コマ主題細目①】
・大村彰道監修『文章理解の心理学』、北大路書房、5-6頁。

・石黒圭『論文・レポートの基本』、日本実業出版社、182-185頁。

【コマ主題細目②】
・石黒圭『よくわかる文章表現の技術Ⅲ―文法編―』、明治書院、2005年、126-147頁。

【コマ主題細目③】
・石黒圭『文章は接続詞で決まる』、光文社新書、2008年、60-108頁。
コマ主題細目 ① 予告文 ② 指示詞 ③ 接続詞(順接・逆接・並列・対比) ④ ⑤
細目レベル ① 第Ⅰ部の読解編においては、文章読解の技法として「スキミング」を紹介した。そこでは、知識の枠組みである「スキーマ」をできるだけ早く機能させられるよう、その文章が何について述べられたものであるのか、すなわち、その文章の「話題」は何であるのかを捉えることが重要である点を学んだ。

これについて、裏を返して文章執筆の観点から考えると、書き手は、できるだけ早く読み手に文章の中心的な「話題」を示し、後続の文章の内容を理解しやすいよう、次に述べる内容を予告しておくことが肝要だ、ということになる。文章の認知過程についての心理学的な研究においては、こうした表現は「先行オーガナイザー(advance organizer)」と呼ばれており、種々の実験によってその有効性が実証されている。

先行オーガナイザーの例としては、文書のタイトルなども挙げられる。その意味では、今一度、自身の執筆しているレポートにその内容を表す適切なタイトルがつけられているかどうか、あるいは、レポート中の各節には適切な節の名が付されているかどうか、といった点も見直すとよいだろう。

またそれに加えて、学術的な文章における先行オーガナイザーとしては、「予告文」とでも呼ぶことができるような、後続の文章展開にあらかじめ枠をはめていく文の役割が重要である。こうした予告文の例としては、

(1)「ここでは、効果的な感染症対策について説明する」といった説明予告型のもの、
(2)「効果的な感染症対策にはどのようなものがあるだろうか」といった問題提起型のもの、
(3)「効果的な感染症対策には次の三つのものがある」といった存在宣言型のもの、
(4)「効果的な感染症対策は次の通りである」といった位置予告型のもの、

などがあり、こうした予告文を、先に学んだ序列表現(「まずは」・「つぎに」・「さらに」など)と併せて用いることで、その文章は読み手にとって格段に分かりやすくなるだろう。予告文の意義と具体例について、以上の点まで理解する。

                     *


② 文章の見直しの視点としては、指示詞についても重要である。指示詞には、「これ」・「このような」・「こうした」といったコ系列のものや、「それ」・「そのような」・「そうした」といったソ系列のものがあり、学術的な文章においては、先行文脈の内容をそのまま受ける際には、ソ系列の指示詞を使用するのが一般的である。

ただし、以下の四つの場合には、むしろコ系列の指示詞を使用する方がよい。すなわち、

(1)書き手が書いている「今」・「ここ」・「私」と強く結びつけたい場合、
(2)書き手が文章中の中心的なテーマと強く結びつけたい場合、
(3)比較的離れた表現を指したり、それまでの内容をまとめたりする場合、
(4)後続文脈を支持する場合である。

(1)については、「ここでは次のことが問題である」といったように、特定の文脈を指示するのではなく、むしろ「今」・「ここ」という現場を指示するものである。

(2)については、「本稿で問題にしたいのは、上の引用における○○というテーゼである。このテーゼは、この先行研究における中心的な主張であると言ってよい」といったように用いられるものであり、上の「このテーゼ」・「この先行研究」という表現は、「そのテーゼ」・「その先行研究」とも表すことができるにもかかわらず、書き手が論じたい中心的なテーマに引きつけるために、ソ系列ではなくあえてコ系列の指示詞が用いられていると考えることができる。

(3)については、「このように考えることで、本稿では冒頭の問題を解決することができた」というように、それまでの議論全体をまとめていく際などに使用されるものである。

