区分 (生)フィールド生態科目 フィールド生態共通科目
ディプロマ・ポリシーとの関係
専門性 理解力 実践力
カリキュラム・ポリシーとの関係
専門知識 教養知識 思考力
実行力
カリキュラム全体の中でのこの科目の位置づけ
個人・社会・自然が直面する課題に対して専門的な理解を深めると共に、学際的な柔軟性を有し、実践的な能力を有する。企業・地域社会などのあらゆるコミュニティに寄与する組織的な活動能力を有する。
科目の目的
本科目は、施設・環境が充実している京都大学の上賀茂試験地、芦生研究林、北白川試験地の訪問・利用、研究林所在地近隣の民間施設の見学を通して、近畿地方の里山・奥山の森林植生の特徴の違い、それぞれの森林の現状と問題点、森林をとりまく人々の暮らしを学ぶことを目的とする。また実習に参加してくださる京都大学の研究者や学生との調査実習、対話、議論を通して、環境の保全や改善へ向けた意志や認識、実践力、協働心を育てることを目的とする。
到達目標
里山・奥山の森林景観の現状と課題の共通点と差異について理解し、説明することができる。森林に携わる人々の生活について理解し、説明することができる。見学した研究林・試験地・施設の概要や特徴、及び実施した調査実習の内容について、A4 1枚程度の報告書にまとめることができる。
科目の概要
近畿地方における奥山・里山の代表的な景観を呈する研究林・試験地を見学し、里山と奥山の森林植生の特徴の違いや、管理放棄や獣害などの森林で起きている様々な問題を学ぶ。また森林をとりまく人々の暮らしを学び、森林と人との関係について考える。本実習は京都大学の研究林を利用して行う実習であり、基本的には京都大学フィールド科学教育研究センターが京都大学芦生研究林、上賀茂試験地、北白川試験地にて開講する公開森林実習I(2泊3日または3泊4日)と並行して開催する。なお、本シラバスの内容は昨年度の内容を記載したものであり、今年度の実習内容や順序は天候や利用先の研究林・試験地の都合により変更される可能性がある。詳細については5月ごろに事前説明会を開催して説明する予定であるため、この説明会への出席が履修の必須要件となる。
科目のキーワード
里山林,原生林,林業,山村,暮らし
授業の展開方法
全実習を通して、森林内で研究に携わっている京都大学の教職員の方々や、森林と関わりながら暮らす人々との対話、質問や議論といったアクティブラーニング要素より構成される。実習は2泊3日で行われる。実習1日目は、上賀茂試験地内の里山林の植生の特徴、見本林としての取り組み、見本林に植栽されている主要な樹種について学ぶ。実習2日目は、芦生研究林内の原生的な植生の特徴、上賀茂試験地で見学した里山林との違いについて学ぶ。実習3日目は、見学や実習に際して記録したメモや写真をよく確認しながら報告書の作成を行う。実習参加者には積極的な対話・議論への参加を期待する。
オフィス・アワー
【火曜日】2時限目・昼休み、3時限目(前期のみ)、【水曜日】昼休み・3時限目、【木曜日】2時限目(前期のみ)、昼休み・3時限目
科目コード ENS206
学年・期 1年・前期
科目名 奥山・里山管理実習
単位数 1
授業形態 実習
必修・選択 選択
学習時間 【授業】90分×15 【予習】30分以上×15 【復習】30分以上×15
前提とする科目 なし
展開科目 植物生態基礎実習
関連資格 なし
担当教員名 岡久雄二
主題コマシラバス項目内容教材・教具
1 ガイダンス (安全講習)
上賀茂試験地の見学
(実習1日目)
科目の中での位置付け 本科目は、近畿地方における奥山・里山の代表的な景観を呈する、京都大学管轄の3つの研究林・試験地を見学し、里山と奥山の森林植生の特徴の違いや、管理放棄や獣害などの森林で起きている様々な問題、森林をとりまく人々の暮らしを学ぶことを目的とする、2泊3日(あるいは3泊4日)の宿泊型の実習科目である。1日目は実習全体の安全講習を受けたのち、近畿地方の里山植生を呈する上賀茂試験地を見学する。1日目の夕方に芦生研究林に移動し、2日目は近畿地方の原生植生が残存する芦生研究林において見学・森林内の調査実習を行う。3日目の午前は、かやぶき屋根民家残存集落、または木材市場の見学を通し、京都府北部の森林と関わる人々の暮らしを学ぶ。3日目の午後は京都市内に位置する北白川試験地を見学し、実習のとりまとめとしてA4 1枚程度の報告書を作成する。本コマでは実習1日目として上賀茂試験地の見学を行い、近畿地方の里山植生の出現種の特徴と現状、保全のための課題について学ぶ。また、上賀茂試験地における見本林としての植物種子収集の取り組みについても見学する。なお、基本的に野外での実習となるため、フィールドの状況や天候によって実習の内容や実施順に変更が生じる可能性がある。
斜面地を含む森林内に立ち入るため、動きやすい靴、薄手の長袖、長ズボンの着用が必須である。詳細は説明会にて説明をする。
その他所持品や準備については、実施内容の詳細が判明次第、必要に応じて指示する。
①配布プリント(京都大学より配布), 本講義のコマシラバス
②配布プリント(京都大学より配布), 本講義のコマシラバス
③配布プリント(京都大学より配布), 本講義のコマシラバス
コマ主題細目 ① ガイダンス(安全講習) ② 上賀茂試験地内の二次林の見学 ③ 上賀茂試験地内の見本林・見本園の見学
細目レベル ① 実習開始に先立ち、京都大学の担当教員より野外調査・見学における安全講習を受講する。森林内では、斜面部における滑落・転倒のリスクのほか、落葉落枝や落石による負傷リスク、サルトリイバラなどのトゲを持つ植物やウルシ類などの有毒植物との接触に伴う負傷リスク、カ・アブ・スズメバチ・マムシ・マダニなどの有害動物による刺傷・咬傷を負うリスクが考えられる。さらに、ツキノワグマ・イノシシ・シカなどの大型動物と森林内で遭遇した場合、命にかかわるケガを負うリスクも考えられる。これらの負傷リスク低減の観点から、森林内に立ち入る際には長袖・長ズボンの着用のほか、首元・手首・足首を露出しない服装が求められる。また、森林に立ち入る予定と詳細な立ち入り地点を、第三者に伝達あるいは届け出ておき、森林内では単独行動を極力避け、クマ鈴やラジオなどで常に音を出しながら行動する必要がある。夏季・冬季問わず十分な量の水分や、場合によっては行動食の携行も重要である。
② 上賀茂試験地は京都大学の演習林の一つで、京都市市街地の近隣に位置する。里山的景観を保つ天然生林を有しており、この林分はかつて隣接する地区の薪炭林として利用され、1949年の京都大学への移管時点ではアカマツと広葉樹を主要構成種とする森林であったと考えられる。この天然生林は現在、他の多くの里山と同様に、森林資源の利用頻度の激減(アンダーユース)、マツ枯れ、ナラ枯れ、シカ食害などの影響を受け、森林環境や出現種が大きく変化している。現在の上賀茂試験地の天然生林は現在ヒノキが優占しており、遷移の進行に伴う、生物多様性の低下が指摘されている。こうした背景を受け、上賀茂試験地では、多様な樹種からなる植生の再生を目的とした小面積の伐採による人工ギャップの創出を行い(2000年1月)、人工ギャップ創出後の植生の変化などについて継続調査を実施している。
③ 上賀茂試験地には、外国産樹種や竹類などをコレクションする見本林としての一面もある。諸外国の、日本とは異なる環境に適応した植物は、その形態も日本の植物とは異なるものが多い。見本林としての活動の一環として、世界各地の植物園や研究機関との相互協力のもと、植物の種子交換が実施されている。毎年、提供可能な種子のリストを交換し合い、その中から希望する種子の発送を依頼することで、それぞれが採集した植物の種子を無償で提供しあう仕組みである。現在、上賀茂試験地では約120ヶ所の機関と種子交換を行っている。また上賀茂試験地では、種子交換によって得られた数多くの外国産樹種を導入し、本試験地の環境下での生育状況を調査してきた。多種を集めることを目標とした模索的な初期の導入期を経て、現在は見本林園の充実と再整備を目的に、マツ属、ツツジ科、ブナ科、カエデ科などを中心に導入を進めている。これまでに収集された樹種は105科、380属、4,300種におよび、現在生育しているのは99科、350属、750種である。このうち、メタセコイアやラクウショウといった高木種は構内の見本園だけでなく、見本林、実験林として植栽されている。
キーワード ① フィールドワーク ② 里山林 ③ 見本林・見本園 ④ 種子交換 ⑤ 安全講習
コマの展開方法 社会人講師 AL ICT PowerPoint・Keynote 教科書
コマ用オリジナル配布資料 コマ用プリント配布資料 その他 該当なし
小テスト 「小テスト」については、毎回の授業終了時、manaba上において5問以上の、当該コマの小テスト(難易度表示付き)を実施します。
復習・予習課題 [復習課題] 最終日に作成するレポートの準備として、当日の見学内容の場所、時間帯、内容について整理しておく。1日目の内容として、上賀茂試験地内の里山林の植生の特徴、見本林としての取り組み、見本林に植栽されている主要な樹種について、特に再確認しておく。例えば、「森林資源の利用頻度の激減(アンダーユース)、マツ枯れ、ナラ枯れ、シカ食害などの影響を受け、森林環境や出現種が大きく変化している。現在の上賀茂試験地の天然生林は現在ヒノキが優占しており、遷移の進行に伴う、生物多様性の低下が指摘されている。こうした背景を受け、上賀茂試験地では、多様な樹種からなる植生の再生を目的とした小面積の伐採による人工ギャップの創出を行い(2000年1月)、人工ギャップ創出後の植生の変化などについて継続調査を実施している。」という点について説明できるようにする。
[予習課題] この後のスケジュールについてよく確認し、集合場所・時刻、持参物・準備物、服装について把握しておく。必要であれば、持参物等について事前の準備を行う。

2 上賀茂試験地の見学
(実習1日目)
科目の中での位置付け 本科目は、近畿地方における奥山・里山の代表的な景観を呈する、京都大学管轄の3つの研究林・試験地を見学し、里山と奥山の森林植生の特徴の違いや、管理放棄や獣害などの森林で起きている様々な問題、森林をとりまく人々の暮らしを学ぶことを目的とする、2泊3日(あるいは3泊4日)の宿泊型の実習科目である。1日目は実習全体の安全講習を受けたのち、近畿地方の里山植生を呈する上賀茂試験地を見学する。1日目の夕方に芦生研究林に移動し、2日目は近畿地方の原生植生が残存する芦生研究林において見学・森林内の調査実習を行う。3日目の午前は、かやぶき屋根民家残存集落、または木材市場の見学を通し、京都府北部の森林と関わる人々の暮らしを学ぶ。3日目の午後は京都市内に位置する北白川試験地を見学し、実習のとりまとめとしてA4 1枚程度の報告書を作成する。本コマでは実習1日目として上賀茂試験地の見学を行い、近畿地方の里山植生の出現種の特徴と現状、保全のための課題について学ぶ。また、上賀茂試験地における見本林としての植物種子収集の取り組みについても見学する。なお、基本的に野外での実習となるため、フィールドの状況や天候によって実習の内容や実施順に変更が生じる可能性がある。
斜面地を含む森林内に立ち入るため、動きやすい靴、薄手の長袖、長ズボンの着用が必須である。詳細は説明会にて説明をする。
その他所持品や準備については、実施内容の詳細が判明次第、必要に応じて指示する。
①配布プリント(京都大学より配布), 本講義のコマシラバス
②配布プリント(京都大学より配布), 本講義のコマシラバス
③配布プリント(京都大学より配布), 本講義のコマシラバス
コマ主題細目 ① ガイダンス(安全講習) ② 上賀茂試験地内の二次林の見学 ③ 上賀茂試験地内の見本林・見本園の見学
細目レベル ① 実習開始に先立ち、京都大学の担当教員より野外調査・見学における安全講習を受講する。森林内では、斜面部における滑落・転倒のリスクのほか、落葉落枝や落石による負傷リスク、サルトリイバラなどのトゲを持つ植物やウルシ類などの有毒植物との接触に伴う負傷リスク、カ・アブ・スズメバチ・マムシ・マダニなどの有害動物による刺傷・咬傷を負うリスクが考えられる。さらに、ツキノワグマ・イノシシ・シカなどの大型動物と森林内で遭遇した場合、命にかかわるケガを負うリスクも考えられる。これらの負傷リスク低減の観点から、森林内に立ち入る際には長袖・長ズボンの着用のほか、首元・手首・足首を露出しない服装が求められる。また、森林に立ち入る予定と詳細な立ち入り地点を、第三者に伝達あるいは届け出ておき、森林内では単独行動を極力避け、クマ鈴やラジオなどで常に音を出しながら行動する必要がある。夏季・冬季問わず十分な量の水分や、場合によっては行動食の携行も重要である。
② 上賀茂試験地は京都大学の演習林の一つで、京都市市街地の近隣に位置する。里山的景観を保つ天然生林を有しており、この林分はかつて隣接する地区の薪炭林として利用され、1949年の京都大学への移管時点ではアカマツと広葉樹を主要構成種とする森林であったと考えられる。この天然生林は現在、他の多くの里山と同様に、森林資源の利用頻度の激減(アンダーユース)、マツ枯れ、ナラ枯れ、シカ食害などの影響を受け、森林環境や出現種が大きく変化している。現在の上賀茂試験地の天然生林は現在ヒノキが優占しており、遷移の進行に伴う、生物多様性の低下が指摘されている。こうした背景を受け、上賀茂試験地では、多様な樹種からなる植生の再生を目的とした小面積の伐採による人工ギャップの創出を行い(2000年1月)、人工ギャップ創出後の植生の変化などについて継続調査を実施している。
③ 上賀茂試験地には、外国産樹種や竹類などをコレクションする見本林としての一面もある。諸外国の、日本とは異なる環境に適応した植物は、その形態も日本の植物とは異なるものが多い。見本林としての活動の一環として、世界各地の植物園や研究機関との相互協力のもと、植物の種子交換が実施されている。毎年、提供可能な種子のリストを交換し合い、その中から希望する種子の発送を依頼することで、それぞれが採集した植物の種子を無償で提供しあう仕組みである。現在、上賀茂試験地では約120ヶ所の機関と種子交換を行っている。また上賀茂試験地では、種子交換によって得られた数多くの外国産樹種を導入し、本試験地の環境下での生育状況を調査してきた。多種を集めることを目標とした模索的な初期の導入期を経て、現在は見本林園の充実と再整備を目的に、マツ属、ツツジ科、ブナ科、カエデ科などを中心に導入を進めている。これまでに収集された樹種は105科、380属、4,300種におよび、現在生育しているのは99科、350属、750種である。このうち、メタセコイアやラクウショウといった高木種は構内の見本園だけでなく、見本林、実験林として植栽されている。
キーワード ① フィールドワーク ② 里山林 ③ 見本林・見本園 ④ 種子交換 ⑤ 安全講習
コマの展開方法 社会人講師 AL ICT PowerPoint・Keynote 教科書
コマ用オリジナル配布資料 コマ用プリント配布資料 その他 該当なし
小テスト 「小テスト」については、毎回の授業終了時、manaba上において5問以上の、当該コマの小テスト(難易度表示付き)を実施します。
復習・予習課題 [復習課題] 最終日に作成するレポートの準備として、当日の見学内容の場所、時間帯、内容について整理しておく。1日目の内容として、上賀茂試験地内の里山林の植生の特徴、見本林としての取り組み、見本林に植栽されている主要な樹種について、特に再確認しておく。例えば、「森林資源の利用頻度の激減(アンダーユース)、マツ枯れ、ナラ枯れ、シカ食害などの影響を受け、森林環境や出現種が大きく変化している。現在の上賀茂試験地の天然生林は現在ヒノキが優占しており、遷移の進行に伴う、生物多様性の低下が指摘されている。こうした背景を受け、上賀茂試験地では、多様な樹種からなる植生の再生を目的とした小面積の伐採による人工ギャップの創出を行い(2000年1月)、人工ギャップ創出後の植生の変化などについて継続調査を実施している。」という点について説明できるようにする。
[予習課題] この後のスケジュールについてよく確認し、集合場所・時刻、持参物・準備物、服装について把握しておく。必要であれば、持参物等について事前の準備を行う。

