区分 学部共通科目
ディプロマ・ポリシーとの関係
(心)専門的知識と実践的能力 (心)分析力と理解力 (心)地域貢献性
(環)専門性 (環)理解力 (環)実践力
カリキュラム・ポリシーとの関係
(心)課題分析力 (心)課題解決力 (心)課題対応力
(環)専門知識 (環)教養知識 (環)思考力 (環)実行力
カリキュラム全体の中でのこの科目の位置づけ
個人・社会・自然が直面する課題に対して専門的な理解を深めると共に、学際的な柔軟性を有し、実践的な能力を有する。
科目の目的
本科目は、本学での四年間の学びの基礎を成すところのリテラシー、すなわち、人間環境学の理念を現実化していくための方途としての基礎的学術技法の会得を目指すものである。具体的には、学術的な文章の内容を、その論理的な構造の正確な把握の上に立って十全に理解・批判するための文章読解能力、および、明晰かつ論理的な文章でもって、しかもアカデミックなマナーに落ち度のない形で学術的なレポートを構成するための文章執筆能力の涵養を企図する。
到達目標
学術的な文献の論理構造を正確に把握し、その内容を要約することができる。また、学術的なレポートについて、その主題にふさわしい文献をアカデミックマナーに則って引用しつつ、論理的な議論を構成し、明晰な文でもってこれを執筆することができる。具体的には、後に示す履修判定指標の各項目を参照のこと。
科目の概要
大学の学びにおいては、学術的な文章を読んだり書いたりすることが毎日のように行われる。しかし、普段から私たちは日本語の文章の読み・書きをしているため、それをあらためて大学生になってまで教わる必要はない、と考える人がいるかもしれない。あるいは、読み・書きの力というのは、ある種の才能に依存するものであって、それは学習によって容易に向上するものではないという、諦めに近い気持ちを抱いている人もいるかもしれない。しかし、実際には、学術的な文章を読むこと・書くことには、日頃の文章の読み・書きとは異なる特定の約束事があり、その約束事には、分野ごとで小さな違いがあるものの、共通した部分がある。また、学術的な文章は、それ以外の文章と比べて、論理性が高く、それを的確に読んだり、実際に自分で書いたりするためには、ある種の学習が必要である。そこで本講義では、こうした学術的な文章の読み・書きについて学習するための機会を提供し、受講生各自が本科目の履修後に、広大な知の世界を自由に歩き回ることができるようになることを目指す。本講義は、教員の指導の下、他の履修生と共に、自信をもって、その第一歩を踏み出すものである。具体的には、第一回において、コマシラバスの使用法から、レポートとは何かという点を確認した上で、第二回では、レポートや論文の基本的なルールとして、引用の方法を学ぶ。その上で、第二回から第七回にかけては、学術的な文章を読むための基本スキルや文章表現法を学ぶ(これを本講義第Ⅰ部「基本スキル編」とする)。その後、第八回から第十三回にかけては、レポートの構成や論文の構成の方法といったアカデミックマナーを講じた上で、より明晰で論理的な文章を書くことができるよう、テーマを発散・収束させる方法、章立ての作り方の用法について確認し、最終的に受講生各自が期末課題として、初めての学術レポートを提出するに至るまでを指導する(これを本講義第Ⅱ部「スキルアップ編」とする)。なお、第十四回は、仕事と学びの繋がりを学ぶ回とし、第十五回は、それまでに執筆した論文を相互に確認、推敲する回とする。
科目のキーワード
①コマシラバス、②接続詞、③論文、④要約、⑤パラグラフ・ライティング、⑥リサーチ・クエスチョン、⑦図書館、⑧アウトライン、⑨引用、⑩推敲
授業の展開方法
本科目は、前にも述べた通り、第Ⅰ部「基本スキル編」と第Ⅱ部「スキルアップ編」とに大きく分かれている。ただし、第Ⅰ部で「読み手」の立場から学んだことの多くは、第Ⅱ部で「書き手」の立場からあらためて取り上げられることになるため、第Ⅰ部と第Ⅱ部とは独立しているわけではなく、むしろ両部の学習内容には有機的なつながりがあり(読解技法の要点は、裏を返せば、執筆技法の要点でもある)、その学習内容は第Ⅰ部から第Ⅱ部へと進行するにしたがって深まっていくことになる。

【第Ⅰ部「基本スキル編」】
さて、まずは第Ⅰ部「基本スキル編」の具体的な授業展開についてである。第Ⅰ部では、文章読解のための視座を担当教員から順次レクチャーしていく。第Ⅰ部の最終的な目標は、教員の指定した学術的な文章について、その論理構造を正確に把握した上で、400字程度で要約する、というものである。

【第Ⅱ部「スキルアップ編」】
つぎに第Ⅱ部「スキルアップ編」の展開方法についてである。第Ⅱ部では、第Ⅰ部の最後に各受講生の作成した要約文や、コマごとに適宜学生が取り組むレポートの途中経過を題材として、学術レポート執筆のための要点を教員がレクチャーしていく(執筆過程における担当教員への相談は主に各教員のオフィスアワーもしくはメール等を利用すること。本科目はオフィスアワーとの連携を密にするものである)。なお、第Ⅱ部の最終的な目標は、言うまでもなく期末レポートの完成である(ただし、正式なレポート提出以前に、第十二回講義終了後から第十五回講義までの間の、学生毎に指定された期日に、レポートを仮提出すること。第十三回と第十五回講義では、その仮提出された全員のレポートについて、順次見直しのポイントをレクチャーする。それを踏まえて、適宜、自分自身のレポートを修正の上、第十五回終了後の指定された期日に、指定された方法で、最終版の期末レポートを正式に提出すること)。第十四回は社会人講師から仕事と学びのつながりについての話を聞くことで、授業の学びと卒業後のイメージのつながりを喚起させる。

【15回の授業内容】
1. コマシラバスの使用・レポートとは何か
2. レポート・論文のルールー引用ー
3. 基本スキル編―発想力―
4. 基本スキル編―読解力・要約力―
5. 基本スキル編―批判的思考力―
6. 基本スキル編―表現力―
7. 基本スキル編―文章表現―
8. スキルアップ編―課題発見力―
9. スキルアップ編―情報整理力―
10. スキルアップ編―論文構成力―
11.スキルアップ編―文章構成力―
12.スキルアップ編―執筆状況の確認―
13.スキルアップ編―課題考察力―
14.仕事と学び
15.論文の相互確認・推敲
※図書館の都合やクラスの状況により、コマの順序を変更することがある。

オフィス・アワー
【火曜日】2時限目~5時限目、【金曜日】2時限目・5時限目
科目コード COM101
学年・期 1年・前期
科目名 基礎ゼミナールⅠ
単位数 2
授業形態 演習
必修・選択 必須
学習時間 【授業】90分×15 【予習】90分以上×15 【復習】90分以上×15
前提とする科目 なし
展開科目 基礎ゼミナールⅡ
関連資格 なし
担当教員名 平山高嗣
主題コマシラバス項目内容教材・教具
1 コマシラバスの使用およびレポート・論文の種類 科目の中での位置付け 本科目は、第Ⅰ部「基本スキル編」と第Ⅱ部「スキルアップ編」とから成る。第I部では、教員の選定した学術的な文章をアカデミックな現場の実例として用いつつ、コマ主題細目に挙げている、文章読解のための具体的な視座を順次レクチャーしていく。最終的に第Ⅰ部では、担当教員の指定した文章を400字程度で要約することが求められる。

また、第Ⅱ部では、第Ⅰ部の内容を踏まえ、文章執筆のための要点が、各コマのコマ主題細目にしたがって、各担当教員からレクチャーされる。なお、第Ⅱ部の終盤では、仮提出された各受講生のレポート課題をサンプルとして、文章執筆のポイントを再確認していく。

このコマでは、こうした本科目全体の展開の前提として、初年次演習科目としての本科目の性格に鑑み、コマシラバス(とくに「科目の中での位置付け」・「コマ主題細目」・「履修判定指標」の欄)の使用を中心に、本学での授業を受講する上での基本的な留意点を確認する。また、これから執筆することになる『レポートと論文とは何か』についてもレクチャーする。

【コマ主題細目①】
・芦田宏直『シラバス論―大学の時代と時間、あるいは〈知識〉の死と再生について―』、晶文社、2019年、118-125頁。

【コマ主題細目②】
・芦田宏直『シラバス論―大学の時代と時間、あるいは〈知識〉の死と再生について―』、晶文社、2019年、166-171頁。

【コマ主題細目③】
・桑田てるみ・江竜珠緒・押木和子・勝亦あき子・松田ユリ子「学生のレポート・論文作成トレーニング改訂版」実教出版、2015年、10頁

【コマ主題細目④】
・桑田てるみ・江竜珠緒・押木和子・勝亦あき子・松田ユリ子「学生のレポート・論文作成トレーニング改訂版」実教出版、2015年、11頁

【コマ主題細目⑤】
・桑田てるみ・江竜珠緒・押木和子・勝亦あき子・松田ユリ子「学生のレポート・論文作成トレーニング改訂版」実教出版、2015年、12頁
コマ主題細目 ① コマシラバスの使い方(1)―「科目の中での位置付け」と「コマ主題細目」― ② コマシラバスの使い方(2)―履修判定指標― ③ レポート・論文の種類 ④ レポート・論文を書く準備 ⑤ レポート・論文の構成要素
細目レベル ① 大学の講義では、高等学校までの授業と比して、より高度に専門的な内容が講じられる。その際には、配布資料や板書・PowerPoint等が補助的に使用されるが、ただし、高等学校までの授業とは異なり、必ずしも教科書が指定されているわけではなく、仮に教科書が指定されていたとしても、その教科書の内容自体が批判的に検討されるなどするため、一般に、大学の講義においては、その回の講義が当該科目の全ての内容の中でどのように位置づけられているのか、また、いま教員が講じている内容は当該回の全体のどの部分なのか、といったことが受講生にとって不明瞭になり、現在地点を確かめるための全体地図が喪失されているように感じることもしばしばある。

しかし、本学においては、各回の講義内容が詳細に記載されたコマシラバスが、講義科目、演習科目を問わず、全ての科目について用意されており、これは、教員にとってのペースメーカーの働きをすることはもちろんであるが、それだけにとどまらず、受講生にとっては、まさしく上でその喪失が危惧されたところの全体地図の役割を果たすことになる。

具体的には、コマシラバスの各コマ冒頭の「科目の中での位置付け」には、当該コマが講義全体の中にどのように位置づけられているかが記されており、また、各コマのコマ主題細目とその細目レベルの欄には、当該コマの中では何について論じられるのかというときの「何」と、その論じられる事柄はどの程度まで掘り下げられるのかというときの「どの程度」が記載されている。

さらに、多くの大学のシラバスにおいて見られるような、科目全体に対する参考文献の記載ではなく、各コマ主題細目に対する参考文献の記載があるため、受講生の側もコマシラバスを積極的に用いることで、それは単に講義内での全体地図として機能するだけでなく、当該専門分野の文献の参照ネットワークに分け入っていくための参照地図としても機能することになる。本学でのあらゆる科目の受講にあたって必須となる、コマシラバスの「使い方」について、まずはこの点まで押さえる。



② 大学の講義では、その科目の最終的な評価は筆記試験やレポートによって行われることがほとんどであるが、一般に多くの大学においてしばしば見られるように、「○○について知るところを述べよ」といった形の問いに対する回答によって期末評価がなされる場合には、実際のところ、どういった観点から評価がなされており、その観点についてどの水準まで到達することが求められているのかという点が、(受講生にとっても担当教員にとっても)不明瞭である。このことは、成績評価の透明性という観点からも無論問題として取りあげられるべきであろうが、受講生の側からすれば、それだけにとどまらず、そもそも自分が履修しているある科目について、どの点について、どのレベルまで到達することを目指せばよいのかが分からない、という切実な問題にも直結する。

そこで本学のコマシラバスにおいては、末尾に「履修判定指標」なる項目が設けられており、受講生はこの箇所を折にふれて参照することによって、最終的な目標地点はどこであり、その目標地点に対して自分はどこまで到達しているのか(まだどれくらいの距離があるのか)ということを明確に知ることができるようになっている。つまり、コマシラバスは、(コマ主題細目①で見てきたような)講義内容全体から見た現在地を知るための地図であるにとどまらず、最終的な到達目標から見た現在地を知るための地図としての役割も果たすわけである。コマシラバスの使い方について、コマ主題細目①の内容からさらに進んで、この点まで理解する。



③ レポート・論文では、①表紙②序論(はじめに)③本論④結論(考察)⑤引用文献の5つの構成要素を書く必要がある。まず、①表紙には、レポートや論文のタイトル、所属、氏名を必ず記載する。ここで、タイトルは、そのレポート・論文の内容を最も短くまとめたものであるように、何を主張したいのかという論点が明確になるように書く必要がある。例えば、よくない例としては、「大学生のレポートの取り組み方について」など、「〜について」とするものである。この場合、論点がどこにあるのかを読み取ることができない。良い例としては、「大学生のレポートの取り組み方の問題点」などと主張したい論点をはっきりと示したものが良い。②序論は、問題の提起を行うための部分であり、③本論(考察)は、結論に至った考察や根拠などの要素を示す部分である。②③にて述べたものを、④結論では、整理し、まとめる。⑤引用文献では、引用した文献の書誌情報をまとめたものである。文章には様々な種類がある。例えば、日記やブログなどの私的なものから、報告書などの公的なもの、小説のように文学的なものもあれば、学術論文などの論理的なものまである。このように文章に様々な種類があるのは、誰がどこで何のためによって書くのか、その目的によって、文章の構造や、文体、表現を変える必要があるからである。

