区分 (生)フィールド生態科目 フィールド生態共通科目
ディプロマ・ポリシーとの関係
専門性 理解力 実践力
カリキュラム・ポリシーとの関係
専門知識 教養知識 思考力
実行力
カリキュラム全体の中でのこの科目の位置づけ
個人・社会・自然が直面する課題に対して専門的な理解を深めると共に、学際的な柔軟性を有し、実践的な能力を有する。
科目の目的
高山環境,海岸環境,多雪環境,特殊岩質地環境,渓流環境における非生物的環境の特性と植物の適応,種子散布における風散布や海流散布といった非生物的環境への適応,周食散布や貯食散布といった生物的環境への適応,送粉共生系における植物の論理と動物の論理に基づく両者の適応戦略,特定の生物種間で発展した共進化,そして生態学で最も基本的かつ重要な概念であるニッチの概念と知識を習得することで,2年次以降の生物系専門科目を学習するための基盤を形成する.
到達目標
生態学における最も重要かつ基本的な概念であるニッチ(生態的地位)について,その内容とこの概念が生態学分野にもたらした意義について学ぶ.とくに,生物間同士における競争関係または共存関係についての本概念の有用性について理解を深める.非生物的環境への植物の適応について,環境特性と適応方法の具体例を学ぶ.生物的環境への適応について,種子散布および送粉における具体的例を学ぶ.
科目の概要
環境の基本的な定義「主体の外囲」に基づいた生物における環境に関する知識を習得する.非生物的環境への植物の適応例として,高山環境,海岸環境,多雪環境,特殊岩質地環境,渓流環境の環境特性と植物の適応戦略について学ぶ.種子散布を例に,非生物的環境への植物の適応例としての風散布や海流散布,生物的環境への適応例としての周食散布や貯食散布について学ぶ.生物的環境への適応例としての送粉共生系における植物の論理と動物の論理,特定の生物種間で発展した共進化,絶対送粉などについて学ぶ.生態学で最も基本的かつ重要な概念であるニッチとその具体例である適応放散と収斂について学ぶ.
科目のキーワード
①適応形質 ②非生物的環境 ③生物的環境 ④生物間相互作用 ⑤ニッチ(生態的地位)
授業の展開方法
1-2回は,環境の定義「主体の外囲」を紹介し,それに基づいた生物における環境の特質について概観する.とくに,非生物的環境と生物的環境の違い,生物的環境における生物間相互作用について紹介する.3-8回は,非生物的環境と生物の適応戦略の具体例を紹介する.すなわち,3-6回は海岸環境,高山環境,多雪環境,特殊岩質地環境,渓流環境とそこに生育する植物の適応例を紹介し,7-8回は種子散布における風や水流を利用した適応例を紹介する.9?13回は生物環境における生物間相互作用を紹介する.すなわち,9-10回は動物による種子散布を紹介し,11-13回は生物環境における生物間相互作用のうちの動物による送粉を紹介する14-15回は,生態学における最も重要かつ基本的な概念であるニッチ(生態的地位)を適応放散や収斂などの具体例を示しながら解説する.




オフィス・アワー
【月曜日】2時限目・昼休み(後期のみ)、【火曜日】2時限目・昼休み(前期のみ)、【水曜日】2時限目・昼休み、【木曜日】昼休み(前期のみ)、【金曜日】昼休み(前期のみ)
科目コード ENS208
学年・期 1年・後期
科目名 環境と生物の進化
単位数 2
授業形態 講義
必修・選択 必修
学習時間 【授業】90分×15 【予習】90分以上×15 【復習】90分以上×15
前提とする科目 基礎生物学、自然地理学
展開科目 動物分類学、植物分類学、生物資源学、生物多様性
関連資格 なし
担当教員名 藤井伸二
主題コマシラバス項目内容教材・教具
1 生物的環境と非生物的環境 科目の中での位置付け 本コマでは,環境の定義およびその概念について解説し,非生物的環境と生物的環境の特質を述べる.本講義の1−2回は,環境の定義「主体の外囲」を紹介し,それに基づいた生物における環境の特質について概観する.とくに,非生物的環境と生物的環境の違い,生物的環境における生物間相互作用について紹介する.3−8回は,非生物的環境と生物の適応戦略の具体例を紹介する.すなわち,3−6回は海岸環境,高山環境,多雪環境,特殊岩質地環境,渓流環境とそこに生育する植物の適応例を紹介し,7−8回は種子散布における風や水流を利用した適応例を紹介する.9−13回は生物環境における生物間相互作用を紹介する.すなわち,9−10回は動物による種子散布を紹介し,11-13回は生物環境における生物間相互作用のうちの動物による送粉を紹介する14-15回は,生態学における最も重要かつ基本的な概念であるニッチ(生態的地位)を適応放散や収斂などの具体例を示しながら解説する.
①鈴木孝仁監修『視覚でとらえるフォトサイエンス生物図録三訂版』数研出版,2017年発行,206pp,『生物学事典』岩波書店,1996年発行,255p..巌佐庸ほか編『生態学事典』共立出版,2003年発行,87-88pp.

②『生物学事典』岩波書店,1996年発行,255p.

③鈴木孝仁監修『視覚でとらえるフォトサイエンス生物図録三訂版』数研出版,2017年発行,206-213pp.
コマ主題細目 ① 環境 ② 非生物的環境 ③ 生物的環境
細目レベル ① 環境について,その定義である「主体に対する外囲」について解説し,環境の概念に関する基本的な知識を得るとともに,環境への理解を深める.具体的には,生態学辞典の要約「生物個体または生物集団に影響を与えるもの.生物が(自己とは異質のものと)認識しているもの」と生物学事典の要約「ある主体に対する外囲」を比較して,両者に共通する概念を考察する.さらに,身の回りのものとして蛍光灯の光り,空気,机,椅子,鉛筆,他人,教卓,携帯電話,温度,風,湿度,音,臭いなどを例に,それらの違いが主体の行動様式に大きな影響を与えることを解説しながらが環境への理解を深める.その上で,環境がいかに主体の活動に深く関わっているかを考察する.
② 環境には非生物的環境と生物的環境の2種類があること,そして両者の違いについて具体例を挙げながら解説し,非生物的環境と生物的環境についての理解を深める.そのことによって,2年次以降の専門科目を学習するための礎を固める.非生物的環境の具体例とその特徴をマクロ的な観点とミクロ的な関連から解説する.例えば,温度(気温,水温,土壌温度)→マクロ的:気候,ミクロ的:細胞における生化学反応に重要.水(雨量,湿度,土壌水分)→マクロ的:気候,ミクロ的:生化学反応の溶媒として重要.光(光エネルギー,日長)→マクロ的:気候,ミクロ的:光合成,光周反応と言う形での理解を深める.さらに,風(強さ,頻度...),栄養塩類:カリウムイオン,ナトリウムイオン,カルシウムイオン,マグネシウムイオン,硝酸イオン,アンモニアイオン,リン酸イオン,土壌(基質,粒度,保水性,種々の物理的・化学的性質)などの非生物的環境についても解説する.
③ 環境には非生物的環境と生物的環境の2種類があること,そして両者の違いについて具体例を挙げながら解説し,非生物的環境と生物的環境についての理解を深める.そのことによって,2年次以降の専門科目を学習するための礎を固める.生物的環境についてその具体例を挙げて解説する.生物的環境は様々な生物群の間で起こる多様かつ複雑な生物間相互作用のことであり,それらについてお互いの利益と不利益という観点から整理する.そして,生物間相互作用系としての生物的環境についての知識を得るとともにそれらへの理解を深める.そのことによって,2年次以降の専門科目を学習するための礎を固める.生物的環境における生物間相互作用の最も基本的な食う食われるの関係や競争関係について解説する.


キーワード ① 環境 ② 非生物的環境 ③ 生物的環境 ④ 生物間相互作用 ⑤ 概念
コマの展開方法 社会人講師 AL ICT PowerPoint・Keynote 教科書
コマ用オリジナル配布資料 コマ用プリント配布資料 その他 該当なし
小テスト 「小テスト」については、毎回の授業終了時、manaba上において5問以上の、当該コマの小テスト(難易度表示付き)を実施します。
復習・予習課題 環境について,その定義である「主体に対する外囲」について復習し,環境の概念に関する知識を得るとともに,環境への理解を深める.環境には非生物的環境と生物的環境の2種類があること,そして両者の違いについて復習し,非生物的環境と生物的環境についての理解を深める.非生物的環境についてその具体的事例を挙げて復習し,それらへの理解を深める.生物的環境についてその具体例を挙げて復習し,様々な生物群の間で起こる生物間相互作用をお互いの利益と不利益という観点から整理し,生物間相互作用系としての生物的環境についての知識を得るとともにそれらへの理解を深める.復習にあたっては,巌佐庸・菊沢喜八郎・松本忠夫ほか(編)「生態学事典」(共立出版),巌佐庸・倉谷滋・斎藤成也ほか(編)「岩波生物学辞典第5版」(岩波書店),M. Begon, J.L.Harper & C.R. Townsend(著)/堀道雄(監訳)/神崎護・幸田正典・増田貞滋(訳)「生態学―個体から生態系へ」(京都大学学術出版会),日本生態学会(編集)「生態学入門第二版」(東京化学同人),原登志彦(監修)/西村尚之・若土もえ(著)「大学生のための生態学入門」(共立出版)を利用しても良い.試験時の参照物持ち込みは不可なので,普段からの復習をしっかりしておくこと.配布プリントについて,シラバスの細目レベルの内容をよく参照しながら予習する.
2 生物間相互関係 科目の中での位置付け 本コマでは,生物群集の概念を紹介し,非生物的環境と生物の関係,生物的環境における生物間同士の関係について紹介する.本講義の1−2回は,環境の定義「主体の外囲」を紹介し,それに基づいた生物における環境の特質について概観する.とくに,非生物的環境と生物的環境の違い,生物的環境における生物間相互作用について紹介する.3−8回は,非生物的環境と生物の適応戦略の具体例を紹介する.すなわち,3−6回は海岸環境,高山環境,多雪環境,特殊岩質地環境,渓流環境とそこに生育する植物の適応例を紹介し,7−8回は種子散布における風や水流を利用した適応例を紹介する.9−13回は生物環境における生物間相互作用を紹介する.すなわち,9−10回は動物による種子散布を紹介し,11-13回は生物環境における生物間相互作用のうちの動物による送粉を紹介する14-15回は,生態学における最も重要かつ基本的な概念であるニッチ(生態的地位)を適応放散や収斂などの具体例を示しながら解説する.
①鈴木孝仁監修『視覚でとらえるフォトサイエンス生物図録三訂版』数研出版,2017年発行,206-208pp.

②鈴木孝仁監修『視覚でとらえるフォトサイエンス生物図録三訂版』数研出版,2017年発行,211-213pp.