(4)については、「要点は、こうである。すなわち……」といったように、後から述べられることを指して用いられる。

以上の(1)~(4)のコ系列の指示詞の使用法は、いずれも文章執筆上ぜひ留意したいものであるが、(3)については、文章をまとめようという意識が強く働く場合に思わず用いがちであり、気がつくとコ系列の指示詞が連続していた、ということにもなりかねないため、とりわけ注意が必要である。文章の見直しのポイントとして、指示詞の使用について以上の点まで押さえる。

                     *


③ これまでに本講義では、第Ⅰ部「読解編」および第Ⅱ部「執筆編」で折にふれて接続詞についてレクチャーしてきているが、とりわけ文章執筆に際して重要なポイントのうちのいくつかについては、まだ扱いきれていないものがある。ここでは、そうした接続詞使用に関する要点をいくらか補っておきたい。具体的には、順接の接続詞・逆接の接続詞・並列の接続詞・対比の接続詞についての文章執筆上の留意点を順にみていこう。

【③-1 順接の接続詞】
まず、順接の接続詞に関しては、学術論文での使用頻度が高いのは、「したがって」・「よって」等、前に見た「このように」と同様に議論の帰結を導いていくタイプのものであるが、一方で、「だから」・「なので」等、話し言葉では頻繁に用いられるものの学術論文ではあまり使用されないものもある。(ただし、「だから」については、読み手が容易には推測できないような内容の後続文脈へとつなげるときに意図的に使用されるケースも見られる。)そのため、執筆している原稿の中で、「だから」・「なので」が用いられている場合には、「そのため」・「それゆえ」等で置き換えるのが望ましい。

【③-2 逆接の接続詞】
つぎに、逆接の接続詞について見てみると、とりわけ接続詞「しかし」については、学術的な文章の中でも非常に高頻度で用いられるものである。「しかし」は、先行文脈と後続文脈の食い違いを強調し、文章の展開を積極的に切り替えていくことができるため、例えば、次のように用いられる。「この分野の先行研究には○○や△△などがある。しかし、□□を詳しく論じたものはない。そこで、本稿では□□について論じることにする。」

ただし、「しかし」はこのように文章展開上用いやすいため、文章中で過剰に用いられやすいので注意が必要である。それを防ぐためには、例えば、「しかし」に似た機能をもつ「だが」を代わりに使用する、という方法がある。その際、「だが」には、先行文脈で示されてこなかった事実や書き手の主張を「実は」というニュアンスも込めながら提出する、という、「しかし」にはない独特の意味合いがあることも押さえておくとよい。例えば、「人間は個人生活でも、自分の行為を正当化しようとする。だが、国家や権力機関がそれを始めたときは非常に危険である」といったように、「だが」を用いて、その直後に書き手の主張が表されることなどがある。以上のような「しかし」と「だが」の機能の細かな違いを意識しながら文章が書けるようになると、文章自体が非常に洗練され、論理的なものになってくる。

ちなみに、逆接の意味は、「しかし」や「だが」を用いずとも、助詞「が」によって表現することも可能である。ただし、助詞「が」には、「今日はお天気がよろしいですが、皆さんはいかがお過ごしですか」というときの「が」のように、逆接の用法でないものもしばしばみられる。学術的な文章においては、こうした「が」は回避した方が無難である。

【③-3 並列の接続詞】
さらに、並列の接続詞について見てみると、その代表格である「そして」は、ジャンルを問わず頻繁に用いられるものであるが、学術的な文章でも、やはり使用頻度が非常に高い。例えば、「そして」は、先にも学んだように、列挙の接続詞の中に混ざって、「まず」・「つぎに」・「そして」・「さらに」といったような順序で用いられることがある。ただし、「そして」には、第Ⅰ部(第四回)でもふれたように、最後に一つ重要な情報を付け加える、というニュアンスも含まれている。したがって、議論の中で過剰に「そして」を用いてしまうと、読み手にとっては、何が本当に重要な情報であるのかが不明瞭になってしまうため、不必要に「そして」を使用しすぎていないか、よく文章を見直す必要があるだろう。