数ある種類の文章の中でも、大学では、レポートや論文の課題が課される。ここでは、レポートや論文の種類とて、「報告型レポート」と「論文」について説明する。「説明しなさい」「まとめなさい」という指示のもと課された課題では、調べたものを自分の言葉で説明したり、まとめたりする。このようなものを「報告型レポート」と呼び、指定された課題に基づくテーマ設定のもと、客観的データや根拠に基づいて、調べた結果をまとめるものである。一方、「論じなさい」と指示される課題は、「論文」と呼ばれ、調べたことをまとめるだけではなく、自分なりの論点、論点に対する主張、意見、その根拠を書く必要がある。



④ 文章には様々な種類があるが、ここでは、レポートや論文を書くために守らなければならないルールについて確認を行う。まず、レポートや論文では、自分自身の意見や主張を書く必要があるため、自分自身の言葉で書く必要がある。意見をまとめるにあたっては、インターネットの情報や、図書等、様々な文献から情報を得る必要があるが、それをそのままコピー&ペーストすることは、あってはならない。情報のコピー&ペーストや、丸写しを行った場合、剽窃とみなされ、不正行為として、大学では厳しく処分される。では、他の人の意見や主張を自分のレポートにまとめたい場合は、どうすれば良いだろうか。その場合は、「引用」というルールに従って行う必要がある。正しく「引用」することは重要であるため、次回第2回の授業にて詳しく説明を行う。そのほか、もう一つ大事なルールが、論文やレポートでは、テーマに関する「論点」、主張、根拠を書くことである。これ以外に、個人の心情や個人的な事情は、書く必要はなく、書くべきではない。



⑤ レポート・論文では、①表紙、②序論(はじめに)、③本論、④結論(考察)、⑤引用文献の5つの構成要素を書く必要がある。まず、①表紙には、レポートや論文のタイトル、所属、氏名を必ず記載する。ここで、タイトルは、そのレポート・論文の内容を最も短くまとめたものであるように、何を主張したいのかという論点が明確になるように書く必要がある。例えば、よくない例としては、「大学生のレポートの取り組み方について」など、「〜について」とするものである。この場合、論点がどこにあるのかを読み取ることができない。良い例としては、「大学生のレポートの取り組み方の問題点」などと主張したい論点をはっきりと示したものが良い。②序論は、問題の提起を行うための部分であり、③本論(考察)は、結論に至った考察や根拠などの要素を示す部分である。②③にて述べたものを、④結論で整理し、まとめる。⑤引用文献は、引用した文献の書誌情報をまとめたものである。



キーワード ① コマシラバス ② 構成 ③ パラグラフ ④ 論文 ⑤ レポート
コマの展開方法 社会人講師 AL ICT PowerPoint・Keynote 教科書
コマ用オリジナル配布資料 コマ用プリント配布資料 その他 該当なし
小テスト 「小テスト」については、毎回の授業終了時、manaba上において5問以上の、当該コマの小テスト(難易度表示付き)を実施します。
復習・予習課題 【本コマの復習】
本コマで学んだ、コマシラバスの使い方の復習として、本科目本コマの「科目の中での位置付け」・「コマ主題細目」・「細目レベル」、および、コマシラバス末尾の「履修判定指標」の内容を確認し、実際に本コマの90分の内容を振り返りながら、どのコマ主題細目の内容がどのように扱われていたのか、授業の実際とコマシラバスとの対応を振り返る。また、「履修判定指標」の水準に到達するために、今後どのようなことを学んでいくのかを、次コマ以降の内容に目を通すことで確かめておく。

【次コマの予習】
次コマでは、『レポート・論文のルール』を具体的に学んでいくことになる。それにあたって、教科書である『学生のレポート・論文作成トレーニング改訂版』の14-23頁にあらかじめ目を通しておくと共に、これらの頁のWorkごとに解説した10分程度のオリジナル動画を視聴し、14-23頁に掲載されている課題(Training、check!、WorkSheet)に取り組んでおく。

2 レポート・論文のルールー引用と引用文献リストー 科目の中での位置付け 本科目は、第Ⅰ部「基本スキル編」と第Ⅱ部「スキルアップ編」とから成る。第I部では、教員の選定した学術的な文章をアカデミックな現場の実例として用いつつ、コマ主題細目に挙げている、文章読解のための具体的な視座を順次レクチャーしていく。最終的に第Ⅰ部では、担当教員の指定した文章を400字程度で要約することが求められる。

また、第Ⅱ部では、第Ⅰ部の内容を踏まえ、文章執筆のための要点が、各コマのコマ主題細目にしたがって、各担当教員からレクチャーされる。なお、第Ⅱ部の終盤では、仮提出された各受講生のレポート課題をサンプルとして、文章執筆のポイントを再確認していく。

このコマでは、こうした本科目全体の展開の前提として、レポートや論文を書く上で欠かせない他人の意見や先行研究を紹介する方法である『引用のルール』や『引用文献リスト』についてレクチャーする。

【コマ主題細目①】
桑田てるみ・江竜珠緒・押木和子・勝亦あき子・松田ユリ子「学生のレポート・論文作成トレーニング改訂版」実教出版、2015年、14頁

【コマ主題細目②】
桑田てるみ・江竜珠緒・押木和子・勝亦あき子・松田ユリ子「学生のレポート・論文作成トレーニング改訂版」実教出版、2015年、15-17頁

【コマ主題細目③】
桑田てるみ・江竜珠緒・押木和子・勝亦あき子・松田ユリ子「学生のレポート・論文作成トレーニング改訂版」実教出版、2015年、18-23頁
コマ主題細目 ① 引用とは ② 引用のルール ③ 引用文献リスト
細目レベル ① 第1回にて学習した通り、丸写しやコピー&ペーストはしてはならない。コピー&ペーストを悪気なく行った場合においても、「著作権」の侵害にあたり、犯罪となる。この著作権を侵害しないために必要なのが、「引用」である。「引用」とは、ルールにのっとって、他人の意見や主張を借用することである。ルールは、自身の意見と他人の意見を明確に分けることである。引用文の例を挙げると、例えば、「岡崎(2000)によると、〇〇〇は、×××であることが明らかとなっている。」や、〇〇〇は、×××であると報告されている(岡崎 2000)。」などである。このように、他者が明らかにしたことや、主張していることについては、引用を行うことが必要である。



② 引用には、直接引用と間接引用の2種類がある。直接引用とは、引用したい部分を全てそのまま抜き出すものである。この場合においては、そのまま抜き出した文章をや「」内に表記するとともに、引用をつける。例えば、岡崎(2000)は、”○○○は、×××であり、それは△△△が要因である。」と述べている”などと表記する。一方、間接引用では、引用したい部分を自身の言葉で要約した上で、引用をつけるものである。例えば、”岡崎(2000)は、△△△が○○○の要因の一つであることを報告している”などである。間接引用では、要約する力が必要であり、文の中から、重要なキーワードや文を読み取って、適切に要約する力がなければ、引用元が主張している情報と異なる情報を記載してしまうことになるため、注意が必要である。



③ 本文中に引用した資料や書籍などの情報は、全て引用文献リストとして、レポート・論文に提示する必要がある。引用文献リストは、本文で引用されている事実が正しいかどうかを確認するために、引用元の情報にアクセスする際に必要となる。引用文献リストの書き方は、書籍や雑誌、論文、新聞記事、ウェブサイトなど、それぞれによって、書くべき項目と順番が異なる。基本的には、書籍の場合、著者名・出版年・著書名・出版社を記載し、雑誌記事や論文であれば、著者名・出版年・論文のタイトル・雑誌名・巻号・ページ数などを記載する。また、ウェブサイトを引用する場合は、そのウェブサイトの著者名・更新年・ページタイトル・ウェブサイト名・URL、参照日を記載する。



キーワード ① 引用 ② 直接引用 ③ 間接引用 ④ 要約 ⑤ 引用文献
コマの展開方法 社会人講師 AL ICT PowerPoint・Keynote 教科書
コマ用オリジナル配布資料 コマ用プリント配布資料 その他 該当なし
小テスト 「小テスト」については、毎回の授業終了時、manaba上において5問以上の、当該コマの小テスト(難易度表示付き)を実施します。
復習・予習課題 【本コマの復習】
本コマで学んだ、引用と引用文献リストについての復習として、本科目本コマの「科目の中での位置付け」・「コマ主題細目」・「細目レベル」、および、コマシラバス末尾の「履修判定指標」の内容を確認し、実際に本コマの90分の内容を振り返りながら、どのコマ主題細目の内容がどのように扱われていたのか、授業の実際とコマシラバスとの対応を振り返る。また、「履修判定指標」の水準に到達するために、今後どのようなことを学んでいくのかを、次コマ以降の内容に目を通すことで確かめておく。

【次コマの予習】
次コマでは、『発想力』を具体的に学んでいくことになる。それにあたって、『学生のレポート・論文作成トレーニング改訂版』の38-41, 70-73頁にあらかじめ目を通しておくと共に、これらの頁についてWorkごとに解説した各10分程度のオリジナル動画を視聴し、当該頁に掲載されている課題に取り組んでおく。

3 基本スキル編ー発想力 科目の中での位置付け 本科目は、第Ⅰ部「基本スキル編」と第Ⅱ部「スキルアップ編」とから成る。第I部では、教員の選定した学術的な文章をアカデミックな現場の実例として用いつつ、コマ主題細目に挙げている、文章読解のための具体的な視座を順次レクチャーしていく。最終的に第Ⅰ部では、担当教員の指定した文章を400字程度で要約することが求められる。

また、第Ⅱ部では、第Ⅰ部の内容を踏まえ、文章執筆のための要点が、各コマのコマ主題細目にしたがって、各担当教員からレクチャーされる。なお、第Ⅱ部の終盤では、仮提出された各受講生のレポート課題をサンプルとして、文章執筆のポイントを再確認していく。

このコマでは、こうした本科目全体の展開の前提として、レポートや論文を書く上で欠かせない『思考法』について、具体的な作業方法や思考パターンを示しながらレクチャーする。

【コマ主題細目①】
桑田てるみ・江竜珠緒・押木和子・勝亦あき子・松田ユリ子「学生のレポート・論文作成トレーニング改訂版」実教出版、2015年、38-39頁

【コマ主題細目②】
桑田てるみ・江竜珠緒・押木和子・勝亦あき子・松田ユリ子「学生のレポート・論文作成トレーニング改訂版」実教出版、2015年、40-41頁

【コマ主題細目③】
桑田てるみ・江竜珠緒・押木和子・勝亦あき子・松田ユリ子「学生のレポート・論文作成トレーニング改訂版」実教出版、2015年、70-73頁
コマ主題細目 ① 発散型思考 ② 収束型思考 ③ 課題発見力
細目レベル ① 論文を書くにあたっては、テーマについて調べ、自分なりにそれを理解して考察を深める必要がある。そこで、ここでは思考スキルについて学ぶ。まずは、発散型の思考で、アイデアを広げるため、課題について、関連する知識を全て書き出してみるのが良い。方法はいくつかあり、思いつく限り、付箋に単語や疑問を書いていく方法や、マンダラート(9つの正方形のセルの真ん中にテーマをかき、周りの8つのセルに関連する語書入れていくもの)を使用する方法、5W1H(いつ・どこ・だれ・何・なぜ・どのように)で考える方法、マッピングをする方法などがある。付箋に書き出す方法は、付箋を書き出した内容をグループごとにまとめて、図解し、まとめていくKJ法を行うときにも活躍する。



② 発散型の思考の他にも、収束型の思考、すなわち、アイデアを絞ったり、構造化する思考も重要である。この思考で考えていくためには、概念を小さくしていく方向で考えてみることや、発散型思考の際に書き出した付箋を整理してみると良い。同じような項目が記載された付箋同士を集め、マルで囲み、それらを表すキーワードをつけたり、対立する項目同士を対比させるような矢印を記入したりする。こうすると、発散したアイデアを構造化することが可能である。また、様々な思考パターンを知っておくことも重要である。思考図と呼ばれる、思考の道筋を分かりやすく図で表現したものを利用し、図解して考えることは、考える力を養うためことにもつながる。



③ 論文作成の準備作業として、課題の確認と問題意識の確認の作業を行う。まずは、ワークシートを利用して、課題のテーマ、論文の文字数や枚数などの形式、提出期限、提出方法などの確認を行う。次に、課題として出されたテーマについて、下調べを行う。コマ主題細目①で学んだマンダラートを使って、まずは、テーマについて自身が知っている知識を確認する。9つに分けた正方形の中心に、テーマをかき入れ、その周りの8つのマスに、思いついたことを書き入れる。すべてのマスを埋められない場合には、資料を使うことによって、下調べを行い、8つすべてのマスを埋める。ますがすべて埋まったら、8つの中で最も興味があるものについて、新たなマンダラートを作成し、その中心に書き入れる。この作業を繰り返しながら下調べを行うことで基礎的な知識を増やすていくこととする。