③『生物学事典』岩波書店,1996年発行,255p.巌佐庸ほか編『生態学事典』共立出版,2003年発行,87-88pp.
コマ主題細目 ① 生物群集 ② 生物間相互作用 ③ 環境
細目レベル ① 生態学用語としての生物群集の定義を解説し,その具体例を紹介することで生物群集に関する基礎的な知識と理解を深める.そのことによって,2年次以降の専門科目を学習するための礎を固める.生物群集(群集)とは,ある地域に生息するすべての生物種の総体,もしくはある近縁なグループの生物種の総体または同様な機能を有する生物種の総体のことであり,生物群集にはここで挙げた3つの意味があることを学習する.また,植物学では,植生あるいは植物群落と呼称し,この場合,気候帯に応じて広域的に認識されるものを植生と呼び,ある地域に生育する植物の集団を群落と呼ぶことを紹介する.その上で,生態系とは物理化学的環境(非生物的環境)とそこに生息する生物群集(生物的環境)の相互作用によって形成される複雑なシステムであることを解説する.
② 環境には非生物的環境と生物的環境の2種類があること,そして両者の違いについて具体例を挙げながら解説し,非生物的環境と生物的環境についての理解を深める.そのことによって,2年次以降の専門科目を学習するための礎を固める.生物的環境についてその具体例を挙げて解説する.生物的環境は様々な生物群の間で起こる多様かつ複雑な生物間相互作用のことであり,それらについてお互いの利益と不利益という観点から整理する.そして,生物間相互作用系としての生物的環境についての知識を得るとともにそれらへの理解を深める.そのことによって,2年次以降の専門科目を学習するための礎を固める.生物的環境における生物間相互作用の最も基本的な食う食われるの関係や競争関係について解説する.
③ 生物的環境における様々な生物間相互作用について紹介する.ここでの様々な相互作用は,当事者らの利益・不利益によって分類・整理して紹介する.寄生は一方的な搾取,相手に不利益が生ずる場合.相互利益は.自分と相手の両方に利益がある場合.この関係がとくに顕著なのは,送粉共生系,周食型被食散布である.また,利用/提供(利用の逆)で,一方には利益があるが,他方には利益も不利益もない関係も存在する.相利的な例としては,アブラムシから甘露を得るアリとアリによって外敵から守ってもらうアブラムシの関係,ホンソメワケベラに口内の掃除を任せる大型魚類と大型魚類によって外敵から守ってもらうホンソメワケベラの関係,サンゴ虫に住処を提供してもらう渦鞭毛藻と渦鞭毛藻とから有機物を提供してもらうサンゴ虫の関係などを紹介する.
キーワード ① 生物群集 ② 生物的環境 ③ 生物間相互作用 ④ 利益 ⑤ 不利益
コマの展開方法 社会人講師 AL ICT PowerPoint・Keynote 教科書
コマ用オリジナル配布資料 コマ用プリント配布資料 その他 該当なし
小テスト 「小テスト」については、毎回の授業終了時、manaba上において5問以上の、当該コマの小テスト(難易度表示付き)を実施します。
復習・予習課題 生態学における生物群集の定義を復習し,その具体例を復習することで,生物群集に関する知識を得るとともに理解を深める.非生物的環境についてその具体的事例を挙げて復習し,それらへの理解を深める.生物的環境についてその具体例を挙げて復習し,様々な生物群の間で起こる生物間相互作用をお互いの利益と不利益という観点から整理し,生物間相互作用系としての生物的環境についての理解を深める.環境について,その定義である「主体に対する外囲」について復習し,環境の概念に対する理解を深める.環境には非生物的環境と生物的環境の2種類があること,そして両者の違いについて復習し,非生物的環境と生物的環境についての理解を深める.復習にあたっては,巌佐庸・菊沢喜八郎・松本忠夫ほか(編)「生態学事典」(共立出版),巌佐庸・倉谷滋・斎藤成也ほか(編)「岩波生物学辞典第5版」(岩波書店),M. Begon, J.L.Harper & C.R. Townsend(著)/堀道雄(監訳)/神崎護・幸田正典・増田貞滋(訳)「生態学―個体から生態系へ」(京都大学学術出版会),日本生態学会(編集)「生態学入門第二版」(東京化学同人),原登志彦(監修)/西村尚之・若土もえ(著)「大学生のための生態学入門」(共立出版)を利用しても良い.試験時の参照物持ち込みは不可なので,普段からの復習をしっかりしておくこと.配布プリントについて,シラバスの細目レベルの内容をよく参照しながら予習する.
3 海岸・高山環境への適応 科目の中での位置付け 本コマでは,海浜環境と高山環境の有する環境特質を概説し,それらに対する植物の様々な適応戦略について具体例を用いて紹介する.1−2回は環境の定義「主体の外囲」を解説し,それに基づいた生物における環境の特質について概観する.とくに,非生物的環境と生物的環境の2類型,生物的環境における多種多様な生物間相互作用について概観する.3−7回は非生物的環境と生物の適応戦略について,植物についての具体例を紹介する.すなわち,3−5回は海岸環境,高山環境,多雪環境,特殊岩質地環境,渓流環境とそれらの環境に生育する植物の適応例を紹介し,6−7回は植物の種子散布における風や水流を利用した適応例を紹介する.8−13回は生物環境における生物間相互作用とその多様性を紹介する.すなわち,9−10回は動物を利用した種子散布としての周食散布と貯食散布を紹介し,11-13回は送粉における動物と植物の適応戦略とその多様化および進化ついて紹介する.14-15回は,生態学における最も重要かつ基本的な概念であるニッチ(生態的地位)を適応放散や収斂などの具体例を示しながら解説する.
①矢野悟道ほか『日本の植生図間Ⅱ人里・草原』,保育社,1983年発行,125-145pp.

②増沢武弘『カラー版極限に生きる植物』中央公論社,2002年発行,98-113pp.

③矢野悟道ほか『日本の植生図鑑Ⅱ人里・草原』,保育社,1983年発行,125-145pp.

増沢武弘『カラー版極限に生きる植物』中央公論社,2002年発行,98-113pp.
コマ主題細目 ① 海浜環境への適応 ② 高山環境への適応 ③ 事例紹介
細目レベル ① 非生物的環境である海浜環境について,その非生物的環境が有する代表的な環境要素を具体的に挙げて解説する.光,温度,水分,土壌条件などの植物の生育に必須な非生物的環境要因の整理と解説に重点を置く.それぞれの非生物的環境要素に対して,植物が示す適応的な形態を代表的な植物種を例示して示す.,光,温度,水分,土壌条件などの環境要因にたいして,植物が示す様々な適応形態を解説する.海浜環境に生育する植物が示す環境要素に対する各種の適応形態とその機能について解説する.固着生活を行う植物にとって,非生物的環境に対する植物の各種の適応形質が, 主として環境要素に対する耐性という形で進化・適応していることを解説する.
② 非生物的環境である高山環境について,その非生物的環境が有する代表的な環境の要素を具体的な事例を挙げて解説する.光,温度,水分,土壌条件などの植物の生育に必須な非生物的環境要因の整理と解説に重点を置く.それぞれの非生物的環境要素に対して,植物が示す適応的な形態を代表的な植物種を例示して示す.光,温度,水分,土壌条件などの環境要因にたいして,植物が示す様々な適応形態を解説する.厳しい高山環境に生育する植物が示す環境要素に対する各種の適応形態とその機能について解説する.固着生活を行う植物にとって,非生物的環境に対する各種の適応形質が, 主として環境要素に対する耐性という形で進化・適応していることを解説する.
③ 海岸環境への適応について,次の植物の適応戦略を紹介する.オヒルギ,メヒルギ,ヤエヤマヒルギ,マヤプシギ,ヒルギダマシ,シロヨモギ,ビロードテンツキ,トウテイラン,ハマヒルガオ,ハマボウフウ,ハマアザミ,ハマエンドウ,ボタンボウフウ,ウンラン,ホソバワダン,アゼトウナ,シオギク,イソギク,ハマゴウ,ハマボウ,ツルナ,ハママツナ,マツナ,ハマハタザオ,ハマアザミ,ハマボッス,ハマナデシコ,ハマトラノオ,ハマボウフウ,ハマニンニク,オニシバ,ハマニガナ,ネコノシタ,ハイネズ,ケカモノハシ,コウボウムギ,ハマエンドウ,コウボウムギ,マルバアカザ,アッケシソウ,ツルナ,オカヒジキ.高山環境への適応について,次の植物の適応戦略を紹介する.ノビレダイオウ,ボンボリトウヒレン,トウヤクリンドウ,イワウメ,ガンコウラン,コケモモ,ツガザクラ,イブキジャコウソウ,ギンケンソウ,ウスユキソウ類,チングルマ,コマクサ,ウルップソウ,ホソバキリンソウ,ツメクサ類,・ミヤマオダマキ,タテヤマリンドウ,ミヤマアキノキリンソウ,ハクサンシャジン,ダケカンバ,ハイマツ,ミヤマハンノキ,キバナシャクナゲ,高山性ヤナギ類.
キーワード ① 非生物的環境 ② 環境の特質 ③ 適応 ④ 適応形質 ⑤ 耐性
コマの展開方法 社会人講師 AL ICT PowerPoint・Keynote 教科書
コマ用オリジナル配布資料 コマ用プリント配布資料 その他 該当なし
小テスト 「小テスト」については、毎回の授業終了時、manaba上において5問以上の、当該コマの小テスト(難易度表示付き)を実施します。
復習・予習課題 非生物的環境である海浜環境と高山環境について,その非生物的環境が有する代表的な環境の要素を具体的な事例を挙げて復習する.とくに,光,温度,水分,土壌条件などの植物の生育に必須な非生物的環境要因の復習に重点を置く.それぞれの非生物的環境要素に対して,植物が示す適応的な形態を代表的な植物種を例示しながら示す.とくに,光,温度,水分,土壌条件などの植物の生育に必須な非生物的環境要因にたいして,植物が示す適応形態の復習に重点を置く.海浜環境と高山環境に生育する植物が示す環境要素に対する各種の適応形態とその機能について,復習する.とくに,固着生活を行う植物にとって,非生物的環境に対する各種の適応形質が, 主として環境要素に対する耐性という形で進化・適応してこいたことを復習する.復習にあたっては,矢野悟道(著)「日本の植生図鑑 (2) 人里・草原」(保育社),中西弘樹(著)「日本の海岸植物図鑑」(トンボ出版),酒井昭(著)「植物の分布と環境適応―熱帯から極地・砂漠へ」(朝倉書店)を利用しても良い.試験時の参照物持ち込みは不可なので,普段からの復習をしっかりしておくこと.配布プリントについて,シラバスの細目レベルの内容をよく参照しながら予習する.
4 高山・多雪環境への適応 科目の中での位置付け 本コマでは,高山環境と多雪環境の有する環境特質を概説し,それらに対する植物の様々な適応戦略を具体例を用いて紹介する.1−2回は環境の定義「主体の外囲」を解説し,それに基づいた生物における環境の特質について概観する.とくに,非生物的環境と生物的環境の2類型,生物的環境における多種多様な生物間相互作用について概観する.3−7回は非生物的環境と生物の適応戦略について,植物についての具体例を紹介する.すなわち,3−5回は海岸環境,高山環境,多雪環境,特殊岩質地環境,渓流環境とそれらの環境に生育する植物の適応例を紹介し,6−7回は植物の種子散布における風や水流を利用した適応例を紹介する.8−13回は生物環境における生物間相互作用とその多様性を紹介する.すなわち,9−10回は動物を利用した種子散布としての周食散布と貯食散布を紹介し,11-13回は送粉における動物と植物の適応戦略とその多様化および進化ついて紹介する.14-15回は,生態学における最も重要かつ基本的な概念であるニッチ(生態的地位)を適応放散や収斂などの具体例を示しながら解説する.
①増沢武弘『カラー版極限に生きる植物』中央公論社,2002年発行,98-113pp.

②前川文夫『日本の植物区系』玉川大学出版会,1977年発行,120-124pp.

③増沢武弘『カラー版極限に生きる植物』中央公論社,2002年発行,98-113pp.