【③-4 対比の接続詞】
最後に、対比の接続詞についてであるが、学術的な文章における使用頻度が高いものとしては、「一方」・「他方」・「それに対して」などが挙げられる。文章執筆時の留意点としては、「それに対して」は前後の事柄が対になっていないと用いられないのに対して、「一方」や「他方」は、その前後の事柄に相違点さえあれば用いることができる、という点である。こうした「一方」・「他方」も、文章中で習慣的に多用してしまいがちであるので、「それに対して」が使用できるところではこれで置き換えていくなどして、使用頻度が高くなりすぎていないか、見直してみるとよいだろう。順接・逆接・並列・対比の接続詞について、執筆している文章を見直すための視点として、以上の点まで押さえておく。



キーワード ① 予告文 ② 先行オーガナイザー ③ 指示詞 ④ コ系列とソ系列 ⑤ 接続詞
コマの展開方法 社会人講師 AL ICT PowerPoint・Keynote 教科書
コマ用オリジナル配布資料 コマ用プリント配布資料 その他 該当なし
小テスト 「小テスト」については、毎回の授業終了時、manaba上において5問以上の、当該コマの小テスト(難易度表示付き)を実施します。
復習・予習課題 【本コマの復習】
本コマの内容を踏まえて、作成中の自身のレポートを見直し、「しかし」・「そして」・「一方」といった使いやすい接続詞を多用してしまっていないかどうか、また「だから」・「なので」といった話し言葉の接続詞を用いてしまっていないかどうかを確認しておく。また、指示詞についても、文章をまとめる段で、コ系列の指示詞を多用してしまっていないかどうか点検しておくこと。

【次コマの予習】
次コマは復習コマであり、パラグラフ・ライティングの考え方を用いた文章執筆のポイントや、明晰な文を書くためのポイントについて再確認する。それに備えて、自身の作成中のレポートの段落の先頭の文がトピック・センテンスとしての役割を担うことができているかどうか、確認しておく。

具体的には、各段落冒頭の文が、当該の段落の主張を端的に示したものになっているかどうか、また、各段落冒頭の文をピックアップしてつなげていたときにそれが論理的な接続関係になっているかどうか、という点を確認しておく。とくに、それが達成できていない場合には、次コマにおいてポイントの確認を怠らないこと。

13 復習コマ2―第Ⅱ部「読解編」の復習― 科目の中での位置付け 本科目は、第Ⅰ部「読解編」と第Ⅱ部「執筆編」とから成る。第I部では、教員が選定した学術的な文章をアカデミックな現場の実例として用いつつ、コマ主題細目に挙げている、文章読解のための具体的な視座を順次レクチャーしていく。最終的に第Ⅰ部では、担当教員の指定した文章を400字程度で要約することが求められる。

また、第Ⅱ部では、第Ⅰ部の内容を踏まえ、文章執筆のための要点が、各コマのコマ主題細目にしたがって、各担当教員からレクチャーされる。なお、第Ⅱ部の終盤では、仮提出された各受講生のレポート課題をサンプルとして、文章執筆のポイントを再確認していく。

本コマは、第Ⅱ部「執筆編」の復習コマである。これまで、主に第八回・第九回・第十回にかけて、学術的なレポートに着手し、実際に議論を展開していく方法について、「批判」・「引用」・「段落」といったキーワードのもとに学んできており、また、主に第十一回・第十二回には、いわば第Ⅰ部「読解編」の内容で扱った内容を裏面から見るような仕方で、「語順」、「読点」、「「は」と「が」の使い分け」、「予告文」、「指示詞」、「接続詞」といった点に着目し、明晰かつ論理的な文章を執筆するための技法について学んできた。

