区分 (生)フィールド生態科目 フィールド生態共通科目
ディプロマ・ポリシーとの関係
専門性 理解力 実践力
カリキュラム・ポリシーとの関係
専門知識 教養知識 思考力
実行力
カリキュラム全体の中でのこの科目の位置づけ
個人・社会・自然が直面する課題に対して専門的な理解を深めると共に、学際的な柔軟性を有し、実践的な能力を有する。グローバルな視野を持ち、国際社会に貢献できる力を有する。
科目の目的
フィールドにおける生態学的研究は、常に変化している自然環境を科学的に理解し、保全・管理していくために必要不可欠なものである。本科目は、フィールド生態学科の1年次前期科目として、フィールド生態学科に所属する全教員が、それぞれの専門分野に基づき、フィールドにおける生態学的研究の意義や、最新の研究内容、今後行われる授業内容などを具体的に紹介することで、フィールド生態学科の学びの内容や対象とする範囲を示すものである。これらの内容の理解をもとに、将来の自分像に向けた成長のステップとして、フィールド生態学科での4年間の学びを位置づけることを目的とする。
到達目標
フィールド生態学科での学びの全体像を理解し、卒業研究や、卒業後のありたい自分像に向けた成長のステップとして、フィールド生態学科での学びを位置づけることを目標とする。そのために、フィールド生態学科の学びの内容や範囲を、「陸生動物生態領域」、「水生動物生態領域」、「植物生態領域」、「生態系機能評価領域」の専門領域ごとに、選択問題や単語記述問題等の小問で解答できる程度に理解するとともに、各自が希望する将来像に対し、フィールド生態学科の学びがどのように役立つかを200字から400字程度で説明できる程度に理解する。具体的には、後に示す履修判定指標を参照のこと。
科目の概要
フィールド生態学は、フィールド生態学科の目指すところである、フィールド(自然環境、人の生活環境、およびその境界領域)における“生態学”のことである。ここでいう“生態学”は、「生物の生活の法則をその環境との関係で解き明かす科学」であり、個々の生物が環境中でどのように生活しているかという種(種)の生態の解明から、生物と化学的環境からなる生態系の構造や機能の評価までを含むものである。しかしながら、生態系内には様々な生物や化学物質が存在するため、すべてを網羅的に学ぶことは難しい。フィールド生態学科では、生態系を構成するもののうち、陸上に生きる動物(陸生動物:哺乳類、鳥類、昆虫類等)、水中に生きる動物(水生動物:海生哺乳類、淡水魚、海水魚等)、植物(草本類、木本類、農作物等)、動植物を介して環境中を循環する化学物質(栄養塩、重金属、水環境等)を主な学びの対象に据え、これらのつながりからなる『生態系』の全体像や、個々の動植物の『生態』を解明していくこととした。

このような考えのもと、フィールド生態学科には、「陸生動物生態領域」、「水生動物生態領域」、「植物生態領域」、「生態系機能評価領域」の4つの領域が設けられている。これら4つの領域には、それぞれ2人から3人の教員が配置されている。それぞれの教員は、共通してフィールドでの生態学的研究を得意とするが、領域内においても互いに異なる専門分野をもつため、フィールドで生じる自然現象についての幅広い理解と深い専門性を身に着けることが可能である。フィールド生態学科で学ぶ者は、必修科目をただ漫然と学ぶのではなく、各領域や各教員の専門性をよく理解し、積極的に履修する授業や、所属する領域やゼミを選択していくことで、各自の理想とする将来像に向けた自身の成長を最大化できるはずである。

本科目『フィールド生態学入門』では、それぞれの教員が展開する教育・研究の内容を、担当者が具体的に紹介することを通じて、フィールドにおける生態学的研究の意義や、各分野の最先端の研究内容、今後行われる授業内容などを紹介する。具体的には、第1回にフィールド生態学科全体の概要や、4つの領域それぞれの専門性を紹介する。第2回から第14回には、それぞれの領域の学びの特徴や、各教員の専門分野における最先端の研究内容や授業で取り扱う主な内容を紹介する。最終回となる第15回では、これまでの学びの内容をふまえ、今後、どのような点に重きを置いてフィールド生態学科で学んでいくか、各自の考えをまとめていく。

科目のキーワード
①フィールド生態学 ②フィールド ③生態学 ④陸生動物 ⑤水生動物 ⑥植物 ⑦生態系機能 ⑧研究 ⑨授業科目 ⑩キャリアパス
授業の展開方法
本科目の授業は回ごとに担当教員が変わるオムニバス形式で行う。概要説明を行う第1回は、履修の手引き、パワーポイント、配布資料などを用いた講義形式で行う。2つの領域ごとに領域の学びに関するフィールドや設備を紹介する第2回と第9回は、学内外のフィールドや実習室において、各領域・各教員がフィールドをどのように見て、どのような方法で調査しているかについての説明や、簡単な実験・実習を行う。第3回から第8回と第10回から第14回は、フィールド生態学科の各教員が専門とする研究分野や授業内容などを紹介する回である。これらの回は、各教員がパワーポイント、配布資料、調査道具などを用いて講義や簡単な実験・実習などを実施する。最終回となる第15回では、各学生がどのような将来像を見据えて、フィールド生態学科で何を学ぶかを考えるための回であり、配布資料やパソコンを用いて考えを整理する。各授業の最後には、各回で押さえておくべきポイントを確認する小テストを行う。
オフィス・アワー
神本祐樹:【火曜日】1時限目(前期のみ)、2時限目、3・4時限目(後期のみ)、【水曜日】1時限目、【金曜日】2時限目、昼休み・3・4時限目(前期のみ)
藤井芳一:【月曜日】3・4時限目(後期のみ)、【火曜日】1時限目、2時限目(前期のみ)、【木曜日】1・2時限目・昼休み、【金曜日】1時限目
森岡伸介:【月曜日】2時限目・昼休み(後期のみ)、【火曜日】2時限目・昼休み(後期のみ)、【木曜日】昼休み
横家将納:【火曜日】昼休み・3・4・5時限目、【木曜日】昼休み・3・4・5時限目
立脇隆文:【月曜日】昼休み(前期のみ)、【火曜日】昼休み(後期のみ)、【木曜日】昼休み
藤井伸二:【月曜日】2時限目・昼休み(後期のみ)、【火曜日】2時限目・昼休み(前期のみ)、【水曜日】2時限目・昼休み、【木曜日】昼休み(前期のみ)、【金曜日】昼休み(前期のみ)
江口則和:【月曜日】1時限目・昼休み、【火曜日】昼休み、【水曜日】1時限目・昼休み、【金曜日】2時限目
西田美紀:【火曜日】昼休み、3・4時限目(前期のみ)、5時限目、【水曜日】昼休み、【木曜日】1・2時限目、【金曜日】2時限目・昼休み
久松定智:【月曜日】2時限目・昼休み、【火曜日】昼休み
岡久雄二:【火曜日】2時限目・昼休み、3時限目(前期のみ)、【水曜日】昼休み・3時限目、【木曜日】2時限目(前期のみ)、昼休み・3時限目
中束明佳:【火曜日】昼休み・3・4時限目、【水曜日】1・昼休み・3・4時限目(会議日は除く)、【木曜日】昼休み

科目コード ENS203
学年・期 1年・前期
科目名 フィールド生態学入門
単位数 4
授業形態 講義
必修・選択 必修
学習時間 【授業】90分×15 【予習】90分以上×15 【復習】90分以上×15
前提とする科目 なし
展開科目 フィールド生態学基礎実習
関連資格 なし
担当教員名 神本祐樹・藤井芳一・森岡伸介・横家将納・立脇隆文・藤井伸二・江口則和・西田美紀・久松定智・岡久雄二・中束明佳
主題コマシラバス項目内容教材・教具
1 フィールド生態学の概要 科目の中での位置付け 本科目では、フィールド生態学科の学びの内容を4つの領域および各教員が具体的に伝えることで、本学科の学びの内容や対象とする範囲を明らかにするものである。具体的には、第1回にフィールド生態学科の概要や、4つの領域それぞれの専門性を紹介する。第2回は陸生動物生態領域と植物生態領域の教員による領域の学びや野外施設の紹介を行う。第3回から第5回は陸生動物生態領域の各教員の専門分野における最先端の研究内容や授業で取り扱う主な内容を紹介し、第6回から第8回は植物生態領域の各教員の専門分野における最先端の研究内容や授業で取り扱う主な内容を紹介する。続く第9回には、水生動物生態領域と生態系機能評価領域の教員による領域の学びや野外調査体験を行う。第10回から第12回は、水生動物生態領域の各教員の専門分野における最先端の研究内容や授業で取り扱う主な内容を紹介し、第13回から第14回は、生態系機能評価領域の各教員の専門分野における最先端の研究内容や授業で取り扱う主な内容を紹介する。ここまでの学びの内容をふまえ、第15回は、今後、どのような点に重きを置いてフィールド生態学科で学んでいくか、各自の考えをまとめていくコマとする。このような科目構成の中で、第1回は、フィールド生態学科のコンセプトを確認し、4つの領域の特徴を紹介しながらカリキュラムを概観する。
【コマ主題細目①】
人間環境大学 環境科学部 履修の手引き『フィールド生態学科(概要・特色)-フィールド生態学科の概要-』

【コマ主題細目②】
人間環境大学 環境科学部 履修の手引き『フィールド生態学科科目表』

【コマ主題細目③】
人間環境大学 環境科学部 履修の手引き『フィールド生態学科(概要・特色)-フィールド生態学科の特色-』
コマ主題細目 ① フィールド生態学 ② カリキュラム ③ 4つの領域
細目レベル ① 科目の概要にも示した通り、フィールド生態学は、フィールド生態学科の目指すところである、フィールド(自然環境、人間の生活環境、およびその境界領域)における“生態学”のことである。ここでいう“生態学”は、「生物と環境の関係を解き明かす科学」であり、個々の生物が環境中でどのように生活しているかという種生態の解明から、生物と化学的環境からなる生態系の構造や機能の評価までを含むものである。生態系内には様々な生物や化学物質が存在するため、すべてを網羅的に学ぶことは難しいため、フィールド生態学科では、生態系の構成要素のうち、陸上に生きる動物(哺乳類、鳥類、昆虫類等)、水中に生きる動物(海生哺乳類、魚類等)、動物や人の生存の基盤となる植物、動植物の体内や環境中を循環する化学物質を主な学びの対象にすえ、これらのつながりからなる「生態系」や、個々の動植物の「生態」をとらえていく。


② フィールド生態学科の科目には、本学科の中核となる科目を配置するフィールド生態科目、情報や社会について学ぶ環境データサイエンス科目、基礎学力をつけるための学部共通科目の3つの科目群がある。このうち、フィールド生態科目には、フィールド生態学科の学びの中心となるフィールド生態共通科目と、個々の専門領域に特化した科目群である動物生態共通科目、陸生動物生態科目、水生動物生態科目、植物生態科目、生態系機能評価科目が配置されている。フィールド生態科目は1年次から4年次に修得する。この科目のうち、学科共通の基礎となる科目は1年次から2年次に修得し、4領域それぞれの基礎的な知識や技術を扱う科目は2年次に修得する。1年次から2年次の基礎知識をもとに、領域ごとの社会問題に取り組むための専門知識や専門技術を3年次に修得する。また、卒業論文に向けた演習科目を2年次から4年次に修得する。


③ フィールド生態学科には、「陸生動物生態領域」、「水生動物生態領域」、「植物生態領域」、「生態系機能評価領域」の4つの領域があり、これらの領域にはそれぞれ2から3人の教員が配置されている。 「陸生動物生態領域」は、陸上に生きる動物について専門に学ぶ領域である。「陸生動物生態領域」には、陸生哺乳類の専門家である立脇先生、鳥類の専門家である岡久先生、昆虫類の専門家である久松先生の3人がおり、各種動物の生態や保護管理等についての授業や研究が展開される。「水生動物生態領域」は、水中に生きる動物について専門に学ぶ領域である。「水生動物生態領域」には、海生哺乳類の専門家である西田先生、淡水魚の専門家である森岡先生、海水魚の専門家である中束先生の3人がおり、各種動物の生態や保護管理等についての授業や研究が展開される。「植物生態領域」は、植物について専門に学ぶ領域である。農作物の専門家である横家先生、植物の分類の専門家である藤井伸二先生、森林の保全管理の専門家である江口先生の3人がおり、植物の生態や管理等の授業や研究が展開される。「生態系機能評価領域」は、化学の観点から生態系機能を評価する領域である。「生態系機能評価領域」には、重金属や土壌が専門の藤井芳一先生、水環境が専門の神本先生がおり、環境中の化学物質の動態などについての授業や研究が展開される。


キーワード ① フィールド生態学 ② 陸生動物生態領域 ③ 水生動物生態領域 ④ 植物生態領域 ⑤ 生態系機能評価領域
コマの展開方法 社会人講師 AL ICT PowerPoint・Keynote 教科書
コマ用オリジナル配布資料 コマ用プリント配布資料 その他 該当なし
小テスト 「小テスト」については、毎回の授業終了時、manaba上において5問以上の、当該コマの小テスト(難易度表示付き)を実施します。
復習・予習課題 【このコマを受けるにあたっての予習課題】
 コマシラバス1回目の細目レベルを読み、今回の授業において扱う内容の主たる事項について理解しておく。その上で、よくわからない内容や記述、理解できなかった点を各自ノート等に書き留めておく。また、関連する履修の手引きをオリエンテーションでの説明を思い出しながら読み直しておくと、授業に余裕を持って参加することができる。

【このコマを受けた後の復習課題】
 授業内容の振り返りとして、改めてコマシラバス2回目の細目レベルを読み、授業中の説明事項を思い出しながら、4つの領域それぞれの学びの内容や特徴を200字から400字でノートにまとめておく。また、4つの領域それぞれに対し、興味を惹かれた事柄を2つ以上箇条書きで書き出し、それらを眺めながら、現時点でどの領域に進みたいかの優先順位を付けておく。このようにして自身の学びたいことを明確化していくことができる。