前川文夫『日本の植物区系』玉川大学出版会,1977年発行,120-124pp.
コマ主題細目 ① 高山環境への適応進化 ② 多雪環境への適応進化 ③ 事例紹介
細目レベル ① 非生物的環境である高山環境について,その非生物的環境が有する代表的な環境の要素を具体的な事例を挙げて解説する.光,温度,水分,土壌条件などの植物の生育に必須な非生物的環境要因の整理と解説に重点を置く.それぞれの非生物的環境要素に対して,植物が示す適応的な形態を代表的な植物種を例示して示す.光,温度,水分,土壌条件などの環境要因にたいして,植物が示す様々な適応形態を解説する.海浜環境に生育する植物が示す環境要素に対する各種の適応形態とその機能について解説する.固着生活を行う植物にとって,非生物的環境に対する各種の適応形質が, 主として環境要素に対する耐性という形で進化・適応していることを解説する.
② 非生物的環境である多雪環境について,その非生物的環境が有する代表的な環境の要素を具体的な事例を挙げて解説する.光,温度,水分,土壌条件などの植物の生育に必須な非生物的環境要因の整理と解説に重点を置く.それぞれの非生物的環境要素に対して,植物が示す適応的な形態を代表的な植物種を例示して示す.光,温度,水分,土壌条件などの環境要因にたいして,植物が示す様々な適応形態を解説する.夏季とは全く異なる冬季における多雪環境に生育する植物が示す環境要素に対する各種の適応形態とその機能について解説する.固着生活を行う植物にとって,非生物的環境に対する各種の適応形質が, 主として環境要素に対する耐性という形で進化・適応していることを解説する.
③ 高山環境への適応について,次の植物の適応戦略を紹介する.ノビレダイオウ,ボンボリトウヒレン,トウヤクリンドウ,イワウメ,ガンコウラン,コケモモ,ツガザクラ,イブキジャコウソウ,ギンケンソウ,ウスユキソウ類,チングルマ,コマクサ,ウルップソウ,ホソバキリンソウ,ツメクサ類,・ミヤマオダマキ,タテヤマリンドウ,ミヤマアキノキリンソウ,ハクサンシャジン,ダケカンバ,ハイマツ,ミヤマハンノキ,キバナシャクナゲ,高山性ヤナギ類.多雪環境への適応について,次の植物の適応戦略を太平洋側の詳説地域の対応種とあわせて紹介する.ユキツバキ/ヤブツバキ,エゾユズリハ/ユズリハ,ハイイヌガヤ/イヌガヤ,チャボガヤ/カヤ,ウラスギ/オモテスギ,ユキツバキ/ヤブツバキ,オオバクロモジ/クロモジ,エゾツリバナ/ツリバナ,ヒロハゴマギ/ゴマギ,ミヤマカワラハンノキ/カワラハンノキ,オオイワカガミ/イワカガミ.
キーワード ① 非生物的環境 ② 環境の特質 ③ 適応 ④ 適応形質 ⑤ 耐性
コマの展開方法 社会人講師 AL ICT PowerPoint・Keynote 教科書
コマ用オリジナル配布資料 コマ用プリント配布資料 その他 該当なし
小テスト 「小テスト」については、毎回の授業終了時、manaba上において5問以上の、当該コマの小テスト(難易度表示付き)を実施します。
復習・予習課題 非生物的環境である高山環境と多雪環境について,その非生物的環境が有する代表的な環境の要素を具体的な事例を挙げて復習する.とくに,光,温度,水分,土壌条件などの植物の生育に必須な非生物的環境要因の復習に重点を置く.それぞれの非生物的環境要素に対して,植物が示す適応的な形態を代表的な植物種を例示しながら示す.とくに,光,温度,水分,土壌条件などの植物の生育に必須な非生物的環境要因にたいして,植物が示す適応形態の復習に重点を置く.高山環境と多雪環境に生育する植物が示す環境要素に対する各種の適応形態とその機能について,復習する.とくに,固着生活を行う植物にとって,非生物的環境に対する各種の適応形質が, 主として環境要素に対する耐性という形で進化・適応していることを復習する.復習にあたっては,増沢武弘(著)「中公新書カラー版極限に生きる植物」(中央公論社),増沢武弘(著)「高山植物の生態学」(東京大学出版会),増沢武弘(著)「高山植物学―高山環境と植物の総合科学―」(共立出版),酒井昭(著)「植物の分布と環境適応―熱帯から極地・砂漠へ」(朝倉書店)を利用しても良い.試験時の参照物持ち込みは不可なので,普段からの復習をしっかりしておくこと.配布プリントについて,シラバスの細目レベルの内容をよく参照しながら予習する.
5 特殊岩質地・渓流環境への適応 科目の中での位置付け 本コマでは,特殊岩質地環境と渓流環境の有する環境特質を概説し,それらに対する植物の様々な適応戦略を具体例を用いて紹介する.1−2回は環境の定義「主体の外囲」を解説し,それに基づいた生物における環境の特質について概観する.とくに,非生物的環境と生物的環境の2類型,生物的環境における多種多様な生物間相互作用について概観する.3−7回は非生物的環境と生物の適応戦略について,植物についての具体例を紹介する.すなわち,3−5回は海岸環境,高山環境,多雪環境,特殊岩質地環境,渓流環境とそれらの環境に生育する植物の適応例を紹介し,6−7回は植物の種子散布における風や水流を利用した適応例を紹介する.8−13回は生物環境における生物間相互作用とその多様性を紹介する.すなわち,9−10回は動物を利用した種子散布としての周食散布と貯食散布を紹介し,11-13回は送粉における動物と植物の適応戦略とその多様化および進化ついて紹介する.14-15回は,生態学における最も重要かつ基本的な概念であるニッチ(生態的地位)を適応放散や収斂などの具体例を示しながら解説する.
①村田源.蛇紋岩地と固有植物.日本の生物1(2):17-21.

②加藤雅啓『植物の進化形退学』東京大学出版会,1999年発行,159-175pp.

③村田源.蛇紋岩地と固有植物.日本の生物1(2):17-21.加藤雅啓『植物の進化形退学』東京大学出版会,1999年発行,159-175pp.
コマ主題細目 ① 特殊岩質地環境への適応 ② 渓流環境への適応 ③ 事例紹介
細目レベル ① 非生物的環境である特殊岩質地環境について,その非生物的環境が有する代表的な環境の要素を具体的な事例を挙げて解説する.とくに,光,温度,水分,土壌条件などの植物の生育に必須な非生物的環境要因の解説に重点を置く.それぞれの非生物的環境要素に対して,植物が示す適応的な形態を代表的な植物種を例示しながら示す.とくに,光,温度,水分,土壌条件などの植物の生育に必須な非生物的環境要因にたいして,植物が示す適応形態の解説に重点を置く.特殊岩質地環境に生育する植物が示す環境要素に対する各種の適応形態とその機能について,解説する.とくに,固着生活を行う植物にとって,非生物的環境に対する各種の適応形質が, 主として環境要素に対する耐性という形で進化・適応していることを解説する.
② 非生物的環境である渓流環境について,その非生物的環境が有する代表的な環境の要素を具体的な事例を挙げて解説する.とくに,光,温度,水分,土壌条件などの植物の生育に必須な非生物的環境要因の解説に重点を置く.それぞれの非生物的環境要素に対して,植物が示す適応的な形態を代表的な植物種を例示しながら示す.とくに,光,温度,水分,土壌条件などの植物の生育に必須な非生物的環境要因にたいして,植物が示す適応形態の解説に重点を置く.渓流環境に生育する植物が示す環境要素に対する各種の適応形態とその機能について,解説する.とくに,固着生活を行う植物にとって,非生物的環境に対する各種の適応形質が, 主として環境要素に対する耐性という形で進化・適応していることを解説する.
③ 特殊岩質地環境への適応について,次の植物の適応戦略とその対応種を紹介する.オトメシャジン/ツリガネニンジン,キイシモツケ/イワシモツケ,ヤナギノギク/ヤマジノギク,ジンリョウユリ/ササユリ,イナトウヒレン,キイシモツケ/イワシモツケ,ヤナギノギク/ヤマジノギク,ジンリョウユリ/ササユリ.また,対応種は不明であるが,次の植物群についても蛇紋岩地に応じた形態変化をしていることを紹介する.イナトウヒレン,ジングウツツジ,ドウダンツツジ,ヒュウガミズキ,トサミズキ.渓流環境への適応について,次の植物の適応戦略とその対応種を紹介する.ヤシャゼンマイ/ゼンマイ,カワゼンゴ/イヌトウキ,ナカガワノギク/ノジギク,キシツツジ/モチツツジ,ミギワトダシバ/トダシバ,ホソバノギク/サワシロギク,ドロニガナ/ニガナ,センボンギク/ノコンギク,ウチワダイモンジソウ/ダイモンジソウ,ケイリュタチツボスミレ/タチツボスミレ,トサシモツケ(葉の小形化)/イワシモツケ,コツゲ/ツゲ,アオヤギバナ/アキノキリンソウ,リュウキュウツワブキ/ツワブキ.
キーワード ① 非生物的環境 ② 環境の特質 ③ 適応 ④ 適応形質 ⑤ 耐性
コマの展開方法 社会人講師 AL ICT PowerPoint・Keynote 教科書
コマ用オリジナル配布資料 コマ用プリント配布資料 その他 該当なし
小テスト 「小テスト」については、毎回の授業終了時、manaba上において5問以上の、当該コマの小テスト(難易度表示付き)を実施します。
復習・予習課題 非生物的環境である特殊岩質地環境と渓流環境について,その非生物的環境が有する代表的な環境の要素を具体的な事例を挙げて復習する.とくに,光,温度,水分,土壌条件などの植物の生育に必須な非生物的環境要因の復習に重点を置く.それぞれの非生物的環境要素に対して,植物が示す適応的な形態を代表的な植物種を例示しながら示す.とくに,光,温度,水分,土壌条件などの植物の生育に必須な非生物的環境要因にたいして,植物が示す適応形態の復習に重点を置く.特殊岩質地環境と渓流環境に生育する植物が示す環境要素に対する各種の適応形態とその機能について,復習する.とくに,固着生活を行う植物にとって,非生物的環境に対する各種の適応形質が, 主として環境要素に対する耐性という形で進化・適応してきたことを復習する.復習にあたっては,酒井昭(著)「植物の分布と環境適応―熱帯から極地・砂漠へ」(朝倉書店)を利用しても良い.試験時の参照物持ち込みは不可なので,普段からの復習をしっかりしておくこと.配布プリントについて,シラバスの細目レベルの内容をよく参照しながら予習する.
6 適応進化としての種子散布 科目の中での位置付け 本コマでは,植物の非生物的環境における様々な適応戦略の例として種子散布を取り上げる.自動散布と風散布について,具体例を用いて紹介する.1−2回は環境の定義「主体の外囲」を解説し,それに基づいた生物における環境の特質について概観する.とくに,非生物的環境と生物的環境の2類型,生物的環境における多種多様な生物間相互作用について概観する.3−7回は非生物的環境と生物の適応戦略について,植物についての具体例を紹介する.すなわち,3−5回は海岸環境,高山環境,多雪環境,特殊岩質地環境,渓流環境とそれらの環境に生育する植物の適応例を紹介し,6−7回は植物の種子散布における風や水流を利用した適応例を紹介する.8−13回は生物環境における生物間相互作用とその多様性を紹介する.すなわち,9−10回は動物を利用した種子散布としての周食散布と貯食散布を紹介し,11-13回は送粉における動物と植物の適応戦略とその多様化および進化ついて紹介する.14-15回は,生態学における最も重要かつ基本的な概念であるニッチ(生態的地位)を適応放散や収斂などの具体例を示しながら解説する.
①植田邦彦編『植物の自然史』北海道大学出版会,1994年発行,37-55pp.堀田満『植物の分布と分化』三省堂,1974年発行,33-34pp.

②堀田満『植物の分布と分化』三省堂,1974年発行,43-45pp.

