区分 (生)フィールド生態科目 フィールド生態共通科目 (環)環境データサイエンス科目 環境情報科目 環境情報基本科目
ディプロマ・ポリシーとの関係
専門性 理解力 実践力
カリキュラム・ポリシーとの関係
専門知識 教養知識 思考力
実行力
カリキュラム全体の中でのこの科目の位置づけ
個人・社会・自然が直面する課題に対して専門的な理解を深めると共に、学際的な柔軟性を有し、実践的な能力を有する。
科目の目的
卒業研究のみならず、大学生活において数値を取り扱う場面は多くある。また、学科や領域に関わらず、数学の基礎知識と技術の習得は、実験、実習等で得る測定値のデータ処理、数値解析を将来行うにあたって必要不可欠である。本講義では、上記の通り、数学の基礎知識と技術の習得を目的とする。特に数値計算、統計的な処理、物理単位・有効数字の取り扱い、表とグラフの活用を適切に行えるよう、理解を深める。PCを積極的に活用し、数値計算に関する感覚を養う。
到達目標
数量の扱い、計算方法、数量の比較に関する基礎知識と技術を習得する。
科目の概要
本講義では、数値解析の基礎を、回を追って段階的に展開していく。第1回の講義では、クラス分けテストを実施する。第2回の講義では、数と量、有理数と無理数、関数、計算法の基本を理解し、指数表記、キロ、ミリ、マイクロなどの接頭語、百万分率(ppm)などに慣れる。第3回の講義では、有効数字という考え方を理解し、有効数字を考慮した計算法を習得する。また、数の考え方として数列とΣ(シグマ)計算を学ぶ。第4回の講義では、未知数を求める方法の基礎として一次方程式と連立方程式の解法を学ぶ。第5回の講義では、未知数を求める方法の応用として不等式の性質と解法を学ぶ。第6回の講義では、数量と数量の関係として、データ間の相関を表す方法のひとつである一次関数を学ぶ。第7回の講義では、フィールド生態学科の学びで用いる数学について学ぶ。第8回の講義では、数量の扱いの基本について、例題を用いて演習を行う。第9回の講義では、指数、指数関数の理解、指数を含む数の加減乗除算計算、ネイピア数の意味や扱い方を学ぶ。第10回の講義では、通常の数と対数との関係、対数同士の演算について学ぶ。第11回の講義では、データを表としてまとめることと線形目盛の2次元直交座標に記点する方法を学び、対数目盛も理解する。第12回の講義では、対数や指数の数直線と図の記述について学ぶ。第13回の講義では、平均値と中央値の意味と算出方法を学ぶ。値のバラツキの程度の指標として、分散や標準偏差の算出方法を学ぶ。第14回の講義では、二種類のデータ間の相関についても学ぶとともに、クロス集計表の作成方法を学ぶことでデータの活用法を理解する。第15回の講義では、全般にわたる演習問題を行い、理解を確実なものにする。
第2回の講義から第6回までの講義を数量の扱いの基本として第1部に位置づけ、第9回の講義から第12回の講義を数値表示の基本として第2部に位置づけ、第13回の講義と第14回の講義を数値データの集まりの扱い方として第3部と位置付ける。第7回の講義は学びの方向付けし、第8回と第15回講義は学びの確認と位置付ける。

科目のキーワード
①有効数字 ②指数表示 ③接頭語 ④対数 ⑤総和 ⑥平均 ⑦標準偏差
授業の展開方法
講義では、テキストと教員が作成した資料を用いる。配布資料は、ワードやパワーポイントによって作成されたテキストの解法を中心とした資料で、教員がスクリーンに投影しながら解説する。また、黒板への板書も併用する。講義時間中に練習問題へも取り組み、講義毎に小テストをおこなうことで進捗の確認を行う。練習問題を各自で解いた後に、すぐに教員から回答例や解説を受けることで、学生は当該箇所を確認しながら授業に参加し、理解を深めることができる。
オフィス・アワー
【月曜日】2時限目・昼休み(後期のみ)、【火曜日】2時限目・昼休み(後期のみ)、【木曜日】昼休み
科目コード ENS210
学年・期 1年・後期
科目名 基礎数学
単位数 2
授業形態 講義
必修・選択 必修
学習時間 【授業】90分×15 【予習】90分以上×15 【復習】90分以上×15
前提とする科目 なし
展開科目 統計プログラミング実習、統計処理法、環境気象学、地理情報処理法、環境適応型農業
関連資格 なし
担当教員名 森岡伸介
主題コマシラバス項目内容教材・教具
1 プレースメントテスト 科目の中での位置付け 本講義では、数値解析の基礎となる次の3項目について講義と演習を行う。具体的には、第2回の講義から第6回までの講義にかけては、数量の扱いの基本として、四則演算、有効数字、数学的表記、関数、方程式、不等式の取り扱いの習得を目的として展開される(第1部)。第9回の講義から第12回の講義にかけては、数値表示の基本として指数と対数、指数と対数を含む数の加減乗除算計算、ネイピア数、データの作図方法の習得する(第2部)。第13回の講義と第14回の講義にかけては、数値データの集まりの扱い方として、統計の基礎である平均値、標準偏差の計算法とデータの整理、表とグラフ作成と活用法を習得する(第3部)。第7回の講義では、今後のフィールド生態学科での学びでの数学の使用方法などを説明し、今後の学びの方向づけを行う。第8回講義と第15回講義は、ここまでの学びの確認のための演習を実施する。
今回では、学生の現状を把握してフィットした講義内容を展開することを目的とし、四則演算、べき乗の計算、単位換算、指数と対数の理解を問うプレースメントテストを実施する。

① 人間環境大学「基礎数学のコマシラバス」2022年、全ページ
② 芦田宏直著「シラバス論:大学の時代と時間、あるいは〈知識〉の死と再生について」晶文社、2019年、30-43、184-190項
③ プレースメントテスト(試験問題を配布)
コマ主題細目 ① 基礎数学の概要 ② 基礎数学のプレースメントテストについて ③ プレースメントテスト
細目レベル ① 卒業研究のみならず、大学生活において数値を取り扱う場面は多くある。また、学科や領域に関わらず、数学の基礎知識と技術の習得は、実験、実習等で得る測定値のデータ処理、数値解析を将来行うにあたって必要不可欠である。本講義では、上記の通り、数学の基礎知識と技術の習得を目的とする。特に数値計算、統計的な処理、物理単位・有効数字の取り扱い、表とグラフの活用を適切に行えるよう、理解を深める。関数電卓を積極的に活用し、数値計算に関する感覚を養う。具体的には、第2回の講義から第6回までの講義にかけては、数量の扱いの基本として、四則演算、有効数字、数学的表記、関数、方程式、不等式の取り扱いの習得を目的として展開される(第1部)。第9回の講義から第12回の講義にかけては、数値表示の基本として指数と対数、指数と対数を含む数の加減乗除算計算、ネイピア数、データの作図方法の習得する(第2部)。第13回の講義と第14回の講義にかけては、数値データの集まりの扱い方として、統計の基礎である平均値、標準偏差の計算法とデータの整理、表とグラフ作成と活用法を習得する(第3部)。第7回の講義では、今後のフィールド生態学科での学びでの数学の使用方法などを説明し、今後の学びの方向づけを行う。第8回講義と第15回講義は、ここまでの学びの確認のための演習を実施する。この通り、本講義での学びについておさえる。
② 細目レベル①でおさえた通り、本科目では基礎から回を追って段階的に学びを深めていくことで、最終的にデータの整理のスキルを身につけることになる。しかし、学生個人の学問領域への興味や、これまでの教育で得た知識には個人差が存在する。そのため、授業展開の速度を一定とした場合、その理解度にはばらつきが生じる恐れがある。すなわち、学びについてゼロから始めることは、学生の利益になり得ない可能性がある。この状況を鑑み、本科目ではプレースメントテスト(実力テスト)を実施し、履修学生の現在の数学力の確認を行う。プレースメントテストの結果は、講義内容を履修学生の理解度にフィットした内容に調整するための資料とし、参考資料として個別指導の際にも用いる。
③ プレースメントテストは、制限時間60分間として実施する。ここでは、四則演算、べき乗の計算、単位換算、指数と対数の理解を問うこととする。この結果をもとに2つのクラスに分けることとする。第2回目以降の講義では、それぞれ教室が異なることに注意すること。なお、このプレースメントテストは、細目レベル②で示した通り、現状を把握して、学生によりフィットした講義内容を展開することを目的として実施される。また、コマシラバスの記載で分かるように、到達目標は全クラス共通である。すなわち、どちらのクラスに配置されたとしても、学生の満足度の面において公平性は保たれることをおさえる。なお、このプレースメントテストによる各得点数は、クラス分けのみに対応しており、期末試験の点数に加点もしくは減点されるものではない。
キーワード ① 数学 ② 理解度 ③ プレースメントテスト ④ 60分間 ⑤ 授業満足度
コマの展開方法 社会人講師 AL ICT PowerPoint・Keynote 教科書
コマ用オリジナル配布資料 コマ用プリント配布資料 その他 該当なし
小テスト 「小テスト」については、毎回の授業終了時、manaba上において5問以上の、当該コマの小テスト(難易度表示付き)を実施します。
復習・予習課題 復習:今回のプレースメントテストにより、自身の得意・不得意箇所を把握する。それを、そのままにすることなく、得意箇所も含めて見直すことが必要である。つまり、基礎数学において、反復練習は最も重要と言える。これは、理解を深めると同時に、計算へ慣れることができるためである。講義中は、一度説明をした後に各自が練習問題を解き、その後に講義担当教員が解答や解説を示す。しかし、わからなかった問題について、聞いて納得したつもりでも、いざ自分で解こうとすると、必ずしも解けるとは限らない。このようなことを防ぐために、練習問題のプリントを配布する。これを、各自が自宅もしくは大学での空きコマ中に自力で解答することで、真の意味で理解できたといえる。今回に関しては、特に復習課題は設けていないが、各自でプレースメントテストにおいて難しいと感じた問題について、解法を調べておくこと。
予習:単位の接頭語を学ぶため、身近で用いている単位をノートにまとめる。

2 数量の扱いの基本(1)指数表記と分率 科目の中での位置付け 本講義では、数値解析の基礎となる次の3項目について講義と演習を行う。具体的には、第2回の講義から第6回までの講義にかけては、数量の扱いの基本として、四則演算、有効数字、数学的表記、関数、方程式、不等式の取り扱いの習得を目的として展開される(第1部)。第9回の講義から第12回の講義にかけては、数値表示の基本として指数と対数、指数と対数を含む数の加減乗除算計算、ネイピア数、データの作図方法の習得する(第2部)。第13回の講義と第14回の講義にかけては、数値データの集まりの扱い方として、統計の基礎である平均値、標準偏差の計算法とデータの整理、表とグラフ作成と活用法を習得する(第3部)。第7回の講義では、今後のフィールド生態学科での学びでの数学の使用方法などを説明し、今後の学びの方向づけを行う。第8回講義と第15回講義は、ここまでの学びの確認のための演習を実施する。
今回では、第1部の数量の扱いの基本として、四則演算、有効数字、数学的表記、関数、方程式、不等式の取り扱いを理解する。今回では、第1部の基礎として、数と量、有理数と無理数、関数、計算法の基本を理解し、また、指数表記、キロ、ミリ、マイクロなどの接頭語、百万分率(ppm)などに慣れる。