2 フィールド調査の視点 -陸生動物生態領域&植物生態領域- 科目の中での位置付け  本科目では、フィールド生態学科の学びの内容を4つの領域および各教員が具体的に伝えることで、本学科の学びの内容や対象とする範囲を明らかにするものである。具体的には、第1回にフィールド生態学科の概要や、4つの領域それぞれの専門性を紹介する。第2回は陸生動物生態領域と植物生態領域の教員による領域の学びや野外施設の紹介を行う。第3回から第5回は陸生動物生態領域の各教員の専門分野における最先端の研究内容や授業で取り扱う主な内容を紹介し、第6回から第8回は植物生態領域の各教員の専門分野における最先端の研究内容や授業で取り扱う主な内容を紹介する。続く第9回には、水生動物生態領域と生態系機能評価領域の教員による領域の学びや野外調査体験を行う。第10回から第12回は、水生動物生態領域の各教員の専門分野における最先端の研究内容や授業で取り扱う主な内容を紹介し、第13回から第14回は、生態系機能評価領域の各教員の専門分野における最先端の研究内容や授業で取り扱う主な内容を紹介する。ここまでの学びの内容をふまえ、第15回は、今後、どのような点に重きを置いてフィールド生態学科で学んでいくか、各自の考えをまとめていくコマとする。このような科目構成の中で、第2回は、陸域動物生態領域および植物生態領域の教員が合同で実施する。フィールド調査内容を学ぶために、大学付属演習林及び農場に行き、各教員から演習林、農場を利用した調査方法、研究事例の説明を受ける。これらの説明から、現在本学で実施している調査研究について理解する。
【コマ主題細目①】
野生鳥獣被害防止マニュアル-総合対策編-企画編集委員会『野生鳥獣被害防止マニュアル-総合対策編-』、農文協プロダクション、東京、2018年、7-40頁。
槐真史(編著)・伊丹市昆虫館(監修)『日本の昆虫 1400 ①チョウ・バッタ・セミ』、文一総合出版、2013年。
槐真史(編著)伊丹市昆虫館(監修)『日本の昆虫 1400 ②トンボ・コウチュウ・ハチ』、文一総合出版、2013年。
環境省生物多様性センター・自然保護協会『モニタリングサイト1000里地調査マニュアル』、2015年、12頁。
日本野鳥の会 『新・山野の鳥』、2013年。
長田武正『原色日本帰化植物図鑑』、保育社、大阪、1976年。
清水矩宏・森田弘彦・廣田伸七編著『日本帰化植物写真図鑑–Plant invader 600種–』、全国農村教育協会、東京、2001年。
森林立地調査法編集委員会(編)『森林立地調査法 森の環境を測る』、博友社、東京、1999年、43-56頁。
種生物学会(編)『森林の生態学 長期大規模研究からみえるもの』、文一総合出版、2006年、301-323頁。
生井兵治・相馬暁・上松信義(編著)『新版 農業の基礎』、農山漁村文化協会、2003年、22-54頁。

【コマ主題細目②】
槐真史(編著)・伊丹市昆虫館(監修)『日本の昆虫 1400 ①チョウ・バッタ・セミ』、文一総合出版、2013年。
槐真史(編著)伊丹市昆虫館(監修)『日本の昆虫 1400 ②トンボ・コウチュウ・ハチ』、文一総合出版、2013年。
長田武正『原色日本帰化植物図鑑』、保育社、大阪、1976年。
清水矩宏・森田弘彦・廣田伸七編著『日本帰化植物写真図鑑–Plant invader 600種–』、全国農村教育協会、東京、2001年。
森林立地調査法編集委員会(編)『森林立地調査法 森の環境を測る』、博友社、東京、1999年、43-56頁。
種生物学会(編)『森林の生態学 長期大規模研究からみえるもの』、文一総合出版、2006年、301-323頁。

【コマ主題細目③】
野生鳥獣被害防止マニュアル-総合対策編-企画編集委員会『野生鳥獣被害防止マニュアル-総合対策編-』、農文協プロダクション、東京、2018年、7-40頁。
環境省生物多様性センター・自然保護協会『モニタリングサイト1000里地調査マニュアル』、2015年、12頁。
日本野鳥の会 『新・山野の鳥』、2013年。
生井兵治・相馬暁・上松信義(編著)『新版 農業の基礎』、農山漁村文化協会、2003年、22-54頁。
コマ主題細目 ① フィールドでの学び ② 演習林ツアー ③ 付属第1農場ツアー
細目レベル ① 陸生動物生態領域および植物生態領域の各教員より、岡崎キャンパス演習林や農場における学びについて、現地説明を受ける。立脇准教授(野生動物保全学)より、農地の周りに張られている獣害防止柵を観ながら、野生動物の農業被害について紹介を受ける。久松講師(昆虫分類学)より、演習林等で見られる昆虫の種類やその生態、昆虫の調査手法等について、解説を受ける。岡久助教(保全鳥類学)より、農地等で見られる鳥類の生態や観察法について解説を受ける。横家教授(農業環境工学・食品学)より、付属第1農場の見学を通して、露地栽培の特徴について学ぶ。藤井(伸)准教授(植物分類学・保全生物学)より、外来植物の生育環境と在来植物の生育環境の違い、外来植物を増やす原因、在来植物への影響などについてキャンパス周辺の植物を材料に解説を受ける。江口講師(森林科学)より、針葉樹、落葉広葉樹、常緑広葉樹の違いを学ぶとともに、森林調査の基本である樹木のサイズ測定(胸高直径及び樹高の測定)方法を学ぶ。
② 本学には、正門から大学建物へ向かう道の南面に演習林が存在している。広さは約17,000平方メートル(1.7ha)と、この規模の私立大学の所有する演習林としては非常に広大な森林であるといえる。本演習林の構成は、主に落葉広葉樹・常緑広葉樹から成る里山林であり、これまでの調査から数多くの動植物の生息が確認されている。大学建物からも徒歩数分でアクセスできるため、環境科学部の各種実習、卒業研究など、幅広く利用されている。
 本項では、実習や研究で演習林を利用している3教員から、それぞれどのように演習林を利用しているか、どのような調査を行っているかなど、実際に演習林の中で説明を受け理解する。学生は3グループに分かれて、演習林内の様々な地点で待機している各教員のところまで赴き、調査内容などの説明を受ける。説明後は、別の教員の待機地点まで行き、再び説明を受ける。3人の専門分野の異なる教員から説明を受けることで、同じような森林環境であっても、専門分野の違いによって見ている風景が大きく異なることを実感してもらいたい。さらに、自分ならば演習林を使ってどのような視点で調査研究を行いたいかを考えることとする。

③ 本学付属第1農場を見学する。本学付属第1農場では主に蔬菜(野菜)を対象に露地栽培(施設を使わず屋外の畑で栽培すること)を行っている。露地栽培はその農産物が本来育つべき季節に合わせて、自然に近い環境下で 行われる栽培であり、自然環境の影響を強く受ける。したがって、農産物の特性だけでなく、その土地の自然環境特性についても理解していなければ収穫を得ることはできない。さらに圃場の生産に影響を与える自然環境要因には気候的要因だけではない。とりわけ里山部では近年、鳥獣害が顕在化する傾向にあり、付属農場も例外ではない。こうした被害が顕在化するようになった背景には、どのような要因があるのか、そしてどのような対策をするべきなのか、さらには野生動物と共存する道はあるのかなど、農業生産と自然保護、農村問題など様々な視点からの問題提起を受ける。
キーワード ① 演習林 ② 農場 ③ 植物生態 ④ 動物生態 ⑤ 調査方法
コマの展開方法 社会人講師 AL ICT PowerPoint・Keynote 教科書
コマ用オリジナル配布資料 コマ用プリント配布資料 その他 該当なし
小テスト 「小テスト」については、毎回の授業終了時、manaba上において5問以上の、当該コマの小テスト(難易度表示付き)を実施します。
復習・予習課題 【このコマを受けるにあたっての予習課題】
最初に、コマシラバス2回目の細目レベルを読み、今回の授業の中で実施することを理解しておく。次に、コマシラバスの中で、よくわからない点、理解できなかった点をピックアップしておく。できればそのことについて、参考文献やインターネットにより、あらかじめ調べておくとよい。一連の作業を実施することで、講義内容の理解が深めることができる。

【このコマを受けた後の復習課題】
授業後に、もう一度コマシラバス2回目の細目レベルを読み、今回の授業の中で学んだ内容について再度確認する。また、授業中に示した配布資料を見直し、理解できなかったこと、難しかったことを少なくするように努める。授業を通じて特に興味を持った内容については、それぞれの細目課題の中で提示した文献を参考にして、自身の興味関心を深堀しておく。本授業はフィールド生態学3回目~8回目の導入であるとともに、それぞれの回のつながりを学ぶものでもあるので、次回以降の授業の理解を深めるためにも、本内容を確実に見直してもらいたい。

3 野生哺乳類との共存を目指す(立脇) 科目の中での位置付け 本科目では、フィールド生態学科の学びの内容を4つの領域および各教員が具体的に伝えることで、本学科の学びの内容や対象とする範囲を明らかにするものである。具体的には、第1回にフィールド生態学科の概要や、4つの領域それぞれの専門性を紹介する。第2回は陸生動物生態領域と植物生態領域の教員による領域の学びや野外施設の紹介を行う。第3回から第5回は陸生動物生態領域の各教員の専門分野における最先端の研究内容や授業で取り扱う主な内容を紹介し、第6回から第8回は植物生態領域の各教員の専門分野における最先端の研究内容や授業で取り扱う主な内容を紹介する。続く第9回には、水生動物生態領域と生態系機能評価領域の教員による領域の学びや野外調査体験を行う。第10回から第12回は、水生動物生態領域の各教員の専門分野における最先端の研究内容や授業で取り扱う主な内容を紹介し、第13回から第14回は、生態系機能評価領域の各教員の専門分野における最先端の研究内容や授業で取り扱う主な内容を紹介する。ここまでの学びの内容をふまえ、第15回は、今後、どのような点に重きを置いてフィールド生態学科で学んでいくか、各自の考えをまとめていくコマとする。このような科目構成の中で、第3回は、陸上の哺乳類を専門とする立脇が担当し、野生動物の調査研究の実際を紹介する。
【コマ主題細目①】
羽山伸一・三浦慎悟・梶光一・鈴木正嗣編(2016)『増補版 野生動物管理-理論と技術-』.文栄堂出版. p.155-181, 195-239.281-328.

【コマ主題細目②】
羽山伸一・三浦慎悟・梶光一・鈴木正嗣編(2016)『増補版 野生動物管理-理論と技術-』.文栄堂出版. p.155-181, 195-239.281-328.

【コマ主題細目③】
配布資料『立脇ゼミ卒業論文題目一覧』。

【コマ主題細目④】
立脇ゼミ2020年度卒業論文『インターネットを用いたオコジョの分布調査』。ノートパソコン(各自持参)。
コマ主題細目 ① 野生動物の研究 ② 野生哺乳類の調査技術 ③ 立脇ゼミの紹介 ④ 調査体験
細目レベル ① 研究には、物事の法則を理解することを目指した基礎科学的な研究と、人間社会における問題解決を目指した応用科学的な研究の2種類がある。野生哺乳類の基礎科学的な研究には、対象とする動物種がどこに生息し(分布)、どのように行動して(行動)、何を食べ(食性)、どの程度エネルギーを得て(栄養状態)、いつ何頭ぐらい子を産むか(繁殖)など、動物の基礎生態を調べることなどが含まれる。一方、野生哺乳類の応用科学的な研究では、個体数を調べ(生息数推定)、個体数が少なくなり絶滅の危機にある動物たちをどのように守っていくか(保護)、増えすぎたシカによる農業被害や森林への影響をどのように食い止めていくか(管理)などが含まれる。こうした研究の積み重ねによってはじめて、野生哺乳類を理解し、共存・共生の道を選ぶ歩むことができるのである。ここでは、野生哺乳類の研究の主な種類を理解するところまでを目指す。


② 野生哺乳類を研究しようとしたときに最初にぶつかるのは、「見れない」という壁である。野生哺乳類は主に夜行性であり、人が近づくと逃げてしまうため、他の生物と比べて観察が難しい傾向にある。そうした中で、研究を進めていくために、様々な調査方法が考案されている。例えば、動物が採食する食物を調べるには、動物の直接観察や生息地の採食痕調査などから調べていく方法や、胃内容物や糞の分析をする方法、食物に含まれる炭素や窒素の安定同位体比の違いから採食物を推定する方法などがある。また、動物の移動や生息地利用を調べるには、足跡などの痕跡を追跡する方法や、VHF電波発信機、GPSテレメーター、PTT等を用いて標識個体の位置情報などを遠隔的に取得するラジオトラッキング法などが用いられる。野生哺乳類は観察しづらい対象ではあるが、こうした調査技術を修得することで彼らの生態を明らかにすることができる。ここでは、野生哺乳類の主な調査技術の種類を理解するところまでを目指す。


③ フィールド生態学科では3年次よりフィールド生態学演習という演習科目が始まり、4年次に提出する卒業論文の執筆に向けた調査研究を始めることになる。立脇ゼミでは野生哺乳類との共存を目指し、野生哺乳類などの基礎生態の調査や、野生哺乳類の保護管理に資する研究を行ってきた。野生動物の保護・管理においては、その基礎としてどこに生息しているか(分布)や、どこにどのくらい生息しているか(密度分布)を明らかにする必要があるため、これらの研究を行う学生が多い傾向にある。岡崎市内の自動撮影調査を用いた分布・密度調査、ロードキル(動物の交通事故死)や被害情報の集約を進めており、情報が蓄積されつつある。他にも、糞分析や胃内容物分析による食性調査や、発信器やGPS首輪を用いた行動追跡調査、被害低減を目指した施策の検証など幅広く行っている。主な研究対象は野生哺乳類としているが、ネコなどの伴侶動物や、動物園動物、爬虫類などの調査についても実績がある。ここでは、立脇ゼミの卒業研究の内容がどのようなものであるかを理解するところまでを目指す。


④ 野生哺乳類の研究の体験として、立脇ゼミの卒業研究として行われた「インターネットを用いたオコジョの分布調査」を追体験する。野生哺乳類はどこにでも生息できるわけではなく、気温などの無機的な環境条件や餌資源や捕食者などの生物的な環境条件などが適した場所にのみ生息できる。こうした条件の組み合わせは生態学の中で、(生態)ニッチと呼ばれるものである。野生哺乳類の生息有無を広い範囲で明らかにすると、野生哺乳類が生息できるニッチを推測することができ、環境変動に対する野生哺乳類の応答を予想することができるのである。ここでは、インターネット上で「(山名)+オコジョ」を検索ワードとしてオコジョの写真を検索し、地図上に生息有無をまとめることで、オコジョのニッチを考察するとともに、将来のオコジョの分布の予想を試みる。ここでは、分布調査の実際とニッチの推定について概要を理解するところまでを目指す。


キーワード ① 野生哺乳類 ② 野生哺乳類の調査技術 ③ 卒業研究 ④ 分布図 ⑤ ニッチ
コマの展開方法 社会人講師 AL ICT PowerPoint・Keynote 教科書
コマ用オリジナル配布資料 コマ用プリント配布資料 その他 該当なし
小テスト 「小テスト」については、毎回の授業終了時、manaba上において5問以上の、当該コマの小テスト(難易度表示付き)を実施します。
復習・予習課題 【このコマを受けるにあたっての予習課題】
コマシラバス3回目の細目レベルを読み、今回の授業において扱う内容の主たる事項について理解しておく。その上で、よくわからない内容や記述、理解できなかった点を各自ノート等に書き留めておく。また、教材・教具に示した書籍を図書館で読むなどすると、授業に余裕を持って参加することができる。

【このコマを受けた後の復習課題】
授業後に、改めてコマシラバスの3回の細目レベルを再度読み内容を確認する。その際、授業内で理解が難しかったことについて印をつけ、配布資料を読み返して理解する。コマシラバスや配布資料を読み返しても、理解が難しかった内容については、インターネットや、図書館の書籍で調べ、それでもわからない場合には担当教員に質問に行く。また、授業の際に興味関心を抱いた事項について、インターネットや書籍を用いて調べることで、学びを深めることができる。また、キーワードについて、本授業で学んだことを踏まえて説明できるようにしておく。