②堀田満『植物の分布と分化』三省堂,1974年発行,35-36pp.
コマ主題細目 ① 散布体と繁殖体 ② 自動散布 ③ 風散布
細目レベル ① 固着生活を行う植物にとって,種子散布はその生涯でほぼ唯一の移動機会であることを解説する.種子や果実は散布の機会を担う散布体であると同時に幼植物の定着を担う繁殖体であることを解説し,種子や果実が散布体と繁殖体の二面性を有する独特な器官であることへの理解を深める.繁殖体としての種子に期待される役目とそれを果たすために望ましい形質,そして散布体としての種子に期待される役目とそれを果たすために望ましい形質のそれぞれについて解説する.なぜ種子を遠くに散布するのか?なぜ母樹の下から逃避するのか?の問題について論考する.そもそも母樹が育つ環境はその子孫にとっても好適な環境であるはずだが,実際には植物の種子や果実である散布体はできるだけ母樹から遠ざかるように様々な散布の機構を発達させている.この一見パラドキシカルな問題について,母樹と幼植物の生物間相互作用の観点から考える.
② 散布様式の一つである自動散布について解説する.本散布様式は植物自身の機械的・生理的機構によって散布体を移動させるもので,多くのマメ科植物,スミレ類,ゲンノショウコ,カタバミ,コクサギなどにみられる.この散布方法は,乾湿運動や膨圧によるものなどがあるが,非生物的環境および生物的環境のどちらとも関係性が低いのが特徴であることを解説する.種子を飛ばす仕組みには,多くの植物がはじける莢を採用している.具体的には,フジ,カラスノエンドウ,スズメノエンドウ,カスマグサ,スミレ,ノジスミレ,コスミレ,ツボスミレ,タチツボスミレ,エイザンスミレ,ツリフネソウ,キツリフネ,カタバミ,キケマン,フウロケマン,ナガミノツルケマン,ムラサキケマン,ミヤマカタバミ,コミヤマカタバミ,ゲンノショウコ,コクサギがその例となる.
③ 散布様式の一つである風散布について解説する.本散布様式は,非生物的環境の一つである風を利用することにある.そのために,散布体は軽く,風を受けるための翼を発達させたり.冠毛やその他の毛を発達させたり,あるいはダストシードと呼ばれる塵状の微小な散布体の形状をとる特徴がある.例えば,カエデ類の翼果,キク科の冠毛,ススキ属の束毛,キョウチクトウ科の種子の長毛,ツツジ科やラン科などのダストシードはその代表例であることを紹介する.翼:カエデ(果実),マツ(種子),キリ(種子),アオギリ(翼状の果皮),シナノキ(翼状の苞葉),ネムノキ(莢が薄く幅広く,翅の役目),イヌエンジュ(莢が薄く幅広く,翅の役目).毛:タンポポ類・アザミ類(冠毛),テイカカズラ類・ガガイモ類.束毛:ススキ,チガヤ,メリケンカルカヤなどのイネ科.微少な種子:ツツジ類,アジサイ類,ウツギ類,ラン類(→菌類との共生).
キーワード ① 散布体 ② 繁殖体 ③ 自動散布 ④ 風散布 ⑤ 散布機構
コマの展開方法 社会人講師 AL ICT PowerPoint・Keynote 教科書
コマ用オリジナル配布資料 コマ用プリント配布資料 その他 該当なし
小テスト 「小テスト」については、毎回の授業終了時、manaba上において5問以上の、当該コマの小テスト(難易度表示付き)を実施します。
復習・予習課題 固着生活を行う植物にとって,種子散布はその生涯でほぼ唯一の移動機会であることを復習する.種子はその散布の機会を担う散布体であると同時に幼植物の定着を担う繁殖体であることを復習し,種子は散布体と繁殖体の二面性を有する独特に器官であることについての理解を深める復習を行う.繁殖体としての種子に期待される役目とそれを果たすために望ましい形質,散布体としての種子に期待される役目とそれを果たすために望ましい形質について復習する.種子散布様式の一つである自動散布について復習する.本散布様式は植物自身の機械的・生理的機構によって散布体を移動させるもので,多くのマメ科植物,スミレ類,ゲンノショウコ,カタバミ,コクサギなどにみられる.この散布方法は,乾湿運動や膨圧によるものなどがあるが,非生物的環境および生物的環境のどちらとも関係性が低いのが特徴であることを復習する.復習にあたっては,中西弘樹(著)「平凡社自然叢書種子(たね)はひろがる―種子散布の生態学」(平凡社),堀田満(著)「植物の進化生物学3植物の分布と分化」(三省堂)を利用しても良い.試験時の参照物持ち込みは不可なので,普段からの復習をしっかりしておくこと.配布プリントについて,シラバスの細目レベルの内容をよく参照しながら予習する.
7 風散布と海流散布への適応 科目の中での位置付け 本コマでは,植物の非生物的環境における様々な適応戦略の例として種子散布を取り上げる.水流散布について,具体例を用いて紹介する.1−2回は環境の定義「主体の外囲」を解説し,それに基づいた生物における環境の特質について概観する.とくに,非生物的環境と生物的環境の2類型,生物的環境における多種多様な生物間相互作用について概観する.3−7回は非生物的環境と生物の適応戦略について,植物についての具体例を紹介する.すなわち,3−5回は海岸環境,高山環境,多雪環境,特殊岩質地環境,渓流環境とそれらの環境に生育する植物の適応例を紹介し,6−7回は植物の種子散布における風や水流を利用した適応例を紹介する.8−13回は生物環境における生物間相互作用とその多様性を紹介する.すなわち,9−10回は動物を利用した種子散布としての周食散布と貯食散布を紹介し,11-13回は送粉における動物と植物の適応戦略とその多様化および進化ついて紹介する.14-15回は,生態学における最も重要かつ基本的な概念であるニッチ(生態的地位)を適応放散や収斂などの具体例を示しながら解説する.
①堀田満『植物の分布と分化』三省堂,1974年発行,35-36pp.

②堀田満『植物の分布と分化』三省堂,1974年発行,36-37pp.

②植田邦彦編『植物の自然史』北海道大学出版会,1994年発行,37-55pp.
コマ主題細目 ① 風散布 ② 水流散布 ③ 種子サイズ
細目レベル ① 散布様式の一つである風散布について解説する.本散布様式は,非生物的環境の一つである風を利用することにある.そのために,散布体は軽く,風を受けるための翼を発達させたり.冠毛やその他の毛を発達させたり,あるいはダストシードと呼ばれる塵状の微小な散布体の形状をとる特徴がある.例えば,カエデ類の翼果,キク科の冠毛,ススキ属の束毛,キョウチクトウ科の種子の長毛,ツツジ科やラン科などのダストシードはその代表例であることを紹介する.翼:カエデ(果実),マツ(種子),キリ(種子),アオギリ(翼状の果皮),シナノキ(翼状の苞葉),ネムノキ(莢が薄く幅広く,翅の役目),イヌエンジュ(莢が薄く幅広く,翅の役目).毛:タンポポ類・アザミ類(冠毛),テイカカズラ類・ガガイモ類.束毛:ススキ,チガヤ,メリケンカルカヤなどのイネ科.微少な種子:ツツジ類,アジサイ類,ウツギ類,ラン類(→菌類との共生).前回に引き続いて,具体的事例を紹介する.
② 散布様式の一つである水流散布について解説する.本散布様式は,非生物的環境の一つである水流を,具体的には河川や湖沼の水流と海洋の海流を,散布に利用する.そのために,散布体の比重を水よりも軽くすることが要求され,クルミなどでは水に浮くための気室,ヤシ類などでは海綿状組織,モダマやハマヒルガオなどでは種子そのものの比重を軽くするなどの様々な適応進化が起こっていることを紹介する.さらに,本散布方式では,水に浮くことさえできれば散布体サイズを大型化することが可能であることを解説する.次の3タイプ二塁ケイした上で,各種の解説を行う.1)肥厚組織による浮き:ココヤシ,イガオナモミ,オニハマダイコン,ツルナ,ハマナツメ,シオクグ,オニバス,ウキミガヤツリ,2)軽い種子:グンバイヒルガオ,ハマヒルガオ,ハマオモト,モダマ,3)気室:オニグルミ,サキシマスオウノキ,オニナルコスゲ,ミヤマシラスゲ.
③ 種子サイズに関しての風散布と水流散布の進化的・適応的な制約についての論考を行う.大型種子は多量の養分を蓄えているために,発芽に際して実生の生長が早くなる,実生サイズが大きくなる,被陰に対して耐性を持つことができる,物理的あるいは被食による植物体の破壊に際して耐性を持つことができるなどの様々な有利性があると考えられる.そのため,種子サイズを大きくしようとする淘汰圧が働くと考えられる.しかし,風散布では散布体を空気中に浮遊させるために散布体を軽くする必要があった.一方,水流散布では,種子の大型化(例えばヤシ類など)が顕著である.風散布では種子の重さを軽くすることが効率的な散布において重要だが,水流散布では浮く(比重を小さくする)仕組みがあればよい.このことが散布体を大きくすることを可能にしていると考えられることを解説する.
キーワード ① 風散布 ② 水流散布 ③ 散布機構 ④ 適応形質 ⑤ 種子サイズ
コマの展開方法 社会人講師 AL ICT PowerPoint・Keynote 教科書
コマ用オリジナル配布資料 コマ用プリント配布資料 その他 該当なし
小テスト 「小テスト」については、毎回の授業終了時、manaba上において5問以上の、当該コマの小テスト(難易度表示付き)を実施します。
復習・予習課題 種子散布様式の一つである風散布について復習する.本散布様式は,非生物的環境の一つである風を利用することにある.そのために,散布体は軽く,風を受けるための翼を発達させたり.冠毛やその他の毛を発達させたり,あるいはダストシードと呼ばれる塵状の微小な散布体の形状をとることを復習する.カエデ類の翼果,キク科の冠毛,ススキ属の束毛,キョウチクトウ科の種子の長毛などはその代表例で会うことを復習する.種子散布様式の一つである水流散布について復習する.本散布様式は,非生物的環境の一つである水流,具体的には河川や湖沼の水流と海洋の海流を利用することにある.そのために,散布体の比重は水よりも軽くなることが要求され,クルミなどでは水に浮くための気室,ヤシ類などでは海綿状組織,モダマやハマヒルガオなどでは種子そのものの比重を軽くするなどの適応進化が起こっていることを復習する.さらに,本散布方式では,水に浮くことさえできれば散布体サイズを大型化することが可能であることを復習する.復習にあたっては,中西弘樹(著)「平凡社自然叢書種子(たね)はひろがる―種子散布の生態学」(平凡社),堀田満(著)「植物の進化生物学3植物の分布と分化」(三省堂)を利用しても良い.試験時の参照物持ち込みは不可なので,普段からの復習をしっかりしておくこと.配布プリントについて,シラバスの細目レベルの内容をよく参照しながら予習する.
8 付着散布と周食散布への適応 科目の中での位置付け 本コマでは,植物の生物的環境における様々な適応戦略の例として種子散布を取り上げる.貯食散布について,具体例を用いて紹介する.1−2回は環境の定義「主体の外囲」を解説し,それに基づいた生物における環境の特質について概観する.とくに,非生物的環境と生物的環境の2類型,生物的環境における多種多様な生物間相互作用について概観する.3−7回は非生物的環境と生物の適応戦略について,植物についての具体例を紹介する.すなわち,3−5回は海岸環境,高山環境,多雪環境,特殊岩質地環境,渓流環境とそれらの環境に生育する植物の適応例を紹介し,6−7回は植物の種子散布における風や水流を利用した適応例を紹介する.8−13回は生物環境における生物間相互作用とその多様性を紹介する.すなわち,9−10回は動物を利用した種子散布としての周食散布と貯食散布を紹介し,11-13回は送粉における動物と植物の適応戦略とその多様化および進化ついて紹介する.14-15回は,生態学における最も重要かつ基本的な概念であるニッチ(生態的地位)を適応放散や収斂などの具体例を示しながら解説する.
①堀田満『植物の分布と分化』三省堂,1974年発行,37-43pp.

②植田邦彦編『植物の自然史』北海道大学出版会,1994年発行,37-55pp.堀田満『植物の分布と分化』三省堂,1974年発行,37-43pp.