【教材】 ① コマ用オリジナル資料pp. 1-8、丸本嘉彦ら「数学プライマリー」、学術図書出版社、2020年、pp. 1-4② コマ用オリジナル資料p. 7-8、丸本嘉彦ら「数学プライマリー」、学術図書出版社、2020年、pp. 1-4③ コマ用オリジナル資料p. 9-10、丸本嘉彦ら「数学プライマリー」、学術図書出版社、2020年、pp. 1-4 ④ コマ用オリジナル資料pp.9-10 ⑤ コマ用オリジナル資料p. 10
【参考】 ① 高橋一雄「もう一度 高校数学」、日本実業出版、2009年、pp. 12-27 ② 高橋一雄「もう一度 高校数学」、日本実業出版、2009年、pp. 114-115 ③ 高橋一雄「もう一度 高校数学」、日本実業出版、2009年、pp. 116-117. ④ 村上道夫ら「基準値のからくり」、講談社、2014年、pp. 135-140 ⑤ 村上道夫ら「基準値のからくり」、講談社、2014年、pp. 200-202
コマ主題細目 ① 有理数と無理数 ② べき乗 ③ 指数表記 ④ 接頭語 ⑤ 分率
細目レベル ① 数の分類として、正の整数、分数、負の整数、少数、ゼロ、無理数、虚数などが挙げられる。ここで、有理数と無理数を大きく分けると、以下のようになる。分数a / bのa、bが整数のとき、その値は整数、有限小数または循環小数となる。このように、整数比の分数で表される数を有理数と呼ぶ。言い換えると、分子・分母ともに整数であるような分数と言える。これに対し、整数比の分数で表すことのできない数が無理数である。この違いをおさえる。次に、四則演算には決まりがあり、これを守らなければ、正答を得られない。1. 乗除算を先に行う。A+B×Cの場合、B×Cを先に行いその結果をAに加える。A−B÷Cの場合、B÷Cを先に行いその結果をAから減ずる。2. 加減算を先に行うときは括弧をつける。C×(A−B)の場合、A−Bを先に行い、その結果にCをかける。3. 交換法則とは、加算(足し算)と乗算(かけ算)の場に成立する。A+B=B+A、A×B=B×Aとなる。負の数を考えると減算(ひき算)を加算として扱うことができる。A、B、Cを正の数とすると、A−B≠B−Aだが、A+(−B)= (−B) +Aとなる。4. 結合法則は、四則演算(加減乗除算)のすべてについて成立する。A×B×C= A×(B×C)、(A×B)×C= A×(B×C)、(A×B)÷C= A×(B÷C)、A+(B+C)= (A+B)+Cとなる。5. 分配法則は四則演算のすべてについて成立する。A×(B+C)= (A×B)+(B×C)、A×C−B×C=(A−B)×Cとなる。以上を基礎としておさえる。
② べき乗計算の計算は、底(てい)およびべき指数と呼ばれる2つの数によって定まる。例として、A^5の場合、Aは「底」となり、5は「べき指数」である。A^5とは、 A × A × A × A ×Aを計算することになり、Aを5回掛けることになる。例えば、5^5とは、 5 × 5× 5× 5× 5を計算することになり、3,125になる。なお、5^0は1となるが、今回の講義では0乗の考え方までは触れないこととする。この後の第9回の講義「数値表示の基本(1)指数関数とネイピア数」において、具体的な計算方法を学ぶことになるが、今回の講義では、計算の方法をおさえることとする。べき乗計算と加減乗除算が混じった場合、べき乗計算も乗除算のひとつとして、計算の順序を考えることをおさえる。
③ まずは、指数を振り返ると、x^nとして表すことができる。ここで、2環境中の物質の量などの数量は非常に大きいものから小さいものまであり、ケタ違いの値を比較することが多々ある。これらの数は10のべき乗を利用して表現される。10 進法で大きな数を表そうとするとゼロをたくさん並べなければならない場合がある。例えば1億は100000000で0が8個必要となる。あるいは1億分の1は1/100000000 = 0.00000001で、小数点以下に0が7個並ぶ。こういう場合、ゼロの数を数えるのは面倒だし、数え間違いが起きやすい。整数の場合は一つの方法として桁区切りを使うことがある。金額の表示の場合などはこれにあたる。すなわち1億円を表すのに100,000,000 円 のように書く。こうすると数え間違いは少なくなる。より一般的な方法として指数表記がある。例えば5億であれば、5.0×10^8、20万分の1ならば1/ (2×10^5) = 0.5 /10^5 = 5.0 ×10^-6のように書く。また、10^8のかわりにE+08を使い、5.0 E+08と表記し、10^-4のかわりにE-04 を使い、5.0 E-04のように書くこともある。これは計算機や Excel などでよく用いられる記数法である。このとき、5.0の部分を仮数(部)、10^8の+08、10^-4の-04 などの部分を指数(部)と呼ぶ。数値データを表にするとき、あるいは計算するとき、この指数表記法に慣れておくことが大事であることをおさえる。
④ 大きな数や小さな数に単位をつけて表す時、キロ、メガ、ミリ、マイクロなどの接頭語を単位の前につけて呼ぶことがしばしばある。データを扱うときには、これにも慣れておく必要がある。以下にそれぞれが10の何乗を表すかを示しておく。数の大きい方へは、10^3はキロ(例:km、kg、kHz、kW、kcal、kByte)、10^6はメガ(例:MHz、MW、Mbyte、MBq(106 g は ton))、10^9はギガ(例:GHz、GByte、GBq(ギガベクレル))、10^12はテラ(例:THz、TByte、TBq)となる。数の小さい方へは、10^-3はミリ(例:mm、mg、msec、mSv(ミリシーベルト))、10^-6はマイクロ(例:μm、μg、μsec、μSv (マイクロシーベルト))、10^-9はナノ(例:nm、nsec、nSv)、10^-12はピコ(例:psec(ピコ秒))などがある。このほか、10^2はヘクト、10^1はデカ、10^-2はセンチ、10^-1はデシなどがある。これらは、普段の生活においても用いていることをおさえる。
⑤ そのほか数の表し方としてよく使われるものに「分率」がある。最もよく使われるものが「百分率」と思われる。これは「パーセント」と呼ばれ「%」と書く。普段の買い物でも馴染みがあると思うが、消費税率は10%である。これは、100円の商品に対し、10円の消費税を付加することを示している。すなわち、1 % は 0.01 であり、つまり1×10^-2である。次によく使われるものは「百万分率」と思われる。これは、ppm(ピーピーエム)と呼ばれ、1 ppm は1×10^-6である。ppmとは、「parts per million」の頭文字をとった略であり、part は「割合」、per は「~ごとの」、millionは「百万」という意味である。したがって、百万分のいくらの割合であるかを意味する。あまり馴染みがないかもしれないが、主に、環境中の微量物質の濃度を表すためなどに用いられる。また千分率 ‰ (バーミル)も使われることがある。換算をすると、1 ‰ = 10^-3 = 1/1000 = 0.001 = 0.1%のようになることをおさえる。
キーワード ① 指数標記 ② 接頭語 ③ 負のべき乗 ④ 百分率 ⑤ 百万分率
コマの展開方法 社会人講師 AL ICT PowerPoint・Keynote 教科書
コマ用オリジナル配布資料 コマ用プリント配布資料 その他 該当なし
小テスト 「小テスト」については、毎回の授業終了時、manaba上において5問以上の、当該コマの小テスト(難易度表示付き)を実施します。
復習・予習課題 復習:この回のポイントは、数学における計算の根幹となる四則演算の確認と、単位の理解、そして計算式の変換方法の理解である。つまり、基礎数学において、反復練習は最も重要と言える。これは、理解を深めると同時に、計算へ慣れることができるためである。講義中は、一度説明をした後に各自が練習問題を解き、その後に講義担当教員が解答や解説を示す。しかし、わからなかった問題について、聞いて納得したつもりでも、いざ自分で解こうとすると、必ずしも解けるとは限らない。このようなことを防ぐために、練習問題のプリントを配布する。これを、各自が自宅もしくは大学での空きコマ中に自力で解答することで、真の意味で理解できたといえる。よって、配布した練習問題を自力で解くこととする。ただし、解法がわからない場合は、講義中に使用した資料を参照しても良いこととする。具体的には、コマ用オリジナル資料の11ページから12ページの課題と数学プライマリーの練習1.1と練習1.2、練習2.1、練習2.2を解くこととする。回答と解法は翌週の講義資料として配付する。
予習:有効数字と数列、Σ(シグマ)計算を学ぶため、インターネットなどで意味を調べてノートにまとめる。

3 数量の扱いの基本(2)測定精度と有効数字、数列とΣ(シグマ)計算 科目の中での位置付け 本講義では、数値解析の基礎となる次の3項目について講義と演習を行う。具体的には、第2回の講義から第6回までの講義にかけては、数量の扱いの基本として、四則演算、有効数字、数学的表記、関数、方程式、不等式の取り扱いの習得を目的として展開される(第1部)。第9回の講義から第12回の講義にかけては、数値表示の基本として指数と対数、指数と対数を含む数の加減乗除算計算、ネイピア数、データの作図方法の習得する(第2部)。第13回の講義と第14回の講義にかけては、数値データの集まりの扱い方として、統計の基礎である平均値、標準偏差の計算法とデータの整理、表とグラフ作成と活用法を習得する(第3部)。第7回の講義では、今後のフィールド生態学科での学びでの数学の使用方法などを説明し、今後の学びの方向づけを行う。第8回講義と第15回講義は、ここまでの学びの確認のための演習を実施する。
今回では、第1部の数量の扱いの基本として、四則演算、有効数字、数学的表記、関数、方程式、不等式の取り扱いを理解する。今回では、第1部以降につながる重要な数値の扱い方としての有効数字という考え方を理解し、有効数字を考慮した計算法を習得する。また、数の考え方である数列とΣ(シグマ)計算を学ぶ。

