区分 専門科目-統合看護
ディプロマ・ポリシーとの関係
実践能力 倫理観 専門性探求
地域社会貢献 グローバル性
カリキュラム・ポリシーとの関係
豊かな人間性 広い視野 知識・技術
判断力 探求心
カリキュラム全体の中でのこの科目の位置づけ
専門科目の中の統合看護に位置づく。本科目は選択科目であるが、4年間の看護の学修において、キャリアアップを考えるために、また看護の教育が現在に至るまでどのように行われてきたかを客観的に振り返ることができる。またこれからの看護教育について概観する。
科目の目的
4年間の看護基礎教育課程で学修した看護の知識・理論・技術・態度・倫理観等を基礎にして、改めて「教育とは何か
」「看護教育とはどのようなものか」等について認識する。また看護職は、看護学という学的基盤を持つ専門職であるた
め看護学の学問体系を理解するとともに、看護学の理論教育と実践教育の重要性を理解する。さらに看護職は看護基礎教育課程から看護卒後教育、看護継続教育へと専門職のキャリア開発の必要性について考察する。看護教育は、看護師を目指す人々にとって、その社会的必要性・重要性や社会的使命をもつものであることについて論じる。

到達目標
⒈看護教育の歴史的変遷を把握できる。
⒉看護師養成教育と看護教育制度について理解できる。
⒊看護教育の授業形態、及びその特殊性について理解できる。
⒋看護学の学問体系、及び教育課程について理解できる。
⒌看護教育における学習の原理について理解できる。
⒍看護学生の学習意欲と学習活動、学習効果について把握できる。
⒎看護学教育方法とシラバス、授業デザイン、評価について理解できる。
⒏看護職とキャリアデザインについて認識できる。

科目の概要
学生自らの4年間の学修経験をもとに、「知る」ということ、「理解する」ということ、「できる」ということについて考え、看護基礎教育課程に関する理論教育・実践教育との関係・統合性について学修する。また看護教育の歴史的変遷や看護教育制度について理解し、これからの看護、及び看護教育の方向性について分析でき、看護教育の向上が看護の質保証に関連することについて把握する。また看護を学問としてさらに発展させるための考え方を示す。看護教育は、講義などで学習した知識・技術・態度・理論・倫理などの考え方を、実際の現場、すなわち臨床実習という学習方法を用いて具体的展開により、専門職看護師としての実践能力を形成するものである。そのため講義・演習・実習、及び学外実習などの多様な学習体験が重要となる。

科目担当教員は、国立病院の看護師として小児科・内科・整形外科で勤務。本科目は、看護教育制度における看護基礎教育について理解し、看護職の学びを生涯教育ととらえ、看護職のキャリア開発の必要性について教授する科目である。

科目のキーワード
看護師養成教育 看護教育制度 職業人教育 学校教育法 教授ー学習過程 授業形態 講義 演習 臨地実習 知識 技術態度 指定規則 大学設置基準 教育基本法 保助看法 教員の役割 学生の学び 問題解決過程 内発的動機付け 外発的動機付け 患者ケアの保証 患者の権利 忘却曲線 成人学習者 レディネス 学習意欲 学習活動 学習成果学習効果 シラバス 授業デザイン 評価看護職とキャリアデザイン
授業の展開方法
授業の展開は、主に講義によって行うが、第1回目の看護教育の歴史的変遷においては、教員自身の教育キャリアをパワーポイントを用いて講義内容を提示し、看護教育や看護教育制度の変遷、看護教育の魅力や重要性などについて紹介する。またその変遷を受け止めながら、今日の看護基礎教育について問題・課題を討議する。第2回目以降の講義は、教員自身が作成した独自のレジュメを用いて講義を行うが学生が学んできた4年間の講義・演習、実習、及び学外実習の実際を問うことにより、様々な意見を語ってもらい、看護学教育方法としての課題・問題を明らかにする。本科目の目的は、学生が「看護教育」を再認識・客観視することであり、看護教育のさらなる発展のために看護教育がこれまでに獲得した既存の教育論を展開することであるため、学生の授業参加を重要視している。
オフィス・アワー
学部長室:火曜木曜午後
E-mail:y-kawano@uhe.ac.jp

科目コード ENQ05
学年・期 4年・後期
科目名 看護教育論
単位数 1
授業形態 講義
必修・選択 選択
学習時間 【講義】16h 【予習・復習】29h
前提とする科目 本科目は、看護の基礎教育課程の最終段階に位置付くため、看護学に関連するあらゆる科目を前提とする。
展開科目 本科目は選択科目である。看護の基礎教育課程の最終段階に位置付き、本科目を学修することにより、自身のキャリアをさらに開拓できるための学修科目として重要である。
関連資格 看護師 保健師
担当教員名 河野保子・松山キャンパス教務課
主題コマシラバス項目内容教材・教具
1 看護教育の歴史的変遷、看護教育制度 科目の中での位置付け 本科目は看護基礎教育課程の最終レベルに位置付き、学生が基礎科目・専門基礎科目・専門科目を学修した後、学生自身が学んできた「看護教育」について学びを深めるものである。第1回目は、わが国の看護教育がどのように変遷してきたのか、ナイチンゲールの思想、及びアメリカ等の看護教育と比較しつつ、看護職の教育の在り方を論じる。第2回目は、看護は実践の応用科学であることを踏まえ、看護学の理論教育と実践教育の関連性を論じる。第3回目は、看護学の学問体系を再考し、看護基礎教育課程(カリキュラム)の組み立て方、及び教育内容について論じ、第4回目で、看護学教育における臨地実習のあり方について論述する。第5回目は、人はどのように新しいことを学修するのかを論じ、看護教育における知識・技能・態度の学習を理解する。第6回目は、学生自身が看護教育において学んできたプロセスを再考し、学習意欲・学習活動・学習成果の諸理論を論じる。第7回目は、看護教育におけるシラバス・授業デザイン・評価について理解し、第8回目では、看護職として学び続けるための方策について論じる。このような流れの中で、第1回目は、わが国の看護教育がどのように変遷してきたのかを概説するとともに、看護教育制度についても言及し、現在の看護教育について検討する。
・授業展開は、独自作成の
講義概要を用いる。
・教科書P152~155
・杉森みど里、舟島なをみ
著、看護教育学、P34~76
、医学書院、2017
コマ主題細目 ① 看護教育変遷の一事例的考察 ② 教育及び看護教育の概念 ③ 看護師の教育と教育制度
細目レベル ① 昭和23年の保健師助産師看護師法の制定に始まり、わが国の看護教育がどのように変遷・発展してきたかを、教員自身の教育経験キャリアを提示し、パワーポイントを用いて概説する。昭和43年;看護教育の指定規則改正(第1回の改正)により、わが国の看護教育が新たな第一歩を踏み出すに至った社会的背景や要因について理解するとともに、さらにその後の看護教育の指定規則改正などにより、看護教育の目覚ましい発展過程や看護師の社会的認知度の高まり、専門看護師や認定看護師の設置、大学院教育の発足などについても把握することができる。教員自身の教育者体験と学生自身が受け止めた今日の看護教育の実態とを比較し、今後の看護教育の在り方について検討する。
② 教育とは、社会で生活するための学問、知識、技能などが身につくように教え、育てることである。教育という営みの特徴を「看護教育」に求めることにより、看護教育とはどのようなものであるかが理解できる。看護教育を論じるときに問いかけなけらばならない事項を把握できる。すなわち、看護とは何か、看護の対象をどうとらえるか、人間をどう把握するか、人間が構成する社会の特徴をどうとらえるか、人間は何に価値を置くか、健康は人間にとってどんな価値といえるか、人間の健康問題に対処するため、社会はどのような支援を提供しているか、また看護師はどのような役割を果たしているか、看護の役割は社会情勢とともに変化するか、変化するとしたら何が変化するか、教育の本質とは何か、学習とはどういうことか、教授ー学習過程をどうとらえるか、学問とは何か、研究とは何か、学問と実践はどのようなかんけいにあるかなどについて理解しておく。
③ 「看護」という専門的・職業的営みを持つ人材を育成するとき、それを看護教育という。看護教育は長い間、看護師養成教育として「看護制度」の中に位置づけられていたが、今日では看護師の教育は、「学校教育制度」の中に位置づけられて看護の自律性・主体性・自発性をもつ学校教育へと移行(看護教育の高等教育化)していることを理解できる。
看護師養成教育と学校教育制度、及び看護教育制度の多様性を理解できる。戦前の学校制度、現行の学校制度、現行の看護教育制度を理解し、看護教育制度の課題を把握できる。また看護教育におけるナイチンゲールの看護哲学、及びナイチンゲールの看護学校について把握でき、近代看護の創始者であるナイチンゲールの業績についても理解できる。