②植田邦彦編『植物の自然史』北海道大学出版会,1994年発行,37-55pp.堀田満『植物の分布と分化』三省堂,1974年発行,37-43pp.
コマ主題細目 ① 付着散布 ② 周食散布 ③ 具体例
細目レベル ① 生物的環境に適応した散布様式の一つである付着散布について解説する.本散布様式は,能動的な移動能力を持たない植物が能動的移動能力を持つ動物を利用する散布方法の一つであり,植物が動物を一方的に利用している相互関係関係であることを解説する.植物の散布体には,動物の体表面に付着するための様々な器官が発達していることを解説する.付着機構には次の各様式があることを解説する.粘着型:ノブキ,オオバコ,チヂミザサ,鉤型:キンミズヒキ,オオオナモミ,ヤブジラミ,ヌスビトハギ,クリップ型:イノコヅチ類,逆棘型:センダングサ類,束毛型:チカラシバ.このほかにも,微小種子が水に濡れた際に表面張力で動物の体表やけに付着するものがある.付着散布は,植物が動物を一方的に利用し,その一方で動物側には利益も不利益も生じない生物間相互作用の一つであることを解説する.
② 生物的環境に適応した散布様式の一つである周食散布について解説する.本散布様式は,能動的な移動能力を持たない植物が能動的移動能力を持つ動物を利用する散布方法の一つであり,動物と植物の相互作用の上に成り立つ共生関係であることを解説する.動物は果肉等の報酬を求めて散布体を採餌するが,このときに丸呑みされた散布体が消化器官内での滞留する間に動物が移動し,さらにその散布体が未消化のまま体外に排泄されることで散布体の移動が達成されることを解説する.この散布様式を効果的に行うには,いくつかの条件を満たす必要がある.散布者にとって,十分に魅力のある報酬(=多量の報酬),報酬(果肉など)に紛れ込ませて種子を摂食させるしくみ,種子を咀嚼されない(=かみ砕かれない)しくみ,種子が消化されないしくみ(=頑強な殻で保護するなど),成熟して美味,成熟して目立つ色彩などである.
③ 周食散布の具体例を紹介する.普段私たちが食べる果物のすべてが周食散布植物である.そして,それらの植物種では様々な戦略で,種子を果肉と一緒に溜飲されるような工夫が見られる.具体的には,小さな種子:イチジク,キウィ,イチゴ,ドラゴンフルーツ→果肉と一緒に食べざるをえない,果肉中に種子が散在:イチジク,スイカ,アケビ,ムベ→果肉と一緒に食べざるをえない,表面がツルツルの種子:スイカ,カキノキ,アケビ,サクランボ→誤飲しやすい,表面がヌルヌルの種子・核:モモ,ウメ,カキノキの内果皮→誤飲しやすいなどである.また,一見して以下にも魅力的に見えるにもかかわらず,消化する部分の全くない騙し戦略の植物も存在する.タンキリマメ,トキリマメ,ゴンズイ,ソウシジュなどがそのダマシ戦略の周食散布植物である.
キーワード ① 付着散布 ② 周食散布 ③ 散布機構 ④ 報酬 ⑤ 動物の利用
コマの展開方法 社会人講師 AL ICT PowerPoint・Keynote 教科書
コマ用オリジナル配布資料 コマ用プリント配布資料 その他 該当なし
小テスト 「小テスト」については、毎回の授業終了時、manaba上において5問以上の、当該コマの小テスト(難易度表示付き)を実施します。
復習・予習課題 生物的環境に適応した種子散布様式の一つである付着散布について復習する.本散布様式は,能動的移動手段を持たない植物が移動手段を持つ動物を利用する散布方法の一つであり,植物が動物を一方的に利用している相互関係関係であることを復習する.植物の散布体には,動物の体表面に付着するための様々な器官が発達していることを復習する.生物的環境に適応した種子散布様式の一つである周食散布について復習する.本散布様式は,能動的移動手段を持たない植物が移動手段を持つ動物を利用する散布方法の一つであり,動物と植物の相互作用の上に成り立つ共生関係であることを復習する.動物は果肉等の報酬を求めて散布体を丸呑みし,散布体が消化器官内での滞留中に移動し,その散布体が未消化のまま体外に排泄されることで散布体の移動が達成されることを理解する.生物的環境に適応した種子散布様式の一つである貯食散布について復習する.本散布様式は,能動的移動手段を持たない植物が移動手段を持つ動物を利用する散布方法のひとつであり,動物と植物の相互作用の上に成り立つ共生関係であることを復習する.動物は種子という散布体そのものの報酬を求めて,散布体を集めて一時的な集めて貯蔵するが,それらの貯蔵された散布体のごく一部には食べ残しが期待され,そのような食べ残しを前提とした散布であることを理解する. 復習にあたっては,堀田満(著)「植物の進化生物学3植物の分布と分化」(三省堂),上田恵介(著)「種子散布―助けあいの進化論〈1〉鳥が運ぶ種子」(築地書館),上田恵介(著)「種子散布―助けあいの進化論〈2〉鳥が運ぶ種子」(築地書館),原正利(著)「学術選書どんぐりの生物学: ブナ科植物の多様性と適応戦略」(京都大学学術出版会),森廣信子(著)「ドングリの戦略―森の生き物たちをあやつる樹木」(八坂書房)を利用しても良い.試験時の参照物持ち込みは不可なので,普段からの復習をしっかりしておくこと.配布プリントについて,シラバスの細目レベルの内容をよく参照しながら予習する.
9 アリ散布と貯食散布への適応 科目の中での位置付け 本コマでは,植物の生物的環境における様々な適応戦略の例として種子散布を取り上げる.貯食散布について,具体例を用いて紹介する.1−2回は環境の定義「主体の外囲」を解説し,それに基づいた生物における環境の特質について概観する.とくに,非生物的環境と生物的環境の2類型,生物的環境における多種多様な生物間相互作用について概観する.3−7回は非生物的環境と生物の適応戦略について,植物についての具体例を紹介する.すなわち,3−5回は海岸環境,高山環境,多雪環境,特殊岩質地環境,渓流環境とそれらの環境に生育する植物の適応例を紹介し,6−7回は植物の種子散布における風や水流を利用した適応例を紹介する.8−13回は生物環境における生物間相互作用とその多様性を紹介する.すなわち,9−10回は動物を利用した種子散布としての周食散布と貯食散布を紹介し,11-13回は送粉における動物と植物の適応戦略とその多様化および進化ついて紹介する.14-15回は,生態学における最も重要かつ基本的な概念であるニッチ(生態的地位)を適応放散や収斂などの具体例を示しながら解説する.
①植田邦彦編『植物の自然史』北海道大学出版会,1994年発行,37-55pp.堀田満『植物の分布と分化』三省堂,1974年発行,37-43pp.

②日本生態学会編『森の不思議を解き明かす』文一総合出版,2008年発行,54-63pp.堀田満『植物の分布と分化』三省堂,1974年発行,37-43pp.

②堀田満『植物の分布と分化』三省堂,1974年発行,40-43pp.
コマ主題細目 ① 周食散布 ② 貯食散布 ③ アリ散布
細目レベル ① 生物的環境に適応した散布様式の一つである周食散布について解説する.本散布様式は,能動的な移動能力を持たない植物が能動的移動能力を持つ動物を利用する散布方法の一つであり,動物と植物の相互作用の上に成り立つ共生関係であることを解説する.動物は果肉等の報酬を求めて散布体を採餌するが,このときに丸呑みされた散布体が消化器官内での滞留する間に動物が移動し,さらにその散布体が未消化のまま体外に排泄されることで散布体の移動が達成されることを解説する.この散布様式を効果的に行うには,いくつかの条件を満たす必要がある.散布者にとって,十分に魅力のある報酬(=多量の報酬),報酬(果肉など)に紛れ込ませて種子を摂食させるしくみ,種子を咀嚼されない(=かみ砕かれない)しくみ,種子が消化されないしくみ(=頑強な殻で保護するなど),成熟して美味,成熟して目立つ色彩などである.前回に引き続いて,具体的事例を紹介する.
② 生物的環境に適応した種子散布様式の一つである貯食散布について解説する.本散布様式は,能動的移動手段を持たない植物が移動手段を持つ動物を利用する散布方法のひとつであり,動物と植物の相互作用の上に成り立つ共生関係であることを解説する.動物は種子という散布体そのものの報酬を求めて,散布体を集めて一時的な集めて貯蔵するが,それらの貯蔵された散布体のごく一部には食べ残しが期待され,そのような食べ残しを前提とした散布でることを理解する.貯食散布の担い手は,多くの場合において記憶力・学習能力の優れた哺乳類あるいは鳥類が散布者であることを解説する.そのために,効果的な貯食散布を行うためには,植物側にいくつかの進化的・適応的な制約を与えることになる.散布者の個体群抑制のしくみから推察される飽食戦略を有効に機能させるための条件について論考する.
③ 動物を利用した散布様式の一つに,アリ散布を挙げることができる.特定の昆虫を対象とした種子散布について紹介し,解説する.アリ類は本来は昆虫食であり,主に死体や攻撃力の小さな昆虫を襲ってそれらを食する.しかし,そのありを種子散布の担い手にするための植物側の工夫を紹介する.植物は種子にアリの好む付属体を形成し,この付属体は脂肪成分に富む.多くのアリは昆虫食であるので,脂肪を好む.それゆえ,脂肪成分に富む付属体にありは誘引され,付属対を含む種子を餌として巣に運ぶことになる.アリは付属体を食べるために,種子そのものがアリに食べられるリスクは少ない.そして,付属体の摂食後に付属体を失った種子はゴミとして巣外に遺棄される.遺棄された種子が発芽するというしくみである.このとき,食鵜物の種子はおおよそ5-10m程度の距離を運搬される.この距離は,自動散布の距離よりも長いことが多い.
キーワード ① 周食散布 ② 貯食散布 ③ アリ散布 ④ 報酬 ⑤ 動物の利用
コマの展開方法 社会人講師 AL ICT PowerPoint・Keynote 教科書
コマ用オリジナル配布資料 コマ用プリント配布資料 その他 該当なし
小テスト 「小テスト」については、毎回の授業終了時、manaba上において5問以上の、当該コマの小テスト(難易度表示付き)を実施します。
復習・予習課題 生物的環境に適応した種子散布様式の一つである周食散布について復習する.本散布様式は,能動的移動手段を持たない植物が移動手段を持つ動物を利用する散布方法の一つであり,動物と植物の相互作用の上に成り立つ共生関係であることを復習する.動物は果肉等の報酬を求めて散布体を丸呑みし,散布体が消化器官内での滞留中に移動し,その散布体が未消化のまま体外に排泄されることで散布体の移動が達成されることを理解する.生物的環境に適応した種子散布様式の一つである貯食散布について復習する.本散布様式は,能動的移動手段を持たない植物が移動手段を持つ動物を利用する散布方法のひとつであり,動物と植物の相互作用の上に成り立つ共生関係であることを復習する.動物は種子という散布体そのものの報酬を求めて,散布体を集めて一時的な集めて貯蔵するが,それらの貯蔵された散布体のごく一部には食べ残しが期待され,そのような食べ残しを前提とした散布であることを理解する. 試験時の参照物持ち込みは不可なので,普段からの復習をしっかりしておくこと.配布プリントについて,シラバスの細目レベルの内容をよく参照しながら予習する.
10 送粉共生における植物と動物の関係 科目の中での位置付け 本コマでは,植物の生物的環境における様々な適応戦略の例として送粉を取り上げる.送粉の仕組みと報酬を巡る動物と植物の論理を解説する.花形態と送粉者の形態について解説し,両者の適応的進化について紹介する.1−2回は環境の定義「主体の外囲」を解説し,それに基づいた生物における環境の特質について概観する.とくに,非生物的環境と生物的環境の2類型,生物的環境における多種多様な生物間相互作用について概観する.3−7回は非生物的環境と生物の適応戦略について,植物についての具体例を紹介する.すなわち,3−5回は海岸環境,高山環境,多雪環境,特殊岩質地環境,渓流環境とそれらの環境に生育する植物の適応例を紹介し,6−7回は植物の種子散布における風や水流を利用した適応例を紹介する.8−13回は生物環境における生物間相互作用とその多様性を紹介する.すなわち,9−10回は動物を利用した種子散布としての周食散布と貯食散布を紹介し,11-13回は送粉における動物と植物の適応戦略とその多様化および進化ついて紹介する.14-15回は,生態学における最も重要かつ基本的な概念であるニッチ(生態的地位)を適応放散や収斂などの具体例を示しながら解説する.
①井上健・湯本貴和『昆虫を誘い寄せる戦略』平凡社,1992年発行,9-42pp.

②井上健・湯本貴和『昆虫を誘い寄せる戦略』平凡社,1992年発行,161-182pp.