【教材】① コマ用オリジナル資料pp. 1-2 ② コマ用オリジナル資料p. 2 ③ コマ用オリジナル資料pp. 3-6 ④ コマ用オリジナル資料pp. 7-9、丸本嘉彦ら「数学プライマリー」、学術図書出版社、2020年、pp. 29-31 ⑤ コマ用オリジナル資料pp. 10-12、丸本嘉彦ら「数学プライマリー」、学術図書出版社、2020年、pp. 29-31 
【参考】① 矢野宏『誤差を科学する どこまで測っても不正確!?』、講談社、1994年、pp. 46-66 ② 矢野宏『誤差を科学する どこまで測っても不正確!?』、講談社、1994年、pp. 70-76 ③ 村上道夫ら『基準値のからくり』、講談社、2014年、pp. 36-38 ④高橋一雄「もう一度 高校数学」、日本実業出版、2009年、pp. 224-235 ⑤高橋一雄「もう一度 高校数学」、日本実業出版、2009年、pp.236-245
コマ主題細目 ① 測定値の精度と有効数字 ② 有効数字の桁 ③ 有効数字を考慮した計算 ④ 数列 ⑤ Σ(シグマ)計算
細目レベル ① 測定値の精度は測定器具や方法によって決まり、測定値の記載はその精度を踏まえた上で行わなければならない。測定値の精度を表現するために利用されるのが有効数字という考え方である。この章では有効数字の桁の数え方と有効数字を考慮した計算について学び理解する。ものの大きさを測るとき、いくらでも精度よく測れるものではない。測定に用いる機器によって、測れる精度が決まってくる。1 mm刻みの物差しで物の大きさを測る場合、最も細かい目盛の程度が測定精度と考えられる。例えば、12.3~12.4 cmのものを測ったとき、12.3 cm に近いときには「12.3 cm」、12.4 cmに近いときには「12.4 cm」となる。この場合、測定結果の「有効数字は3桁」であるという。指数表記を用いると有効数字が表しやすい。上の結果は例えば 1.23 ×10^1 cmと書く。ここでは、測定精度と、有効数字の考え方までをおさえる。
② 有効数字では、数値の中にゼロがある場合には、その桁の読み方に注意が必要である。1. 有効数字の最初の数字は、ゼロではない最高位の数字となる(例:0.00352では、有効数字は「352」の3桁となる。「3」より上の「0」は有効数字ではない)。2. 二つの有効数字の間にあるゼロは有効数字である(例:30.7 では、有効数字は「30.7」の3 桁であり、「0」も有効数字である)。3. 小数点以降のゼロは有効数字である(例:7.0、7.00、7.000では、有効数字はそれぞれ2 桁、3 桁、4 桁であり、精度がそれぞれ1/10、1/100、1/1000 まであることを意味する)。4. 十、百、千などを表すゼロの使い方について、これらが有効数字なのか、位取りなのかは一般には分からない。この場合には精度を明確に示すか、あるいは指数表記で表してもらう(例:500の有効数字は、1桁かもしれなし、3桁かもしれない。3桁の場合には、5.00×10^2と表記すれば明確になる)。5. 有効数字の桁数は、単位の取り方とは無関係である(例:34.5 mgの有効数字は3桁であるが、単位を変えて「0.0345 g」、「3.45×10^4 μg」と表示してもよい。ただし、「34500 μg」と表示すると,「5」より下位のゼロが有効数字なのか、位取りなのか不明瞭になる)。6. 気体定数、アボガドロ定数などの定数、円周率など、これらは、最も有効数字の桁数が少ないものよりも2桁多くとり、その後の数字は切り捨てて計算に用いる。7. 実験の回数、百分率を求めるための100、原子価を示す数などについて、これらは有効数字を考えなくてよい。これらをおさえる。
③ 和・差の計算では小数点以下の最も少ない桁数まで求める。例1:3.42 + 12.8 + 2.281=18.501 → 18.5となる。これは、そのまま計算し、有効数字の桁の最も少ないものの桁数まで求める。上の場合、12.8が小数点以下1桁なので、これに合わせて計算結果を丸める。結果の小数点以下2桁目は有効数字にならない。例2:4.30 + 7.00 = 11.30 → 11.30と考えてよい。これは足し算によって有効数字の桁数が大きくなる場合である。ただし、計算によって小数第1位の不確かさが累積するとみなされる場合は有効数字の桁数も大きくならないと考える。例3:単位が入ってくる場合について、3.572g + 28mg = 3.572g + 0.028g = 3.600gとなる。これは、測定の精度によって不確かさが現れるのが小数点以下3桁目であるので、3 桁目まで有効と考え、有効数字4桁と考えてよい。積・商の計算で、異なる桁数の有効数字で計算する場合、結果の有効数字は、もとの有効数字のうち最も桁数の小さい桁数まで求める。例: 4.23 × 0.38 = 1.6となる。このように、和・差の計算と、積・商の計算では、有効数字の取り方が異なることをおさえる。
④ 数列とはある規則性をもった数字の並びのことを示す。規則とは1、2、3、4、5・・・の数列では数字の差が1ずつ増えることであり、このように数字の間の差が等しい数列を等差数列という。2、4、8、16、32・・・の数列では右の数字÷左の数字がすべて2となり、等しい比で変化する。このように常に前後(左右)比が一定の数列を等比数列という。他にも1、3、7、15、31、63・・・では右の数字と左の数字の差が2、4、8、16、32となり前後の数字の差が等比数列となっている。このような数列を階差数列という。先に示した等差数列の1と2、3、4などの数字を項といい、最初の項を初項、数字の差を公差という。また、数列の最後の項は最終項といい、n番目の項を一般項という。初項はa、公差はd、、末項はl、一般項はa_nで表される。等差数列の一般項は、a_n=a+(n-1)dで表され、末項はnが最後の値となればいいのでl=a+(n-1)dとなる。1、2、3、4、5・・・の数列では、初項が1、公差が1であるため、a_n=1+(n-1)=nとして表される。先ほどの1、2、3、4、5・・・18、19、20の数列の和を計算する場合、1+2+3+4+5+6・・・18+19+20を計算して210を計算できる。これが20までではなく、10000までの場合、手計算や電卓での計算は困難である。このような時に先ほど示した等差数列の一般項a_n=a+(n-1)dを用いると計算が容易になる。nまでの項の和をSとした場合、S=a+{a+(1-1)d}+{a+(2-1)d}+{a+(3-1)d}+・・・+{a+((n-2)-1)d}+{a+((n-1)-1)d}+{a+(n-1)d}となる。lを初項とした場合に公差は-dとおくことができるため、a_n=l+(n-)(-d)となる。上と同様にnまでの項の和をSとするとl+{l+(1-1)(-d)}+ {l+(2-1)(-d)}}+ {l+(3-1)(-d)}+・・・+{l+((n-2)-1)(-d)}+ {l+((n-1)-1)(-d)}+{l+(n-1)(-d)}となる。2つのSの和をとると、2S=(a+l)+(a+l)+・・・+(a+l)+(a+l)となり、(a+l)がn個続くことになる。そのため、2S=(a+l)nとでき、S={(a+l)n}/2となる。nが20の場合で確認してみると、S={(1+20)×20}/2とでき、210となる。末項が10000では、S={(1+1000)1000}/2=500500となる。このように規則性を有する数字の総和を得るには数列が有利であることをおさえる。
⑤ 数列の一般項は主にΣ計算で用いられる。Σ(シグマ)は日本語では累乗の和や総和で用いる記号である。1、2、3、4、5・・・の数列は細目レベル④で一般項a_n=nとできることを示したが、シグマを用いると初項からn項目までの和をΣkとする。Σk={n(n+1)}/2であり、Σk^2={n(n+1)(2n+1)}/6、Σk^3=[{n(n+1)}/2]^2で表すことができる。Σ(a+b)はΣa+Σbとわけて計算すればよく、Σ(c×a_k)の場合はcΣa_kとできる。1、2、3、4、5・・・18、19、20の数列の和を計算する場合、一般項a_kはkとでき、Σa_k=Σk={n(n+1)}/2となる。このときの項数nは20であるため、Σk={20×(20+1)} /2={20×21}/2=210となる。3、5、7、9、11・・・の数列では一般項は2n+1であり、項数が20の時のこの数列の総和Sは次のように計算できる。S=Σ(2n+1)=2Σn+Σ1となり、S=2×[{n(n+1)}/2]+nとできる。nに20を代入すると、S=2×[{20(20+1)}/2]+20=420+20=440となる。複雑な数列の総和を求めるにはシグマを用いるのが適していることをおさえる。
キーワード ① 測定精度 ② 有効数字 ③ 有効数字を考慮する計算 ④ 数列 ⑤ Σ(シグマ)
コマの展開方法 社会人講師 AL ICT PowerPoint・Keynote 教科書
コマ用オリジナル配布資料 コマ用プリント配布資料 その他 該当なし
小テスト 「小テスト」については、毎回の授業終了時、manaba上において5問以上の、当該コマの小テスト(難易度表示付き)を実施します。
復習・予習課題 復習:この回のポイントは、有効数字の理解と、シグマの使い方である。有効数字は、卒論研究はもちろん、他の講義や、日常生活においても理解しておかなければ不便が生じる。シグマも同様に、特別な言葉ではなく、一般常識として捉えられる範疇であり、この後に続く統計学でも頻出である。これらを理解するためには、基礎数学において、反復練習は最も重要と言える。これは、理解を深めると同時に、計算へ慣れることができるためである。講義中は、一度説明をした後に各自が練習問題を解き、その後に講義担当教員が解答や解説を示す。しかし、わからなかった問題について、聞いて納得したつもりでも、いざ自分で解こうとすると、必ずしも解けるとは限らない。このようなことを防ぐために、練習問題のプリントを配布する。これを、各自が自宅もしくは大学での空きコマ中に自力で解答することで、真の意味で理解できたといえる。よって、配布した練習問題を自力で解くこととする。ただし、解法がわからない場合は、講義中に使用した資料を参照しても良いこととする。具体的には、コマ用オリジナル資料の13ページと数学プライマリーの練習12.1から12.7の課題を解くこととする。回答と解法は翌週の講義資料として配付する。
予習:一次方程式を学ぶため、インターネットなどで意味を調べてノートにまとめる。

4 数量の扱いの基本(3)一次方程式と連立方程式 科目の中での位置付け 本講義では、数値解析の基礎となる次の3項目について講義と演習を行う。具体的には、第2回の講義から第6回までの講義にかけては、数量の扱いの基本として、四則演算、有効数字、数学的表記、関数、方程式、不等式の取り扱いの習得を目的として展開される(第1部)。第9回の講義から第12回の講義にかけては、指数と対数、指数と対数を含む数の加減乗除算計算、ネイピア数、データの作図方法の習得する(第2部)。第13回の講義と第14回の講義にかけては、数値データの集まりの扱い方として、統計の基礎である平均値、標準偏差の計算法とデータの整理、表とグラフ作成と活用法を習得する(第3部)。第7回の講義では、今後のフィールド生態学科での学びでの数学の使用方法などを説明し、今後の学びの方向づけを行う。第8回講義と第15回講義は、ここまでの学びの確認のための演習を実施する。
今回では、第1部の数量の扱いの基本として、四則演算、有効数字、数学的表記、関数、方程式、不等式の取り扱いを理解する。今回では、第1部の基礎として、未知数を求める方法の基礎として一次方程式と連立方程式の解法を学ぶ。