キーワード ① 発散型思考 ② 収束型思考 ③ KJ法 ④ マンダラート ⑤ 5W1H
コマの展開方法 社会人講師 AL ICT PowerPoint・Keynote 教科書
コマ用オリジナル配布資料 コマ用プリント配布資料 その他 該当なし
小テスト 「小テスト」については、毎回の授業終了時、manaba上において5問以上の、当該コマの小テスト(難易度表示付き)を実施します。
復習・予習課題 【本コマの復習】
本コマで学んだ、「発想力」の復習として、本科目本コマの「科目の中での位置付け」・「コマ主題細目」・「細目レベル」、および、コマシラバス末尾の「履修判定指標」の内容を確認し、実際に本コマの90分の内容を振り返りながら、どのコマ主題細目の内容がどのように扱われていたのか、授業の実際とコマシラバスとの対応を振り返る。また、「履修判定指標」の水準に到達するために、今後どのようなことを学んでいくのかを、次コマ以降の内容に目を通すことで確かめておく。

【次コマの予習】
次コマでは、『読解力・要約力』を具体的に学んでいくことになる。それにあたって、『学生のレポート・論文作成トレーニング改訂版』の42-49頁にあらかじめ目を通しておくと共に、これらの頁についてWorkごとに解説した各10分程度のオリジナル動画を視聴し、当該頁に掲載されている課題に取り組んでおく。

4 基本スキル編ー読解力・要約力 科目の中での位置付け 本科目は、第Ⅰ部「基本スキル編」と第Ⅱ部「スキルアップ編」とから成る。第I部では、教員の選定した学術的な文章をアカデミックな現場の実例として用いつつ、コマ主題細目に挙げている、文章読解のための具体的な視座を順次レクチャーしていく。最終的に第Ⅰ部では、担当教員の指定した文章を400字程度で要約することが求められる。

また、第Ⅱ部では、第Ⅰ部の内容を踏まえ、文章執筆のための要点が、各コマのコマ主題細目にしたがって、各担当教員からレクチャーされる。なお、第Ⅱ部の終盤では、仮提出された各受講生のレポート課題をサンプルとして、文章執筆のポイントを再確認していく。

このコマでは、こうした本科目全体の展開の前提として、レポートや論文を書く上で欠かせない『文献の読解』に関する技術や、『文献の要約』についての技術をレクチャーする。

【コマ主題細目①】
桑田てるみ・江竜珠緒・押木和子・勝亦あき子・松田ユリ子「学生のレポート・論文作成トレーニング改訂版」実教出版、2015年、42-44頁

【コマ主題細目②】
桑田てるみ・江竜珠緒・押木和子・勝亦あき子・松田ユリ子「学生のレポート・論文作成トレーニング改訂版」実教出版、2015年、44-45頁

【コマ主題細目③】
桑田てるみ・江竜珠緒・押木和子・勝亦あき子・松田ユリ子「学生のレポート・論文作成トレーニング改訂版」実教出版、2015年、46-49頁
コマ主題細目 ① 読解力をつける ② 図表を読み取る ③ 要約する
細目レベル ① まずは文献をじっくりと読む練習から行う。手順としてはまず、線や記号を書き込みながら、読むことである。例えば、疑問点がある部分いは、「?」記号をつけ、重要だと思われるところには、波線をかき入れたり、キーワードをマルで囲むと良い。その上で、もう一度初めから読み直し、重要な部分を抜き書きする。さらに、それら重要な部分について、自分の意見を書く。例えば、気になった点について、付箋に自分の考えを書いても良い。この際、分からない言葉が出てくることがある。意味が分からない言葉が出てきた場合には、その言葉を必ず調べるようにする。読みながらふと考えたことや思いついたことはメモを書いても良い。このメモでは、接続語を図式化すると、論の流れを把握するのが容易となる。



② 文献の中には、図表を用いているものがある。これらの図表は、根拠を示す場合において、有力なツールとなる。図表にも様々な種類があり、示したいものによって、適切な図表の形式が異なる。例えば、棒グラフであれば、量の代償を比較する際に用いられ、折れ線グラフであれば、量の変化の推移をみる場合に用いられる。図表の形式は様々であるが、ポイントは、表題(タイトル)、その図表を作成するために行った調査の対象、調査項目、調査期間、グラフ内の数字の単位や記号などの表記をまず確認することである。これらの情報を整理した上で、その図表が示している、注目すべき点を確認する。注目すべき点は、折れ線グラフであれば、変化の推移、棒グラフであれば、大小関係などに着目すると良い。



③ レポートや論文を書くためには、要約の力が求められる。これは第一に、自分の考えを保つためには、まず他の文献で示されている主張を理解すること、第二に、レポート・論文を書く場合に、他の文献の主張を要約することが必要であるためである。要約の方法としては、①文献を通して読む②筆者の主張を探し、アンダーラインをひく③重要な主張を短くまとめる④具体例や、言い換え部分などをカットする⑤全体の流れを見失わないように短くまとめるという手順を踏むと良い。重要な主張を見つける方法は、パラグラフ(段落)の形式で書かれた文章であれば、そのパラグラフの冒頭に、その話題や結論が提示されているため、その部分に注目して読むと良い。



キーワード ① メモ ② 要約 ③ 構想メモ ④ パラグラフ ⑤ アンダーライン
コマの展開方法 社会人講師 AL ICT PowerPoint・Keynote 教科書
コマ用オリジナル配布資料 コマ用プリント配布資料 その他 該当なし
小テスト 「小テスト」については、毎回の授業終了時、manaba上において5問以上の、当該コマの小テスト(難易度表示付き)を実施します。
復習・予習課題 【本コマの復習】
本コマで学んだ、読解力・要約力を身につける復習として、本科目本コマの「科目の中での位置付け」・「コマ主題細目」・「細目レベル」、および、コマシラバス末尾の「履修判定指標」の内容を確認し、実際に本コマの90分の内容を振り返りながら、どのコマ主題細目の内容がどのように扱われていたのか、授業の実際とコマシラバスとの対応を振り返る。また、「履修判定指標」の水準に到達するために、今後どのようなことを学んでいくのかを、次コマ以降の内容に目を通すことで確かめておく。

【次コマの予習】
次コマでは、クリティカル・シンキングについて具体的に学んでいくことになる。それにあたって、『学生のレポート・論文作成トレーニング改訂版』の50-53頁にあらかじめ目を通しておくと共に、これらの頁についてWorkごとに解説した各10分程度のオリジナル動画を視聴し、当該頁に掲載されている課題に取り組んでおく。

【要約文の仮提出】
指定された文章の要約文を、指定の期日までに仮提出すること。

5 基本スキル編ー批判的思考力 科目の中での位置付け 本科目は、第Ⅰ部「基本スキル編」と第Ⅱ部「スキルアップ編」とから成る。第I部では、教員の選定した学術的な文章をアカデミックな現場の実例として用いつつ、コマ主題細目に挙げている、文章読解のための具体的な視座を順次レクチャーしていく。最終的に第Ⅰ部では、担当教員の指定した文章を400字程度で要約することが求められる。

また、第Ⅱ部では、第Ⅰ部の内容を踏まえ、文章執筆のための要点が、各コマのコマ主題細目にしたがって、各担当教員からレクチャーされる。なお、第Ⅱ部の終盤では、仮提出された各受講生のレポート課題をサンプルとして、文章執筆のポイントを再確認していく。

このコマでは、こうした本科目全体の展開の前提として、レポートや論文を書く上で欠かせない『批判的思考(クリティカル・シンキング)』に関する技術をレクチャーする。

【コマ主題細目①】
桑田てるみ・江竜珠緒・押木和子・勝亦あき子・松田ユリ子「学生のレポート・論文作成トレーニング改訂版」実教出版、2015年、50頁

【コマ主題細目②】
桑田てるみ・江竜珠緒・押木和子・勝亦あき子・松田ユリ子「学生のレポート・論文作成トレーニング改訂版」実教出版、2015年、51-52頁

【コマ主題細目③】
桑田てるみ・江竜珠緒・押木和子・勝亦あき子・松田ユリ子「学生のレポート・論文作成トレーニング改訂版」実教出版、2015年、53頁
コマ主題細目 ① クリティカル・シンキングとは ② ”ツッコミ”から自分の意見を述べる ③ 批判の理由の文章化
細目レベル ① クリティカル・シンキング(批判的思考)とは、物事について深く吟味するような思考の仕方のことを指す。著者が主張していることが正しいのかについて、まず主張の”前提”があっているのか、主張の”根拠”が示されているのか、その主張の真偽に、”ツッコミ”を入れることで、批判的思考を行う。この”ツッコミ”の例としては、きちんとした証拠の有無、話の前提条件の確認、データの真偽、論理の展開の妥当性などである。”ツッコミ”ポイントを見つけるためには、様々な疑問を持ち出しながら、考えることが必要である。疑問の持ち方の例としては、信憑性、定義、時間、経緯、状態、方法など、様々である。このような疑問を持って、”ツッコミ”をいれることで、批判的思考力を身につける。



② 著者の主張に対して”ツッコミ”を入れることが出来たら、このツッコミから自分自身の意見を構築する。自分自身の意見を構築する方法には、いくつかのパターンがある。まず、【否定パターン】である。この場合は、反論の理由と共に示すものである。第二に、【代替案パターン】である。著者の主張に反論した上で、代替案を提示するものである。第三に、【補足パターン】である。著者の主張の一部に反論を行い、その部分に対して、補足を行う。最後に、【肯定パターン】である。単に著者の主張を肯定するのではなく、その主張に対し、様々な角度から吟味した上で、肯定的な意見を示すものである。このように著者の主張に対し、ツッコミを入れた上で、自身の意見をまとめる。



③ コマ主題細目2において示した通り、著者の主張に対する自分自身の主張や意見を明確化できたら、次はその理由を文章化していく。この時、文章化は次のような形式で行われることが望ましい。まず、著者の主張を自分の言葉で要約し直す。次に、著者の主張に対して自分が考えた“ツッコミ”を提示する。その後、考察として自身の”ツッコミ“の根拠となりうるデータを示す。最後に、否定・代替・補足・肯定の4つのパターンより自身の意見を主張する。以上のように批評の理由は文章化されうるが、ここで重要なのは「接続語」を使って論理の流れを明らかにすることである。接続語とは、語と語、文と文を結びつける言葉のことであり、接続詞は接続語の仲間である。本コマでは、こうした接続語を用いて批評の理由を文章化するスキルを学ぶ。



キーワード ① 批判的思考 ② 信憑性 ③ 定義 ④ 一般化 ⑤ 疑問
コマの展開方法 社会人講師 AL ICT PowerPoint・Keynote 教科書
コマ用オリジナル配布資料 コマ用プリント配布資料 その他 該当なし
小テスト 「小テスト」については、毎回の授業終了時、manaba上において5問以上の、当該コマの小テスト(難易度表示付き)を実施します。
復習・予習課題 【本コマの復習】
本コマで学んだ、クリティカル・シンキングの復習として、本科目本コマの「科目の中での位置付け」・「コマ主題細目」・「細目レベル」、および、コマシラバス末尾の「履修判定指標」の内容を確認し、実際に本コマの90分の内容を振り返りながら、どのコマ主題細目の内容がどのように扱われていたのか、授業の実際とコマシラバスとの対応を振り返る。また、「履修判定指標」の水準に到達するために、今後どのようなことを学んでいくのかを、次コマ以降の内容に目を通すことで確かめておく。

【次コマの予習】
次コマでは、論理的な文章の書き方について具体的に学んでいくことになる。それにあたって、『学生のレポート・論文作成トレーニング改訂版』の54-57頁にあらかじめ目を通しておくと共に、これらの頁についてWorkごとに解説した各10分程度のオリジナル動画を視聴し、当該頁に掲載されている課題に取り組んでおく。

6 基本スキル編ー表現力 科目の中での位置付け 本科目は、第Ⅰ部「基本スキル編」と第Ⅱ部「スキルアップ編」とから成る。第I部では、教員の選定した学術的な文章をアカデミックな現場の実例として用いつつ、コマ主題細目に挙げている、文章読解のための具体的な視座を順次レクチャーしていく。最終的に第Ⅰ部では、担当教員の指定した文章を400字程度で要約することが求められる。

また、第Ⅱ部では、第Ⅰ部の内容を踏まえ、文章執筆のための要点が、各コマのコマ主題細目にしたがって、各担当教員からレクチャーされる。なお、第Ⅱ部の終盤では、仮提出された各受講生のレポート課題をサンプルとして、文章執筆のポイントを再確認していく。

このコマでは、こうした本科目全体の展開の中で、レポートや論文を書く上で欠かせない、事実から意見を導く『論理的な文章』を書く技術をレクチャーする。

【コマ主題細目①】
桑田てるみ・江竜珠緒・押木和子・勝亦あき子・松田ユリ子「学生のレポート・論文作成トレーニング改訂版」実教出版、2015年、54頁

【コマ主題細目②】
桑田てるみ・江竜珠緒・押木和子・勝亦あき子・松田ユリ子「学生のレポート・論文作成トレーニング改訂版」実教出版、2015年、55頁

【コマ主題細目③】
桑田てるみ・江竜珠緒・押木和子・勝亦あき子・松田ユリ子「学生のレポート・論文作成トレーニング改訂版」実教出版、2015年、56-57頁
コマ主題細目 ① 事実と意見 ② 論理的な文章 ③ 意見をまとめる
細目レベル ① レポートや論文のような学術的な文章を作成する場合は、主観に偏らず、曖昧さを避けるために、”事実”と”意見”を明確に区別することが重要である。事実には公認された事実と、報告された事実の2種類あり、公認された事実には、歴史上の出来事や自然現象、普遍的な真理があげられる。一方、報告された事実には、ニュースの報告や、調査や研究で明らかになったことが挙げられる。事実は、意見とは異なり、主観的判断は含まれない。事実に対して、意見は、主観的な判断が含まれるものである。すなわち、事実と意見を区別するためには、主観的な判断の有無を明確にする必要があり、かつ、レポートにおいては、それを明確に書き分けることが求められる。