③プロクターほか『送粉の自然史』ティンバー出版,1996年発行,plate1-8.井上健・湯本貴和『昆虫を誘い寄せる戦略』平凡社,1992年発行,61-102pp.
コマ主題細目 ① 送粉共生系 ② 植物の論理・動物の論理 ③ 花形態と送粉者
細目レベル ① 最も多様化した植物と動物の相互関係とされる送粉共生系における様々な概念をと実例を紹介する.移動能力を持たない植物は有性生殖の最も基本的な送粉を自力で行うことができない.この送粉を動物に依存するのが送粉共生系であることを解説する.植物は動物に対して報酬を与える必要が有り,動物はその報酬を求めて訪花する.植物が動物に提供する報酬の種類と質について解説する.受粉と送粉について,基礎的な知識を概説する.花形態と果実形態については,葯,雌蕊(柱頭,花柱,子房),胚珠が生長したものが種子,子房へが生長したものが果実であることなどを解説する.受粉とは雄しべの花粉が雌しべ柱頭に付着することであり,送粉とは雄しべの花粉が雌しべの柱頭に移動する過程であることを解説する.そして,送粉の例として,風媒,水面媒,水中媒,動物媒のあることを紹介する.
② 送粉共生系においては,植物には植物の,動物には動物の,それぞれの論理が存在する.それは,進化的な観点から見れば,適応度を上げるという一言に尽きる.適応度は多くの子孫を残すことができる進化上の最も重要な形質である.送粉共生系において動物と植物の適応度について見た場合,適応度を上げるための植物の論理と適応度を上げるための動物の論理とは大きく異なっている.植物と動物の適応度を上げるための論理がどのように異なっているかを解説する.この論理の違いによって,送粉における報酬と効率と言う概念が重要であることを紹介する.そして,論理の違いの帰結の一つとして,相利的な送粉共生が進化する一方で,サルスベリやツユクサのような二型雄ずいの形成,ノボタンやツユクサのような偽葯の形成,マタタビやモッコクのような偽花粉の形成の様な例があることを紹介する.
③ 花形態の多様性は送粉者の多様性と密接に結びついている.鳥媒に適応した花形態,蝶媒に適応した花形態,蛾媒に適応した花形態,ハナバチ媒に適応した花形態,ハナアブ・ハエ媒に適応した花形態,甲虫媒に適応した花形態,コウモリ媒に適応した花形態などについて解説する.送粉者への適用進化と多様化の例として,次の花形態における送粉シンドロームを紹介する.蝶媒:大形,長い雄蘂と雌蘂,赤色,蛾媒:筒状部が発達,夜間に開花,白色,強い芳香,スズメガ媒:蛾媒の特徴に加えて,筒状部がとくに長く,水平に開花,ハナバチ媒:複雑な構造(雄蘂や雌蘂が隠蔽される),甲虫媒:皿状,蜜のないこともある,ハエ媒:腐臭,目立たない色,蜜のないこともある.
キーワード ① 送粉 ② 動物の論理 ③ 植物の論理 ④ 花形態 ⑤ 適応形質
コマの展開方法 社会人講師 AL ICT PowerPoint・Keynote 教科書
コマ用オリジナル配布資料 コマ用プリント配布資料 その他 該当なし
小テスト 「小テスト」については、毎回の授業終了時、manaba上において5問以上の、当該コマの小テスト(難易度表示付き)を実施します。
復習・予習課題 最も多様化した植物と動物の相互関係とされる送粉共生系における様々な概念と実例を復習する.能動的移動能力を持たない植物は有性生殖の最も基本的な送粉を自力で行うことができない.この送粉を動物に依存するのが送粉共生系であることを復習する.植物は動物に対して報酬を与える必要が有り,動物はその報酬を求めて訪花する.植物が動物に提供する報酬の種類と質について復習する.送粉共生系においては,植物には植物の,動物には動物の,それぞれの論理が存在する.それは,進化的な観点から見れば,適応度を上げるという一言に尽きる.送粉共生系においては,適応度を上げるための植物の論理と適応度を上げるための動物の論理とは大きく異なっている.その結果,サルスベリやツユクサのような二型雄ずいの形成,ノボタンやツユクサのような偽葯の形成,マタタビやモッコクのような偽花粉の形成の様な例があることを復習する.花形態の多様性は送粉者の多様性と密接に結びついている.鳥媒に適応した花形態,蝶媒に適応した花形態,蛾媒に適応した花形態,ハナバチ媒に適応した花形態,ハナアブ・ハエ媒に適応した花形態,甲虫媒に適応した花形態,コウモリ媒に適応した花形態などについて復習する.試験時の参照物持ち込みは不可なので,普段からの復習をしっかりしておくこと.配布プリントについて,シラバスの細目レベルの内容をよく参照しながら予習する.
11 様々な花形態と送粉者 科目の中での位置付け 本コマでは,植物の生物的環境における様々な適応戦略の例として送粉を取り上げる.花形態と送粉者の形態について解説し,両者の適応的進化について紹介する.雄蘂,雌蘂,花蜜のありかなどを隠蔽した花における巧妙な送粉戦略を解説する.1−2回は環境の定義「主体の外囲」を解説し,それに基づいた生物における環境の特質について概観する.とくに,非生物的環境と生物的環境の2類型,生物的環境における多種多様な生物間相互作用について概観する.3−7回は非生物的環境と生物の適応戦略について,植物についての具体例を紹介する.すなわち,3−5回は海岸環境,高山環境,多雪環境,特殊岩質地環境,渓流環境とそれらの環境に生育する植物の適応例を紹介し,6−7回は植物の種子散布における風や水流を利用した適応例を紹介する.8−13回は生物環境における生物間相互作用とその多様性を紹介する.すなわち,9−10回は動物を利用した種子散布としての周食散布と貯食散布を紹介し,11-13回は送粉における動物と植物の適応戦略とその多様化および進化ついて紹介する.14-15回は,生態学における最も重要かつ基本的な概念であるニッチ(生態的地位)を適応放散や収斂などの具体例を示しながら解説する.
①井上健・湯本貴和『昆虫を誘い寄せる戦略』平凡社,1992年発行,61-102pp.プロクターほか『送粉の自然史』ティンバー出版,1996年発行,plate1-8.

②プロクターほか『送粉の自然史』ティンバー出版,1996年発行,154-166,182-183pp.井上民二・加藤真『花に引き寄せられる動物 花と送粉者の共進化』平凡社,1993年発行,33-78pp.

③井上健・湯本貴和『昆虫を誘い寄せる戦略』平凡社,1992年発行,61-102pp.井上民二・加藤真『花に引き寄せられる動物 花と送粉者の共進化』平凡社,1993年発行,33-78pp.
コマ主題細目 ① 花形態 ② 送粉者 ③ 隠蔽
細目レベル ① 花形態の多様性は送粉者の多様性と密接に結びついている.鳥媒に適応した花形態,蝶媒に適応した花形態,蛾媒に適応した花形態,ハナバチ媒に適応した花形態,ハナアブ・ハエ媒に適応した花形態,甲虫媒に適応した花形態,コウモリ媒に適応した花形態などについて解説する.送粉者への適用進化と多様化の例として,次の花形態における送粉シンドロームを紹介する.蝶媒:大形,長い雄蘂と雌蘂,赤色,蛾媒:筒状部が発達,夜間に開花,白色,強い芳香,スズメガ媒:蛾媒の特徴に加えて,筒状部がとくに長く,水平に開花,ハナバチ媒:複雑な構造(雄蘂や雌蘂が隠蔽される),甲虫媒:皿状,蜜のないこともある,ハエ媒:腐臭,目立たない色,蜜のないこともある.前回に引き続いて,具体的事例を紹介する.
② 様々な花形態の中には,送粉において最も重要な器官である雄蘂と雌蘂が隠されていたり,さらには蜜のありかがが隠蔽されて外見からは全くわからないものがある.このような花にはごく限られた送粉者のみが訪花する.こうした排他的な花構造を持つことで,植物は訪花者を選択することが可能にことを解説する.さらに,植物によって選択された送粉者は,送粉者間同士の採餌競争から解放されることで餌資源を独占できることを解説する.そして,このような隠蔽型の花への訪花には,花蜜への依存度が非常に高くて学習能力の高い送粉者であることが条件であること,そのような送粉者はハナバチ類にほぼ限定されることを解説する.逆に隠蔽花では,学習能力の低いハナアブ,チョウ,甲虫類などの昆虫は報酬を得るのに時間がかかったりあるいは報酬を得ることができない.
③ 花弁や萼片によって雄しべ,雌しべ,蜜のありかが隠されている隠蔽花の具体的な構造について紹介し,解説する.最も代表的な隠蔽花はマメ科植物の花である.マメ科植物の花は5枚の花弁から成り立っており,旗弁1枚,翼弁2枚,舟弁2枚を持つ.このうち,2枚の舟弁は辺縁で合着して1枚になっている.この舟弁を両側から取り囲むように翼弁が支持している.大形の旗弁は情報に直立してよく目立つ.雄しべと雌しべは舟弁の中に隠されている.雄しべと雌しべに到達するには,ただ一つの方法しか存在せず,それは二枚の翼弁を同時に押し下げることによって達成される.2枚の翼弁は舟ペンと関節構造を持っており,翼弁を押し下げることで関節から伝わった力で舟弁の中の雄しべと雌しべが飛び出すしくみになっている.この巧妙なしくみについて解説する.
キーワード ① 花形態 ② 適応形質 ③ 排他性 ④ 隠蔽 ⑤ 具体例
コマの展開方法 社会人講師 AL ICT PowerPoint・Keynote 教科書
コマ用オリジナル配布資料 コマ用プリント配布資料 その他 該当なし
小テスト 「小テスト」については、毎回の授業終了時、manaba上において5問以上の、当該コマの小テスト(難易度表示付き)を実施します。
復習・予習課題 様々な花形態の中には,最も重要な部分である雄蘂,雌蘂,さらには蜜のありかがが隠蔽されて外見からは全くわからないものがある.このような花には,ごく限られた送粉者のみが訪花する.こうした排他的花構造を持つことで,植物は訪花者を選択することが可能となることを復習する.さらに,植物によって選択された送粉者は,送粉者間同士の競争から解放されることになることを復習する.復習にあたっては井上健・湯本 貴和(編)「シリーズ地球共生系昆虫を誘い寄せる戦略―植物の繁殖と共生」,井上民二・加藤真(編)「シリーズ地球共生系花に引き寄せられる動物―花と送粉者の共進化 」(平凡社)を利用しても良い.試験時の参照物持ち込みは不可なので,普段からの復習をしっかりしておくこと.配布プリントについて,シラバスの細目レベルの内容をよく参照しながら予習する.
12 送粉共生における進化 科目の中での位置付け 本コマでは,植物の生物的環境における様々な適応戦略の例として送粉を取り上げる.雄蘂,雌蘂,花蜜のありかなどを隠蔽した花における巧妙な送粉戦略を解説する.花蜜を報酬としない特殊な送粉様式である絶対送粉共生について解説する.植物の花筒や距の長さと送粉者の口吻の長さが際限なく長くなる共進化について解説する.1−2回は環境の定義「主体の外囲」を解説し,それに基づいた生物における環境の特質について概観する.とくに,非生物的環境と生物的環境の2類型,生物的環境における多種多様な生物間相互作用について概観する.3−7回は非生物的環境と生物の適応戦略について,植物についての具体例を紹介する.すなわち,3−5回は海岸環境,高山環境,多雪環境,特殊岩質地環境,渓流環境とそれらの環境に生育する植物の適応例を紹介し,6−7回は植物の種子散布における風や水流を利用した適応例を紹介する.8−13回は生物環境における生物間相互作用とその多様性を紹介する.すなわち,9−10回は動物を利用した種子散布としての周食散布と貯食散布を紹介し,11-13回は送粉における動物と植物の適応戦略とその多様化および進化ついて紹介する.14-15回は,生態学における最も重要かつ基本的な概念であるニッチ(生態的地位)を適応放散や収斂などの具体例を示しながら解説する.
①井上民二・加藤真『花に引き寄せられる動物 花と送粉者の共進化』平凡社,1993年発行,33-78pp.プロクターほか『送粉の自然史』ティンバー出版,1996年発行,300pp.

②種生物学会編『共進化の生態学』文一総合出版,2008年発行,127-151pp.プロクターほか『送粉の自然史』ティンバー出版,1996年発行,312-314,316-318pp.