【教材】① コマ用オリジナル資料pp. 1-2 丸本嘉彦ら「数学プライマリー」、学術図書出版社、2020年、pp. 23-24 ② コマ用オリジナル資料pp. 3-4 丸本嘉彦ら「数学プライマリー」、学術図書出版社、2020年、pp. 27-28 ③ コマ用オリジナル資料pp. 5-8 丸本嘉彦ら「数学プライマリー」、学術図書出版社、2020年、pp. 27-28
【参考】① 高橋一雄「もう一度 高校数学」、日本実業出版、2009年、p.58 ②高橋一雄「もう一度 高校数学」、日本実業出版、2009年、pp.70-71 ③高橋一雄「もう一度 高校数学」、日本実業出版、2009年、p.59
コマ主題細目 ① 一次方程式とその解法 ② 連立方程式 ③ 連立方程式の解法
細目レベル ① 一次方程式は、正確には一元一次方程式という。元とは文字のことを意味し、一元とは数字以外に用いる文字が1つであり、その文字のべき指数が1であることを示す。文字は英文字で示され、未知数を示す。一般的に文字としてxが一次方程式では用いられることが多い。一次方程式は3x+7=x-9のように=(イコール)を中心に左右に数や式が書かれている。このように=で右側の式や数字と左側の式や数字が結ばれたものを等式とよぶ。右側に示されているものを右辺といい、左側に示されているものを左辺という。前に示した3x+7=x-9の右辺はx-9であり、左辺は3x+7である。一次方程式の解法で重要なことは移項である。移項とは左辺にある数字や文字を右辺に移動させることであるが、左辺から右辺に動かす場合には符号を逆転させる。同様に右辺から左辺に移動させる場合もある。一次方程式を解く場合には左辺に未知数であるxを移項し、数字を右辺に移項する。つまり、3x+7=x-9では、3x-(x)=7-(-9)となり、3x-x=7+9となる。これを計算すると、2x=16となり、x=8と計算できる。ここでは移項の方法をおさえる。
② 連立方程式は、正確には二元一次方程式という。二元とは未知数である文字が2つあることを示し、文字にはxとyが用いられる。2x-y=5の様に示されるが、未知数が2つある場合は式が2つ必要になる。しかし、とあるxの値の時のyの値を求める場合は式が1つとなる。具体的にはxが2の時のyの値を知りたい場合には先に示した式のxに2を代入する。つまり、2×2-y=5となり、左辺の数字を右辺に移項して-y=5-4となる。これを整理すると-y=1となり、両辺の符号を逆転させてy=-1となる。つまり、2x-y=5はxが2のとき、yは-1となる。しかし、xが1の時は同様に計算するとy=-3となる。1つの連立方程式ではxもyも定まった値とすることができない。化学分析では測定したxの値を用いて1つの連立方程式から濃度となるyの値を計算する。ここでは連立方程式のそれぞれの未知数の関係についておさえる。
③ 連立方程式は②で示した様に2つの式を用いて2つ未知数の解を求める。解法として、加減法と代入法がある。加減法とは消したい文字の係数をそろえる方法であり、代入法とは消したい文字をもう一方の文字で表す方法である。2x-y=5と5x-3y=13の2つの式が与えられている場合で考える。2x-y=5を式1とし、5x-3y=13を式2とする。加減法では消したい文字の係数をそろえることが必要である。式1のyの係数は-1であるため、式1に3をかけることで式2のyの係数が一致する。つまり、式1×3-式2をおこなうとyの係数は0(ゼロ)となり、xのみの一次方程式となるため、xの値が決まる。決まったxの値を式1もしくは式2に代入することで未知数がyのみとなり、yの値が定まる。このときのyの値は式1と式2のどちらから求めても同じ値となる。代入法では式1を移項によりy=2x-5のように変形させる。式2のyに変形させた式1を代入すると、5x-3(2x-5)=13となり、5x-6x+15=13となる。これを計算すると-x=-2となり、x=2となる。このxの値を加減法と同様に式1もしくは式2に代入してyを計算すると、yは-1となる。ここでは連立方程式を解くための加減法と代入法についておさえる。
キーワード ① 移項 ② 未知数 ③ 式の数 ④ 加減法 ⑤ 代入法
コマの展開方法 社会人講師 AL ICT PowerPoint・Keynote 教科書
コマ用オリジナル配布資料 コマ用プリント配布資料 その他 該当なし
小テスト 「小テスト」については、毎回の授業終了時、manaba上において5問以上の、当該コマの小テスト(難易度表示付き)を実施します。
復習・予習課題 復習・予習課題 復習:この回のポイントは、連立方程式の理解である。特に、加減法と代入法は、どちらも今後の卒論研究や、化学・統計の授業における演算において必須の計算法と言える。つまり、この計算への慣れが必要といえる。基礎数学において、反復練習は最も重要と言える。これは、理解を深めると同時に、計算へ慣れることができるためである。講義中は、一度説明をした後に各自が練習問題を解き、その後に講義担当教員が解答や解説を示す。しかし、わからなかった問題について、聞いて納得したつもりでも、いざ自分で解こうとすると、必ずしも解けるとは限らない。このようなことを防ぐために、練習問題のプリントを配布する。これを、各自が自宅もしくは大学での空きコマ中に自力で解答することで、真の意味で理解できたといえる。よって、配布した練習問題を自力で解くこととする。ただし、解法がわからない場合は、講義中に使用した資料を参照しても良いこととする。具体的には、コマ用オリジナル資料の9ページから10ページの課題と数学プライマリーの練習9.1と練習9.2、練習9.7、練習11.1を解くこととする。回答と解法は翌週の講義資料として配付する。
予習:不等式を学ぶため、インターネットなどで意味を調べてノートにまとめる。

5 数量の扱いの基本(4)不等式 科目の中での位置付け 本講義では、数値解析の基礎となる次の3項目について講義と演習を行う。具体的には、第2回の講義から第6回までの講義にかけては、数量の扱いの基本として、四則演算、有効数字、数学的表記、関数、方程式、不等式の取り扱いの習得を目的として展開される(第1部)。第9回の講義から第12回の講義にかけては、指数と対数、指数と対数を含む数の加減乗除算計算、ネイピア数、データの作図方法の習得する(第2部)。第13回の講義と第14回の講義にかけては、数値データの集まりの扱い方として、統計の基礎である平均値、標準偏差の計算法とデータの整理、表とグラフ作成と活用法を習得する(第3部)。第7回の講義では、今後のフィールド生態学科での学びでの数学の使用方法などを説明し、今後の学びの方向づけを行う。第8回講義と第15回講義は、ここまでの学びの確認のための演習を実施する。
今回では、第1部の数量の扱いの基本として、四則演算、有効数字、数学的表記、関数、方程式、不等式の取り扱いを理解する。今回では、第5回の講義では、未知数を求める方法の応用として不等式の性質と解法を学ぶ。

【教材】① コマ用オリジナル資料pp. 1-2 丸本嘉彦ら「数学プライマリー」、学術図書出版社、2020年、pp. 68-69 ② コマ用オリジナル資料pp. 3-4 丸本嘉彦ら「数学プライマリー」、学術図書出版社、2020年、pp. 68-69 ③ コマ用オリジナル資料pp. 5-8 丸本嘉彦ら「数学プライマリー」、学術図書出版社、2020年、pp. 68-69
【参考】① 高橋一雄「もう一度 高校数学」、日本実業出版、2009年、p.76 ②高橋一雄「もう一度 高校数学」、日本実業出版、2009年、pp.76 ③高橋一雄「もう一度 高校数学」、日本実業出版、2009年、p.77
コマ主題細目 ① 不等号 ② 不等式の性質 ③ 一次不等式 ④ 連立不等式
細目レベル ① 不等式とは、不等号を用いて左辺と右辺の数の大小関係を示す式である。不等号は主に4つあり、<と>、≦、≧がある。aとbを比べるとき、aがbよりも大きい場合には>を用いて、a>bとして示す。aがbよりも小さい場合にはa
② 不等式は右辺と左辺の大小を示すものであるため、不等号の向きに注意が必要である。例えば、A>Bのとき、A+C>B+CはCの値が何であろうと右辺と左辺の大小関係は代わらないため、不等号は変化しない。しかし、A×C>B×Cの場合は、Cが0よりも小さい場合には不等式が成立しない。具体的な数字を当てはめてみると、Aが3でBが2、Cが-1のときでは次のようになる。左辺であるA×Cでは3×(-1)で-3となり、B×Cである右辺では2×(-1)で-2となる。そのため、左辺よりも右辺が大きくなるためにCが0よりも小さい場合にはA×C>B×Cは成立しない。Cが0の場合は左辺と右辺ともに0となるため、同様にA×C>B×Cは成立しない。このように負の値を両辺にかける場合には不等号の向きが逆転する。同様に負の値で両辺を割る場合も不等号の向きが逆転する。ここでは不等式の不等号の逆転についておさえる。
③ 一次不等式の解法は、一次方程式と同様であるが、②で示した様に不等号の向きに注意することが必要である。一次不等式では未知数は1つである。4x-21>9x-6の不等式からxの範囲を求める場合は連立方程式と同様に左辺にxをまとめるように移項し、右辺に数字をまとめるように移項する。つまり、4x-9x>-21-(-6)となり、-5x>-15とできる。両辺に-5でわることで左辺にあるxの係数を1にするが、マイナスの値をかけるために②で示した様に不等号が逆転することに注意をする。-5x>-15の両辺を-5でわることで、x<3とできる。分数や小数点を含む数字が不等号に入る場合も先ほどと同様に左辺にxをまとめ、右辺に数字をまとめるように移項し、xの係数が1となるように両辺に同じ値をかけるか割るかをして計算すればよい。ここでは不等式の解法についておさえる。
④ 連立不等式は一次不等式であれば2つ以上の不等式を組み合わせたものであり、解は全ての式の解を満たす範囲を示すものになる。例えば、x+1>-4を式1として3x+1≧2x+3を式2とする。この式1と式2の連立不等式を個別に解き、その解が重なる範囲となる。式1は、両辺に-1を加えることで左辺をxのみにすることで、x>-5とできる。式2では、左辺にxをまとめ、右辺に数字をまとめる。まず、3x+1≧2x+3は両辺に-2xを加え、(3x-2x)+1≧(2x-2x)+3とし、x+1≧3とする。次に両辺に-1を加えて左辺をxのみにする。つまり、x+(1-1)≧3-1となり、x≧2となる。式1はx>-5となり、式2ではx≧2となる。-5よりも大きく2以下であるとなり、-5
キーワード ① 不等号 ② 不等式の逆転 ③ 方程式の解法 ④ 共通部分 ⑤ 数直線
コマの展開方法 社会人講師 AL ICT PowerPoint・Keynote 教科書
コマ用オリジナル配布資料 コマ用プリント配布資料 その他 該当なし
小テスト 「小テスト」については、毎回の授業終了時、manaba上において5問以上の、当該コマの小テスト(難易度表示付き)を実施します。
復習・予習課題 復習・予習課題 復習:この回のポイントは、連立方程式と、不等式の理解である。両者は似ており、解き方はおおよそ同じである。しかし、不等式ではマイナスをかける、わるなどの計算によって不等号が逆向きになる。この計算への慣れが必要といえる。基礎数学において、反復練習は最も重要と言える。これは、理解を深めると同時に、計算へ慣れることができるためである。講義中は、一度説明をした後に各自が練習問題を解き、その後に講義担当教員が解答や解説を示す。しかし、わからなかった問題について、聞いて納得したつもりでも、いざ自分で解こうとすると、必ずしも解けるとは限らない。このようなことを防ぐために、練習問題のプリントを配布する。これを、各自が自宅もしくは大学での空きコマ中に自力で解答することで、真の意味で理解できたといえる。よって、配布した練習問題を自力で解くこととする。ただし、解法がわからない場合は、講義中に使用した資料を参照しても良いこととする。具体的には、コマ用オリジナル資料の9ページから10ページの課題と数学プライマリーの練習24.1から24.4を解くこととする。回答と解法は翌週の講義資料として配付する。
予習:一次関数を学ぶため、インターネットなどで意味を調べてノートにまとめる。

6 数量の扱いの基本(5)一次関数 科目の中での位置付け 本講義では、数値解析の基礎となる次の3項目について講義と演習を行う。具体的には、第2回の講義から第6回までの講義にかけては、数量の扱いの基本として、四則演算、有効数字、数学的表記、関数、方程式、不等式の取り扱いの習得を目的として展開される(第1部)。第9回の講義から第12回の講義にかけては、指数と対数、指数と対数を含む数の加減乗除算計算、ネイピア数、データの作図方法の習得する(第2部)。第13回の講義と第14回の講義にかけては、数値データの集まりの扱い方として、統計の基礎である平均値、標準偏差の計算法とデータの整理、表とグラフ作成と活用法を習得する(第3部)。第7回の講義では、今後のフィールド生態学科での学びでの数学の使用方法などを説明し、今後の学びの方向づけを行う。第8回講義と第15回講義は、ここまでの学びの確認のための演習を実施する。
今回では、第1部の数量の扱いの基本として、四則演算、有効数字、数学的表記、関数、方程式、不等式の取り扱いを理解する。今回では、第1部の主要箇所として、データ間の相関を表す方法のひとつとして、一次関数を学ぶ。