4 昆虫の多様性を体感する~昆虫の分類・同定~(久松) 科目の中での位置付け 本科目では、フィールド生態学科の学びの内容を4つの領域および各教員が具体的に伝えることで、本学科の学びの内容や対象とする範囲を明らかにするものである。具体的には、第1回にフィールド生態学科の概要や、4つの領域それぞれの専門性を紹介する。第2回は陸生動物生態領域と植物生態領域の教員による領域の学びや野外施設の紹介を行う。第3回から第5回は陸生動物生態領域の各教員の専門分野における最先端の研究内容や授業で取り扱う主な内容を紹介し、第6回から第8回は植物生態領域の各教員の専門分野における最先端の研究内容や授業で取り扱う主な内容を紹介する。続く第9回には、水生動物生態領域と生態系機能評価領域の教員による領域の学びや野外調査体験を行う。第10回から第12回は、水生動物生態領域の各教員の専門分野における最先端の研究内容や授業で取り扱う主な内容を紹介し、第13回から第14回は、生態系機能評価領域の各教員の専門分野における最先端の研究内容や授業で取り扱う主な内容を紹介する。ここまでの学びの内容をふまえ、第15回は、今後、どのような点に重きを置いてフィールド生態学科で学んでいくか、各自の考えをまとめていくコマとする。このような科目構成の中で、第4回では、昆虫についてその形態・生態的特徴の概要を示す。その後に標本をもとに、目(もく)までの同定を実際におこなう。昆虫の特徴について概要を把握し、目までの同定がおこなえるようになることを目標とする。
【コマ主題細目①】
自然環境教育センター『改訂版生物分類技能検定3級・4級解説集』、自然環境研究センター、2020年。

【コマ主題細目②】
平嶋義宏・広渡俊哉編著『教養のための昆虫学』、東海大学出版部、2017年、5-20頁。
平嶋義宏・森本桂・多田内修『昆虫分類学』、川島書店、1989年、92-115頁。
石川良輔『昆虫の誕生』、中公新 {書、1996年、2-28頁。

【コマ主題細目③】
馬渡峻輔『動物分類学30講』、朝倉書店、2012年。

【コマ主題細目④】
大原昌宏・澤田義弘『パラタクソノミスト養成講座:昆虫(初級)目までの分類後同定編』、北海道大学総合博物館、2006年。
コマ主題細目 ① 昆虫に関する調査研究 ② 昆虫とは ③ 同定と分類学 ④ 昆虫の目までの同定
細目レベル ① この回では、大学生活で取り組む調査研究に備え、昆虫の形態・分類・生態などについて、実際の昆虫標本やその他資料をもとに学びを深める。また、担当する久松の専門である昆虫分類学・保全生物学の話題を中心に、教員自身の研究内容の紹介も含めながら授業は展開される。この回は、一年生後期から開講されるフィールド生態学基礎実習や環境昆虫学、そして三年生前期から開講される動物学実習、演習等へと発展する基礎となるものでもある。大学卒業後に生物関係の業種を望む場合、分類技能検定・ビオトープ管理士など、生物関係の資格は一年生の内から取得に向けて努力することが望まれる。本回では、これらの資格に関する内容も織り込みながら展開される。


② 昆虫は約4億万年前に誕生したと言われ、地球上のあらゆる生物の中で種類・形態・生態ともに最も多様性に富んだ分類群である。昆虫とは、狭義には外顎綱(がいがくこう)に含まれる分類群のことであるが、内顎綱(ないがくこう)の分類群を含めて昆虫類(=六脚亜門Hexapoda)と呼ぶこともある。多くの目を含む昆虫類であるが、その形態的定義(主に成虫形態に基づく)は次の通りである。体は頭部、胸部、腹部から構成される。頭部は各一対の触角、複眼、大顎、小顎をもち、口器の背面を上唇、腹面を下唇が覆っている。胸部は前胸、中胸、後胸の三節からなり、各節に一対の脚を具え、有翅昆虫では中胸と後胸にそれぞれ一対の翅がある。そして腹部は基本的には12節以下からなる。昆虫類の定義を理解し説明できる。


③ 同定と分類学の違いを理解する。「同定」とは図鑑などを用いて名前を調べ、種類を特定する作業のこと。そして「分類」とは、目・科・属・種など分類階級の定義そのものを考えることであると言える。同定は既存の知識体系へのあてはめ作業であって学問とは言えない。ところが、当該標本が未知の情報をもたらすことが同定中に分かった場合、同定作業は一瞬にして分類学的研究へと変身する。もし定義にあてはまらないものがあれば、研究の後に新科、新属、新種などとして命名するものである。同定は有用であり、分類学者が執筆した図鑑やフィールドガイド類は、人々が生物を同定する際に役立つ。それゆえ分類学=同定=図鑑と考えられがちである。しかし同定は分類学の範疇には含まれず、同定は分類学の結果の応用であるといえる。


④ 昆虫類の標本をもとに、目(もく)までの同定をおこなう。昆虫類について、内顎綱にはトビムシ⽬、カマアシムシ⽬、コムシ⽬の3目が含まれる。そして外顎綱(狭義の昆虫)には、イシノミ目、シミ目、カゲロウ目、トンボ目、カワゲラ目、ハサミムシ目、ジュズヒゲムシ目、バッタ目、シロアリモドキ目、ナナフシ目、ガロアムシ目、カカトアルキ目、カマキリ目、ゴキブリ目、カジリムシ目、アザミウマ目、カメムシ目、ラクダムシ目、ヘビトンボ目、アミメカゲロウ目、コウチュウ目、ネジレバネ目、ハエ目、シリアゲムシ目、ノミ目、トビケラ目、チョウ目、ハチ目が含まれる。標本をもとに目ごとの形態的特徴のほか、資料をもとに生態的な特徴を覚える。この回では昆虫の目までの同定ができるようになる。


キーワード ① 昆虫の形態 ② 昆虫の定義 ③ 昆虫の目 ④ 同定と分類 ⑤ 多様性
コマの展開方法 社会人講師 AL ICT PowerPoint・Keynote 教科書
コマ用オリジナル配布資料 コマ用プリント配布資料 その他 該当なし
小テスト 「小テスト」については、毎回の授業終了時、manaba上において5問以上の、当該コマの小テスト(難易度表示付き)を実施します。
復習・予習課題 【このコマを受けるにあたっての予習課題】
コマシラバス4回目の細目レベルを読み、今回の授業において扱う内容の主たる事項について理解しておく。その上で、よくわからない内容や記述、理解できなかった点を各自ノート等に書き留めておく。また、教材・教具に示した書籍を図書館で読むなどすると、授業に余裕を持って参加することができる。

【このコマを受けた後の復習課題】
昆虫は地球上でもっとも種数が多く多様性に富む生物である。そのような昆虫について、その形態的定義(主に成虫形態に基づく)を復習しておくこと。体は頭部、胸部、腹部から構成される。頭部は各一対の触角、複眼、大顎、小顎をもち、口器の背面を上唇、腹面を下唇が覆っている。胸部は前胸、中胸、後胸の三節からなり、各節に一対の脚を具え、有翅昆虫では中胸と後胸にそれぞれ一対の翅がある。そして腹部は基本的には12節以下からなる。また昆虫類について、外顎綱と内顎綱(狭義の昆虫)について、それぞれどのような目が含まれるか、それらの生態・形態的特徴を、資料を見ながら復習しておくこと。

5 鳥類の生態学的特性と社会における重要性を学ぶ(岡久) 科目の中での位置付け 本科目では、フィールド生態学科の学びの内容を4つの領域および各教員が具体的に伝えることで、本学科の学びの内容や対象とする範囲を明らかにするものである。具体的には、第1回にフィールド生態学科の概要や、4つの領域それぞれの専門性を紹介する。第2回は陸生動物生態領域と植物生態領域の教員による領域の学びや野外施設の紹介を行う。第3回から第5回は陸生動物生態領域の各教員の専門分野における最先端の研究内容や授業で取り扱う主な内容を紹介し、第6回から第8回は植物生態領域の各教員の専門分野における最先端の研究内容や授業で取り扱う主な内容を紹介する。続く第9回には、水生動物生態領域と生態系機能評価領域の教員による領域の学びや野外調査体験を行う。第10回から第12回は、水生動物生態領域の各教員の専門分野における最先端の研究内容や授業で取り扱う主な内容を紹介し、第13回から第14回は、生態系機能評価領域の各教員の専門分野における最先端の研究内容や授業で取り扱う主な内容を紹介する。ここまでの学びの内容をふまえ、第15回は、今後、どのような点に重きを置いてフィールド生態学科で学んでいくか、各自の考えをまとめていくコマとする。このような科目構成の中で、第5回では、フィールド生態学のうち、鳥類を対象とした「野外鳥類学」について扱う。まず鳥類の生態特性および野外鳥類学の領域を解説したのち、実社会における鳥類を対象とした事業を紹介する。さらに、野外調査を実際に行うことで、野外鳥類学の概要を理解することを目標とする。
【コマ主題細目①】
武田ほか著 『はじめてのフィールドワーク』 2018年、東海大学出版部、1-503頁。

【コマ主題細目②】
Çagan H. Sekercioglu著『Why Birds Matter: Avian Ecological Function and Ecosystem Services』2016年、University of Chicago Press、 28-34頁。

【コマ主題細目③】
環境省生物多様性センター・自然保護協会『モニタリングサイト1000里地調査マニュアル』2015年。
コマ主題細目 ① 鳥類の生態特性および野外鳥類学の研究領域 ② 鳥類を対象とした事業 ③ 野外鳥類学を実施するにあたって必要な技能
細目レベル ① 鳥類は空を飛び、美しい羽色と声をもつために、世界中で非常に多くの人々の関心を集めてきた。そのため、大学や研究機関のみならず、公共団体、一般市民など多様な主体によって極めて多くの野外データが集積されており、フィールド生態学のなかでは世界一研究されている分類群であるとも称される。また、比較的長い寿命をもち、幼鳥生存率が低い一方で成鳥の生存率が一般に高い。このために、複雑な社会性とコミュニケーションが進化している。さらに、世界規模での渡りを行う。こうした鳥類の特徴に基づいて、野外鳥類学では行動、形態、進化に関する研究そして分布情報等に基づいたモデリングが発展している。本コマでは、パワーポイントでの講義を通じて鳥類の生態特性および野外鳥類学の研究領域を理解する。


② 一般市民の関心の高さを背景として、鳥類は多くの開発現場で保全すべき環境の指標種として調査されるほか、絶滅危惧種については日本政府、地方公共団体、動物園、大学、NPO法人、市民等の協力により積極的な保護増殖事業が実施されている。それだけに留まらず、鳥類観察機材の販売やエコツーリズム(アビツーリズム)などが世界で大きな産業となっている。本コマでは、鳥類を対象とするアセスメント、保護増殖事業、エコツーリズムに携わってきた社会人講師の現場経験を含めた講義に基づいて、実社会で行われている鳥類に関する事業を解説する。これにより、人間社会における鳥類の重要性と鳥類に関わる事業において多様な主体が担っている役割を理解する。


③ 野外で鳥類の保全、研究、事業を進めるためには専門技能の習得が不可欠である。とくに鳥類の種判別、カウント、捕獲・標識、巣の発見、分布把握(テリトリーマッピング、センサス)などといった技能はあらゆる調査活動の基礎となるものである。本コマでは、まずこれらの調査技能について概説する。次に、人間環境大学岡崎キャンパスに生息する代表的な鳥種について、その形態と鳴き声を学習する。さらに、最も広く用いられる調査手法であるポイントセンサスについて手法を学び、キャンパス内で双眼鏡等を用いたポイントセンサスを実際に行うことで鳥類の観察方法と種の識別方法を理解する。なお、野外活動にあたっては5人程度の班に分かれてグループワークを行う。


キーワード ① 鳥の生態 ② 保護増殖事業 ③ バードウォッチング ④ 調査技能 ⑤ ポイントセンサス
コマの展開方法 社会人講師 AL ICT PowerPoint・Keynote 教科書
コマ用オリジナル配布資料 コマ用プリント配布資料 その他 該当なし
小テスト 「小テスト」については、毎回の授業終了時、manaba上において5問以上の、当該コマの小テスト(難易度表示付き)を実施します。
復習・予習課題 【このコマを受けるにあたっての予習課題】
鳥類の図鑑を参照し、キャンパス内で見かけた鳥類の種類についてノートや電子ファイルにまとめる。また、この回の細目レベルを読んで、講義の流れを理解する。この予習課題を行うことにより、講義内容の理解が深まる。

【このコマを受けた後の復習課題】
授業中に示した鳥の生態特性、人間社会における鳥類の重要性、キャンパスに生息する鳥種について再度確認する。関心をもった研究領域があった場合には図書館などにある関連書籍を読むなどして理解を深める。また、自身の思い描く将来像やキャリアパスのなかで、鳥類がどのように関連しうるか検討する。授業中に示した鳥種について覚えられなかった種がある場合には、図書館などにある鳥類図鑑、インターネットなどを参照して種を再確認する。

6 森林・緑地を次世代につなげるために(江口) 科目の中での位置付け 本科目では、フィールド生態学科の学びの内容を4つの領域および各教員が具体的に伝えることで、本学科の学びの内容や対象とする範囲を明らかにするものである。具体的には、第1回にフィールド生態学科の概要や、4つの領域それぞれの専門性を紹介する。第2回は陸生動物生態領域と植物生態領域の教員による領域の学びや野外施設の紹介を行う。第3回から第5回は陸生動物生態領域の各教員の専門分野における最先端の研究内容や授業で取り扱う主な内容を紹介し、第6回から第8回は植物生態領域の各教員の専門分野における最先端の研究内容や授業で取り扱う主な内容を紹介する。続く第9回には、水生動物生態領域と生態系機能評価領域の教員による領域の学びや野外調査体験を行う。第10回から第12回は、水生動物生態領域の各教員の専門分野における最先端の研究内容や授業で取り扱う主な内容を紹介し、第13回から第14回は、生態系機能評価領域の各教員の専門分野における最先端の研究内容や授業で取り扱う主な内容を紹介する。ここまでの学びの内容をふまえ、第15回は、今後、どのような点に重きを置いてフィールド生態学科で学んでいくか、各自の考えをまとめていくコマとする。このような科目構成の中で、第6回は、フィールド生態学のうち、緑地や森林を対象とした「緑地学」「森林科学」について扱う。まず、江口研究室のメンバーが行ってきた授業・研究内容を紹介するとともに、国内の森林・緑地が抱える問題や、ICTを利用した最新の研究事例を体感する。続いて、担当教員の専門である森林保護学に関して、座学および岡崎キャンパスを対象とした体験学習により概要を理解する。
【コマ主題細目①】
堀田(2021)竹材の新用途-炭化竹バット,人間環境大学卒業論文
松島(2021)コーヒーによる雑草種子の発芽抑制効果,人間環境大学卒業論文
野中(2021)岡崎市内都市公園に対するi-Tree Ecoの適用についての考察,人間環境大学卒業論文

