区分 学部共通科目
ディプロマ・ポリシーとの関係
(心)専門的知識と実践的能力 (心)分析力と理解力 (心)地域貢献性
(環)専門性 (環)理解力 (環)実践力
カリキュラム・ポリシーとの関係
(心)課題分析力 (心)課題解決力 (心)課題対応力
(環)専門知識 (環)教養知識 (環)思考力 (環)実行力
カリキュラム全体の中でのこの科目の位置づけ
個人・社会・自然が直面する課題に対して専門的な理解を深めると共に、学際的な柔軟性を有し、実践的な能力を有する。
科目の目的
本科目は、本学での四年間の学びの基礎を成すところのリテラシー、すなわち、人間環境学の理念を現実化していくための方途としての基礎的学術技法の会得を目指すものである。具体的には、学術的な文章の内容を、その論理的な構造の正確な把握の上に立って十全に理解・批判するための文章読解能力、および、明晰かつ論理的な文章でもって、しかもアカデミックなマナーに落ち度のない形で学術的なプレゼン資料を構成するための文章執筆能力の涵養を企図する。
到達目標
学術的な文献の論理構造を正確に把握し、その内容を要約することができる。また、学術的なプレゼン資料について、その主題にふさわしい文献をアカデミックマナーに則って引用しつつ、論理的な議論を構成し、明晰な短文でもってこれを作成することができる。具体的には、後に示す履修判定指標の各項目を参照のこと。
科目の概要
大学の学びにおいて、高年次へ進級するにつれて学術的な文章を読んだり、自身の研究成果を得ることが多くなる。それに伴い、それら得た知見を他者へ伝え議論をするという発表の機会も多くなる。しかし、普段から私たちは日本語の会話をしているため、それをあらためて大学生になってまで教わる必要はない、と考える人がいるかもしれない。あるいは、発表の力というのは、ある種の才能に依存するものであって、それは学習によって容易に向上するものではないという、諦めに近い気持ちを抱いている人もいるかもしれない。

しかし、実際には、学術的な文章を読み他者へ伝えること・自身の研究成果を報告することには、日頃の会話とは異なる特定の約束事があり、その約束事には、分野ごとで小さな違いがあるものの、共通した部分もある。また、学術的なプレゼン資料における文章は、それ以外の文章と比べて、論理性が高く、それを的確に読んだり、実際に自分で書いたりするためには、ある種の学習が必要である。そこで本講義では、こうした学術的なプレゼン資料の文章の作成と、他者へ伝える方法について学習するための機会を提供し、受講生各自が本科目の履修後に、広大な知の世界を自由に歩き回ることができるようになることを目指す。本講義は、教員の指導の下、他の受講生と共に、自信をもって、その第一歩を踏み出すものである。

具体的には、第一回において、コマシラバスの使用法を中心に今後の講義を受講する上で留意すべき点を確認した上で、第二回から第十一回にかけては、学術的なプレゼン資料作成の視座として、プレゼン資料の構成や引用の方法といったアカデミックマナーを講じた上で、より明晰で論理的な発表用の文章を書くことができるよう、体言止めなどの発表スライド用のライティングスキルを確認する。また、発表スライドの作成と同時に、発表する際にはレジュメといった聴講者への補足資料を作成することもマナーである。この資料は、発表スライドとは異なり、基礎ゼミナールIで学んだレポート作成方法と同様のアカデミックライティングスキルが必要となる。この回までで、プレゼン資料作成までにおける基礎を指導する(これを本講義第Ⅰ部「作成編」とする)。その後、第十二回から第十五回にかけては、発表方法および聴講者の姿勢、質疑応答といった、発表の場におけるアカデミックマナーを指導する(これを本講義第Ⅱ部「実践編」とする)。なお、第五回・第十一回・第十五回は、それまでの講義内容を復習するための「復習コマ」とする。

科目のキーワード
①コマシラバス、②プレゼンテーション、③発表スライド、④レジュメ、⑤パラグラフ・ライティング、⑥構成、⑦タイトル、⑧見出し、⑨引用、⑩聴衆
授業の展開方法
本科目は、前にも述べた通り、第Ⅰ部「作成編」と第Ⅱ部「実践編」とに大きく分かれている。第Ⅰ部で「作成者」の立場から学んだことの多くは、第Ⅱ部で「発表者・聴講者」の立場から発表内容への理解の深度を確認することになるため、第Ⅰ部と第Ⅱ部とは独立しているわけではなく、むしろ両部の学習内容には有機的なつながりがあり(発表・質疑における技法の要点は、裏を返せば、資料作成技法の要点でもある)、その学習内容は第Ⅰ部から第Ⅱ部へと進行するにしたがって深まっていくことになる。

【第Ⅰ部「作成編」】
さて、まずは第Ⅰ部「作成編」の具体的な授業展開についてである。第Ⅰ部では、プレゼン資料作成のための視座を担当教員から順次レクチャーしていくが、それにあたっては、教員がこれまでの研究活動で作成した学会発表資料をアカデミックな現場の実例として使用する。なお、第Ⅰ部の最終的な目標は、学生が基礎ゼミナールIで作成したレポートあるいは新規で作成したレポートについて、発表時間という制約のもとで「本当に伝えたい内容」を見極めて骨子をつくり、発表スライドは発表時間(分)×0.8から1.2枚程度で作成し、レジュメはA4用紙にフォントサイズ10.5ポイントとして1枚分作成する、というものである。(第十回講義終了後から第十一回講義までの間の指定された期日に、発表スライドとレジュメを担当教員まで提出すること。)

【第Ⅱ部「実践編」】
つぎに第Ⅱ部「実践編」の展開方法についてである。第Ⅱ部では、第Ⅰ部の最後に各受講生の作成した発表スライドやレジュメ、コマごとに適宜学生に提出を求める資料の途中経過を題材として、プレゼン資料作成のための要点を教員がレクチャーしていく(作成過程における担当教員への相談は主に各教員のオフィスアワーを利用すること。本科目はオフィスアワーとの連携を密にするものである)。なお、第Ⅱ部の最終的な目標は、言うまでもなく期末レポート(基礎ゼミナールIIではプレゼン資料が該当する)の完成である。(ただし、正式なレポート提出以前に、第十三回講義終了後から第十四回講義までの間の指定された期日に、レポートを仮提出すること。第十四回・第十五回講義では、その仮提出されたレポートの中からいくつかを教員が抽出し、それをサンプルとして見直しのポイントをレクチャーする。それを踏まえて、適宜、自分自身のレポートを修正の上、第十五回終了後の指定された期日に、指定された方法で、最終版の期末レポートを正式に提出すること。)第二回は卒業生から仕事と学びのつながりについての話を聞くことで、授業の学びと卒業後のイメージのつながりを喚起させる。

【15回の授業内容】
1. プレゼン資料作成の視座1―聴いてもらう―
2. 仕事と学び
3. プレゼン資料作成の視座2―構成からタイトル―
4. プレゼン資料作成の視座3―構成から方法・結果・考察・結論―
5. プレゼン資料作成の視座4―学生へのフィードバック_構成―
6. プレゼン資料作成の視座5―プレゼン技術のポイント―
7. プレゼン資料作成の視座6―スライドの作り方―
8. プレゼン資料作成の視座7―引用の必要性―
9. プレゼン資料作成の視座8―レジュメの作り方―
10. プレゼン資料作成の視座9―学生へのフィードバック_プレゼン資料―
11. 実践1―発表におけるマナー―
12. 実践2―口頭発表と質疑応答のスキル_発表者―
13. 実践3―口頭発表と質疑応答のスキル_聴衆―
14. 実践4―学生による発表とフィードバック―
15. 実践5―学生による発表とフィードバック―

オフィス・アワー
【月曜日】昼休み(前期のみ)、【火曜日】昼休み(後期のみ)、【木曜日】昼休み
科目コード COM102
学年・期 1年・後期
科目名 基礎ゼミナールⅡ
単位数 2
授業形態 演習
必修・選択 必須
学習時間 【授業】90分×15 【予習】90分以上×15 【復習】90分以上×15
前提とする科目 基礎ゼミナールⅠ
展開科目 (心)学科専門科目
関連資格 なし
担当教員名 立脇隆文
主題コマシラバス項目内容教材・教具
1 プレゼン資料作成の視座1―聴いてもらう― 科目の中での位置付け 本科目は、第Ⅰ部「作成編」と第Ⅱ部「実践編」とから成る。第I部では、教員がこれまでの研究活動で作成した学会発表資料をアカデミックな現場の実例として用いつつ、コマ主題細目に挙げている、プレゼン資料作成のための具体的な視座を順次レクチャーしていく。最終的に第Ⅰ部では、発表スライドとレジュメを担当教員の指定した量で作成することが求められる。

また、第Ⅱ部では、第Ⅰ部の内容を踏まえ、発表のための要点が、各コマのコマ主題細目にしたがって、各担当教員からレクチャーされる。なお、第Ⅱ部の終盤では、仮提出された各受講生の発表スライドとレジュメをサンプルとして、他者に伝えるための資料作りのポイントを再確認していく。

本コマは、第Ⅰ部「作成編」の着手点にあたるものであり、「プレゼン資料作成の視座1」として、何のために発表するのかを確認する。発表では、発表者がそこを意識・理解することによって、プレゼン資料の作成時に主眼を置くべきポイントを抑えることができる。すなわち、聴衆にとってわかりやすい発表となる。

【コマ主題細目①】
・酒井聡樹『これから学会発表する若者のために―ポスターと口頭のプレゼン技術 第2版』、共立出版、2018年、77-78頁。

【コマ主題細目②】
・酒井聡樹『これから学会発表する若者のために―ポスターと口頭のプレゼン技術 第2版』、共立出版、2018年、79-82頁。

【コマ主題細目③】
・酒井聡樹『これから学会発表する若者のために―ポスターと口頭のプレゼン技術 第2版』、共立出版、2018年、83-90頁。
コマ主題細目 ① 情報と発表スキルの関係 ② わかりやすい発表 ③ わかりやすい話のスキル ④ ⑤
細目レベル ① 学生は、卒業研究発表や就職活動において口頭発表を行う。これは、卒業研究であればその成果を発表したいという理由であり、就職活動であれば自身の売り込みを発表したいという理由があるためである。つまり、発表者は他者に対して「伝えたい」という意思のもと、発表に臨むことになる。よって、まず「聴衆にわかってもらう」という意識を持つことが発表では肝要である。この際に、聴衆は努力をしたがらないという点に注意が必要である。これは、聴衆は、聴衆者自身のためにこの発表に臨んでいるのであり、発表者のために発表に臨んでいるわけではないことが理由としてあげられる。

つまり
・聴衆自身が発表内容に興味をもっているために、理解する努力をする
・聴衆が努力しなくても理解できる
この2点が発表においては聴衆側に依存することとなる。

このうち、後者においては情報の精査と発表スキルという発表者側の工夫によって改善することが可能である。ただし、情報が精査されていたとしても、発表スキルが伴わなければ聴衆には伝わらない。同様に、発表スキルだけが高くても、情報が精査されていなければ聴衆は得るものがない。よって、まずは「情報の精査」と「訓練された発表スキル」の両者が発表には求められていることを理解する。

② 『これから学会発表する若者のために』79頁には、わかりやすい発表とは
1. 情報を整理しやすい
2. その主張を導く論理を理解できる
と、2つのポイントが記載されている。

1つ目について、さらに細かく2つの条件が挙げられる。まず、1-1として、問題提起から結論に至るまでの話の流れをつかみやすいことが必要である。①で示した通り、聴衆は基本的に努力をしないと考えるべきである。加えて、聴衆にとっては初めて聴く話題でもある。話の流れがスムーズでない場合は、当然理解することはできない。次に、2-1として、個々の情報を理解するための負担がかからないことが必要である。発表では、いくつもの情報が複合して構成される。例えば、「農薬の生態リスク評価は、環境中の濃度(ここでは河川水中濃度)と、生物への影響濃度(登録基準値)の比較によって行われる」と言われた場合、聴衆は少なくとも、「環境中の濃度」と「生物への影響濃度」という2つの言葉を記憶し、記憶したまま発表を聴いて理解しなければならない。つまり、記憶するという作業と、理解するという作業を同時にこなすことになる。これは、聴衆にとって大きな負担である。しかしここで、スライド上に「環境中の濃度」「生物への影響濃度」と書かれていた場合は、記憶するという作業の負担を減らすことができ、理解するという作業に対して集中できる。ここにおける「理解する」という作業は、前述の1-1における話の流れがスムーズであることによって、さらに負担を減らすことができる。このように、聴衆にとって情報を整理しやすくすることが必要である。

2つ目については、「理解する」ということは「わかる」ということを示している。例えば、「パワーストーンを採掘した」「ガソリンの燃焼よりも環境負荷が大きい」と発表スライドに書かれた場合、記憶する作業が不要なため「わかる」ような気がするが、その実はさっぱりわからない。これは、パワーストーンについて、高いエネルギーをもつ石と解釈して石炭を勝手に当てはめているためである。理解できなくて当然である。その仮定や過程について論理立てて説明しなければ、理解にはつながらない。

この2つのポイントをおさえる際に共通して意識することは、聴衆を想定することと言える。今日の聴衆は、どのような点に興味を持っているのか、どの程度の知識を有しているのかという点に注意することで、どの程度まで情報や論理を省略することができる。つまり、冗長な発表を避けることもでき、すなわち、わかりやすい発表へとつながる。

③ 発表のみならず、すべての事柄にも共通することとして、以下の3点がポイントとなる。
1. 必要かつ不可欠な情報だけを示す。
2. 理解の流れに沿った順番で情報を与える。
3. 直感的な説明を心がける。

まず、1つ目について3つに細分化して説明する。1-1として、主張することを絞る必要がある。基礎ゼミナールIで作成したレポートにおいて、各自多くの発見があり、すべての主張について面白いと感じていることと思う。しかし、そのすべてを発表すると情報が多くなり、複雑になってしまう。つまり、聴衆にとっては理解しにくくなってしまう。よって、主張する内容は厳選して絞る必要がある。1-2として、その厳選された主張に対して必要な情報だけを示す必要がある。つまり、主張に対して不要な情報は、残らず捨てる勇気が必要である(なお、不要な情報とは不都合な情報という意味ではない)。ここで意識する点としては、発表とは「自分が頑張ったことを示す場ではない」ということである。1-3として、聴衆の疑問に配慮する必要がある。ある程度まで資料を作っている内に、「ここの話をしたら、きっと聴衆はこう疑問を持つのではないか」と感じることになる。その際には、その話の前後のどちらかに、その答えとなる説明文を加えることで、聴衆は余計な疑問を抱かずに発表に集中することができる。1-4として、同じ説明を繰り返さない必要がある。同じ説明を繰り返すと話の流れを停滞させてしまい、聴衆の理解の妨げとなる。要は、事前に熟考し、発表する内容を絞ることが重要である。

2つ目として、説明する順序が挙げられる。ここでは様々な手法が存在するが、基礎ゼミナールIIでは最も基本的で、かつ分かりやすい手法である、「序論(背景と目的)、方法、結果、考察、結論」の順をおさえる。ここで、方法に連動する結果をひとまとめにした方が理解しやすい場合もあるが、高度なテクニックのために基礎ゼミナールIIでは用いないこととする。

3つ目として、直感的な説明を心がけることが必要である。例えば、藻類の成長を評価する際に、以下の式が一般的に用いられる。「= (ln (xt) – ln (xt''''''''))/ (t - t'''''''')」このように示されたとしても、これは要するに、試験時間中にどのくらい増殖したかを計算しているだけである。細かく説明すると、自然対数(ln)が用いられている点にも興味を持つかもしれないが、その説明を入れることで情報が多くなってしまうと、聴衆にとってはプレゼン全体に対しての理解の妨げとなる。詳細を説明しなければいけないシーンはあるが、まずは直感的に説明することで理解を促し、その後に詳細を説明するように心がける必要がある。



キーワード ① 話の流れ ② 理解 ③ 不要な情報 ④ 説明の順序 ⑤ 直感的
コマの展開方法 社会人講師 AL ICT PowerPoint・Keynote 教科書
コマ用オリジナル配布資料 コマ用プリント配布資料 その他 該当なし
小テスト 「小テスト」については、毎回の授業終了時、manaba上において5問以上の、当該コマの小テスト(難易度表示付き)を実施します。
復習・予習課題 【本コマの復習】
今回のポイントは、「聴衆にわかってもらう」ための発表を理解することにある。つまり、「情報の精査」と「訓練された発表スキル」が必要である。訓練された発表スキルは今後の発表を通して具体的に学ぶとする。そのため、今回の復習では、まず各自の発表予定の構成を見直すことを課題とする。具体的には、情報量が多すぎないか、逆に少なすぎないかといった点である。基礎ゼミナールIIのようにゼミと呼ばれる講義では、通常の科目講義と異なり、学生各自がそれぞれの興味にあった研究テーマを設定することができる。そして、その研究テーマに対して講義で学んだ技術を導入して、学生一人ひとりの作品として研究成果物が組み上げられていく。基礎ゼミナールIIでは、作成されたプレゼンテーション資料が研究成果物となる。ただ、上述の通り、プレゼンテーション資料は受動的に配布されるものではなく、学生各自が設定された提出日にむけて資料作成をすすめるといった能動的な取り組みが肝要である。つまり、教員より与えられた課題をこなすのではなく、各自の計画のもと、文献検索や調査研究を行うこととなる。その際に、講義担当教員より、学生の興味や進捗状況に合わせて、個別に指導していく。よって、基礎ゼミナールIIにおける復習課題は、前提条件として各自が自主的にプレゼンテーション資料の作成を進めることとする。第2回の復習は、基礎ゼミナールIで作成した各自のレポートの内容を確認し、もっとも主張したい結果の箇所を見つけ、必要不可欠な情報を抜き出す作業をすることとする。