② 論理的な文章を書くためには、主張を支える根拠が客観的なものや一般的なものであるべきであり、独りよがりのものであってはならない。客観的な事実を主張の根拠として並べる必要がある。また、根拠の並べ方には、大きく分けて2つある。一つは、並列的に展開するものである。並列的展開とは、論点に対し、複数の根拠をあげ、それぞれの根拠に連続性や関連性はなく、並列して展開するものである。もう一つは、系列的に展開するものである。系列的展開では、論点に対するいくつかの根拠に、連続性や関連性がある場合の展開方法である。この展開方法では、例えば、「根拠Aだから、根拠Bは明らかであり、根拠Bであるならば、根拠Cである」のように、それぞれの根拠同士に関連があり、連続性がある。



③ 次に、 自分の意見を主張するためのひな形を参考にして実際に書く練習をする。 それが本講義の目的であるレポートの執筆や今後の学生生活で必須となってくる論文の執筆に向けた実践的な練習となる。テキストで紹介されているひな形は、意見文を書くための練習フォームである。 まず、例題の問いを書き、自分の意見を書いてみる。そして、その意見になった理由を3つ書き、予想される反論も事前に書いておく。なお、反論が書けない場合は、無理に記入する必要はない。さらに、自分の意見を裏付ける証拠を 文献から探してくることで、より信頼性が増す。これらを最後に文章化する。文章化については、意見文をまとめるための文章を作成例があるので、それを参考にすることが望ましい。



キーワード ① 事実 ② 意見 ③ 論理 ④ 客観 ⑤ 主観
コマの展開方法 社会人講師 AL ICT PowerPoint・Keynote 教科書
コマ用オリジナル配布資料 コマ用プリント配布資料 その他 該当なし
小テスト 「小テスト」については、毎回の授業終了時、manaba上において5問以上の、当該コマの小テスト(難易度表示付き)を実施します。
復習・予習課題 【本コマの復習】
本コマで学んだ、「論理的な文章を書くための技術」の復習として、本科目本コマの「科目の中での位置付け」・「コマ主題細目」・「細目レベル」、および、コマシラバス末尾の「履修判定指標」の内容を確認し、実際に本コマの90分の内容を振り返りながら、どのコマ主題細目の内容がどのように扱われていたのか、授業の実際とコマシラバスとの対応を振り返る。また、「履修判定指標」の水準に到達するために、今後どのようなことを学んでいくのかを、次コマ以降の内容に目を通すことで確かめておく。


【次コマの予習】
次コマでは、文章表現のルールについて具体的に学んでいくことになる。それにあたって、『学生のレポート・論文作成トレーニング改訂版』の58-67頁にあらかじめ目を通しておくと共に、これらの頁についてWorkごとに解説した各10分程度のオリジナル動画を視聴し、当該頁に掲載されている課題に取り組んでおく。

7 基本スキル編ー文章表現 科目の中での位置付け 本科目は、第Ⅰ部「基本スキル編」と第Ⅱ部「スキルアップ編」とから成る。第I部では、教員の選定した学術的な文章をアカデミックな現場の実例として用いつつ、コマ主題細目に挙げている、文章読解のための具体的な視座を順次レクチャーしていく。最終的に第Ⅰ部では、担当教員の指定した文章を400字程度で要約することが求められる。

また、第Ⅱ部では、第Ⅰ部の内容を踏まえ、文章執筆のための要点が、各コマのコマ主題細目にしたがって、各担当教員からレクチャーされる。なお、第Ⅱ部の終盤では、仮提出された各受講生のレポート課題をサンプルとして、文章執筆のポイントを再確認していく。

このコマでは、こうした本科目全体の展開の中で、レポートや論文を書く上で欠かせない、文章を決まった文末表現を用いながら、読みやすく書くための『文章表現力』に関する技術をレクチャーする。

【コマ主題細目①】
桑田てるみ・江竜珠緒・押木和子・勝亦あき子・松田ユリ子「学生のレポート・論文作成トレーニング改訂版」実教出版、2015年、58頁

【コマ主題細目②】
桑田てるみ・江竜珠緒・押木和子・勝亦あき子・松田ユリ子「学生のレポート・論文作成トレーニング改訂版」実教出版、2015年、59頁

【コマ主題細目③】
桑田てるみ・江竜珠緒・押木和子・勝亦あき子・松田ユリ子「学生のレポート・論文作成トレーニング改訂版」実教出版、2015年、50-67頁
コマ主題細目 ① 常体と敬体・話し言葉と書き言葉 ② 正しく伝える ③ 論理的に伝える
細目レベル ① レポート・論文では、常体と呼ばれる「〜だ・〜である」の文末で書く必要がある。過剰な敬語や「〜です・〜ます」などの敬体の文末表現は基本的に使わない。また、レポートや論文では、話し言葉ではなく、書き言葉で書く必要がある。例えば、「してる」、「あんまり」、「すごく」、「〜じゃない」などは、話し言葉であり、これらの言葉は、「している」、「あまり」、「非常に」、「ではない」、などと書き言葉で書くことが求められる。また、論文やレポートで用いられる書き言葉は、書き言葉の中でも、これまで馴染みのないものであるだろう。例えば、レポートや論文においては、専門用語や漢語の知識量を増やし、これらの言葉を使うようにする。



② レポートや論文に限ったものではないが、文章は正しく伝わるように記述する必要がある。正しく伝えるためには、まず、一文は短く書くことが基本である。一文が長くなると、その分構造が複雑化し、誤解を招きやすい文章になってしまうためである。例えば、主語と述語が対応していない文となってしまったり、語句の修飾関係が曖昧になり、複数の解釈が存在する文章を招くこととなる。漢字の表記にもルールがある。例えば、「物」「時」「事」などの語句は、漢字と平仮名の使い分けが必要である。「〜なことは重要である」における”こと”は、形式名詞と呼ばれ、この形式名詞は、平仮名で書くこととされている。他にも、漢語由来の言葉である、「遂に」は平仮名で「ついに」とし、「故に」は」「ゆえに」と書くのが一般的である。



③ レポートや論文においては、論理的に文章を書くことが求められる。論理的に文章を書くためには、正しく接続詞を用いる必要がある。接続詞とは、文と文の間の関係を明確にするものであり、接続詞には、多くの種類がある。例えば、付加を表す「そして」「むしろ」、並列を表す「また」「かつ」、対比を表す「一方」「あるいは」、選択を表す「あるいは」「もしくは」、条件付けを表す「ただし」、言い換えを表す「つまり」「すなわち」、などである。文章の中の適切な場所に、適切な接続詞を使うことで、文章の論理をはっきりと示すことができるようになるため、これらの言葉のレパートリーを増やし、適切な場所で効果的に接続詞を使えるようになる。



キーワード ① 接続詞 ② 文章表現 ③ 常体 ④ 敬体 ⑤ 形式名詞
コマの展開方法 社会人講師 AL ICT PowerPoint・Keynote 教科書
コマ用オリジナル配布資料 コマ用プリント配布資料 その他 該当なし
小テスト 「小テスト」については、毎回の授業終了時、manaba上において5問以上の、当該コマの小テスト(難易度表示付き)を実施します。
復習・予習課題 【本コマの復習】
本コマで学んだ、文章表現の復習として、本科目本コマの「科目の中での位置付け」・「コマ主題細目」・「細目レベル」、および、コマシラバス末尾の「履修判定指標」の内容を確認し、実際に本コマの90分の内容を振り返りながら、どのコマ主題細目の内容がどのように扱われていたのか、授業の実際とコマシラバスとの対応を振り返る。また、「履修判定指標」の水準に到達するために、今後どのようなことを学んでいくのかを、次コマ以降の内容に目を通すことで確かめておく。

【次コマの予習】
次コマでは、課題発見力を身につけるための取り組みとして、論点となる『リサーチ・クエスチョン』を見つける技術を具体的に学んでいくことになる。それにあたって、教科書である『学生のレポート・論文作成トレーニング改訂版』の74-81頁にあらかじめ目を通しておくと共に、これらの頁のWorkごとに解説した10分程度のオリジナル動画を視聴し、当該頁に掲載されている課題に取り組んでおく。

8 スキルアップ編ー課題発見力 科目の中での位置付け 本科目は、第Ⅰ部「基本スキル編」と第Ⅱ部「スキルアップ編」とから成る。第I部では、教員の選定した学術的な文章をアカデミックな現場の実例として用いつつ、コマ主題細目に挙げている、文章読解のための具体的な視座を順次レクチャーしていく。最終的に第Ⅰ部では、担当教員の指定した文章を400字程度で要約することが求められる。

また、第Ⅱ部では、第Ⅰ部の内容を踏まえ、文章執筆のための要点が、各コマのコマ主題細目にしたがって、各担当教員からレクチャーされる。なお、第Ⅱ部の終盤では、仮提出された各受講生のレポート課題をサンプルとして、文章執筆のポイントを再確認していく。

このコマでは、こうした本科目全体の展開の中で、レポートや論文を書く上で欠かせない、論点となる『リサーチ・クエスチョン』を見つける技術をレクチャーする。

【コマ主題細目①】
桑田てるみ・江竜珠緒・押木和子・勝亦あき子・松田ユリ子「学生のレポート・論文作成トレーニング改訂版」実教出版、2015年、74-75頁

【コマ主題細目②】
桑田てるみ・江竜珠緒・押木和子・勝亦あき子・松田ユリ子「学生のレポート・論文作成トレーニング改訂版」実教出版、2015年、76-77頁
戸田山和久「新版論文の教室:レポートから卒論まで」NHK出版、2012年

【コマ主題細目③】
桑田てるみ・江竜珠緒・押木和子・勝亦あき子・松田ユリ子「学生のレポート・論文作成トレーニング改訂版」実教出版、2015年、78-81頁
コマ主題細目 ① 論点を考える ② 論点を膨らませる ③ 論点を絞る
細目レベル ① 本コマでは、課題発見力を身につけるための取り組みを学ぶ。第3回の授業において、マンダラートを利用しながらテーマについて下調べを行い、キーワードを探す練習を行なった。テーマに関するキーワードをいくつか見つけることができるようになった次は、選んだキーワードを元に、5W1Hの論点で、リサーチ・クエスチョンをつくり、論点を考える。論点には、様々なレベルがあり、簡単なものから複雑なものまで存在するが、まずは、5W1Hで論点を整理する。すなわち、いつ(When)、どこで(Where)、だれ(Who)、何(What)、どのように・どれくらい(How)、なぜ(Why)の論点で、キーワードについて考え、発想を広げる。こうすることで、自分自身が明らかにしたいことが何かという点を明確にする。



② 5W1Hの論点でつくったリサーチ・クエスチョンを踏まえて、さらに複雑な論点でリサーチ・クエスチョンを考えて、論点を膨らませる。そこで、本科目では、戸田山和久(2012)が提案している方法を参考に、5W1Hを含む次の12の論点でリサーチ・クエスチョンを考える。1. 信ぴょう性(本当に?)、2. 定義(どういう意味?)、3. 時間(いつから?いつまで?)、4. 空間(どこで?)、5. 主体(だれ?だれが?だれの?だれにとって?)、6. 経緯(これまでどのように?)、7. 状況(どのような?)、8. 方法(どうやって?)、9. 因果(なぜ?)、10. 比較(他ではどうか?)、11. 限定(すべてそうなのか?)、12. 解決法(どうすべきか?)。この際、テーマの範囲を少し絞ると考えやすくなる可能性がある。



③ 課題発見に向けた最後のプロセスとして、膨らませた論点を絞り、文献探索の方針を立てる。まず、考えたリサーチ・クエスチョンから、特に興味があるものを2、3つピックアップする。ここで、なぜ興味を持ったのか理由も書いておく。次に、それらに対して、どのような答えが得られそうかを予想することで仮説を立てる。この際、考えうる予想を全て書いておき、それぞれにたどり着くために調べておくべき事項を書き出す。さらには、それらの事項を検索するためのキーワードを決める。ここまでできたら、本格的な調査を始める前に、これまでの自分の考えをまとめて発表し、他の学生などからコメントを受けることで、文献を調べる方針を明確化する。



キーワード ① 論点 ② 5W1H ③ リサーチ・クエスチョン ④ 仮説 ⑤ 調べるためのキーワード
コマの展開方法 社会人講師 AL ICT PowerPoint・Keynote 教科書
コマ用オリジナル配布資料 コマ用プリント配布資料 その他 該当なし
小テスト 「小テスト」については、毎回の授業終了時、manaba上において5問以上の、当該コマの小テスト(難易度表示付き)を実施します。
復習・予習課題 【本コマの復習】
本コマで学んだ、『リサーチ・クエスチョン』を見つける技術の復習として、本科目本コマの「科目の中での位置付け」・「コマ主題細目」・「細目レベル」、および、コマシラバス末尾の「履修判定指標」の内容を確認し、実際に本コマの90分の内容を振り返りながら、どのコマ主題細目の内容がどのように扱われていたのか、授業の実際とコマシラバスとの対応を振り返る。また、「履修判定指標」の水準に到達するために、今後どのようなことを学んでいくのかを、次コマ以降の内容に目を通すことで確かめておく。