【コマ主題細目②③】
宮下・西廣 編(2020)『人と生態系のダイナミクス②森林の歴史と未来』,朝倉書店,3,000円+税, pp111-122
森林・林業実務必携編集委員会 編(2021)『森林・林業実務必携』,朝倉書店,8,000円+税 ,pp82-115
鈴木 編(2004)『森林保護学』,朝倉書店,5,200円+税, pp174-225
コマ主題細目 ① 緑を守る研究 ② 森林保護学入門 ③ 岡崎キャンパスの緑
細目レベル ① 最初に、江口研究室のメンバーが本学で行ってきた授業・実習・研究内容を紹介・理解する。江口研究室の授業や研究の基本方針は、「(国内の)森林や緑地を『健全』に保全管理するための知識や技術を身につけること」である。この方針のもと、最初に先輩たちが実施してきた卒業研究の内容をいくつか紹介する。併せて、担当教員がこれまで行ってきた研究も紹介する。
 このような研究を展開していくためには、現在いったい何が問題になっているのか、その解決のためには何を調べることが必要なのか、ということを主体的に考えなければならない。そこで、主体的に考える力を身につけるために、担当教員が展開している講義や実習の内容を理解する。特に実習では、地域社会の中で森林や緑地の保全に取り込んでいる方と一緒に実施することや、最新のICT技術を利用して使い方を身に付けるものもある。どのような形で実習をしているのか、一部体験を組み込むことで、本学の授業の魅力を伝える。


② 前述のとおり、江口研究室の授業や研究の基本方針は、「(国内の)森林や緑地を『健全』に保全管理するための知識や技術を身につけること」である。そのことを実現するための学問の1つとして、人が適切に森林を管理して被害を食い止めるという「森林保護学」が挙げられる。そこで本項では、その内容の一部を体験・理解する。
 紹介する森林被害は、シカによる森林被害、マツノザイセンチュウによるアカマツ等の枯損(マツ枯れ)、カシノナガキクイムシによるブナ科樹木の枯損(ナラ枯れ)である。国内各地で広く確認されている被害であり、岡崎キャンパスでも被害を確認することができる。
これら被害の主因(被害を引き起こすもの)はすべて異なるのだが、主因を引き出すに至った要因はすべて共通とされる。その要因は何か、実は「人」なのである。人による不適切な管理、もしくは管理不足が大被害をもたらしてしまった。本授業では、これら3つの被害を説明するとともに、どうして人が発生要因となってしまったのかについて理解する。


③ 前項で、シカによる森林被害、マツノザイセンチュウによるアカマツ等の枯損(マツ枯れ)、カシノナガキクイムシによるブナ科樹木の枯損(ナラ枯れ)について紹介した。これらの被害は岡崎キャンパス内でも確認されている。そこで、実際にキャンパス内を散策しながら被害を探し、被害の現状を理解するとともに、被害マップを作成する。
 アカマツはキャンパス内の法面に多数存在している。これらアカマツの中に、いくつか枯損している樹木があることに気づくだろう。これがマツ枯れである。キャンパス内を歩きながら、どこにマツ枯れがあるのか確認・理解する。
 続いて演習林の中へ向かう。演習林の中で、通常葉のついている時期にも関わらず、葉のついていないドングリの木(主にコナラ)を探してもらう。これがナラ枯れである。伐採利用されずに太くなったドングリの木で発生しやすいといわれている。
 最後は、演習林の中で、樹皮をはがされている樹木を探してもらう。これがシカ害である。演習林にはオスが多く出現し、樹皮を食べる被害だけでなく、角をこすり付ける被害も確認できる。


キーワード ① UAV ② ICT ③ シカ害 ④ マツ枯れ ⑤ ナラ枯れ
コマの展開方法 社会人講師 AL ICT PowerPoint・Keynote 教科書
コマ用オリジナル配布資料 コマ用プリント配布資料 その他 該当なし
小テスト 「小テスト」については、毎回の授業終了時、manaba上において5問以上の、当該コマの小テスト(難易度表示付き)を実施します。
復習・予習課題 【このコマを受けるにあたっての予習課題】
最初に、コマシラバス6回目の細目レベルを読み、今回の授業の中で実施することを理解しておく。次に、コマシラバスの中で、よくわからない点、理解できなかった点をピックアップしておく。できればそのことについて、参考文献やインターネットにより、あらかじめ調べておくとよい。一連の作業を実施することで、森林科学や緑地学の内容をつかめるとともに、講義内容の理解を深めることができる。

【このコマを受けた後の復習課題】
授業後に、もう一度コマシラバス6回目の細目レベルを読み、今回の授業の中で学んだ「緑地学」「森林科学」について再度確認する。また、授業中に示した配布資料を見直し、理解できなかったこと、難しかったことを少なくするように努める。授業を通じて特に興味を持った内容については、それぞれの細目課題の中で提示した文献を参考にして、自身の興味を深堀しておく。本授業で学んだことは、動物生態学など他分野とも関連しているため、今回学んだ知識をそれぞれ興味ある分野に活用できるようにしてもらいたい。

7 植物の多様性に挑む植物分類学の意義と研究の最前線(藤井伸) 科目の中での位置付け 本科目では、フィールド生態学科の学びの内容を4つの領域および各教員が具体的に伝えることで、本学科の学びの内容や対象とする範囲を明らかにするものである。具体的には、第1回にフィールド生態学科の概要や、4つの領域それぞれの専門性を紹介する。第2回は陸生動物生態領域と植物生態領域の教員による領域の学びや野外施設の紹介を行う。第3回から第5回は陸生動物生態領域の各教員の専門分野における最先端の研究内容や授業で取り扱う主な内容を紹介し、第6回から第8回は植物生態領域の各教員の専門分野における最先端の研究内容や授業で取り扱う主な内容を紹介する。続く第9回には、水生動物生態領域と生態系機能評価領域の教員による領域の学びや野外調査体験を行う。第10回から第12回は、水生動物生態領域の各教員の専門分野における最先端の研究内容や授業で取り扱う主な内容を紹介し、第13回から第14回は、生態系機能評価領域の各教員の専門分野における最先端の研究内容や授業で取り扱う主な内容を紹介する。ここまでの学びの内容をふまえ、第15回は、今後、どのような点に重きを置いてフィールド生態学科で学んでいくか、各自の考えをまとめていくコマとする。このような科目構成の中で、7回目は,植物分類学に関する内容を学ぶ.種多様性を網羅的に把握することは現在の人類が直面する重要課題の一つである.生物種を科学的な知見として集積する分類学について解説を通して,植物の分野ではどのような調査研究が行われているかを理解する.現在の植物分類学は,生物種の記載,類縁関係の解明,各生物種の生活史の解明,多様化を引き起こす進化の研究,さらには防除や保全への応用など,幅広い分野を包含する学問であることを理解する.生物多様性の保全において,絶滅危惧生物と侵略的外来生物への対策は重要かつ喫緊の課題であることを理解する.絶滅危惧植物の探索とその発見が重要であり,外来植物では新たに侵入した植物を早期に認知がすること重要であることを理解する.国内の在来種に形態的な近似種が存在する場合には,新たに侵入した植物の認知はきわめて困難であるが,それらを正確に見極めるための科学的基盤としての分類学の重要性を理解する.また,過去に収集されて保存されてきた標本資料は貴重な研究材料であるだけでなく,確実な過去の証拠としての記録でもあることを理解する.そのような標本資料が有する価値と意義を理解する.さらに,それらがどのように調査研究に活用されるかを理解する.
以下の文献情報を中心として作成した配布資料を用いる.
【コマ主題細目①】
レッドデータブック近畿研究会(編).2001.改訂・近畿地方の保護上重要な植物−レッドデータブック近畿2001−.(財)平岡環境科学研究所.
藤井伸二.2002.地方版レッドデータブックの成果と問題点.種生物学会(編),保全と復元の生態学−野生生物を救う科学的思考,95-107p.文一総合出版.
藤井伸二.2010.トピックス:深刻化する生物多様性の危機.生物の科学 遺伝 64(5):2-6.
矢原徹一・藤井伸二・伊藤元巳・海老原淳(監修).2015.絶滅危惧植物図鑑レッドデータプランツ増補改訂新版.山と渓谷社,東京.

【コマ主題細目②】
藤井伸二・小林史郎・小川 誠.2008.再発見された四万十川のマイヅルテンナンショウ(サトイモ科)と国内の分布および生育環境.分類:8:73-79.
藤井伸二・五百川 裕・石澤 進.2010.アズマツメクサ(ベンケイソウ科)を新潟県から記録する.水草研究会誌 94:41-43.
藤井伸二・木下 覚.2011.四国地方におけるアズマツメクサ(ベンケイソウ科)の新産記録.分類 11:49-52.
藤井伸二・志賀 隆・金子有子・栗林 実・野間直彦.2008.琵琶湖におけるミズヒマワリ(キク科)の侵入とその現状および駆除に関するノート.水草研究会誌 89:9-21.
藤井伸二・牧 雅之・志賀隆.2016.新外来水草コウガイセキショウモおよびオーストラリアセキショウモの同定.水草研究会誌 103:8-12.
藤井伸二・牧 雅之.2017.マダイオウと雑種ノダイオウの混乱.長野県植物研究会誌 50:31-35.

【コマ主題細目③④】
藤井伸二.2002.シーボルト植物コレクション調査ノート1縦断嚢果と斜切枝.分類 2:83-86.
藤井伸二.2003.シーボルト植物コレクション調査ノート2−伊藤圭介標本帖について−.分類3:53-58.
藤井伸二.2009.標本記録に基づいた近畿地方北部におけるキク科オナモミ属3種の過去の変遷.保全生態学研究 14:67-72.
藤井伸二・高倉耕一.2010.大阪府におけるオナモミ類の変遷(その1).Nature Study 56(10):6-8.
藤井伸二・高倉耕一.2010.大阪府におけるオナモミ類の変遷(その2).Nature Study 56(11):2-5.
藤井伸二.2013.ハマネナシカズラ(ヒルカオ科)の国内分布.分類 13:103-107.
藤井伸二.2018.寄主植物を用いたマメダオシ(ヒルガオ科)の生育環境の推定.植物地理・分類研究 66(2):193-195(査読あり)
藤井伸二.2019.公開標本データの信頼性に関する検討事例:マメダオシ(ヒルガオ科).日本生態学会誌
コマ主題細目 ① 植物分類学と生物多様性 ② 絶滅危惧植物と外来植物 ③ 植物標本の意義 ④ 標本と調査研究
細目レベル ① 生物多様性の一つのカテゴリーである種多様性を網羅的に把握することは現在の人類が直面する重要課題の一つである.200万種以上といわれる生物種を科学的な知見として集積することが分類学の一つの目標である.現在の植物分類学は,生物種の記載,類縁関係の解明,各生物種の生活史の解明,多様化を引き起こす進化の研究,さらには防除や保全への応用など,幅広い分野を包含する学問である.また,分子情報の解析が可能になったことによって,従来の形態学的・細胞学的な手法だけでは研究が困難だった事象の解明が飛躍的に進んでいる.また,分類学は,その一つの成果である図鑑の出版と言う形で生物多様性の把握の社会的な普及に大きな成果を上げてきた.生物多様性において,分類学が果たしてきた役割とその意義について解説する.


② 生物多様性の保全において,絶滅危惧生物と侵略的外来生物への対策は重要かつ喫緊の課題である.ここでは,いくつかの絶滅危惧植物と侵略的外来植物の実例を挙げて解説を行う.絶滅危惧植物では,まずその植物の発見と認知が最も重要である.ここでは,かつて発見されていたにもかかわらずその後の生育が確認されなかった植物が,半世紀以上経った後に再発見された例を紹介する.こうした植物の探索とその発見が,生物多様性保全において非常に重要であることを解説する.外来植物では,新たに侵入した植物の認知が非常に重要である.また,侵略的外来種である場合には,初期発見と初期対応がその後の被害を軽減する上できわめて重要である.ミズヒマワリを例に紹介する.また,国内の在来種に形態的な近似種が存在する場合には,新たに侵入した植物の認知はきわめて困難である.


③ 現生生物では博物館施設に収蔵された標本資料がその研究材料として非常に有効である.これは,保存することによって時間と空間を越えた調査研究を可能とするからである.時間を越えるとは,すなわち過去の標本を利用できるということである.絶滅していたり個体数が減少して現存個体を研究材料として利用することが困難な場合,過去に収集されて保存されてきた標本資料は貴重な研究材料である.また,空間を越えるとは,違った場所の個体を同時に研究できると言うことである.日本の植物標本とインドネシアの植物標本とを同じ机の上に並べて検鏡できるのは,標本が空間を越えた利用を可能にするからである.標本の利点はその保全性にあり,そのことによって時間と空間を越えた調査研究を行うことが可能であることを解説する.


④ 植物標本を利用した具体的な調査研究の事例について紹介する.一つは,国内ではほぼ絶滅状態となった絶滅危惧I類のマメダオシである.かつては畑のダイズにも寄生していたことが知られているが,現存個体群は全国にも数ヶ所でしか確認できていない.ダイズ畑は人為的な環境であるのでマメダオシがもとからそのような環境に生育していたとは考えられないが,現在のように希少になってしまった状態では本来の生育環境の推定ができない.そこで,過去の標本を調査すうことによってマメダオシの本来の生育環境を明らかにした研究例を紹介する.もう一つの例として,在来植物オナモミと外来植物オオオナモミの変遷について,標本を用いた研究例を紹介する.オナモミとオオオナモミは形態的によく似ており,しばしば混同されてきた.また,外来植物のオオオナモミが認知されたのは,オオオナモミが広がってしまった後である.このため,オオオナモミという植物は図鑑類に掲載されておらず,オナモミ類に2種類あることは知られていなかった.このため,過去の記録がオナモミとされていても,実際はオオオナモミの可能性が高い.この2種の変遷について,標本調査によって明らかになったことを紹介する.


キーワード ① 植物分類学 ② 絶滅危惧植物 ③ 外来植物 ④ 標本 ⑤ 調査研究
コマの展開方法 社会人講師 AL ICT PowerPoint・Keynote 教科書
コマ用オリジナル配布資料 コマ用プリント配布資料 その他 該当なし
小テスト 「小テスト」については、毎回の授業終了時、manaba上において5問以上の、当該コマの小テスト(難易度表示付き)を実施します。
復習・予習課題 【このコマを受けるにあたっての予習課題】
コマシラバス7回目の細目レベルを読み、今回の授業において扱う内容の主たる事項について理解しておく。その上で、よくわからない内容や記述、理解できなかった点を各自ノート等に書き留めておく。また、教材・教具に示した書籍を図書館で読むなどすると、授業に余裕を持って参加することができる。

【このコマを受けた後の復習課題】
種多様性を網羅的に把握することは現在の人類が直面する重要課題の一つであることを復習する.生物種を科学的な知見として集積することが分類学の一つの目標であることを復習する.現在の植物分類学は,生物種の記載,類縁関係の解明,各生物種の生活史の解明,多様化を引き起こす進化の研究,さらには防除や保全への応用など,幅広い分野を包含する学問であることを復習する.生物多様性において,分類学が果たしてきた役割とその意義についてことを復習する.生物多様性の保全において,絶滅危惧生物と侵略的外来生物への対策は重要かつ喫緊の課題であることを復習する.絶滅危惧植物の探索とその発見が,生物多様性保全において非常に重要であることを復習する.外来植物では,新たに侵入した植物の認知が非常に重要であることを復習する.また,侵略的外来種である場合には,初期発見と初期対応がその後の被害を軽減する上できわめて重要であることを復習する.国内の在来種に形態的な近似種が存在する場合には,新たに侵入した植物の認知はきわめて困難であることを復習する.過去に収集されて保存されてきた標本資料は貴重な研究材料であることを復習する.また,空間を越えるとは,違った場所の個体を同時に研究できると言うことである.標本の研究においては,時間と空間を越えた調査研究を行うことが可能であることを復習する.植物標本を利用した具体的な調査研究の事例についてことを復習する.