キーワード ① 看護教育 ② 看護制度 ③ 学校教育制度 ④ 学校教育法 ⑤ 看護教育の変遷
コマの展開方法 社会人講師 AL ICT PowerPoint・Keynote 教科書
コマ用オリジナル配布資料 コマ用プリント配布資料 その他 該当なし
小テスト 「小テスト」については、毎回の授業終了時、manaba上において5問以上の、当該コマの小テスト(難易度表示付き)を実施します。
復習・予習課題 [復習]講義時に配布した資料、及び教科書を読み理解する。特にわが国の看護教育の歴史的発展過程については、わが国の看護教育に関する歴史的遺産であるため、十分に理解してその意味を反芻しておく。看護教育の発展に関わってきた先人の努力を評価し、その遺産を引き継いでいく者として自覚を持つ。また教育の本質を理解し、看護師教育については今一度、自身の中でその意味を問う。さらに看護の主要概念である健康・人間・環境・看護について十分に理解しておく。本講義は教育に視点を置いているため、学ぶこと、教えることについても興味を持ち、今後の自身のキャリアアップにつなげていく。[予習]次回の講義は、看護教育における理論教育と実践教育であるため、自身のこれまでに講義・演習・実習、及び学外実習について想起しておく。
2 看護教育における理論教育と実践教育 科目の中での位置付け 本科目は看護基礎教育課程の最終レベルに位置付き、学生が基礎科目・専門基礎科目・専門科目を学修した後、学生自身が学んできた「看護教育」について学びを深めるものである。第1回目は、わが国の看護教育がどのように変遷してきたのか、ナイチンゲールの思想、及びアメリカ等の看護教育と比較しつつ、看護職の教育の在り方を論じる。第2回目は、看護は実践の応用科学であることを踏まえ、看護学の理論教育と実践教育の関連性を論じる。第3回目は、看護学の学問体系を再考し、看護基礎教育課程(カリキュラム)の組み立て方、及び教育内容について論じ、第4回目では、看護学教育における臨地実習のあり方について論述する。第5回目は、人はどのように新しいことを学修するのかを論じ、看護教育における知識・技能・態度の学習を理解する。第6回目は、学生自身が看護教育において学んできたプロセスを再考し、学習意欲・学習活動・学習成果の諸理論を論じる。第7回目は、看護教育におけるシラバス・授業デザイン・評価について理解し、第8回目では、看護職として学び続けるための方策について論じる。このような流れの中で、第2回目は、看護教育における学理の修得と臨地実習に関する具体的展開について論じる。
・授業展開は、独自作成の
講義概要を用いる。
・杉森みど里、舟島なをみ
著、看護教育学、P214~218、P251~296、医学書院、2017

コマ主題細目 ① 教授ー学習過程 ② 授業の組織化 ③ 講義・演習・臨地実習
細目レベル ① 看護教育で展開される授業はどのように概念化できるのか、また授業における学習者と教員との関係をどのように把握すればよいかが理解できる。また看護学教育の独自の教育方法をや教材・評価を用いた授業設計・展開があることを把握できる。一般的に授業とは、「学習主体者としての学生の活動」と「教授主体としての教員の活動」とが相互に知的対決を展開する過程であり、この知的対決は教材を媒介に行われる。授業の成立要件(3要素)は教師ー学生ー教材であり、学習者(学生)は、学習目標達成に向け、教材を媒介にして知識や技能を獲得し、精神的・身体的諸機能を自己形成していく過程をいい、教員は学生の学びを支援する教授活動を展開する。教員としての能力を発揮させ、学生の学びを深めていく。教授ー学習過程のレベルを高めるよう教員・指導者は自己啓発に努めることが重要であることを認識する。
② 看護基礎教育過程においては、看護に関して白紙の状態にある学生が、看護学の知識や技術を学内授業を通して修得し、それを実際の患者などに看護展開できるよう目標を設定しているため、綿密な授業設計が必要になる。授業の組織化は、目的・目標の達成に向けて、内容の選択と決定、学習方法の適切化を考え、それを与えられた条件の中で最適なものにするために諸因子を組み合わせて、授業の効率を高めていくことであることを認識する。授業には種々の形態があり、教員を基準に考えるときには授業形態であり、学習者を基準に考えるときには学習形態となることを把握できる。また授業形態別の区分は、講義・演習・実習等に分類できることを理解できる。