【次コマの予習】 次コマでは、環境科学部1年生を対象としたキャリア形成の一環として、「仕事と学び」のタイトルのもと、行政職員として活躍している本学の卒業生より、公務員としての働き方や、働くということの楽しみ方をご講演いただく。学生各位は、多くがまだ働くことへのイメージを持ちきれていない ことと思う。また、すでに公務員を志望している学生もいるかもしれない。働くことへは、様々なイメージがあると思う。そのため、現時点で各自が思っている「何のために働くのか」「将来何になりたいか」を、ノートにまとめることを予習課題とする。なお、当日は質疑応答もある。公務員に興味のある学生は、事前に聞いてみたいことをノートにまとめておくと良い。大人数の前で質問することに緊張してしまう場合は、事前にゼミ担当教員へ質問事項を伝えておけば、当日は教員が代弁することとする。

2 仕事と学び 科目の中での位置付け 本科目は、第Ⅰ部「作成編」と第Ⅱ部「実践編」とから成る。第I部では、教員がこれまでの研究活動で作成した学会発表資料をアカデミックな現場の実例として用いつつ、コマ主題細目に挙げている、プレゼン資料作成のための具体的な視座を順次レクチャーしていく。最終的に第Ⅰ部では、発表スライドとレジュメを担当教員の指定した量で作成することが求められる。

また、第Ⅱ部では、第Ⅰ部の内容を踏まえ、発表のための要点が、各コマのコマ主題細目にしたがって、各担当教員からレクチャーされる。なお、第Ⅱ部の終盤では、仮提出された各受講生の発表スライドとレジュメをサンプルとして、他者に伝えるための資料作りのポイントを再確認していく。

本コマは、こうした本科目全体の展開の中で、レポートや論文を書く目的を明確化するために、『仕事と学び』の関係についてレクチャーする。

【コマ主題細目①】 柳沢有紀夫『値段から世界が見える!』、朝日新聞出版、2012年、25-34頁

【コマ主題細目②】 芦田宏直『シラバス論―大学の時代と時間、あるいは〈知識〉の死と再生について―』、晶文社、2019年、334-371頁

【コマ主題細目③】 事業構想研究所編『SDGsの基礎』、事業構想大学院大学出版部、2018年、75-80頁
コマ主題細目 ① 働くという行為 ② 職業教育 ③ 学生時代に力をいれたこと ④ ⑤
細目レベル ① 日本国憲法第二十七条では、「すべて国民は、勤労の権利を有し、義務を負う」としている。これは、「国民の三大義務」のうちの一つであり、勤労の義務の規定である。あくまで倫理的な意味合いであり、強制的に労働させることは憲法で禁じている。
一方、一般論として、就職は多くの場合は人生における目的のひとつとなる。これは、自身が豊かな暮らしを送るためや、自己の充足感を満たすためなどさまざまな理由があると思う。また、日本国憲法第三十条では、「国民は、法律の定めるところにより、納税の義務を負う」としている通り、納税の義務も存在する。国民は国などの活動によって利益を得ている。また国は国民の生命や財産を保護するための保険者である。
つまり、国民はその代償として必要な経費を払うために、税金を納める必要がある。これによって、私たちの暮らしは支えられている。極端な例で、欧州のスウェーデンをみてみる。スウェーデンでは消費税25%(2018年時点)であり、高額である。また、所得税は日本と同じ累進課税ではあるが、年収250万円とすると最高25%で、日本が330万円で10%としていることと比較しても高い。しかし、この税金によって社会保障は充実しており、スウェーデンでは20歳未満と 85 歳以上の医療費が全額無料で、学費については幼稚園から大学までが無料である。これを受け、2017年のOECDベターライフインデックス(より良い暮らしの指標)では、世界8位であり、日本の25位よりも高い。このように、就職して働くという行為は、個人の生活を豊かにするだけでなく、国民全体の生活も豊かにすることとなる。
ここでは、まず働くという行為について理解を深める。

② 大学の講義では、概論科目から専門科目まで多様な授業を受講する。主に実習系の授業を受講することで、専門的な技術は習得できる。しかし、その土台となるのは法規や理論といったものであり、それなしには現場に出ることができない。
実習において野外調査を行った際に、おそらく理想と異なる結果を得ることも多いと思う。これを「実践的な教育」ということは困難である。なぜなら、自然環境を対象として研究する際に、真値は存在しえないとしても、得られると予想できる理論ベースの値は存在する。これを理解あるいは得た経験がないまま大学を卒業してしまうと、結局のところ自身のなかにブレない基準が存在しないため、その後の人生において究める目標がないことになる。これは、実践的な教育と言い難い。つまり、この状態で卒業し、希望の職業に就職できたとしても、実務現場での経験事態が自身の体力あるいは精神力における摩耗期間となり、結果的に離職へ繋がる可能性がある。
大学における学びの期間においては、専門的な基本教育が重要である。つまり、まずは理論が存在し、それをもって成功体験となる実習が存在するべきである。よって、専門的な基本を得るためのシナリオの存在が必要となる。これは、学問領域のみに限らず、就職というキャリア形成においても必要である。学生の間はトライ・アンド・エラーのチャレンジング精神が求められるが、その本質は理論ベースのシナリオによってトライして初めて意 味のある成果が得られる。就職として置き換えると、自身の目標となる職業を教員と相談の上である程度まで定め、基本教養を身につけながらバックキャスティングアプローチをし(例えばサークル活動や学外活動、インターンシップに参加)、成功体験を積み重ねたうえで希望した職に就くことといえる。
ここでは、大学で学ぶべき基本教育と就職との関係を明確にしたうえで、どのようにキャリア形成(シナリオ作り)をするかをおさえる。

③ 例えば、環境科学科の谷地先生に「あなたの仕事は何ですか?」と質問したとする。おそらく、「大学の先生です」という返答が期待されていると思う。しかし、谷地先生は「環境リスクを定量的に評価して、そのリスクに関係する人たちがリスクを考えるお手伝いをすること」と答えることにしている。これは、「将来は何になりたいですか?」と問われた際にも、同様に答えるようにしてきた。
つまり、ある特定の職種に就くことは目的ではなく、どのような活動をしたいかを目的とし、結果として職種が付随してきたという考え方である。これは個人の考えであるため、各自が自身の将来像を描く際のスタートの参考程度で捉えて構わない。しかし、特定の職種に就くことを目的とした場合、必然的に目的達成のためのアプローチや、達成地点は限られる。しかし、活動内容を目的とした場合、理想的な職は定めたとしても、アプローチや達成地点にさまざまなオプションを各自で設定できる。そのためにも、学生時代にさまざまな活動に参加し、経験を積み、自身の将来像を早めに描くことが重要となる。
ここでは、学生時代にさまざまな活動にチャレンジし、そこから将来像を描いてキャリアを形成し、現在は行政職員として活躍している本学卒業生の話を聞き、各自の就職にむけた意識付けを図ることとする。



キーワード ① 勤労の義務 ② 就職 ③ 豊かな生活 ④ 基本教育 ⑤ 目的
コマの展開方法 社会人講師 AL ICT PowerPoint・Keynote 教科書
コマ用オリジナル配布資料 コマ用プリント配布資料 その他 該当なし
小テスト 「小テスト」については、毎回の授業終了時、manaba上において5問以上の、当該コマの小テスト(難易度表示付き)を実施します。
復習・予習課題 【本コマの復習】 第2回の復習は、各自が得た就職への考え方をノートにまとめることとする。今回では、卒業生で現在行政職員として活躍している卒業生を講師にお招きして、公務員の働き方を学んだ。学生にとっては、「働くことの楽しさを知った」といった知ることや、「イメージと異なった」や「将来に向けて今からするべきこと」といった、職業イメージへの気づきや、やるべきことへの気づきがあったと思う。これらの獲得できた情報や、自身への気づきは、放置してしまうと忘れてしまう。よって、現時点で、どのような将来像が自身の内面にあるのかを、箇条書きでもよいのでまとめることが重要である。そして、ただまとめるだけではなく、基礎ゼミナールの担当指導教員へ報告し、自身の進路について打ち合わせを行うことまでを復習課題とする 。

【次コマの予習】
次コマでプレゼンテーション全体の構成作成の技法について学ぶことに備えて、まずは『これから学会発表する若者のために―ポスターと口頭のプレゼン技術』23-30頁に目を通し、不明な点がないかどうかを確認しておく。ここを読むと、レポートとプレゼンテーションでは構成が異なるという点に気がつくことと思う。復習の延長となるが、基礎ゼミナールIで作成した各自のレポートの内容を確認し、もっとも主張したい結果の箇所を見つけ、その結果を説明するために必要な情報を、序論から探しておくことを予習とする。

3 プレゼン資料作成の視座2―構成からタイトル― 科目の中での位置付け 本科目は、第Ⅰ部「作成編」と第Ⅱ部「実践編」とから成る。第I部では、教員がこれまでの研究活動で作成した学会発表資料をアカデミックな現場の実例として用いつつ、コマ主題細目に挙げている、プレゼン資料作成のための具体的な視座を順次レクチャーしていく。最終的に第Ⅰ部では、発表スライドとレジュメを担当教員の指定した量で作成することが求められる。

また、第Ⅱ部では、第Ⅰ部の内容を踏まえ、発表のための要点が、各コマのコマ主題細目にしたがって、各担当教員からレクチャーされる。なお、第Ⅱ部の終盤では、仮提出された各受講生の発表スライドとレジュメをサンプルとして、他者に伝えるための資料作りのポイントを再確認していく。

本コマは、第Ⅰ部「作成編」のプレゼン資料作成の視座2」として、(前コマに「わかりやすい発表」「に習熟したことを踏まえて)「構成」「序論(背景と目的)」「タイトル」作成を中心に学ぶ。また、次コマにおいて、「方法」「結果」「結論」に着目して学ぶことで、合わせてひとつのプレゼン資料となる。

【コマ主題細目①】
・酒井聡樹『これから学会発表する若者のために―ポスターと口頭のプレゼン技術 第2版』、共立出版、2018年、23-30頁。

【コマ主題細目②】
・酒井聡樹『これから学会発表する若者のために―ポスターと口頭のプレゼン技術 第2版』、共立出版、2018年、31-44頁。

【コマ主題細目③】
・酒井聡樹『これから学会発表する若者のために―ポスターと口頭のプレゼン技術 第2版』、共立出版、2018年、45-56頁。
コマ主題細目 ① 構成と構想 ② 序論の骨子 ③ タイトルの決定 ④ ⑤
細目レベル ① プレゼン資料に限定されることではなく、レポートも含む発表資料は、序論(背景・イントロダクションと目的)、本論(以下が含まれる:方法、結果、考察)、結論、引用文献から構成される。序論の役割は、これからレポートを読む人に何について書こうとしているのか、またどうしてそれについて書こうと思ったのかを理解してもらうことである。そのために「何をやるのか」の説得に必要な、「何を前にして」、「どういう問題に取り組むのか」、「取り組む理由」、「どういう着眼で」というポイントをあげていく。そして、目的へとつなげる。本論の役割は、序論で問題提起したことに対して答えを出すために、先行研究をもとに事実をあげ、方法と結果を示しながら(論拠を示しながら)、問題への解答に向けて考察していく。結論の役割は、これまでに述べてきたことを整理し、最終的な主張の妥当性を確認してもらうことである。これらの構成要素は、いずれかが欠けてしまった場合、論理展開が成立しなくなるため、その主張を聴衆へ伝えることはできなくなる。また、後に詳しく説明するが、方法と結果は事実を書き、考察は事実をもとに意見を述べる。

構成を考える上で、まず、この発表において何を主張したいかといった構想を練ることが重要である。この構想においては、自身の手持ちのデータ(結果)をまとめて結論を出し、そこから、今回の発表で取り組む問題を決め直すといった、「結論に対応した、取り組む問題を設定する」流れにするとプレゼン資料全体の流れを決めやすい。なぜならば、結論はすでにデータとして得ているため、変更することは不可能である。主張は必ず「問題」に対応した「結論」で締めるが、すでに「結論」が決まってしまっている場合、合わせるべきは「取り組む問題」となる。

ここできは、「取り組む問題や目的」と「結論」が、必ず直結していることをおさえる。

② 序論では、研究の目的・意義を述べることになる。ここで、自身の研究の意義を聴衆に説得することで、聴衆は興味を持って発表を聴いてくれる。序論では、5つの骨子によって構成される。
・何を前にして
・どういう問題に取り組むのか
・取り組む理由
・着眼点
・何をやるのか
この内、「何をやるのか」が「目的」に該当する。

骨子は、端的に一文で示す程度で十分である。ただし、①で示した通り、構成は結論から始まるように、序論も通常の発表スライドで登場する順に書く必要はない。説得力のある序論を書く際には、まず、「何をやるのか」から始まる。これは、結論と目的が一致するという特徴から、必然である。次に、「どういう問題に取り組むのか」に着手する。これは、何事においても問題がなければ行動には移さないため、目的がある以上、何かしらの問題がそこに存在しているためである。次に、「取り組む理由」に着手する。これは、問題があれば解決が必要であるため、連動して考えやすいためである。次に、「何を前にして」に着手する。この時点で、すでに取り組むべき問題はすでに決定しているため、その問題の現象自体を書くことになる。例えば、「カレーライスはなぜ辛いのかを明らかにしたい」と、問題を設定した場合、「カレーライスが辛い」という現象が、すなわち「何を前にして」に該当する。最後に着眼点を書くが、着眼点が発表における新規性となる。これは、すでにレポート本文が作成されている場合は、変更ができない箇所でもある。なぜならば、その着眼点をもとにデータを集めたため、後から変更することは不可能なためである。

③ タイトルは、序論を書いた後に考えることを勧める。なぜならば、②における序論の5つの骨子を作り上げることで、この発表における目的や意義が明確になるためである。これらを明確にした上でタイトルを考えると、的確なタイトルを決定することができる。ここでは、まず良いタイトルを付ける際の2つのポイントをおさえる。
1. 一読で理解できる
2. どういう研究なのか想像がつく

1つ目について、重要なポイントは明解な意味をもたせることと、長くなりすぎないことである(短すぎても意味が通じなければ意味がない)。理想としては、一度読んだだけで理解できるものである。2つ目について、一度読んで理解できても、想像がつかないものは、真の意味で理解できたことにはならない。その結果、聴衆は悩みながら、もしくは誤った想像のまま発表を聞くことになる。そして想像と異なる発表であった場合は、発表者と聴衆のどちらにとっても無駄な時間になる。これを避けるために、タイトルは慎重に付ける必要がある。

次に、タイトルに入れる情報は、以下の3つに絞ることをおさえる。
1. 取り組む問題
2. 着眼点
3. 研究対象

これらは、いずれも序論の骨子においてすでに作成済みである。骨子では重要なポイントを短文で示したが、タイトルではそれを紡ぐことになる。ただし、この紡ぐ作業自体も省略できる可能性がある。理由として、タイトルは、そもそも目的と同じものとなるためである。

この他に、副題を設けるテクニックもある。書き方としては「取り組む問題を述べる主題:問題解決のための着眼を述べる副題」という形である。これは、両者を独立した文章として認識できるため、理解がしやすい。しかし、その関係性が薄れた場合は、理解の妨げとなる点に注意が必要である。また、長くなりやすいことにも注意する。



キーワード ① 研究の目的 ② 研究の意義 ③ 序論 ④ 着眼点 ⑤ 副題
コマの展開方法 社会人講師 AL ICT PowerPoint・Keynote 教科書
コマ用オリジナル配布資料 コマ用プリント配布資料 その他 該当なし
小テスト 「小テスト」については、毎回の授業終了時、manaba上において5問以上の、当該コマの小テスト(難易度表示付き)を実施します。
復習・予習課題 【本コマの復習】
今回のポイントは、発表内容の流れをおさえることにある。具体的には、「構成」を、骨子でまとめる作業である。手元にある学生各自のレポートを確認していただきたい。第2回では、背景を具体的にみてきたが、各段落の中で、最も伝えたい一文があるはずだ。それを、確実に抜き出す作業を行うことを課題とする。その骨子のみでも伝えられるストーリーであれば、背景の流れは通っていると考えて良い。基礎ゼミナールIIのようにゼミと呼ばれる講義では、通常の科目講義と異なり、学生各自がそれぞれの興味にあった研究テーマを設定することができる。そして、その研究テーマに対して講義で学んだ技術を導入して、学生一人ひとりの作品として研究成果物が組み上げられていく。基礎ゼミナールIIでは、作成されたプレゼンテーション資料が研究成果物となる。ただ、上述の通り、プレゼンテーション資料は受動的に配布されるものではなく、学生各自が設定された提出日にむけて資料作成をすすめるといった能動的な取り組みが肝要である。つまり、教員より与えられた課題をこなすのではなく、各自の計画のもと、文献検索や調査研究を行うこととなる。その際に、講義担当教員より、学生の興味や進捗状況に合わせて、個別に指導していく。よって、基礎ゼミナールIIにおける復習課題は、前提条件として各自が自主的にプレゼンテーション資料の作成を進めることとする。第3回の復習は、基礎ゼミナールIで作成した各自のレポートの内容を確認し、第2回の復習課題で抜き出した結果を説明するために必要な情報を序論から探し、講義で解説した5つの骨子に合わせて組み直すこととする。