【教材】 ① コマ用オリジナル資料pp. 1 丸本嘉彦ら「数学プライマリー」、学術図書出版社、2020年、pp. 34-35 ② コマ用オリジナル資料pp. 2-3 丸本嘉彦ら「数学プライマリー」、学術図書出版社、2020年、pp. 34-35 ③ コマ用オリジナル資料pp. 3-4 丸本嘉彦ら「数学プライマリー」、学術図書出版社、2020年、pp. 34-35
【参考】 ① 高橋一雄『もう一度 高校数学』、日本実業出版、2009年、pp. 100-101 ② 高橋一雄『もう一度 高校数学』、日本実業出版、2009年、pp. 102-103 ③ 高橋一雄『もう一度 高校数学』、日本実業出版、2009年、pp. 102-103
コマ主題細目 ① 一次関数の表し方 ② 傾きと切片 ③ 一次関数の変形
細目レベル ① 第4回の講義で連立方程式では2つの未知数を扱うが、一方の値が定まれば連立方程式からもう一方の値が定まることを学んだ。つまり、連立方程式を知ることができれば、データ点のないところがどうなるかを推定できる。そのような直線を求める準備として、まず、直線の図がどのような関数で表されるかを復習する。一次関数とは、 y = f (x) = ax + bで表される関数である。定数項(変数 x、y を含まない項、この式では b )のほかには x についても y についても1次の項しか含まれない形の式である。ちなみに、この式で ax は x の1次の項である。x^2を含む項があれば x の2次の項と呼び、その項を含む関数は2次関数、x^nを含む項があれば x の n 次の項と呼び、その項を含む関数は n 次関数ということになる。yを縦軸に、xを横軸にとり、この式に当てはまる点(y, x)をプロットすると、それらの点は傾きをa、切片をbとする直線上に並ぶ。まずは、一次関数の表し方までをおさえる。
② 切片とは、この直線が y軸と交わるところの y座標の値である。y軸上の点の x 座標の値はすべて x = 0である。従って、y軸と交わるところの y座標の値はx = 0と置いたときの yの値である。傾きは、xが増えた量に対する、yが増えた量である。つまり、「傾き = yが増えた量 / xが増えた量」である。例えば、例えば x座標が0から1だけ増えたとき、y座標の値は4から5.8に1.8だけ 増加したとする。上記の式より、傾きは「1.8 / 1 = 1.8」ということになる。座標で考えてみると、x座標がx1 からΔxだけ増えてx2になったとし、そのとき y座標がy1からΔyだけ増えてy2になったとする。ここでΔは「デルタ」と読み、変数が増えた量を示す時に使われる。このとき、xが増えた量(Δx)は、Δx = x2 – x1、yが増えた量(Δy)は、Δy = y2 – y1となる。つまり、傾きは、(y2 – y1)/(x2 – x1)となる。この計算方法をおさえる。
③ 直線の式についてもう少し考えてみる。直線は直線の通る点1点と傾きがわかると一意的に決まる。そこで、点(x1, y1)を通る傾 a の直線を考えると、y−y1 = a(x−x1)であり、つまり、y = ax−a(x1−(y1/a))である。すなわち切片bは、b = −a(x1−(y1/a))ということになる。xとyに関する1次式は、xとyについて1次の項の加減算だけで表される式である。このような式は変形することによって必ずy = f (x) = ax + bのような形に表すことができる。1次式をy = f (x) = ax + bの形に表せば、傾きと切片は a, b に相当する値から知ることができる。傾きa が正の時、直線は右上がりに、傾きa が負の時、直線は右下がりになる。このような一次関数の変形の方法について理解するとともに、この方法ができるようになるところまでをおさえる。
キーワード ① 一次関数 ② 傾き ③ 切片 ④ 予測 ⑤ 直線
コマの展開方法 社会人講師 AL ICT PowerPoint・Keynote 教科書
コマ用オリジナル配布資料 コマ用プリント配布資料 その他 該当なし
小テスト 「小テスト」については、毎回の授業終了時、manaba上において5問以上の、当該コマの小テスト(難易度表示付き)を実施します。
復習・予習課題 復習:この回のポイントは、問題を解くことと同時に、今後必要となる「予測」という概念の第一歩に触れたことである。まず、その点への理解を、配布資料を見直すことに注力してほしい。そして、基礎数学において、反復練習は最も重要と言える。これは、理解を深めると同時に、計算へ慣れることができるためである。講義中は、一度説明をした後に各自が練習問題を解き、その後に講義担当教員が解答や解説を示す。しかし、わからなかった問題について、聞いて納得したつもりでも、いざ自分で解こうとすると、必ずしも解けるとは限らない。このようなことを防ぐために、練習問題のプリントを配布する。これを、各自が自宅もしくは大学での空きコマ中に自力で解答することで、真の意味で理解できたといえる。よって、配布した練習問題を自力で解くこととする。ただし、解法がわからない場合は、講義中に使用した資料を参照しても良いこととする。具体的には、コマ用オリジナル資料の5ページから6ページの課題と数学プライマリーの練習13.1から13.6を解くこととする。回答と解法は翌週の講義資料として配付する。
予習:フィールド生態学入門の講義資料を読み直し、学科の概要と学びの展開について復習を行うこととする。

7 フィールド生態学科の学びで用いる数学 科目の中での位置付け 本講義では、数値解析の基礎となる次の3項目について講義と演習を行う。具体的には、第2回の講義から第6回までの講義にかけては、数量の扱いの基本として、四則演算、有効数字、数学的表記、関数、方程式、不等式の取り扱いの習得を目的として展開される(第1部)。第9回の講義から第12回の講義にかけては、指数と対数、指数と対数を含む数の加減乗除算計算、ネイピア数、データの作図方法の習得する(第2部)。第13回の講義と第14回の講義にかけては、数値データの集まりの扱い方として、統計の基礎である平均値、標準偏差の計算法とデータの整理、表とグラフ作成と活用法を習得する(第3部)。第7回の講義では、今後のフィールド生態学科での学びでの数学の使用方法などを説明し、今後の学びの方向づけを行う。第8回講義と第15回講義は、ここまでの学びの確認のための演習を実施する。
今回は、フィールド生態学科の実習や研究、実験で用いる数学について陸生動物生態領域と水生動物生態領域、植物生態領域、生態系機能評価領域の4つの領域ごとに事例を紹介する。

【教材】① コマ用オリジナル資料p.1(陸生動物生態領域) ② コマ用オリジナル資料p. 2(水生動物生態領域) ③ コマ用オリジナル資料p. 3(植物生態領域) ④コマ用オリジナル資料p. 4(生態系機能評価領域)
コマ主題細目 ① 陸生動物生態領域 ② 水生動物生態領域 ③ 植物生態領域 ④ 生態系機能評価領域
細目レベル ① ニホンジカの頭蓋骨を用いて個体群の体サイズを指標とした2地域間の差異の検討を行った研究事例を紹介する。恒温動物は同じ種でも寒冷な地域に生息するものほど体重が大きく、近縁な種間では大型の種ほど寒冷な地域に生息するとしたベルグマンの法則がある。また、小型動物は天敵による捕食や他種との競争が減少するため大陸の近縁種に比べて巨大化し、大型動物は餌資源の減少により矮小化するとした島嶼(とうしょ)化がある。近接するが平均気温が異なる2つの地域のニホンジカについて、ベルグマンの法則と島嶼化の影響を評価することを目的として行った。異なる2つの地域の頭蓋骨の種々の部分の長さを測定し、それぞれの地域の平均と標準偏差を算出するとともに等分散性の有無を評価するF検定や2つの地域のデータ分布の有意差を評価するt検定、2組の標本が属している母集団の分布が等しいかどうかを検定するU検定を行うことで2地域に生息したニホンジカの差異について説明し、ベルグマンの法則と島嶼化の影響について考察した。ここではフィールド生態学科陸生動物生態領域の学びに本科目での学びが基礎となることをおさえる。
② ハダカイワシの体長と耳石サイズの関係について検討を行った研究事例を紹介する。耳石は脊椎動物の内耳にある炭酸カルシウムの結晶であり、魚種によって形やサイズが異なっている。耳石を用いる研究の一つとして、魚食性の水生生物の胃を調べ、そこから耳石を見つけることで、何を捕食し、どれだけのエネルギーを獲得しているかが推測できる。ハダカイワシ科魚類を対象として、体長と体重、耳石長と体長、耳石長と体重、耳石長と耳石高のアロメトリー式作成し、作成したアロメトリー式について、採集時期や採集場所等の違いによる影響を受けているのか検証した。アロメトリー式とは、個体の一部のサイズから別の部位のサイズを推定する式である。この研究では耳石のサイズから体長と体重を推定する式のこととなる。耳石の形態的な特徴を数値化できたことから耳石の形態から魚種の推定の可能性を示唆するとともに、ゴコウハダカ・イサリビハダカに関する一般性の高いアロメトリー式を算出できた。ここではフィールド生態学科水生動物生態領域の学びに本科目での学びが基礎となることをおさえる。
③ 早生樹であるセンダンの生育に水分が及ぼす影響について検討を行った研究事例を紹介する。センダンは樹高が5~15mほどになる落葉高木であり、温暖な地域の海岸近くや森林辺縁に分布する。センダンの樹高や根幹直径、葉数、葉緑素量、葉1枚あたりの面積と乾燥重量を測定した。各項目の平均値の比較方法には一般化線形モデルを使用し、説明変数は水の与え方とした。応答変数について、樹高、根元直径、葉緑素量、葉1枚当たりの表面積、葉1枚当たりの乾燥重量、葉単位面積当たりの葉乾燥重量については ガンマ分布(リンク関数はlog)を用いた。また、葉の数についてはポアソン分布(リンク関数はlog)とした。また、尤度比検定を使用し、有意差水準(P)が5%未満の時に有意差あり、10%未満の時に傾向ありとした。水は毎日与えた場合と3日分を一度にあたえた場合では樹高、葉緑素量、葉1枚当たりの表面積、葉1枚当たりの乾燥重量、葉単位面積当たりの乾燥重量が大きくなり、葉単位面積当たりの乾燥重量以外は尤度比検定を使用した有意差水準(P)から有意差ありとなった。一度に水を与えるよりも数回に分けて与えたほうが成長の良いことが示唆された。 ここではフィールド生態学科植物生態領域の学びに本科目での学びが基礎となることをおさえる。
④ 近隣の水環境の水質分析を行った事例について紹介する。日本には多くのダムが存在するが、発電用以外には農業や生活用水の貯留のために設置されているものがある。本学から車で25分ほどの場所に位置する雨山ダムは岡崎市東部の生活と農業用水に使用される。水の利用先や排出先によって水質基準が設けられており、その基準の遵守が必要である。環境省が定める水質基準として生活環境の保全に関する環境基準項目があり、水道水や水生生物の生息状況の適応性を示す場合に用いる項目がある。様々な濃度を測定する必要があるが、測定に用いる数学式の多くは二次元一次方程式である。方程式は検量線といい、自分で調整した濃度とそれを機器等で分析して得られた値から最小自乗法を用いて回帰直線を得る。この回帰直線が検量線となり、河川や湖沼から採取した未知の試料の分析値は既知の濃度から作成した検量線を用いて濃度を算出する。検量線は②に示したアロメトリー式と同じ考えに沿ったものである。この検量線の精度は共分散と標準偏差から求める相関係数によって示すことが一般的であり、算出方法は第13週目におさえる。ここではフィールド生態学科生態系機能評価領域の学びに本科目での学びが基礎となることをおさえる。
キーワード ① 平均と標準偏差 ② F検定、t検定、U検定 ③ アロメトリー式 ④ 有意差 ⑤ 回帰直線
コマの展開方法 社会人講師 AL ICT PowerPoint・Keynote 教科書
コマ用オリジナル配布資料 コマ用プリント配布資料 その他 該当なし
小テスト 「小テスト」については、毎回の授業終了時、manaba上において5問以上の、当該コマの小テスト(難易度表示付き)を実施します。
復習・予習課題 復習:フィールド生態学科の研究や実習内容を基に、数学がどのように今後の学習の中で展開され、自身が活用していくかをイメージすることは本科目の定着には重要である。今回学んだ内容を本科目を学ぶ際に思い出し、本科目の学びの駆動力としてほしい。そして、基礎数学において、反復練習は最も重要と言える。これは、理解を深めると同時に、計算へ慣れることができるためである。講義中は、一度説明をした後に各自が練習問題を解き、その後に講義担当教員が解答や解説を示す。しかし、わからなかった問題について、聞いて納得したつもりでも、いざ自分で解こうとすると、必ずしも解けるとは限らない。このようなことを防ぐために、練習問題のプリントを配布する。これを、各自が自宅もしくは大学での空きコマ中に自力で解答することで、真の意味で理解できたといえる。よって、配布した練習問題を自力で解くこととする。ただし、解法がわからない場合は、講義中に使用した資料を参照しても良いこととする。今回紹介した内容は本科目や次学期の科目で学ぶことになるが、本科目でこれまで厚かった内容の理解が基礎となる。また、次回は前回までの講義で学んだ内容のまとめを行うため、これまで本科目で学んだ内容を復習しておくこととする。
予習:第8回目では第6回目までの講義で学んだ内容のまとめを行うため、これまで本科目で学んだ内容を復習しておくこととする。