8 環境に適した農業のあり方を目指して~収量調査から見えてくるもの~(横家) 科目の中での位置付け 本科目では、フィールド生態学科の学びの内容を4つの領域および各教員が具体的に伝えることで、本学科の学びの内容や対象とする範囲を明らかにするものである。具体的には、第1回にフィールド生態学科の概要や、4つの領域それぞれの専門性を紹介する。第2回は陸生動物生態領域と植物生態領域の教員による領域の学びや野外施設の紹介を行う。第3回から第5回は陸生動物生態領域の各教員の専門分野における最先端の研究内容や授業で取り扱う主な内容を紹介し、第6回から第8回は植物生態領域の各教員の専門分野における最先端の研究内容や授業で取り扱う主な内容を紹介する。続く第9回には、水生動物生態領域と生態系機能評価領域の教員による領域の学びや野外調査体験を行う。第10回から第12回は、水生動物生態領域の各教員の専門分野における最先端の研究内容や授業で取り扱う主な内容を紹介し、第13回から第14回は、生態系機能評価領域の各教員の専門分野における最先端の研究内容や授業で取り扱う主な内容を紹介する。ここまでの学びの内容をふまえ、第15回は、今後、どのような点に重きを置いてフィールド生態学科で学んでいくか、各自の考えをまとめていくコマとする。このような科目構成の中で、第8回は、フィールド生態学のうち、農業をに関連した事柄について扱う。まず、付属農場で行っている露地栽培の特徴や、農業基礎実習、栽培学実習、農業ゼミなどで取り組む授業・研究内容を紹介する。続いて、今回は作物の種子に注目し、自作のノギスで種子の形状を計測する。こうした作業を通して、作物学や栽培学で行われる収量調査や形態分析に対するイメージを膨らませる。
【コマ主題細目②】
塩谷哲夫他『農業科学基礎』実教出版 2003 カラーページ p72,101,110他

【コマ主題細目③】
産業技術総合研究所 計量標準総合センター 紙ノギスをつくろう https://unit.aist.go.jp/nmij/info/enjoy/hakaru/nogisu/index.html

【コマ主題細目④】
日本植物学会 植物の確率論的なふるまいに基づいた戦略https://bsj.or.jp/jpn/general/bsj-review/BSJ-Review10A_1-48.pdf
コマ主題細目 ① 農業ゼミの紹介 ② 種子の特徴 ③ 種子の形状計測 ④ 度数分布図の作成
細目レベル ① 本学には付属第1農場と付属第2農場がある。付属第1農場は、主に農業基礎実習Ⅰ、Ⅱで使用し、1年を通じで露地野菜栽培を行っている。付属第2農場には約5aの畑とビニルハウスがあり、主に実験、研究を行う目的で使用している。一言に農業と言っても様々な形態、分野があるが、本学付属農場では、フィールドサイエンスの学びを活かした農業の展開、すなわち自然環境に適応した、その土地に適した農業のあり方を模索している。具体的には気象観測などを通して、その土地の気候に合った栽培方法を研究したり、山菜など手間のかからない(環境に適応した)作物の栽培法や環境負荷の少ない昔ながらの栽培方法を実践したり、あるいは自然の中にある植物資源の利用といったことに取り組んでいる。


② 様々な作物の種子について実物およびスライド画像を見て学ぶ。今回は野菜や果物の種子についてその形状や、特徴について、クイズ形式で出題しその質問に回答してもらう。種子は有胚乳種子と無胚乳種子に分けられる。無胚乳種子では子葉が発達し胚乳は退化している。一般に、種子が発芽するには、水、温度、酸素の3つの条件が必要である。それ以外にも発芽に光を必要とする種子も存在する。発芽時には種子のアミラーゼ活性が高くなっており、胚乳のデンプンが分解されている。イネ、コムギ、トウモロコシ、ダイズなど我々の食生活を支える主要な食糧(主食)は、それそのものが種子であり、我々は穀類、豆類など作物の種子を食べ生きながらえている。


③ 作物学などでは、作物の草丈や重さなどを計測する機会が多い。今回は厚紙で紙製のノギスを自作し、ノギスの原理を学ぶとともに、自作したノギスを用い、種子の大きさを測定する。アナログノギスには主尺と副尺(バーニヤ)目盛りがある。ノギスを使って寸法を測る場合は、①副尺の一番左の0の位置でmm単位を読み取り、 次に、②本尺と副尺(バーニヤ)の目盛りが一致している部分(バーニヤの目盛り)を読む。①と②を足し合わせたものが実際の長さである。今回自作する紙ノギスのバーニヤ目盛りは、9mmを10等分したものであり、完成したノギスの最小読み取り値は0.1mmとなる。これにより、0.1mm単位で、種子の大きさを測定することが可能となる。


④ 完成したノギスを用い、数種類の種子サンプルの長径を測定する。いくつかのグループで、なるべく多くの種子の長経を0.1mm単位で測定し、計測値をまとめる。さらにこれら計測値をまとめ、ヒストグラムを作成し、どれくらいの大きさの種子が最も多いのかを確かめる。さらに全体の度数分布を概観して、大きな種子や、小さな種子は(中庸な種子に比べ)次第に少なくなっていることを確認する。なぜ、このような度数分布になるのか考えてみる。例えば種子の場合、同じ種類の種子ならば、その長径がほかの種子で10倍になったり、10分の1になったりすることはない(2倍であったり、2分の1であってもおかしい)。他のサンプルにおいても測定を行い、同様のこと言えるか確かめてみる。


キーワード ① 露地栽培 ② 無胚乳種子 ③ ノギス ④ バーニヤ ⑤ ヒストグラム
コマの展開方法 社会人講師 AL ICT PowerPoint・Keynote 教科書
コマ用オリジナル配布資料 コマ用プリント配布資料 その他 該当なし
小テスト 「小テスト」については、毎回の授業終了時、manaba上において5問以上の、当該コマの小テスト(難易度表示付き)を実施します。
復習・予習課題 このコマを受けるにあたっての予習課題】
厚紙をカッターナイフで裁断する。よく切れるカッターナイフ、のり(スティックタイプでよい)、ものさし、カッティングマット(あれば)を持参のこと。カッティングマットは、こちらでも準備するが、A4サイズのものがあれば作業がしやすい。
【このコマを受けた後の復習課題】
度数分布図(ヒストグラム)は、今後も様々な授業で頻出する図であると考えられる。単純な測定でも多くのサンプルサンプルを測定し、そのばらつきを分析することにより、新しい発見があることを理解し、今後も自作のノギスを使用し、様々なサンプルの計測を試みてみること。

9 フィールドへの視点 -水生動物生態領域&生態系機能評価領域- 科目の中での位置付け 本科目では、フィールド生態学科の学びの内容を4つの領域および各教員が具体的に伝えることで、本学科の学びの内容や対象とする範囲を明らかにするものである。具体的には、第1回にフィールド生態学科の概要や、4つの領域それぞれの専門性を紹介する。第2回は陸生動物生態領域と植物生態領域の教員による領域の学びや野外施設の紹介を行う。第3回から第5回は陸生動物生態領域の各教員の専門分野における最先端の研究内容や授業で取り扱う主な内容を紹介し、第6回から第8回は植物生態領域の各教員の専門分野における最先端の研究内容や授業で取り扱う主な内容を紹介する。続く第9回には、水生動物生態領域と生態系機能評価領域の教員による領域の学びや野外調査体験を行う。第10回から第12回は、水生動物生態領域の各教員の専門分野における最先端の研究内容や授業で取り扱う主な内容を紹介し、第13回から第14回は、生態系機能評価領域の各教員の専門分野における最先端の研究内容や授業で取り扱う主な内容を紹介する。ここまでの学びの内容をふまえ、第15回は、今後、どのような点に重きを置いてフィールド生態学科で学んでいくか、各自の考えをまとめていくコマとする。このような科目構成の中で、第9回は、水生動物生態領域および生態系機能評価領域の教員が合同で実施する。水生動物生態領域は川や海を主たるフィールドとして人間社会と水圏の動物との関係性を、生態系機能評価領域は室内実験から流域調査に至る多様な方法を通して人間社会を支える生態系機能を学ぶ。各教員から野外フィールドならびに実験室を用いた調査・研究事例について説明を受ける。これらの説明から、両領域で実施可能な調査研究について理解する。
【コマ主題細目①】
環境省編(2021)「令和3年版 環境・循環型社会・生物多様性白書」221-236頁
奥田昇(2020)流域における生物多様性と栄養循環「流域ガバナンス―地域の「しあわせ」と流域の「健全性」」京都大学学術出版会44-50頁
磯辺篤彦(2020)マイクロプラスチックの何が問題か.「海洋プラスチックごみ問題の真実」化学同人112-141頁

【コマ主題細目②】
環境省編(2021)「令和3年版 環境・循環型社会・生物多様性白書」 2021年、307-311頁

【コマ主題細目③】
環境省編(2021)「令和3年版 環境・循環型社会・生物多様性白書」 325-327頁
日本陸水学会編(2011)「川と湖を見る・知る・探る」地人書館 193頁、田中治夫編著・村田智吉著(2018)土壌の性質と環境.「土壌環境調査・分析法入門」講談社サイエンティフィク1-131頁
三田村緒佐武(2021)環境調査の心得「水環境調査で失敗しないために 琵琶湖環境の復元と再生に向けて」サンライズ出版8-19頁
藤森英治(2018)環境分析の必要性「現場で役立つ環境分析の基礎(第2版)」オーム社1-16、18-42頁

【コマ主題細目④】
田中治夫編著・村田智吉著(2018)土壌の分析「土壌環境調査・分析法入門」講談社サイエンティフィク133-206頁.
土壌環境分析法編集委員会編(1997)「土壌環境分析法」博友社427頁
日本産業標準調査会編「JIS K 0102 工業排水試験法」2016年、21-29、53-56、21-26、53-58、118-122、150、197-199、207、210、212-219、231-232、 234-236、236-240頁 
コマ主題細目 ① 野外フィールドと実験室での学び ② 水生動物生態領域の学び ③ 生態系機能評価領域の学び ④ 実習室・実験室ツアー
細目レベル ① 源流から海域までの流れの中には様々な生物が生息し、水生生物の生活の場である水域とそれらを支える土壌が存在する。大型水生生物が生きるためには生態ピラミッドが健全である必要であり、その基盤には土壌や水域の微生物などが重要である。大型生物と微生物は相互に関係し、それぞれ独立して生息することはできない。また、マイクプロスチックによる水生生物への化学物質の生体濃縮が問題されているが、マイクロプラスチックのような化学物質の汚染による影響は、生態ピラミッドの上位に位置する生物に顕著に現れる。生態系を理解するためには、その現場である野外フィールドにて調査を行うことが必須であるが、野外環境下では様々な要素が複雑に関係し合うために、対象とする事象に係る重要な要因や関係性を見出すことが困難である。そのため、室内での実験的アプローチも生態系の理解には必須である。水生動物生態領域および生態系機能評価領域の各教員より説明を受け、野外フィールドと実習室・実験室を有機的に活用する学びを理解する。森岡伸介教授(魚類保全学)より、河川の水生生物を対象とした研究や学びについての紹介を受ける。西田美紀講師(海棲哺乳類学)より、海洋の動物、特に哺乳類を対象とした研究や学びについての紹介を受ける。中束明佳助教(水産資源学)より、海洋の生物、特に魚類をはじめとする水生動物を対象とした研究や学びについての紹介を受ける。藤井芳一教授(土壌生態学)より、土壌の生態系機能についての紹介を受ける。神本祐樹教授(水環境工学)より、水域での物質の循環と微生物の関係についての紹介を受ける。


② 水生動物生態領域は、魚類をはじめ、水圏に生息する動物を対象として、生来や生息環境について深く理解するとともに、持続可能な社会の実現に向けて、これら動物や生育環境を守り、活用していくことを目指す領域である。そのため具体的には、基礎生態学、動物分類学、動物行動学、海と川の生物学、潮間帯リサーチ入門、河川生態学、海洋生態学、水生動物保全学、海洋資源管理学などの科目を通して、生物の生態に関する知識を身につけるとともに、実習科目にて調査・研究スキルの修得を目指す。これらの学びの集大成として、卒業研究においては、どのようなテーマで研究が実施されているのかについてまで本コマにおいて学ぶことで、4年間の学びの関連について理解する。
具体的には、水生動物生態領域で可能な調査や実験などの様子を紹介し、個々の科目の学びのつながりや、卒業研究に向けたイメージをつける。
調査研究手段の重要なものの一つに、野外調査がある。ここで対象とする野外フィールドには、河川や海洋、干潟などの環境がある。このような野外フィールドの物理化学的な環境は、そこに生息する生物の分布や量とも関連が深く、ある生物がどのような環境条件のもと生息可能であるのかという視点も生物を学ぶものにとっては重要である。


③ 生態系機能評価領域では、生態系機能が健全に発揮されることで得られる自然から恵みを生み出す仕組みが、森林や河川、海などによってどのように異なっているのか、また、汚染を始めとする人為的な影響の評価について室内実験から流域調査に至る多様な方法を通して理解することを目指す領域である。そのため具体的には、生態系の機能と社会、生態系における物質循環、環境化学の基礎、流域環境学、生態系機能評価学、基礎化学実験、環境化学実験、生態系機能評価実験などの科目を通して、生態系の機能を適切に評価するための知識を身につけるとともに、実験科目にて分析・研究スキルの修得を目指す。これらの学びの集大成として、卒業研究においては、どのようなテーマで研究が実施されているのかについてまで本コマにおいて学ぶことで、4年間の学びの関連について理解する。生態系の機能評価を行うには、どのような観点から何をどのように測定すべきであるかについて、明確な目的意識をもったうえでデータの採取を行うことが必要である。生態系機能評価領域のデータ収集は、化学分析を基本としており、様々な測定項目に応じて適切な機器を用いた分析技術を修得する。単純な環境試料の測定ではなく、野外フィールドでの調査と実験室での実験を通して汚染浄化や緩衝能、有機物分解などの生態系機能の評価の手法を学ぶ。