【次コマの予習】
次コマでプレゼンテーションにおける方法から結論までの作成の技法について学ぶことに備えて、まずは『これから学会発表する若者のために―ポスターと口頭のプレゼン技術』57頁と61頁に目を通し、不明な点がないかどうかを確認しておく。ここを読むと、レポートとプレゼンテーションでは構成が異なるという点に気がつくことと思う。復習の延長となるが、基礎ゼミナールIで作成した各自のレポートの内容を確認し、詳細な記述を行った方法・結果について、どの情報が必要で、どの情報が不要かを整理しておくことを予習とする。

4 プレゼン資料作成の視座3―構成から方法・結果・考察・結論― 科目の中での位置付け 本科目は、第Ⅰ部「作成編」と第Ⅱ部「実践編」とから成る。第I部では、教員がこれまでの研究活動で作成した学会発表資料をアカデミックな現場の実例として用いつつ、コマ主題細目に挙げている、プレゼン資料作成のための具体的な視座を順次レクチャーしていく。最終的に第Ⅰ部では、発表スライドとレジュメを担当教員の指定した量で作成することが求められる。

また、第Ⅱ部では、第Ⅰ部の内容を踏まえ、発表のための要点が、各コマのコマ主題細目にしたがって、各担当教員からレクチャーされる。なお、第Ⅱ部の終盤では、仮提出された各受講生の発表スライドとレジュメをサンプルとして、他者に伝えるための資料作りのポイントを再確認していく。

本コマは、第Ⅰ部「作成編」のプレゼン資料作成の視座3」として、前コマから引き続き「構成」の理解と作成を目的として、プレゼン資料の中の方法、結果、考察、結論の作成方法について詳細に学んでいく。今回の授業では、事実に基づいた方法と結果と、そこから考えられる考察、さらに導かれた結論という、それぞれが異なる立ち位置にある事柄であることを理解する必要がある。ここを混同してしまうと、誰の主張なのか、また事実なのか考えられることなのかが曖昧となってしまう。よって、構成作成段階より、混同しないように注意する必要がある。

【コマ主題細目①】
・酒井聡樹『これから学会発表する若者のために―ポスターと口頭のプレゼン技術 第2版』、共立出版、2018年、57-60頁。

【コマ主題細目②】
・酒井聡樹『これから学会発表する若者のために―ポスターと口頭のプレゼン技術 第2版』、共立出版、2018年、61-66頁。

【コマ主題細目③】
・酒井聡樹『これから学会発表する若者のために―ポスターと口頭のプレゼン技術 第2版』、共立出版、2018年、66-69頁。
コマ主題細目 ① 研究方法の説明 ② 研究の結果と考察 ③ 結論 ④ ⑤
細目レベル ① スライドを用いた発表において、研究方法で伝えるべきことは、論文やレポートに記載する場合と異なることがある。これは、口頭発表では聴衆に伝える内容や時間が限られているという制約によるためである。しかし、単純に端折るだけでは不完全な方法となり、聴衆はその方法が正しいのかどうかについて疑念を抱くことになる。口頭発表における方法の説明では、大きく以下の3点について構成を整えてから臨むべきである。
・研究方法を説明する目的は何か
・その方法に信頼性をもたせるためにはどうするべきか
・実際に説明すべきことは何か

1つ目について、まず口頭での発表における方法の説明の目的は「適切な方法をとっているという、信頼を得るため」に行っているということを念頭におく。つまり、研究を遂行するにあたり(目的の達成)、その答えを導く道筋ができていることを納得してもらうために、口頭発表では方法を説明しているのである。

2つ目は、1つ目におけるテクニックである。概要を説明するのみでよく、詳細を説明して細かなところまで聴衆に確認してもらう必要はないのである(例えば、簡単な表計算を行う際には「Excelを用いた」だけで良く、「PCはMac book Pro 2016モデルで、ソフトウェアはExcel for Macを用いた」は不要)。概要に留める理由としては、詳細を省いたとしても、結果・結論の説明に支障はないからである。逆に、ここを詳細に説明しすぎて発表時間を失い、結果、考察、結論がおざなりとなってしまっては、プレゼン自体が本末転倒となってしまう。

3つ目について、これまでの説明においては「概要を説明する」としてきたが、ここでは「絶対に外してはいけない項目」を説明する。
3-1. 研究対象
3-2. 各実験・調査の狙い
3-3. 各実験・調査の内容の簡単な説明
3-4. データ処理の方法

研究領域によっては、これ以外にも、研究期間、調査地などあるので、その分野ごとに確認しておく必要がある。3-1について、実験・調査対象の、素性、由来、特徴などを簡単に説明する。例えば、実験で緑藻を用いたとする。この藻類は、野外から採取した株を単離して培養したのか、特定の機関から購入したのかによって、結果の解釈や信頼性は異なってくる。そのため、購入したのであれば、どこから購入し、管理番号がナンバリングされていれば、その番号も記載しなければならない。3-2について、これはスライド作成のテクニックに関するものとなるが、「見出し」というものである。例えば、スライドの上部に、「方法」とのみ記されて、その内容として手順が示されたとしても、直感的には状況を把握できない。その場合に、例えば「農薬種類ごとの全国普及状況の推定」とあったとすれば、(結局、内容が難しかったとしても)少なくとも、このスライドで何が示されているかは理解できる。3-3について、ここは「聴衆が知らなくても発表に支障がない」情報をばっさりと捨ててしまうことを意味する。例えば、1年間の河川水中の農薬濃度の調査において、河川水保存に用いる瓶の前処理や、分析の手法は重要な工程である。論文執筆においては、アセトンで瓶を3回共洗いしたことや、分析の工程などを詳細に書く。しかし、口頭発表においては、そこまでの細かい情報よりも、いつ・どこで調査したかの情報のほうが重要である。よって、瓶の前処理や、分析の工程は省き、重視されるポイントのみを説明する。3-4について、データ処理の方法としては、統計処理の方法などが該当する。統計処理法自体は、2年生からの講義科目となるのでここでの説明は省くが、この方法を説明しなければ、「差がある」とした結論に対して、聴衆は疑問を抱くことになる。

ここで挙げたポイントを整理することによって、聴衆への理解に加え、発表者自身も理解が深まる。

② 本コマでは、研究結果と考察において、何を伝えるべきかを説明する。ここでおさえる要点は、結果で2点、考察で2点ある。まず、結果から説明する。
・心がけ
・示す内容

さらに、「心がけ」について、2つ示す。
2-1. 結論を導くために必要な結果だけを示す。
2-2. 研究方法の説明と同じ順番で提示する。

まず、2-1では結論に関係する結果を示すようにする。結論に関係しない結果が示された場合、聴衆はその結果がいつ利用されるのか・利用されたのかといった箇所に注意を割くことになる。その結果、発表の流れがスムーズではなくなり、理解しにくくなる。

2-2については、発表の流れに影響を与える。図表を作成するときにも同様にいえるのだが、登場する順番は統一しなければならない。

次に「示す内容」として、3つ示す。
3-1. 各結果の見出しをつける
3-2. わかりやすい形に結果をまとめる
3-3. 各結果から導かれたことの要約

まず、3-1については①の3-2と同じである。

3-2については、例えば図で示す・表で示すといった工夫があげられる。例えば、あるデータを得たとして、ひたすら数値が示された場合、その数値を追いかけるだけで疲れてしまう。これは、プレゼン内容の理解の妨げとなる可能性がある。その場合、図で示すことによって視認的に確認でき、効率よく聴衆へ結果を伝えることが可能となる。

3-3について、例えば3-2を実践して図を作成したとする。その図のみを示した場合、発表者は聴衆に対して様々な受け取り方を聴衆に任せることになる。この作業は、図の把握と解釈といった複数の処理を聴衆が同時に行うことになり、負担が大きい。また、発表者は聴衆に伝えたい主張があるはずである。そこで、発表者の主張を一文で示せば、聴衆はその図の解釈方法を持った状態で聴くことが可能となる。

次に考察である。
・得られた結果の統合的解釈
・先行研究の検討

結果は、事実に則り連連と示すことになる。ただ、②の3-3で示したように、それぞれを要約した結果、まとめて解釈ができることが出てくることがある。その「まとめて解釈したところ、こう言える」という箇所が、すなわち考察となる。先行研究の検討については、基礎ゼミナールIで学んだ「批判」に該当する。ここで注意すべきは、引用を正しく用いることとなる。

ここで挙げたポイントを整理することによって、聴衆への理解に加え、発表者自身も理解が深まる。

③ 結論とは、取り組んだ問題への答えとなる。序論で取り組む問題を提示したため、その答えをもって発表を修了しなければいけない。ここで両者が噛み合っていない場合、「あなたはカレーライスが好きですか?」に対して、「いいえ。テニスが好きです」といった会話をしているような感じになってしまう。また、ここではできるだけ簡潔な結論を示さなければいけない。なぜなら、聴衆は、その場で聴いて、すぐに理解するという処理を実施しているため、情報量が多い・複雑・曖昧だった場合は理解できない。取り組んだ問題が1つだった場合は、結論も1つになることに注意する。なお、「結論」は「まとめ」とは異なる。まとめは全体を示し、その中に結論が存在する。よくあるミスとしては、「結果」をまとめることが「結論」になってしまうことである。これは、「結論」でもなければ「まとめ」でもない。この点に構成作成段階で注意する。最後にオプションとして、結論を受けての発表者の考えを示すことができればなお良い。これは、「取り組んだ問題」への答えを示した上で、「どうするか」と示すことができれば、それがその研究の意義となるためである。ここで挙げたポイントを整理することによって、聴衆への理解に加え、発表者自身も理解が深まる。


キーワード ① 図の把握 ② 図の解釈 ③ 主張 ④ 簡潔な結論 ⑤ 見出し
コマの展開方法 社会人講師 AL ICT PowerPoint・Keynote 教科書
コマ用オリジナル配布資料 コマ用プリント配布資料 その他 該当なし
小テスト 「小テスト」については、毎回の授業終了時、manaba上において5問以上の、当該コマの小テスト(難易度表示付き)を実施します。
復習・予習課題 【本コマの復習】
今回のポイントは、方法から結論までを通しての発表内容の流れをおさえることにある。具体的には、「示す内容」を、絞り込む作業である。手元にある学生各自のレポートを確認していただきたい。基礎ゼミナールIで作成したレポートには、多くの結果や、それに基づく考察があるはずだ。しかし、発表できる内容は1つだけと考えると、最も伝えたい内容を絞り、それを伝えるために必要な方法、結果、考察がみえてくる。それを、確実に抜き出す作業を行うことを課題とする。これは、一文で端的に抜き出す程度でよい。その骨子のみでも伝えられるストーリーであれば、方法から結果考察へと続く一連の流れは通っていると考えて良い。基礎ゼミナールIIのようにゼミと呼ばれる講義では、通常の科目講義と異なり、学生各自がそれぞれの興味にあった研究テーマを設定することができる。そして、その研究テーマに対して講義で学んだ技術を導入して、学生一人ひとりの作品として研究成果物が組み上げられていく。基礎ゼミナールIIでは、作成されたプレゼンテーション資料が研究成果物となる。ただ、上述の通り、プレゼンテーション資料は受動的に配布されるものではなく、学生各自が設定された提出日にむけて資料作成をすすめるといった能動的な取り組みが肝要である。つまり、教員より与えられた課題をこなすのではなく、各自の計画のもと、文献検索や調査研究を行うこととなる。その際に、講義担当教員より、学生の興味や進捗状況に合わせて、個別に指導していく。よって、基礎ゼミナールIIにおける復習課題は、前提条件として各自が自主的にプレゼンテーション資料の作成を進めることとする。第4回の復習は、基礎ゼミナールIで作成した各自のレポートの内容を確認し、詳細な記述を行った方法・結果・考察・結論について、どの情報が必要で、どの情報が不要かを整理した上で、それぞれを簡潔にまとめ直すこととする。

【次コマの予習】
次コマはフィードバックの回である。具体的には、学生が作成した構成について、担当教員より修正案を示しながらブラッシュアップをしていく。よって、担当教員が示す提出期日までに、構成をA4用紙1枚程度にまとめ、メールにて提出することを予習課題とする。

5 プレゼン資料作成の視座4―学生へのフィードバック_構成― 科目の中での位置付け 本科目は、第Ⅰ部「作成編」と第Ⅱ部「実践編」とから成る。第I部では、教員がこれまでの研究活動で作成した学会発表資料をアカデミックな現場の実例として用いつつ、コマ主題細目に挙げている、プレゼン資料作成のための具体的な視座を順次レクチャーしていく。最終的に第Ⅰ部では、発表スライドとレジュメを担当教員の指定した量で作成することが求められる。

また、第Ⅱ部では、第Ⅰ部の内容を踏まえ、発表のための要点が、各コマのコマ主題細目にしたがって、各担当教員からレクチャーされる。なお、第Ⅱ部の終盤では、仮提出された各受講生の発表スライドとレジュメをサンプルとして、他者に伝えるための資料作りのポイントを再確認していく。

本コマは、第I部の中間地点での理解度の確認として位置づけられている。具体的には、受講生から提出されたレポート(構成)をサンプルとして、これまでに学んできた、発表スライド作成前の構成段階での要点を確認するための1コマ目である。なお、検討にあたっては、履修判定指標も適宜参照する。

【コマ主題細目①】
・河野哲也『レポート・論文の書き方入門(第4版)』、慶應義塾大学出版会、2018年、23-30頁。

・石黒圭『段落論―日本語の「わかりやすさ」の決め手―』、光文社新書、2020年、179-186頁。

【コマ主題細目②】
・石黒圭『論文・レポートの基本』、日本実業出版社、195-201頁。

【コマ主題細目③】
・大村彰道監修『文章理解の心理学』、北大路書房、5-6頁。
コマ主題細目 ① レポートの構成 ② アカデミックマナー ③ 先行オーガナイザー(予告文・タイトル) ④ ⑤
細目レベル ① 学生のレポートサンプルについて、発表の構成という観点から検討する。発表の構成を考える上では、基礎ゼミナールIの講義で見てきた通り、パラグラフ・ライティングの考えに基づくことが必要である。

序論では、何を前にして、どういう問題に取り組むのか、取り組む理由、着眼点、何をやるのかの順に、トピック・センテンスを各1から2文程度で示す。

方法では、研究対象、各実験・調査の狙い、各実験・調査の内容の簡単な説明、データ処理の方法を、漏れなく簡潔に説明する。

結果では、結論を導くために必要な結果だけを、研究方法の説明と同じ順番で提示する。ここでは、各結果の見出しをつけるように、各結果から導かれたことの要約を示すだけでよい。またこの際に、すでに図表を作ることができていれば、構成の2ページ目にまとめて載せておくと確認しやすい。考察では、それぞれの結果を要約し、まとめて解釈したものが該当する。また、考察において先行研究の検討も望まれる。ここで注意すべきは、引用を正しく用いることとなる。

結論では、取り組んだ問題への答えのみを、1から2文で記載することとする。取り組んだ問題が1つだった場合は、結論も1つになることに注意する。また、ここではできるだけ簡潔な結論を示さなければいけない。なお、「結論」は「まとめ」とは異なる。まとめは全体を示し、その中に結論が存在する。最後にオプションとして、結論を受けての発表者の考えを示すことができればなお良い。これは、「取り組んだ問題」への答えを示した上で、「どうするか」と示すことができれば、それがその研究の意義となるためである。

まずは構成の基本体裁と記載すべき内容をおさえる。

② 学生の構成サンプルについて、今回はコマ主題細目①の観点に加えて、アカデミックマナーという点からも検討する。具体的には、とりわけ基礎ゼミナールIで重点的に指導してきた「引用」のマナーを中心に見る。

初学者のレポートにおいては、「 」を用いた直接引用については適切に行うことができているものの、「 」を用いない間接引用について、その引用の始点・終点が不明確であったり、明らかに間接引用をしているにもかかわらず、その出典が明記されていなかったりすることが、しばしばある。間接引用でこのような事態が生じてしまっているレポートでは、レポートの書き手の主張と、他の文献の主張とが明確に区別されないことになり、このことによってそのレポートの学術的な価値は大きく損なわれる。

そのため、直接引用はもちろんのこと、間接引用の際にも、例えば、「○○の主張は以下である」といった書き出しで引用の始点を明確に示した上で、引用の終点についても、引用の助詞「と」に対して、「述べている」、「言っている」、「指摘している」、「批判している」を付したり、あるいは、その受身形である「述べられている」、「言われている」、「指摘されている」、「批判されている」を付したりすることによって明示することが厳しく求められる。

引用のマナーについて、とくに引用の範囲の明確化という点を中心に、学生のサンプルレポートの検討を通して、あらためて以上の点まで押さえる。

③ 今回学生の構成サンプルを検討する視点として、最後にもう一点、「先行オーガナイザー(advance organizer)」の働きを踏まえて執筆することができているか、という点も取り上げたい。これまでに基礎ゼミナールIを通して、書き手はできるだけ早く読み手に文章の中心的な「話題」を示し、後続の文章の内容を理解しやすいよう、次に述べる内容を予告しておくことが肝要だ、という点を繰り返し強調してきた。