③ 看護教育における講義は、看護専門職としての能力を形成するために、医学・心理学・教育学等の隣接諸科学や看護学独自の知識習得や概念の獲得が必要であることを理解できる。そのため一斉授業(講義ー受容学習)が用いられるが、講義の欠点を解決するために、学生の学習活動を促進する手法を用いることの重要性も理解できる。授業の構造化を行うときには、教育目標を達成するために何を、どのような手段で、何を用いて、どのような形態で講義を展開すればよいかを理解できる。看護学の授業内容において、実習室で実施される教員のデモンストレーションや技術習得の演習は、講義形態では修得困難な教育内容を教授しており、学生は主体的な学習を体験することにより、学びの姿勢や方法を形成・深化させていることを把握する。看護教育における授業の一形態である臨地実習は、学生の知識・技術・態度・倫理観・コミュニケーションなどを総合させた形で、援助技能(表現技術)として位置づけたものであり、重要なスキル教育となっていることを把握できる。


キーワード ① 知識 ② 技術 ③ 態度 ④ 倫理観 ⑤ コミュニケー ション
コマの展開方法 社会人講師 AL ICT PowerPoint・Keynote 教科書
コマ用オリジナル配布資料 コマ用プリント配布資料 その他 該当なし
小テスト 「小テスト」については、毎回の授業終了時、manaba上において5問以上の、当該コマの小テスト(難易度表示付き)を実施します。
復習・予習課題 [復習]講義時に配布した資料を読み理解する。特に教授ー学習過程における教師、学生、教材の3要素が講義成立の主要な概念になることを理解する。講義(一斉)においても、学習者の積極的な関りの重要性を理解すること。教師が提示する教材の意味についても把握し、将来、教育的関りがある場合にはこの3要素を意識化して用いる。誰かに何かを講義する場合、綿密な計画の必要性を自覚する。また看護教育においては、理論の実践的な活用が重要視されるため臨床実習の重大さを認識しておく。[予習]次回は看護師の教育についてであり、看護のカリキュラムについて講義するため、4年間の自身の取得した科目などについて想起しておく。これまでに体験した看護教育の実際について各自フィードバックしておく。
3 看護学の学問体系と看護カリキュラム (教育課程) 科目の中での位置付け 本科目は看護基礎教育課程の最終レベルに位置付き、学生が基礎科目・専門基礎科目・専門科目を学修した後、学生自身が学んできた「看護教育」について学びを深めるものである。第1回目は、わが国の看護教育がどのように変遷してきたのか、ナイチンゲールの思想、及びアメリカ等の看護教育と比較しつつ、看護職の教育の在り方を論じる。第2回目は、看護は実践の応用科学であることを踏まえ、看護学の理論教育と実践教育の関連性を論じる。第3回目は、看護学の学問体系を再考し、看護基礎教育課程(カリキュラム)の組み立て方、及び教育内容について論じ、第4回目では、看護学教育における臨地実習のあり方について論述する。第5回目は、人はどのように新しいことを学修するのかを論じ、看護教育における知識・技能・態度の学習を理解する。第6回目は、学生自身が看護教育において学んできたプロセスを再考し、学習意欲・学習活動・学習成果の諸理論を論じる。第7回目は、看護教育におけるシラバス・授業デザイン・評価について理解し、第8回目では、看護職として学び続けるための方策について論じる。このような流れの中で、第3回目は、看護学の学問体系がどのように構築されたか、また看護の教育課程(カリキュラム)がどのように開発されたかを、社会の変化、医療ニーズの変化、医療技術の変化、職業としての看護の発展等の側面から論述する。
・授業展開は、独自作成の講義概要を用いる。
・杉森みど里、舟島なをみ著、看護教育学、P41、
P494~499、P458~467、P37、P432~435、医学書院、2017

コマ主題細目 ① 看護教育と看護教育学 ② 看護基礎教育課程(カリキュラム) ③ 看護教育制度と各法規との関連
細目レベル ① 看護は、職業として100年以上の歴史を持つが、学問としての「看護学」の確立の歴史は浅いことを把握し、看護は学問としてさらなる発展が必要なことを理解できる。看護のカリキュラムとは学生の発達や4年間の学びに応じて作成した学習指導計画の体系であり、成人学習者として対象を把握し、カリキュラムを設定する。ほとんどの学生が、看護師ライセンスを取得するために看護学を学んでいるため、看護師教育の指定規則を遵守する必要があることを把握する。それゆえ看護教育は他学部教育とは教育目的・目標が異なる。看護教育は職業性が明確な高等教育といえる。さらに看護は実践の科学であるため、看護の対象者に質の高い看護を提供できるよう、実践ー研究ー理論化を促進し、根拠(エビデンス)のある看護実践の開発や看護現象の理論化を追究することの重要性を認識できる。そのため4年時には看護研究を課す教育機関が多いことも認識する。
② 看護学の各領域は、人間の一生を発達レベルなどで区分され、「基礎看護学」「小児看護学」「母性看護学」「成人看護学」「老年看護学」「精神看護学」「在宅看護学」で教育されていることを理解できる。これらの各領域において講義、演習、実習という看護の教育の営みがあり、座学において、あるいは臨地実習において看護の知識・技術・態度・コミュニケーション、倫理観などが獲得され、専門職業人としての基礎能力が培われることを理解できる。また看護教育は、看護基礎教育、看護卒後教育、看護継続教育から構成され、看護職の生涯教育に貢献する。さらに、看護基礎教育課程を終了したのち、看護の大学院課程(修士課程・博士課程)があり、看護師の教育キャリアアップに貢献しており、大学院課程を修了したのちには大学の教育者として看護教育に貢献できることを把握する。
③ 1948年(昭和23年)に保助看法が制定され、看護師養成がどのように歴史的変遷を遂げてきたか、またカリキュラム改正がどのような理由で行われてきたかを把握できる。また今後、超高齢社会に向けて保健医療福祉の状況が変化するに伴い、看護教育に期待される看護師養成の在り方がどのように変わっていくのか予測できる。カリキュラムの変遷は、保健医療の中における主体性のある看護への志向によってもたらされている。看護学の確立を願い、社会の変化に応じたカリキュラムの一部改正などにより、看護のカリキュラムは徐々に変化・進化してきていることを認識できる。少子高齢化に伴い老人看護学が新設され、在宅看護論や精神看護学の重要性がカリキュラムに反映され、今日では在宅看護がさらに発展し、地域・在宅看護学へと移行することにより、超高齢化に対応すべく看護教育のカリキュラムが変化していることを把握できる。
キーワード ① 保助看法 ② 学校教育法 ③ 指定規則 ④ 大学設置基準 ⑤ 教育基本法
コマの展開方法 社会人講師 AL ICT PowerPoint・Keynote 教科書
コマ用オリジナル配布資料 コマ用プリント配布資料 その他 該当なし
小テスト 「小テスト」については、毎回の授業終了時、manaba上において5問以上の、当該コマの小テスト(難易度表示付き)を実施します。
復習・予習課題 [復習]看護のカリキュラムの変遷は、看護学の発展と相まって今日の保健医療福祉分野の専門職養成に大きく貢献していることを理解する。また看護の学問体系を十分に把握し、各領域が示す看護ケアのミッションを再認識する。学生自身が4年間学んできた看護教育の実際を振り返ることにより、自身が学んできたこと、学ばなければならなかったことなどを内省し、これからの看護教育を支えていく人材の一人であることを自覚する。[予習]次回の講義は、看護教育と臨地実習についてである。学生自身、これまでの臨地実習をふり返り、どのような学びを得たか、臨床実習指導者の在り方はどのようなものだったのか、大学指導教員の存在はどのようなものだったかを想起し、自身の患者への関りの実際とともに、評価しておく。自身にとって看護教育における臨地実習の意義を考えておく。
4 看護教育と臨地実習 科目の中での位置付け 本科目は看護基礎教育課程の最終レベルに位置付き、学生が基礎科目・専門基礎科目・専門科目を学修した後、学生自身が学んできた「看護教育」について学びを深めるものである。第1回目は、わが国の看護教育がどのように変遷してきたのか、ナイチンゲールの思想、及びアメリカ等の看護教育と比較しつつ、看護職の教育の在り方を論じる。第2回目は、看護は実践の応用科学であることを踏まえ、看護学の理論教育と実践教育の関連性を論じる。第3回目は、看護学の学問体系を再考し、看護基礎教育課程(カリキュラム)の組み立て方、及び教育内容について論じ、第4回目では、看護学教育における臨地実習のあり方について論述する。第5回目は、人はどのように新しいことを学修するのかを論じ、看護教育における知識・技能・態度の学習を理解する。第6回目は、学生自身が看護教育において学んできたプロセスを再考し、学習意欲・学習活動・学習成果の諸理論を論じる。第7回目は、看護教育におけるシラバス・授業デザイン・評価について理解し、第8回目では、看護職として学び続けるための方策について論じる。このような流れの中で、第4回目は、学生が1年間を通して学修した臨地実習の場・及び学びについて論述する。
・授業展開は、独自作成の講義概要を用いる。
・杉森みど里、舟島なをみ著、看護教育学、P240~250、P261~282、医学書院、2017
・中西睦子、方法としての看護過程ー成立条件と限界ー、P138~157、ゆみる出版、1992