④ 本学には様々な実習室・実験室がある。動物飼育実習室もその一つである。野外調査ではない研究手段の一つに、動物を飼育しての実験が挙げられる。自然環境下の野生の動物を調査することも重要であるが、なかには、飼育環境下でなければ調べることができないものもある。動物飼育実習室を紹介し、実際にどのような飼育実験等が行われているのかを知る。さらに、自分ならば動物飼育実習室を使ってどのような視点で調査・研究を行いたいかを考えることとする。
本学の基礎化学実験室と環境化学実験室、機器分析室、土壌試料室を紹介する。基礎化学実験室では水質分析や土壌分析の前処理から各種成分の抽出、分析操作まで一貫して行う環境を構築している。基礎化学実験室で前処理を行った試料は、機器分析室と環境化学実験室にある分析機器を用いて、水や土壌の各種物質の濃度・組成分析、微生物や酵素の活性評価を行う。機器分析室と環境化学実験室で使用できる装置は、全窒素・全炭素分析装置、全有機体炭素計、自動連続流れ分析装置、紫外可視分光光度計、蛍光分光光度計、pH計、電気伝導度計、酸化還元電位計、イオンクロマトグラフ、原子吸光分析装置、誘導結合プラズマ発光分光分析装置、高速液体クロマトグラフ、マイクロプレートリーダー、粒子径分布測定装置、凍結乾燥機、遠心分離機であり、土壌ならびに水域の大部分の物質濃度・成分の評価を行うことができる。土壌試料室では土壌に生息する小型生物の培養やそれらの機能評価を実施できる。


キーワード ① フィールド ② 実習室・実験室 ③ 水生動物 ④ 生態系機能評価 ⑤ 化学分析
コマの展開方法 社会人講師 AL ICT PowerPoint・Keynote 教科書
コマ用オリジナル配布資料 コマ用プリント配布資料 その他 該当なし
小テスト 「小テスト」については、毎回の授業終了時、manaba上において5問以上の、当該コマの小テスト(難易度表示付き)を実施します。
復習・予習課題 【このコマを受けるにあたっての予習課題】
最初に、コマシラバス9回目の細目レベルを読み、今回の授業の中で実施することを理解しておく。次に、コマシラバスの中で、よくわからない点、理解できなかった点をピックアップしておく。できればそのことについて、参考文献やインターネットにより、あらかじめ調べておくとよい。一連の作業を実施することで、講義内容の理解が深めることができる。

【このコマを受けた後の復習課題】
授業後に、もう一度コマシラバス9回目の細目レベルを読み、今回の授業の中で学んだ内容について再度確認する。また、授業中に示した配布資料を見直し、理解できなかったこと、難しかったことを少なくするように努める。授業を通じて特に興味を持った内容については、それぞれの細目課題の中で提示した文献を参考にして、自身の興味関心を深堀しておく。本授業はフィールド生態学10回目~14回目の導入であるとともに、それぞれの回のつながりを学ぶものでもあるので、次回以降の授業の理解を深めるためにも、本内容を確実に見直してもらいたい。

10 海の持続的利用・生物多様性の保全を目指す~海棲哺乳類からみる海洋~(西田) 科目の中での位置付け 本科目では、フィールド生態学科の学びの内容を4つの領域および各教員が具体的に伝えることで、本学科の学びの内容や対象とする範囲を明らかにするものである。具体的には、第1回にフィールド生態学科の概要や、4つの領域それぞれの専門性を紹介する。第2回は陸生動物生態領域と植物生態領域の教員による領域の学びや野外施設の紹介を行う。第3回から第5回は陸生動物生態領域の各教員の専門分野における最先端の研究内容や授業で取り扱う主な内容を紹介し、第6回から第8回は植物生態領域の各教員の専門分野における最先端の研究内容や授業で取り扱う主な内容を紹介する。続く第9回には、水生動物生態領域と生態系機能評価領域の教員による領域の学びや野外調査体験を行う。第10回から第12回は、水生動物生態領域の各教員の専門分野における最先端の研究内容や授業で取り扱う主な内容を紹介し、第13回から第14回は、生態系機能評価領域の各教員の専門分野における最先端の研究内容や授業で取り扱う主な内容を紹介する。ここまでの学びの内容をふまえ、第15回は、今後、どのような点に重きを置いてフィールド生態学科で学んでいくか、各自の考えをまとめていくコマとする。このような科目構成の中で、第10回では、フィールド生態学のうち、水生動物の中でも海棲哺乳類を対象とする生物学・生態学について扱う。まず、海棲哺乳類の生物・生態学的特性について解説を行う。その上で、これらの動物の調査研究を擬似的に体験することで、調査手法についての概要を理解することを目標とする。さらに、これらの調査で得られる知見が保全・管理にあたって、どのように活用されるのかについてイメージをつける。
【コマ主題細目①】
粕谷俊雄「イルカ概論 日本近海産小型鯨類の生態と保全」東京大学出版会、2019年、10-21頁.
粕谷俊雄「イルカ小型鯨類の保全生物学」東京大学出版会、2011年、1〜13頁.

【コマ主題細目③】
粕谷俊雄「イルカ概論 日本近海産小型鯨類の生態と保全」東京大学出版会、2019年、10-21頁.
宮崎信行。粕谷俊雄「増補版 海の哺乳類 その過去・現在・未来」サイエンティスト社、1990年、254-265頁
コマ主題細目 ① 海棲哺乳類の生態特性と生態的における位置づけ ② 海棲哺乳類の調査手法 ③ 海棲哺乳類の保全に向けた取り組みと人間との関わり
細目レベル ① フィールド生態学科においては、多様な分類群の生物を対象としている。本コマにおいては、水圏に生息する動物の中でも、海棲哺乳類を対象とし、本分類群の動物の生態を理解する必要性や、本分類群の保全管理をなぜ行う必要があるのかという点を理解する。
海棲哺乳類は、河川や河口域、海洋に広く生息している。生態系においては一般に、高次捕食者としての位置をしめる。高次捕食者であるがために、その生態系に与える影響は大きい。また、高次捕食者であるため、生物濃縮を通じて、体内に汚染物質が蓄積しやすいなどの特徴も合わせもつ。海棲哺乳類、特に沿岸に生息し、我々の生活に近い場所に生息する海棲哺乳類の形態・分類・生態などについて、学びを深める。


② 水生動物を対象とした調査・研究方法は種々ある。河川や干潟などにおいては実際に現地に赴き、タモ網や罠などの道具を使って、採取し、採取したものを持ち帰り、さらに詳しい分析や解析を行う場合がある。実際に、水生動物生態領域では、河川や干潟などにおいて実施する実習があり、採取方法や同定方法、さらなる分析の方法を学ぶ。海棲哺乳類においても、このように標本を得て、調査・研究する手法も用いられ、食性の分析など、各種の調査・分析が行われる。標本を元に調査する方法の他にも、実際の姿を目視観察や、写真や映像に撮影することによって行う調査も行われる。本コマにおいては、実際の調査・研究を模擬的に体験し、研究目的によって様々な調査手法から研究のアプローチをする必要があることを理解する。


③ 海洋生態系や生物多様性を維持するためには、生物の生態や生態系の仕組みを理解することが重要である。特に生物種毎に保全・管理を行う場合、その生物の生態特性をふまえた保全管理策が必要となる。水圏に生息する動物の中でも、河川性魚類などの保全については第十二回において、海洋の生物の保全管理については第十一回で、そのための入門的知識を身につける。そのため、本コマにおいては、特に海棲哺乳類を例として挙げ、これらの動物の保全・管理にあたって必要となる生態学的情報、とくにコマ主題細目②で学んだ調査手法で得られる知見が、保全・管理にあたってどのように活用されるのかについて、概略の説明を行う。合わせて、海棲哺乳類と人間活動の関係についても、概要の説明を行うことで、動物と人間の適切な関係について考える。


キーワード ① 海洋環境 ② 哺乳類 ③ 目視調査 ④ ストランディング ⑤ 高次捕食者
コマの展開方法 社会人講師 AL ICT PowerPoint・Keynote 教科書
コマ用オリジナル配布資料 コマ用プリント配布資料 その他 該当なし
小テスト 「小テスト」については、毎回の授業終了時、manaba上において5問以上の、当該コマの小テスト(難易度表示付き)を実施します。
復習・予習課題 【このコマを受けるにあたっての予習課題】
 コマシラバス十回目の細目レベルを読み、今回の授業において扱う内容の主たる事項について理解しておく。その上で,よくわからない内容や記述、理解できなかった点を各自ノート等に書き留めておく。なるべく授業前に、図書館で関連する本を参照してみたり、インターネットを用いて文献や情報を調べるなどしておくと、事象の関連について理解が深まり,授業に余裕を持って参加することができる。

【このコマを受けた後の復習課題】
 授業内容の振り返りとして、改めてコマシラバス10回目の細目レベルを読むこと。4年後の卒業研究をふまえ、このコマで学んだ関連の卒業研究を行うなら、どのようなテーマで研究をしてみたいか、大まかで良いのでイメージしてみる。

11 海洋生態系の理解と持続可能な管理にむけて ~海洋生態学とは~(中束) 科目の中での位置付け 本科目では、フィールド生態学科の学びの内容を4つの領域および各教員が具体的に伝えることで、本学科の学びの内容や対象とする範囲を明らかにするものである。具体的には、第1回にフィールド生態学科の概要や、4つの領域それぞれの専門性を紹介する。第2回は陸生動物生態領域と植物生態領域の教員による領域の学びや野外施設の紹介を行う。第3回から第5回は陸生動物生態領域の各教員の専門分野における最先端の研究内容や授業で取り扱う主な内容を紹介し、第6回から第8回は植物生態領域の各教員の専門分野における最先端の研究内容や授業で取り扱う主な内容を紹介する。続く第9回には、水生動物生態領域と生態系機能評価領域の教員による領域の学びや野外調査体験を行う。第10回から第12回は、水生動物生態領域の各教員の専門分野における最先端の研究内容や授業で取り扱う主な内容を紹介し、第13回から第14回は、生態系機能評価領域の各教員の専門分野における最先端の研究内容や授業で取り扱う主な内容を紹介する。ここまでの学びの内容をふまえ、第15回は、今後、どのような点に重きを置いてフィールド生態学科で学んでいくか、各自の考えをまとめていくコマとする。このような科目構成の中で、第11回では、フィールド生態学のうち、水生動物の中でも海に生息する魚類・頭足類・甲殻類などの海洋生物を対象として生物学・生態学の概要を解説するものである。この中で、まず始めに、海洋生物やそれに関連する調査研究とはどのようなものなのかを知るために、これまで行われた研究紹介を行う。次に、海洋生物の分類と生物種ごとの調査研究について解説や具体的事例について紹介を行う。その後、海洋生物の調査研究の一例について、簡易的もしくは疑似的に体験することで、調査手法や調査意義などについて学ぶ。これらの内容を通して、海洋生物の概要を理解し、これらを取り巻く調査研究について学ぶともに、調査研究から得られる知見が管理や保全にどのように役立っているのかについて考え、学びを深める。
【コマ主題細目②】
關 文威、 長沼 毅「生物海洋学入門第2版」講談社サイエンティフィック、2014年、2-4

【コマ主題細目③】
中坊 徹次「日本産魚類検索 全種の同定」東海大学出版会、2013年、16-25頁
奥谷 喬司「新編 世界イカ類図鑑」東海大学出版部、2015年、xiv-xv頁
コマ主題細目 ① 海洋生物に関する調査研究 ② 海洋生物の分類と生物種ごとの調査研究 ③ 海洋生物のソーティング(選別)、測定、解剖
細目レベル ① 本回では、今後取り組む実習や調査・研究に備えて、海洋生物の種類や生態について理解を深めるとともに、実際に調査・分析手法の一部を簡易的もしくは疑似的に実践して学びを深める。本回は、担当する中束の専門である海洋生物学・魚類学の話題を中心に、担当する授業・実習の内容の紹介などを含めて展開され、今後開講されるフィールド生態基礎実習、海洋生物学、海洋生物管理学、水生動物生態実習、演習等の基礎となるものである。始めに、これまでの先輩たちが取り組んだ卒業研究の内容や担当教員がこれまでに行ってきた研究についても紹介する。これらの研究紹介の中で、海洋生物に関する調査研究がなぜ必要になるのか、どのように役立っているのかといった内容についても理解を深める。


② 海洋生物は、水柱環境に生息するプランクトンとネクトン、海底に生息するベントスと、生息場所により分類されている。プランクトン(あるいは浮遊生物)は、海水の流れに逆らって移動することができず、海流によって受動的に運ばれる生物であり、植物プランクトンと動物プランクトンに分けられる。ネクトンとは、プランクトンとは対照的に海水の流れに逆らうのに十分な遊泳力があり、海水の動きとは独立して動くことができる。ネクトンには、魚類、頭足類、海棲哺乳類などが含まれる。これらの海洋生物の生態を明らかにするための調査・研究には、生物種に応じた調査・研究方法が必要となる。そこで、海洋生物の生物種ごとに事例を紹介しながら調査方法を理解する。


③ 海洋生物の生態を理解する上で、様々な調査・分析が必要となるが、本回では、その中の一部の手法について簡易的もしくは擬似的に実践してみる。調査・分析の手法の一つとして、網などで複数種の生物を同時に採集した際に、生物をソーティング(選別)し、体サイズを測定し、生物の解剖を行うというものがある。本回では、この手法について、一連の流れを理解し、簡易的および擬似的に(1)採集物のソーティング(選別)の手法、(2)体サイズ測定、(3)魚類の解剖を行う。詳細として、(1)採集物のソーティング:ネット採集物の写真を用いて、採集物のソーティングを擬似的に行う。 (2)体サイズの測定:魚類、頭足類、甲殻類といった様々な海洋生物について、体サイズ測定の測定箇所が異なることについて理解する。スケールバーの入った海洋生物の写真を用いて、体サイズを測定し、写真から実際の体サイズの推定してみる。(3)魚類の解剖:魚類の解剖ではカタクチイワシの煮干しを用いて、簡易的に解剖を行う。この解剖では、カタクチイワシの形態や内臓器官の観察し、魚類の形態的特徴などを理解する。


キーワード ① 海洋生物 ② プランクトン ③ ネクトン ④ ソーティング ⑤ 測定
コマの展開方法 社会人講師 AL ICT PowerPoint・Keynote 教科書
コマ用オリジナル配布資料 コマ用プリント配布資料 その他 該当なし
小テスト 「小テスト」については、毎回の授業終了時、manaba上において5問以上の、当該コマの小テスト(難易度表示付き)を実施します。
復習・予習課題 【このコマを受けるにあたっての予習課題】
コマシラバスの11回目の細目レベルを読み、キーワードを確認して、今回の授業において扱う内容の主たる事項について理解してくる。その中で、わからない内容や記述、理解できなかった点を各自ノート等に書き留める。出来る限り授業のまえに、本授業に関連する内容について、インターネットや、図書館の書籍を用いて、情報や文献などを調べておくと本授業での理解が深まり、余裕をもって授業に参加することができる。

【このコマを受けるにあたっての復習課題】
授業後に、改めてコマシラバスの11回の細目レベルを再度読み内容を確認する。その際、授業内で理解が難しかったことについて印をつけ、配布資料を読み返して理解する。コマシラバスや配布資料を読み返しても、理解が難しかった内容については、インターネットや、図書館の書籍で調べ、それでもわからない場合には担当教員に質問に行く。また、授業の際に興味関心を抱いた事項について、インターネットや書籍を用いて調べることで、学びを深めることができる。また、キーワードについて、本授業で学んだことを踏まえて説明できるようにしておく。