3 上賀茂試験地の見学
(実習1日目)
科目の中での位置付け 本科目は、近畿地方における奥山・里山の代表的な景観を呈する、京都大学管轄の3つの研究林・試験地を見学し、里山と奥山の森林植生の特徴の違いや、管理放棄や獣害などの森林で起きている様々な問題、森林をとりまく人々の暮らしを学ぶことを目的とする、2泊3日(あるいは3泊4日)の宿泊型の実習科目である。1日目は実習全体の安全講習を受けたのち、近畿地方の里山植生を呈する上賀茂試験地を見学する。1日目の夕方に芦生研究林に移動し、2日目は近畿地方の原生植生が残存する芦生研究林において見学・森林内の調査実習を行う。3日目の午前は、かやぶき屋根民家残存集落、または木材市場の見学を通し、京都府北部の森林と関わる人々の暮らしを学ぶ。3日目の午後は京都市内に位置する北白川試験地を見学し、実習のとりまとめとしてA4 1枚程度の報告書を作成する。本コマでは実習1日目として上賀茂試験地の見学を行い、近畿地方の里山植生の出現種の特徴と現状、保全のための課題について学ぶ。また、上賀茂試験地における見本林としての植物種子収集の取り組みについても見学する。なお、基本的に野外での実習となるため、フィールドの状況や天候によって実習の内容や実施順に変更が生じる可能性がある。
斜面地を含む森林内に立ち入るため、動きやすい靴、薄手の長袖、長ズボンの着用が必須である。詳細は説明会にて説明をする。
その他所持品や準備については、実施内容の詳細が判明次第、必要に応じて指示する。
①配布プリント(京都大学より配布), 本講義のコマシラバス
②配布プリント(京都大学より配布), 本講義のコマシラバス
③配布プリント(京都大学より配布), 本講義のコマシラバス
コマ主題細目 ① ガイダンス(安全講習) ② 上賀茂試験地内の二次林の見学 ③ 上賀茂試験地内の見本林・見本園の見学
細目レベル ① 実習開始に先立ち、京都大学の担当教員より野外調査・見学における安全講習を受講する。森林内では、斜面部における滑落・転倒のリスクのほか、落葉落枝や落石による負傷リスク、サルトリイバラなどのトゲを持つ植物やウルシ類などの有毒植物との接触に伴う負傷リスク、カ・アブ・スズメバチ・マムシ・マダニなどの有害動物による刺傷・咬傷を負うリスクが考えられる。さらに、ツキノワグマ・イノシシ・シカなどの大型動物と森林内で遭遇した場合、命にかかわるケガを負うリスクも考えられる。これらの負傷リスク低減の観点から、森林内に立ち入る際には長袖・長ズボンの着用のほか、首元・手首・足首を露出しない服装が求められる。また、森林に立ち入る予定と詳細な立ち入り地点を、第三者に伝達あるいは届け出ておき、森林内では単独行動を極力避け、クマ鈴やラジオなどで常に音を出しながら行動する必要がある。夏季・冬季問わず十分な量の水分や、場合によっては行動食の携行も重要である。
② 上賀茂試験地は京都大学の演習林の一つで、京都市市街地の近隣に位置する。里山的景観を保つ天然生林を有しており、この林分はかつて隣接する地区の薪炭林として利用され、1949年の京都大学への移管時点ではアカマツと広葉樹を主要構成種とする森林であったと考えられる。この天然生林は現在、他の多くの里山と同様に、森林資源の利用頻度の激減(アンダーユース)、マツ枯れ、ナラ枯れ、シカ食害などの影響を受け、森林環境や出現種が大きく変化している。現在の上賀茂試験地の天然生林は現在ヒノキが優占しており、遷移の進行に伴う、生物多様性の低下が指摘されている。こうした背景を受け、上賀茂試験地では、多様な樹種からなる植生の再生を目的とした小面積の伐採による人工ギャップの創出を行い(2000年1月)、人工ギャップ創出後の植生の変化などについて継続調査を実施している。
③ 上賀茂試験地には、外国産樹種や竹類などをコレクションする見本林としての一面もある。諸外国の、日本とは異なる環境に適応した植物は、その形態も日本の植物とは異なるものが多い。見本林としての活動の一環として、世界各地の植物園や研究機関との相互協力のもと、植物の種子交換が実施されている。毎年、提供可能な種子のリストを交換し合い、その中から希望する種子の発送を依頼することで、それぞれが採集した植物の種子を無償で提供しあう仕組みである。現在、上賀茂試験地では約120ヶ所の機関と種子交換を行っている。また上賀茂試験地では、種子交換によって得られた数多くの外国産樹種を導入し、本試験地の環境下での生育状況を調査してきた。多種を集めることを目標とした模索的な初期の導入期を経て、現在は見本林園の充実と再整備を目的に、マツ属、ツツジ科、ブナ科、カエデ科などを中心に導入を進めている。これまでに収集された樹種は105科、380属、4,300種におよび、現在生育しているのは99科、350属、750種である。このうち、メタセコイアやラクウショウといった高木種は構内の見本園だけでなく、見本林、実験林として植栽されている。
キーワード ① フィールドワーク ② 里山林 ③ 見本林・見本園 ④ 種子交換 ⑤ 安全講習
コマの展開方法 社会人講師 AL ICT PowerPoint・Keynote 教科書
コマ用オリジナル配布資料 コマ用プリント配布資料 その他 該当なし
小テスト 「小テスト」については、毎回の授業終了時、manaba上において5問以上の、当該コマの小テスト(難易度表示付き)を実施します。
復習・予習課題 [復習課題] 最終日に作成するレポートの準備として、当日の見学内容の場所、時間帯、内容について整理しておく。1日目の内容として、上賀茂試験地内の里山林の植生の特徴、見本林としての取り組み、見本林に植栽されている主要な樹種について、特に再確認しておく。例えば、「森林資源の利用頻度の激減(アンダーユース)、マツ枯れ、ナラ枯れ、シカ食害などの影響を受け、森林環境や出現種が大きく変化している。現在の上賀茂試験地の天然生林は現在ヒノキが優占しており、遷移の進行に伴う、生物多様性の低下が指摘されている。こうした背景を受け、上賀茂試験地では、多様な樹種からなる植生の再生を目的とした小面積の伐採による人工ギャップの創出を行い(2000年1月)、人工ギャップ創出後の植生の変化などについて継続調査を実施している。」という点について説明できるようにする。
[予習課題] この後のスケジュールについてよく確認し、集合場所・時刻、持参物・準備物、服装について把握しておく。必要であれば、持参物等について事前の準備を行う。

4 上賀茂試験地の見学
(実習1日目)
科目の中での位置付け 本科目は、近畿地方における奥山・里山の代表的な景観を呈する、京都大学管轄の3つの研究林・試験地を見学し、里山と奥山の森林植生の特徴の違いや、管理放棄や獣害などの森林で起きている様々な問題、森林をとりまく人々の暮らしを学ぶことを目的とする、2泊3日(あるいは3泊4日)の宿泊型の実習科目である。1日目は実習全体の安全講習を受けたのち、近畿地方の里山植生を呈する上賀茂試験地を見学する。1日目の夕方に芦生研究林に移動し、2日目は近畿地方の原生植生が残存する芦生研究林において見学・森林内の調査実習を行う。3日目の午前は、かやぶき屋根民家残存集落、または木材市場の見学を通し、京都府北部の森林と関わる人々の暮らしを学ぶ。3日目の午後は京都市内に位置する北白川試験地を見学し、実習のとりまとめとしてA4 1枚程度の報告書を作成する。本コマでは実習1日目として上賀茂試験地の見学を行い、近畿地方の里山植生の出現種の特徴と現状、保全のための課題について学ぶ。また、上賀茂試験地における見本林としての植物種子収集の取り組みについても見学する。なお、基本的に野外での実習となるため、フィールドの状況や天候によって実習の内容や実施順に変更が生じる可能性がある。
斜面地を含む森林内に立ち入るため、動きやすい靴、薄手の長袖、長ズボンの着用が必須である。詳細は説明会にて説明をする。
その他所持品や準備については、実施内容の詳細が判明次第、必要に応じて指示する。
①配布プリント(京都大学より配布), 本講義のコマシラバス
②配布プリント(京都大学より配布), 本講義のコマシラバス
③配布プリント(京都大学より配布), 本講義のコマシラバス
コマ主題細目 ① ガイダンス(安全講習) ② 上賀茂試験地内の二次林の見学 ③ 上賀茂試験地内の見本林・見本園の見学
細目レベル ① 実習開始に先立ち、京都大学の担当教員より野外調査・見学における安全講習を受講する。森林内では、斜面部における滑落・転倒のリスクのほか、落葉落枝や落石による負傷リスク、サルトリイバラなどのトゲを持つ植物やウルシ類などの有毒植物との接触に伴う負傷リスク、カ・アブ・スズメバチ・マムシ・マダニなどの有害動物による刺傷・咬傷を負うリスクが考えられる。さらに、ツキノワグマ・イノシシ・シカなどの大型動物と森林内で遭遇した場合、命にかかわるケガを負うリスクも考えられる。これらの負傷リスク低減の観点から、森林内に立ち入る際には長袖・長ズボンの着用のほか、首元・手首・足首を露出しない服装が求められる。また、森林に立ち入る予定と詳細な立ち入り地点を、第三者に伝達あるいは届け出ておき、森林内では単独行動を極力避け、クマ鈴やラジオなどで常に音を出しながら行動する必要がある。夏季・冬季問わず十分な量の水分や、場合によっては行動食の携行も重要である。
② 上賀茂試験地は京都大学の演習林の一つで、京都市市街地の近隣に位置する。里山的景観を保つ天然生林を有しており、この林分はかつて隣接する地区の薪炭林として利用され、1949年の京都大学への移管時点ではアカマツと広葉樹を主要構成種とする森林であったと考えられる。この天然生林は現在、他の多くの里山と同様に、森林資源の利用頻度の激減(アンダーユース)、マツ枯れ、ナラ枯れ、シカ食害などの影響を受け、森林環境や出現種が大きく変化している。現在の上賀茂試験地の天然生林は現在ヒノキが優占しており、遷移の進行に伴う、生物多様性の低下が指摘されている。こうした背景を受け、上賀茂試験地では、多様な樹種からなる植生の再生を目的とした小面積の伐採による人工ギャップの創出を行い(2000年1月)、人工ギャップ創出後の植生の変化などについて継続調査を実施している。
③ 上賀茂試験地には、外国産樹種や竹類などをコレクションする見本林としての一面もある。諸外国の、日本とは異なる環境に適応した植物は、その形態も日本の植物とは異なるものが多い。見本林としての活動の一環として、世界各地の植物園や研究機関との相互協力のもと、植物の種子交換が実施されている。毎年、提供可能な種子のリストを交換し合い、その中から希望する種子の発送を依頼することで、それぞれが採集した植物の種子を無償で提供しあう仕組みである。現在、上賀茂試験地では約120ヶ所の機関と種子交換を行っている。また上賀茂試験地では、種子交換によって得られた数多くの外国産樹種を導入し、本試験地の環境下での生育状況を調査してきた。多種を集めることを目標とした模索的な初期の導入期を経て、現在は見本林園の充実と再整備を目的に、マツ属、ツツジ科、ブナ科、カエデ科などを中心に導入を進めている。これまでに収集された樹種は105科、380属、4,300種におよび、現在生育しているのは99科、350属、750種である。このうち、メタセコイアやラクウショウといった高木種は構内の見本園だけでなく、見本林、実験林として植栽されている。
キーワード ① フィールドワーク ② 里山林 ③ 見本林・見本園 ④ 種子交換 ⑤ 安全講習
コマの展開方法 社会人講師 AL ICT PowerPoint・Keynote 教科書
コマ用オリジナル配布資料 コマ用プリント配布資料 その他 該当なし
小テスト 「小テスト」については、毎回の授業終了時、manaba上において5問以上の、当該コマの小テスト(難易度表示付き)を実施します。
復習・予習課題 [復習課題] 最終日に作成するレポートの準備として、当日の見学内容の場所、時間帯、内容について整理しておく。1日目の内容として、上賀茂試験地内の里山林の植生の特徴、見本林としての取り組み、見本林に植栽されている主要な樹種について、特に再確認しておく。例えば、「森林資源の利用頻度の激減(アンダーユース)、マツ枯れ、ナラ枯れ、シカ食害などの影響を受け、森林環境や出現種が大きく変化している。現在の上賀茂試験地の天然生林は現在ヒノキが優占しており、遷移の進行に伴う、生物多様性の低下が指摘されている。こうした背景を受け、上賀茂試験地では、多様な樹種からなる植生の再生を目的とした小面積の伐採による人工ギャップの創出を行い(2000年1月)、人工ギャップ創出後の植生の変化などについて継続調査を実施している。」という点について説明できるようにする。
[予習課題] この後のスケジュールについてよく確認し、集合場所・時刻、持参物・準備物、服装について把握しておく。必要であれば、持参物等について事前の準備を行う。