コマ主題細目 ① 看護師養成教育と臨地実習 ② 看護学実習の特質と教員の役割 ③ 看護学実習における学生の受け持ち患者
細目レベル ① 看護教育における看護学実習は、他の専門職業人養成教育(教員・医師・薬剤師)には存在しない学習形態であり、その学習方法、時間の長さ、学習環境等のいずれをとっても特異な状況にあることを把握できる。ナイチンゲールの教育観から、経験主義、厳格主義が継承されていると考えられており、看護師養成教育の高等教育化が進展する中、今後の臨地実習教育の在り方について、再考する余地もあることを理解できる。歴史的に見て、看護師養成教育は伝統的・近代的・現代的実習指導の方法論で論じられてきたが、今日では現代的実習方法(患者中心・看護過程の展開・授業としての看護学実習)が行われている。看護学実習の授業構造は、学生の学習活動を中心にして、教師(臨床側指導者及び大学側教員)は教授活動を行うが、患者のケアの質保証をも行っていることを認識する。看護学実習における教材は、患者及び家族などが提示した現象や看護職者が提供する看護実践であることを意識化する(患者その人ではない)。教師は看護現象の教材化を図ることが重要であることを認識する。
② 看護学実習は、あらゆる看護の場において、各看護学の講義・演習により得た知識・技術を、実際の患者などを対象として看護実践を行うことであり、既習の理論、知識、技術を統合、深化、検証することにより、看護の社会的価値を評価するという学習目標を達成する授業である。看護学実習は学生が多様な人々と相互行為を展開する場でもあり、臨床場面は患者が自己の健康回復のために療養生活をしている場面でもある。学生にとって病院は非日常性の世界であり、異文化社会ともいえる場でもあることから、学生には学習目標遂行のために指導者が必要となる。臨床実習における教員の役割は、学生の受け持ち患者の安全・安楽の確保、病棟業務・治療停滞の防止、学生の実習目標達成とその効率化、学生受け入れのための実習指導者との円滑な調整などがあげられることを認識できる。看護学実習は教育科目の一つであるため、学生の学習過程に責任を持つ教員がその場に常在する必要があることを認識する。
③ 各看護学領域の実習は、実際の患者を対象に、各看護学領域の講義・演習により得た既得の知識・理論・技術等を総合的に実践・深化・検証することにより、患者の健康回復に責任をもつことを理解できる。そして看護の社会的価値を問われるものであることを把握できる。看護学実習における学生の受け持ち患者は、学生の学びを促進させてくれる。学生の受け持ちとなった患者に対しては、看護の専門職から受けると同等の質を担保しなくてはならないため、学生に対して臨床側指導者や大学教員の支援を必要とする。さらに学生の受け持ち患者になるためには、患者本人の同意を必要とするし、患者本人の自発的意志がなければならないことを理解する。学生は受け持ち患者のケアや関りを通して、人間的な成長や、かつ専門職としての能力を身につけていくことができるということを認識する。
キーワード ① 臨地実習の場 の特性 ② 教員の役割 ③ 学生の学び ④ 患者のケアの質 保証 ⑤ 患者の権利
コマの展開方法 社会人講師 AL ICT PowerPoint・Keynote 教科書
コマ用オリジナル配布資料 コマ用プリント配布資料 その他 該当なし
小テスト 「小テスト」については、毎回の授業終了時、manaba上において5問以上の、当該コマの小テスト(難易度表示付き)を実施します。
復習・予習課題 [復習]臨地実習で受け持った患者の看護や実習の場を振り返り、講義で学んだ内容を比較検証する。特に臨床実習の場は、看護の知識・技術・理論などを実際的に患者に適用し、自身の看護実践能力を啓発・向上させる場面であることを再認識する。また受け持ち患者に対する感謝と敬意の念を再認識する。[予習]次回は、看護教育と学習の原理について学ぶため、これまで4年間で学んできた学問に対して、自身の学習態度や学習方法などを振り返っておく。看護学(講義・演習・学外実習など)を学んできて、どのような能力が身についてきたかを振り返ってみる。特に看護学においては、主要な学習領域として、情意領域、認知領域、運動技能領域があることを認識しておく。