例えば、レポートの序盤、各節の最初の段落、段落の冒頭の一文などにおける予告ということが挙げられる。レポート序盤での議論の展開順序の予告の重要性については、コマ主題細目①で見た通りである。それと同様に、各節の第一段落においても、その節の議論の展開順序や中心的な主題をあらかじめ告知するようにするとよい。そして、段落冒頭のトピック・センテンスでもってその段落の主張を端的に示すことの重要性についても、これまでに繰り返し指摘してきた。これを切り取って並べたものが、構成となる。

本コマでは、このような観点から、レポートサンプルにおける予告文がそのまま構成として使用できるように検討すると共に、レポートのタイトルは内容を表すのに適当なものであるか、各節のタイトルはその中心的な話題を反映したものになっているのか、といった点についても確認していく。抽出したレポートのタイトルが不適当なものであった場合には、タイトルにはどのようなものがふさわしいのか検討することも行う。



キーワード ① レポートの構成 ② 無知の知 ③ 引用 ④ 先行オーガナイザー ⑤ タイトル
コマの展開方法 社会人講師 AL ICT PowerPoint・Keynote 教科書
コマ用オリジナル配布資料 コマ用プリント配布資料 その他 該当なし
小テスト 「小テスト」については、毎回の授業終了時、manaba上において5問以上の、当該コマの小テスト(難易度表示付き)を実施します。
復習・予習課題 【本コマの復習】
今回のポイントは、他者の資料をみて、良い点から学ぶことにある。フィードバックされた各自の資料と、授業で取り上げられた学生のサンプルを見比べた際に、「あっ、そう書くのね!」または「これだけでいいの?」という気づきがあったはずだ。初めての資料作成であれば、まだ自身の中に発表の定型ができていないため、どのような資料を作成したらいいのか悩んでいるはずだ。その時は、いろいろな人の資料を参考とし、徐々にかたち作ればよい。よって、今回は、各自が提出した資料の、良いところと改善が必要な箇所をマークし、授業中に参考にしようと紹介されたサンプルを見ながら、流れや表現を修正することが重要である。基礎ゼミナールIIのようにゼミと呼ばれる講義では、通常の科目講義と異なり、学生各自がそれぞれの興味にあった研究テーマを設定することができる。そして、その研究テーマに対して講義で学んだ技術を導入して、学生一人ひとりの作品として研究成果物が組み上げられていく。基礎ゼミナールIIでは、作成されたプレゼンテーション資料が研究成果物となる。ただ、上述の通り、プレゼンテーション資料は受動的に配布されるものではなく、学生各自が設定された提出日にむけて資料作成をすすめるといった能動的な取り組みが肝要である。つまり、教員より与えられた課題をこなすのではなく、各自の計画のもと、文献検索や調査研究を行うこととなる。その際に、講義担当教員より、学生の興味や進捗状況に合わせて、個別に指導していく。よって、基礎ゼミナールIIにおける復習課題は、前提条件として各自が自主的にプレゼンテーション資料の作成を進めることとする。第5回の復習は、各自が作成した構成について、学生サンプルをもとに示された修正箇所を参考に適宜修正を行うこととする。

【次コマの予習】
次コマでプレゼンテーションにおける発表技術について学ぶことに備えて、まずは『これから学会発表する若者のために―ポスターと口頭のプレゼン技術』91-93頁に目を通すこととする。特に、92頁と93頁には見出しの必要性が図と共に示されており、どちらが理解しやすいかという点に気がつくことと思う。これを踏まえて、すでに作成してある構成を読み直し、見出しに使える言葉を抽出しておくことを予習とする。 

6 プレゼン資料作成の視座5―プレゼン技術のポイント― 科目の中での位置付け 本科目は、第Ⅰ部「作成編」と第Ⅱ部「実践編」とから成る。第I部では、教員がこれまでの研究活動で作成した学会発表資料をアカデミックな現場の実例として用いつつ、コマ主題細目に挙げている、プレゼン資料作成のための具体的な視座を順次レクチャーしていく。最終的に第Ⅰ部では、発表スライドとレジュメを担当教員の指定した量で作成することが求められる。

また、第Ⅱ部では、第Ⅰ部の内容を踏まえ、発表のための要点が、各コマのコマ主題細目にしたがって、各担当教員からレクチャーされる。なお、第Ⅱ部の終盤では、仮提出された各受講生の発表スライドとレジュメをサンプルとして、他者に伝えるための資料作りのポイントを再確認していく。

本コマは、第Ⅰ部「作成編」のプレゼン資料作成の視座5として、前コマまでに構成は完成したものとして、実際にプレゼン資料を作成していく準備に入る。プレゼン資料には、発表スライドとレジュメの2種類を作成することになる。発表スライドは第8回において説明し、レジュメは第10回において説明する。今回は、プレゼン技術におけるポイントを説明していく。

【コマ主題細目①】
・酒井聡樹『これから学会発表する若者のために―ポスターと口頭のプレゼン技術 第2版』、共立出版、2018年、91-95頁。

【コマ主題細目②】
・酒井聡樹『これから学会発表する若者のために―ポスターと口頭のプレゼン技術 第2版』、共立出版、2018年、95-98頁。

【コマ主題細目③】
・酒井聡樹『これから学会発表する若者のために―ポスターと口頭のプレゼン技術 第2版』、共立出版、2018年、98-101頁。
コマ主題細目 ① 見出しの作成 ② 伝えやすい情報の示し方 ③ 情報保持の負担の減らし方 ④ ⑤
細目レベル ① これまでにもみてきた通り、発表は様々な情報で構成されている。よって、それぞれが何についての情報なのかを明示する必要がある。つまり、「見出し」をつくる必要がある。ここで、見出しには大きく2種類がある。
・目次的な見出し
・個別情報を表す見出し

1つ目の、目次的な見出しとは、例えば「背景」、「目的」、「方法」、「結果」、「考察」、「結論」などのことである。これは、構成の段階ですでに作成済みである。構成を作成する際に、このように見出しを作成していた理由としては、作成者本人が理解しやすくなるためであった。これは同時に、聴衆にとっても理解の助けになるものである。

2つ目の、個別情報を表す見出しとは、第4回の①の3-2で説明した、スライド作成のテクニックである。例えば、スライドの上部に、「方法」とのみ記されて、その内容として手順が示されたとしても、直感的には状況を把握できない。その場合に、例えば「農薬種類ごとの全国普及状況の推定」とあったとすれば、(結局、内容が難しかったとしても)少なくとも、このスライドで何が示されているかは理解できる。レジュメにおいては、個別情報を表す見出しを文章として先頭に置くことで、その後に何が展開されるかを理解しやすくなることもある。

まずは、見出しを作成することへの必要性からおさえる。

② 発表スライドにおける鉄則として、文章の記載は絶対に避けなければならない。具体的には、発表スライドに文章を書き連ねて、それを聴衆に読ませる行為は禁止ということである(「字祭りにあげられたぜ」と揶揄される)。なぜならば、発表とは発表者が口頭で相手に説明する場であり、文章を読ませる場ではないためである。つまり、両者は目的が異なるため、体裁も当然異なる。例えば、基礎ゼミナールIでは学術的なレポートの書き方を学習したが、レポートや論文といった資料は、手元に渡った際に読者が自由に線を引き、メモを書き込める。また、読む時間は読者次第で無限にある。一方、発表では、聴衆が視覚的に得た情報を、限られた時間内に把握することになる。ここで、普段受講している講義科目を思い出してほしい。授業のスライドに、文章を書き連ねている教員はいないと気がつくはずである。ぜひ、その視点でも講義科目を参考にしてほしい。

見やすさの基本は、文章での説明を避け、絵的な説明にすることがポイントとなる。つまり、情報を視覚的に理解できるようにすることが必要である。ここで、「絵的」というものは、写真や図に限ったものではなく、短文の配置などで表現ができる。ポイントを4つ示す。
・情報を最小単位に分割する
・最小単位を役割ごとに分ける
・各情報間の論理的関係を明示する
・言葉をできるだけ短くする

例えば、「谷地先生はカレーライスが大好きである。週に5日はカレーライスを食べている。谷地先生を引きつけるカレーライスのおいしさの秘密は何なのか。ていうか飽きないのか。ただ、カレーライスといっても、ひき肉たっぷりのキーマカレーや、独特な辛さが病みつきになるグリーンカレーなどいろいろある。谷地先生は日替わりでカレーライスの種類を変えているため飽きずに食べているという仮説を検証する」という問題に取り組もうとしたとする。この場合、句点で分割して考えると、第2文までは、序論における「何を前にして」の役割に分類できる。第3文から第4文は、「どういう問題に取り組むのか」の役割に分類できる。次に、情報間の論理的関係について、ここでは「カレーライス」に着目してみる。カレーライスの説明として、「キーマカレー」「グリーンカレー」が挙げられている。カレーライスという情報に、これらの情報は説明文として付随できる。すなわち、スライドにおいては直下に示すことで、視認的に関係性を明示することができる。最後に、言葉を短くする際には、口頭で補える箇所を削除することや、不要な箇所を省略すれば良い。例えば、第3文にある「谷地先生を引きつけるカレーライスのおいしさの秘密は何なのか」について、発表資料ではすでに「谷地先生」の話で統一されているため、「谷地先生を引きつける」は口頭で補えば良い。次に、「おいしさの秘密は何なのか」とあるが、「何なのか」がなくても口頭で補えるため不要である。つまり、「カレーライスのおいしさ?」程度でも十分に意味は通じる。これらの作業により、聴衆に与える情報量は軽減され、重要なキーワードが記憶に残ることになる。なお、谷地先生はグリーンカレーのみを5日間連続で食べたことがあるが、理由はおいしいからである。

ここでは、「発表スライド」に限定して、情報を他者へ伝えやすくするためのテクニックの基礎をおさえる。
大学における学びの期間においては、専門的な基本教育が重要である。つまり、まずは理論が存在し、それをもって成功体験となる実習が存在するべきである。よって、専門的な基本を得るためのシナリオの存在が必要となる。これは、学問領域のみに限らず、就職というキャリア形成においても必要である。学生の間はトライ・アンド・エラーのチャレンジング精神が求められるが、その本質は理論ベースのシナリオによってトライして初めて意味のある成果が得られる。就職として置き換えると、自身の目標となる職業を教員と相談の上である程度まで定め、基本教養を身につけながらバックキャスティングアプローチをし(例えばサークル活動や学外活動、インターンシップに参加)、成功体験を積み重ねたうえで希望した職に就くことといえる。

ここでは、大学で学ぶべき基本教育と就職との関係を明確にしたうえで、どのようにキャリア形成(シナリオ作り)をするかをおさえる。

③ わかりやすい発表やレジュメにするためには、聴衆にとっての、情報の保持の負担を減らすことが重要である。ポイントを3つ示す。
・短い言葉はそのまま使う
・長い言葉は、中身を要約した言葉に置き換える
・同じ言葉を使い続ける

1つ目については、略語の使用に注意をする。例えば、「河川水中の物質の濃度を予測する推定手法があるが、この手法で予測された濃度」は、「環境中予測濃度」と呼ばれる。通称は「Predicted Environmental Concentration」の略で「PEC(ペック)」である。ここで、PECという言葉を聴取はすぐに理解できなければ、覚えることもないと考えるべきである。すなわち、発表スライドやレジュメの中で「PEC」が出てくるたびに、「PEC」の意味を資料中から探す負担が発生する。この場合、「環境中予測濃度」をそのまま使えば良い。

2つ目について、例えば、「河川水中の物質の濃度を予測する推定手法で予測された濃度」は長すぎる。これを「環境中予測濃度」とすることで、意味も通じ、かつ短いために記憶に残す負担が少ない言葉となる。

3つ目について、ある既知の情報を指すときは、一貫して同じ言葉を使い続けなければいけない。ここまでの【細目レベル③】の記述内で、「環境中予測濃度」という言葉が何度か使用された。ここで急に、「河川水中予測濃度」と書かれた場合、これは「環境中予測濃度」とは異なるものかということに疑問が生じるだろう。発表においては、このように微妙に言葉を変えてしまうと聴衆は混乱し、理解が滞ってしまう。よって、意識的に同じ言葉を使用しなければいけない。

ここでは、発表スライドに限定せず、情報を他者へ伝えやすくするためのテクニックの基礎をおさえる。



キーワード ① 目次的な見出し ② 個別情報を表す見出し ③ 視覚的な理解 ④ 短文 ⑤ 情報間の論理的関係
コマの展開方法 社会人講師 AL ICT PowerPoint・Keynote 教科書
コマ用オリジナル配布資料 コマ用プリント配布資料 その他 該当なし
小テスト 「小テスト」については、毎回の授業終了時、manaba上において5問以上の、当該コマの小テスト(難易度表示付き)を実施します。
復習・予習課題 【本コマの復習】
今回のポイントは、「見出しの作成」によって、発表資料の見やすさ向上を図ることができることをおさえる点にある。その中で、個別情報を表す見出しを作成することが重要である。これは、「方法」のなかに、「〇〇推定の演算」といったように、より具体的に示すものである。ここで、学生各自のレポートを見直してほしい。例えば方法であっても、各自、「方法」だけでは伝わらないと感じることだろう。伝えるためには、どのような見出しが必要かを考え、資料に書き加えることで、資料の見やすさは向上することを実感できるはずだ。基礎ゼミナールIIのようにゼミと呼ばれる講義では、通常の科目講義と異なり、学生各自がそれぞれの興味にあった研究テーマを設定することができる。そして、その研究テーマに対して講義で学んだ技術を導入して、学生一人ひとりの作品として研究成果物が組み上げられていく。基礎ゼミナールIIでは、作成されたプレゼンテーション資料が研究成果物となる。ただ、上述の通り、プレゼンテーション資料は受動的に配布されるものではなく、学生各自が設定された提出日にむけて資料作成をすすめるといった能動的な取り組みが肝要である。つまり、教員より与えられた課題をこなすのではなく、各自の計画のもと、文献検索や調査研究を行うこととなる。その際に、講義担当教員より、学生の興味や進捗状況に合わせて、個別に指導していく。よって、基礎ゼミナールIIにおける復習課題は、前提条件として各自が自主的にプレゼンテーション資料の作成を進めることとする。第6回の復習は、各自が基礎ゼミナールIで作成したレポートと、基礎ゼミナールIIで作成した構成を照らし合わせ、目次的な見出しと、個別情報を表す見出しを作成することを復習とする。なお、見出しが決まった学生は、パワーポイントでの発表スライドの案を作成し始めてもよい。

【次コマの予習】
次コマでプレゼンテーションにおけるスライド作成の技法について学ぶことに備えて、まずは『これから学会発表する若者のために―ポスターと口頭のプレゼン技術』157頁と166頁に目を通し、不明な点がないかどうかを確認しておく。特に、166頁にはスライドの基本的なデザインがいくつか紹介されており、どのスライドが最もみやすいかという点に気がつくことと思う。これを踏まえて、各自で自分の基本とするデザインを考えておくことを予習とする。 

7 プレゼン資料作成の視座6―スライドの作り方― 科目の中での位置付け 本科目は、第Ⅰ部「作成編」と第Ⅱ部「実践編」とから成る。第I部では、教員がこれまでの研究活動で作成した学会発表資料をアカデミックな現場の実例として用いつつ、コマ主題細目に挙げている、プレゼン資料作成のための具体的な視座を順次レクチャーしていく。最終的に第Ⅰ部では、発表スライドとレジュメを担当教員の指定した量で作成することが求められる。

また、第Ⅱ部では、第Ⅰ部の内容を踏まえ、発表のための要点が、各コマのコマ主題細目にしたがって、各担当教員からレクチャーされる。なお、第Ⅱ部の終盤では、仮提出された各受講生の発表スライドとレジュメをサンプルとして、他者に伝えるための資料作りのポイントを再確認していく。

本コマは、第Ⅰ部「作成編」のプレゼン資料作成の視座6として、前コマにおいてプレゼン資料のポイントはおさえたものとして、実際にプレゼン資料を作成していく準備に入る。プレゼン資料には、発表スライドとレジュメの2種類を作成することになる。発表スライドは第8回において説明し、レジュメは第9回において説明する。今回は、発表スライド作成におけるポイントを説明していく。

【コマ主題細目①】
・酒井聡樹『これから学会発表する若者のために―ポスターと口頭のプレゼン技術 第2版』、共立出版、2018年、157-165頁。

【コマ主題細目②】
・酒井聡樹『これから学会発表する若者のために―ポスターと口頭のプレゼン技術 第2版』、共立出版、2018年、165-167頁。

【コマ主題細目③】
・酒井聡樹『これから学会発表する若者のために―ポスターと口頭のプレゼン技術 第2版』、共立出版、2018年、167-169頁。
コマ主題細目 ① スライド1枚における情報量 ② 見やすさのための配置 ③ スライド作りにおける一貫性 ④ ⑤
細目レベル ① まず、スライドの適正な枚数について、これはルールが特に設けられているわけではない。経験則にはなるが、例えば農薬学会という環境科学科の学びに関連する学会で教員が発表した際に、10分間の発表時間の中で12枚のスライドを使用した。ここから考えると、およそ、1枚/分を目安にしておくと良いだろう。ここで、1分間という時間で伝えられる情報量を考えると、おそらくあまり多くのことは伝えられないと感じるだろう。スライド作成の心構えとして、1枚のスライドで伝えられる情報は、1つだけとしておくべきである。これは、情報量が多すぎるスライドを出されると、聴衆は理解できない・理解を諦めてしまうためである。例えば、前期に展開された講義科目の「環境リスク概論」の配布資料を確認してみると、たとえ余白があったとしても1つの事柄しか1枚のスライドには載せていないことが分かる。この講義の教員が印刷した資料では、4枚のスライドがA4用紙1枚に印刷されている。これを仮にA4用紙1枚が、1枚のスライドと思って見てほしい。情報量が多いことに起因して、何が重要なのかが分かりにくくなってしまうと思う。ここでは、まず1枚のスライドに載せられる情報は1つということを理解する。