5 芦生研究林の見学
樹木識別法実習
森での暮らしと森林資源の活用
(実習1日目、2日目)
科目の中での位置付け 本科目は、近畿地方における奥山・里山の代表的な景観を呈する、京都大学管轄の3つの研究林・試験地を見学し、里山と奥山の森林植生の特徴の違いや、管理放棄や獣害などの森林で起きている様々な問題、森林をとりまく人々の暮らしを学ぶことを目的とする、2泊3日(あるいは3泊4日)の宿泊型の実習科目である。1日目は実習全体の安全講習を受けたのち、近畿地方の里山植生を呈する上賀茂試験地を見学する。1日目の夕方に芦生研究林に移動し、2日目は近畿地方の原生植生が残存する芦生研究林において見学・森林内の調査実習を行う。3日目の午前は、かやぶき屋根民家残存集落、または木材市場の見学を通し、京都府北部の森林と関わる人々の暮らしを学ぶ。3日目の午後は京都市内に位置する北白川試験地を見学し、実習のとりまとめとしてA4 1枚程度の報告書を作成する。本コマでは実習2日目として芦生研究林の見学を行い、近畿地方の原生的な植生の特徴を学び、前日に見学した里山植生と比較する。見学終了後、3班程度の実習班に分かれ、班ごとに森林内の調査実習に取り組む。2日目の夜には、当日の見学と実習で学んだ森林の様子をふまえて、研究林の位置する地域での暮らしと森林の現状に関する講義を受ける。なお、基本的に野外での実習となるため、フィールドの状況や天候によって実習の内容や実施順に変更が生じる可能性がある。
斜面地を含む森林内に立ち入るため、動きやすい靴、薄手の長袖、長ズボンの着用が必須である。詳細は説明会にて説明をする。
その他所持品や準備については、実施内容の詳細が判明次第、必要に応じて指示する。
①配布プリント(京都大学より配布), 本講義のコマシラバス
②配布プリント(京都大学より配布), 本講義のコマシラバス
③配布プリント(京都大学より配布), 本講義のコマシラバス
コマ主題細目 ① 芦生研究林の見学 ② 班別実習例: 研究林内のトチノキの結実量調査 ③ 森での暮らしと森林資源の活用
細目レベル ① 芦生研究林は京都大学の演習林の一つであり、福井県と滋賀県に接する京都府北東部、由良川の源流域に位置する。これまで様々な消滅・衰退の危機に晒されながらも手つかずの豊かな原生林を残し、「植物を学ぶものは一度は京大の芦生演習林を見るべし」(中井 1941)と称えられる森林である。標高は355~959mで、標高600~800mの部分が全面積の約2/3を占める。斜面部は全般的に急峻であり、傾斜は30~40度のところが多い。気候区分では日本海型と太平洋型の移行帯に位置し、植生区分の上からも暖温帯林と冷温帯林の移行帯に当たるため、植物の種多様性が高い。現在、研究林内では木本植物243種(亜種含む)、草本植物532種、シダ植物85種が確認されている。芦生研究林の地質は中・古生層に属する丹波帯と呼ばれる砂岩や泥岩(頁岩)の基盤岩に東西に延びるチャート層を挟む。土壌は大部分が褐色森林土となっているが、標高800m以上の稜線にはポドゾル土壌が局所的に認められる。
② 芦生研究林内の見学が完了した後、3つ程度の実習班に分かれ、それぞれの班において調査実習を行う。2019年年度の実施内容例として「植生」班における調査実習の内容を記述する。
芦生研究林内にも自生している落葉高木であるトチノキの果実は、栃餅などの食材として昔から利用されており、重要な森林資源のひとつである。一方でトチノキの果実を利用するのは人間だけではなく、ニホンザルやツキノワグマといった動物たちも栄養源として利用する。トチノキの果実を今後も長く利用していくためには、トチノキの結実量を調査し、トチノキの再生産の確保と動物の利用を加味した上で、人間が採取可能な量を検討する必要がある。そこで、トチノキの果実の資源利用可能性を検討するための材料として、調査区域内のトチノキの全成木個体について、胸高直径の測定と結実数の記録を実施する。

③ 芦生・美山地域で有害獣捕獲事業にも携わっている猟師の方に、森での暮らしや、森林の動植物の利用に関する話を伺う。芦生研究林では1990年代後半からニホンジカの急増が報告され、下層植生の壊滅的な食害と、それに伴う森林表土の露出、オオバアサガラ、イワヒメワラビ、イグサなどのシカ不嗜好性植物を主体とする下層植生への変化が報告されている。ニホンジカが急増した理由として、積雪量の減少に伴う子ジカの死亡率の低下、猟師の減少による死亡率の減少、エサ場の減少に伴う新しいエサ場を探しての移動、などの理由が複合的に絡み合っていると考えられており、いずれにしても有効な対策は未だ取られていない。
森林と暮らす人々にとって、ニホンジカやイノシシなどの獣の狩猟は勿論、トチノキの果実、ブナ科木材、スギ材といった森林から得られる資源は生活に欠かせないものであり、こうした人々の暮らしの保全のためにも、森林景観の保全は極めて重要と言える。

キーワード ① 原生的植生 ② 毎木調査 ③ 結実数 ④ シカ害 ⑤ 森林資源
コマの展開方法 社会人講師 AL ICT PowerPoint・Keynote 教科書
コマ用オリジナル配布資料 コマ用プリント配布資料 その他 該当なし
小テスト 「小テスト」については、毎回の授業終了時、manaba上において5問以上の、当該コマの小テスト(難易度表示付き)を実施します。
復習・予習課題 [復習課題] 最終日に作成するレポートの準備として、当日の見学内容の場所、時間帯、内容について整理しておく。2日目の内容として、芦生研究林内の原生的な植生の特徴、上賀茂試験地で見学した里山林との違いについて特に再整理しておく。また、班別に実施した実習内容について、実習目的、調査者、調査手法、調査結果をまとめておく。例えば、研究林の特徴である「標高は355~959mで、標高600~800mの部分が全面積の約2/3を占める。斜面部は全般的に急峻であり、傾斜は30~40度のところが多い。気候区分では日本海型と太平洋型の移行帯に位置し、植生区分の上からも暖温帯林と冷温帯林の移行帯に当たるため、植物の種多様性が高い。現在、研究林内では木本植物243種(亜種含む)、草本植物532種、シダ植物85種が確認されている。芦生研究林の地質は中・古生層に属する丹波帯と呼ばれる砂岩や泥岩(頁岩)の基盤岩に東西に延びるチャート層を挟む。土壌は大部分が褐色森林土となっているが、標高800m以上の稜線にはポドゾル土壌が局所的に認められる。」ということを説明できるようにする。
[予習課題] この後のスケジュールについてよく確認し、集合場所・時刻、持参物・準備物、服装について把握しておく。必要であれば、持参物等について事前の準備を行う。

6 芦生研究林の見学
樹木識別法実習
森での暮らしと森林資源の活用
(実習1日目、2日目)
科目の中での位置付け 本科目は、近畿地方における奥山・里山の代表的な景観を呈する、京都大学管轄の3つの研究林・試験地を見学し、里山と奥山の森林植生の特徴の違いや、管理放棄や獣害などの森林で起きている様々な問題、森林をとりまく人々の暮らしを学ぶことを目的とする、2泊3日(あるいは3泊4日)の宿泊型の実習科目である。1日目は実習全体の安全講習を受けたのち、近畿地方の里山植生を呈する上賀茂試験地を見学する。1日目の夕方に芦生研究林に移動し、2日目は近畿地方の原生植生が残存する芦生研究林において見学・森林内の調査実習を行う。3日目の午前は、かやぶき屋根民家残存集落、または木材市場の見学を通し、京都府北部の森林と関わる人々の暮らしを学ぶ。3日目の午後は京都市内に位置する北白川試験地を見学し、実習のとりまとめとしてA4 1枚程度の報告書を作成する。本コマでは実習2日目として芦生研究林の見学を行い、近畿地方の原生的な植生の特徴を学び、前日に見学した里山植生と比較する。見学終了後、3班程度の実習班に分かれ、班ごとに森林内の調査実習に取り組む。2日目の夜には、当日の見学と実習で学んだ森林の様子をふまえて、研究林の位置する地域での暮らしと森林の現状に関する講義を受ける。なお、基本的に野外での実習となるため、フィールドの状況や天候によって実習の内容や実施順に変更が生じる可能性がある。
斜面地を含む森林内に立ち入るため、動きやすい靴、薄手の長袖、長ズボンの着用が必須である。詳細は説明会にて説明をする。
その他所持品や準備については、実施内容の詳細が判明次第、必要に応じて指示する。
①配布プリント(京都大学より配布), 本講義のコマシラバス
②配布プリント(京都大学より配布), 本講義のコマシラバス
③配布プリント(京都大学より配布), 本講義のコマシラバス
コマ主題細目 ① 芦生研究林の見学 ② 班別実習例: 研究林内のトチノキの結実量調査 ③ 森での暮らしと森林資源の活用
細目レベル ① 芦生研究林は京都大学の演習林の一つであり、福井県と滋賀県に接する京都府北東部、由良川の源流域に位置する。これまで様々な消滅・衰退の危機に晒されながらも手つかずの豊かな原生林を残し、「植物を学ぶものは一度は京大の芦生演習林を見るべし」(中井 1941)と称えられる森林である。標高は355~959mで、標高600~800mの部分が全面積の約2/3を占める。斜面部は全般的に急峻であり、傾斜は30~40度のところが多い。気候区分では日本海型と太平洋型の移行帯に位置し、植生区分の上からも暖温帯林と冷温帯林の移行帯に当たるため、植物の種多様性が高い。現在、研究林内では木本植物243種(亜種含む)、草本植物532種、シダ植物85種が確認されている。芦生研究林の地質は中・古生層に属する丹波帯と呼ばれる砂岩や泥岩(頁岩)の基盤岩に東西に延びるチャート層を挟む。土壌は大部分が褐色森林土となっているが、標高800m以上の稜線にはポドゾル土壌が局所的に認められる。
② 芦生研究林内の見学が完了した後、3つ程度の実習班に分かれ、それぞれの班において調査実習を行う。2019年年度の実施内容例として「植生」班における調査実習の内容を記述する。
芦生研究林内にも自生している落葉高木であるトチノキの果実は、栃餅などの食材として昔から利用されており、重要な森林資源のひとつである。一方でトチノキの果実を利用するのは人間だけではなく、ニホンザルやツキノワグマといった動物たちも栄養源として利用する。トチノキの果実を今後も長く利用していくためには、トチノキの結実量を調査し、トチノキの再生産の確保と動物の利用を加味した上で、人間が採取可能な量を検討する必要がある。そこで、トチノキの果実の資源利用可能性を検討するための材料として、調査区域内のトチノキの全成木個体について、胸高直径の測定と結実数の記録を実施する。

③ 芦生・美山地域で有害獣捕獲事業にも携わっている猟師の方に、森での暮らしや、森林の動植物の利用に関する話を伺う。芦生研究林では1990年代後半からニホンジカの急増が報告され、下層植生の壊滅的な食害と、それに伴う森林表土の露出、オオバアサガラ、イワヒメワラビ、イグサなどのシカ不嗜好性植物を主体とする下層植生への変化が報告されている。ニホンジカが急増した理由として、積雪量の減少に伴う子ジカの死亡率の低下、猟師の減少による死亡率の減少、エサ場の減少に伴う新しいエサ場を探しての移動、などの理由が複合的に絡み合っていると考えられており、いずれにしても有効な対策は未だ取られていない。
森林と暮らす人々にとって、ニホンジカやイノシシなどの獣の狩猟は勿論、トチノキの果実、ブナ科木材、スギ材といった森林から得られる資源は生活に欠かせないものであり、こうした人々の暮らしの保全のためにも、森林景観の保全は極めて重要と言える。

キーワード ① 原生的植生 ② 毎木調査 ③ 結実数 ④ シカ害 ⑤ 森林資源
コマの展開方法 社会人講師 AL ICT PowerPoint・Keynote 教科書
コマ用オリジナル配布資料 コマ用プリント配布資料 その他 該当なし
小テスト 「小テスト」については、毎回の授業終了時、manaba上において5問以上の、当該コマの小テスト(難易度表示付き)を実施します。
復習・予習課題 [復習課題] 最終日に作成するレポートの準備として、当日の見学内容の場所、時間帯、内容について整理しておく。2日目の内容として、芦生研究林内の原生的な植生の特徴、上賀茂試験地で見学した里山林との違いについて特に再整理しておく。また、班別に実施した実習内容について、実習目的、調査者、調査手法、調査結果をまとめておく。例えば、研究林の特徴である「標高は355~959mで、標高600~800mの部分が全面積の約2/3を占める。斜面部は全般的に急峻であり、傾斜は30~40度のところが多い。気候区分では日本海型と太平洋型の移行帯に位置し、植生区分の上からも暖温帯林と冷温帯林の移行帯に当たるため、植物の種多様性が高い。現在、研究林内では木本植物243種(亜種含む)、草本植物532種、シダ植物85種が確認されている。芦生研究林の地質は中・古生層に属する丹波帯と呼ばれる砂岩や泥岩(頁岩)の基盤岩に東西に延びるチャート層を挟む。土壌は大部分が褐色森林土となっているが、標高800m以上の稜線にはポドゾル土壌が局所的に認められる。」ということを説明できるようにする。
[予習課題] この後のスケジュールについてよく確認し、集合場所・時刻、持参物・準備物、服装について把握しておく。必要であれば、持参物等について事前の準備を行う。