5 看護教育と学習の原理 科目の中での位置付け 本科目は看護基礎教育課程の最終レベルに位置付き、学生が基礎科目・専門基礎科目・専門科目を学修した後、学生自身が学んできた「看護教育」について学びを深めるものである。第1回目は、わが国の看護教育がどのように変遷してきたのか、ナイチンゲールの思想、及びアメリカ等の看護教育と比較しつつ、看護職の教育の在り方を論じる。第2回目は、看護は実践の応用科学であることを踏まえ、看護学の理論教育と実践教育の関連性を論じる。第3回目は、看護学の学問体系を再考し、看護基礎教育課程(カリキュラム)の組み立て方、及び教育内容について論じ、第4回目では、看護学教育における臨地実習のあり方について論述する。第5回目は、人はどのように新しいことを学修するのかを論じ、看護教育における知識・技能・態度の学習を理解する。第6回目は、学生自身が看護教育において学んできたプロセスを再考し、学習意欲・学習活動・学習成果の諸理論を論じる。第7回目は、看護教育におけるシラバス・授業デザイン・評価について理解し、第8回目では、看護職として学び続けるための方策について論じる。このような流れの中で、第5回目は、学習の特徴、知識・技能・態度の学習原理について論じる。
・授業展開は、独自作成の講義概要を用いる。
・中井俊樹、小林忠資編著、看護のための教育学、P21~28、医学書院、2018
コマ主題細目 ① 看護教育における学習の特徴 ② 知識・技能・態度の学習 ③ 看護教育における指導原理
細目レベル ① 看護教育における学習は、看護の基礎教育課程の学びにおいて、学生が経験に基づいて起こる比較的永続的な外的・内的行動の変容であると言える。外的・内的行動の変容とは、看護師になるという認知・行動への変容であり、価値的に望ましい方向への変容をいうことを理解できる。既知の学習理論(スキナー、ピアジェ、バンデューラ)をもとに、看護教育に関係する考え方を提示する。また看護教育の特徴は、看護師・保健師・助産師の専門的国家資格を取得するという社会的な価値を持つため、その教育方法は非専門職教育のそれとは異なる。講義において学理を学び、それを踏まえて実際的な演習・実習を行い、さらには実際的な病院・施設など患者やクライエントが存在する臨床現場において、看護の知識・技術・態度・価値観などを展開しなければならない。また国家資格の取得という観点から、指定規則に沿った学びを保証しなくてはならない。看護専門職という職業性的価値や人格の陶冶、自己発展を期待するのが看護教育における学習であることを把握する。
② 知識の学習は、記憶する、理解する、問題を解決するからなることを把握できる。人は記憶しても、意味のあるものやないもの等により、時間の経過とともに忘却することを理解できる。人の日常や仕事の場は、ほとんどが問題解決の手法を用いているため、問題解決プロセスの理論が理解できる。看護教育における知識の学習は、日進月歩する医療状況において、学ばなければならない知識がたくさんある。そのため学生は時代の要求に応じた知識を得るために、自己学習によって自己充足できるように自ら学ぶ力を獲得しなければならないことを理解できる。また様々な技術を身につけなければならないため、患者の安全性を保持するため正しい動作の学習やその行為を反復練習して技術の完成度を高めなければならない。看護師には、専門的な知識や看護技術のみでなく、専門職看護師としての態度要件が重要であることを理解できる。専門職看護師としての態度の習慣化プロセスが重要であることを認識できる。知識・技術・態度の学習は、看護教育のねらいとして、認知領域、情意領域、運動技能領域の能力を形成することになる。
③ 学校教育に要求される指導原理は何であろうか。それは①自発性の指導原理、②直観の原理、➂練習・定着の原理といえるであろう。自発性の原理とは、学習意欲を引き出すこと、興味を持つこと、内発的動機付けを喚起することなどを把握できる。直観の原理とは、学習意欲があっても言葉だけの指導では学習を成立させることは難しいため、視聴覚メディアなどの手段的方法を用い、具体的・感覚的理解を通して、学習を成立させることが望まれることを理解する。練習・定着の原理とは、学習したこと、体験・経験したことを反復して記憶し定着させることであり、学習効果につなげることを理解する。指導原理の学習理論として、マズローの欲求段階説、スキナーのプログラム学習、バンデューラの社会的学習理論、ブルーナーの発見学習などがあることを理解する。
キーワード ① 学習理論 ② 認知領域 ③ 情意領域 ④ 運動技能領域 ⑤ 忘却曲線
コマの展開方法 社会人講師 AL ICT PowerPoint・Keynote 教科書
コマ用オリジナル配布資料 コマ用プリント配布資料 その他 該当なし
小テスト 「小テスト」については、毎回の授業終了時、manaba上において5問以上の、当該コマの小テスト(難易度表示付き)を実施します。
復習・予習課題 [復習]看護教育における専門職看護師になるという認知・行動の望ましい変容とはどのようなものであるか反芻してみる。看護教育における学習の原理を再確認し、自己に適した学習方法を考えてみる。[予習]次回の講義は、学習意欲と学習活動、学習効果についてであるため、これまでの4年間における学習に対して、講義・演習・実習、あるいは学外実習において、自身の学習意欲、学習活動、学習効果等をふり返っておく。特に学外実習における実際について、受け持ち事例に対するケアを通して病院側指導者との関係や大学教員との関係性において、どのようなときにやる気につながったのか、学習活動が進んだのか、あるいは学習効果が上がったのかなど評価しておく。