12 にぎやかな水中の生態系を維持するために~「河川生態学」、「水生動物保全学」とは ~(森岡) 科目の中での位置付け 本科目では、フィールド生態学科の学びの内容を4つの領域および各教員が具体的に伝えることで、本学科の学びの内容や対象とする範囲を明らかにするものである。具体的には、第1回にフィールド生態学科の概要や、4つの領域それぞれの専門性を紹介する。第2回は陸生動物生態領域と植物生態領域の教員による領域の学びや野外施設の紹介を行う。第3回から第5回は陸生動物生態領域の各教員の専門分野における最先端の研究内容や授業で取り扱う主な内容を紹介し、第6回から第8回は植物生態領域の各教員の専門分野における最先端の研究内容や授業で取り扱う主な内容を紹介する。続く第9回には、水生動物生態領域と生態系機能評価領域の教員による領域の学びや野外調査体験を行う。第10回から第12回は、水生動物生態領域の各教員の専門分野における最先端の研究内容や授業で取り扱う主な内容を紹介し、第13回から第14回は、生態系機能評価領域の各教員の専門分野における最先端の研究内容や授業で取り扱う主な内容を紹介する。ここまでの学びの内容をふまえ、第15回は、今後、どのような点に重きを置いてフィールド生態学科で学んでいくか、各自の考えをまとめていくコマとする。このような科目構成の中で、第12回では、河川生態学や水生動物の保全について学ぶ。本コマは、2年時に履修する「河川生態学」、3年時に履修する「水生動物保全学」の概要を説明するものである。前者では河川の生態学的な重要性、河川生物との関り、沿岸域保全への影響を理解し、後者では我が国水生動物の現況、保全の重要性に関する理解を深めることを目的とする。また、両科目において重要な生物指標である魚類の部位測定について、簡易実技を通じて手法の概要を習得するとともに、重要性を理解する。
【コマ主題細目①】
沖野外輝夫「河川の生態学」共立出版、2002年、92-127頁

【コマ主題細目②】
渡辺勝敏, 森誠一編「淡水魚保全の挑戦 : 水辺のにぎわいを取り戻す理念と実践」東海大学出版, 2016年、3-41頁
【教具】物差し(20-30cm)、方眼紙、電卓"







コマ主題細目 ① 河川生態学とは・河川の変容とその影響 ② 水生動物保全学とは・水生動物の減少と保全の重要性 ③ 魚の部位測定方法・魚類観察の基礎
細目レベル ① 河川生態学:河川の水は地球上の水分量の僅か0.01%以下であるが、陸上の自然環境を支える貴重な資源であり、またその流入先である沿岸海域の環境にも大きく関わっている。河川の生態は、農業・工業・飲料水・発電などを目的とした‟利水”や、洪水等の災害対策を目的とした‟治水”を通じて、人間による大きな変容が加えられてきた。人間生活の利便性に資する点も多い一方で、河川内および周辺水域に生息する生物には、河川改修を通じた物理的な変容、農工業用水としての利用に起因する化学的変容が、河川における健全な生態系を損ない、ひいては沿岸域の環境悪化をも引き起こす事例も数多い。こうした背景を踏まえ、「多様な生物の生息・生育環境の確保」の観点から、河川生態の保全に関する日本および海外の活動事例を紹介し、その重要性に関する理解を深める。


② 水生動物保全学:河川には様々な水生動物が生息しており、魚類だけでも約400種の在来種が報告されているが、そのうち40%強で絶滅の可能性があるとされている。これら在来種の絶滅危惧の要因としては、利水・治水による人為的な環境の変容、あるいは地球温暖化による環境の変化、乱獲による個体数の減少、さらに外来種による在来種の生息域の圧迫があげられる。こうした状況はわが国だけの現象ではなく世界各地で問題視されており、今では1年間で約4万種の生物が絶滅していると推定されている。このような減少は、生物多様性を著しく損ない、ひいては人間生活にも大きな影響を与えることとなる。このような現況を理解し、各地で在来種の保全のために行われている研究・活動事例を紹介することで、水生動物保全の重要性に対する認識を深める。


③ 上記両科目において重要な生物指標となる魚類を調査対象とする際に、基礎的な情報として体長・体重以外の部位の測定が必要な場合がある。魚類は種ごとに体形が異なることから各部位の測定値は種同定の際の重要な情報になり得るとともに、同種内においても発育ステージ(仔魚・稚魚・成魚など)の進行に伴い体形が大きく変化してゆく。第11回の授業で説明があった通り、魚類のサイズ測定には全長・体長などの測定基準が定められているが、ここでは、特に魚類仔稚魚におけるより詳細な各部位(頭長・躯幹長など)の測定に関して図解を用いて説明し、発育ステージごとのそれら部位の簡易な測定実技を行うことで、種内における仔稚魚期を通じた成長に伴うプロポーション変化に関する理解を深める。さらに異種間についても同様の作業を行い、発育ステージごとのプロポーションに種間で違いが生じる現象を理解する。


キーワード ① 水域環境 ② 環境変動 ③ 在来種 ④ 外来種 ⑤ 計測
コマの展開方法 社会人講師 AL ICT PowerPoint・Keynote 教科書
コマ用オリジナル配布資料 コマ用プリント配布資料 その他 該当なし
小テスト 「小テスト」については、毎回の授業終了時、manaba上において5問以上の、当該コマの小テスト(難易度表示付き)を実施します。
復習・予習課題 【復習課題】
本講義では、2年時・3年時に履修予定の「河川生態学」・「水生動物保全学」の基礎的な概要を理解するため、両科目で学習する基本的な内容を紹介する機会と位置付けられる。両科目とも環境変動との関連性の理解が欠かせないことから、講義中に説明した事象の中で興味を持った点については各自で適宜情報を得、知見を深めること。
【予習課題】
なし

13 水と生態系の関係を最適化する方法を考える(神本) 科目の中での位置付け 本科目では、フィールド生態学科の学びの内容を4つの領域および各教員が具体的に伝えることで、本学科の学びの内容や対象とする範囲を明らかにするものである。具体的には、第1回にフィールド生態学科の概要や、4つの領域それぞれの専門性を紹介する。第2回は陸生動物生態領域と植物生態領域の教員による領域の学びや野外施設の紹介を行う。第3回から第5回は陸生動物生態領域の各教員の専門分野における最先端の研究内容や授業で取り扱う主な内容を紹介し、第6回から第8回は植物生態領域の各教員の専門分野における最先端の研究内容や授業で取り扱う主な内容を紹介する。続く第9回には、水生動物生態領域と生態系機能評価領域の教員による領域の学びや野外調査体験を行う。第10回から第12回は、水生動物生態領域の各教員の専門分野における最先端の研究内容や授業で取り扱う主な内容を紹介し、第13回から第14回は、生態系機能評価領域の各教員の専門分野における最先端の研究内容や授業で取り扱う主な内容を紹介する。ここまでの学びの内容をふまえ、第15回は、今後、どのような点に重きを置いてフィールド生態学科で学んでいくか、各自の考えをまとめていくコマとする。このような科目構成の中で、第13回は水の環境に焦点をある。関連する科目は、生態系における物質循環と流域環境学、環境化学実験、生態系機能評価実験である。まず、水の循環の中で人間活動に由来する物質が水環境中に混入していくかについて学び、その物質がどのようにして水環境中の生態系もしくは人為的な処理によってどのように除去されるのかを紹介する。加えて、生物によって分解されにくい物質が生物へに及ぼす影響についても紹介をする。水環境での目に見える物質として知られている富栄養化について、今日の富栄養化の現状と今後の我々が行うべき富栄養化対策を示す。そして、富栄養化を含めた水環境の対策を考えるうえでは汚濁物質がどれだけ存在しているかの把握が重要であることから、濃度の測定方法を実演する。
【コマ主題細目①】
北尾高嶺「浄化槽の基礎知識」 日本環境整備教育センター 1996年76-84頁

【コマ主題細目②】
北尾高嶺「浄化槽の基礎知識」 日本環境整備教育センター 1996年202-210頁

【コマ主題細目③】
大垣眞一郎「河川と栄養塩類 管理にむけての低減」 技報道出版 2005年、107-112、152-161頁
コマ主題細目 ① 水域による物質の移動 ② 易分解性物質と難分解性物質 ③ 富栄養化
細目レベル ① 水環境は人間をはじめとして多くの生物の活動に必要不可欠である。そのため、毒性物質のように害をなす物質が存在する場合、その水を用いて生活する生き物は負の影響を受ける。水は海から太陽エネルギーを得て蒸発することで雨や雪となって地表に降り注ぎ、河川を形成して海に戻るといった循環を行っている。河川や海域には人間の生産活動に由来する排水が排出されている。例えば、上流に位置する山間部では農業に由来する窒素やリンなどの栄養塩(養分)、農薬・殺虫剤などが人間の生活によって汚濁物質として放出される。畜産や養殖では飼育してる生物の排泄物や飼料の残渣に加えて医薬品や抗生物質が排出される。上流部で排出された汚濁物質を含んだ水は我々の飲料水源として使用されることもあり、使用した水は適切に処理して水環境に戻すことが必要である。


② 使用した水は適切に処理した後に水環境に放出することが必要であることは①で説明したとおりである。しかし、排出される物質によって最適な処理方法が異なる。米のとぎ汁の様な生物が分解しやすいものは微生物を用いた処理が適している。農薬や殺虫剤、抗生物質の様な複雑な構造をした化学物質の多くは水環境や土壌環境に広く存在している微生物による分解は困難である。このように微生物によって分解されやすい物質を易分解性物質とよび、広く存在する微生物が分解することが困難な物質を難分解性物質という。易分解性物質は下水道や浄化槽などの微生物を用いた浄化施設で容易に分解できる。難分解性物質河川などの水環境中では分解されずに残存するため、水生生物が取り込みやすい。そのため、難分解性物質は捕食によって大型の水生生物内に濃縮されやすく、健康被害の発生が危惧されている。


③ 青潮や赤潮の発生がニュース等で報道され、水環境の汚染では富栄養化を思い描く人も多いと思う。富栄養化は主に養分である窒素とリンの存在が過剰であるために引き起こされる。その一方で、海域では貧栄養化が指摘されており、ノリの色落ちや餌の微細藻類の不足によるアサリの生育不良が報告されている。我々が環境を保全しようとしてエネルギーをつかって処理を行ってきたが、それが生態系にとって負の影響が生じていることが明確になった。そのため、法律を改正して適度に汚濁物を水環境に放流することで適切な生態系を保つことが求められ、我々の意識と技術の変革が求められている。そのためには濃度を適切に測定することが必要であり、濃度の測定方法について紹介する。


キーワード ① 水の循環 ② 生物分解 ③ 生体濃縮 ④ 富栄養化 ⑤ 貧栄養化
コマの展開方法 社会人講師 AL ICT PowerPoint・Keynote 教科書
コマ用オリジナル配布資料 コマ用プリント配布資料 その他 該当なし
小テスト 「小テスト」については、毎回の授業終了時、manaba上において5問以上の、当該コマの小テスト(難易度表示付き)を実施します。
復習・予習課題 【このコマを受けるにあたっての予習課題】
 コマシラバス13回目の細目レベルを読み、今回の授業において扱う内容の主たる事項について理解しておく。その上で,よくわからない内容や記述、理解できなかった点を各自ノート等に書き留めておく。なるべく授業前に、図書館で関連する本を参照してみたり、インターネットを用いて文献や情報を調べるなどしておくと、事象の関連について理解が深まり,授業に余裕を持って参加することができる。
【このコマを受けた後の復習課題】
 授業後に,改めてコマシラバス13回目の細目レベルを読み、内容を確認する。その際、授業内で理解が難しかったことについて印をつけ、配布資料を読み返して理解する。コマシラバスや配布資料を読み返しても、理解が難しかった内容については、インターネットや、図書館の書籍で調べ、それでもわからない場合には担当教員に質問に行く。また、授業の際に興味関心を抱いた事項について、インターネットや書籍を用いて調べることで、学びを深めることができる。また、キーワードについて、本授業で学んだことを踏まえて説明できるようにしておく。

14 足元から自然環境の仕組みを理解する~土壌生態系機能の解明とその評価~(藤井芳) 科目の中での位置付け 本科目では、フィールド生態学科の学びの内容を4つの領域および各教員が具体的に伝えることで、本学科の学びの内容や対象とする範囲を明らかにするものである。具体的には、第1回にフィールド生態学科の概要や、4つの領域それぞれの専門性を紹介する。第2回は陸生動物生態領域と植物生態領域の教員による領域の学びや野外施設の紹介を行う。第3回から第5回は陸生動物生態領域の各教員の専門分野における最先端の研究内容や授業で取り扱う主な内容を紹介し、第6回から第8回は植物生態領域の各教員の専門分野における最先端の研究内容や授業で取り扱う主な内容を紹介する。続く第9回には、水生動物生態領域と生態系機能評価領域の教員による領域の学びや野外調査体験を行う。第10回から第12回は、水生動物生態領域の各教員の専門分野における最先端の研究内容や授業で取り扱う主な内容を紹介し、第13回から第14回は、生態系機能評価領域の各教員の専門分野における最先端の研究内容や授業で取り扱う主な内容を紹介する。ここまでの学びの内容をふまえ、第15回は、今後、どのような点に重きを置いてフィールド生態学科で学んでいくか、各自の考えをまとめていくコマとする。このような科目構成の中で、第14回では,生態系機能評価領域における学びのうち,まず「生態系機能」について振り返った後に,陸上生態系を始めとする他の生態系の基盤として重要である土壌生態系の機能について概観する.その上で,生態系を理解するために重要な「物質循環」の駆動に直接的に関わる「分解浄化機能」について解説をする.最後に,土壌生態系機能の評価を行う方法について比較的簡単に取り組める例を複数挙げ,そのうちの一つとして窒素無機化速度の評価を実施し,生態系機能評価の一端を経験する.
以下の文献情報を中心として作成した配布資料を用いる.

【コマ主題細目①】
松中照夫(2018)『新版 土壌学の基礎』農文協,7-11頁. 森章 編(2012)『エコシステムマネジメント―包括的な生態系の保全と管理へ―』共立出版,204-206頁.岡崎正規編(2020)『土壌環境学』朝倉書店,11-15頁.柴田英昭編(2018)『森林と土壌』共立出版,1-5頁. 金子信博(編)(2018)『土壌生態学』朝倉書店,1-5頁.

【コマ主題細目②】
松中照夫(2018)『新版 土壌学の基礎』農文協,36-44頁. 西尾道徳(1989)『土壌微生物の基礎知識』農文協,52-55頁. 金子信博(2007)『土壌生態学入門』東海大学出版会,49-66頁,153-174頁. 金子信博(編)(2018)『土壌生態学』朝倉書店,72-100頁.