【次コマの予習】
次コマでは、論文構成力を身につけるための取り組みとして、「情報探索力」と「情報整理力」について具体的に学んでいくことになる。それにあたって、教科書である『学生のレポート・論文作成トレーニング改訂版』の86-93頁にあらかじめ目を通しておくと共に、これらの頁のWorkごとに解説した10分程度のオリジナル動画を視聴し、当該頁に掲載されている課題に取り組んでおく。

9 スキルアップ編ー情報整理力 科目の中での位置付け 本科目は、第Ⅰ部「基本スキル編」と第Ⅱ部「スキルアップ編」とから成る。第I部では、教員の選定した学術的な文章をアカデミックな現場の実例として用いつつ、コマ主題細目に挙げている、文章読解のための具体的な視座を順次レクチャーしていく。最終的に第Ⅰ部では、担当教員の指定した文章を400字程度で要約することが求められる。

また、第Ⅱ部では、第Ⅰ部の内容を踏まえ、文章執筆のための要点が、各コマのコマ主題細目にしたがって、各担当教員からレクチャーされる。なお、第Ⅱ部の終盤では、仮提出された各受講生のレポート課題をサンプルとして、文章執筆のポイントを再確認していく。

このコマでは、こうした本科目全体の展開の中で、レポートや論文を書く上で欠かせない、必要な文献を入手し活用するための『情報探索力』や『情報整理力』を見つける技術をレクチャーする。

【コマ主題細目①】
桑田てるみ・江竜珠緒・押木和子・勝亦あき子・松田ユリ子「学生のレポート・論文作成トレーニング改訂版」実教出版、2015年、86-89頁

【コマ主題細目②】
桑田てるみ・江竜珠緒・押木和子・勝亦あき子・松田ユリ子「学生のレポート・論文作成トレーニング改訂版」実教出版、2015年、90-91頁

【コマ主題細目③】
桑田てるみ・江竜珠緒・押木和子・勝亦あき子・松田ユリ子「学生のレポート・論文作成トレーニング改訂版」実教出版、2015年、92-93頁
コマ主題細目 ① 図書館の利用 ② スキミング・スキャニング ③ 文献の取捨選択
細目レベル ① 昨今ではインターネット上で入手できる文献の数は増加しているが、それでもインターネット経由のみですべての文献が入手できるわけではない。そのため、本コマでは大学図書館を利用して文献を実際に入手する方法を学ぶ。大学図書館は、一般の市町村図書館などと比べて学術的な書籍が多く所蔵されているため、レポートや論文の執筆材料を探すためにもっとも適した図書館であるといえる。大学図書館に所蔵されている文献を入手するためには、大学図書館OPAC(Online Public Acces Catalog)を利用する。OPACはコンピュータ上で図書館の蔵書を検索できるシステムであり、大学構内からだけではなく、自宅からも検索できるという利便性を持つ。また、本学図書館に所蔵されていない文献であっても、他の図書館から取り寄せたり、複写を依頼することも可能である。ここでは、以上のような大学図書館の利用・活用する方法を学ぶ。



② 文献を入手することができたら、すぐにざっと目を通す。ざっと目を通して内容を確認する際は、まず目次や見出しを確認すると良い。目次や見出しを見ることで、その文献に書かれている内容の全体像を把握することができる。ざっと内容を確認するための読み方には、スキミングとスキャニングがある。スキミングとは拾い読みのことであり、文章の全体を把握するような読み方である。一方、スキャニングとは、探し読みを指し、欲しい情報を素早く見つけるために、キーワードを鎧ながら読む方法である。いずれの読み方も、普段から文章を読み慣れている必要があるため、図書館等も利用しながら、普段の生活から読書をする習慣を持つことも重要である。



③ 集めた文献の全てが論文を書く際に必要とは限らない。集めた文献は、取捨選択する必要がある。文献を取捨選択する場合においては、まずは、全体にざっと目を通し、必要な情報が記載されているか、記載されている内容のレベル(専門的すぎないか・単純すぎないか)、図表は使えそうかなどについて確認を行う。その上で、次に何ページか読み飛ばし、記載されていることをつかむ。特に、「はじめに」「おわりに」には、著者がその本を書いた動機や目的が書いてあることが多い。その本を書いた著者の動機や背景は何か?、著者が問題としていることは何か?などをメモしながら読むと良い。これらの点を確認することで、本全体をじっくり読む前に、じっくり読み調べるべき本であるのかの判断を行う。判断がつかない場合においては、教員に相談しても良い。



キーワード ① 読み方 ② OPAC ③ 図書館 ④ スキャニング ⑤ スキミング
コマの展開方法 社会人講師 AL ICT PowerPoint・Keynote 教科書
コマ用オリジナル配布資料 コマ用プリント配布資料 その他 該当なし
小テスト 「小テスト」については、毎回の授業終了時、manaba上において5問以上の、当該コマの小テスト(難易度表示付き)を実施します。
復習・予習課題 【本コマの復習】
本コマで学んだ、「情報探索力」や「情報整理力」を見つける技術の復習として、本科目本コマの「科目の中での位置付け」・「コマ主題細目」・「細目レベル」、および、コマシラバス末尾の「履修判定指標」の内容を確認し、実際に本コマの90分の内容を振り返りながら、どのコマ主題細目の内容がどのように扱われていたのか、授業の実際とコマシラバスとの対応を振り返る。また、「履修判定指標」の水準に到達するために、今後どのようなことを学んでいくのかを、次コマ以降の内容に目を通すことで確かめておく。

【次コマの予習】
次コマでは、論文構成力を身につけるための取り組みとして、『序論』の作り方と『論文の展開』の考え方を具体的に学んでいくことになる。それにあたって、教科書である『学生のレポート・論文作成トレーニング改訂版』の102-105頁にあらかじめ目を通しておくと共に、これらの頁のWorkごとに解説した10分程度のオリジナル動画を視聴し、当該頁に掲載されている課題に取り組んでおく。

10 スキルアップ編ー論文構成力 科目の中での位置付け 本科目は、第Ⅰ部「基本スキル編」と第Ⅱ部「スキルアップ編」とから成る。第I部では、教員の選定した学術的な文章をアカデミックな現場の実例として用いつつ、コマ主題細目に挙げている、文章読解のための具体的な視座を順次レクチャーしていく。最終的に第Ⅰ部では、担当教員の指定した文章を400字程度で要約することが求められる。

また、第Ⅱ部では、第Ⅰ部の内容を踏まえ、文章執筆のための要点が、各コマのコマ主題細目にしたがって、各担当教員からレクチャーされる。なお、第Ⅱ部の終盤では、仮提出された各受講生のレポート課題をサンプルとして、文章執筆のポイントを再確認していく。

このコマでは、こうした本科目全体の展開の中で、レポートや論文を書く上で欠かせない、レポートや論文の『序論』の作り方と『論文の展開』の考え方に関する技術をレクチャーする。

【コマ主題細目①】
桑田てるみ・江竜珠緒・押木和子・勝亦あき子・松田ユリ子「学生のレポート・論文作成トレーニング改訂版」実教出版、2015年、102-103頁

【コマ主題細目②】
桑田てるみ・江竜珠緒・押木和子・勝亦あき子・松田ユリ子「学生のレポート・論文作成トレーニング改訂版」実教出版、2015年、104頁

【コマ主題細目③】
桑田てるみ・江竜珠緒・押木和子・勝亦あき子・松田ユリ子「学生のレポート・論文作成トレーニング改訂版」実教出版、2015年、105頁
コマ主題細目 ① 序論をかく ② 論文の展開を考える ③ 論文の展開を評価する
細目レベル ① 本コマでは、論文構成力を身につけるための取り組みを学ぶ。レポート・論文においては、考察した道筋を他人にわかるように整理して書く必要がある。そこで、まず、序論を書いて、論文の前提を明確化する。論文を書き始める前に、次に示す、序論に必要とされる要素を整理すると良い。序論に必要な要素として、①自分自身が選んだテーマや論点、リサーチ・クエスチョン、②社会的背景・歴史的背景、③個人的背景(テーマや論点の選択理由、問題意識など)、④研究目的、研究方法、⑤主張(研究の結果として、わかったこと)の5つが挙げられる。序論は、自分がこれからどのような論文を書くかという宣言であり、それを見失わないための羅針盤になる。



② 序論を書き、論文の前提を明確化したら、次は論文の展開(内容の構成)を考える。まず、見いだした主張を書き、それがどのような思考過程を経て明らかになったのかを確認する。思考過程については、第3回において、発散型思考でアイデアを広げ、収束型思考でアイデアを絞る流れを学んだことを振り返ること。そして、主張が妥当であることを読者にわかりやすく伝えるために、それを支えるために必要な根拠を論理的な順番で並べる。根拠の並べ方については、第6回で学んだ並列的展開と系列的展開の2種類のどちらが適切であるかを考える。次に、仮の論文タイトルをつけておく。おおざっぱなタイトルを避け、論点がわかるものにする。タイトルは、論文を執筆する過程で、より適切なものへと検討を繰り返して良い。



③ 論文の展開を考えたら、論文を執筆する前に発表して、他の学生などから評価を受ける。一方で、他の学生が執筆する論文の展開を評価する。このように相互に評価することによって、自分の論文の展開の良し悪しと修正点がいろいろな視点から見えてくる。評価の項目としては、例えば、1. 問題意識が明確か?、2. 主張は明確か?、3. 主張を支える根拠の数は十分か?、4.それぞれの根拠は妥当か?、5. 根拠と主張との関係はうまく関連しているか?を主として、提起した問題は客観的に有効なものになっているか?、結論は提起した問題や論点に対応しているか?が挙げられる。そして、それらを総合して、このまま論文を書けそうかを評価する。



キーワード ① 序論 ② 論文の展開 ③ 主張 ④ 根拠 ⑤ タイトル
コマの展開方法 社会人講師 AL ICT PowerPoint・Keynote 教科書
コマ用オリジナル配布資料 コマ用プリント配布資料 その他 該当なし
小テスト 「小テスト」については、毎回の授業終了時、manaba上において5問以上の、当該コマの小テスト(難易度表示付き)を実施します。
復習・予習課題 【本コマの復習】
本コマで学んだ、『序論』の作り方と『論文の展開』の考え方の復習として、本科目本コマの「科目の中での位置付け」・「コマ主題細目」・「細目レベル」、および、コマシラバス末尾の「履修判定指標」の内容を確認し、実際に本コマの90分の内容を振り返りながら、どのコマ主題細目の内容がどのように扱われていたのか、授業の実際とコマシラバスとの対応を振り返る。また、「履修判定指標」の水準に到達するために、今後どのようなことを学んでいくのかを、次コマ以降の内容に目を通すことで確かめておく。

【次コマの予習】
次コマでは、執筆のための『アウトライン』づくりから文章を仕上げるまでの技術を具体的に学んでいくことになる。それにあたって、『学生のレポート・論文作成トレーニング改訂版』の106-113頁にあらかじめ目を通しておくと共に、これらの頁についてWorkごとに解説した各10分程度のオリジナル動画を視聴し、当該頁に掲載されている課題に取り組んでおく。

11 スキルアップ編ー文章構成力 科目の中での位置付け 本科目は、第Ⅰ部「基本スキル編」と第Ⅱ部「スキルアップ編」とから成る。第I部では、教員の選定した学術的な文章をアカデミックな現場の実例として用いつつ、コマ主題細目に挙げている、文章読解のための具体的な視座を順次レクチャーしていく。最終的に第Ⅰ部では、担当教員の指定した文章を400字程度で要約することが求められる。

また、第Ⅱ部では、第Ⅰ部の内容を踏まえ、文章執筆のための要点が、各コマのコマ主題細目にしたがって、各担当教員からレクチャーされる。なお、第Ⅱ部の終盤では、仮提出された各受講生のレポート課題をサンプルとして、文章執筆のポイントを再確認していく。

このコマでは、こうした本科目全体の展開の中で、レポートや論文を書く上で欠かせない、執筆のための『アウトライン』づくりから文章に仕上げるまでの技術をレクチャーする。

【コマ主題細目①】
桑田てるみ・江竜珠緒・押木和子・勝亦あき子・松田ユリ子「学生のレポート・論文作成トレーニング改訂版」実教出版、2015年、106-107頁

【コマ主題細目②】
桑田てるみ・江竜珠緒・押木和子・勝亦あき子・松田ユリ子「学生のレポート・論文作成トレーニング改訂版」実教出版、2015年、108-109頁

【コマ主題細目③】
桑田てるみ・江竜珠緒・押木和子・勝亦あき子・松田ユリ子「学生のレポート・論文作成トレーニング改訂版」実教出版、2015年、110-113頁
コマ主題細目 ① アウトラインをつくる ② アウトラインを文章化する ③ 章立てを確認し、文章を推敲する
細目レベル ① 本コマでは、文章構成力を身につけるための取り組むを学ぶ。第10回の取り組みによって、論文の展開について他の学生などから評価を受けた.それに対応して、まず、論文の展開を調整し、仮の章立てを考える。次に、この章立てをもとに、執筆のためのアウトラインをつくる。アウトラインとは、論文の大まかな流れに沿って書きたいことを箇条書きで書き出した論文の骨子のことである。このアウトラインを最終形と考える必要はないことに注意する。筆が進まないことも良くあるが、躊躇わずに、まず、メモを取るような形で良いので箇条書きで書いてみることが重要である。書くことで考えがまとまることも多い。論文を執筆しながら、アウトラインを修正することもよくある。