7 芦生研究林の見学
樹木識別法実習
森での暮らしと森林資源の活用
(実習1日目、2日目)
科目の中での位置付け 本科目は、近畿地方における奥山・里山の代表的な景観を呈する、京都大学管轄の3つの研究林・試験地を見学し、里山と奥山の森林植生の特徴の違いや、管理放棄や獣害などの森林で起きている様々な問題、森林をとりまく人々の暮らしを学ぶことを目的とする、2泊3日(あるいは3泊4日)の宿泊型の実習科目である。1日目は実習全体の安全講習を受けたのち、近畿地方の里山植生を呈する上賀茂試験地を見学する。1日目の夕方に芦生研究林に移動し、2日目は近畿地方の原生植生が残存する芦生研究林において見学・森林内の調査実習を行う。3日目の午前は、かやぶき屋根民家残存集落、または木材市場の見学を通し、京都府北部の森林と関わる人々の暮らしを学ぶ。3日目の午後は京都市内に位置する北白川試験地を見学し、実習のとりまとめとしてA4 1枚程度の報告書を作成する。本コマでは実習2日目として芦生研究林の見学を行い、近畿地方の原生的な植生の特徴を学び、前日に見学した里山植生と比較する。見学終了後、3班程度の実習班に分かれ、班ごとに森林内の調査実習に取り組む。2日目の夜には、当日の見学と実習で学んだ森林の様子をふまえて、研究林の位置する地域での暮らしと森林の現状に関する講義を受ける。なお、基本的に野外での実習となるため、フィールドの状況や天候によって実習の内容や実施順に変更が生じる可能性がある。
斜面地を含む森林内に立ち入るため、動きやすい靴、薄手の長袖、長ズボンの着用が必須である。詳細は説明会にて説明をする。
その他所持品や準備については、実施内容の詳細が判明次第、必要に応じて指示する。
①配布プリント(京都大学より配布), 本講義のコマシラバス
②配布プリント(京都大学より配布), 本講義のコマシラバス
③配布プリント(京都大学より配布), 本講義のコマシラバス
コマ主題細目 ① 芦生研究林の見学 ② 班別実習例: 研究林内のトチノキの結実量調査 ③ 森での暮らしと森林資源の活用
細目レベル ① 芦生研究林は京都大学の演習林の一つであり、福井県と滋賀県に接する京都府北東部、由良川の源流域に位置する。これまで様々な消滅・衰退の危機に晒されながらも手つかずの豊かな原生林を残し、「植物を学ぶものは一度は京大の芦生演習林を見るべし」(中井 1941)と称えられる森林である。標高は355~959mで、標高600~800mの部分が全面積の約2/3を占める。斜面部は全般的に急峻であり、傾斜は30~40度のところが多い。気候区分では日本海型と太平洋型の移行帯に位置し、植生区分の上からも暖温帯林と冷温帯林の移行帯に当たるため、植物の種多様性が高い。現在、研究林内では木本植物243種(亜種含む)、草本植物532種、シダ植物85種が確認されている。芦生研究林の地質は中・古生層に属する丹波帯と呼ばれる砂岩や泥岩(頁岩)の基盤岩に東西に延びるチャート層を挟む。土壌は大部分が褐色森林土となっているが、標高800m以上の稜線にはポドゾル土壌が局所的に認められる。
② 芦生研究林内の見学が完了した後、3つ程度の実習班に分かれ、それぞれの班において調査実習を行う。2019年年度の実施内容例として「植生」班における調査実習の内容を記述する。
芦生研究林内にも自生している落葉高木であるトチノキの果実は、栃餅などの食材として昔から利用されており、重要な森林資源のひとつである。一方でトチノキの果実を利用するのは人間だけではなく、ニホンザルやツキノワグマといった動物たちも栄養源として利用する。トチノキの果実を今後も長く利用していくためには、トチノキの結実量を調査し、トチノキの再生産の確保と動物の利用を加味した上で、人間が採取可能な量を検討する必要がある。そこで、トチノキの果実の資源利用可能性を検討するための材料として、調査区域内のトチノキの全成木個体について、胸高直径の測定と結実数の記録を実施する。

③ 芦生・美山地域で有害獣捕獲事業にも携わっている猟師の方に、森での暮らしや、森林の動植物の利用に関する話を伺う。芦生研究林では1990年代後半からニホンジカの急増が報告され、下層植生の壊滅的な食害と、それに伴う森林表土の露出、オオバアサガラ、イワヒメワラビ、イグサなどのシカ不嗜好性植物を主体とする下層植生への変化が報告されている。ニホンジカが急増した理由として、積雪量の減少に伴う子ジカの死亡率の低下、猟師の減少による死亡率の減少、エサ場の減少に伴う新しいエサ場を探しての移動、などの理由が複合的に絡み合っていると考えられており、いずれにしても有効な対策は未だ取られていない。
森林と暮らす人々にとって、ニホンジカやイノシシなどの獣の狩猟は勿論、トチノキの果実、ブナ科木材、スギ材といった森林から得られる資源は生活に欠かせないものであり、こうした人々の暮らしの保全のためにも、森林景観の保全は極めて重要と言える。

キーワード ① 原生的植生 ② 毎木調査 ③ 結実数 ④ シカ害 ⑤ 森林資源
コマの展開方法 社会人講師 AL ICT PowerPoint・Keynote 教科書
コマ用オリジナル配布資料 コマ用プリント配布資料 その他 該当なし
小テスト 「小テスト」については、毎回の授業終了時、manaba上において5問以上の、当該コマの小テスト(難易度表示付き)を実施します。
復習・予習課題 [復習課題] 最終日に作成するレポートの準備として、当日の見学内容の場所、時間帯、内容について整理しておく。2日目の内容として、芦生研究林内の原生的な植生の特徴、上賀茂試験地で見学した里山林との違いについて特に再整理しておく。また、班別に実施した実習内容について、実習目的、調査者、調査手法、調査結果をまとめておく。例えば、研究林の特徴である「標高は355~959mで、標高600~800mの部分が全面積の約2/3を占める。斜面部は全般的に急峻であり、傾斜は30~40度のところが多い。気候区分では日本海型と太平洋型の移行帯に位置し、植生区分の上からも暖温帯林と冷温帯林の移行帯に当たるため、植物の種多様性が高い。現在、研究林内では木本植物243種(亜種含む)、草本植物532種、シダ植物85種が確認されている。芦生研究林の地質は中・古生層に属する丹波帯と呼ばれる砂岩や泥岩(頁岩)の基盤岩に東西に延びるチャート層を挟む。土壌は大部分が褐色森林土となっているが、標高800m以上の稜線にはポドゾル土壌が局所的に認められる。」ということを説明できるようにする。
[予習課題] この後のスケジュールについてよく確認し、集合場所・時刻、持参物・準備物、服装について把握しておく。必要であれば、持参物等について事前の準備を行う。

8 芦生研究林の見学
樹木識別法実習
森での暮らしと森林資源の活用
(実習1日目、2日目)
科目の中での位置付け 本科目は、近畿地方における奥山・里山の代表的な景観を呈する、京都大学管轄の3つの研究林・試験地を見学し、里山と奥山の森林植生の特徴の違いや、管理放棄や獣害などの森林で起きている様々な問題、森林をとりまく人々の暮らしを学ぶことを目的とする、2泊3日(あるいは3泊4日)の宿泊型の実習科目である。1日目は実習全体の安全講習を受けたのち、近畿地方の里山植生を呈する上賀茂試験地を見学する。1日目の夕方に芦生研究林に移動し、2日目は近畿地方の原生植生が残存する芦生研究林において見学・森林内の調査実習を行う。3日目の午前は、かやぶき屋根民家残存集落、または木材市場の見学を通し、京都府北部の森林と関わる人々の暮らしを学ぶ。3日目の午後は京都市内に位置する北白川試験地を見学し、実習のとりまとめとしてA4 1枚程度の報告書を作成する。本コマでは実習2日目として芦生研究林の見学を行い、近畿地方の原生的な植生の特徴を学び、前日に見学した里山植生と比較する。見学終了後、3班程度の実習班に分かれ、班ごとに森林内の調査実習に取り組む。2日目の夜には、当日の見学と実習で学んだ森林の様子をふまえて、研究林の位置する地域での暮らしと森林の現状に関する講義を受ける。なお、基本的に野外での実習となるため、フィールドの状況や天候によって実習の内容や実施順に変更が生じる可能性がある。
斜面地を含む森林内に立ち入るため、動きやすい靴、薄手の長袖、長ズボンの着用が必須である。詳細は説明会にて説明をする。
その他所持品や準備については、実施内容の詳細が判明次第、必要に応じて指示する。
①配布プリント(京都大学より配布), 本講義のコマシラバス
②配布プリント(京都大学より配布), 本講義のコマシラバス
③配布プリント(京都大学より配布), 本講義のコマシラバス
コマ主題細目 ① 芦生研究林の見学 ② 班別実習例: 研究林内のトチノキの結実量調査 ③ 森での暮らしと森林資源の活用
細目レベル ① 芦生研究林は京都大学の演習林の一つであり、福井県と滋賀県に接する京都府北東部、由良川の源流域に位置する。これまで様々な消滅・衰退の危機に晒されながらも手つかずの豊かな原生林を残し、「植物を学ぶものは一度は京大の芦生演習林を見るべし」(中井 1941)と称えられる森林である。標高は355~959mで、標高600~800mの部分が全面積の約2/3を占める。斜面部は全般的に急峻であり、傾斜は30~40度のところが多い。気候区分では日本海型と太平洋型の移行帯に位置し、植生区分の上からも暖温帯林と冷温帯林の移行帯に当たるため、植物の種多様性が高い。現在、研究林内では木本植物243種(亜種含む)、草本植物532種、シダ植物85種が確認されている。芦生研究林の地質は中・古生層に属する丹波帯と呼ばれる砂岩や泥岩(頁岩)の基盤岩に東西に延びるチャート層を挟む。土壌は大部分が褐色森林土となっているが、標高800m以上の稜線にはポドゾル土壌が局所的に認められる。
② 芦生研究林内の見学が完了した後、3つ程度の実習班に分かれ、それぞれの班において調査実習を行う。2019年年度の実施内容例として「植生」班における調査実習の内容を記述する。
芦生研究林内にも自生している落葉高木であるトチノキの果実は、栃餅などの食材として昔から利用されており、重要な森林資源のひとつである。一方でトチノキの果実を利用するのは人間だけではなく、ニホンザルやツキノワグマといった動物たちも栄養源として利用する。トチノキの果実を今後も長く利用していくためには、トチノキの結実量を調査し、トチノキの再生産の確保と動物の利用を加味した上で、人間が採取可能な量を検討する必要がある。そこで、トチノキの果実の資源利用可能性を検討するための材料として、調査区域内のトチノキの全成木個体について、胸高直径の測定と結実数の記録を実施する。

③ 芦生・美山地域で有害獣捕獲事業にも携わっている猟師の方に、森での暮らしや、森林の動植物の利用に関する話を伺う。芦生研究林では1990年代後半からニホンジカの急増が報告され、下層植生の壊滅的な食害と、それに伴う森林表土の露出、オオバアサガラ、イワヒメワラビ、イグサなどのシカ不嗜好性植物を主体とする下層植生への変化が報告されている。ニホンジカが急増した理由として、積雪量の減少に伴う子ジカの死亡率の低下、猟師の減少による死亡率の減少、エサ場の減少に伴う新しいエサ場を探しての移動、などの理由が複合的に絡み合っていると考えられており、いずれにしても有効な対策は未だ取られていない。
森林と暮らす人々にとって、ニホンジカやイノシシなどの獣の狩猟は勿論、トチノキの果実、ブナ科木材、スギ材といった森林から得られる資源は生活に欠かせないものであり、こうした人々の暮らしの保全のためにも、森林景観の保全は極めて重要と言える。

キーワード ① 原生的植生 ② 毎木調査 ③ 結実数 ④ シカ害 ⑤ 森林資源
コマの展開方法 社会人講師 AL ICT PowerPoint・Keynote 教科書
コマ用オリジナル配布資料 コマ用プリント配布資料 その他 該当なし
小テスト 「小テスト」については、毎回の授業終了時、manaba上において5問以上の、当該コマの小テスト(難易度表示付き)を実施します。
復習・予習課題 [復習課題] 最終日に作成するレポートの準備として、当日の見学内容の場所、時間帯、内容について整理しておく。2日目の内容として、芦生研究林内の原生的な植生の特徴、上賀茂試験地で見学した里山林との違いについて特に再整理しておく。また、班別に実施した実習内容について、実習目的、調査者、調査手法、調査結果をまとめておく。例えば、研究林の特徴である「標高は355~959mで、標高600~800mの部分が全面積の約2/3を占める。斜面部は全般的に急峻であり、傾斜は30~40度のところが多い。気候区分では日本海型と太平洋型の移行帯に位置し、植生区分の上からも暖温帯林と冷温帯林の移行帯に当たるため、植物の種多様性が高い。現在、研究林内では木本植物243種(亜種含む)、草本植物532種、シダ植物85種が確認されている。芦生研究林の地質は中・古生層に属する丹波帯と呼ばれる砂岩や泥岩(頁岩)の基盤岩に東西に延びるチャート層を挟む。土壌は大部分が褐色森林土となっているが、標高800m以上の稜線にはポドゾル土壌が局所的に認められる。」ということを説明できるようにする。
[予習課題] この後のスケジュールについてよく確認し、集合場所・時刻、持参物・準備物、服装について把握しておく。必要であれば、持参物等について事前の準備を行う。