6 看護学生の学習意欲と学習活動、学習効果の関係 科目の中での位置付け 本科目は看護基礎教育課程の最終レベルに位置付き、学生が基礎科目・専門基礎科目・専門科目を学修した後、学生自身が学んできた「看護教育」について学びを深めるものである。第1回目は、わが国の看護教育がどのように変遷してきたのか、ナイチンゲールの思想、及びアメリカ等の看護教育と比較しつつ、看護職の教育の在り方を論じる。第2回目は、看護は実践の応用科学であることを踏まえ、看護学の理論教育と実践教育の関連性を論じる。第3回目は、看護学の学問体系を再考し、看護基礎教育課程(カリキュラム)の組み立て方、及び教育内容について論じ、第4回目では、看護学教育における臨地実習のあり方について論述する。第5回目は、人はどのように新しいことを学修するのかを論じ、看護教育における知識・技能・態度の学習を理解する。第6回目は、学生自身が看護教育において学んできたプロセスを再考し、学習意欲・学習活動・学習成果の諸理論を論じる。第7回目は、看護教育におけるシラバス・授業デザイン・評価について理解し、第8回目では、看護職として学び続けるための方策について論じる。このような流れの中で、第6回目は、看護学生が、学習に臨むときのレディネスについて概説し、学習意欲、学習活動、学習成果、満足感・不満足感の関係について論じる。
・授業展開は、独自作成の
講義概要を用いる。
・杉森みど里、舟島なをみ
著、看護教育学、P209~214、医学書院、2017


コマ主題細目 ① 成人学習者 ② 学習のレディネス ③ 学習意欲・学習活動・学習成果
細目レベル ① 看護学の学習主体者は後期中等教育を修了し、高等教育かそれに準じる教育を受ける人たちであり、成人学習者であることを理解することができる。看護教育は成人学習者を対象としていることを認識できる。また
成人学習者の特徴を認識できる。すなわち成人学習者の特徴は、学習者としての自己概念を依存的パーソナリティから脱皮させ、自己管理性を増大させること、学習へのレディネスは生活課題や生活問題から発達すること、学習へのオリエンテーションは、学科中心から課題中心、ないしは問題中心へと変化しること、学習者の経験は、自他の豊かな学習資源として役割を増大させること、学習への動機づけは、外部から与えられる報酬や処罰よりも、内発的な誘因がより重要となることである。成人学習者として看護師教育を展開する必要があることを認識する。

② 教育や学習が行われるためには、対象となる学習者にある程度の素地が必要とされる。心身の機能が、ある行動や知識を習得できる段階まで発達し、学ぶ準備が整う状態をレディネスという。レディネスがない状態で教育・学習を行うと、効率が悪いばかりか、マイナス効果を及ぼす場合もある。レディネスとは準備性と訳され、看護教育におけるレディネスの規定要因は、成熟、過去の学習経験、教授方法の3要因であると言われている。看護教育における準備性の考え方について把握する。またレディネスに関する諸理論についても把握できる。特に看護教育における専門家による教授方法は重要であり、カリキュラムやシラバスにおける学びの順次生を考慮した教授方法の検討が研究されるべきである。
③ 学習意欲とは、内発性・自立性・価値志向性という学習者の主体的特性を兼ね備えたものをいうことが理解できる。学習意欲は、学習への動機づけとほぼ同義であり、動機づけは、内発的動機付け、外発的動機付けに区分されることを理解できる。学習活動は、看護に必要な知識・理論・態度・価値観・実践力などの能力獲得のために、講義・演習・実習などを用いて行われる活動である。適切な学習活動は、適切な教授活動と結びつき、学習成果や満足感にも連動することを理解できる。また学習成果は学習意欲や学習活動から影響を受け、学習成果は満足感・不満足感につながることを把握できる。学習成果(効果)が上がらない原因は、学生の学習意欲のみにあるのではなく、学習活動の在り方を振り返る必要があることを理解できる。
キーワード ① 成人学習者 ② 内発的動機づけ ③ 外発的動機付け ④ 学習満足度 ⑤ 学習効果
コマの展開方法 社会人講師 AL ICT PowerPoint・Keynote 教科書
コマ用オリジナル配布資料 コマ用プリント配布資料 その他 該当なし
小テスト 「小テスト」については、毎回の授業終了時、manaba上において5問以上の、当該コマの小テスト(難易度表示付き)を実施します。
復習・予習課題 [復習]成人学習者として、自身はどのように学びを深めたか、学びのレディネスは十分であったか、問題中心・課題中心に学びを進められたかなど、講義及び実習を振り返り、成人学習者と看護教育についてレポートを提出する。[予習]次回の講義はシラバスや授業デザイン、評価についてである。そのため本講義で使用しているコマシラバスを熟読しておくこと。コマシラバスから何を感じ取ったか、何が理解できたかなどについて質疑応答を行う。教員のこれまでの講義(教授過程)について意見を述べられるように準備しておく。教員の授業デザインは学生に適切なものだったか、講義を通して教育に関する学びの成果はなんであったか、自己評価ができるように準備しておく。

7 看護学教育方法(シラバス、授業デザイン、 評価) 科目の中での位置付け 本科目は看護基礎教育課程の最終レベルに位置付き、学生が基礎科目・専門基礎科目・専門科目を学修した後、学生自身が学んできた「看護教育」について学びを深めるものである。第1回目は、わが国の看護教育がどのように変遷してきたのか、ナイチンゲールの思想、及びアメリカ等の看護教育と比較しつつ、看護職の教育の在り方を論じる。第2回目は、看護は実践の応用科学であることを踏まえ、看護学の理論教育と実践教育の関連性を論じる。第3回目は、看護学の学問体系を再考し、看護基礎教育課程(カリキュラム)の組み立て方、及び教育内容について論じ、第4回目では、看護学教育における臨地実習のあり方について論述する。第5回目は、人はどのように新しいことを学修するのかを論じ、看護教育における知識・技能・態度の学習を理解する。第6回目は、学生自身が看護教育において学んできたプロセスを再考し、学習意欲・学習活動・学習成果の諸理論を論じる。第7回目は、看護教育におけるシラバス・授業デザイン・評価について理解し、第8回目では、看護職として学び続けるための方策について論じる。このような流れの中で、第7回目は、教員から提示される教育内容について概説し、学生はそれをどのように自分のものにしていくかが重要であることを説明する。
・授業展開は、独自作成の講義概要を用いる。
・杉森みど里、舟島なをみ著、看護教育学、P135~142、医学書院、2017