8 数量の扱いのまとめ 科目の中での位置付け 本講義では、数値解析の基礎となる次の3項目について講義と演習を行う。具体的には、第2回の講義から第6回までの講義にかけては、数量の扱いの基本として、四則演算、有効数字、数学的表記、関数、方程式、不等式の取り扱いの習得を目的として展開される(第1部)。第9回の講義から第12回の講義にかけては、指数と対数、指数と対数を含む数の加減乗除算計算、ネイピア数、データの作図方法の習得する(第2部)。第13回の講義と第14回の講義にかけては、数値データの集まりの扱い方として、統計の基礎である平均値、標準偏差の計算法とデータの整理、表とグラフ作成と活用法を習得する(第3部)。第7回の講義では、今後のフィールド生態学科での学びでの数学の使用方法などを説明し、今後の学びの方向づけを行う。第8回講義と第15回講義は、ここまでの学びの確認のための演習を実施する。
今回では、第2回の講義から第6回までの講義で行った第1部の内容について総括し、まとめを行う。

【教材】 ① コマ用オリジナル資料pp. 1-2、丸本嘉彦ら「数学プライマリー」、講談社、2020年、pp. 1-4 ② コマ用オリジナル資料pp. 3-4、丸本嘉彦ら「数学プライマリー」、講談社、2020年、pp. 29-31 ③ コマ用オリジナル資料pp. 5-6、丸本嘉彦ら「数学プライマリー」、講談社、2020年、pp. 23-24、pp. 27-28 ④ コマ用オリジナル資料pp. 7-8、丸本嘉彦ら「数学プライマリー」、講談社、2020年、pp. 68-69 ⑤ コマ用オリジナル資料pp. 9-10、丸本嘉彦ら「数学プライマリー」、講談社、2020年、pp. 34-35
【参考】 ① 高橋一雄「もう一度 高校数学」、日本実業出版、2009年、pp. 12-2、pp. 114-117、村上道夫ら「基準値のからくり」、講談社、2014年、pp. 135-140、pp. 200-202、②矢野宏『誤差を科学する どこまで測っても不正確!?』、講談社、1994年、pp. 46-66、pp. 70-76、村上道夫ら『基準値のからくり』、講談社、2014年、pp. 36-38、高橋一雄「もう一度 高校数学」、日本実業出版、2009年、pp. 224-245、高橋一雄「もう一度 高校数学」、日本実業出版、2009年、pp.236-245、③高橋一雄「もう一度 高校数学」、日本実業出版、2009年、pp.58-59、pp.70-71、④【参考】④高橋一雄「もう一度 高校数学」、日本実業出版、2009年、pp.76-77、⑤高橋一雄『もう一度 高校数学』、日本実業出版、2009年、pp. 100-103
コマ主題細目 ① 数字の示し方 ② Σ(シグマ)計算 ③ 方程式 ④ 不等式 ⑤ 一次関数
細目レベル ① 数の分類として、正の整数、分数、負の整数、少数、ゼロ、無理数、虚数などが挙げられる。ここで、有理数と無理数を大きく分けると、以下のようになる。分数a / bのa、bが整数のとき、その値は整数、有限小数または循環小数となる。このように、整数比の分数で表される数が有理数であり、整数比の分数で表すことのできない数が無理数である。数値データを表にするとき、あるいは計算するとき、この指数表記法に慣れておくことが大事である。また、指数表記では10の何乗などを示す場合があり、1000000では10^6と表す。10^6は接頭語を用いて表すことができ、10^6はメガ(例:MHz、MW、Mbyte、MBq(10^6 g は ton))となる。ミリやセンチ、キロ、ギガなど、普段の生活においても用いている。同様にパーセントもある。有効数字は科学では非常に重要である。12.4 cmの場合、測定結果の「有効数字は3桁」であるという。指数表記を用いると有効数字が表しやすい。ここでは有効数字を考慮した数字の表し方についてまとめる。
② 数列とはある規則性をもった数字の並びのことを示す。規則とは1、2、3、4、5・・・の数列では数字の差が1ずつ増えることであり、このように数字の間の差が等しい数列を等差数列という。1と2、3、4などの数字を項といい、最初の項を初項、数字の差を公差という。また、数列の最後の項は最終項といい、n番目の項を一般項という。初項はa、公差はd、、末項はl、一般項はa_nで表される。等差数列の一般項は、a_n=a+(n-1)dで表され、末項はnが最後の値となればいいのでl=a+(n-1)dとなる。数列の一般項は主に累乗の和や総和を示すΣ計算で用いられる。シグマを用いると初項からn項目までの和をΣkとできる。Σk={n(n+1)}/2であり、Σk^2={n(n+1)(2n+1)}/6、Σk^3=[{n(n+1)}/2]^2で表すことができる。Σ(a+b)はΣa+Σbとわけて計算すればよく、Σ(c×a_k)の場合はcΣa_kとできる。1、2、3、4、5・・・18、19、20の数列の和を計算する場合、一般項a_kはkとでき、Σa_k=Σk={n(n+1)}/2となる。このときの項数nは20であるため、Σk={20×(20+1)} /2={20×21}/2=210となる。ここでは数列とΣ(シグマ)計算についてまとめる。
③ 一次方程式は、正確には一元一次方程式という。元とは文字のことを意味し、一元とは数字以外に用いる文字が1つであり、その文字のべき指数が1であることを示す。文字は英文字で示され、未知数を示す。一般的に文字としてxが一次方程式では用いられることが多い。一次方程式の解法では左辺にある数字や文字を右辺に移動させる移項が重要である。連立方程式は、正確には二元一次方程式という。二元とは未知数である文字が2つあることを示し、文字にはxとyが用いられる。連立方程式は2つの式を用いて2つ未知数の解を求める。解法として、加減法と代入法がある。加減法とは消したい文字の係数をそろえる方法であり、代入法とは消したい文字をもう一方の文字で表す方法である。加減法では消したい文字の係数をそろえることが必要である。ここでは方程式についてまとめる。
④ 不等式とは、不等号を用いて左辺と右辺の数の大小関係を示す式である。不等号は主に4つあり、<と>、≦、≧がある。aとbを比べるとき、aがbよりも大きい場合には>を用いて、a>bとして示す。aがbよりも小さい場合にはa
⑤ 一次関数とは、 y = f (x) = ax + bで表される関数である。定数項(変数 x、y を含まない項、この式では b )のほかには x についても y についても1次の項しか含まれない形の式である。yを縦軸に、xを横軸にとり、この式に当てはまる点(y, x)をプロットすると、それらの点は傾きをa、切片をbとする直線上に並ぶ。切片とは、この直線が y軸と交わるところの y座標の値である。y軸上の点の x 座標の値はすべて x = 0である。従って、y軸と交わるところの y座標の値はx = 0と置いたときの yの値である。傾きは、xが増えた量に対する、yが増えた量である。直線の式についてもう少し考えてみる。直線は直線の通る点1点と傾きがわかると一意的に決まる。そのため、連立方程式を知ることができれば、データ点のないところがどうなるかを推定できる。ここでは一次関数についてまとめる。
キーワード ① 有効数字 ② Σ(シグマ) ③ 連立方程式 ④ 一次不等式 ⑤ 傾きと切片
コマの展開方法 社会人講師 AL ICT PowerPoint・Keynote 教科書
コマ用オリジナル配布資料 コマ用プリント配布資料 その他 該当なし
小テスト 「小テスト」については、毎回の授業終了時、manaba上において5問以上の、当該コマの小テスト(難易度表示付き)を実施します。
復習・予習課題 復習:ここまでの内容は基礎的な内容であるが、有効数字や指数表記は研究者でも間違える可能性がる部分である。この部分は理解をするよりも繰り返し触れることで定着させることが有効である。そのため、基礎数学において、反復練習は最も重要と言える。これは、理解を深めると同時に、計算へ慣れることができるためである。講義中は、一度説明をした後に各自が練習問題を解き、その後に講義担当教員が解答や解説を示す。しかし、わからなかった問題について、聞いて納得したつもりでも、いざ自分で解こうとすると、必ずしも解けるとは限らない。このようなことを防ぐために、練習問題のプリントを配布する。これを、各自が自宅もしくは大学での空きコマ中に自力で解答することで、真の意味で理解できたといえる。よって、配布した練習問題を自力で解くこととする。ただし、解法がわからない場合は、講義中に使用した資料を参照しても良いこととする。具体的には、コマ用オリジナル資料別冊として配布する「第8回まとめ(演習問題)」を解くこととする。
予習:指数関数とネイピア数を学ぶため、インターネットなどで意味を調べてノートにまとめる。

9 数値表示の基本(1)指数関数とネイピア数 科目の中での位置付け 本講義では、数値解析の基礎となる次の3項目について講義と演習を行う。具体的には、第2回の講義から第6回までの講義にかけては、数量の扱いの基本として、四則演算、有効数字、数学的表記、関数、方程式、不等式の取り扱いの習得を目的として展開される(第1部)。第9回の講義から第12回の講義にかけては、指数と対数、指数と対数を含む数の加減乗除算計算、ネイピア数、データの作図方法の習得する(第2部)。第13回の講義と第14回の講義にかけては、数値データの集まりの扱い方として、統計の基礎である平均値、標準偏差の計算法とデータの整理、表とグラフ作成と活用法を習得する(第3部)。第7回の講義では、今後のフィールド生態学科での学びでの数学の使用方法などを説明し、今後の学びの方向づけを行う。第8回講義と第15回講義は、ここまでの学びの確認のための演習を実施する。
今回では、第二部における指数計算の取り扱いに慣れることを目的として、指数、指数関数の理解、指数を含む数の加減乗除算計算、ネイピア数を学ぶ。