③種生物学会編『共進化の生態学』文一総合出版,2008年発行,63-82pp.プロクターほか『送粉の自然史』ティンバー出版,1996年発行,214pp.
コマ主題細目 ① 排他性 ② 絶対送粉共生 ③ ランナウェイ
細目レベル ① 様々な花形態の中には,送粉において最も重要な器官である雄蘂と雌蘂が隠されていたり,さらには蜜のありかがが隠蔽されて外見からは全くわからないものがある.このような花にはごく限られた送粉者のみが訪花する.こうした排他的な花構造を持つことで,植物は訪花者を選択することが可能にことを解説する.さらに,植物によって選択された送粉者は,送粉者間同士の採餌競争から解放されることで餌資源を独占できることを解説する.そして,このような隠蔽型の花への訪花には,花蜜への依存度が非常に高くて学習能力の高い送粉者であることが条件であること,そのような送粉者はハナバチ類にほぼ限定されることを解説する.逆に隠蔽花では,学習能力の低いハナアブ,チョウ,甲虫類などの昆虫は報酬を得るのに時間がかかったりあるいは報酬を得ることができない.
② 送粉者への報酬は花蜜という常識を大きく覆す送粉様式である絶対送粉共生について,その報酬,送粉の仕組み,そしてその進化について紹介する.現在知られている絶対送粉共生は,イチジクの仲間,ユッカの仲間,そしてコミカンソウの仲間の3者である.とくにイチジク属植物は熱帯圏で最も種分化と多様化を極めた植物群として知られていることを紹介することで,絶対送粉共生は例外的な送粉であるが,多様化の面では大きな多様化を遂げている点が特筆されることを解説する.絶対送粉共生系では,植物の種類と送粉者の種類は基本的に一対一に対応関係を持っている.そのため,熱帯圏のイチジク類では,生物多様性の豊かさの一躍を担っていることについても言及する.
③ 植物と送粉者の共進化の特殊な例に,花の距の長さと送粉者の口吻の長さが際限なく長くなる方向に進化するランナウェイ現象が知られている.なぜそのような際限の無い進化が起こるかについて,動物の論理と植物の論理という観点から論考する.ダーウィンが予言したことで有名なマダガスカルのラン科植物の花では,その距の長さが30cmにも達し,そしてこの花を訪花するスズメガの一種はその距の長さに対応した長い口吻を持っている.このラン科植物とスズメガの一種はにおけるランナウエィ現象は,スズメガの特殊な採餌行動によって大きな影響を受けたことを解説する.スズメガは他の鱗翅目昆虫と異なり,ハエ類やアブ類が行う飛翔行動であるホバリング(空中停止飛行)の能力を持っている.このため,スズメガ類は訪花して採餌する際に花に着地することはなくホバリングしながら吸蜜を行う.ランナウェイ現象が起こった鍵がホバリングによる採餌行動にあることを解説する.
キーワード ① 排他性 ② 絶対送粉共生 ③ 動物の論理 ④ 植物の論理 ⑤ ランナウェイ
コマの展開方法 社会人講師 AL ICT PowerPoint・Keynote 教科書
コマ用オリジナル配布資料 コマ用プリント配布資料 その他 該当なし
小テスト 「小テスト」については、毎回の授業終了時、manaba上において5問以上の、当該コマの小テスト(難易度表示付き)を実施します。
復習・予習課題 様々な花形態の中には,最も重要な部分である雄蘂,雌蘂,さらには蜜のありかがが隠蔽されて外見からは全くわからないものがある.このような花には,ごく限られた送粉者のみが訪花する.こうした排他的花構造を持つことで,植物は訪花者を選択することが可能となることを復習する.さらに,植物によって選択された送粉者は,送粉者間同士の競争から解放されることになることを復習する.送粉者への報酬は花蜜という常識を大きく覆す送粉共生である絶対送粉共生系について,その報酬,送粉の仕組み,そしてその進化について復習する.現在知られている絶対送粉共生は,イチジクの仲間,ユッカの仲間,そしてコミカンソウの仲間の3者であるが,とくにイチジク属植物は熱帯圏で最も種分化と多様化を極めた植物群として知られていることを復習する.植物と送粉者の共進化の特殊な例としてのランナウェイ現象について復習する.復習にあたっては井上健・湯本 貴和(編)「シリーズ地球共生系昆虫を誘い寄せる戦略―植物の繁殖と共生」,井上民二・加藤真(編)「シリーズ地球共生系花に引き寄せられる動物―花と送粉者の共進化 」(平凡社)を利用しても良い.試験時の参照物持ち込みは不可なので,普段からの復習をしっかりしておくこと.配布プリントについて,シラバスの細目レベルの内容をよく参照しながら予習する.
13 送粉共生における生物群集 科目の中での位置付け 本コマでは,植物の生物的環境における様々な適応戦略の例として送粉を取り上げる.植物側が動物に報酬をまったく与えずに動物を騙して利用する例を紹介する.多様な植物種の花と多様な送粉昆虫が同様の送粉様式をとることで一つの機能群集を形成している生態的な機能群集(ギルド)について解説する.1−2回は環境の定義「主体の外囲」を解説し,それに基づいた生物における環境の特質について概観する.とくに,非生物的環境と生物的環境の2類型,生物的環境における多種多様な生物間相互作用について概観する.3−7回は非生物的環境と生物の適応戦略について,植物についての具体例を紹介する.すなわち,3−5回は海岸環境,高山環境,多雪環境,特殊岩質地環境,渓流環境とそれらの環境に生育する植物の適応例を紹介し,6−7回は植物の種子散布における風や水流を利用した適応例を紹介する.8−13回は生物環境における生物間相互作用とその多様性を紹介する.すなわち,9−10回は動物を利用した種子散布としての周食散布と貯食散布を紹介し,11-13回は送粉における動物と植物の適応戦略とその多様化および進化ついて紹介する.14-15回は,生態学における最も重要かつ基本的な概念であるニッチ(生態的地位)を適応放散や収斂などの具体例を示しながら解説する.
①河野昭一監修『植物の世界第2号』教育社,1987年発行,66-71pp.プロクターほか『送粉の自然史』ティンバー出版,1996年発行,205-208,294,300-303pp.

②井上民二・加藤真『花に引き寄せられる動物 花と送粉者の共進化』平凡社,1993年発行,103-186pp.

③井上健・湯本貴和『昆虫を誘い寄せる戦略』平凡社,1992年発行,161-182pp.
コマ主題細目 ① 騙し花 ② ギルド ③ スペシャリスト
細目レベル ① 送粉共生における動物の論理と植物の論理は大きく異なるため,ときには植物側が動物に報酬をまったく与えずに動物を騙して利用する例がみられる.トラップフラワーなどがその代表例であることを紹介する.具体的な例として,テンナンショウ属,ウマノスズクサ科,ハートカズラ属などを紹介する.なかでもテンナンショウのトラップフラワーは送粉者に対する容赦ない利用の仕方が注目される.植物の論理についてあらためて納得を迫るこの興味深い送粉様式について解説する.また,非常に特殊化した地中海の偽交尾花についても紹介する.こうした騙し花は隠蔽型の花とは異なり,花蜜への依存度が低くて学習能力の低い送粉者に対して有効であることを解説する.
② 複数種が一つの機能群としてまとまる生物間相互作用である生態的な機能群集(ギルド)について考察する.例えば,ハナバチ媒の花構造を持つ多数の植物種群と多数のハナバチ種群とが一つの送粉様式の機能群を形成している場合である.トチノキ1種に対して,ミツバチ,ヒゲナガハナバチ,コナハバチ,ヒメハナバチが訪花する場合や,トチノキ,エゴノキ,ハクウンボクなどにミツバチが訪花する場合に見られる関係である.ほかにも,蝶媒の花を持つ植物種群と多数の蝶種群とが一つの機能群となる場合,蛾媒の花を持つ植物種群と多数の蛾種群とが一つの機能群となる場合,甲虫媒の花を持つ植物種群と多数の甲虫種群とが一つの機能群となる場合などを挙げることができる.機能群集を生態学ではギルドと呼んでいる.送粉共生系におけるギルドについて解説する.
③ 花の多様化の一つの方向は,ハナバチ媒に見られる隠蔽花の例やイチジク属植物に見られる絶対送粉共生の例が示すように両者が密接に関係しながらの特殊化が著しい.一方で,そのような特殊化の方向性を持たず,できるだけ多様な送粉者を受け入れるという植物側の進化の方向性も存在する.送粉共生における特殊化と非特殊化という二つの進化について考察する.植物群集と送粉者群集の共進化には,おおきく二つの方向性を認めることができる.すでに述べたように特殊化と非特殊化である.前者は植物も送粉者もお互いに相手を選ぶという進化方向であり,ときには絶対送粉共生やランナウェイ現象を産み出す.一方,非特殊化においては,相手を選ばないという進化が起こっておりそのことは特殊化への進化を制限していると考えられる.この特殊化=スペシャリスト,非特殊化=ジェネラリストのそれぞれの進化について論考する.
キーワード ① 騙し花 ② ギルド ③ スペシャリスト ④ ジェネラリスト ⑤ 送粉共生
コマの展開方法 社会人講師 AL ICT PowerPoint・Keynote 教科書
コマ用オリジナル配布資料 コマ用プリント配布資料 その他 該当なし
小テスト 「小テスト」については、毎回の授業終了時、manaba上において5問以上の、当該コマの小テスト(難易度表示付き)を実施します。
復習・予習課題 送粉共生系において,動物の論理と植物の論理は大きく異なるため,ときには植物側が動物に報酬を与えずにだまして利用する例がみられる.トラップフラワーなどがその代表例であることを復習する.代表的な例として,テンナンショウ属,ウマノスズクサ科,ハートカズラ属などを復習する.また,非常に特殊化した地中海の偽交尾花についても復習する.多様な植物種の花と多様な送粉昆虫が,同様の送粉様式において一つの機能群集を形成している場合がある.例えば,ハナバチ媒の花を持つ種群とハナバチと同様の送粉行動を行う昆虫の種群とが一つの機能群となる場合である.このように複数種が一つの機能群としてまとまる生物間相互作用について復習する.花の多様化の一つの方向はハナバチバイに見られる隠蔽花やイチジク属植物に見られる絶対送粉共生で有り,両者が密接に関係しながらの特化傾向が著しい.一方で,そのような特化傾向を持たず,できるだけ多様な送粉者を受け入れるという進化傾向も存在する.両者の進化について復習する.復習にあたっては井上健・湯本 貴和(編)「シリーズ地球共生系昆虫を誘い寄せる戦略―植物の繁殖と共生」,井上民二・加藤真(編)「シリーズ地球共生系花に引き寄せられる動物―花と送粉者の共進化 」(平凡社)を利用しても良い.試験時の参照物持ち込みは不可なので,普段からの復習をしっかりしておくこと.配布プリントについて,シラバスの細目レベルの内容をよく参照しながら予習する.
14 ニッチ概念と適応放散 科目の中での位置付け 本コマでは,生態学における最も基本的かつ重要な概念であるニッチ(生態的地位)について解説する.ニッチ概念による競争と共存についての理解を深める.ニッチ概念に基づいた適応放散とその具体例としての放散的種分化についての理解を深める.1−2回は環境の定義「主体の外囲」を解説し,それに基づいた生物における環境の特質について概観する.とくに,非生物的環境と生物的環境の2類型,生物的環境における多種多様な生物間相互作用について概観する.3−7回は非生物的環境と生物の適応戦略について,植物についての具体例を紹介する.すなわち,3−5回は海岸環境,高山環境,多雪環境,特殊岩質地環境,渓流環境とそれらの環境に生育する植物の適応例を紹介し,6−7回は植物の種子散布における風や水流を利用した適応例を紹介する.8−13回は生物環境における生物間相互作用とその多様性を紹介する.すなわち,9−10回は動物を利用した種子散布としての周食散布と貯食散布を紹介し,11-13回は送粉における動物と植物の適応戦略とその多様化および進化ついて紹介する.14-15回は,生態学における最も重要かつ基本的な概念であるニッチ(生態的地位)を適応放散や収斂などの具体例を示しながら解説する.
①日本生態学会編『生態学入門第2版』東京化学同人,2012年発行,139-141pp.

②井上健・湯本貴和『昆虫を誘い寄せる戦略』平凡社,1992年発行,96-98pp.