9 芦生研究林の見学
樹木識別法実習
森での暮らしと森林資源の活用
(実習1日目、2日目)
科目の中での位置付け 本科目は、近畿地方における奥山・里山の代表的な景観を呈する、京都大学管轄の3つの研究林・試験地を見学し、里山と奥山の森林植生の特徴の違いや、管理放棄や獣害などの森林で起きている様々な問題、森林をとりまく人々の暮らしを学ぶことを目的とする、2泊3日(あるいは3泊4日)の宿泊型の実習科目である。1日目は実習全体の安全講習を受けたのち、近畿地方の里山植生を呈する上賀茂試験地を見学する。1日目の夕方に芦生研究林に移動し、2日目は近畿地方の原生植生が残存する芦生研究林において見学・森林内の調査実習を行う。3日目の午前は、かやぶき屋根民家残存集落、または木材市場の見学を通し、京都府北部の森林と関わる人々の暮らしを学ぶ。3日目の午後は京都市内に位置する北白川試験地を見学し、実習のとりまとめとしてA4 1枚程度の報告書を作成する。本コマでは実習2日目として芦生研究林の見学を行い、近畿地方の原生的な植生の特徴を学び、前日に見学した里山植生と比較する。見学終了後、3班程度の実習班に分かれ、班ごとに森林内の調査実習に取り組む。2日目の夜には、当日の見学と実習で学んだ森林の様子をふまえて、研究林の位置する地域での暮らしと森林の現状に関する講義を受ける。なお、基本的に野外での実習となるため、フィールドの状況や天候によって実習の内容や実施順に変更が生じる可能性がある。
斜面地を含む森林内に立ち入るため、動きやすい靴、薄手の長袖、長ズボンの着用が必須である。詳細は説明会にて説明をする。
その他所持品や準備については、実施内容の詳細が判明次第、必要に応じて指示する。
①配布プリント(京都大学より配布), 本講義のコマシラバス
②配布プリント(京都大学より配布), 本講義のコマシラバス
③配布プリント(京都大学より配布), 本講義のコマシラバス
コマ主題細目 ① 芦生研究林の見学 ② 班別実習例: 研究林内のトチノキの結実量調査 ③ 森での暮らしと森林資源の活用
細目レベル ① 芦生研究林は京都大学の演習林の一つであり、福井県と滋賀県に接する京都府北東部、由良川の源流域に位置する。これまで様々な消滅・衰退の危機に晒されながらも手つかずの豊かな原生林を残し、「植物を学ぶものは一度は京大の芦生演習林を見るべし」(中井 1941)と称えられる森林である。標高は355~959mで、標高600~800mの部分が全面積の約2/3を占める。斜面部は全般的に急峻であり、傾斜は30~40度のところが多い。気候区分では日本海型と太平洋型の移行帯に位置し、植生区分の上からも暖温帯林と冷温帯林の移行帯に当たるため、植物の種多様性が高い。現在、研究林内では木本植物243種(亜種含む)、草本植物532種、シダ植物85種が確認されている。芦生研究林の地質は中・古生層に属する丹波帯と呼ばれる砂岩や泥岩(頁岩)の基盤岩に東西に延びるチャート層を挟む。土壌は大部分が褐色森林土となっているが、標高800m以上の稜線にはポドゾル土壌が局所的に認められる。
② 芦生研究林内の見学が完了した後、3つ程度の実習班に分かれ、それぞれの班において調査実習を行う。2019年年度の実施内容例として「植生」班における調査実習の内容を記述する。
芦生研究林内にも自生している落葉高木であるトチノキの果実は、栃餅などの食材として昔から利用されており、重要な森林資源のひとつである。一方でトチノキの果実を利用するのは人間だけではなく、ニホンザルやツキノワグマといった動物たちも栄養源として利用する。トチノキの果実を今後も長く利用していくためには、トチノキの結実量を調査し、トチノキの再生産の確保と動物の利用を加味した上で、人間が採取可能な量を検討する必要がある。そこで、トチノキの果実の資源利用可能性を検討するための材料として、調査区域内のトチノキの全成木個体について、胸高直径の測定と結実数の記録を実施する。

③ 芦生・美山地域で有害獣捕獲事業にも携わっている猟師の方に、森での暮らしや、森林の動植物の利用に関する話を伺う。芦生研究林では1990年代後半からニホンジカの急増が報告され、下層植生の壊滅的な食害と、それに伴う森林表土の露出、オオバアサガラ、イワヒメワラビ、イグサなどのシカ不嗜好性植物を主体とする下層植生への変化が報告されている。ニホンジカが急増した理由として、積雪量の減少に伴う子ジカの死亡率の低下、猟師の減少による死亡率の減少、エサ場の減少に伴う新しいエサ場を探しての移動、などの理由が複合的に絡み合っていると考えられており、いずれにしても有効な対策は未だ取られていない。
森林と暮らす人々にとって、ニホンジカやイノシシなどの獣の狩猟は勿論、トチノキの果実、ブナ科木材、スギ材といった森林から得られる資源は生活に欠かせないものであり、こうした人々の暮らしの保全のためにも、森林景観の保全は極めて重要と言える。

キーワード ① 原生的植生 ② 毎木調査 ③ 結実数 ④ シカ害 ⑤ 森林資源
コマの展開方法 社会人講師 AL ICT PowerPoint・Keynote 教科書
コマ用オリジナル配布資料 コマ用プリント配布資料 その他 該当なし
小テスト 「小テスト」については、毎回の授業終了時、manaba上において5問以上の、当該コマの小テスト(難易度表示付き)を実施します。
復習・予習課題 [復習課題] 最終日に作成するレポートの準備として、当日の見学内容の場所、時間帯、内容について整理しておく。2日目の内容として、芦生研究林内の原生的な植生の特徴、上賀茂試験地で見学した里山林との違いについて特に再整理しておく。また、班別に実施した実習内容について、実習目的、調査者、調査手法、調査結果をまとめておく。例えば、研究林の特徴である「標高は355~959mで、標高600~800mの部分が全面積の約2/3を占める。斜面部は全般的に急峻であり、傾斜は30~40度のところが多い。気候区分では日本海型と太平洋型の移行帯に位置し、植生区分の上からも暖温帯林と冷温帯林の移行帯に当たるため、植物の種多様性が高い。現在、研究林内では木本植物243種(亜種含む)、草本植物532種、シダ植物85種が確認されている。芦生研究林の地質は中・古生層に属する丹波帯と呼ばれる砂岩や泥岩(頁岩)の基盤岩に東西に延びるチャート層を挟む。土壌は大部分が褐色森林土となっているが、標高800m以上の稜線にはポドゾル土壌が局所的に認められる。」ということを説明できるようにする。
[予習課題] この後のスケジュールについてよく確認し、集合場所・時刻、持参物・準備物、服装について把握しておく。必要であれば、持参物等について事前の準備を行う。

10 芦生研究林の見学
樹木識別法実習
森での暮らしと森林資源の活用
(実習1日目、2日目)
科目の中での位置付け 本科目は、近畿地方における奥山・里山の代表的な景観を呈する、京都大学管轄の3つの研究林・試験地を見学し、里山と奥山の森林植生の特徴の違いや、管理放棄や獣害などの森林で起きている様々な問題、森林をとりまく人々の暮らしを学ぶことを目的とする、2泊3日(あるいは3泊4日)の宿泊型の実習科目である。1日目は実習全体の安全講習を受けたのち、近畿地方の里山植生を呈する上賀茂試験地を見学する。1日目の夕方に芦生研究林に移動し、2日目は近畿地方の原生植生が残存する芦生研究林において見学・森林内の調査実習を行う。3日目の午前は、かやぶき屋根民家残存集落、または木材市場の見学を通し、京都府北部の森林と関わる人々の暮らしを学ぶ。3日目の午後は京都市内に位置する北白川試験地を見学し、実習のとりまとめとしてA4 1枚程度の報告書を作成する。本コマでは実習2日目として芦生研究林の見学を行い、近畿地方の原生的な植生の特徴を学び、前日に見学した里山植生と比較する。見学終了後、3班程度の実習班に分かれ、班ごとに森林内の調査実習に取り組む。2日目の夜には、当日の見学と実習で学んだ森林の様子をふまえて、研究林の位置する地域での暮らしと森林の現状に関する講義を受ける。なお、基本的に野外での実習となるため、フィールドの状況や天候によって実習の内容や実施順に変更が生じる可能性がある。
斜面地を含む森林内に立ち入るため、動きやすい靴、薄手の長袖、長ズボンの着用が必須である。詳細は説明会にて説明をする。
その他所持品や準備については、実施内容の詳細が判明次第、必要に応じて指示する。
①配布プリント(京都大学より配布), 本講義のコマシラバス
②配布プリント(京都大学より配布), 本講義のコマシラバス
③配布プリント(京都大学より配布), 本講義のコマシラバス
コマ主題細目 ① 芦生研究林の見学 ② 班別実習例: 研究林内のトチノキの結実量調査 ③ 森での暮らしと森林資源の活用
細目レベル ① 芦生研究林は京都大学の演習林の一つであり、福井県と滋賀県に接する京都府北東部、由良川の源流域に位置する。これまで様々な消滅・衰退の危機に晒されながらも手つかずの豊かな原生林を残し、「植物を学ぶものは一度は京大の芦生演習林を見るべし」(中井 1941)と称えられる森林である。標高は355~959mで、標高600~800mの部分が全面積の約2/3を占める。斜面部は全般的に急峻であり、傾斜は30~40度のところが多い。気候区分では日本海型と太平洋型の移行帯に位置し、植生区分の上からも暖温帯林と冷温帯林の移行帯に当たるため、植物の種多様性が高い。現在、研究林内では木本植物243種(亜種含む)、草本植物532種、シダ植物85種が確認されている。芦生研究林の地質は中・古生層に属する丹波帯と呼ばれる砂岩や泥岩(頁岩)の基盤岩に東西に延びるチャート層を挟む。土壌は大部分が褐色森林土となっているが、標高800m以上の稜線にはポドゾル土壌が局所的に認められる。
② 芦生研究林内の見学が完了した後、3つ程度の実習班に分かれ、それぞれの班において調査実習を行う。2019年年度の実施内容例として「植生」班における調査実習の内容を記述する。
芦生研究林内にも自生している落葉高木であるトチノキの果実は、栃餅などの食材として昔から利用されており、重要な森林資源のひとつである。一方でトチノキの果実を利用するのは人間だけではなく、ニホンザルやツキノワグマといった動物たちも栄養源として利用する。トチノキの果実を今後も長く利用していくためには、トチノキの結実量を調査し、トチノキの再生産の確保と動物の利用を加味した上で、人間が採取可能な量を検討する必要がある。そこで、トチノキの果実の資源利用可能性を検討するための材料として、調査区域内のトチノキの全成木個体について、胸高直径の測定と結実数の記録を実施する。

③ 芦生・美山地域で有害獣捕獲事業にも携わっている猟師の方に、森での暮らしや、森林の動植物の利用に関する話を伺う。芦生研究林では1990年代後半からニホンジカの急増が報告され、下層植生の壊滅的な食害と、それに伴う森林表土の露出、オオバアサガラ、イワヒメワラビ、イグサなどのシカ不嗜好性植物を主体とする下層植生への変化が報告されている。ニホンジカが急増した理由として、積雪量の減少に伴う子ジカの死亡率の低下、猟師の減少による死亡率の減少、エサ場の減少に伴う新しいエサ場を探しての移動、などの理由が複合的に絡み合っていると考えられており、いずれにしても有効な対策は未だ取られていない。
森林と暮らす人々にとって、ニホンジカやイノシシなどの獣の狩猟は勿論、トチノキの果実、ブナ科木材、スギ材といった森林から得られる資源は生活に欠かせないものであり、こうした人々の暮らしの保全のためにも、森林景観の保全は極めて重要と言える。

キーワード ① 原生的植生 ② 毎木調査 ③ 結実数 ④ シカ害 ⑤ 森林資源
コマの展開方法 社会人講師 AL ICT PowerPoint・Keynote 教科書
コマ用オリジナル配布資料 コマ用プリント配布資料 その他 該当なし
小テスト 「小テスト」については、毎回の授業終了時、manaba上において5問以上の、当該コマの小テスト(難易度表示付き)を実施します。
復習・予習課題 [復習課題] 最終日に作成するレポートの準備として、当日の見学内容の場所、時間帯、内容について整理しておく。2日目の内容として、芦生研究林内の原生的な植生の特徴、上賀茂試験地で見学した里山林との違いについて特に再整理しておく。また、班別に実施した実習内容について、実習目的、調査者、調査手法、調査結果をまとめておく。例えば、研究林の特徴である「標高は355~959mで、標高600~800mの部分が全面積の約2/3を占める。斜面部は全般的に急峻であり、傾斜は30~40度のところが多い。気候区分では日本海型と太平洋型の移行帯に位置し、植生区分の上からも暖温帯林と冷温帯林の移行帯に当たるため、植物の種多様性が高い。現在、研究林内では木本植物243種(亜種含む)、草本植物532種、シダ植物85種が確認されている。芦生研究林の地質は中・古生層に属する丹波帯と呼ばれる砂岩や泥岩(頁岩)の基盤岩に東西に延びるチャート層を挟む。土壌は大部分が褐色森林土となっているが、標高800m以上の稜線にはポドゾル土壌が局所的に認められる。」ということを説明できるようにする。
[予習課題] この後のスケジュールについてよく確認し、集合場所・時刻、持参物・準備物、服装について把握しておく。必要であれば、持参物等について事前の準備を行う。

11 京都府北部の伝統的建造物群の見学
京都府北部の林業
(実習3日目)
科目の中での位置付け 本科目は、近畿地方における奥山・里山の代表的な景観を呈する、京都大学管轄の3つの研究林・試験地を見学し、里山と奥山の森林植生の特徴の違いや、管理放棄や獣害などの森林で起きている様々な問題、森林をとりまく人々の暮らしを学ぶことを目的とする、2泊3日(あるいは3泊4日)の宿泊型の実習科目である。1日目は実習全体の安全講習を受けたのち、近畿地方の里山植生を呈する上賀茂試験地を見学する。1日目の夕方に芦生研究林に移動し、2日目は近畿地方の原生植生が残存する芦生研究林において見学・森林内の調査実習を行う。3日目の午前は、かやぶき屋根民家残存集落、または木材市場の見学を通し、京都府北部の森林と関わる人々の暮らしを学ぶ。3日目の午後は京都市内に位置する北白川試験地を見学し、実習のとりまとめとしてA4 1枚程度の報告書を作成する。本コマでは実習3日目として、かやぶき屋根民家が残存する集落である美山かやぶきの里、または京都府唯一の国産材市場である北桑木材センターの見学を通し、森林と関わる人々の暮らしについて学ぶ。午後からは京都市街地に位置する京都大学北部キャンパスに移動し、北白川試験地の見本園と材鑑室の見学を通し、京都大学の研究林・試験地でみられる主要な樹種に対する理解を深める。なお、基本的に野外での実習となるため、フィールドの状況や天候によって実習の内容や実施順に変更が生じる可能性がある。
かやぶきの里見学の場合は歩行距離が長くなるため、歩きやすい靴と水分の携行が必須である。
木材センターの見学の場合は、木材や機材によるケガを防止するため、森林に立ち入る時と同様に長袖長ズボンの着用が推奨される。
詳細は説明会にて説明をする。
その他所持品や準備については、実施内容の詳細が判明次第、必要に応じて指示する。
①配布プリント(京都大学より配布), 本講義のコマシラバス
②配布プリント(京都大学より配布), 本講義のコマシラバス
③配布プリント(京都大学より配布), 本講義のコマシラバス
コマ主題細目 ① かやぶきの里の見学 ② 京都府北部の林業市場の見学 ③ 北白川試験地の見学
細目レベル ① 芦生研究林の近隣地域に位置する、かやぶき屋根の民家が残存する集落、または林業関連施設の見学を通して、森林と人々の暮らしの関わり方について理解を深める。
京都府南丹市美山地区にはかやぶき屋根の民家が多く現存しており、1993年12月に国の重要伝統的建造物群保存地区に選定された。屋根材として用いられる「かや」とは特定の植物種を指す言葉ではなく、ススキやヨシといったイネ科やカヤツリグサ科の有用草本の総称である。かつてかやぶき屋根の材料は、集落近隣のススキ原やヨシ原から刈り取られた「かや」であった。しかし、人間の生活様式の変化にともない、「かや」を採取できる草地も減少しており、かやぶき屋根の維持においては屋根材の材料確保が課題となる。また、屋根材が生物であることから、かやぶき屋根を維持するためには一定期間ごとに屋根のふき替えを実施する必要があるが、ふき替えの技術を持つ職人がいなくなりつつある。こうした屋根の維持にかかわる課題から、美山を含めたかやぶき屋根集落においては、トタン等の人工材料へのふきかえを選択する民家もみられる。
かやぶき屋根集落の民家は、構造物の大半が植物由来の材料から作られており、したがって火災には極めて弱い。火災による文化的景観の消失を防ぐため、木製の小屋に収納された放水銃が美山かやぶきの里のいたるところに設置されており、年に2回、整備点検を兼ねた一斉放水訓練が実施されている。