① コマ用オリジナル資料p. 1 丸本嘉彦ら「数学プライマリー」、講談社、2020年、pp. 44-45 ② コマ用オリジナル資料pp. 2-4 丸本嘉彦ら「数学プライマリー」、講談社、2020年、pp. 44-46 ③ コマ用オリジナル資料pp. 5-6 丸本嘉彦ら「数学プライマリー」、講談社、2020年、pp. 44-46
【参考】 ① 高橋一雄『もう一度 高校数学』、日本実業出版、2009年、pp. 114-115 ② 高橋一雄『もう一度 高校数学』、日本実業出版、2009年、pp. 114-117 ③ 高橋一雄『もう一度 高校数学』、日本実業出版、2009年、pp. 148-149
コマ主題細目 ① 底と指数 ② 底の等しい指数同士の計算 ③ 無理数、円周率、ネイピア数
細目レベル ① 第2回の講義で、底(てい)およびべき指数と呼ばれる2つの数によって定まることを学び、第2回の講義で、例えば5.0×10^8の場合、5.0の部分を仮数(部)、10^8の+08の部分を指数(部)と呼ぶことを学んだ。これらを用いる場面としては、環境中の物質の量などの、数量が非常に大きいものから小さいものまでについて、ケタ違いの値を比較する際などや、表示する際などが挙げられる。例えば、水の中の藻類の細胞密度(個数 / mL)を10 進法で大きな数を表そうとするとゼロをたくさん並べなければならない場合がある。例えば1億は100000000で0が8個必要となる。つまり、藻類の細胞密度を示したい時に、2000000個 / mLのようになってしまう。これでは、ゼロの数を数えるのは面倒だし、数え間違いが起きやすい。この時に、2.0×10^6の個 / mLのように示せば、理解しやすい。この回では、このような使う場面を想像することで理解をするところまでをおさえる。
② 指数表記をした数の演算にはいくつかのポイントがある。このポイントをおさえることで計算が容易になるため、ポイントをおさえる。加減算について、位取りの桁に注意して行う。まず、指数表記の「×10^k 」の部分を揃える。例えば5.34×10^8 + 2.1×10^7、の場合は指数の大きい方に揃えて5.34×10^8 + 0.21×10^8とし、仮数部を計算して5.55 ×10^8と計算する。また、5.34×10^8 + 8.78×10^8の場合、仮数部を足し算すると 14.12 となるので、答えは1.412×10^9と、小数点の左を一桁になおして書き表す。仮数部は小数点の左に0でない数一桁として書き表すのが一般的である。乗除算について、仮数部と指数部を別々に計算し、結果を小数点の左一桁にして書き表す。例えば(3.14×10^3)×( 4.0 ×10^2) ならば 12.56×10^5 = 1.256×10^6 = 1.3×10^6となる。(3.14×10^3)÷( 4.0 ×10^2)ならば0.785×10^1 = 7.9とする。同じ底をもつ指数の乗除算について、103のように指数表記された数については 10 を「底(てい)」、3 を「指数」と呼ぶ。同じ底をもつ指数の乗除算については次が成り立つ。a^n × a^m = a^(m+n)、a^n ÷ a^m = a^(n-m)となる。これらのポイントをおさえる。
③ 無理数については第2回で述べた。分母、分子が整数であるような分数で表すことができない数が無理数、小数で表すと、有限小数、循環小数とならず、小数点以下が無限に続くような数が無理数であるということを学んだ。平方根や円周率は代表的な無理数である。この無理数の仲間に、ネイピア数と呼ばれる数、eがある。eは円周率のような定数であり、e = 2.718 281 828 459 045 235 360 287 471 352 - - - - - - という無限小数である。電卓やExcel使って計算する場合、円周率とeを使うことがよくある。上のような入力法を覚えておこう。このネイピア数は、先ほどの正規分布関数にも出てくる。そのほか、これを底とする対数は自然対数とされ、10を底とする常用対数と対比される。また、最も重要な性質は、この数を底とする指数関数を微分しても積分しても結果はe^xとなる。すなわち微積分に対して不変の関数を与えることである。その結果として、自然現象を書き表す数式に頻繁に現れる。円周率とともにこの数の持つ意味を理解し、2.71828 くらいまでを記憶しておくとよい。
キーワード ① 底 ② 指数 ③ ネイピア数 ④ 円周率 ⑤ 関数電卓
コマの展開方法 社会人講師 AL ICT PowerPoint・Keynote 教科書
コマ用オリジナル配布資料 コマ用プリント配布資料 その他 該当なし
小テスト 「小テスト」については、毎回の授業終了時、manaba上において5問以上の、当該コマの小テスト(難易度表示付き)を実施します。
復習・予習課題 復習:今回のポイントは、日常生活や研究活動にも取り入れられていることを理解することである。そのため、身の回りを今一度確認し、指数関数で表現されている事象を探すことに、理解をすすめるヒントがある。特に見つけられない場合は、教員の研究室を訪れることを強く勧める(研究室訪問は復習課題とはしないため、希望者のみとする)。基礎数学の学びの深さを知ると同時に、各自の研究への興味が充足さえるはずだ。未来の研究のためにも、基礎数学において、反復練習は最も重要と言える。これは、理解を深めると同時に、計算へ慣れることができるためである。講義中は、一度説明をした後に各自が練習問題を解き、その後に講義担当教員が解答や解説を示す。しかし、わからなかった問題について、聞いて納得したつもりでも、いざ自分で解こうとすると、必ずしも解けるとは限らない。このようなことを防ぐために、練習問題のプリントを配布する。これを、各自が自宅もしくは大学での空きコマ中に自力で解答することで、真の意味で理解できたといえる。よって、配布した練習問題を自力で解くこととする。ただし、解法がわからない場合は、講義中に使用した資料を参照しても良いこととする。具体的には、コマ用オリジナル資料の7ページの課題と数学プライマリーの練習16.1と練習16.2、練習16.3を解くこととする。
予習:対数関数について学ぶため、logについて使用方法などについてインターネットなどを用いて検索しておく。

10 数値表示の基本(2)対数関数と逆関数 科目の中での位置付け 本講義では、数値解析の基礎となる次の3項目について講義と演習を行う。具体的には、第2回の講義から第6回までの講義にかけては、数量の扱いの基本として、四則演算、有効数字、数学的表記、関数、方程式、不等式の取り扱いの習得を目的として展開される(第1部)。第9回の講義から第12回の講義にかけては、指数と対数、指数と対数を含む数の加減乗除算計算、ネイピア数、データの作図方法の習得する(第2部)。第13回の講義と第14回の講義にかけては、数値データの集まりの扱い方として、統計の基礎である平均値、標準偏差の計算法とデータの整理、表とグラフ作成と活用法を習得する(第3部)。第7回の講義では、今後のフィールド生態学科での学びでの数学の使用方法などを説明し、今後の学びの方向づけを行う。第8回講義と第15回講義は、ここまでの学びの確認のための演習を実施する。
今回では、第二部における対数の取り扱いに慣れることを目的として、通常の数と対数との関係、対数同士の演算について学ぶ。

【教材】 ① コマ用オリジナル資料p. 1 丸本嘉彦ら「数学プライマリー」、講談社、2020年、pp. 47-48 ② コマ用オリジナル資料pp. 2-3 丸本嘉彦ら「数学プライマリー」、講談社、2020年、pp. 51-52 ③ コマ用オリジナル資料pp. 4-5 丸本嘉彦ら「数学プライマリー」、講談社、2020年、pp. 49-50
【参考】 ① 高橋一雄『もう一度 高校数学』、日本実業出版、2009年、pp. 150-151 ② 高橋一雄『もう一度 高校数学』、日本実業出版、2009年、pp. 124-125 ③ 高橋一雄『もう一度 高校数学』、日本実業出版、2009年、pp. 126-133
コマ主題細目 ① 逆関数 ② 対数関数 ③ 対数関数の演算
細目レベル ① この回では、対数関数について学ぶ。常用対数、自然対数とそれらを含んだ式の計算について理解し、応用できる力をつけることを目標とし、ポイントをおさえることとする。対数関数は指数関数の逆関数である。そこでまず、逆関数とは何かについて説明する。yがxの関数であるとき、y = f (x)と書くことを第1回の講義で述べた。この式を変形してx = g (y)のように表す。このときの関数g (y)をf (x)の逆関数という。例えば1次関数y = f (x)= 2x+7を変形すると、x = g (y) = (y-7) / 2と表される。独立変数、従属変数に使う文字は自由であるから、x = g (y)と書くかわりにy = g (x)と書いても良い。すなわちg (x) = (x-7) / 2は、f (x)= 2x+7の逆関数と言っても良いということである。
② 指数関数y = f (x)= 10^xを考える。先ほどの①の例にならってこのf (x)の逆関数を考えてみる。x = g (y)の形に変形するのであるが、この意味は、「yという数を与えた時、それが10の何乗であるか?という質問に対する答えがxになる」ということである。例えばy = 100と与えたとする。すると100 = 10^2であるから、この場合の答えはx =2ということになる。これを言い換えると、「10を底とする100の対数 xは2である」ということになる。式で書くと、x = g (y)= log10 yであり、y = 100のときx = g (100)= log10 100 = 2となる。 すなわち、対数関数は指数関数の逆関数ということである。一般に対数関数は y = f (x) =loga xとして表す。ここで、aは今までに述べてきたように「底(てい)」と呼ばれ、xは「真数」と呼ばれる。上の式は「aを底とする真数xの対数はyである」という意味の式であり、aをy乗するとxとなる関係を表している。 指数関数、対数関数のaとxについては、a > 0、x > 0という制約があることに注意が必要である。
③ 対数が考え出された理由について理解することで、計算のポイントをおさえる。対数の定義より、amの対数loga a^mはmである(y = loga a^mは、aをy乗するとamを意味するからy =m )。ここで、指数関数に関する計算の公式を思い出してみる。A = a^m、B =a^nとする。対数をとると、loga A = m、loga B = nであり、A×B = a^m+ a^n = a^(m+n)とする。これについて、両辺の対数をとるとlog (A×B) = m+n = log A + log Bとなる。すなわち、AとBの乗算をそれぞれの対数をとることによって加算に変えることができる。これが歴史的に対数を考え出した理由である。対数計算の公式は以下のようになる。loga1 = 0、loga a = 1である。loga M×N = loga M + loga Nである。loga M/N = loga M − loga Nである。loga M^P = p loga Mである。loga b = logc b / logc aである(底の変換)。
キーワード ① 逆関数 ② 底 ③ 真数 ④ 対数 ⑤ 常用対数
コマの展開方法 社会人講師 AL ICT PowerPoint・Keynote 教科書
コマ用オリジナル配布資料 コマ用プリント配布資料 その他 該当なし
小テスト 「小テスト」については、毎回の授業終了時、manaba上において5問以上の、当該コマの小テスト(難易度表示付き)を実施します。
復習・予習課題 復習:今回のポイントは、logの変換である。公式をすべて暗記することは困難かもしれない。そのため、意味としてy = loga a^mは、aをy乗するとamを意味するからy =mであることを理解することに注力してほしい。それを身につけるためには、基礎数学において、反復練習は最も重要と言える。これは、理解を深めると同時に、計算へ慣れることができるためである。講義中は、一度説明をした後に各自が練習問題を解き、その後に講義担当教員が解答や解説を示す。しかし、わからなかった問題について、聞いて納得したつもりでも、いざ自分で解こうとすると、必ずしも解けるとは限らない。このようなことを防ぐために、練習問題のプリントを配布する。これを、各自が自宅もしくは大学での空きコマ中に自力で解答することで、真の意味で理解できたといえる。よって、配布した練習問題を自力で解くこととする。ただし、解法がわからない場合は、講義中に使用した資料を参照しても良いこととする。具体的には、コマ用オリジナル資料の6ページの課題と数学プライマリーの練習17.1から17.4と練習18.1から18.3を解くこととする。
予習:対数目盛りを使った図を扱うことから今回の講義内容をよく確認しておくとともに、対数目盛りについてインターネットなどを用いて検索しておく。

11 数値表示の基本(3)数直線と図 科目の中での位置付け 本講義では、数値解析の基礎となる次の3項目について講義と演習を行う。具体的には、第2回の講義から第6回までの講義にかけては、数量の扱いの基本として、四則演算、有効数字、数学的表記、関数、方程式、不等式の取り扱いの習得を目的として展開される(第1部)。第9回の講義から第12回の講義にかけては、指数と対数、指数と対数を含む数の加減乗除算計算、ネイピア数、データの作図方法の習得する(第2部)。第13回の講義と第14回の講義にかけては、数値データの集まりの扱い方として、統計の基礎である平均値、標準偏差の計算法とデータの整理、表とグラフ作成と活用法を習得する(第3部)。第7回の講義では、今後のフィールド生態学科での学びでの数学の使用方法などを説明し、今後の学びの方向づけを行う。第8回講義と第15回講義は、ここまでの学びの確認のための演習を実施する。
今回では、第2部の基礎として、データを線形目盛の2次元直交座標に記点する方法を学び、対数目盛も理解する。