コマ主題細目 ① 授業概要(シラバス)の組織化 ② 授業デザイン・実習評価 ③ 教育評価
細目レベル ① 教育内容を提供するとき、教員による教授過程と、学習者による学習過程が同時に実施されてはじめて授業過程が成立し活性化する。学習者にとって、授業をより教育的に準備し展開するかについては教員の主体性と資質、綿密な準備を必要とすることを理解できる。教育内容の提供を、授業として組織化するには、一般的に6構成要素があるとされていることを認識できる。すなわち基本形態の決定、目標内容の展開過程、授業進行の論理的展開、授業展開の様式、授業形態、激励・制止的措置である。看護学教育は、看護学実習という学生にとっては生まれて初めての体験であり、そのため臨床実習の授業概要(実習指導要項)は重要な位置づけを持つことを把握できる。いかに質の高い授業を効果的に学生に提供できるか、教員は常に研鑽を積んでいることを理解できる。
② 授業デザインとは、授業の実施に先立って行われる授業についての計画・分析・教材作成等の準備活動を意味することを把握できる。特に看護学が実践の科学であり、看護基礎教育課程においては看護に関して白紙状態である学生に、綿密な授業デザインを描くことは重要であることを認識できる。特に各学科目間の有機的関連や指定規則との関係性等を把握し、国家試験受験資格を付与するための最低限必要な教育の質・量を担保し、当該大学の特徴を加味した授業デザインが重要になることを理解できる。授業を展開するときに重要になるのが、シラバスである。シラバスとは講義要項であり、教員自身の授業計画を学生に伝えるものである。授業に関する情報が書かれている。教員はシラバスに記述した内容に基づき指導を展開する。
③ 教育評価とは、教育の目的・目標を基準として学生の知識・技術・態度を調べ、あるいは測定した結果などの様々な条件を含めたうえで、総合的に価値決定を行うことである。教育活動の終了時に行われる事後評価は、教育目標に到達したことを確認するために重要であることを認識できる。また評価主体と評価対象について把握し、教育評価には自己評価、他者評価、相互評価があることを認識できる。さらに評価の対象として①知識・理解 ②技能・表現等の多様な事項があることを認識できる。本学が使用している授業時のコマシラバスは、履修判定指標により具体的な学習到達度を評価するように作成されている。また学生にとって身近な評価として、教員に対する授業アンケートやシラバスアンケートがあり、教員自身の教育評価としてさらなる資質の向上に役立っている。
キーワード ① シラバス ② 授業デザイン ③ 科目間の有機的 関係 ④ 国家試験受験 資格 ⑤ 教育内容の 質保証
コマの展開方法 社会人講師 AL ICT PowerPoint・Keynote 教科書
コマ用オリジナル配布資料 コマ用プリント配布資料 その他 該当なし
小テスト 「小テスト」については、毎回の授業終了時、manaba上において5問以上の、当該コマの小テスト(難易度表示付き)を実施します。
復習・予習課題 [復習]看護師教育指定規則と本校のカリキュラムを比較して、本校のカリキュラム上の特徴について考察する。一年時から四年時までの教科目の配置に関して、学習者の能力などを考慮したものであったか、レポートを作成し提出する。4年間の科目履修において、各教科目の授業評価やシラバス評価について改めて考えてみる。また教員から評価を受けた内容について再認識する。教科目や臨床実習科目において、自己評価や教員評価について再考する。[予習]次週は、当該科目の最終回である。最終回は、看護師として成長するためのキャリア開発について講義を行う。特に基礎教育課程から大学院課程への継続教育の重要性について論じる。また自身のキャリアデザインを描く。
8 看護職とキャリアデザイン 科目の中での位置付け 本科目は看護基礎教育課程の最終レベルに位置付き、学生が基礎科目・専門基礎科目・専門科目を学修した後、学生自身が学んできた「看護教育」について学びを深めるものである。第1回目は、わが国の看護教育がどのように変遷してきたのか、ナイチンゲールの思想、及びアメリカ等の看護教育と比較しつつ、看護職の教育の在り方を論じる。第2回目は、看護は実践の応用科学であることを踏まえ、看護学の理論教育と実践教育の関連性を論じる。第3回目は、看護学の学問体系を再考し、看護基礎教育課程(カリキュラム)の組み立て方、及び教育内容について論じ、第4回目では、看護学教育における臨地実習のあり方について論述する。第5回目は、人はどのように新しいことを学修するのかを論じ、看護教育における知識・技能・態度の学習を理解する。第6回目は、学生自身が看護教育において学んできたプロセスを再考し、学習意欲・学習活動・学習成果の諸理論を論じる。第7回目は、看護教育におけるシラバス・授業デザイン・評価について理解し、第8回目では、看護職として学び続けるための方策について論じる。このような流れの中で、第8回目は、看護職として学び続けるための方策について論じる。このような流れの中で、第8回目は、看護師として成長するためのキャリア開発について論じる。
・授業展開は、独自作成の講義概要を用いる。
・中井俊樹、小林忠資編著、看護のための教育学、P99~109、医学書院、2018
コマ主題細目 ① 看護師のキャリア ② 看護師のキャリア の課題 ③ 看護の専門性 取得の方法
細目レベル ① キャリアとは、「長期的な仕事生活における具体的な職務・職種・職能での経験と、それら仕事生活への意味づけや、将来展望のパターン」(金井、2002)と定義されていることを把握できる。具体的には昇進・昇格、役割取得、スぺシャリストなどを指すことを理解できる。またキャリア開発プランとして、各病院等においてクリニカル・ラダーが作られていることを理解できる。看護に関わる教育を、看護基礎教育、看護卒後教育、看護継続教育に大別すると、看護師のキャリアの形成は、看護継続教育に該当する。看護師が病院などの院内で教育を受けることを院内教育といい、看護師教育機関で育成された多くの看護師が受講する院内教育には、その施設自身に特有な教育プログラムがあり、さらには文部科学省、厚生労働省、地方自治体、日本看護協会をはじめとする社団法人などが看護継続教育機関を設置し、多様な教育プログラムを提供している。
② 看護師がキャリア開発を考えている時、様々なバリアーが存在することを認識できる。具体的には職場への不適応、出産や介護、結婚、リアリティショック、バーンアウト等がありそれらは離職につながっていることを把握できる。職業継続は個人の問題と考えられがちだが、人間は絶えず関係性の中で生きて生活しているわけだから、看護師のキャリアが職業継続を支配する様々な要因と結びついていることを把握する。前記しているように、職場環境、労働条件(仕事量・有給休暇・夜勤体制・給料・急病体制)、家族との関係性(夫や妻の理解度・子供の世話・舅や姑の価値観)、職場・同僚との関係性(コミュニケーション、協力関係、信頼性)、仕事上のモデルやメンター、個人としての確立、職業人としての確立、職業性に対するアイデンティティなどが指摘できる。
③ 自身のキャリア開発について、「なりたい自分を描く」ことが重要であることを理解できる。キャリア開発は、なりたい自分を描いたときに、その方向へと学習が進んでいくことを認識できる。卒後教育(看護師ライセンス取得後)において、新人看護師、中堅看護師、ベテラン看護師となってキャリアを形成していくが、中でも今日のわが国において、認定看護師、専門看護師、その他の資格取得によりスペシャリストを目指すことができることを認識する。さらに大学院での学びが存在する。わが国の大学院教育はまだ十分な成熟をしていないが、大学院修士課程での学びや大学院博士課程での学びが自身のキャリアを形成する。大学院教育は看護教員を目指す道でもあり、看護基礎教育において後輩育成の重要な役割を持つことを認識する。さらには国内にとどまらず、青年海外協力隊や海外の病院で働くこともできることを認識できる。
キーワード ① キャリア開発 ② クリニカル・ ラダー ③ バーンアウト ④ スペシャリスト ⑤ 看護職
コマの展開方法 社会人講師 AL ICT PowerPoint・Keynote 教科書
コマ用オリジナル配布資料 コマ用プリント配布資料 その他 該当なし
小テスト 「小テスト」については、毎回の授業終了時、manaba上において5問以上の、当該コマの小テスト(難易度表示付き)を実施します。
復習・予習課題 復習 ; 看護師のキャリア、及びキャリアの課題について概説した。新卒看護師のみならず、中堅看護師など、自身のキャリアについて常に問うことは重要なことである。キャリアとは自身の仕事生活や将来展望をどのように考えるか、意味づけるかなど、自身の人生をどのように全うしていくかを考えることであるため、自己実現について考えることである。生涯、実務のベテラン看護師として患者に寄り添うか、一定の臨床経験を経て、認定看護師、認定看護管理者、専門看護師への道に進むか、あるいは大学院博士前期課程・後期課程で学び看護教育の道に進むかなど、多くの選択肢が広がっている。どのような選択肢を選ぼうと、患者・家族、国民のために良質な医療・看護を提供するために自身のキャリアを形成することであり、またこのようなキャリア形成には多くの課題・問題も存在することを認識しなくてはならない。キャリア形成は決して平坦な道ではなく、多くのバリアーを乗り越えていく覚悟も必要なことを自覚する。