【コマ主題細目③】
金子信博・金田哲・豊田鮎(2020)『土壌動物の多様性と機能解析』共立出版,108-112頁. 日本土壌動物学会(編)『土壌動物学への招待』東海大学出版会,91-99頁.
コマ主題細目 ① 土壌の生態系機能 ② 分解浄化機能 ③ 生態系機能評価ことはじめ
細目レベル ①  土壌の主な機能としては,生産機能,保水機能,分解浄化機能が挙げられる.その他,大気組成の維持に寄与する大気圏とのガス交換機能,動物の生息環境提供機能,道路や鉄道,建物等の基盤となる機能,建築資材や窯業原料としての機能,景観構成機能なども挙げることができる.さらに,土壌生物の関わりの強い生態系機能としては,養分循環・保持,土壌肥沃度の向上,土壌生成,水循環の調節,炭素フラックスと気候の制御,汚染物質浄化とバイオレメディエーション,病害虫防除等が挙げられる.これらを通じて,土壌生態系は陸上生態系を始めとする他の生態系を支える基盤となっている.
 土壌には狭い空間に極めて多様な生物が生息しており,土壌表層10 cmまでに9割以上が生息している.森林の一定面積中の地上部に棲息する哺乳類や鳥類,昆虫などの無脊椎動物の現存量を1とすると,土壌表層の(土壌)動物は10程度,微生物は100程度棲息しており,土壌は陸上に比べて生物で密集した状態であるといえる.土壌深層にいくにつれて生物の種数は少なく,密度も低くなる.このことから,地殻の表層数cmのところで,陸上生態系の他,様々な生態系を支える機能が発揮されていることが分かる.


②  土壌微生物は,細胞内で合成した酵素を外側に分泌し,外側のエサ(有機物)をこの細胞外酵素によって低分子化もしくは無機化してから水とともに細胞の中に吸収する.有機物分解に直接寄与しているのは土壌微生物であり,つまり,土壌における呼吸量(炭素の無機化量)としての炭素循環への直接的寄与のほとんどは土壌微生物が担っており,土壌動物の直接的寄与はわずかである.しかしながら,有機物分解速度の変化は,土壌微生物の活動とともに土壌動物の存在も無視できないものとされており,その両者の相互作用によって有機物分解が進む,というところが実際である.とはいえ,土壌動物は一部自前の有機物分解酵素をもっているものの,基本的には自身で有機物分解を進めることは困難であり,土壌動物の有機物分解への寄与は土壌微生物の活動にいかに関与するかによって決まる.
 土壌動物は,ⅰ. 有機物の破砕・粉砕,ⅱ. 有機物内のトンネル形成,ⅲ. 土壌微生物の分散,ⅳ. 土壌微生物を摂食することによる微生物の成長の促進や抑制,などによって,土壌微生物の活動に関与している.この間接的な有機物分解への効果によって,土壌動物の窒素循環への寄与が80%を占めたとする報告もある.同様に,土壌動物はリンやその他のミネラルの循環に対する寄与が大きいとする報告がある.


③  樹木等の葉や枝などの枯死物を総称してリターと呼ぶ.リターが脱落して地表に降下する量のことをリターフォールと呼ぶ.リターフォールによって土壌に還元されたリターには,有機物や養分が多く含まれており,土壌微生物や土壌動物によって分解されることで森林生態系内を再循環する.リターフォールやリターの分解特性は,植生の種類だけではなく,気候,地質,土壌を含む様々な環境要因を受けて形成されている.土壌の機能のうちでも,②で扱った分解浄化機能によって地球上の物質循環が形成される訳だが,その機能の詳細を知るには,その地の有機物の質や量の把握をした上で,実際に有機物の分解速度を測定してみるとよい.このことから,土壌に供給される有機物の主なものであるリターの採取方法(リタートラップ)の確認と,有機物分解速度の測定法として(メッシュを変化させた)リターバック法やベンチコート紙法(埋設土壌深度別)を紹介し,土壌の窒素無機化速度の測定を通じて,土壌の種類による分解浄化機能の能力評価を試みる.


キーワード ① 生態系機能 ② 分解浄化機能 ③ 有機物 ④ 微生物 ⑤ 評価
コマの展開方法 社会人講師 AL ICT PowerPoint・Keynote 教科書
コマ用オリジナル配布資料 コマ用プリント配布資料 その他 該当なし
小テスト 「小テスト」については、毎回の授業終了時、manaba上において5問以上の、当該コマの小テスト(難易度表示付き)を実施します。
復習・予習課題 【このコマを受けるにあたっての予習課題】
 コマシラバス14回目の細目レベルを読み,今回の授業において扱う内容の主たる事項について理解しておく.その上で,よくわからない内容や記述,理解できなかった点を各自ノート等に書き留めておく.なるべく授業前に,図書館で関連する本を参照してみたり,インターネットを用いて文献や情報を調べるなどしておくと,事象の関連について理解が深まり,授業に余裕を持って参加することができる.

【このコマを受けた後の復習課題】
 授業後に,改めてコマシラバス14回目の細目レベルを読み,今回の授業の中で学んだ「土壌生態系機能」「分解浄化機能」,さらにはそれらの評価方法について確認をする.授業中に示した配布資料を読み直し,理解が難しかった事項に印をつけ,コマシラバスや配布資料を再度読み返しても分からない場合は,授業担当教員の下へ質問にいく.授業中に扱った話題や用語について,特に関心を持ったり,重要だと思ったものについては,コマシラバスの教材・教具欄に提示した文献を図書館で借りるなどして,関連する周辺知識についても確認しておくと,知識の定着や深堀が促進される.今回学んだ土壌生態系機能は,フィールド生態学科の全ての領域の内容に関わる基盤であるが,自身が関心のある領域においてどのように関連があるのか,2つほどは挙げられるようにしておくこと.

15 フィールド生態学のまとめ 科目の中での位置付け 本科目では、フィールド生態学科の学びの内容を4つの領域および各教員が具体的に伝えることで、本学科の学びの内容や対象とする範囲を明らかにするものである。具体的には、第1回にフィールド生態学科の概要や、4つの領域それぞれの専門性を紹介する。第2回は陸生動物生態領域と植物生態領域の教員による領域の学びや野外施設の紹介を行う。第3回から第5回は陸生動物生態領域の各教員の専門分野における最先端の研究内容や授業で取り扱う主な内容を紹介し、第6回から第8回は植物生態領域の各教員の専門分野における最先端の研究内容や授業で取り扱う主な内容を紹介する。続く第9回には、水生動物生態領域と生態系機能評価領域の教員による領域の学びや野外調査体験を行う。第10回から第12回は、水生動物生態領域の各教員の専門分野における最先端の研究内容や授業で取り扱う主な内容を紹介し、第13回から第14回は、生態系機能評価領域の各教員の専門分野における最先端の研究内容や授業で取り扱う主な内容を紹介する。ここまでの学びの内容をふまえ、第15回は、今後、どのような点に重きを置いてフィールド生態学科で学んでいくか、各自の考えをまとめていくコマとする。このような科目構成の中で、第15回は、フィールド生態学の全体像をまとめた上で、今後、どのような点に重きを置いて、フィールド生態学科で学んでいくか、各自の考えをまとめていく。
【コマ主題細目①】
人間環境大学 環境科学部 履修の手引き『フィールド生態学科(概要・特色)-フィールド生態学科の特色-』

【コマ主題細目②】
人間環境大学シラバス『フィールド生態学入門』

【コマ主題細目③】
桑原てるみ編(2015)『学生のレポート・論文作成トレーニング改訂版』p.106-114. 実教出版.
コマ主題細目 ① フィールド生態学のまとめ ② 履修判定指標の確認 ③ フィールド生態学科への期待
細目レベル ① 第1回から第14回までの各回で紹介してきた通り、フィールド生態学は、フィールドにおいて、各環境の生態系の構造や機能、動植物の生態を学ぶものである。フィールド生態学科では、1年次より本学科の基礎となる生態学を学び、2年次以降、陸生動物生態領域、水生動物生態領域、植物生態領域、生態系機能評価領域の4つの領域に分かれて各領域の専門知識や調査技術を学んでいくことになる。4つの領域のそれぞれでは、同じ社会問題を扱うにしてもアプローチが異なる。例えば、ニホンジカによる林業被害を考えた場合、陸生動物生態領域では、ニホンジカの個体数管理の方法や行動制御の方法に重きを置いて解決策を模索するが、植物生態領域ではニホンジカに食べられにくい樹種を検討したり効果的な防護柵を検討したりすることになるだろう。また、マイクロプラスチック問題を考えた場合、水生動物生態領域では、マイクロプラスチックが水生動物にどのような影響があるかを調べるのに対し、生態系機能評価領域では、マイクロプラスチックの生成過程を調べどのように回収すべきかを検討するだろう。ここでは、各領域のアプローチの違いを理解するところまでを目指す。


② 本学では、授業の成績は期末試験か期末レポートのどちらかで評価される。筆記試験が課された場合、まず、シラバスの履修判定指標や各回の細目レベルなどから何をどの程度まで抑えておくべきかを読み取ることが重要である。的を得ない試験勉強をしても得点が伸びないためである。本科目の筆記試験の履修判定指標には、(1)陸生動物生態領域の内容、(2)水生動物生態領域の内容、(3)植物生態領域の内容、(4)生態系機能評価領域の内容、(5)フィールド生態学科への期待、の5つがある。(1)から(4)の各領域の内容については、選択問題や単語記述問題などの小門で出題される。一方、(5)の「フィールド生態学科への期待」については、200字から400字程度の記述式の問題が出題される。履修判定指標に、記載のポイントとして、①から⑥に分けて内容が記載されている。これらのポイントごとに各自の回答を書き出し、矛盾のない形で事前に文章にまとめておくとよいだろう。


③ 細目レベル②で確認した履修判定指標のうち、(5)「フィールド生態学科への期待」について、自身の考えをまとめていく。履修判定指標にある、①興味のあること(研究内容、授業内容等)、②目指す将来像とその理由、③フィールド生態学科で身に着けたいこと、④希望する領域および希望するゼミ、⑤フィールド生態学科で特に積極的に取り組みたい活動(授業、研究、課外活動等)の5つのポイントについての、自身の考えを書き出していく。必要に応じて、各領域の教員に学びの内容を確認したり、このような研究が可能かなどと質問も可能である。各ポイントが書き出せたらこれらをアウトラインとして、200字から400字の文章にまとめる練習を行う。書き上げた文章を自身で評価することは難しいので、他の受講生や教員からの評価を受けて客観的なものへと推敲する。


キーワード ① フィールド生態学 ② 履修判定指標 ③ 筆記試験 ④ 文章執筆 ⑤ 推敲
コマの展開方法 社会人講師 AL ICT PowerPoint・Keynote 教科書
コマ用オリジナル配布資料 コマ用プリント配布資料 その他 該当なし
小テスト 「小テスト」については、毎回の授業終了時、manaba上において5問以上の、当該コマの小テスト(難易度表示付き)を実施します。
復習・予習課題 【このコマを受けるにあたっての予習課題】
 コマシラバス15回目の細目レベルを読み、今回の授業において扱う内容の主たる事項について理解しておく。その上で、よくわからない内容や記述、理解できなかった点を各自ノート等に書き留めておく。また、教材・教具に示した書籍を読むなどすると、授業に余裕を持って参加することができる。

【このコマを受けた後の復習課題】
授業後に、改めてコマシラバスの15回の細目レベルを再度読み内容を確認する。その際、授業内で理解が難しかったことについて印をつけ、配布資料を読み返して理解する。コマシラバスや配布資料を読み返しても、理解が難しかった内容については、インターネットや、図書館の書籍で調べて解決する。第15回で作成したアウトラインをもとにレポートを書きあげ、推敲し、期日までに指定の方法で提出する。

履修判定指標
履修指標履修指標の水準キーワード配点関連回
陸生動物生態領域の理解 陸生動物生態領域の学びの内容を理解しているかどうか確認する。具体的には、陸生動物生態領域が対象とする生物の範囲、陸生動物生態領域が対象とする研究領域の内容、陸生動物生態領域に所属する教員(立脇先生、久松先生、岡久先生)の専門性について、1問2点程度の選択問題や単語記述問題等の小問が出題される。これらの問題に答えるには、第1回、2回、3回から5回、15回の授業内容や履修の手引きを見直しておくとよいだろう。 陸生動物、陸生哺乳類、鳥類、昆虫類 20 1, 2, 3-5, 15
水生動物生態領域の理解 水生動物生態領域の学びの内容を理解しているかどうか確認する。具体的には、水生動物生態領域が対象とする生物の範囲、水生動物生態領域が対象とする研究領域の内容、水生動物生態領域に所属する教員(森岡先生、西田先生、中束先生)の専門性について、1問2点程度の選択問題や単語記述問題等の小問が出題される。これらの問題に答えるには、第1回、9回から12回、15回の授業内容や履修の手引きを見直しておくとよいだろう。 水生動物、海生哺乳類、淡水魚、海水魚 20 1, 9-12, 15
植物生態領域の理解 植物生態領域の学びの内容を理解しているかどうか確認する。具体的には、植物生態領域が対象とする生物の範囲、植物生態領域が対象とする研究領域の内容、植物生態領域に所属する教員(横家先生、藤井伸先生、江口先生)の専門性について、1問2点程度の選択問題や単語記述問題等の小問が出題される。これらの問題に答えるには、第1回、2回、6回から8回、15回の授業内容や履修の手引きを見直しておくとよいだろう。 植物、希少種、外来種、森林、農作物 20 1, 2, 6-8, 15
生態系機能評価領域の理解 生態系機能評価領域の学びの内容を理解しているかどうか確認する。具体的には、生態系機能評価領域が対象とする生物や化学物質等の範囲、生態系機能評価領域が対象とする研究領域の内容、生態系機能評価領域に所属する教員(藤井芳先生、神本先生)の専門性について、1問2点程度の選択問題や単語記述問題等の小問が出題される。これらの問題に答えるには、第1回、9回、13回から15回の授業内容や履修の手引きを見直すとよいだろう。 生態系機能、土壌環境、水環境 20 1, 9, 13-15
フィールド生態学科への期待 自身の目指す将来像に向けて、フィールド生態学科での学びを位置づけることができているかを評価する。より具体的には、「あなたが将来の目標に向けて、フィールド生態学科で学びたいことを200字から400字程度で説明してください。」という問いに対して、①興味のあること(研究内容、授業内容等)、②目指す将来像とその理由、③フィールド生態学科で身に着けたいこと、④希望する領域および希望するゼミ、⑤フィールド生態学科で特に積極的に取り組みたい活動(授業、研究、課外活動等)に触れながら、200字から400字程度で記述できるようにしておくこと。なお、将来像や希望の領域、希望のゼミについて、いくつかの候補の間で悩んでいる場合にも、その中で1つだけを選びそのことについて具体的に書くものとする。各ポイントをふまえた1段落程度の「文章」を書くこととし、箇条書きにはしないこと。 フィールド生態学、将来像、知識、技術 20 1-15
評価方法 期末試験による(100%)
評価基準 評語
    学習目標をほぼ完全に達成している・・・・・・・・・・・・・ S (100~90点)
    学習目標を相応に達成している・・・・・・・・・・・・・・・ A (89~80点)
    学習目標を相応に達成しているが不十分な点がある・・・・・・ B (79~70点)
    学習目標の最低限は満たしている・・・・・・・・・・・・・・ C (69~60点)
    学習目標の最低限を満たしていない・・・・・・・・・・・・・ D (60点未満)
教科書 なし
参考文献 各回の「教材・教具」欄を参照のこと
実験・実習・教材費