② 作成したアウトラインに根拠となるデータなどを追加して、主張を支え、アウトラインを詳細化する。ここで、データの出典や掲載したい図やグラフも用意しておく。また、第1回で学んだ論文の体裁を確認する。そして、アウトラインを見ながら、いよいよ文章を書いていく。ここで、第1回で学んだパラグラフを意識して、最初に主張を含む主題文、その後に主張を支える支持文、最後に結び文となる流れで書く。論理的な文章のつながりがわかるように適切な接続語を使う。さらに、第2回で学んだ引用をルールに従って行なう。文章を書き進める中で、調査内容が足りていないことに気づくことが多々ある。その際は、文献調査を追加し、アウトラインを調整して、文章を補えば良い。



③ アウトラインと下書きに基づいて、論文の章立てを確定する。章立てとは、論文の構成を読者が把握しやすくするために、全体を階層構造に整えることである。章立ての見出しの構成は、一般的に論文の長さによって異なる。あくまで目安であるが、1,500字程度のものは、「章」となる見出しだけで構成する。4,000字以上のものは、1つの章をいくつかの論点に分けた「節」をつくる。章立てを確定したら、下書きを何度も推敲する。推敲とは、書いた文章をより良いものに練り上げることである。推敲するタイミングとしては、文章を書いてから少し時間をおくと良い。時間が経過したほうが客観的に読み直すことができるためである。推敲は、第6回に学んだ内容を確認しながら行なう。また、意味や内容が伝わるか、他の学生などにチェックしてもらうと良い。



キーワード ① アウトライン ② 章立て ③ 箇条書き ④ 下書き ⑤ 推敲
コマの展開方法 社会人講師 AL ICT PowerPoint・Keynote 教科書
コマ用オリジナル配布資料 コマ用プリント配布資料 その他 該当なし
小テスト 「小テスト」については、毎回の授業終了時、manaba上において5問以上の、当該コマの小テスト(難易度表示付き)を実施します。
復習・予習課題 【本コマの復習】
本コマで学んだ、「アウトライン」づくりから文章を仕上げるまでの技術の復習として、本科目本コマの「科目の中での位置付け」・「コマ主題細目」・「細目レベル」、および、コマシラバス末尾の「履修判定指標」の内容を確認し、実際に本コマの90分の内容を振り返りながら、どのコマ主題細目の内容がどのように扱われていたのか、授業の実際とコマシラバスとの対応を振り返る。また、「履修判定指標」の水準に到達するために、今後どのようなことを学んでいくのかを、次コマ以降の内容に目を通すことで確かめておく。

【次コマの予習】
次コマでは、受講生ひとりずつの「執筆の進捗確認」をした後に、他者(教員および他の受講生)の目による「添削」を進めていくことになる。それにあたって、『学生のレポート・論文作成トレーニング改訂版』の114頁にあらかじめ目を通しておくと共に、これらの頁についてWorkごとに解説した各10分程度のオリジナル動画を視聴し、当該頁に掲載されている課題に取り組んでおく。

【レポートの仮提出】
レポート(考察部分は未完成で構わない)を、指定の期日までに仮提出すること。

12 スキルアップ編ー執筆状況の確認 科目の中での位置付け 本科目は、第Ⅰ部「基本スキル編」と第Ⅱ部「スキルアップ編」とから成る。第I部では、教員の選定した学術的な文章をアカデミックな現場の実例として用いつつ、コマ主題細目に挙げている、文章読解のための具体的な視座を順次レクチャーしていく。最終的に第Ⅰ部では、担当教員の指定した文章を400字程度で要約することが求められる。

また、第Ⅱ部では、第Ⅰ部の内容を踏まえ、文章執筆のための要点が、各コマのコマ主題細目にしたがって、各担当教員からレクチャーされる。なお、第Ⅱ部の終盤では、仮提出された各受講生のレポート課題をサンプルとして、文章執筆のポイントを再確認していく。

このコマでは、こうした本科目全体の展開の中で、レポートや論文をよりよいものにする上で欠かせない、『執筆の進捗確認』と、他者(教員および他の受講生)の目による『添削』を行う。

【コマ主題細目①】
桑田てるみ・江竜珠緒・押木和子・勝亦あき子・松田ユリ子「学生のレポート・論文作成トレーニング改訂版」実教出版、2015年、114頁

【コマ主題細目②】
桑田てるみ・江竜珠緒・押木和子・勝亦あき子・松田ユリ子「学生のレポート・論文作成トレーニング改訂版」実教出版、2015年、114頁

【コマ主題細目③】
桑田てるみ・江竜珠緒・押木和子・勝亦あき子・松田ユリ子「学生のレポート・論文作成トレーニング改訂版」実教出版、2015年、114頁
コマ主題細目 ① よりよいレポートを書くための3つの注意事項 ② レポートのルールの再確認 ③ レポート内容の理解度の再確認
細目レベル ① 本コマでは、仮提出されたレポート素案をもとに添削のしかたやよりよいレポートを書くために必要なことを学んでいく。まず、 より良いレポートを書くためには以下の3つの注意事項を守らなければならない。(1)課題をしっかりと確認し、課題に合った計画を立てること(2)レポートのルールを守ること(3)レポートに書くことはすべて理解し自分の言葉で書くこと。とくに、(3)は場合によっては第2回授業でも学んだ剽窃行為に関わってくるため、確実に遵守するようにする。また、(1)について、これまでの予習・復習およびレポート素案の執筆を通して、受講生はレポート作成には思っている以上に時間がかかるということを理解してきた。提出期限から逆算して、早めに計画を立てること、字数制限や課題の要求を改めて確認することが必要である。さらに、一度立てた計画をしっかりと遂行するという「自己管理能力」を養うことも本コマでおさえるべき重要な点である。



② ここでは、コマ主題細目①で示した3つの注意事項の2点目、「レポートのルールを守ること」について学ぶ。 文章の途中で意味もなく文字のフォントや大きさが変わったりすると、丸写しの文章だと思われてしまう危険性がある。(※「丸写し」とはすなわち不正行為のひとつである剽窃のことであり、万が一剽窃行為が発覚した場合には、当該試験を受けたセメスター(前期・後期)のすべての履修単位が不可となる。)一方で、すべての項目においてまったく同一のフォントを用いるということも見映え上推奨される行為ではない。レポートには、タイトル、見出し、本文などの構成要素があり、これら構成要素ごとに異なるフォント(サイズ)を使用することが望ましい。これまで勉強してきたように、レポートは引用等のルールが明確に決まっている文章である。ここでは、以上のような執筆上のルールを守らないと、いくら内容が良くても評価されないということをおさえる。



③ ここでは、コマ主題細目①で示した3つの注意事項の3点目、「レポートに書くことはすべて理解し自分の言葉で書くこと」について学ぶ。 自分が理解していない用語を使ってレポートを書くことは、情報収集の際に利用した文献の内容を丸写ししたことと大きな差はない。このような「丸写し行為」は、たとえ引用を明確にしており不正行為でなかったとしても、自分の頭で完全に理解した内容ではないため、理解度の度合いがレポートの質としてあらわれてくる。そのため、無理に難しいことまで書き含める必要はまったくないので、まずは「必ず自分が理解したことだけを書く」という気持ちで執筆するようにする。到達目標としては、自分が書いたレポートを何も見ないで口頭発表できる位に内容を理解しておく必要がある。



キーワード ① 添削 ② 計画力 ③ 自己管理力 ④ 執筆ルール ⑤ 理解度の確認
コマの展開方法 社会人講師 AL ICT PowerPoint・Keynote 教科書
コマ用オリジナル配布資料 コマ用プリント配布資料 その他 該当なし
小テスト 「小テスト」については、毎回の授業終了時、manaba上において5問以上の、当該コマの小テスト(難易度表示付き)を実施します。
復習・予習課題 【本コマの復習】
本コマで学んだ、執筆の進捗確認をする際にチェックすべき点の復習として、本科目本コマの「科目の中での位置付け」・「コマ主題細目」・「細目レベル」、および、コマシラバス末尾の「履修判定指標」の内容を確認し、実際に本コマの90分の内容を振り返りながら、どのコマ主題細目の内容がどのように扱われていたのか、授業の実際とコマシラバスとの対応を振り返る。また、「履修判定指標」の水準に到達するために、今後どのようなことを学んでいくのかを、次コマ以降の内容に目を通すことで確かめておく。


【次コマの予習】
次コマでは、「課題考察力」について具体的に学んでいくことになる。それにあたって、『学生のレポート・論文作成トレーニング改訂版』の98-101頁にあらかじめ目を通しておくと共に、これらの頁についてWorkごとに解説した各10分程度のオリジナル動画を視聴し、当該頁に掲載されている課題に取り組んでおく。

13 スキルアップ編ー課題考察力 科目の中での位置付け 本科目は、第Ⅰ部「基本スキル編」と第Ⅱ部「スキルアップ編」とから成る。第I部では、教員の選定した学術的な文章をアカデミックな現場の実例として用いつつ、コマ主題細目に挙げている、文章読解のための具体的な視座を順次レクチャーしていく。最終的に第Ⅰ部では、担当教員の指定した文章を400字程度で要約することが求められる。

また、第Ⅱ部では、第Ⅰ部の内容を踏まえ、文章執筆のための要点が、各コマのコマ主題細目にしたがって、各担当教員からレクチャーされる。なお、第Ⅱ部の終盤では、仮提出された各受講生のレポート課題をサンプルとして、文章執筆のポイントを再確認していく。

このコマでは、こうした本科目全体の展開の中で、レポートや論文を書く上で欠かせない、リサーチ・クエスチョンに回答するための『考察』に関する技術をレクチャーする。

【コマ主題細目①】
桑田てるみ・江竜珠緒・押木和子・勝亦あき子・松田ユリ子「学生のレポート・論文作成トレーニング改訂版」実教出版、2015年、98-99頁

【コマ主題細目②】
桑田てるみ・江竜珠緒・押木和子・勝亦あき子・松田ユリ子「学生のレポート・論文作成トレーニング改訂版」実教出版、2015年、100頁

【コマ主題細目③】
桑田てるみ・江竜珠緒・押木和子・勝亦あき子・松田ユリ子「学生のレポート・論文作成トレーニング改訂版」実教出版、2015年、101頁
コマ主題細目 ① 必要な文献が収集できたか ② 主張を導く ③ リサーチ・クエスチョンの修正
細目レベル ① 自分自身が選択肢たリサーチ・クエスチョンに関連した文献が見つけられたかどうかの確認を行う。リサーチ・クエスチョンに対して適切な文献が集められなければ、魅力的なリサーチ・クエスチョンであっても変更が必要であり、逆に、リサーチ・クエスチョンに対して、文献が多すぎても論文・レポートはうまく書くことができない。自分自身が必要とする情報が収集できそうであるのかを確認するためには、まず、①ラベリングを行う。関連するメモについて、まとめてグループを作成し、グループ全体を表す一文を考え、ラベルをつける。次に、②図解化を行うことで、メモやラベル付けを行なったグループ間の関係を図解に示す。図解には、文章や矢印などを書き加え、メモやグループの関係性を明確にする。最後に、メモを整理しながら、③情報の取捨選択を行う。



② コマ主題細目①にて整理・図解化したメモを参考に、自分自身の主張を導く。 まず、集まったメモを整理する中で考察を深めていく。メモを見ながら、自分が調べているリサーチ・クエスチョンへの回答を考える。その際に重要なのは、考えたことなどをとにかく自由に書き出してみることである。 そのための練習として、ここではワークシートを利用する。ワークシートでは、自分が選んだリサーチ・クエスチョンを真ん中の四角に入れる。そして、そのリサーチ・クエスチョンに関して考察したことをまわりに書き込んでいく。 次に、試行錯誤した結果、自分なりに出した結論を書き出す。この時、これまでの講義で学んだように、考察した結果や主張したいことを接続語を有効に用いて文章化しながら明確にすることが重要である。



③ 考察の結果、主張したいことが見つからなかったり、考えがまとまらなかったりした場合は、事前の情報収集が十分ではなかった可能性がある。 また、情報が十分に集まらなかったり、調べているうちに別の論点に興味が出てきたりした場合などは、最初に選択したリサーチ・クエスチョンを修正し、再度調査することもある。 このように、レポートや論文を執筆する場合にはある程度の進捗をみた後に修正を迫られることがままある。この時、さらなる情報探索を進めるために、テキストWork13やWork14の「情報探索力をつけよう」の項目を復習することが効果的である。ここでは、ワークシートを用いて自分が選択したリサーチ・クエスチョンを見直し、リサーチ・クエスチョンの修正あるいは改善をはかるところまでをおさえる。