本コマでは、(今回の講義終了後から次回講義までの間の)教員によって指定された期日に求められるレポート仮提出に向けて、上の内容の要点をあらためて復習し、これまでにふれてこなかった点についても、時間の許す限りにおいて補足説明する。

【コマ主題細目①】
・河野哲也『レポート・論文の書き方入門(第4版)』、慶應義塾大学出版会、2018年、23-30頁。

【コマ主題細目②】
・本多勝一『〈新版〉日本語の作文技術』、朝日文庫、2015年、55-60頁。

・本多勝一『〈新版〉日本語の作文技術』、朝日文庫、2015年、107-109頁。

・石黒圭『よくわかる文章表現の技術Ⅰ―表現・表記編―〔新版〕』、明治書院、2009年、25-28頁。

【コマ主題細目③】
・石黒圭『論文・レポートの基本』、日本実業出版社、46-49頁
コマ主題細目 ① レポートの構成 ② 明晰な文章 ③ 調査方法の種類 ④ ⑤
細目レベル ① レポートの構成については、第十回講義で見てきたパラグラフ・ライティングの方法を基本として考える。パラグラフ・ライティングでは、各段落の冒頭にその段落の内容を端的に示す「トピック・センテンス」を配置し、「説明」・「例示」・「理由」・「経緯」といった型を念頭におきながら、各段落内を支持文によって埋めていくことになる。また同時に、トピック・センテンスの文頭には、各段落冒頭のトピック・センテンス間の論理的な関係を示す接続詞を付す。

このようにして、複数の段落から成るレポート本文が構成されるわけであるが、レポート全体を構成する具体的な議論の展開の型には、どのようなものがあったであろうか。すなわち、(1)「反論-否定的結論」型、(2)「反論-対案提示」型、(3)「批判的検討-肯定」型の三つである。

このような型に沿って議論を行うとすれば、例えば、(1)・(2)の型におけるトピック・センテンスを想定する場合、次のような議論の展開が、途中までは共通して考えられるだろう。

㋐「まず、著者の議論の要約を以下に示そう。」
㋑「ここで、上の議論の中でもとりわけ重要な点として、次のことがある。」
㋒「しかし、こうした著者の議論については、その前提に問題があると考えられる。」

その上で、(1)の場合には、「このように、著者の議論は○○という点で問題があることが示された」といった文に帰結していくであろうし、(2)の場合には、「そこで、△△と考えることによって、あらためてこの問題を捉えなおしてみたい」といった文が連なっていくことが想定される。

以上のようにして、上記(1)・(2)・(3)の型に沿いつつ、可能な限りパラグラフ・ライティングの技法を駆使していくことが、論理的なレポートの構成にとって重要である。

なお、これも既に学んだことであるが、上のような議論のアウトラインについては、「まず」・「つぎに」・「さらに」といった序列の接続詞を用いて、「序論」/「はじめに」において示しておくことが、読み手を議論の過程で迷子にさせないための工夫として重要である。
レポートの構成について、以上の要点をあらためて押さえる。

                     *


② 明晰な文章を書くための視座について、あらためて復習する。コマ主題細目①で見てきたような構成に従ってレポートを執筆していくことができれば、段落内の文と文との関係や、段落と段落との関係は論理的に構成されており、非常に優れたレポートが成立すると思われる。ただし、その肝心の段落内の一つ一つの文が誤解を招くようなものになっていると、それが議論全体に致命的な打撃を与える可能性さえあるため、学術的な文章においては、常に明晰な文を執筆するよう留意する必要がある。

そのための要点としては、とくに修飾・被修飾の関係の明示に関わることでは、「語順」・「読点の打ち方」・「「は」と「が」の使い分け」といった点が挙げられた。それらに関する重要な原則としては、以下のようなものがあった。