次に、「1つのこと」が何を指すかを理解する必要がある。「1つのこと」とは、1つのまとまりとして理解してほしい情報のことを指す。序論では、構成の各項目において、少し話題が離れることがある。その場合には、別のスライドに移ることが必要である。これは、第7回の①で説明した、個別情報を表す見出しを作成することに関連するスライド作成のテクニックである。「個別情報を表す見出し」と異なる情報は、そのスライドにはのせてはいけない。

ここでは、発表スライドという特色を理解した上で、情報を他者へ伝えやすくするためのテクニックの基礎をおさえる。

② 見やすさのための配置については、個々の好みがある。そのため、ここでは担当教員のお勧めという程度に留めて、参考にしていただく程度とする。この後に続く③での「一貫性」重視していただきたい。

例えば、白紙が目の前にあったとして、どこを見るだろうか。中央を見ないだろうか。中央を見ることに同意できた学生は、中央配置を基本としてスライドを作れば良い。次に、左揃えについて注意する。スライドを作成する際に、左端ギリギリに揃えて、右端が空白になることがある。これはバランスが悪いことがイメージできるだろうか。左端も、右端も、同じ程度の空白があった方がバランスは良い。好みの話のようにも捉えられるが、実際に「バランスが悪い」と思いながら確認してほしい。もし確認した際に、「たしかにバランスが悪いね」と感じた場合、それは他者もそのように感じていることになる。他者とは聴衆であり、発表者は聴衆に聴いてもらうための最大限の努力をしなければならない。このコマでは、学生に実際にどのスライドの配置が見やすいかを、アンケート形式で確認し、最適と思われる配置を確認する。

③ スライド作成の基本として、スライドデザインに一貫性をもたせることが挙げられる。例えば、「見出し」に使用するフォント、大きさ、色などを、全て統一するのである。また、強調文字についても同様に、使用するフォント、大きさ、色などを、全て統一する。こうした作りを全てのスライドで統一することで、聴衆はこのスライドに慣れ、ストレスが減る分だけ読み取りの効率が増す。逆に、スライドごとにデザインが異なると、聴衆はスライドごとに視線を動かして状況把握から始めることになるため、発表に集中できない。つまり、読み取りの効率が悪くなり、発表全体を理解し辛くなる。

特にルールはないが、よく推奨されるフォントのサイズを紹介する。まず、見出しには40ポイント、通常時は28ポイント、強調文字は30ポイント程度である。次に、見出しの箇所は、背景の色を変える・見出しの文章の下にラインを引く・見出し文字の色を変えるなども有効である。また、使用するフォントの種類も決めておくと良い。個人の趣味となるが、例えば谷地先生の場合は、見出しは「メイリオ」のボルドー体を白字とし、通常時は「游ゴシック体 light」の黒字とし、強調文字は「メイリオ」のボルドー体を明度の低いオレンジとしている。強調文字に明るい赤を用いると、目が痛いという理由で、明度を下げた色使いとしている。また、ページ番号の背景にもこだわりを持っており、その発表のテーマに合わせてアレンジしている。個人の趣味については、聴衆の目線になって考えたオリジナルとはなるが、重要なことは、その形式を全てのスライドで統一していることである。

ここでは、発表スライドという特色を理解した上で、情報を他者へ伝えやすくするためのテクニックの基礎をおさえる。



キーワード ① 情報量 ② 中央配置 ③ 左揃え ④ スライドデザイン ⑤ 一貫性
コマの展開方法 社会人講師 AL ICT PowerPoint・Keynote 教科書
コマ用オリジナル配布資料 コマ用プリント配布資料 その他 該当なし
小テスト 「小テスト」については、毎回の授業終了時、manaba上において5問以上の、当該コマの小テスト(難易度表示付き)を実施します。
復習・予習課題 【本コマの復習】
今回のポイントは、見やすいスライドのデザインを理解することである。これは、スライド1枚につき内容は1つであること、文章で示さないこと、フォントを統一することなどある。まず、最悪なスライドは、字だらけのスライドである。文字や数字は、たくさん書けばいいというものではなく、「意味があること」が大切だ。伝える情報を端的にまとめ、一見して伝わるスライドを作らなければいけない。次に、パワーポイントに、デフォルトで設定されているタイトル欄や内容欄は消して、図形やテキストボックスから作り直すことを勧める。大きすぎるタイトル欄は、スペースの無駄である。スライド作成には、デザインに注意してもらいたい。基礎ゼミナールIIのようにゼミと呼ばれる講義では、通常の科目講義と異なり、学生各自がそれぞれの興味にあった研究テーマを設定することができる。そして、その研究テーマに対して講義で学んだ技術を導入して、学生一人ひとりの作品として研究成果物が組み上げられていく。基礎ゼミナールIIでは、作成されたプレゼンテーション資料が研究成果物となる。ただ、上述の通り、プレゼンテーション資料は受動的に配布されるものではなく、学生各自が設定された提出日にむけて資料作成をすすめるといった能動的な取り組みが肝要である。つまり、教員より与えられた課題をこなすのではなく、各自の計画のもと、文献検索や調査研究を行うこととなる。その際に、講義担当教員より、学生の興味や進捗状況に合わせて、個別に指導していく。よって、基礎ゼミナールIIにおける復習課題は、前提条件として各自が自主的にプレゼンテーション資料の作成を進めることとする。第8回の復習は、各自がパワーポイントでの発表スライドの案を作成することとする。なお、パワーポイントの操作には、ある程度の慣れが必要であり、それ自体を修得することは本講義の目的ではない。よって、パワーポイントに不慣れな学生は、まずはA4用紙を4等分に切り、その1枚をスライド1枚と仮定して案を書き込み、案がまとまった時点で作成に取り掛かることを勧める。

【次コマの予習】
次コマで「引用」について学ぶことに備えて、前の予習課題を通して集めた文献の中で、とくに重要と思われる主張や、批判の対象になりうると思われる主張については、当該箇所にマーキングするなどした上で、さらに、その箇所を抜き書きして、ノートやWordファイルに引用集の形でまとめておく。次回の講義ではその抜き書きをレクチャーの中で用いる。

8 プレゼン資料作成の視座7―引用の必要性― 科目の中での位置付け 本科目は、第Ⅰ部「作成編」と第Ⅱ部「実践編」とから成る。第I部では、教員がこれまでの研究活動で作成した学会発表資料をアカデミックな現場の実例として用いつつ、コマ主題細目に挙げている、プレゼン資料作成のための具体的な視座を順次レクチャーしていく。最終的に第Ⅰ部では、発表スライドとレジュメを担当教員の指定した量で作成することが求められる。

また、第Ⅱ部では、第Ⅰ部の内容を踏まえ、発表のための要点が、各コマのコマ主題細目にしたがって、各担当教員からレクチャーされる。なお、第Ⅱ部の終盤では、仮提出された各受講生の発表スライドとレジュメをサンプルとして、他者に伝えるための資料作りのポイントを再確認していく。

さて、本コマは、第I部「作成編」における重要箇所の確認として位置づけられるものである。ここでは、基礎ゼミナールIで引用の書き方と意義を学んだことを踏まえて、再度定着させることを目的とする。引用には直接引用と間接引用の二種類があり、どちらの引用をするにせよ、出典を明示し、引用の範囲を明確化することが求められる。本コマでは、学術的な文章に特有かつ重要なマナーである文献の引用方法について、こうした点から習熟していく。

【コマ主題細目①】
・コマ用オリジナル資料 1-3頁。

【コマ主題細目②】
・コマ用オリジナル資料 3-8頁。

【コマ主題細目③】
・酒井聡樹『これからレポート・卒論を書く若者のために(第2版)』、共立出版、2017年、137-147頁。
コマ主題細目 ① 文献を得ることの重要性 ② 文献の探し方 ③ 引用文献を記載する大切さ ④ ⑤
細目レベル ① 自身が関心を持った分野の研究は、現在どの程度のことが分かっていて、どのような事項が課題として認識されているのか等は、当該分野の複数の文献を読むことで大枠を把握することができる。基礎ゼミナールIIでは、環境科学部での学びの範疇にある「取り組むべき問題」を選定した上で、解決するための着眼点をもったレポートを作成することが求められている。つまり、未解決でかつその解決を多くの人が望んでいる問題に取り組み、取り組みの結果、その問題の解決に何らかの新しい貢献をすることが望ましい。何が未解決の問題として存在し、その解決がどれほど必要とされているのかについて知ることが重要であるが、このために、既存文献(研究論文)をよく読み、理解をすることが求められる。論文中には、序論において、対象とする課題に取り組む意義が述べられており、これを示すにあたり、現在、対象とする研究分野においてどこまでが知られている事であるのか、研究として進められていることであるのかについて記載されている。また、考察においては、対象とした研究目的に対して完全な解決、解答を導くために、今後の課題としてどのような取り組みを行っていくべきか、結論を踏まえて次に取り組むべき課題は何か、についての記載があることが多い。これらを踏まえ、既存文献(研究論文)の特に序論や考察の記載事項を読み解くことは、自身が基礎ゼミナールIIでのテーマや、4年次に取り組む卒業研究のテーマを決める際に大いに役立つ上に、関連分野の背景知識を得ることもできる。
② 自身が関心を持つ分野の情報を得るには、インターネットでGoogle等の検索エンジンを利用して公開されている資料等を探すか、図書館に所蔵している書籍を探して利用するなどの方法がある。文献の検索には、前述の通りインターネットでGoogle等の検索エンジンを利用して公開されている文献を探す、もしくはデータベースにアクセスをして検索するといった方法がある。Google等で何か調べ事をする際、一般には単一の検索語を入力して検索することが多いと思われる。しかしながらこの方法での検索では、ヒット数が膨大なものとなり、自身にとっての必要文献はどれであるかの選定が難しい。
 この際に、「AND」「OR」「NOT」といった論理演算子を使うと便利である。「AND」演算は検索結果を絞る時に使い、“α AND β”とすると“α”と“β”の両方が含まれた情報を検索することができる。「OR」演算は検索結果を広げるときに使い、“α OR β”とすると“α”と“β”のどちらかが含まれた情報を検索することができる。「NOT」演算は検索語を除く時に使い、“α” NOT “β”とすると“α”は含むが“β”を含まない情報を検索することができる。
 学内所蔵の文献やデータベースにおける文献の探し方についての概要は、図書館にてガイダンスを受けることとする。ガイダンスを受けた直後から利用を開始しない限りは丁寧にメモを取っておかないと、利用方法を忘れてしまうため、ガイダンス内容は正確に記録を取るようにすること。

③ 学術論文はもちろん、卒業論文やレポートにおいてさえも、何らかの情報を、その文献(情報元)があったおかげで知り得たものであるならば、必ず引用文献として表記せねばならない。様々な労力と費用と時間を費やしてようやくたどり着いた発見や解明事項について、あたかも自分が得た成果のように示すことは、盗用と言える。先人の努力に敬意を表すために、引用情報として表記する必要がある。また、情報を提示した論文(卒業論文やレポートにおいても)で、その読者が文章の根拠を確認したい際にも、引用元を明確に示しておくことは有効である。一見、一般的に知られている事項ではない情報を扱う際にも、引用文献を明示しておくことで、他にも事例のある事項なのだということが読者にも分かり、必要に応じて読者は情報元にも当たって確認をすることができる。
なお、情報の引用においては、“その引用は、公正な慣行に合致するものであり、かつ、報道、批評、研究その他の引用の目的上正当な範囲内で行なわれるものでなければならない”と著作権法で定められており、文章の抜粋等は行わない方が望ましい。



キーワード ① 文献 ② 課題 ③ 情報 ④ 検索 ⑤ 引用
コマの展開方法 社会人講師 AL ICT PowerPoint・Keynote 教科書
コマ用オリジナル配布資料 コマ用プリント配布資料 その他 該当なし
小テスト 「小テスト」については、毎回の授業終了時、manaba上において5問以上の、当該コマの小テスト(難易度表示付き)を実施します。
復習・予習課題 【本コマの復習】
本コマで学んだ文献の検索方法は、実践してみなければ真の意味で学んだとは言えない。そのため、復習課題として、自身の基礎ゼミナールIIにおけるテーマに関連する論文を3報検索することとする。なお、検索しただけでは、せっかく得た情報を使えずにもったいない。そこで、検索した論文を読み込み、自身のレポートに反映させることにも挑戦していただきたい。注意点として、細目レベル③でも紹介した、抜粋である。抜粋をせずに、かつ著者が述べている内容から逸脱しないように、レポート中に記述することとする。

【次コマの予習】
次コマでプレゼンテーションにおけるレジュメ作成の技法について学ぶことに備えて、まずは『これから学会発表する若者のために―ポスターと口頭のプレゼン技術』70-72頁に目を通し、不明な点がないかどうかを確認しておく。特に、71頁と72頁にはレジュメの良い例と悪い例が示されており、この両者の違いを事前に確認しておくと、次回の講義での理解が早くなる。

9 プレゼン資料作成の視座8―レジュメの作り方― 科目の中での位置付け 本科目は、第Ⅰ部「作成編」と第Ⅱ部「実践編」とから成る。第I部では、教員がこれまでの研究活動で作成した学会発表資料をアカデミックな現場の実例として用いつつ、コマ主題細目に挙げている、プレゼン資料作成のための具体的な視座を順次レクチャーしていく。最終的に第Ⅰ部では、発表スライドとレジュメを担当教員の指定した量で作成することが求められる。

また、第Ⅱ部では、第Ⅰ部の内容を踏まえ、発表のための要点が、各コマのコマ主題細目にしたがって、各担当教員からレクチャーされる。なお、第Ⅱ部の終盤では、仮提出された各受講生の発表スライドとレジュメをサンプルとして、他者に伝えるための資料作りのポイントを再確認していく。

本コマは、第Ⅰ部「作成編」のプレゼン資料作成の視座8として、前コマにおいてプレゼン資料のポイントはおさえたものとして、実際にプレゼン資料を作成していく準備に入る。プレゼン資料には、発表スライドとレジュメの2種類を作成することになる。発表スライドは第8回において説明し、レジュメは第9回において説明する。今回は、レジュメ作成におけるポイントを説明していく。

【コマ主題細目①】
・酒井聡樹『これから学会発表する若者のために―ポスターと口頭のプレゼン技術 第2版』、共立出版、2018年、23-69頁と70頁。

【コマ主題細目②】
・酒井聡樹『これから学会発表する若者のために―ポスターと口頭のプレゼン技術 第2版』、共立出版、2018年、70-72頁。

【コマ主題細目③】
・酒井聡樹『これから学会発表する若者のために―ポスターと口頭のプレゼン技術 第2版』、共立出版、2018年、73-74頁。
コマ主題細目 ① レジュメの骨子 ② レジュメに書くべきこと ③ レジュメと論文要旨との違い ④ ⑤
細目レベル ① レジュメとは、発表前に、聴衆に対して発表内容を宣伝するためや、発表中に理解を深めてもらうための補足資料として用いる資料である。よって、レジュメの骨子は、基本的に第4回から第6回までに説明した、「序論(背景と目的)」「方法」「結果」「考察」「結論」をそれぞれ、回での説明と同じである。注意として、発表スライドと内容が一致していなければいけない。レジュメを確認した後に発表を聴いたが、内容が異なっていた場合、その発表に期待して参加した聴衆にとっては時間の無駄となってしまう。

序論では、研究の目的・意義を述べることになる。ここで、自身の研究の意義を聴衆に説得することで、聴衆は興味を持って発表を聴いてくれる。序論では、5つの骨子によって構成される。「何を前にして」「どういう問題に取り組むのか」「取り組む理由」「着眼点」「何をやるのか」となる。

方法において、発表やレジュメにおいては、聴衆に伝える内容や時間、資料の枚数が限られている。しかし、単純に端折るだけでは不完全な方法となり、聴衆はその方法が正しいのかどうかについて疑念を抱くことになる。よって、方法の説明では、大きく以下の3点について構成を整えてから臨むべきである。
・研究方法を説明する目的は何か
・その方法に信頼性をもたせるためにはどうするべきか
・実際に説明すべきことは何か

これをおさえたうえで、「研究対象」「各実験・調査の狙い」「各実験・調査の内容の簡単な説明」「データ処理の方法」を記載することとなる。

結果においては、結論に関係する結果を示すようにする。特に、以下の点をまずおさえる。
・わかりやすい形に結果をまとめる
・各結果から導かれたことの要約
これを受けて、結果では連連と事実を記載していくこととなる。

考察では、得られた結果のそれぞれを要約し「まとめて解釈したところ、こう言える」というものとなる。特に、以下の点をおさえる必要がある。
・得られた結果の統合的解釈
・先行研究の検討