キーワード ① 考察 ② リサーチ・クエスチョン ③ 情報探索 ④ ラベリング ⑤ 取捨選択
コマの展開方法 社会人講師 AL ICT PowerPoint・Keynote 教科書
コマ用オリジナル配布資料 コマ用プリント配布資料 その他 該当なし
小テスト 「小テスト」については、毎回の授業終了時、manaba上において5問以上の、当該コマの小テスト(難易度表示付き)を実施します。
復習・予習課題 【本コマの復習】
本コマで学んだ、考察を深めるための技術の復習として、本科目本コマの「科目の中での位置付け」・「コマ主題細目」・「細目レベル」、および、コマシラバス末尾の「履修判定指標」の内容を確認し、実際に本コマの90分の内容を振り返りながら、どのコマ主題細目の内容がどのように扱われていたのか、授業の実際とコマシラバスとの対応を振り返る。また、「履修判定指標」の水準に到達するために、今後どのようなことを学んでいくのかを、次コマ以降の内容に目を通すことで確かめておく。

【次コマの予習】
次コマでは、環境科学部1年生を対象としたキャリア形成の一環として、「仕事と学び」のタイトルのもと、愛知県庁職員より、公務員としての働き方や、働くということの楽しみ方をご講演いただく。学生各位は、多くがまだ働くことへのイメージを持ちきれていないことと思う。また、すでに公務員を志望している学生もいるかもしれない。働くことへは、様々なイメージがあると思う。そのため、現時点で各自が思っている「何のために働くのか」「将来何になりたいか」を、ノートにまとめることを予習課題とする。なお、当日は質疑応答もある。公務員に興味のある学生は、事前に聞いてみたいことをノートにまとめておくと良い。大人数の前で質問することに緊張してしまう場合は、事前にゼミ担当教員へ質問事項を伝えておけば、当日は教員が代弁することとする。

14 仕事と学び 科目の中での位置付け 本科目は、第Ⅰ部「基本スキル編」と第Ⅱ部「スキルアップ編」とから成る。第I部では、教員の選定した学術的な文章をアカデミックな現場の実例として用いつつ、コマ主題細目に挙げている、文章読解のための具体的な視座を順次レクチャーしていく。最終的に第Ⅰ部では、担当教員の指定した文章を400字程度で要約することが求められる。

また、第Ⅱ部では、第Ⅰ部の内容を踏まえ、文章執筆のための要点が、各コマのコマ主題細目にしたがって、各担当教員からレクチャーされる。なお、第Ⅱ部の終盤では、仮提出された各受講生のレポート課題をサンプルとして、文章執筆のポイントを再確認していく。

このコマでは、こうした本科目全体の展開の中で、レポートや論文を書く目的を明確化するために、『仕事と学び』の関係についてレクチャーする。

【コマ主題細目①】
柳沢有紀夫『値段から世界が見える!』、朝日新聞出版、2012年、25-34頁

【コマ主題細目②】
芦田宏直『シラバス論―大学の時代と時間、あるいは〈知識〉の死と再生について―』、晶文社、2019年、334-371頁

【コマ主題細目③】
事業構想研究所編『SDGsの基礎』、事業構想大学院大学出版部、2018年、75-80頁
コマ主題細目 ① 働くという行為 ② 職業教育 ③ 「職業名」と「行動目的」
細目レベル ① 日本国憲法第二十七条では、「すべて国民は、勤労の権利を有し、義務を負う」としている。これは、「国民の三大義務」のうちの一つであり、勤労の義務の規定である。あくまで倫理的な意味合いであり、強制的に労働させることは憲法で禁じている。

一方、一般論として、就職は多くの場合は人生における目的のひとつとなる。これは、自身が豊かな暮らしを送るためや、自己の充足感を満たすためなどさまざまな理由があると思う。また、日本国憲法第三十条では、「国民は、法律の定めるところにより、納税の義務を負う」としている通り、納税の義務も存在する。国民は国などの活動によって利益を得ている。また国は国民の生命や財産を保護するための保険者である。

つまり、国民はその代償として必要な経費を払うために、税金を納める必要がある。これによって、私たちの暮らしは支えられている。極端な例で、欧州のスウェーデンをみてみる。スウェーデンでは消費税25%(2018年時点)であり、高額である。また、所得税は日本と同じ累進課税ではあるが、年収250万円とすると最高25%で、日本が330万円で10%としていることと比較しても高い。しかし、この税金によって社会保障は充実しており、スウェーデンでは20歳未満と 85 歳以上の医療費が全額無料で、学費については幼稚園から大学までが無料である。これを受け、2017年のOECDベターライフインデックス(より良い暮らしの指標)では、世界8位であり、日本の25位よりも高い。このように、就職して働くという行為は、個人の生活を豊かにするだけでなく、国民全体の生活も豊かにすることとなる。

ここでは、まず働くという行為について理解を深める。



② 大学の講義では、概論科目から専門科目まで多様な授業を受講する。主に実習系の授業を受講することで、専門的な技術は習得できる。しかし、その土台となるのは法規や理論といったものであり、それなしには現場に出ることができない。

実習において野外調査を行った際に、おそらく理想と異なる結果を得ることも多いと思う。これを「実践的な教育」ということは困難である。なぜなら、自然環境を対象として研究する際に、真値は存在しえないとしても、得られると予想できる理論ベースの値は存在する。これを理解あるいは得た経験がないまま大学を卒業してしまうと、結局のところ自身のなかにブレない基準が存在しないため、その後の人生において究める目標がないことになる。これは、実践的な教育と言い難い。つまり、この状態で卒業し、希望の職業に就職できたとしても、実務現場での経験事態が自身の体力あるいは精神力における摩耗期間となり、結果的に離職へ繋がる可能性がある。

大学における学びの期間においては、専門的な基本教育が重要である。つまり、まずは理論が存在し、それをもって成功体験となる実習が存在するべきである。よって、専門的な基本を得るためのシナリオの存在が必要となる。これは、学問領域のみに限らず、就職というキャリア形成においても必要である。学生の間はトライ・アンド・エラーのチャレンジング精神が求められるが、その本質は理論ベースのシナリオによってトライして初めて意味のある成果が得られる。就職として置き換えると、自身の目標となる職業を教員と相談の上である程度まで定め、基本教養を身につけながらバックキャスティングアプローチをし(例えばサークル活動や学外活動、インターンシップに参加)、成功体験を積み重ねたうえで希望した職に就くことといえる。

ここでは、大学で学ぶべき基本教育と就職との関係を明確にしたうえで、どのようにキャリア形成(シナリオ作り)をするかをおさえる。



③ 例えば、環境科学科の谷地先生に「あなたの仕事は何ですか?」と質問したとする。おそらく、「大学の先生です」という返答が期待されていると思う。しかし、谷地先生は「環境リスクを定量的に評価して、そのリスクに関係する人たちがリスクを考えるお手伝いをすること」と答えることにしている。これは、「将来は何になりたいですか?」と問われた際にも、同様に答えるようにしてきた。

つまり、ある特定の職種に就くことは目的ではなく、どのような活動をしたいかを目的とし、結果として職種が付随してきたという考え方である。これは個人の考えであるため、各自が自身の将来像を描く際のスタートの参考程度で捉えて構わない。しかし、特定の職種に就くことを目的とした場合、必然的に目的達成のためのアプローチや、達成地点は限られる。しかし、活動内容を目的とした場合、理想的な職は定めたとしても、アプローチや達成地点にさまざまなオプションを各自で設定できる。

ここでは、どのような活動をしたいかという点に重きを置いてキャリアを形成してきた現職の愛知県庁自然環境課職員の話を聞き、各自の就職にむけた意識付けを図ることとする。



キーワード ① 勤労の義務 ② 就職 ③ 豊かな生活 ④ 基本教育 ⑤ 目的
コマの展開方法 社会人講師 AL ICT PowerPoint・Keynote 教科書
コマ用オリジナル配布資料 コマ用プリント配布資料 その他 該当なし
小テスト 「小テスト」については、毎回の授業終了時、manaba上において5問以上の、当該コマの小テスト(難易度表示付き)を実施します。
復習・予習課題 【本コマの復習】
第14回の復習は、各自が得た就職への考え方をノートにまとめることとする。今回では、愛知県庁職員を講師にお招きして、公務員の働き方を学んだ。学生にとっては、「働くことの楽しさを知った」といった知ることや、「イメージと異なった」や「将来に向けて今からするべきこと」といった、職業イメージへの気づきや、やるべきことへの気づきがあったと思う。これらの獲得できた情報や、自身への気づきは、放置してしまうと忘れてしまう。よって、現時点で、どのような将来像が自身の内面にあるのかを、箇条書きでもよいのでまとめることが重要である。そして、ただまとめるだけではなく、基礎ゼミナールの担当指導教員へ報告し、自身の進路について打ち合わせを行うことまでを復習課題とする。

【次コマの予習】
次コマでは、第13回までに作成したレポートの推敲を行う。現時点で作成段階の学生は、遅くても授業の3日前までには、自身の中では完成したといえるレポートまでに仕上げることを予習課題とする。なお、作成したレポートを教員や友人へ読んでもらい、より良い完成度の高い状態で授業へ臨むことも推奨する。

15 論文の相互確認・推敲 科目の中での位置付け 本科目は、第Ⅰ部「基本スキル編」と第Ⅱ部「スキルアップ編」とから成る。第I部では、教員の選定した学術的な文章をアカデミックな現場の実例として用いつつ、コマ主題細目に挙げている、文章読解のための具体的な視座を順次レクチャーしていく。最終的に第Ⅰ部では、担当教員の指定した文章を400字程度で要約することが求められる。

また、第Ⅱ部では、第Ⅰ部の内容を踏まえ、文章執筆のための要点が、各コマのコマ主題細目にしたがって、各担当教員からレクチャーされる。なお、第Ⅱ部の終盤では、仮提出された各受講生のレポート課題をサンプルとして、文章執筆のポイントを再確認していく。

最終回となるこのコマでは、こうした本科目全体の展開の中で、学生が執筆したレポート・論文をもとに『推敲』の技術についてレクチャーする。

【コマ主題細目①】
酒井聡樹「これからレポート・卒論を書く若者のために第2版」共立出版、2017年、196-213頁

【コマ主題細目②】
酒井聡樹「これからレポート・卒論を書く若者のために第2版」共立出版、2017年、214-244頁

【コマ主題細目③】
酒井聡樹「これから卒論を書く若者のために大改訂増補版」共立出版、2009年、158-160頁
コマ主題細目 ① 文章全体として分かりやすくする技術 ② 1つ1つの文を分かりやすくする技術 ③ 推敲のための他者からのコメント
細目レベル ① レポートを作成した後には、推敲してレポートを完成させる必要がある。文章作成のテクニックを実践する前に、まず、作成してから最低でも3日間はレポートについて何も考えない期間を設けること必要である。レポートを作成した時点では、執筆者は記憶の中に膨大なレポート執筆に関する情報を有している。また、書き上げたことへの満足感もある。そのため、自身のレポートが説明不十分であったとしても、そのことに気が付きにくい。よって、レポートを書き上げた後には数日間レポート執筆作業から離れ、内容をある程度忘れた頃に読み直すことで、論理展開や情報の過不足、文章の曖昧さなどに気がつくことができる。この空白の期間の後に、文章全体として分かりやすくするための技術として5つのポイントがある。

1つ目に、無駄な情報を削る作業が挙げられる。例えば、水田での農薬散布による生態リスクについてレポートを書くとする。その際に、「イネとは、イネ科植物である。イネ科イネ属の植物は22種がある。日本人が多く食用として利用するのはアジアイネである。アジアイネとは...」と、イネについて詳細に長く書いてしまうと、レポートの本論から離れすぎてしまうことから、読者は混乱してしまう。また、イネの種類に言及することで、植物分類学上の特性に触れるレポートのようにも読み取られる。それも、読者を混乱させる原因になる。このように、無駄な情報があると、読者には2つの問題が発生することになる。
1.1. どれが重要な情報なのかという探索に頭を使わされる。
1.2. 無駄な情報が入ってくるために、重要な情報を覚えていられない。
どちらも、読者がレポートを読む上での障害となってしまう。そのため、無駄な情報は削る作業が必要となる。

2つ目に、1度に1つの話題だけを扱っているかを確認する作業が挙げられる。ここでは、以下の点が重要となる。
2.1. 1つの段落では1つの話題だけを扱う
段落とは話題の単位を示している。レポートの骨子を作成する回において、各段落で書きたいことを一文でまとめることを学んだ。複数ある段落を順に並べると、一つのストーリーとしてレポートでの主張が出来上がることをここでは思い出す必要がある。くれぐれも、「たくさん書いたし、そろそろ改行しようかな」や、「改行しなくてもいいかな」という感じでレポートを作成してはいけない。

3つ目に、何の話をするのかを前もって知らせることが挙げられる。例えば、友人と一泊二日の旅行に出掛けるとして、目的地を知らせず・知らされずに出発することはないはずである。一般的に、旅の目的地や、旅の目的を確認しなければ、何をするのかが分からず不安や苛立ちがつのり、行動に移すことは困難である。同様に、レポートにおいても、まず、これから伝える情報のことを前もって知らせることが必要となる。テクニックとしては、見出しをつけることや、段落の書き出しの一文で主題を明示することが有効である。

4つ目に、文から文への話題の繋がりを明確にすることが必要である。一文には、それぞれ1つの内容しか書けない。そのため、通常読み進める際には、直前の文章の内容を受けて、次の文章を理解することになる。その際には、以下の通りに展開されることが多い。
4.1. 直前の文の要素を受けて、新たな話題を展開する
4.2. 直前の文と同じ話題について述べる
4.3. 直前の文の要素を受けずに、新たな話題を展開する
この中で、4.3のように新たな話題を展開する際のテクニックとして、「1つ目に...、2つ目に...、3つ目に...」のように示すことも有効である。この章でも、この技術を用いてコマシラバスが執筆されていることを参考にしてほしい。