② 京都府下唯一の国産材専門市場である北桑木材センターの見学を通して、市場における木材の管理手法や、京都の林業の歴史と現況について学ぶ。京北地域と呼ばれる京都府北部の地域は、その面積の約90%を森林が占めており、全国屈指の林業地である。「北山杉」といった高級木材の産地としても有名である。伐採・集材された木材は、主に地元原木市場に出荷される。北桑木材センターにも京北地域中から木材が集まり、毎月3回の競り市が開催される。
年輪の幅は1年間に木が肥大成長した量を示し、年輪の幅の部分が広い木材はそれだけ急速に成長したことを示すため、比較的柔らかい傾向がある。木材の用途によっても変わってくるが、一般的には年輪の幅が詰まっているものが良い木材とされる。
木材の用途によっては、木材の乾燥によって生じる反り、ねじれといった変形(狂い)があると使用不適となるため木材の価値が下がる。また、枝の付け根の跡(節)や、乾燥や伐倒時の取り扱いなどによる割れも、木材の価値を下げる要因となる。こうした木材の価値を下げる様々な要素を欠点と総称する。
木材を市場に卸すにあたり、材の規格としては長さ2m、3m、4m、6mが挙げられる。しかし、ちょうど規格通りの長さで山から切り出すと、破損時に規格外となるリスクが考えられる。したがって、材を山から切り出す際には材の規格より余分をもたせた長さで切り出し、あとで調整を行うことが多い。こうすることで、市場に卸すにあたって木目を綺麗に揃えて見栄えを良くすることも可能となる。

③ 北白川試験地は京都大学の敷地内にある1.3haの圃場であり、見本園と、主要樹種の樹皮を観察できる材鑑室を有する。1924年に設置された当初は「林学苗畑」と称して林学科の管理下にあったが、実習・実験用苗畑としての性質上、1926年以降は旧・演習林(現・フィールド科学教育研究センター)により管理されている。白川の扇状地に位置し、地質は花崗岩質の砂層からなる。土壌は砂質壌土を呈する。年平均気温は15.1℃、年降水量は1,465mmで、積雪はほとんど見られない。
見本園内には、亜寒帯から暖温帯に至る国内産の樹木250種、欧州・北米原産70種、アジア原産100種がそれぞれ配植されている。その他、旧演習林事務室及び試験地事務室周辺に植栽されているものを含め、総計500種の見本樹が実習教材や研究資材として活用されている。
材鑑室には京都大学所属の各研究林・試験地、及びその周辺地域に産する針葉樹20種、広葉樹86種(外国産を含む)の大型材鑑が収集・展示されている。
その他、試験地内には苗畑やガラス温室も設置されており、立地条件の利便さから、京都大学所属の教職員や学生の試験研究や実習に広く供されている。

キーワード ① かや ② 林業 ③ 木材市場 ④ 資源利用 ⑤ 立地環境
コマの展開方法 社会人講師 AL ICT PowerPoint・Keynote 教科書
コマ用オリジナル配布資料 コマ用プリント配布資料 その他 該当なし
小テスト 「小テスト」については、毎回の授業終了時、manaba上において5問以上の、当該コマの小テスト(難易度表示付き)を実施します。
復習・予習課題 [復習課題] 全ての見学の終了後、実習のとりまとめとしてA4 1枚程度の報告書を作成する。見学や実習に際して記録したメモや写真をよく確認しながら報告書の作成を行う。例えば、「木材の用途によっては、木材の乾燥によって生じる反り、ねじれといった変形(狂い)があると使用不適となるため木材の価値が下がる。また、枝の付け根の跡(節)や、乾燥や伐倒時の取り扱いなどによる割れも、木材の価値を下げる要因となる。こうした木材の価値を下げる様々な要素を欠点と総称する。
木材を市場に卸すにあたり、材の規格としては長さ2m、3m、4m、6mが挙げられる。しかし、ちょうど規格通りの長さで山から切り出すと、破損時に規格外となるリスクが考えられる。したがって、材を山から切り出す際には材の規格より余分をもたせた長さで切り出し、あとで調整を行うことが多い。こうすることで、市場に卸すにあたって木目を綺麗に揃えて見栄えを良くすることも可能となる。」という点に焦点を置いてまとめていく。
[予習課題] この後のスケジュールについてよく確認し、集合場所・時刻、持参物・準備物、服装について把握しておく。必要であれば、持参物等について事前の準備を行う。

12 京都府北部の伝統的建造物群の見学
京都府北部の林業
(実習3日目)
科目の中での位置付け 本科目は、近畿地方における奥山・里山の代表的な景観を呈する、京都大学管轄の3つの研究林・試験地を見学し、里山と奥山の森林植生の特徴の違いや、管理放棄や獣害などの森林で起きている様々な問題、森林をとりまく人々の暮らしを学ぶことを目的とする、2泊3日(あるいは3泊4日)の宿泊型の実習科目である。1日目は実習全体の安全講習を受けたのち、近畿地方の里山植生を呈する上賀茂試験地を見学する。1日目の夕方に芦生研究林に移動し、2日目は近畿地方の原生植生が残存する芦生研究林において見学・森林内の調査実習を行う。3日目の午前は、かやぶき屋根民家残存集落、または木材市場の見学を通し、京都府北部の森林と関わる人々の暮らしを学ぶ。3日目の午後は京都市内に位置する北白川試験地を見学し、実習のとりまとめとしてA4 1枚程度の報告書を作成する。本コマでは実習3日目として、かやぶき屋根民家が残存する集落である美山かやぶきの里、または京都府唯一の国産材市場である北桑木材センターの見学を通し、森林と関わる人々の暮らしについて学ぶ。午後からは京都市街地に位置する京都大学北部キャンパスに移動し、北白川試験地の見本園と材鑑室の見学を通し、京都大学の研究林・試験地でみられる主要な樹種に対する理解を深める。なお、基本的に野外での実習となるため、フィールドの状況や天候によって実習の内容や実施順に変更が生じる可能性がある。
かやぶきの里見学の場合は歩行距離が長くなるため、歩きやすい靴と水分の携行が必須である。
木材センターの見学の場合は、木材や機材によるケガを防止するため、森林に立ち入る時と同様に長袖長ズボンの着用が推奨される。
詳細は説明会にて説明をする。
その他所持品や準備については、実施内容の詳細が判明次第、必要に応じて指示する。
①配布プリント(京都大学より配布), 本講義のコマシラバス
②配布プリント(京都大学より配布), 本講義のコマシラバス
③配布プリント(京都大学より配布), 本講義のコマシラバス
コマ主題細目 ① かやぶきの里の見学 ② 京都府北部の林業市場の見学 ③ 北白川試験地の見学
細目レベル ① 芦生研究林の近隣地域に位置する、かやぶき屋根の民家が残存する集落、または林業関連施設の見学を通して、森林と人々の暮らしの関わり方について理解を深める。
京都府南丹市美山地区にはかやぶき屋根の民家が多く現存しており、1993年12月に国の重要伝統的建造物群保存地区に選定された。屋根材として用いられる「かや」とは特定の植物種を指す言葉ではなく、ススキやヨシといったイネ科やカヤツリグサ科の有用草本の総称である。かつてかやぶき屋根の材料は、集落近隣のススキ原やヨシ原から刈り取られた「かや」であった。しかし、人間の生活様式の変化にともない、「かや」を採取できる草地も減少しており、かやぶき屋根の維持においては屋根材の材料確保が課題となる。また、屋根材が生物であることから、かやぶき屋根を維持するためには一定期間ごとに屋根のふき替えを実施する必要があるが、ふき替えの技術を持つ職人がいなくなりつつある。こうした屋根の維持にかかわる課題から、美山を含めたかやぶき屋根集落においては、トタン等の人工材料へのふきかえを選択する民家もみられる。
かやぶき屋根集落の民家は、構造物の大半が植物由来の材料から作られており、したがって火災には極めて弱い。火災による文化的景観の消失を防ぐため、木製の小屋に収納された放水銃が美山かやぶきの里のいたるところに設置されており、年に2回、整備点検を兼ねた一斉放水訓練が実施されている。

② 京都府下唯一の国産材専門市場である北桑木材センターの見学を通して、市場における木材の管理手法や、京都の林業の歴史と現況について学ぶ。京北地域と呼ばれる京都府北部の地域は、その面積の約90%を森林が占めており、全国屈指の林業地である。「北山杉」といった高級木材の産地としても有名である。伐採・集材された木材は、主に地元原木市場に出荷される。北桑木材センターにも京北地域中から木材が集まり、毎月3回の競り市が開催される。
年輪の幅は1年間に木が肥大成長した量を示し、年輪の幅の部分が広い木材はそれだけ急速に成長したことを示すため、比較的柔らかい傾向がある。木材の用途によっても変わってくるが、一般的には年輪の幅が詰まっているものが良い木材とされる。
木材の用途によっては、木材の乾燥によって生じる反り、ねじれといった変形(狂い)があると使用不適となるため木材の価値が下がる。また、枝の付け根の跡(節)や、乾燥や伐倒時の取り扱いなどによる割れも、木材の価値を下げる要因となる。こうした木材の価値を下げる様々な要素を欠点と総称する。
木材を市場に卸すにあたり、材の規格としては長さ2m、3m、4m、6mが挙げられる。しかし、ちょうど規格通りの長さで山から切り出すと、破損時に規格外となるリスクが考えられる。したがって、材を山から切り出す際には材の規格より余分をもたせた長さで切り出し、あとで調整を行うことが多い。こうすることで、市場に卸すにあたって木目を綺麗に揃えて見栄えを良くすることも可能となる。

③ 北白川試験地は京都大学の敷地内にある1.3haの圃場であり、見本園と、主要樹種の樹皮を観察できる材鑑室を有する。1924年に設置された当初は「林学苗畑」と称して林学科の管理下にあったが、実習・実験用苗畑としての性質上、1926年以降は旧・演習林(現・フィールド科学教育研究センター)により管理されている。白川の扇状地に位置し、地質は花崗岩質の砂層からなる。土壌は砂質壌土を呈する。年平均気温は15.1℃、年降水量は1,465mmで、積雪はほとんど見られない。
見本園内には、亜寒帯から暖温帯に至る国内産の樹木250種、欧州・北米原産70種、アジア原産100種がそれぞれ配植されている。その他、旧演習林事務室及び試験地事務室周辺に植栽されているものを含め、総計500種の見本樹が実習教材や研究資材として活用されている。
材鑑室には京都大学所属の各研究林・試験地、及びその周辺地域に産する針葉樹20種、広葉樹86種(外国産を含む)の大型材鑑が収集・展示されている。
その他、試験地内には苗畑やガラス温室も設置されており、立地条件の利便さから、京都大学所属の教職員や学生の試験研究や実習に広く供されている。

キーワード ① かや ② 林業 ③ 木材市場 ④ 資源利用 ⑤ 立地環境
コマの展開方法 社会人講師 AL ICT PowerPoint・Keynote 教科書
コマ用オリジナル配布資料 コマ用プリント配布資料 その他 該当なし
小テスト 「小テスト」については、毎回の授業終了時、manaba上において5問以上の、当該コマの小テスト(難易度表示付き)を実施します。
復習・予習課題 [復習課題] 全ての見学の終了後、実習のとりまとめとしてA4 1枚程度の報告書を作成する。見学や実習に際して記録したメモや写真をよく確認しながら報告書の作成を行う。例えば、「木材の用途によっては、木材の乾燥によって生じる反り、ねじれといった変形(狂い)があると使用不適となるため木材の価値が下がる。また、枝の付け根の跡(節)や、乾燥や伐倒時の取り扱いなどによる割れも、木材の価値を下げる要因となる。こうした木材の価値を下げる様々な要素を欠点と総称する。
木材を市場に卸すにあたり、材の規格としては長さ2m、3m、4m、6mが挙げられる。しかし、ちょうど規格通りの長さで山から切り出すと、破損時に規格外となるリスクが考えられる。したがって、材を山から切り出す際には材の規格より余分をもたせた長さで切り出し、あとで調整を行うことが多い。こうすることで、市場に卸すにあたって木目を綺麗に揃えて見栄えを良くすることも可能となる。」という点に焦点を置いてまとめていく。
[予習課題] この後のスケジュールについてよく確認し、集合場所・時刻、持参物・準備物、服装について把握しておく。必要であれば、持参物等について事前の準備を行う。