結論とは、取り組んだ問題への答えとなる。序論で取り組む問題を提示したため、その答えをもって発表を修了しなければいけない。つまり、取り組んだ問題が1つだった場合は、結論も1つになることに注意する。また、ここではできるだけ簡潔な結論を示さなければいけない。なお、「結論」は「まとめ」とは異なる。まとめは全体を示し、その中に結論が存在する。よくあるミスとしては、「結果」をまとめることが「結論」になってしまうことである。これは、「結論」でもなければ「まとめ」でもない。この点に構成作成段階で注意する。最後にオプションとして、結論を受けての発表者の考えを示すことができればなお良い。これは、「取り組んだ問題」への答えを示した上で、「どうするか」と示すことができれば、それがその研究の意義となるためである。

ここでは、まずレジュメとはどのようなものかということへの理解を深める。

② レジュメの骨子をおさえた上で、書くべき内容を整理する。ここで注意することは、レジュメは基礎ゼミナールIにおいては、A4用紙1枚のみというように、枚数あるいは字数を制限していることにある。つまり、レジュメでは、発表の中身を短い文章で正確に伝えることが条件となる。

様々なスタイルが存在するが、基礎ゼミナールIIでは、最も基本的な体裁をおさえる。まず、最初の数行において「序論」を述べる。次の③での説明となるが、レジュメでは序論において、①の骨子を守って記述することが重要となる。次に、「方法」と「結果」ではボリュームを持たせて説明をする。なお、複数の方法と結果が存在した場合においても、基礎ゼミナールIIでは「方法」は方法でまとめて書き、「結果」は結果でまとめて書くこととする。「考察」は、シンプルに考えられることを述べる程度にする。最後に、「結論」を一文で記す。なお、問題に取り組んだ理由への答えを書けるようであれば、書くことを推奨する。

③ レジュメでは、序論を①の骨子に従い、過不足なく記す必要がある。一方、論文要旨では、目的が示されていれば、ある程度は序論を端折っても構わない。これは、両者の目的が異なるためである。

レジュメは、そもそも発表前の宣伝用に用いられるという特徴がある。つまり、「序論」においてこの発表に至った社会的な背景や、おもしろさを押し出し、聴衆を集めなければいけない。一方、論文要旨は、研究にとって必要な知識が得られることを読者に伝えれば良い。つまり、そこに至る背景は特に要旨には必要ではなく、この論文を読むことで得られる知見といった「目的」が明確であれば良い。

また、レジュメは補足資料であることにも注意したい。発表の本体は発表スライドである。その発表本体は、口頭で発表するという形態のため、文章として残ることはない。つまり、後から内容を振り返りたいという聴衆がいても、録画されていてそれが公開されていない限り、発表本体の内容を確認することは不可能である。唯一残された手段としてレジュメが存在することになる。よって、レジュメには序論も含めて、その発表の骨子を確実におさえなければいけない。



キーワード ① レジュメの骨子 ② 資料の枚数 ③ 各結果の要約 ④ 結果の総合的解釈 ⑤ 研究の意義
コマの展開方法 社会人講師 AL ICT PowerPoint・Keynote 教科書
コマ用オリジナル配布資料 コマ用プリント配布資料 その他 該当なし
小テスト 「小テスト」については、毎回の授業終了時、manaba上において5問以上の、当該コマの小テスト(難易度表示付き)を実施します。
復習・予習課題 【本コマの復習】
今回のポイントは、構成をよく確認し、レジュメとスライドの内容を一致させることである。レジュメは、ワードで作成するため、文章で書くことになる。文章を書いていると、なぜかたくさん書きたくなってしまい、その結果、スライドで示していないことまで書いてしまうことがある。しかし、レジュメには枚数制限がある。そこで内容を取捨選択していると、スライドで述べている内容を切ってしまうケースがある。このようにならないように、「構成」をよく確認し、スライドの内容と一致していることを常に意識する必要がある。基礎ゼミナールIIのようにゼミと呼ばれる講義では、通常の科目講義と異なり、学生各自がそれぞれの興味にあった研究テーマを設定することができる。そして、その研究テーマに対して講義で学んだ技術を導入して、学生一人ひとりの作品として研究成果物が組み上げられていく。基礎ゼミナールIIでは、作成されたプレゼンテーション資料が研究成果物となる。ただ、上述の通り、プレゼンテーション資料は受動的に配布されるものではなく、学生各自が設定された提出日にむけて資料作成をすすめるといった能動的な取り組みが肝要である。つまり、教員より与えられた課題をこなすのではなく、各自の計画のもと、文献検索や調査研究を行うこととなる。その際に、講義担当教員より、学生の興味や進捗状況に合わせて、個別に指導していく。よって、基礎ゼミナールIIにおける復習課題は、前提条件として各自が自主的にプレゼンテーション資料の作成を進めることとする。第10回の復習は、各自がレジュメを作成することを復習とする。

【次コマの予習】
次コマはフィードバックの回である。具体的には、学生が作成したプレゼン資料(発表スライドとレジュメ)について、担当教員より修正案を示しながらブラッシュアップをしていく。よって、担当教員が示す提出期日までに、メールにて提出することを予習課題とする。

10 プレゼン資料作成の視座9―学生へのフィードバック_プレゼン資料― 科目の中での位置付け 本科目は、第Ⅰ部「作成編」と第Ⅱ部「実践編」とから成る。第I部では、教員がこれまでの研究活動で作成した学会発表資料をアカデミックな現場の実例として用いつつ、コマ主題細目に挙げている、プレゼン資料作成のための具体的な視座を順次レクチャーしていく。最終的に第Ⅰ部では、発表スライドとレジュメを担当教員の指定した量で作成することが求められる。

また、第Ⅱ部では、第Ⅰ部の内容を踏まえ、発表のための要点が、各コマのコマ主題細目にしたがって、各担当教員からレクチャーされる。なお、第Ⅱ部の終盤では、仮提出された各受講生の発表スライドとレジュメをサンプルとして、他者に伝えるための資料作りのポイントを再確認していく。

本コマは、第I部のまとめとして、学生の習得状況の確認として位置づけられている。具体的には、受講生から提出されたレポート(プレゼン資料)をサンプルとして、これまでに学んできた、発表スライドとレジュメ作成の進捗状況を確認するための1コマ目である。なお、検討にあたっては、履修判定指標も適宜参照する。

【コマ主題細目①】
・河野哲也『レポート・論文の書き方入門(第4版)』、慶應義塾大学出版会、2018年、23-30頁。

・石黒圭『段落論―日本語の「わかりやすさ」の決め手―』、光文社新書、2020年、179-186頁。

【コマ主題細目②】
・石黒圭『論文・レポートの基本』、日本実業出版社、195-201頁。

【コマ主題細目③】
・大村彰道監修『文章理解の心理学』、北大路書房、5-6頁。
コマ主題細目 ① プレゼン資料の構成 ② アカデミックマナー ③ 先行オーガナイザー(予告文・タイトル) ④ ⑤
細目レベル ① 学生のプレゼン資料サンプルについて、発表の構成という観点から検討する。発表の構成を考える上では、基礎ゼミナールIの講義で見てきた通り、パラグラフ・ライティングの考えに基づくことが必要である。
序論では、何を前にして、どういう問題に取り組むのか、取り組む理由、着眼点、何をやるのかの順に、トピック・センテンスを各1から2文程度で示す。
方法では、研究対象、各実験・調査の狙い、各実験・調査の内容の簡単な説明、データ処理の方法を、漏れなく簡潔に説明する。
結果では、結論を導くために必要な結果だけを、研究方法の説明と同じ順番で提示する。ここでは、各結果の見出しをつけるように、各結果から導かれたことの要約を示すだけでよい。またこの際に、すでに図表を作ることができていれば、構成の2ページ目にまとめて載せておくと確認しやすい。考察では、それぞれの結果を要約し、まとめて解釈したものが該当する。また、考察において先行研究の検討も望まれる。ここで注意すべきは、引用を正しく用いることとなる。
結論では、取り組んだ問題への答えのみを、1から2文で記載することとする。取り組んだ問題が1つだった場合は、結論も1つになることに注意する。また、ここではできるだけ簡潔な結論を示さなければいけない。なお、「結論」は「まとめ」とは異なる。まとめは全体を示し、その中に結論が存在する。最後にオプションとして、結論を受けての発表者の考えを示すことができればなお良い。これは、「取り組んだ問題」への答えを示した上で、「どうするか」と示すことができれば、それがその研究の意義となるためである。

② 学生の構成サンプルについて、今回はコマ主題細目①の観点に加えて、アカデミックマナーという点からも検討する。具体的には、とりわけ基礎ゼミナールIで重点的に指導してきた「引用」のマナーを中心に見る。

初学者のレポートにおいては、「 」を用いた直接引用については適切に行うことができているものの、「 」を用いない間接引用について、その引用の始点・終点が不明確であったり、明らかに間接引用をしているにもかかわらず、その出典が明記されていなかったりすることが、しばしばある。間接引用でこのような事態が生じてしまっているレポートでは、レポートの書き手の主張と、他の文献の主張とが明確に区別されないことになり、このことによってそのレポートの学術的な価値は大きく損なわれる。

そのため、直接引用はもちろんのこと、間接引用の際にも、例えば、「○○の主張は以下である」といった書き出しで引用の始点を明確に示した上で、引用の終点についても、引用の助詞「と」に対して、「述べている」、「言っている」、「指摘している」、「批判している」を付したり、あるいは、その受身形である「述べられている」、「言われている」、「指摘されている」、「批判されている」を付したりすることによって明示することが厳しく求められる。

引用のマナーについて、とくに引用の範囲の明確化という点を中心に、学生のサンプルレポートの検討を通して、あらためて以上の点まで押さえる。

③ 今回学生の構成サンプルを検討する視点として、最後にもう一点、「先行オーガナイザー(advance organizer)」の働きを踏まえて執筆することができているか、という点も取り上げたい。これまでに基礎ゼミナールIを通して、書き手はできるだけ早く読み手に文章の中心的な「話題」を示し、後続の文章の内容を理解しやすいよう、次に述べる内容を予告しておくことが肝要だ、という点を繰り返し強調してきた。

例えば、レポートの序盤、各節の最初の段落、段落の冒頭の一文などにおける予告ということが挙げられる。レポート序盤での議論の展開順序の予告の重要性については、コマ主題細目①で見た通りである。それと同様に、各節の第一段落においても、その節の議論の展開順序や中心的な主題をあらかじめ告知するようにするとよい。そして、段落冒頭のトピック・センテンスでもってその段落の主張を端的に示すことの重要性についても、これまでに繰り返し指摘してきた。これを切り取って並べたものが、構成となる。

本コマでは、このような観点から、レポートサンプルにおける予告文がそのまま構成として使用できるように検討すると共に、レポートのタイトルは内容を表すのに適当なものであるか、各節のタイトルはその中心的な話題を反映したものになっているのか、といった点についても確認していく。抽出したレポートのタイトルが不適当なものであった場合には、タイトルにはどのようなものがふさわしいのか検討することも行う。



キーワード ① 構成 ② トピック・センテンス ③ 利用 ④ 発表 ⑤ タイトル
コマの展開方法 社会人講師 AL ICT PowerPoint・Keynote 教科書
コマ用オリジナル配布資料 コマ用プリント配布資料 その他 該当なし
小テスト 「小テスト」については、毎回の授業終了時、manaba上において5問以上の、当該コマの小テスト(難易度表示付き)を実施します。
復習・予習課題 【本コマの復習】
今回のポイントは、他者の資料をみて、良い点から学ぶことにある。フィードバックされた各自の資料と、授業で取り上げられた学生のサンプルを見比べた際に、例えば内容以外にもスライドの配色やストーリー展開で参考になる点があったはずだ。初めての資料作成であれば、まだ自身の中に発表の定型ができていないため、どのような資料を作成したらいいのか悩んでいるはずだ。その時は、いろいろな人の資料を参考とし、徐々にかたち作ればよい。よって、今回は、各自が提出した資料の、良いところと改善が必要な箇所をマークし、授業中に参考にしようと紹介されたサンプルを見ながら、流れや表現を修正することが重要である。基礎ゼミナールIIのようにゼミと呼ばれる講義では、通常の科目講義と異なり、学生各自がそれぞれの興味にあった研究テーマを設定することができる。そして、その研究テーマに対して講義で学んだ技術を導入して、学生一人ひとりの作品として研究成果物が組み上げられていく。基礎ゼミナールIIでは、作成されたプレゼンテーション資料が研究成果物となる。ただ、上述の通り、プレゼンテーション資料は受動的に配布されるものではなく、学生各自が設定された提出日にむけて資料作成をすすめるといった能動的な取り組みが肝要である。つまり、教員より与えられた課題をこなすのではなく、各自の計画のもと、文献検索や調査研究を行うこととなる。その際に、講義担当教員より、学生の興味や進捗状況に合わせて、個別に指導していく。よって、基礎ゼミナールIIにおける復習課題は、前提条件として各自が自主的にプレゼンテーション資料の作成を進めることとする。第11回の復習は、各自がプレゼン資料(発表スライドとレジュメ)をブラッシュアップすることを復習とする。

【次コマの予習】
次コマでプレゼンテーションにおける発表と聴き方の技法について学ぶことに備えて、まずは『これから学会発表する若者のために―ポスターと口頭のプレゼン技術』77-78頁に目を通し、不明な点がないかどうかを確認しておく。特に、78頁には発表における発表者・聴衆・情報の関係が図で示されており、この関係を事前に確認しておくと、次回の講義での理解が早くなる。

11 実践1―発表におけるマナー― 科目の中での位置付け 本科目は、第Ⅰ部「作成編」と第Ⅱ部「実践編」とから成る。第I部では、教員がこれまでの研究活動で作成した学会発表資料をアカデミックな現場の実例として用いつつ、コマ主題細目に挙げている、プレゼン資料作成のための具体的な視座を順次レクチャーしていく。最終的に第Ⅰ部では、発表スライドとレジュメを担当教員の指定した量で作成することが求められる。

また、第Ⅱ部では、第Ⅰ部の内容を踏まえ、発表のための要点が、各コマのコマ主題細目にしたがって、各担当教員からレクチャーされる。なお、第Ⅱ部の終盤では、仮提出された各受講生の発表スライドとレジュメをサンプルとして、他者に伝えるための資料作りのポイントを再確認していく。

本コマは、第Ⅱ部「実践」編の第一回目にあたる。第II部は3回で構成されており、今回は、まず発表会に臨むための心構えを説明する。ここでは、発表者と聴衆の両者に対しての姿勢をそれぞれのコマ主題細目において説明する。これにより、次回以降の発表の実践において、各自がどのように発表会に参加するべきかというマナーを身に着けた上で参加することができるようになる。

【コマ主題細目①】
・酒井聡樹『これから学会発表する若者のために―ポスターと口頭のプレゼン技術 第2版』、共立出版、2018年、77-78頁。

【コマ主題細目②】
・酒井聡樹『これから学会発表する若者のために―ポスターと口頭のプレゼン技術 第2版』、共立出版、2018年、19-20頁。

【コマ主題細目③】
・酒井聡樹『これから学会発表する若者のために―ポスターと口頭のプレゼン技術 第2版』、共立出版、2018年、16-18頁。
コマ主題細目 ① 発表者としての心構え ② 発表後のブラッシュアップ ③ 聴衆としての心構え ④ ⑤
細目レベル ① 学生は、卒業研究発表や就職活動において口頭発表を行う。これは、卒業研究であればその成果を発表したいという理由であり、就職活動であれば自身の売り込みを発表したいという理由があるためである。つまり、発表者は他者に対して「伝えたい」という意思のもと、発表に臨むことになる。よって、まず「聴衆にわかってもらう」という意識を持つことが発表では肝要である。この際に、聴衆は努力をしたがらないという点に注意が必要である。これは、聴衆は、聴衆者自身のためにこの発表に臨んでいるのであり、発表者のために発表に臨んでいるわけではないことが理由としてあげられる。
つまり
・聴衆自身が発表内容に興味をもっているために、聴衆自身が理解する努力をする
・聴衆が努力しなくても理解できる
この2点が発表においては聴衆側に依存することとなる。

このうち、後者においては情報の精査と発表スキルという発表者側の工夫によって改善することが可能である。ただし、情報が精査されていたとしても、発表スキルが伴わなければ聴衆には伝わらない。同様に、発表スキルだけが高くても、情報が精査されていなければ聴衆は得るものがない。よって、まずは「情報の精査」と「訓練された発表スキル」の両者が発表には求められていることを理解する。

発表において、発表者が守らなくてはならない決まりごととして、時間の厳守がある。これは、「発表時間にその場にいること」や、「発表のために与えられた時間を守ること」である。発表時間にその場にいないことは、当然だが発表の権利を放棄したことになる。この場合、発表者は発表の機会を逸することはもちろんだが、聴衆の時間を無駄にしたという点において、社会的な信頼も失うことになる。発表のために与えられた時間を守るということは、つまり制限時間を守ることである。ただし、ここで注意が必要であり、時間内であったとしても短すぎることは良くなく、時間を超過したとしても、数秒程度であれば問題はない。目安としては、10分間の発表時間に対して、プラスマイナス10秒程度の誤差が理想である。この誤差は、発表練習によって調整が可能である。ちなみに、初めての発表では緊張のあまり早口になることはよくある。これは、発表前に練習を重ねても解決し難く、経験を積むことが肝要である。ただし、事前に練習を重ねておけば、スライド何枚目で何分になるかという目安はたてられる。それをもとに、ペースを調整することができる。よって、緊張したために発表時間からズレたという言い訳は、一切通用しない。