・「語順の原則」:〈長い修飾語を前に、短い修飾語を後ろに配置する〉
・「読点の原則1」:〈長い修飾語が二つ以上あるとき、その境界に読点を打つ〉
・「読点の原則2」:〈「逆順」(「語順の原則」が破られている状況)が生じている場合には、前方に配置されている短い修飾語の直後に読点を打つ〉
・「「は」と「が」の原則」:〈遠くにある動詞を修飾したい場合には「は」を、直後にある動詞を修飾したい場合には「が」を用いる〉

これらの原則を用いることで、例えば、第十一回に見た悪文の例、すなわち、

「Aが私がふるえるほど大嫌いなBを私の親友のCに紹介した」

という文は、これに、「語順の原則」、「読点の原則2」、「「は」と「が」の原則」を適用すると、それぞれ、次のようになる。

「私がふるえるほど大嫌いなBを私の親友のCにAが紹介した」
「Aが、私がふるえるほど大嫌いなBを私の親友のCに紹介した」
「Aは私がふるえるほど大嫌いなBを私の親友のCに紹介した」

このようにして、「語順」・「読点」・「「は」と「が」」に注意することで、意味が捉えにくい文を明晰なものに変換することができるということであった。明晰な文でレポートの文章を執筆するための視座について、以上の点まであらためて押さえる。

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③ ここでは、本科目のレポートでは用いていない調査方法について、簡単に補足しておく。本科目の受講者は主に初年次生であり、各学問分野の専門的な調査技法を習得していない状況であるため、今回のレポートは、あくまでも簡易的な文献調査の手法で構成されるものである。ただし、今後専門的な研究へと進んでいく中では、研究分野によって、様々な調査方法を用いることになる。

ここでは、以下の六つの調査方法の概要を知っておく。すなわち、㋐実験、㋑観察、㋒内省、㋓アンケート調査、㋔インタビュー調査、㋕文献調査の六つである。

㋐実験は、いわゆる理科系の研究手法として代表的なものである。Aという物質をBという溶液に入れるとどうなるか、Cという物質をDという臓器に投与するとどうなるか、といった、知りたいことを実験室の中で試み、データを得ていくものである。

㋑観察は、実験として行うのが困難なことについて、対象を一定時間注意深く観察することによってデータを得るものである。

㋒内省は、実際には実験しにくいことを自分の頭の中で行ってみることであり、思考実験と思考観察を推し進めたものと考えることができる。

㋓アンケート調査は、質問紙調査とも呼ばれるものであり、大規模な調査を実施する前にパイロット調査と呼ばれる小規模の予備調査を実施することもある。

㋔インタビュー調査は面接調査とも言い、これは、次の三つに大きく分かれる。すなわち、(1)質問項目のあらかじめ決まっている「構造化インタビュー」、(2)質問項目はあらかじめ決まっているものの回答者の反応を踏まえて派生的な質問を行うこともある「半構造化インタビュー」、(3)決まった質問項目がなく、ある話題について回答者に自由に話してもらう「非構造化インタビュー」である。

㋕文献調査は、古典や文学の研究、歴史や社会思想史の研究のように、一次資料に向き合って、これを精密に解釈・分析する研究である。

以上のような研究手法の概要を知った上で、今回のレポート課題は、原則として主に、これらのうちの㋕文献調査の手法を簡易的に用いて取り組まれるものであり、数ある研究手法のうちの一端を用いたものに過ぎない、という点を押さえる。



キーワード ① レポートの構成 ② パラグラフ・ライティング ③ 明晰な文章 ④ 修飾 ⑤ 調査方法
コマの展開方法 社会人講師 AL ICT PowerPoint・Keynote 教科書
コマ用オリジナル配布資料 コマ用プリント配布資料 その他 該当なし
小テスト 「小テスト」については、毎回の授業終了時、manaba上において5問以上の、当該コマの小テスト(難易度表示付き)を実施します。
復習・予習課題 【本コマの復習】
本コマでは、パラグラフ・ライティングの方法を中心にレポートの構成方法を復習し、修飾・被修飾関係の問題を中心に明晰な文章を書くための方法についてもあらためて確認してきた。現在執筆中のレポートの仮提出が次回までに求められることになるため、今一度、今回復習したパラグラフ・ライティングの方法が自身のレポートにうまく適用されているかどうかを確認すると共に、自身のレポートを音読し、読みにくい文章がないかどうか確認し、読みにくい文章があった場合には、語順、読点、「は」と「が」の使い分け、といった観点から推敲すること。