13 京都府北部の伝統的建造物群の見学
京都府北部の林業
(実習3日目)
科目の中での位置付け 本科目は、近畿地方における奥山・里山の代表的な景観を呈する、京都大学管轄の3つの研究林・試験地を見学し、里山と奥山の森林植生の特徴の違いや、管理放棄や獣害などの森林で起きている様々な問題、森林をとりまく人々の暮らしを学ぶことを目的とする、2泊3日(あるいは3泊4日)の宿泊型の実習科目である。1日目は実習全体の安全講習を受けたのち、近畿地方の里山植生を呈する上賀茂試験地を見学する。1日目の夕方に芦生研究林に移動し、2日目は近畿地方の原生植生が残存する芦生研究林において見学・森林内の調査実習を行う。3日目の午前は、かやぶき屋根民家残存集落、または木材市場の見学を通し、京都府北部の森林と関わる人々の暮らしを学ぶ。3日目の午後は京都市内に位置する北白川試験地を見学し、実習のとりまとめとしてA4 1枚程度の報告書を作成する。本コマでは実習3日目として、かやぶき屋根民家が残存する集落である美山かやぶきの里、または京都府唯一の国産材市場である北桑木材センターの見学を通し、森林と関わる人々の暮らしについて学ぶ。午後からは京都市街地に位置する京都大学北部キャンパスに移動し、北白川試験地の見本園と材鑑室の見学を通し、京都大学の研究林・試験地でみられる主要な樹種に対する理解を深める。なお、基本的に野外での実習となるため、フィールドの状況や天候によって実習の内容や実施順に変更が生じる可能性がある。
かやぶきの里見学の場合は歩行距離が長くなるため、歩きやすい靴と水分の携行が必須である。
木材センターの見学の場合は、木材や機材によるケガを防止するため、森林に立ち入る時と同様に長袖長ズボンの着用が推奨される。
詳細は説明会にて説明をする。
その他所持品や準備については、実施内容の詳細が判明次第、必要に応じて指示する。
①配布プリント(京都大学より配布), 本講義のコマシラバス
②配布プリント(京都大学より配布), 本講義のコマシラバス
③配布プリント(京都大学より配布), 本講義のコマシラバス
コマ主題細目 ① かやぶきの里の見学 ② 京都府北部の林業市場の見学 ③ 北白川試験地の見学
細目レベル ① 芦生研究林の近隣地域に位置する、かやぶき屋根の民家が残存する集落、または林業関連施設の見学を通して、森林と人々の暮らしの関わり方について理解を深める。
京都府南丹市美山地区にはかやぶき屋根の民家が多く現存しており、1993年12月に国の重要伝統的建造物群保存地区に選定された。屋根材として用いられる「かや」とは特定の植物種を指す言葉ではなく、ススキやヨシといったイネ科やカヤツリグサ科の有用草本の総称である。かつてかやぶき屋根の材料は、集落近隣のススキ原やヨシ原から刈り取られた「かや」であった。しかし、人間の生活様式の変化にともない、「かや」を採取できる草地も減少しており、かやぶき屋根の維持においては屋根材の材料確保が課題となる。また、屋根材が生物であることから、かやぶき屋根を維持するためには一定期間ごとに屋根のふき替えを実施する必要があるが、ふき替えの技術を持つ職人がいなくなりつつある。こうした屋根の維持にかかわる課題から、美山を含めたかやぶき屋根集落においては、トタン等の人工材料へのふきかえを選択する民家もみられる。
かやぶき屋根集落の民家は、構造物の大半が植物由来の材料から作られており、したがって火災には極めて弱い。火災による文化的景観の消失を防ぐため、木製の小屋に収納された放水銃が美山かやぶきの里のいたるところに設置されており、年に2回、整備点検を兼ねた一斉放水訓練が実施されている。

② 京都府下唯一の国産材専門市場である北桑木材センターの見学を通して、市場における木材の管理手法や、京都の林業の歴史と現況について学ぶ。京北地域と呼ばれる京都府北部の地域は、その面積の約90%を森林が占めており、全国屈指の林業地である。「北山杉」といった高級木材の産地としても有名である。伐採・集材された木材は、主に地元原木市場に出荷される。北桑木材センターにも京北地域中から木材が集まり、毎月3回の競り市が開催される。
年輪の幅は1年間に木が肥大成長した量を示し、年輪の幅の部分が広い木材はそれだけ急速に成長したことを示すため、比較的柔らかい傾向がある。木材の用途によっても変わってくるが、一般的には年輪の幅が詰まっているものが良い木材とされる。
木材の用途によっては、木材の乾燥によって生じる反り、ねじれといった変形(狂い)があると使用不適となるため木材の価値が下がる。また、枝の付け根の跡(節)や、乾燥や伐倒時の取り扱いなどによる割れも、木材の価値を下げる要因となる。こうした木材の価値を下げる様々な要素を欠点と総称する。
木材を市場に卸すにあたり、材の規格としては長さ2m、3m、4m、6mが挙げられる。しかし、ちょうど規格通りの長さで山から切り出すと、破損時に規格外となるリスクが考えられる。したがって、材を山から切り出す際には材の規格より余分をもたせた長さで切り出し、あとで調整を行うことが多い。こうすることで、市場に卸すにあたって木目を綺麗に揃えて見栄えを良くすることも可能となる。

③ 北白川試験地は京都大学の敷地内にある1.3haの圃場であり、見本園と、主要樹種の樹皮を観察できる材鑑室を有する。1924年に設置された当初は「林学苗畑」と称して林学科の管理下にあったが、実習・実験用苗畑としての性質上、1926年以降は旧・演習林(現・フィールド科学教育研究センター)により管理されている。白川の扇状地に位置し、地質は花崗岩質の砂層からなる。土壌は砂質壌土を呈する。年平均気温は15.1℃、年降水量は1,465mmで、積雪はほとんど見られない。
見本園内には、亜寒帯から暖温帯に至る国内産の樹木250種、欧州・北米原産70種、アジア原産100種がそれぞれ配植されている。その他、旧演習林事務室及び試験地事務室周辺に植栽されているものを含め、総計500種の見本樹が実習教材や研究資材として活用されている。
材鑑室には京都大学所属の各研究林・試験地、及びその周辺地域に産する針葉樹20種、広葉樹86種(外国産を含む)の大型材鑑が収集・展示されている。
その他、試験地内には苗畑やガラス温室も設置されており、立地条件の利便さから、京都大学所属の教職員や学生の試験研究や実習に広く供されている。

キーワード ① かや ② 林業 ③ 木材市場 ④ 資源利用 ⑤ 立地環境
コマの展開方法 社会人講師 AL ICT PowerPoint・Keynote 教科書
コマ用オリジナル配布資料 コマ用プリント配布資料 その他 該当なし
小テスト 「小テスト」については、毎回の授業終了時、manaba上において5問以上の、当該コマの小テスト(難易度表示付き)を実施します。
復習・予習課題 [復習課題] 全ての見学の終了後、実習のとりまとめとしてA4 1枚程度の報告書を作成する。見学や実習に際して記録したメモや写真をよく確認しながら報告書の作成を行う。例えば、「木材の用途によっては、木材の乾燥によって生じる反り、ねじれといった変形(狂い)があると使用不適となるため木材の価値が下がる。また、枝の付け根の跡(節)や、乾燥や伐倒時の取り扱いなどによる割れも、木材の価値を下げる要因となる。こうした木材の価値を下げる様々な要素を欠点と総称する。
木材を市場に卸すにあたり、材の規格としては長さ2m、3m、4m、6mが挙げられる。しかし、ちょうど規格通りの長さで山から切り出すと、破損時に規格外となるリスクが考えられる。したがって、材を山から切り出す際には材の規格より余分をもたせた長さで切り出し、あとで調整を行うことが多い。こうすることで、市場に卸すにあたって木目を綺麗に揃えて見栄えを良くすることも可能となる。」という点に焦点を置いてまとめていく。
[予習課題] この後のスケジュールについてよく確認し、集合場所・時刻、持参物・準備物、服装について把握しておく。必要であれば、持参物等について事前の準備を行う。

14 北白川試験地の見学
レポート作成
(実習3日目)
科目の中での位置付け 本科目は、近畿地方における奥山・里山の代表的な景観を呈する、京都大学管轄の3つの研究林・試験地を見学し、里山と奥山の森林植生の特徴の違いや、管理放棄や獣害などの森林で起きている様々な問題、森林をとりまく人々の暮らしを学ぶことを目的とする、2泊3日(あるいは3泊4日)の宿泊型の実習科目である。1日目は実習全体の安全講習を受けたのち、近畿地方の里山植生を呈する上賀茂試験地を見学する。1日目の夕方に芦生研究林に移動し、2日目は近畿地方の原生植生が残存する芦生研究林において見学・森林内の調査実習を行う。3日目の午前は、かやぶき屋根民家残存集落、または木材市場の見学を通し、京都府北部の森林と関わる人々の暮らしを学ぶ。3日目の午後は京都市内に位置する北白川試験地を見学し、実習のとりまとめとしてA4 1枚程度の報告書を作成する。本コマでは実習3日目として、かやぶき屋根民家が残存する集落である美山かやぶきの里、または京都府唯一の国産材市場である北桑木材センターの見学を通し、森林と関わる人々の暮らしについて学ぶ。午後からは京都市街地に位置する京都大学北部キャンパスに移動し、北白川試験地の見本園と材鑑室の見学を通し、京都大学の研究林・試験地でみられる主要な樹種に対する理解を深める。なお、基本的に野外での実習となるため、フィールドの状況や天候によって実習の内容や実施順に変更が生じる可能性がある。
かやぶきの里見学の場合は歩行距離が長くなるため、歩きやすい靴と水分の携行が必須である。
木材センターの見学の場合は、木材や機材によるケガを防止するため、森林に立ち入る時と同様に長袖長ズボンの着用が推奨される。
詳細は説明会にて説明をする。
その他所持品や準備については、実施内容の詳細が判明次第、必要に応じて指示する。
①配布プリント(京都大学より配布), 本講義のコマシラバス
②配布プリント(京都大学より配布), 本講義のコマシラバス
③配布プリント(京都大学より配布), 本講義のコマシラバス
コマ主題細目 ① かやぶきの里の見学 ② 京都府北部の林業市場の見学 ③ 北白川試験地の見学
細目レベル ① 芦生研究林の近隣地域に位置する、かやぶき屋根の民家が残存する集落、または林業関連施設の見学を通して、森林と人々の暮らしの関わり方について理解を深める。
京都府南丹市美山地区にはかやぶき屋根の民家が多く現存しており、1993年12月に国の重要伝統的建造物群保存地区に選定された。屋根材として用いられる「かや」とは特定の植物種を指す言葉ではなく、ススキやヨシといったイネ科やカヤツリグサ科の有用草本の総称である。かつてかやぶき屋根の材料は、集落近隣のススキ原やヨシ原から刈り取られた「かや」であった。しかし、人間の生活様式の変化にともない、「かや」を採取できる草地も減少しており、かやぶき屋根の維持においては屋根材の材料確保が課題となる。また、屋根材が生物であることから、かやぶき屋根を維持するためには一定期間ごとに屋根のふき替えを実施する必要があるが、ふき替えの技術を持つ職人がいなくなりつつある。こうした屋根の維持にかかわる課題から、美山を含めたかやぶき屋根集落においては、トタン等の人工材料へのふきかえを選択する民家もみられる。
かやぶき屋根集落の民家は、構造物の大半が植物由来の材料から作られており、したがって火災には極めて弱い。火災による文化的景観の消失を防ぐため、木製の小屋に収納された放水銃が美山かやぶきの里のいたるところに設置されており、年に2回、整備点検を兼ねた一斉放水訓練が実施されている。

② 京都府下唯一の国産材専門市場である北桑木材センターの見学を通して、市場における木材の管理手法や、京都の林業の歴史と現況について学ぶ。京北地域と呼ばれる京都府北部の地域は、その面積の約90%を森林が占めており、全国屈指の林業地である。「北山杉」といった高級木材の産地としても有名である。伐採・集材された木材は、主に地元原木市場に出荷される。北桑木材センターにも京北地域中から木材が集まり、毎月3回の競り市が開催される。
年輪の幅は1年間に木が肥大成長した量を示し、年輪の幅の部分が広い木材はそれだけ急速に成長したことを示すため、比較的柔らかい傾向がある。木材の用途によっても変わってくるが、一般的には年輪の幅が詰まっているものが良い木材とされる。
木材の用途によっては、木材の乾燥によって生じる反り、ねじれといった変形(狂い)があると使用不適となるため木材の価値が下がる。また、枝の付け根の跡(節)や、乾燥や伐倒時の取り扱いなどによる割れも、木材の価値を下げる要因となる。こうした木材の価値を下げる様々な要素を欠点と総称する。
木材を市場に卸すにあたり、材の規格としては長さ2m、3m、4m、6mが挙げられる。しかし、ちょうど規格通りの長さで山から切り出すと、破損時に規格外となるリスクが考えられる。したがって、材を山から切り出す際には材の規格より余分をもたせた長さで切り出し、あとで調整を行うことが多い。こうすることで、市場に卸すにあたって木目を綺麗に揃えて見栄えを良くすることも可能となる。

③ 北白川試験地は京都大学の敷地内にある1.3haの圃場であり、見本園と、主要樹種の樹皮を観察できる材鑑室を有する。1924年に設置された当初は「林学苗畑」と称して林学科の管理下にあったが、実習・実験用苗畑としての性質上、1926年以降は旧・演習林(現・フィールド科学教育研究センター)により管理されている。白川の扇状地に位置し、地質は花崗岩質の砂層からなる。土壌は砂質壌土を呈する。年平均気温は15.1℃、年降水量は1,465mmで、積雪はほとんど見られない。
見本園内には、亜寒帯から暖温帯に至る国内産の樹木250種、欧州・北米原産70種、アジア原産100種がそれぞれ配植されている。その他、旧演習林事務室及び試験地事務室周辺に植栽されているものを含め、総計500種の見本樹が実習教材や研究資材として活用されている。
材鑑室には京都大学所属の各研究林・試験地、及びその周辺地域に産する針葉樹20種、広葉樹86種(外国産を含む)の大型材鑑が収集・展示されている。
その他、試験地内には苗畑やガラス温室も設置されており、立地条件の利便さから、京都大学所属の教職員や学生の試験研究や実習に広く供されている。

キーワード ① かや ② 林業 ③ 木材市場 ④ 資源利用 ⑤ 立地環境
コマの展開方法 社会人講師 AL ICT PowerPoint・Keynote 教科書
コマ用オリジナル配布資料 コマ用プリント配布資料 その他 該当なし
小テスト 「小テスト」については、毎回の授業終了時、manaba上において5問以上の、当該コマの小テスト(難易度表示付き)を実施します。
復習・予習課題 [復習課題] 全ての見学の終了後、実習のとりまとめとしてA4 1枚程度の報告書を作成する。見学や実習に際して記録したメモや写真をよく確認しながら報告書の作成を行う。例えば、「木材の用途によっては、木材の乾燥によって生じる反り、ねじれといった変形(狂い)があると使用不適となるため木材の価値が下がる。また、枝の付け根の跡(節)や、乾燥や伐倒時の取り扱いなどによる割れも、木材の価値を下げる要因となる。こうした木材の価値を下げる様々な要素を欠点と総称する。
木材を市場に卸すにあたり、材の規格としては長さ2m、3m、4m、6mが挙げられる。しかし、ちょうど規格通りの長さで山から切り出すと、破損時に規格外となるリスクが考えられる。したがって、材を山から切り出す際には材の規格より余分をもたせた長さで切り出し、あとで調整を行うことが多い。こうすることで、市場に卸すにあたって木目を綺麗に揃えて見栄えを良くすることも可能となる。」という点に焦点を置いてまとめていく。
[予習課題] この後のスケジュールについてよく確認し、集合場所・時刻、持参物・準備物、服装について把握しておく。必要であれば、持参物等について事前の準備を行う。