ここでは、これから発表に臨む発表者がおさえておくべき準備をおさえる。

② 発表が終わった後は、その日の内に各自でブラッシュアップのための作業をしなければならない。具体的には、以下の3点が挙げられる。
・自分の発表へのコメントをまとめる
・プレゼンの反省点をまとめる
・新しい着想を整理する

1つ目について、発表では質疑応答の時間がおよそ5分程度は設けられる。そこで聴衆からいただいた質問やコメントは、すべてノートに記し、発表後には改めて整理する必要がある。これは、発表の目的として、コメントをもらってよりよい研究に仕上げることにあるため、コメントをもらったまま放置してしまっては、せっかく発表を行った意味がないためである。整理した質問やコメントは、担当教員に報告し、今後の研究にどう取り入れるかを相談する。この際に、取り入れるべきか、受け入れる必要がないかも同時に協議することになる。

2つ目は、主に他者のプレゼンとの比較によって得られる。例えば、指示棒やレーザーポインターの使い方や、話している最中の視線、声の大きさなどが参考になる。自身よりも優れていると感じた点については、今後の自身の成長のために取り入れるように練習をすることになる。逆に他者のプレゼンで良くないと感じた点については、自身がそうなっていないかを振り返るようにする。

3つ目については、質疑応答によって生まれるパターンと、他者の発表から得られるパターンがある。よって、自身の発表のみならず、他者の発表にも積極的に参加することが重要である。

このように、発表はその行為のみではなく、そこで得られたことを今後に活かすことも重要であることをおさえる。

③ 聴衆は、発表に対して質問をすることを心がけて参加しなければならない。質問するという前提で聴衆として参加すれば、必然的に発表内容を漏らすことなく聴く姿勢が整う。質問の際には、あらかじめ質問内容をまとめてから手短に質問しなければならない。これは、質疑応答の時間が限られているため、まとまりなく質問をしてしまうと、他の聴衆の質問時間を奪ってしまうことになるためである。また、1つを質問したら他者へ譲るという心構えも大切である。質問の際には、全員が共有できるように質問しなければならない。具体的には、大きな声で質問をすることや、その場にいる全員が理解できる用語を用いるなどがあげられる。これが守られない場合、他の聴衆は無駄な時間を過ごすことになる。

多くの場合、聴衆側に回る時間の方が長い。ここでは、最低限のマナーをおさえる。



キーワード ① 情報の精査 ② 訓練された発表スキル ③ 時間厳守 ④ 発表後の作業 ⑤ 手短な質問
コマの展開方法 社会人講師 AL ICT PowerPoint・Keynote 教科書
コマ用オリジナル配布資料 コマ用プリント配布資料 その他 該当なし
小テスト 「小テスト」については、毎回の授業終了時、manaba上において5問以上の、当該コマの小テスト(難易度表示付き)を実施します。
復習・予習課題 【本コマの復習】
今回のポイントは、「発表時間の厳守」である。発表会では、タイムスケジュールが組まれる。つまり、発表が早く終わっても、時間超過をしても、聴衆にはどちらも迷惑だ。発表時間を守るためには、練習が必要であることをよく理解し、発表に臨んでいただきたい。基礎ゼミナールIIのようにゼミと呼ばれる講義では、通常の科目講義と異なり、学生各自がそれぞれの興味にあった研究テーマを設定することができる。そして、その研究テーマに対して講義で学んだ技術を導入して、学生一人ひとりの作品として研究成果物が組み上げられていく。基礎ゼミナールIIでは、作成されたプレゼンテーション資料が研究成果物となる。ただ、上述の通り、プレゼンテーション資料は受動的に配布されるものではなく、学生各自が設定された提出日にむけて資料作成をすすめるといった能動的な取り組みが肝要である。つまり、教員より与えられた課題をこなすのではなく、各自の計画のもと、文献検索や調査研究を行うこととなる。その際に、講義担当教員より、学生の興味や進捗状況に合わせて、個別に指導していく。よって、基礎ゼミナールIIにおける復習課題は、前提条件として各自が自主的にプレゼンテーション資料の作成を進めることとする。第12回の復習は、発表の場に臨む際の注意点を今一度確認することとする。なお、他の講義科目で実践できることがあれば、実践することをお勧めする。

【次コマの予習】
次コマでプレゼンテーションにおける発表者の技法について学ぶことに備えて、まずは『これから学会発表する若者のために―ポスターと口頭のプレゼン技術』173頁と179頁に目を通し、不明な点がないかどうかを確認しておく。特に、179頁には質疑応答への基礎が示されている。すでに発表スライドは完成しているものと思われるため、質問されやすいと思われる箇所を、各自のプレゼン資料を読み返して、その内容を抽出しておくことを予習とする。

12 実践2―口頭発表と質疑応答のスキル_発表者― 科目の中での位置付け 本科目は、第Ⅰ部「作成編」と第Ⅱ部「実践編」とから成る。第I部では、教員がこれまでの研究活動で作成した学会発表資料をアカデミックな現場の実例として用いつつ、コマ主題細目に挙げている、プレゼン資料作成のための具体的な視座を順次レクチャーしていく。最終的に第Ⅰ部では、発表スライドとレジュメを担当教員の指定した量で作成することが求められる。

また、第Ⅱ部では、第Ⅰ部の内容を踏まえ、発表のための要点が、各コマのコマ主題細目にしたがって、各担当教員からレクチャーされる。なお、第Ⅱ部の終盤では、仮提出された各受講生の発表スライドとレジュメをサンプルとして、他者に伝えるための資料作りのポイントを再確認していく。

本コマは、第Ⅱ部「実践」編の第二回目にあたる。第II部は3回で構成されており、今回は、口頭発表と質疑応答のスキルの修得を目指す。ここでは、発表者と聴衆の両者に対しての姿勢をそれぞれのコマ主題細目において説明する。これにより、次回以降の発表の実践において、各自がどのように発表会に参加するべきかというマナーを身に着けた上で参加することができるようになる。

【コマ主題細目①】
・酒井聡樹『これから学会発表する若者のために―ポスターと口頭のプレゼン技術 第2版』、共立出版、2018年、173-178頁。

【コマ主題細目②】
・酒井聡樹『これから学会発表する若者のために―ポスターと口頭のプレゼン技術 第2版』、共立出版、2018年、175-177頁。

【コマ主題細目③】
・酒井聡樹『これから学会発表する若者のために―ポスターと口頭のプレゼン技術 第2版』、共立出版、2018年、179-184頁。
コマ主題細目 ① 所作 ② 説明 ③ 質疑応答 ④ ⑤
細目レベル ① 発表では、聴衆を見て話すことが、プレゼンテーションの基本となる。口頭での発表と論文の発表での大きな違いは、聴衆がいる・いないということである。論文を発表した際に存在するのは、読者である。この違いを踏まえた上で、発表における所作として以下をおさえる。
・聴衆を見て話す
・原稿を読み上げない
・会場全体に聞こえる声で発表する
・指示棒やレーザーポインターをふらつかせない

1つ目については、誰に伝えたいのかを意識することが重要である。仮に、スライドを見続けて発表した場合、発表者はスクリーンに対して説明したと同意である。すなわち、聴衆を無視したといえる。発表では、聴衆に理解してもらうことが重要である。そのため、聴衆の反応を確認するためにも、聴衆を見て話すことが必要である。

2つ目について、発表に備えて読み原稿を作成して練習をしたとしても、発表本番では原稿を読み上げてはいけない。原稿を読み上げるのであれば、その原稿を配布した方が、聴衆にとっては聴いて理解するという処理が不要となるため、負担が少ない。ただしその場合には、口頭発表でもなければレポート提出にも該当しない。つまり、無意味である。

3つ目について、声が小さい場合はマイクを使えば解決できる。そして重要なことは、会場全員と共有するという意識を常にもつことである。これは、質疑応答時において質問者への対応で起こりがちなのだが、質問者のみとの会話となってしまってはいけない。発表時間中は、全員と会話をするように声を張る必要がある。

4つ目について、指示棒は聴衆の視点を誘導することができるために有用な道具ではあるが、それがゆえに、関係のない箇所を指してしまったり、ふらついていたりしても、聴衆はその箇所を目で追い続けることになる。つまり、理解の妨げになる。使用する際には、注目してもらいたい箇所のみを指すように注意が必要である。なお、谷地先生はマイクとレーザーポインターを発表途中から持ち替えたところ、マイクをスクリーンに向けてオンオフスイッチを入れたり切ったりしたことがある。発表中は持ち替えないことをお勧めする。

② 説明においては、以下の3つについて注意が必要である。
・図表の読み取り方を説明する
・スライドにないことを話さない
・適度な間を取りながら話す

1つ目について、発表スライドでは、図表を取り入れることで視覚的に聴衆に伝えやすくなるというテクニックを、第4回の【コマ主題細目】② 「研究の結果と考察」において説明した。図表が出てくるスライドでは、その読み取り方の説明(図であれば軸の説明など)を最初に行う。ここで読み取り方の説明が不十分だった場合、聴衆は図表を理解できないことがある。

2つ目について、発表する際には、発表者は伝えたい情報を厳選して発表に臨んでいる。しかし、発表者の頭の中には、この発表では示さないこととしたその他のいろいろな情報が蓄えられている。ただし、この情報は発表者の中にしか存在しておらず、聴衆が与えられた情報には含まれていない。よって、情報の所有量に違いが生じている。当然だが、所有していない情報に基づいた話や、その情報が不意に披露された場合は、聴衆が理解することはほぼ不可能である。

3つ目について、発表では聴衆に発表内容を理解してもらわなければならない。しかし、聴衆は初めて聴く発表に対して、聴くという作業と、理解するという処理を同時にこなしていくことになる。つまり、理解するためには相当な負担がかかっており、それ相応の対応時間が必要なのである。よって①での説明の通り、聴衆の反応を確認し、必要な間を取りながら説明することが重要である。

ここでは、発表時の説明で注意すべき点をおさえる。

③ 質疑応答は、発表と異なりアドリブである。つまり、事前に完璧な準備をすることはできない。しかしながら、ある程度までの準備は可能である。ここでは、以下の3つのポイントをおさえる。
・想定質問を考えておく
・質問の意図を捉える
・的確に答える

1つ目は、事前に準備をしておくことで対応が可能である。発表者は、発表資料を作成する上で、「ここは質問されるかも」と思うことがあるはずだ。また、他者と発表練習をしている際に、「質問するのであればここかな」と教えてもらえることもある。発表の本論から逸れないのであれば、事前に該当箇所を修正しておけば良いのだが、発表資料には対応しきれないこともある。その場合は、想定質問として回答を準備しておけば良い。事前に準備してあれば、質問を受けた際にも余裕をもって答えることができる。

2つ目については、ここを捉えきれなかった場合は会話のキャッチボールが成立しないこととなる。まずは、落ち着いて質問を最後まで聞くことが大切である。つまり、質問者からの質問を、途中で遮って応答をはじめてはいけない。次に、意図を正しく捉えられたかが不安な場合は、質問内容を質問者へ確認すれば良い。

3つ目については、「はい」か「いいえ」で答えられるものには、まずは「はい」か「いいえ」と回答し、明確な意思を示すことが重要である。ここで、言い訳を述べ始めてしまうと、時間を浪費すると同時に、質問内容自体もわからなくなってしまう。



キーワード ① 聴衆と読者 ② 聴衆の反応 ③ 読み原稿 ④ 指示棒 ⑤ 想定質問
コマの展開方法 社会人講師 AL ICT PowerPoint・Keynote 教科書
コマ用オリジナル配布資料 コマ用プリント配布資料 その他 該当なし
小テスト 「小テスト」については、毎回の授業終了時、manaba上において5問以上の、当該コマの小テスト(難易度表示付き)を実施します。
復習・予習課題 【本コマの復習】
今回のポイントは、「図表」を使った発表の有効性を理解することである。図表は、作り出すと意外とうまく作れないことに気がついただろう。しかし、発表において図表があると、聴衆は視覚で情報を入手することができる。そこに、口頭での説明が加われば、理解しやすい上に印象にも残る。今後の就職活動にも関わるが、発表や面接の機会を得たら、印象に残ることを常に意識して取り組むことが肝要である。そのことも、この発表を通して理解していただきたい。基礎ゼミナールIIのようにゼミと呼ばれる講義では、通常の科目講義と異なり、学生各自がそれぞれの興味にあった研究テーマを設定することができる。そして、その研究テーマに対して講義で学んだ技術を導入して、学生一人ひとりの作品として研究成果物が組み上げられていく。基礎ゼミナールIIでは、作成されたプレゼンテーション資料が研究成果物となる。ただ、上述の通り、プレゼンテーション資料は受動的に配布されるものではなく、学生各自が設定された提出日にむけて資料作成をすすめるといった能動的な取り組みが肝要である。つまり、教員より与えられた課題をこなすのではなく、各自の計画のもと、文献検索や調査研究を行うこととなる。その際に、講義担当教員より、学生の興味や進捗状況に合わせて、個別に指導していく。よって、基礎ゼミナールIIにおける復習課題は、前提条件として各自が自主的にプレゼンテーション資料の作成を進めることとする。第13回の復習は、発表の場に臨む際の注意点を今一度確認し、図表を使って説明できるように準備することとする。なお、他の講義科目で実践できることがあれば、実践することをお勧めする。

【次コマの予習】
次コマでは、プレゼンテーションの実践と、教員によるフィードバックが行われる。具体的には、学生が作成したプレゼン資料(発表スライドとレジュメ)を用いて、発表を行い、その後に教員から修正点を解説しブラッシュアップをしていく。よって、発表担当学生は担当教員が示す提出期日までに、メールにてプレゼン資料を提出することを予習課題とする。

13 実践3―口頭発表と質疑応答のスキル_聴衆― 科目の中での位置付け 本科目は、第Ⅰ部「作成編」と第Ⅱ部「実践編」とから成る。第I部では、教員がこれまでの研究活動で作成した学会発表資料をアカデミックな現場の実例として用いつつ、コマ主題細目に挙げている、プレゼン資料作成のための具体的な視座を順次レクチャーしていく。最終的に第Ⅰ部では、発表スライドとレジュメを担当教員の指定した量で作成することが求められる。

また、第Ⅱ部では、第Ⅰ部の内容を踏まえ、発表のための要点が、各コマのコマ主題細目にしたがって、各担当教員からレクチャーされる。なお、第Ⅱ部の終盤では、仮提出された各受講生の発表スライドとレジュメをサンプルとして、他者に伝えるための資料作りのポイントを再確認していく。

本コマは、第Ⅱ部「実践」編の第三回目にあたる。第Ⅱ部の終盤・本講義全体の終盤に位置づけられており、具体的には、受講生に発表してもらうことで、これまでに第Ⅱ部で学んできた、学際的な発表のための要点を確認する総仕上げの1コマ目である。なお、教員からのフィードバックにあたっては、履修判定指標も適宜参照する。

【コマ主題細目①】
・酒井聡樹『これから学会発表する若者のために―ポスターと口頭のプレゼン技術 第2版』、共立出版、2018年、173-184頁。

【コマ主題細目②】
・酒井聡樹『これから学会発表する若者のために―ポスターと口頭のプレゼン技術 第2版』、共立出版、2018年、16-18頁。

【コマ主題細目③】
・石黒圭『論文・レポートの基本』、日本実業出版社、126-137。
コマ主題細目 ① 発表 ② 聴く姿勢 ③ ブラッシュアップ ④ ⑤
細目レベル ① 規定時間内に、発表者は発表を行う。発表時間は10分とする。この際に、目安は9分40秒から10分の間に発表を完了するようにする。すなわち、スライドは10枚程度を目安に作成すると、聴衆にとっては聞きやすい発表になる。スライドは分かりやすく作成すること。発表は、誰もが緊張する。講義担当教員の経験からは、緊張すると早口になり、発表中の経過時間が分からなくなり、最悪の場合は発表内容すら忘れてしまう。そのため、事前に読み原稿を作成し、よく練習してから臨むこととする。また、発表中は、読み原稿を見ずに発表することが望ましい。読み原稿を読んで発表すると、聴衆の反応を得る機会を失うこととなる。また、発表スライドを読むだけにならないようにも注意する。発表スライドを読むだけの場合、聴衆にとっては紙媒体で配布されていることと同様となり、発表の意味がなくなる。よって、スライドには字が多くなりすぎないよう、箇条書きにするなど工夫をすること。
② 聴衆は、ただ発表を聞くのではなく、発表会に参加すること。つまり、発表に対して質問することを考え、ノートに要点を書きまとめながら聞くこと。この際に、批判と批評は異なることに注意する。批判的な姿勢で臨むと、良い点よりも悪い点のみを探してしまう傾向に陥りやすい。よって、中立な立場で冷静に批評することを推奨する。発表中は、他者と会話をせずに、静かに聞くこと。他者と会話をすると、会話をしている当人同士はその間の発表内容を聞き逃すことになる。また、周囲の聴衆も発表内容を聞き逃す原因となる。発表中は、極力席を立たないようにすること。トイレなどの生理現象を我慢する必要はないが、発表中に席を立つことは、発表者や聴衆にとって会の進行の妨げとなる。発表時間は10分程度であることから、発表が終わった後に静かに席を立つこと。
③ 今回学生の発表サンプルを検討する視点として、「先行オーガナイザー(advance organizer)」の働きを踏まえて資料を作成することができているか、という点も取り上げたい。これまでに本講義では基礎ゼミナールIから基礎ゼミナールIIを通して、書き手はできるだけ早く読み手に文章の中心的な「話題」を示し、後続の文章の内容を理解しやすいよう、次に述べる内容を予告しておくことが肝要だ、という点を繰り返し強調してきた。