③日本生態学会編『生態学入門第2版』東京化学同人,2012年発行,139-141pp.井上健・湯本貴和『昆虫を誘い寄せる戦略』平凡社,1992年発行,96-98pp.
コマ主題細目 ① ニッチ概念 ② 適応放散 ③ 具体例
細目レベル ① 生態学の出発点となる基本的な概念であるニッチ(生態的地位)について解説する.ニッチ(生態的地位)とは何か,そしてどのようなものがニッチ(生態的地位)であるかを具体例を挙げて紹介する.ニッチ(生態的地位)概念の導入によって,生物間の相互関係に関する研究が飛躍的に進むことになったことを解説する.ニッチ(生態的地位)の概念によって,個体間の生物間相互作用や種間の生物間相互作用をより正確により科学的に把握することができるようになったことについて解説する.ニッチ(生態的地位)は時間と空間の両方をも含んだ概念であること,この概念を用いることで生物の各種群がどのような資源を利用しているかを具体的に考察することができることなどを紹介する.
② 適応放散の概念を説明し,さらにその具体例である放散的種分化についてニッチの観点から解説する.なぜ種が分化するのか,なぜ多様化が起こるのか,などの様々な進化について,さまざまな具体例を紹介し,ニッチの観点からの論考を行う.そのことによってニッチ概念への正確な理解を行う.例えば,恐竜の絶滅はその後の哺乳類の発展に大きく寄与した.つまり,恐竜の絶滅によってそれまで恐竜に占められていた多数のニッチが空くことによって,哺乳類がそれらの空きニッチに進出することで様々な適応的な進化が起こり,そして放散的に種分化が起こったと考えられることを紹介する.ある生物群の大量絶滅がその後に生き残った生物に空きニッチを提供することで,進化が加速されるという現象はニッチの概念を導入することでうまく説明できることを解説する.
③ 適応放散の例として,ダーウィンフィンチの例13種について,その嘴の形態と餌ニッチの関係について紹介する.適応放散の例として,真獣類の例を紹介する.ヒョウは森林環境で単独で狩りをする肉食獣としてのニッチを占める,オオカミは草原環境で集団で狩りをする肉食獣としてのニッチを占める,アリクイはシロアリなどの昆虫を専門に食べる昆虫食獣としてのニッチを占める.ネズミは夜行性で草原や森林の地表付近を行動して昆虫や植物などの雑食者としてのニッチを占める,モモンガ夜行性で森林の樹上を行動して昆虫や植物などの雑食者としてのニッチを占める.同様に,オーストラリア大陸の有袋類の例を紹介する.フクロネコは森林環境で単独で狩りをする肉食獣としてのニッチを占める,絶滅種のフクロオオカミは草原環境で狩りをする肉食獣としてのニッチを占めていた,フクロアリクイはシロアリなどの昆虫を専門に食べる昆虫食獣としてのニッチを占める.フクロネズミは夜行性で草原や森林の地表付近を行動して昆虫や植物などの雑食者としてのニッチを占める,フクロモモンガ夜行性で森林の樹上を行動して昆虫や植物などの雑食者としてのニッチを占める.
キーワード ① ニッチ ② 競争 ③ 概念 ④ 資源 ⑤ 適応
コマの展開方法 社会人講師 AL ICT PowerPoint・Keynote 教科書
コマ用オリジナル配布資料 コマ用プリント配布資料 その他 該当なし
小テスト 「小テスト」については、毎回の授業終了時、manaba上において5問以上の、当該コマの小テスト(難易度表示付き)を実施します。
復習・予習課題 生態学の出発点となる基本的な概念であるニッチ概念について復習する.ニッチとは何か,具体的にどのようなモノがニッチか,について具体例を挙げて復習する.ニッチ概念の導入によって,生物間の相互関係に関する研究が飛躍的に進むことになったことを復習する.ニッチの概念によって,個体間の生物間相互作用,種間の生物間相互作用をより正確に,より科学的に把握することができるようになったことについて復習する.放散的種分化を具体例を挙げて説明する.生物進化でしばしば復習される放散的種分化について,ニッチ概念を導入して復習し,その理解を深める.なぜ進化が起こるのか,なぜ種分化が起こるのか,なぜ多様化が起こるのか,あるいはその逆になぜ多様化が起こらないのか,などについて,さまざまな例を復習しながら復習を行う.そのことによってニッチ概念への正確な理解を行う.復習にあたっては,巌佐庸・菊沢喜八郎・松本忠夫ほか(編)「生態学事典」(共立出版),巌佐庸・倉谷滋・斎藤成也ほか(編)「岩波生物学辞典第5版」(岩波書店),M. Begon, J.L.Harper & C.R. Townsend(著)/堀道雄(監訳)/神崎護・幸田正典・増田貞滋(訳)「生態学―個体から生態系へ」(京都大学学術出版会),日本生態学会(編集)「生態学入門第二版」(東京化学同人),原登志彦(監修)/西村尚之・若土もえ(著)「大学生のための生態学入門」(共立出版)を利用しても良い.試験時の参照物持ち込みは不可なので,普段からの復習をしっかりしておくこと.配布プリントについて,シラバスの細目レベルの内容をよく参照しながら予習する.
15 ニッチ概念と収斂 科目の中での位置付け 本コマでは,生態学における最も基本的かつ重要な概念であるニッチ(生態的地位)について解説する.ニッチ概念に基づいた適応放散とその具体例としての放散的種分化についての理解を深める.ニッチ概念に基づいて収斂への理解を深める.1−2回は環境の定義「主体の外囲」を解説し,それに基づいた生物における環境の特質について概観する.とくに,非生物的環境と生物的環境の2類型,生物的環境における多種多様な生物間相互作用について概観する.3−7回は非生物的環境と生物の適応戦略について,植物についての具体例を紹介する.すなわち,3−5回は海岸環境,高山環境,多雪環境,特殊岩質地環境,渓流環境とそれらの環境に生育する植物の適応例を紹介し,6−7回は植物の種子散布における風や水流を利用した適応例を紹介する.8−13回は生物環境における生物間相互作用とその多様性を紹介する.すなわち,9−10回は動物を利用した種子散布としての周食散布と貯食散布を紹介し,11-13回は送粉における動物と植物の適応戦略とその多様化および進化ついて紹介する.14-15回は,生態学における最も重要かつ基本的な概念であるニッチ(生態的地位)を適応放散や収斂などの具体例を示しながら解説する.
①日本生態学会編『生態学入門第2版』東京化学同人,2012年発行,139-141pp.

②D.J.フチーマ『進化生物学第3版』Sinauer Associates Inc.,1998年発行,221, Plate9pp.

③日本生態学会編『生態学入門第2版』東京化学同人,2012年発行,139-141pp.D.J.フチーマ『進化生物学第3版』Sinauer Associates Inc.,1998年発行,221, Plate9pp.
コマ主題細目 ① ニッチ概念 ② ニッチ分割 ③ 収斂
細目レベル ① 生態学の出発点となる基本的な概念であるニッチ(生態的地位)について解説する.ニッチ(生態的地位)とは何か,そしてどのようなものがニッチ(生態的地位)であるかを具体例を挙げて紹介する.ニッチ(生態的地位)概念の導入によって,生物間の相互関係に関する研究が飛躍的に進むことになったことを解説する.ニッチ(生態的地位)の概念によって,個体間の生物間相互作用や種間の生物間相互作用をより正確により科学的に把握することができるようになったことについて解説する.ニッチ(生態的地位)は時間と空間の両方をも含んだ概念であること,この概念を用いることで生物の各種群がどのような資源を利用しているかを具体的に考察することができることなどを紹介する.前回に続いて,解説を行う.
② なぜ種が分化するのか,なぜ多様化が起こるのか,などの様々な進化について,さまざまな具体例を紹介し,ニッチの観点からの論考を行う.そのことによってニッチ概念への正確な理解を行う.生物進化でしばしば紹介される収斂現象について,ニッチ概念を導入して解説し,その理解を深める.適応放散ではなぜ種分化が起こるのかなぜ多様化が起こるのかについての論考をしたが,ここでは異なる生物群においてなぜ収斂が起こるのか,なぜ全く違った時と場所で収斂が起こるのかについて論考する.このような進化現象を理解するうえで,ニッチの概念は非常に有益であること,そして生態学に限らず進化学の研究を進める上でも大きな力となることを解説する.
③ 収斂の具体例を解説する.アジアや南米大陸では,ヤマネコは森林環境で単独で狩りをする肉食獣としてのニッチを占める,オオカミは草原環境で集団で狩りをする肉食獣としてのニッチを占める,アリクイはシロアリなどの昆虫を専門に食べる昆虫食獣としてのニッチを占める.ネズミは夜行性で草原や森林の地表付近を行動して昆虫や植物などの雑食者としてのニッチを占める,モモンガは夜行性で森林の樹上を行動して昆虫や植物などの雑食者としてのニッチを占める.同様に,オーストラリア大陸の有袋類の例を紹介する.フクロネコは森林環境で単独で狩りをする肉食獣としてのニッチを占める,絶滅種のフクロオオカミは草原環境で狩りをする肉食獣としてのニッチを占めていた,フクロアリクイはシロアリなどの昆虫を専門に食べる昆虫食獣としてのニッチを占める.フクロネズミは夜行性で草原や森林の地表付近を行動して昆虫や植物などの雑食者としてのニッチを占める,フクロモモンガ夜行性で森林の樹上を行動して昆虫や植物などの雑食者としてのニッチを占める.オーストラリアとアジア大陸のこれら二つの例は,収斂現象であることを解説する.
キーワード ① ニッチ ② 適応放散 ③ 収斂 ④ 資源 ⑤ 適応
コマの展開方法 社会人講師 AL ICT PowerPoint・Keynote 教科書
コマ用オリジナル配布資料 コマ用プリント配布資料 その他 該当なし
小テスト 「小テスト」については、毎回の授業終了時、manaba上において5問以上の、当該コマの小テスト(難易度表示付き)を実施します。
復習・予習課題 生態学の出発点となる基本的な概念であるニッチ概念について復習する.ニッチとは何か,具体的にどのようなモノがニッチか,について具体例を挙げて復習する.ニッチ概念の導入によって,生物間の相互関係に関する研究が飛躍的に進むことになったことを復習する.ニッチの概念によって,個体間の生物間相互作用,種間の生物間相互作用をより正確に,より科学的に把握することができるようになったことについて復習する.生物進化でしばしば復習される収斂現象について,ニッチ概念を導入して復習し,その理解を深める.適応放散において学習した内容のなぜ進化が起こるのか,なぜ種分化が起こるのか,なぜ多様化が起こるのかについての復習をもとに,なぜ異なる生物において収斂が起こるのか,なぜ全く違った場所で収斂が起こるのかについて復習する復習にあたっては,巌佐庸・菊沢喜八郎・松本忠夫ほか(編)「生態学事典」(共立出版),巌佐庸・倉谷滋・斎藤成也ほか(編)「岩波生物学辞典第5版」(岩波書店),M. Begon, J.L.Harper & C.R. Townsend(著)/堀道雄(監訳)/神崎護・幸田正典・増田貞滋(訳)「生態学―個体から生態系へ」(京都大学学術出版会),日本生態学会(編集)「生態学入門第二版」(東京化学同人),原登志彦(監修)/西村尚之・若土もえ(著)「大学生のための生態学入門」(共立出版),井上健・湯本 貴和(編)「シリーズ地球共生系昆虫を誘い寄せる戦略―植物の繁殖と共生」を利用しても良い. 試験時の参照物持ち込みは不可なので,普段からの復習をしっかりしておくこと.
履修判定指標
履修指標履修指標の水準キーワード配点関連回
ニッチ ニッチ(生態的地位)は,生態学における最も重要かつ基本的な概念である.この概念の登場により,従来は曖昧にしか認知できなかった様々な生物間の相互関係についての科学的な認識と理解が進むようになった.このニッチという概念の内容をできるだけ正確に説明できることとその概念を理解できること,そして適応放散や収斂などの適応進化の様々な具体例を挙げて説明できることが重要である.ニッチ概念の導入によって,生物間同士における競争関係または共存関係を明確化できるようになった理由を説明できること. ニッチ,生物的環境,非生物的環境

20 1-15
海岸・高山・多雪環境への適応 非生物的環境への適応について,具体的例を挙げて説明できる.非生物的環境には様々なものがある.高山環境,海岸環境,多雪環境,それぞれの非生物環境の特性を列記することができ,さらにそのような各特性への植物の適応例を具体的に説明することができる.固着生活を行う植物は,その生涯で一度だけ種子散布の際に移動の機会を有する.植物が種子散布に利用する非生物的環境とそれらへの適応例を具体的に解説することができる. 環境,耐性,適応,海岸,高山,多雪 20 3-4
特殊岩質地・渓流環境への適応 非生物的環境への適応について,具体的例を挙げて説明できる.非生物的環境には様々なものがある.特殊岩質地環境,渓流環境について,それぞれの非生物環境の特性を列記することができ,さらにそのような各特性への植物の適応例を具体的に説明することができる.固着生活を行う植物は,その生涯で一度だけ種子散布の際に移動の機会を有する.植物が種子散布に利用する非生物的環境とそれらへの適応例を具体的に解説することができる. 環境,耐性,適応,特殊岩質地,渓流 20 4-5
種子散布 非生物的環境と生物的環境への適応について,具体的例を挙げて説明できる.固着生活を行う植物は,その生涯で一度だけ種子散布の際に移動の機会を有する.植物が種子散布に利用する非生物的環境と生物的環境とそれらへの適応例を具体的に解説することができる.自動散布,風散布,水流散布,付着散布,周食散布,貯食散布,アリ散布の特徴と具体的な事例を解説できる.とくに,周食散布における鳥類との関係や貯食散布における齧歯類との関係について説明することができる. 種子散布,自動散布,風散布,水流散布,周食散布,付着散布,貯食散布,アリ散布 20 6-9
送粉共生 生物的環境への適応について,具体的例を挙げて説明できる.送粉共生系において,植物と送粉動物はお互いに密接な関係を持つ.その際の植物の論理と動物の論理とは,互いに異なっていることを説明することができる.しかし,特定の植物と特定の送粉者との間では両者の利害と論理が一致し,その場合にはお互いの適応進化をより強化する場合のあることを説明できる.鳥媒,蛾媒,ハナバチ媒,鳥媒,コウモリ媒などの各種の送粉様式のける花形態の特徴を解説できる.絶対送粉共生について,その内容を解説できる. 送粉,絶対送粉共生,採餌,送粉様式 20 10-13
評価方法 試験による。試験時の参照物の持ち込みは不可。 *成績発表後、教務課にて試験・レポートに関する総評が閲覧できます。
評価基準 評語
    学習目標をほぼ完全に達成している・・・・・・・・・・・・・ S (100~90点)
    学習目標を相応に達成している・・・・・・・・・・・・・・・ A (89~80点)
    学習目標を相応に達成しているが不十分な点がある・・・・・・ B (79~70点)
    学習目標の最低限は満たしている・・・・・・・・・・・・・・ C (69~60点)
    学習目標の最低限を満たしていない・・・・・・・・・・・・・ D (60点未満)
教科書 使用しない.適宜配布プリントを使用.
参考文献 生態学入門第2版(東京化学同人,2,800円),改訂視覚でとらえるフォトサイエンス生物図録 (数研出版,920円),ニュートンムック植物の世界(樹木編,草本編上,草本編下)(良書だが,絶版のため古書での入手になる)
実験・実習・教材費 不要