5つ目に、重要なことから述べることが挙げられる。3つ目に示したことの繰り返しにもなるが、レポートにおいて執筆者が読者に伝えたい重要な情報は、すなわち読者が知りたい重要な情報であるといえる。そして、文章においては、先に入ってくる情報ほど印象深く受け止めやすい。よって、重要な情報から述べる必要がある。

ここでは、文章全体を見直す際に、注意すべき文章の体裁を理解する。



② コマ主題細目①で学んだ通り、文章を分かりやすくするためには、そのための技術がある。推敲ではそれらの技術を用いて、より良い文章へとブラッシュアップする必要がある。ここでは、さらに詳細に技術を学び、レポートを改善していくことを目指す。技術としては、コマ主題細目で触れた項目に加え、文章の単位にまで落とし込んだものとしてさらに2つが挙げられる。

1つ目は、語と語の修飾関係を明確にすることが挙げられる。代表的な技術として2つ挙げられる。これは、語順を替えることと、「、」をうち、修飾語を明示する技術である。この技術はセットで使えることが望ましい。
1.1. 長い修飾後を先に書き、短い修飾語を後に書くことで、修飾する語を見つけやすくする技術
1.2. 短い修飾語を先に書くときに、その後ろに「、」を打つことで、修飾する語を見つけやすくする技術
1.3. 長い修飾語の後に長めに文が続くときに、その長い修飾語の後に「、」を打つことで、修飾する語を見つけやすくする技術
1.4. 意図せぬ修飾関係を生まないように語順を並び替えることで、複数の語を修飾しないようにする技術
1.5. 修飾関係を断ち切りたいときに、その箇所に「、」を打つことで、複数の語を修飾しないようにする技術
が挙げられる。

この中で、特に1.2と、1.4の技術は、例を挙げてみていく。
まず、1.2について「少しでもレポートを書く学生に役立つように」という一文の切り抜きがあったとする。この際に、「少しでもレポートを書く」ために「学生の役に立つ」という文章と、「少しでも」「レポートを書く学生に役立つ」といった、2つの意味に捉えられる可能性がある。この文章では、真意としては後者である。その場合は、「少しでも」の後に「、」を打つことで、どこまでが修飾語であるかを明示することができる。

次に、1.4の技術について、「ソフトを使って得られたデータを解析した」という一文があったとする。この場合、「ソフトを使って得られたデータ」を「解析した」のか、「ソフトを使って」「得られたデータを解析した」のかが判然としない。後者が伝えたいことの真意である場合は、文章を入れ替えて「得られたデータをソフトを使って解析した」とすると、明確に伝えることができる。なお、上記の場合では、一つの文章中に「を」が2回登場する。そのため、「得られたデータは、ソフトを使って解析した」とすることで、正しい日本語へと変換ができる。

2つ目に、漢字とカナ文字の混じり具合について注意することが挙げられる。これは、視覚的に読みやすい文章を作るための技術である。例えば「憲法を改正すべきかいなかをいまから議論する」という一文がある。この文章では「すべきかいなかをいまから」が全て平仮名であり、言葉のまとまりを捉えにくく、読みにくい文章となる。この文章において、漢字を混ぜることで読みにくさは解消される。改善後は「憲法を改正すべきか否かを今からぎろんする」となる。この例とは逆に、漢字を多用しても読みにくい場合がある。例えば、「憲法改正可否を今日早速議論したい」という一文があったとする。この文章では、意味は通るものの、「憲法改正可否」と「今日早速議論」の箇所で漢字が多く、言葉としてのまとまりが理解しにくくなっている。この場合は「憲法改正の可否を今日さっそく議論したい」のように、バランスよくカナ文字をいれることで読みやすさは高まるだろう。このように、大学生のレポートといった作文作業においては、視覚的にも読みやすくすることで、読者の負担を軽減する技術と心構えが必要である。

ここでは、より詳細に文章を見直す際に、相手に伝えることに着眼を置いた技術を理解する。



③ レポートの作成を終え、自身での見直しも終えた後に、他者に読んでもらうことが必要である。その理由は、現状では執筆者にとってはよく書けたレポートであっても、他者にとっては読みにくいレポートである可能性が高いからである。これは、執筆者の能力には関係のないことであり、どのような優れた執筆者であっても必要な作業である。

執筆作業をする上で、執筆者はレポートの題目に関する膨大な知識を獲得することができる。そのため、文章中の情報量が不十分であっても、その知識をもって補いながら読み進めることができる。一方、初見の読者にとっては知識そのものがないため、情報が少しでも不足していれば、その時点で読み進めて内容を理解することは困難なものとなってしまう。また、執筆者の慣れも関係してくる。執筆者は、普段から自身の言葉を口から発し、文字として文章に起こしている。つまり、自身の表現方法に慣れている。そのため、他者からすると読みにくい文章であっても、執筆者自身にとっては読みやすい文章と錯覚してしまう。そして、この癖とも呼べる慣れは、レポートを読み返せば読み返すほど、よく書けているという錯覚に陥ってしまう。このような場合、他者による客観的な視点のもとで、執筆者自身が気づけなかった問題点を浮き彫りにしてもらう必要がある。この作業を繰り返し、修正を行うことで、誰もが内容を理解できるレポートへと昇華させることができる。

なお、注意事項として、他者に自身のレポートを読んでもらう前に、コマ主題細目①と②にて学んだ、自身による推敲は完了させなければならない。自身での推敲が完了していない状態で他者にコメントを求めるということは、自身にとっても理解できない状態の可能性がある文章を、他者に押し付けることと同意である。この行為は、当然だがコメントを求められた側からすると迷惑でしかない。加えて、執筆者自身ですら、読んでみたら恥ずかしいと思う文章であった場合は、ただ恥をかくだけになってしまう。

ここでは、他者からコメントをもらうことで、より良いレポートに仕上げることができることを学ぶ。



キーワード ① 学び ② レビュー ③ 論理展開 ④ 情報の過不足 ⑤ 他者のコメント
コマの展開方法 社会人講師 AL ICT PowerPoint・Keynote 教科書
コマ用オリジナル配布資料 コマ用プリント配布資料 その他 該当なし
小テスト 「小テスト」については、毎回の授業終了時、manaba上において5問以上の、当該コマの小テスト(難易度表示付き)を実施します。
復習・予習課題 【本コマの復習】
第15回の復習は、各自のレポート改善のための推敲を行うこととする。今回の授業において、各自は他者からの指摘による改善ポイントや、他者のレポートを拝読することによる自身のレポートへの改善ポイントに気がつけたはずである。具体的には、論点のズレや、記載内容の偏り、考察における見方の偏りなどが挙げられる。これらは、本人では気づきにくく、また、このような改善箇所は、すぐに修正しなければ、どこに指摘を受けた・改善のポイントがあったかを忘れてしまいがちである。また、レポートの提出期日も間近である。提出日の直前に修正をしても、時間不足から満足なレポートを仕上げることは困難である。よって、この回の2日以内には修正作業が完了するようにレポート作成を行うことを、復習課題とする。

履修判定指標
履修指標履修指標の水準キーワード配点関連回
文献の要約 (1)本講義第Ⅰ部で教員によって指定された要約すべき文献の中心的な主張を押さえ、それを要約の中に示すことができるようにしておくこと(5点)。
*要件を満たしている場合に5点。

(2)また、要約すべき文献の中心的な主張について、そこに至るまでの前提や論理展開を、要約の中に示すことができるようにしておくこと(10点)。
*要約の中に示すべき重要な前提や論理展開が一つ欠けているごとに満点10点から2点ずつ減点する。

(3)要約すべき文献における、補足的な説明、具体例、言い換えられている部分、繰り返されている部分を、要約から除外することができるようにしておくこと(5点)。
*要約の中に示す必要のない不必要な部分が一箇所見られるごとに満点5点から1点ずつ減点する。
クリティカル・リーディング、接続詞、段落 20 4-6
課題内容の着眼点 (1)基礎ゼミナールの最終成果として提出するレポートは、所属する学科のいずれかの領域の範疇にあること(5点)

(2)各クラスで指定したレポート作成の約束事、例えば他学生のレポートへの建設的な意見の発信や、他学生や教員からの指摘内容に対し、レポートの適切な修正を行っているか(5点)*発言が無い場合、あるいは指摘内容を修正していない場合は満点5点から1点ずつ減点する。

(3)レポートの内容を要約したふさわしい主題(タイトル)が示されているか(5点)
着眼点、課題、建設的意見、内容修正、タイトル 15 3, 8
文献の収集と引用 (1)要約した文献から取り出された論点であるところの、レポートの主題について、これを論じるのにふさわしい文献を、図書館やインターネット上のデータベース(必ずしもJ-STAGEである必要はない)を用いて、十分に渉猟しておくこと(5点)。

(2)アカデミックなレポートを執筆する上で必要不可欠な文献の引用のマナーに関連して、引用した文献の出典を、担当教員の指定した方式で正確に記載できるようにしておくこと(5点)

(3)(2)と同様の文献の引用マナーについて、直接引用・間接引用のいずれにおいても、引用の始点と終点を明確に示し、レポートにおいて、自らの意見と他者の意見の区別を明示できるようにしておくこと(5点)。
図書館、J-STAGE、出典、直接引用、間接引用 15 2, 9
文の明晰さ (1)日本語の語順、読点を打つ位置、「は」と「が」の使い分けに注意して、修飾・被修飾の関係がはっきりと分かる、明晰な日本語文を書くことができるようにしておくこと(5点)。
*誤解を招く文、明晰でない文が一文あるごとに満点5点から1点ずつ減点する。

(2)誤字脱字や話し言葉の表現を用いることなく、学術的な文章に適った言葉でレポート中の文を執筆できるようにしておくこと(5点)。
*誤字脱字や学術的な文章にふさわしくない表現が一つあるごとに満点5点から1点ずつ減点する。
語順、読点、「は」と「が」、修飾、学術的な表現 10 6, 7
文章の論理性 (1)当該の文と文との間の関係を予告するのにふさわしい接続詞を用いて、論理的に文章を構成できるようにしておくこと(5点)。
*適当でない接続詞が用いられているケースが一つあるごとに満点5点から1点ずつ減点する。

(2)レポートの各段落内の文章を、段落冒頭のトピック・センテンスの主張を支持する文章(その主張を説明する文章・その例を示す文章、その理由を示す文章・その経緯を示す文章等)で構成できるようにしておくこと(10点)。
*要件を満たさない段落が一つあるごとに満点10点から2点ずつ減点する。
接続詞、段落、トピック・センテンス、支持文 15 1, 7
レポートの構成 (1)レポートの構成・論述順序を、「序論」や「はじめに」などのレポート序盤部分において、接続詞を用いて、明示的に予告することができるようにしておくこと(5点)。
*要件を満たしている場合に5点。

(2)レポートやその各節の中心的な主題を、レポートのタイトルや各節のタイトルにおいて予告的に示すことができるようにしておくこと(5点)。
*全て要件を満たしている場合に5点。

(3)各段落の文章の要点を、段落冒頭のトピック・センテンスで明確に示すことができるようにしておくこと(5点)。
*要件を満たしていない段落が一つあるごとに満点5点から1点ずつ減点する。

(4)各段落冒頭に配置された各トピック・センテンスにおいて、段落間の論理的な関係を、接続詞の使用によって明確に示すことができるようにしておくこと(5点)。
*要件を満たしていない段落が一つあるごとに満点5点から1点ずつ減点する。
段落、予告文、パラグラフ・ライティング、トピック・センテンス、接続詞 20 10, 11, 13
履修判定指標を用いた自己採点 本履修判定指標(履修判定指標⑥「履修判定指標を用いた自己採点」(5点))を除いた5つの履修判定指標を用いて、自らの期末レポート課題を提出前に正確に自己採点できるようにしておくこと(この指標を除いた採点となるため95点満点で自己採点することになる)。そのためには、第一回講義でレクチャーされたコマシラバスの使用法に習熟し、折にふれて「履修判定指標」の各指標で示されている水準と、自分自身の現在の到達度とを照らし合わせ、期末レポートの提出までに、自分が何についてどの程度のレベルまで習熟する必要があるのか、適切に認識できるようにしておく必要がある(5点)。
*自己採点の点数と、教員の採点した点数との差が、10点以内であれば、5点。
コマシラバス、履修判定指標 5 1, 12, 15
評価方法 レポート課題(100%)により評価する。 *成績発表後、教務課にて試験・レポートに関する総評が閲覧できます。
評価基準 評語
    学習目標をほぼ完全に達成している・・・・・・・・・・・・・ S (100~90点)
    学習目標を相応に達成している・・・・・・・・・・・・・・・ A (89~80点)
    学習目標を相応に達成しているが不十分な点がある・・・・・・ B (79~70点)
    学習目標の最低限は満たしている・・・・・・・・・・・・・・ C (69~60点)
    学習目標の最低限を満たしていない・・・・・・・・・・・・・ D (60点未満)
教科書 桑田てるみ・江竜珠緒・押木和子・勝亦あき子・松田ユリ子「学生のレポート・論文作成トレーニング改訂版」実教出版、2015年, 1320円.
参考文献 各回の「教材・教具」欄を参照のこと
実験・実習・教材費 なし