履修判定指標
履修指標履修指標の水準キーワード配点関連回
看護師養成教育 看護師養成教育とは、看護基礎教育課程における看護学の教育を指し、教育課程修了後には、看護専門学校においては課程修了を認定し、短期大学においては短期大学士、大学においては学士を授与し、同時に看護師国家試験の受験資格を与えるという共通した目的を持った職業人を育成する教育であることを説明できること。看護師の資格を得るためには、看護師の教育課程で看護師国家試験受験資格を得たうえで、看護師国家試験に合格しなければならない。看護師国家試験受験資格は、「保健師助産師看護師法」第21条で定められている。保健師の免許を得るためには、保健師教育課程を終えて保健師国家試験の受験資格を得たうえで、保健師国家試験に合格しなければならない。保健師国家試験受験資格は、「保健師助産師看護師法」第19条で定められている。また助産師の資格を得るためには助産師の教育課程で助産師国家試験の受験資格を得たうえで、助産師国家試験に合格しなければならない。助産師国家試験受験資格は、「保健師助産師看護師法」第20条で定められていることを説明できること。 看護基礎教育課程 学士
国家試験受験資格 職業人養成
20 1 2 3
看護教育の授業形態 看護教育の授業形態には、学内授業と学外授業がある。学内授業は、講義、演習があり、学外授業は臨地実習がある。講義の内、原基的な授業形態は講義ー受容学習(一斉学習)である。演習は教員によるデモンストレーションや学生が看護師・患者・家族等の役割を演じて授業を展開する。臨地実習は、患者やクライエントが存在する実際の場面(病院や自宅、施設等)において、学生が教員や臨床指導者の指導の下に、看護を実際に行う授業方法をいう。これらのことを説明できること。さらに、授業の成立要件(3要素)について説明できること。 学内授業 学外授業 講義
演習 臨地実習
20 2
看護教育における学習の特徴 看護教育における必要な学習は、知識、技能、態度である。知識の領域における学習は記憶や理解に関する能力で、認知領域ともいう。言葉を覚えたり、疾患に関する治療法を理解することが該当する。技能の領域は、手技や運動に関わる能力で、精神運動領域ともいう。採血の技術や注射の技術、シーツ交換等が該当する。態度の領域は、興味・関心・価値観に関わる能力で、情意領域ともいう。知りたいという好奇心、リハビリへの積極性、生活改善への意欲をもつことなどが該当する。これらのことを説明できること。 知識 技能 態度 認知領域 精神運動領域 情意領域  20 4 5
成人学習者 成人学習者とは、後期中等教育を修了し、高等教育か、あるいはそれに準じる教育を受ける人たちを指す。看護教育は成人学習者を対象とする高等教育である。成人学習者の特徴は、「学習者としての自己概念は、依存的パーソナリティから脱皮し、自己管理性を増大する」「学習者の経験は、自他の豊かな学習資源としての役割を増大する」「学習のレディネスは生活課題や生活問題から発達する」「学習へのオリエンテーションは、学科中心から課題中心ないしは問題中心へと変化する」「学習への動機づけは、外部から与えられる報酬や処罰よりも、内発的な誘因がより重要となる」と言うことを説明できること。 成人学習者 高等教育 自己概念 自己管理性 課題中心 問題中心 内発的動機付け   20 6
学生の学習意欲と学習活動、学習効果の関係 学習意欲は、学習活動、学習効果と関連しており、学習効果は学習成果による満足感あるいは不満足感を惹起させる。高い学習成果が高い学習意欲と共に適切な学習活動を介して結びついていることを説明できること。また適切な学習活動は、多くの場合、適切な教授活動と結びついており、教授活動の質も考慮する必要があることを説明できること。また学習意欲は、学習への動機づけとほぼ同義であり、動機づけは、内発的動機付け、外発的動機付けに区分され、内発的動機付けとはどのようなことを言うのか、外発的動機付けとはどのようなことを言うのかを説明することができること。 学習意欲 学習活動 学習成果 学習効果 満足感・不満足感 教授活動 20 6 7
評価方法 期末試験(100%)によって評価する。
評価基準 評語
    学習目標をほぼ完全に達成している・・・・・・・・・・・・・ S (100~90点)
    学習目標を相応に達成している・・・・・・・・・・・・・・・ A (89~80点)
    学習目標を相応に達成しているが不十分な点がある・・・・・・ B (79~70点)
    学習目標の最低限は満たしている・・・・・・・・・・・・・・ C (69~60点)
    学習目標の最低限を満たしていない・・・・・・・・・・・・・ D (60点未満)
教科書 茂野香おる他著、系統看護学講座 専門分野Ⅰ 看護学概論 基礎看護学①、医学書院、2400円
参考文献 参考文献は講義時にその都度提示します。
実験・実習・教材費