【次コマの予習】
次コマからは、教員に仮提出された各受講生のレポートから抽出されたものをサンプルとして、これまでに学んできた文章執筆技法があらためて確認される。それにあたって、まずはこの仮提出の段階で、自身のレポートは、履修判定指標に照らし合わせたとき、どの程度の水準に達しているのかを確認しておくこと。

14 レポートサンプルの検討―論文の構成とアカデミックマナーの観点から― 科目の中での位置付け 本科目は、第Ⅰ部「読解編」と第Ⅱ部「執筆編」とから成る。第I部では、教員が選定した学術的な文章をアカデミックな現場の実例として用いつつ、コマ主題細目に挙げている、文章読解のための具体的な視座を順次レクチャーしていく。最終的に第Ⅰ部では、担当教員の指定した文章を400字程度で要約することが求められる。また、第Ⅱ部では、第Ⅰ部の内容を踏まえ、文章執筆のための要点が、各コマのコマ主題細目にしたがって、各担当教員からレクチャーされる。なお、第Ⅱ部の終盤では、仮提出された各受講生のレポート課題をサンプルとして、文章執筆のポイントを再確認していく。

本コマは、第Ⅱ部の終盤・本講義全体の終盤に位置づけられており、具体的には、受講生のレポートをサンプルとして、これまでに第Ⅱ部で学んできた、学術的な文章執筆のための要点を確認する総仕上げの1コマ目である。本コマでは、主に第Ⅱ部の前半(第八回・第九回・第十回)で学んできた、レポートの構成やアカデミックマナーの観点から、受講生のレポートを検討していく。(今回は、文と文との間の論理的な関係や、一つ一つの文の明晰さ、ということよりも、上のような観点に重きを置いて見ていくこととする。これらの点については、次回のレポート検討コマで確認していく。)なお、検討にあたっては、履修判定指標も適宜参照する。

【コマ主題細目①】
・河野哲也『レポート・論文の書き方入門(第4版)』、慶應義塾大学出版会、2018年、23-30頁。

・石黒圭『段落論―日本語の「わかりやすさ」の決め手―』、光文社新書、2020年、179-186頁。

【コマ主題細目②】
・石黒圭『論文・レポートの基本』、日本実業出版社、195-201頁。

【コマ主題細目③】
・大村彰道監修『文章理解の心理学』、北大路書房、5-6頁。
コマ主題細目 ① レポートの構成 ② アカデミックマナー ③ 先行オーガナイザー(予告文・タイトル) ④ ⑤
細目レベル ① 学生のレポートサンプルについて、レポートの構成という観点から検討する。レポートの構成を考える上では、これまでの講義で見てきた通り、パラグラフ・ライティングの考えに基づいて、各段落冒頭のトピック・センテンスを抽出していったときにその各々が論理的な仕方で接続されていることが重要である。ここでは、検討するレポートサンプルの各段落の冒頭の文を抜き出し、これが接続詞等の使用によって論理的につながる仕方で配置されているかどうかを確認する。

その上で、それが正しく論理的に構成されている場合には、そのレポートの論理展開がどのようなものであるか、という点について、レポートを構成する三つの型((1)「反論-否定的結論」型、(2)「反論-対案提示」型、(3)「批判的検討-肯定」型)を参考にして、その大枠を捉える。

また、本論以外の部分に関しては、とくに「序論」ないし「はじめに」の文章に注目し、そこにおいて、レポートで論じられる主題が明確に示された上で、(その主題についてどのような順序でこれから論じていくのかという)論述の展開順序が、列挙の接続詞を用いて明示されているかどうかを検討する。