例えば、レポートの序盤、各節の最初の段落、段落の冒頭の一文などにおける予告ということが挙げられる。レポート序盤での議論の展開順序の予告の重要性については、コマ主題細目①で見た通りである。それと同様に、各節の第一段落においても、その節の議論の展開順序や中心的な主題をあらかじめ告知するようにするとよい。そして、段落冒頭のトピック・センテンスでもってその段落の主張を端的に示すことの重要性についても、これまでに繰り返し指摘してきた。

さらに、このような、冒頭部分での指示の徹底という点にとどまらず、例えば、「その理由は、こうである」といった、コ系列の指示詞が後続文脈を指示する働きを活用した文を用いるなどして、これから何について述べるのかを読み手にあらかじめ伝え、理解の枠組みを先行的に構成しておくための工夫が適宜求められる。接続詞の使用も、後続文脈を予告する働きがあるという意味で、こうした工夫の一つと捉えられるだろう。なお、文を用いた予告ということと併せて、レポートのタイトルや、各節のタイトルについても、先行オーガナイザーを働かせるために非常に重要な役割を果たす、ということであった。

本コマでは、このような観点から、発表サンプルにおける予告文を検討すると共に、レポートのタイトルは内容を表すのに適当なものであるか、各節のタイトルはその中心的な話題を反映したものになっているのか、といった点についても確認していく。抽出したレポートのタイトルが不適当なものであった場合には、タイトルにはどのようなものがふさわしいのか検討することも行う。

先行オーガナイザーの働きを踏まえて、あらためて確認する。



キーワード ① 発表時間 ② 緊張 ③ 箇条書き ④ ノートテイク ⑤ 途中退室
コマの展開方法 社会人講師 AL ICT PowerPoint・Keynote 教科書
コマ用オリジナル配布資料 コマ用プリント配布資料 その他 該当なし
小テスト 「小テスト」については、毎回の授業終了時、manaba上において5問以上の、当該コマの小テスト(難易度表示付き)を実施します。
復習・予習課題 【本コマの復習】
今回のポイントは、聴衆も気を抜かずに参加することを理解することにある。第12回の復習で、就職活動にも直結すると述べたが、今回も同様である。集団面接では、他者のPRを聞いた後に自身がPRすることになる。その際に、他者の話を聞いておらず、PRネタが被ってしまえば、面接官への印象はよくないだろう。基礎ゼミナールIIでの発表は面接ではないが、「参加する」ことと「その場にいる」ことは、異なることを理解していただきたい。そのためにも、常に、発表中はメモをとりながら聞く姿勢をもつことを身につけていただきたい。基礎ゼミナールIIのようにゼミと呼ばれる講義では、通常の科目講義と異なり、学生各自がそれぞれの興味にあった研究テーマを設定することができる。そして、その研究テーマに対して講義で学んだ技術を導入して、学生一人ひとりの作品として研究成果物が組み上げられていく。基礎ゼミナールIIでは、作成されたプレゼンテーション資料が研究成果物となる。ただ、上述の通り、プレゼンテーション資料は受動的に配布されるものではなく、学生各自が設定された提出日にむけて資料作成をすすめるといった能動的な取り組みが肝要である。つまり、教員より与えられた課題をこなすのではなく、各自の計画のもと、文献検索や調査研究を行うこととなる。その際に、講義担当教員より、学生の興味や進捗状況に合わせて、個別に指導していく。よって、基礎ゼミナールIIにおける復習課題は、前提条件として各自が自主的にプレゼンテーション資料の作成を進めることとする。第14回の復習は、各自がプレゼン資料(発表スライドとレジュメ)をブラッシュアップすることと、参加者の姿勢を他の講義でも意識することを復習課題とする。

【次コマの予習】
次コマでは、プレゼンテーションの実践と、教員によるフィードバックが行われる。具体的には、学生が作成したプレゼン資料(発表スライドとレジュメ)を用いて、発表を行い、その後に教員から修正点を解説しブラッシュアップをしていく。よって、発表担当学生は担当教員が示す提出期日までに、メールにてプレゼン資料を提出することを予習課題とする。

14 実践4―学生による発表とフィードバック― 科目の中での位置付け 本科目は、第Ⅰ部「作成編」と第Ⅱ部「実践編」とから成る。第I部では、教員がこれまでの研究活動で作成した学会発表資料をアカデミックな現場の実例として用いつつ、コマ主題細目に挙げている、プレゼン資料作成のための具体的な視座を順次レクチャーしていく。最終的に第Ⅰ部では、発表スライドとレジュメを担当教員の指定した量で作成することが求められる。

また、第Ⅱ部では、第Ⅰ部の内容を踏まえ、発表のための要点が、各コマのコマ主題細目にしたがって、各担当教員からレクチャーされる。なお、第Ⅱ部の終盤では、仮提出された各受講生の発表スライドとレジュメをサンプルとして、他者に伝えるための資料作りのポイントを再確認していく。

本コマは、第Ⅱ部「実践」編の第三回目にあたる。第Ⅱ部の終盤・本講義全体の終盤に位置づけられており、具体的には、受講生に発表してもらうことで、これまでに第Ⅱ部で学んできた、学際的な発表のための要点を確認する総仕上げの1コマ目である。なお、教員からのフィードバックにあたっては、履修判定指標も適宜参照する。

【コマ主題細目①】
・酒井聡樹『これから学会発表する若者のために―ポスターと口頭のプレゼン技術 第2版』、共立出版、2018年、173-184頁。

【コマ主題細目②】
・酒井聡樹『これから学会発表する若者のために―ポスターと口頭のプレゼン技術 第2版』、共立出版、2018年、16-18頁。

【コマ主題細目③】
・石黒圭『論文・レポートの基本』、日本実業出版社、126-137。
コマ主題細目 ① 発表 ② 聴く姿勢 ③ ブラッシュアップ ④ ⑤
細目レベル ① 規定時間内に、発表者は発表を行う。発表時間は10分とする。この際に、目安は9分40秒から10分の間に発表を完了するようにする。すなわち、スライドは10枚程度を目安に作成すると、聴衆にとっては聞きやすい発表になる。スライドは分かりやすく作成すること。発表は、誰もが緊張する。講義担当教員の経験からは、緊張すると早口になり、発表中の経過時間が分からなくなり、最悪の場合は発表内容すら忘れてしまう。そのため、事前に読み原稿を作成し、よく練習してから臨むこととする。また、発表中は、読み原稿を見ずに発表することが望ましい。読み原稿を読んで発表すると、聴衆の反応を得る機会を失うこととなる。また、発表スライドを読むだけにならないようにも注意する。発表スライドを読むだけの場合、聴衆にとっては紙媒体で配布されていることと同様となり、発表の意味がなくなる。よって、スライドには字が多くなりすぎないよう、箇条書きにするなど工夫をすること。
② 聴衆は、ただ発表を聞くのではなく、発表会に参加すること。つまり、発表に対して質問することを考え、ノートに要点を書きまとめながら聞くこと。この際に、批判と批評は異なることに注意する。批判的な姿勢で臨むと、良い点よりも悪い点のみを探してしまう傾向に陥りやすい。よって、中立な立場で冷静に批評することを推奨する。発表中は、他者と会話をせずに、静かに聞くこと。他者と会話をすると、会話をしている当人同士はその間の発表内容を聞き逃すことになる。また、周囲の聴衆も発表内容を聞き逃す原因となる。発表中は、極力席を立たないようにすること。トイレなどの生理現象を我慢する必要はないが、発表中に席を立つことは、発表者や聴衆にとって会の進行の妨げとなる。発表時間は10分程度であることから、発表が終わった後に静かに席を立つこと。
③ 今回学生の発表サンプルを検討する視点として、「先行オーガナイザー(advance organizer)」の働きを踏まえて資料を作成することができているか、という点も取り上げたい。これまでに本講義では基礎ゼミナールIから基礎ゼミナールIIを通して、書き手はできるだけ早く読み手に文章の中心的な「話題」を示し、後続の文章の内容を理解しやすいよう、次に述べる内容を予告しておくことが肝要だ、という点を繰り返し強調してきた。

例えば、レポートの序盤、各節の最初の段落、段落の冒頭の一文などにおける予告ということが挙げられる。レポート序盤での議論の展開順序の予告の重要性については、コマ主題細目①で見た通りである。それと同様に、各節の第一段落においても、その節の議論の展開順序や中心的な主題をあらかじめ告知するようにするとよい。そして、段落冒頭のトピック・センテンスでもってその段落の主張を端的に示すことの重要性についても、これまでに繰り返し指摘してきた。

さらに、このような、冒頭部分での指示の徹底という点にとどまらず、例えば、「その理由は、こうである」といった、コ系列の指示詞が後続文脈を指示する働きを活用した文を用いるなどして、これから何について述べるのかを読み手にあらかじめ伝え、理解の枠組みを先行的に構成しておくための工夫が適宜求められる。接続詞の使用も、後続文脈を予告する働きがあるという意味で、こうした工夫の一つと捉えられるだろう。なお、文を用いた予告ということと併せて、レポートのタイトルや、各節のタイトルについても、先行オーガナイザーを働かせるために非常に重要な役割を果たす、ということであった。

本コマでは、このような観点から、発表サンプルにおける予告文を検討すると共に、レポートのタイトルは内容を表すのに適当なものであるか、各節のタイトルはその中心的な話題を反映したものになっているのか、といった点についても確認していく。抽出したレポートのタイトルが不適当なものであった場合には、タイトルにはどのようなものがふさわしいのか検討することも行う。

先行オーガナイザーの働きを踏まえて、あらためて確認する。



キーワード ① 発表時間 ② 緊張 ③ 箇条書き ④ ノートテイク ⑤ 途中退室
コマの展開方法 社会人講師 AL ICT PowerPoint・Keynote 教科書
コマ用オリジナル配布資料 コマ用プリント配布資料 その他 該当なし
小テスト 「小テスト」については、毎回の授業終了時、manaba上において5問以上の、当該コマの小テスト(難易度表示付き)を実施します。
復習・予習課題 【本コマの復習】
今回のポイントは、発表者と聴衆の両者が発表会の参加者となる点にある。具体的な復習課題としては、各自の発表資料のブラッシュアップとなる。ただし、それを行うためにも、発表者は受けた質問を理解して資料に反映し、聴衆は発表者が受けた指摘事項を自身の発表資料にも活かさなければならない。そのためにも、発表内容や質疑応答、その後の教員による注意点の説明など、ノートをとりながら臨むことが必要である。基礎ゼミナールIIのようにゼミと呼ばれる講義では、通常の科目講義と異なり、学生各自がそれぞれの興味にあった研究テーマを設定することができる。そして、その研究テーマに対して講義で学んだ技術を導入して、学生一人ひとりの作品として研究成果物が組み上げられていく。基礎ゼミナールIIでは、作成されたプレゼンテーション資料が研究成果物となる。ただ、上述の通り、プレゼンテーション資料は受動的に配布されるものではなく、学生各自が設定された提出日にむけて資料作成をすすめるといった能動的な取り組みが肝要である。つまり、教員より与えられた課題をこなすのではなく、各自の計画のもと、文献検索や調査研究を行うこととなる。その際に、講義担当教員より、学生の興味や進捗状況に合わせて、個別に指導していく。よって、基礎ゼミナールIIにおける復習課題は、前提条件として各自が自主的にプレゼンテーション資料の作成を進めることとする。第14回の復習は、各自がプレゼン資料(発表スライドとレジュメ)をブラッシュアップすることを復習とする。

【次コマの予習】
次コマでは、プレゼンテーションの実践と、教員によるフィードバックが行われる。具体的には、学生が作成したプレゼン資料(発表スライドとレジュメ)を用いて、発表を行い、その後に教員から修正点を解説しブラッシュアップをしていく。よって、発表担当学生は担当教員が示す提出期日までに、メールにてプレゼン資料を提出することを予習課題とする。

15 実践5―学生による発表とフィードバック― 科目の中での位置付け 本科目は、第Ⅰ部「作成編」と第Ⅱ部「実践編」とから成る。第I部では、教員がこれまでの研究活動で作成した学会発表資料をアカデミックな現場の実例として用いつつ、コマ主題細目に挙げている、プレゼン資料作成のための具体的な視座を順次レクチャーしていく。最終的に第Ⅰ部では、発表スライドとレジュメを担当教員の指定した量で作成することが求められる。

また、第Ⅱ部では、第Ⅰ部の内容を踏まえ、発表のための要点が、各コマのコマ主題細目にしたがって、各担当教員からレクチャーされる。なお、第Ⅱ部の終盤では、仮提出された各受講生の発表スライドとレジュメをサンプルとして、他者に伝えるための資料作りのポイントを再確認していく。

本コマは、第Ⅱ部「実践」編の第四回目にあたる。第Ⅱ部の終盤・本講義全体の終盤に位置づけられており、具体的には、受講生に発表してもらうことで、これまでに第Ⅱ部で学んできた、学際的な発表のための要点を確認する総仕上げの1コマ目である。なお、教員からのフィードバックにあたっては、履修判定指標も適宜参照する。

【コマ主題細目①】
・酒井聡樹『これから学会発表する若者のために―ポスターと口頭のプレゼン技術 第2版』、共立出版、2018年、173-184頁。

【コマ主題細目②】
・酒井聡樹『これから学会発表する若者のために―ポスターと口頭のプレゼン技術 第2版』、共立出版、2018年、16-18頁。

【コマ主題細目③】
・石黒圭『論文・レポートの基本』、日本実業出版社、126-137。
コマ主題細目 ① 発表 ② 聴く姿勢 ③ ブラッシュアップ ④ ⑤
細目レベル ① 規定時間内に、発表者は発表を行う。発表時間は10分とする。この際に、目安は9分40秒から10分の間に発表を完了するようにする。すなわち、スライドは10枚程度を目安に作成すると、聴衆にとっては聞きやすい発表になる。スライドは分かりやすく作成すること。発表は、誰もが緊張する。講義担当教員の経験からは、緊張すると早口になり、発表中の経過時間が分からなくなり、最悪の場合は発表内容すら忘れてしまう。そのため、事前に読み原稿を作成し、よく練習してから臨むこととする。また、発表中は、読み原稿を見ずに発表することが望ましい。読み原稿を読んで発表すると、聴衆の反応を得る機会を失うこととなる。また、発表スライドを読むだけにならないようにも注意する。発表スライドを読むだけの場合、聴衆にとっては紙媒体で配布されていることと同様となり、発表の意味がなくなる。よって、スライドには字が多くなりすぎないよう、箇条書きにするなど工夫をすること。
② 聴衆は、ただ発表を聞くのではなく、発表会に参加すること。つまり、発表に対して質問することを考え、ノートに要点を書きまとめながら聞くこと。この際に、批判と批評は異なることに注意する。批判的な姿勢で臨むと、良い点よりも悪い点のみを探してしまう傾向に陥りやすい。よって、中立な立場で冷静に批評することを推奨する。発表中は、他者と会話をせずに、静かに聞くこと。他者と会話をすると、会話をしている当人同士はその間の発表内容を聞き逃すことになる。また、周囲の聴衆も発表内容を聞き逃す原因となる。発表中は、極力席を立たないようにすること。トイレなどの生理現象を我慢する必要はないが、発表中に席を立つことは、発表者や聴衆にとって会の進行の妨げとなる。発表時間は10分程度であることから、発表が終わった後に静かに席を立つこと。
③ 今回学生の発表サンプルを検討する視点として、「先行オーガナイザー(advance organizer)」の働きを踏まえて資料を作成することができているか、という点も取り上げたい。これまでに本講義では基礎ゼミナールIから基礎ゼミナールIIを通して、書き手はできるだけ早く読み手に文章の中心的な「話題」を示し、後続の文章の内容を理解しやすいよう、次に述べる内容を予告しておくことが肝要だ、という点を繰り返し強調してきた。

例えば、レポートの序盤、各節の最初の段落、段落の冒頭の一文などにおける予告ということが挙げられる。レポート序盤での議論の展開順序の予告の重要性については、コマ主題細目①で見た通りである。それと同様に、各節の第一段落においても、その節の議論の展開順序や中心的な主題をあらかじめ告知するようにするとよい。そして、段落冒頭のトピック・センテンスでもってその段落の主張を端的に示すことの重要性についても、これまでに繰り返し指摘してきた。

さらに、このような、冒頭部分での指示の徹底という点にとどまらず、例えば、「その理由は、こうである」といった、コ系列の指示詞が後続文脈を指示する働きを活用した文を用いるなどして、これから何について述べるのかを読み手にあらかじめ伝え、理解の枠組みを先行的に構成しておくための工夫が適宜求められる。接続詞の使用も、後続文脈を予告する働きがあるという意味で、こうした工夫の一つと捉えられるだろう。なお、文を用いた予告ということと併せて、レポートのタイトルや、各節のタイトルについても、先行オーガナイザーを働かせるために非常に重要な役割を果たす、ということであった。

本コマでは、このような観点から、発表サンプルにおける予告文を検討すると共に、レポートのタイトルは内容を表すのに適当なものであるか、各節のタイトルはその中心的な話題を反映したものになっているのか、といった点についても確認していく。抽出したレポートのタイトルが不適当なものであった場合には、タイトルにはどのようなものがふさわしいのか検討することも行う。

先行オーガナイザーの働きを踏まえて、あらためて確認する。