15 北白川試験地の見学
レポート作成
(実習3日目)
科目の中での位置付け 本科目は、近畿地方における奥山・里山の代表的な景観を呈する、京都大学管轄の3つの研究林・試験地を見学し、里山と奥山の森林植生の特徴の違いや、管理放棄や獣害などの森林で起きている様々な問題、森林をとりまく人々の暮らしを学ぶことを目的とする、2泊3日(あるいは3泊4日)の宿泊型の実習科目である。1日目は実習全体の安全講習を受けたのち、近畿地方の里山植生を呈する上賀茂試験地を見学する。1日目の夕方に芦生研究林に移動し、2日目は近畿地方の原生植生が残存する芦生研究林において見学・森林内の調査実習を行う。3日目の午前は、かやぶき屋根民家残存集落、または木材市場の見学を通し、京都府北部の森林と関わる人々の暮らしを学ぶ。3日目の午後は京都市内に位置する北白川試験地を見学し、実習のとりまとめとしてA4 1枚程度の報告書を作成する。本コマでは実習3日目として、かやぶき屋根民家が残存する集落である美山かやぶきの里、または京都府唯一の国産材市場である北桑木材センターの見学を通し、森林と関わる人々の暮らしについて学ぶ。午後からは京都市街地に位置する京都大学北部キャンパスに移動し、北白川試験地の見本園と材鑑室の見学を通し、京都大学の研究林・試験地でみられる主要な樹種に対する理解を深める。なお、基本的に野外での実習となるため、フィールドの状況や天候によって実習の内容や実施順に変更が生じる可能性がある。
かやぶきの里見学の場合は歩行距離が長くなるため、歩きやすい靴と水分の携行が必須である。
木材センターの見学の場合は、木材や機材によるケガを防止するため、森林に立ち入る時と同様に長袖長ズボンの着用が推奨される。
詳細は説明会にて説明をする。
その他所持品や準備については、実施内容の詳細が判明次第、必要に応じて指示する。
①配布プリント(京都大学より配布), 本講義のコマシラバス
②配布プリント(京都大学より配布), 本講義のコマシラバス
③配布プリント(京都大学より配布), 本講義のコマシラバス
コマ主題細目 ① かやぶきの里の見学 ② 京都府北部の林業市場の見学 ③ 北白川試験地の見学
細目レベル ① 芦生研究林の近隣地域に位置する、かやぶき屋根の民家が残存する集落、または林業関連施設の見学を通して、森林と人々の暮らしの関わり方について理解を深める。
京都府南丹市美山地区にはかやぶき屋根の民家が多く現存しており、1993年12月に国の重要伝統的建造物群保存地区に選定された。屋根材として用いられる「かや」とは特定の植物種を指す言葉ではなく、ススキやヨシといったイネ科やカヤツリグサ科の有用草本の総称である。かつてかやぶき屋根の材料は、集落近隣のススキ原やヨシ原から刈り取られた「かや」であった。しかし、人間の生活様式の変化にともない、「かや」を採取できる草地も減少しており、かやぶき屋根の維持においては屋根材の材料確保が課題となる。また、屋根材が生物であることから、かやぶき屋根を維持するためには一定期間ごとに屋根のふき替えを実施する必要があるが、ふき替えの技術を持つ職人がいなくなりつつある。こうした屋根の維持にかかわる課題から、美山を含めたかやぶき屋根集落においては、トタン等の人工材料へのふきかえを選択する民家もみられる。
かやぶき屋根集落の民家は、構造物の大半が植物由来の材料から作られており、したがって火災には極めて弱い。火災による文化的景観の消失を防ぐため、木製の小屋に収納された放水銃が美山かやぶきの里のいたるところに設置されており、年に2回、整備点検を兼ねた一斉放水訓練が実施されている。

② 京都府下唯一の国産材専門市場である北桑木材センターの見学を通して、市場における木材の管理手法や、京都の林業の歴史と現況について学ぶ。京北地域と呼ばれる京都府北部の地域は、その面積の約90%を森林が占めており、全国屈指の林業地である。「北山杉」といった高級木材の産地としても有名である。伐採・集材された木材は、主に地元原木市場に出荷される。北桑木材センターにも京北地域中から木材が集まり、毎月3回の競り市が開催される。
年輪の幅は1年間に木が肥大成長した量を示し、年輪の幅の部分が広い木材はそれだけ急速に成長したことを示すため、比較的柔らかい傾向がある。木材の用途によっても変わってくるが、一般的には年輪の幅が詰まっているものが良い木材とされる。
木材の用途によっては、木材の乾燥によって生じる反り、ねじれといった変形(狂い)があると使用不適となるため木材の価値が下がる。また、枝の付け根の跡(節)や、乾燥や伐倒時の取り扱いなどによる割れも、木材の価値を下げる要因となる。こうした木材の価値を下げる様々な要素を欠点と総称する。
木材を市場に卸すにあたり、材の規格としては長さ2m、3m、4m、6mが挙げられる。しかし、ちょうど規格通りの長さで山から切り出すと、破損時に規格外となるリスクが考えられる。したがって、材を山から切り出す際には材の規格より余分をもたせた長さで切り出し、あとで調整を行うことが多い。こうすることで、市場に卸すにあたって木目を綺麗に揃えて見栄えを良くすることも可能となる。

③ 北白川試験地は京都大学の敷地内にある1.3haの圃場であり、見本園と、主要樹種の樹皮を観察できる材鑑室を有する。1924年に設置された当初は「林学苗畑」と称して林学科の管理下にあったが、実習・実験用苗畑としての性質上、1926年以降は旧・演習林(現・フィールド科学教育研究センター)により管理されている。白川の扇状地に位置し、地質は花崗岩質の砂層からなる。土壌は砂質壌土を呈する。年平均気温は15.1℃、年降水量は1,465mmで、積雪はほとんど見られない。
見本園内には、亜寒帯から暖温帯に至る国内産の樹木250種、欧州・北米原産70種、アジア原産100種がそれぞれ配植されている。その他、旧演習林事務室及び試験地事務室周辺に植栽されているものを含め、総計500種の見本樹が実習教材や研究資材として活用されている。
材鑑室には京都大学所属の各研究林・試験地、及びその周辺地域に産する針葉樹20種、広葉樹86種(外国産を含む)の大型材鑑が収集・展示されている。
その他、試験地内には苗畑やガラス温室も設置されており、立地条件の利便さから、京都大学所属の教職員や学生の試験研究や実習に広く供されている。

キーワード ① かや ② 林業 ③ 木材市場 ④ 資源利用 ⑤ 立地環境
コマの展開方法 社会人講師 AL ICT PowerPoint・Keynote 教科書
コマ用オリジナル配布資料 コマ用プリント配布資料 その他 該当なし
小テスト 「小テスト」については、毎回の授業終了時、manaba上において5問以上の、当該コマの小テスト(難易度表示付き)を実施します。
復習・予習課題 [復習課題] 全ての見学の終了後、実習のとりまとめとしてA4 1枚程度の報告書を作成する。見学や実習に際して記録したメモや写真をよく確認しながら報告書の作成を行う。例えば、「木材の用途によっては、木材の乾燥によって生じる反り、ねじれといった変形(狂い)があると使用不適となるため木材の価値が下がる。また、枝の付け根の跡(節)や、乾燥や伐倒時の取り扱いなどによる割れも、木材の価値を下げる要因となる。こうした木材の価値を下げる様々な要素を欠点と総称する。
木材を市場に卸すにあたり、材の規格としては長さ2m、3m、4m、6mが挙げられる。しかし、ちょうど規格通りの長さで山から切り出すと、破損時に規格外となるリスクが考えられる。したがって、材を山から切り出す際には材の規格より余分をもたせた長さで切り出し、あとで調整を行うことが多い。こうすることで、市場に卸すにあたって木目を綺麗に揃えて見栄えを良くすることも可能となる。」という点に焦点を置いてまとめていく。
[予習課題] この後のスケジュールについてよく確認し、集合場所・時刻、持参物・準備物、服装について把握しておく。必要であれば、持参物等について事前の準備を行う。

履修判定指標
履修指標履修指標の水準キーワード配点関連回
研究林の特徴 京都大学研究林の特徴について、概要をまとめることができる。なお、本実習では以下の内容を学ぶ計画としているため、この中からキーポイントをピックアップすることが望ましい。「里山的景観を保つ天然生林を有しており、この林分はかつて隣接する地区の薪炭林として利用され、1949年の京都大学への移管時点ではアカマツと広葉樹を主要構成種とする森林であったと考えられる。この天然生林は現在、他の多くの里山と同様に、森林資源の利用頻度の激減(アンダーユース)、マツ枯れ、ナラ枯れ、シカ食害などの影響を受け、森林環境や出現種が大きく変化している。現在の上賀茂試験地の天然生林は現在ヒノキが優占しており、遷移の進行に伴う、生物多様性の低下が指摘されている。」なお、レポートは京大研究林からの課題内容になる場合もあるので、レポート課題説明時に改めて解説する。 人工林、里山林、天然生林 20 1~4
見本林の役割 上加茂試験地における見本林の役割について、概要をまとめることができる。なお、本実習では以下の内容を学ぶ計画としているため、この中からキーポイントをピックアップすることが望ましい。「見本林としての活動の一環として、世界各地の植物園や研究機関との相互協力のもと、植物の種子交換が実施されている。毎年、提供可能な種子のリストを交換し合い、その中から希望する種子の発送を依頼することで、それぞれが採集した植物の種子を無償で提供しあう仕組みである。現在、上賀茂試験地では約120ヶ所の機関と種子交換を行っている。また上賀茂試験地では、種子交換によって得られた数多くの外国産樹種を導入し、本試験地の環境下での生育状況を調査してきた。多種を集めることを目標とした模索的な初期の導入期を経て、現在は見本林園の充実と再整備を目的に、マツ属、ツツジ科、ブナ科、カエデ科などを中心に導入を進めている。」なお、レポートは京大研究林からの課題内容になる場合もあるので、レポート課題説明時に改めて解説する。 種子、育成、外国 20 1~4
調査実習 調査実習で行ったことの概要をまとめることができる。まとめ方として、2019年に実施した植生調査についての一例を示す。「芦生研究林内にも自生している落葉高木であるトチノキの果実は、栃餅などの食材として昔から利用されており、重要な森林資源のひとつである。一方でトチノキの果実を利用するのは人間だけではなく、ニホンザルやツキノワグマといった動物たちも栄養源として利用する。トチノキの果実を今後も長く利用していくためには、トチノキの結実量を調査し、トチノキの再生産の確保と動物の利用を加味した上で、人間が採取可能な量を検討する必要がある。そこで、トチノキの果実の資源利用可能性を検討するための材料として、調査区域内のトチノキの全成木個体について、胸高直径の測定と結実数の記録を実施した。」なお、レポートは京大研究林からの課題内容になる場合もあるので、レポート課題説明時に改めて解説する。 計画、実施、評価 20 5~10
獣害 芦生・美山地域における獣害について、概要をまとめることができる。なお、本実習では以下の内容を学ぶ計画としているため、この中からキーポイントをピックアップすることが望ましい。「芦生研究林では1990年代後半からニホンジカの急増が報告され、下層植生の壊滅的な食害と、それに伴う森林表土の露出、オオバアサガラ、イワヒメワラビ、イグサなどのシカ不嗜好性植物を主体とする下層植生への変化が報告されている。ニホンジカが急増した理由として、積雪量の減少に伴う子ジカの死亡率の低下、猟師の減少による死亡率の減少、エサ場の減少に伴う新しいエサ場を探しての移動、などの理由が複合的に絡み合っていると考えられており、いずれにしても有効な対策は未だ取られていない。」なお、レポートは京大研究林からの課題内容になる場合もあるので、レポート課題説明時に改めて解説する。 シカ、餌場、下層植生 20 5~10
木材の利用 市場における木材の管理手法や、京都の林業の歴史と現況について概要をまとめることができる。なお、本実習では以下の内容を学ぶ計画としているため、この中からキーポイントをピックアップすることが望ましい。「京北地域と呼ばれる京都府北部の地域は、その面積の約90%を森林が占めており、全国屈指の林業地である。「北山杉」といった高級木材の産地としても有名である。伐採・集材された木材は、主に地元原木市場に出荷される。北桑木材センターにも京北地域中から木材が集まり、毎月3回の競り市が開催される。年輪の幅は1年間に木が肥大成長した量を示し、年輪の幅の部分が広い木材はそれだけ急速に成長したことを示すため、比較的柔らかい傾向がある。木材の用途によっても変わってくるが、一般的には年輪の幅が詰まっているものが良い木材とされる。木材の用途によっては、木材の乾燥によって生じる反り、ねじれといった変形(狂い)があると使用不適となるため木材の価値が下がる。また、枝の付け根の跡(節)や、乾燥や伐倒時の取り扱いなどによる割れも、木材の価値を下げる要因となる。こうした木材の価値を下げる様々な要素を欠点と総称する。木材を市場に卸すにあたり、材の規格としては長さ2m、3m、4m、6mが挙げられる。しかし、ちょうど規格通りの長さで山から切り出すと、破損時に規格外となるリスクが考えられる。したがって、材を山から切り出す際には材の規格より余分をもたせた長さで切り出し、あとで調整を行うことが多い。こうすることで、市場に卸すにあたって木目を綺麗に揃えて見栄えを良くすることも可能となる。」なお、レポートは京大研究林からの課題内容になる場合もあるので、レポート課題説明時に改めて解説する。 市場、乾燥、品質 20 11~15
評価方法 事前に開講する説明会、及び全日程の実習への参加を必須とする。実習後に提出する報告書(A4 1枚程度)によって評価を行う。*成績発表後、教務課にて試験・レポートに関する総評が閲覧できます。
評価基準 評語
    学習目標をほぼ完全に達成している・・・・・・・・・・・・・ S (100~90点)
    学習目標を相応に達成している・・・・・・・・・・・・・・・ A (89~80点)
    学習目標を相応に達成しているが不十分な点がある・・・・・・ B (79~70点)
    学習目標の最低限は満たしている・・・・・・・・・・・・・・ C (69~60点)
    学習目標の最低限を満たしていない・・・・・・・・・・・・・ D (60点未満)
教科書 なし
参考文献 授業は、京都大学より配布されるプリント類、本授業のコマシラバスを主に利用する。
実験・実習・教材費 参加者数に応じて,バスもしくは公共交通機関等で移動する。移動及び食費等の実費は自己負担(名古屋発着で最大20,000円程度が目安)。