さらに、これまでに第Ⅱ部の中でふれてこなかった部分として、「結論」ないし「結び」の文章についても検討する。そこでは、本論中で論じられたことの結論が端的に表現されていることが求められる。具体的には、そのレポートを通して、何について、どこまでのことが分かったのか(どこからが分からなかったのか)が明確に示されている必要がある。このことによってはじめて今後の課題は明確になるため、今後(少なくとも)4年間大学において学術的な営みを続けていく上では、こうして自らの知がどこまで及んでいるのか、どこからは無知なのか、という点に、常に自覚的であることが大学生の資質として求められる。(真正に理解されたソクラテスの「無知の知」とは、この意味である。)レポートの構成について、「序論」・「本論」・「結論」を執筆する上での要点を、学生のレポートの検討を通して、以上の点まで押さえる。

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② 学生のレポートサンプルについて、今回はコマ主題細目①の観点に加えて、アカデミックマナーという点からも検討する。具体的には、とりわけ本講義でこれまでに重点的に指導してきた「引用」のマナーを中心に見る。

初学者のレポートにおいては、「 」を用いた直接引用については適切に行うことができているものの、「 」を用いない間接引用について、その引用の始点・終点が不明確であったり、明らかに間接引用をしているにもかかわらず、その出典が明記されていなかったりすることが、しばしばある。間接引用でこのような事態が生じてしまっているレポートでは、レポートの書き手の主張と、他の文献の主張とが明確に区別されないことになり、このことによってそのレポートの学術的な価値は大きく損なわれる。

そのため、直接引用はもちろんのこと、間接引用の際にも、例えば、「○○の主張は以下である」といった書き出しで引用の始点を明確に示した上で、引用の終点についても、引用の助詞「と」に対して、「述べている」、「言っている」、「指摘している」、「批判している」を付したり、あるいは、その受身形である「述べられている」、「言われている」、「指摘されている」、「批判されている」を付したりすることによって明示することが厳しく求められる。

引用のマナーについて、とくに引用の範囲の明確化という点を中心に、学生のサンプルレポートの検討を通して、あらためて以上の点まで押さえる。

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③ 今回学生のレポートサンプルを検討する視点として、最後にもう一点、「先行オーガナイザー(advance organizer)」の働きを踏まえて執筆することができているか、という点も取り上げたい。これまでに本講義では第Ⅰ部・第Ⅱ部の全体を通して、書き手はできるだけ早く読み手に文章の中心的な「話題」を示し、後続の文章の内容を理解しやすいよう、次に述べる内容を予告しておくことが肝要だ、という点を繰り返し強調してきた。

例えば、レポートの序盤、各節の最初の段落、段落の冒頭の一文などにおける予告ということが挙げられる。レポート序盤での議論の展開順序の予告の重要性については、コマ主題細目①で見た通りである。それと同様に、各節の第一段落においても、その節の議論の展開順序や中心的な主題をあらかじめ告知するようにするとよい。そして、段落冒頭のトピック・センテンスでもってその段落の主張を端的に示すことの重要性についても、これまでに繰り返し指摘してきた。

さらに、このような、冒頭部分での指示の徹底という点にとどまらず、例えば、「その理由は、こうである」といった、コ系列の指示詞が後続文脈を指示する働きを活用した文を用いるなどして、これから何について述べるのかを読み手にあらかじめ伝え、理解の枠組みを先行的に構成しておくための工夫が適宜求められる。接続詞の使用も、後続文脈を予告する働きがあるという意味で、こうした工夫の一つと捉えられるだろう。なお、文を用いた予告ということと併せて、レポートのタイトルや、各節のタイトルについても、先行オーガナイザーを働かせるために非常に重要な役割を果たす、ということであった。

本コマでは、このような観点から、レポートサンプルにおける予告文を検討すると共に、レポートのタイトルは内容を表すのに適当なものであるか、各節のタイトルはその中心的な話題を反映したものになっているのか、といった点についても確認していく。抽出したレポートのタイトルが不適当なものであった場合には、タイトルにはどのようなものがふさわしいのか検討することも行う。

先行オーガナイザーの働きを踏まえたレポート作成について、以上の点まで、レポートサンプルの検討を通して、あらためて確認する。



キーワード ① レポートの構成 ② 無知の知 ③ 引用 ④ 先行オーガナイザー ⑤ タイトル
コマの展開方法 社会人講師 AL ICT PowerPoint・Keynote 教科書
コマ用オリジナル配布資料 コマ用プリント配布資料 その他 該当なし
小テスト 「小テスト」については、毎回の授業終了時、manaba上において5問以上の、当該コマの小テスト(難易度表示付き)を実施します。
復習・予習課題 【本コマの復習】
本コマでは、レポートの構成、引用、先行オーガナイザーの利用といった観点から、サンプルとして抽出された受講生のレポートが検討された。そこで教員によって指摘された内容を踏まえて、自らの仮提出したレポートを見直し、検討されたレポートについて指摘されていた点と同じような修正すべき点がないかどうか、検討し、場合によっては修正を施しておくこと。

【次コマの予習】
次コマでも引き続き、学生のレポートの中からサンプルとして抽出されたものが検討される。本コマの最後に、次コマで検討される学生のレポートについても、そのコピーもしくはデータが教員から共有されるので、それをあらかじめ読み、履修判定指標を参考にしつつ、そのサンプルレポートが、どの指標をどの程度満たしているかを採点しておくこと。(そして、当のサンプルレポートについて次コマの中で教員が履修判定指標に基づいて指摘する内容と、そのレポートについての自分自身の事前評価を比べ、履修判定指標で示されている水準をより正確に理解できるようにする。)

15 レポートサンプルの検討―文の明晰さ・論理性の観点から― 科目の中での位置付け 本科目は、第Ⅰ部「読解編」と第Ⅱ部「執筆編」とから成る。第I部では、教員が選定した学術的な文章をアカデミックな現場の実例として用いつつ、コマ主題細目に挙げている、文章読解のための具体的な視座を順次レクチャーしていく。最終的に第Ⅰ部では、担当教員の指定した文章を400字程度で要約することが求められる。また、第Ⅱ部では、第Ⅰ部の内容を踏まえ、文章執筆のための要点が、各コマのコマ主題細目にしたがって、各担当教員からレクチャーされる。なお、第Ⅱ部の終盤では、仮提出された各受講生のレポート課題をサンプルとして、文章執筆のポイントを再確認していく。

本コマは、第Ⅱ部の最終コマであると同時に本講義の最終コマでもある。既に、第Ⅰ部の要点は、第七回目の「復習コマ1」において、また、第Ⅱ部の要点は、第十三回目の「復習コマ2」において確認してきているため、本講義では最終回にいわゆる「まとめ」のコマを設けていない。むしろ、前コマに続いて受講生のレポートをサンプルとして、学術的な文章執筆のための要点を確認すること(これは学術的な文章読解のための要点整理と表裏一体である)を通して、本講義の「まとめ」に代えたい。

具体的には、本コマでは、(総仕上げ1コマ目の前コマが、レポートの構成やアカデミックマナーという観点からのレポートサンプルの検討に重きを置いたのに対して、)各段落内における文章の論理的構成や、一つ一つの文の明晰さという視点から検討を行いたい。なお、検討にあたっては、履修判定指標も適宜参照する。

【コマ主題細目①】
・本多勝一『〈新版〉日本語の作文技術』、朝日文庫、2015年、55-60頁。

・本多勝一『〈新版〉日本語の作文技術』、朝日文庫、2015年、107-109頁。

【コマ主題細目②】
・石黒圭『文章は接続詞で決まる』、光文社新書、2008年、55-152頁。

【コマ主題細目③】
・石黒圭『論文・レポートの基本』、日本実業出版社、126-137。
コマ主題細目