【教材】 ① コマ用オリジナル資料p. 1 丸本嘉彦ら「数学プライマリー」、講談社、2020年、p. 34 ② コマ用オリジナル資料p. 2 丸本嘉彦ら「数学プライマリー」、講談社、2020年、pp. 34-35 ③ コマ用オリジナル資料pp. 3-5 丸本嘉彦ら「数学プライマリー」、講談社、2020年、pp. 51-52
【参考】 ① 高橋一雄『もう一度 高校数学』、日本実業出版、2009年、pp. 76-81 ② 加茂将史『生態学と化学物質とリスク評価』、共立出版、2017年、pp. 54-59 ③ 加茂将史『生態学と化学物質とリスク評価』、共立出版、2017年、pp. 60-64
【教具】 関数電卓
コマ主題細目 ① 数直線 ② 2次元座標と相関図 ③ 線形目盛と対数目盛
細目レベル ① 第1部では、数値や量を、数字を用いて表し、計算を行ってきた。実際のデータ解析では、データの数値を表やグラフにしてみることにより、データの特徴やデータとデータ相互の関係がわかりやすくなる。ここでは、データを表にまとめることを学ぶ。例えば、「河川水の水質調査を3地点(A地点、B地点、C地点)で行った。物質aの〇〇基準値超過状況についてA地点では3種類、B地点では3種類、C地点では1種類だった。物質bの〇〇基準値超過状況では、A地点では2種類、B地点では1種類、C地点では2種類だった。物質cの〇〇基準値超過状況では、A地点では3種類、B地点では3種類、C地点では0種類だった。」と文章で書かれていたとする。これは、情報としては正しいものの、相手に理解させるという意味では不親切である。また、データとして捉えた際に、後に演算を行う際には扱いにくい。このような場合、例えば、行に物質名、列に地点名としてまとめると、情報の見やすさ向上とともに、エクセルなどPCで作成した場合は演算も容易となる。これは、表と呼ばれるものであり、データ整理の基本である。ここでは、表を作成し、データ整理の基本をおさえる。
② 数直線上の点は1方向に並んでいる。直線は1次元の図形であるが、このような数直線2つを直交させることにより、2次元の平面上の点を決めることができる。例えば、10人について身長 cmをもとに、体重を kgで測ったデータが表でまとめてあったとする。このデータについて、2次元の平面上に身長と体重の組合わせた点をプロットする。このとき、データ点の配置が見やすいように 1. 縦・横軸の範囲と目盛を選ぶこと、2. 縦・横軸のラベルと単位を記入すること、3. グラフのタイトルを入れる。このように、データを表にまとめ、その情報を2次元のグラフに表示することにより、数値を単に並べただけではわからない様々な特徴が見えてくる。作図の技術は、卒論作成時やその後の社会にでても必要な技術である。この回において、作図の方法までをおさえる。
③ 数直線や②で示した身長と体重の例では、グラフの軸の目盛りが等間隔に並んでいる。しかし、軸の目盛りを対数にする場合もある。例えば放射線強度の変化を2次元のグラフにする場合、縦軸を等間隔(線形目盛)にすることも対数間隔(対数目盛)にすることもできる。例えば、ヨウ素121が環境放射能の主な成分である場所で初期強度I0を 100 GBq(ギガベクレル)、その後の各時刻の測定データがあったとする。強度は指数関数で下がっていくので、これをグラフにすると縦軸が線形の場合、50日以降はほとんどゼロになってしまって変化がわからない。縦軸を対数目盛にすると50日以降も変化が分かりやすいグラフになる。ヨウ素121の場合は、半減期τ(タウ:最近は見かけない数学定数)は8日であり、Iと時間tの関係は理論的にはI = I0×2^(-t/τ)の指数関数で表される。この式をグラフにすると、実線のように対数目盛の場合直線になっていることがわかる。この例のように指数関数的に変化する場合に、対数目盛は大変有用であることをおさえる。
キーワード ① 数直線 ② 有理数 ③ 無理数 ④ 2次元直交座標 ⑤ 相関図
コマの展開方法 社会人講師 AL ICT PowerPoint・Keynote 教科書
コマ用オリジナル配布資料 コマ用プリント配布資料 その他 該当なし
小テスト 「小テスト」については、毎回の授業終了時、manaba上において5問以上の、当該コマの小テスト(難易度表示付き)を実施します。
復習・予習課題 復習:今回のポイントは、作図である。作図の知識と技術は、今後の卒業研究においても必ず必要となる。しかし、すぐに描けるものでもなく、早期から慣れることが必要である。基礎数学において、反復練習は最も重要と言える。これは、理解を深めると同時に、計算へ慣れることができるためである。講義中は、一度説明をした後に各自が練習問題を解き、その後に講義担当教員が解答や解説を示す。しかし、わからなかった問題について、聞いて納得したつもりでも、いざ自分で解こうとすると、必ずしも解けるとは限らない。このようなことを防ぐために、練習問題のプリントを配布する。これを、各自が自宅もしくは大学での空きコマ中に自力で解答することで、真の意味で理解できたといえる。よって、配布した練習問題を自力で解くこととする。ただし、解法がわからない場合は、講義中に使用した資料を参照しても良いこととする。具体的には、コマ用オリジナル資料の6-7ページの課題と数学プライマリーの練習13.1と練習13.2、練習13.3、練習13.5、練習16.9を解くこととする。
予習:指数関数と対数関数について学ぶため、対数目盛りついて使用方法などについて見直すこと。

12 数値データの集まりの扱い方(1)対数や指数の数直線と図 科目の中での位置付け 本講義では、数値解析の基礎となる次の3項目について講義と演習を行う。具体的には、第2回の講義から第6回までの講義にかけては、数量の扱いの基本として、四則演算、有効数字、数学的表記、関数、方程式、不等式の取り扱いの習得を目的として展開される(第1部)。第9回の講義から第12回の講義にかけては、指数と対数、指数と対数を含む数の加減乗除算計算、ネイピア数、データの作図方法の習得する(第2部)。第13回の講義と第14回の講義にかけては、数値データの集まりの扱い方として、統計の基礎である平均値、標準偏差の計算法とデータの整理、表とグラフ作成と活用法を習得する(第3部)。第7回の講義では、今後のフィールド生態学科での学びでの数学の使用方法などを説明し、今後の学びの方向づけを行う。第8回講義と第15回講義は、ここまでの学びの確認のための演習を実施する。
今回では、第2部の基礎として、対数や指数の数直線と図の記述について学ぶ。

【教材】 ① コマ用オリジナル資料pp. 1-3 丸本嘉彦ら「数学プライマリー」、講談社、2020年、p. 44-45 ② コマ用オリジナル資料pp. 4-6, 11 丸本嘉彦ら「数学プライマリー」、講談社、2020年、pp. 44-45 ③ コマ用オリジナル資料pp. 7-8 丸本嘉彦ら「数学プライマリー」、講談社、2020年、pp. 51、44-45
【参考】 ① 高橋一雄『もう一度 高校数学』、日本実業出版、2009年、pp. 118-123 ② 高橋一雄『もう一度 高校数学』、日本実業出版、2009年、pp. 134-143 ③ 高橋一雄『もう一度 高校数学』、日本実業出版、2009年、pp. 118-123、134-143
【教具】 PC
コマ主題細目 ① 指数関数の図 ② 対数関数の図 ③ 対数関数と指数関数の作図方法
細目レベル ① 指数関数は第10回の講義で述べた様にy = f (x)= 10^xで表される。これは底が10の時を示しており、一般的にはy=a^xとなる。このときの底はaであり、a≠1かつa>0である。a≠1とは、aは1ではないことを示す。指数関数では2つの場合を考える必要がある。それはa>1のときと01の場合について説明をする。y=a^xでa>1のとき、xが小さくなるほどyはかぎりなく0に近づいていく。つまり、y>0であり、0となることはない。また、切片はx=0のときであり、かならず1となる。このように限りなく近づくがその値にならない線を漸近線といい、y=a^xの場合はy=0が漸近線となる。一次関数と同様に式に切片を加えることで漸近線は移動する。y=(a^x)+1では切片は2となり、漸近線はy=1となる。指数関数の図を作成する場合には切片の他にx>0のときとx<0の時の座標を書き込み、作図をする必要がある。特に漸近線を明確にすることが指数関数の図では大切である。ここでは指数関数と漸近線の関係についておさえる。
② 第10回の講義で述べた様に対数関数は一般に y = f (x) =loga xとして表される。このときのaは底であり、指数関数と同様に底数aはa≠1かつa>0である。また、xは真数とよばれ、xは0よりも大きい。対数関数のグラフも指数関数と同様に2つの場合を考える必要があり、それはa>1のときと01の場合について説明をする。先に述べたようにx>0のときを考える。つまり、a>1かつx>1のときは、最初に示したy = f (x) =loga xの漸近線はx=0となる。y=logaxのをxに関する式に変形させると、x=y^aとなる。y=logaxを指数関数であるy=a^xと同じグラフにプロットしたとき、y=xの直線を軸にして対称な形となる。つまり、y=logaxとy=a^xは逆関するの関係にあることが図にすることで理解できる。y=loga(x-2)+1とした場合、y=logaxがx軸の正方向に2移動し、y軸の正方向に1移動する。そして、y=loga(x-2)+1の漸近線はx=2となる。ここでは対数関数と漸近線の関係についておさえる。
③ 指数関数や対数関数を作図する場合は、必要なxとyの値(座標)をグラフにプロットし、そのプロットをなめらか曲線で繋ぐことである。フリーハンド(手書き)の場合、複数のプロットをなめらかにつなぐことは難しいため、自在曲線定規などを用いてプロットを繋ぐ曲線を作成する。Excelを用いる場合、xと関数を使いそれに対応するyを関数によって計算させ、その値をワークシートに表示させる。指数関数ではPower関数を用いる。指数関数をy=10^xの図を作成したい場合、Aの列にxの値を1(A1)から20(A20)まで入力する。Bの列にPower関数を用いてyの値を入力する。Power(10、a1)を入力し、B1のyの値を計算させる。Power関数の数値10は底、a1は指数であるxの値を引用することを意味する。得られた座標をもとに散布図によってグラフを作成できる。このときに曲線を描く部分のデータが多いほど曲線がきれいになる。対数はLog関数によって計算する。y=log10xの場合にはxを指数関数と同様入力し、yの値をLog関するによって計算する。Log関数ではLog(A1, 10)となり、10は底、A1は真数であるxの値を引用する。得られたy=log10xの座標は指数関数と同様に散布図によってグラフを作成できる。ここでは指数関数と対数関数の作図方法についておさえる。
キーワード ① 指数 ② 漸近線 ③ 対数 ④ 逆関数 ⑤ Excelの関数
コマの展開方法 社会人講師 AL ICT PowerPoint・Keynote 教科書
コマ用オリジナル配布資料 コマ用プリント配布資料 その他 該当なし
小テスト 「小テスト」については、毎回の授業終了時、manaba上において5問以上の、当該コマの小テスト(難易度表示付き)を実施します。
復習・予習課題 復習:指数や対数をPCで計算する方法を示したが、PCに入力するための式はできる限り簡単な形に変化しておく必要がある。数式の変換は自分自身で行う必要があり、繰り返し行うことが定着の近道となる。そのため、基礎数学において、反復練習は最も重要と言える。これは、理解を深めると同時に、計算へ慣れることができるためである。講義中は、一度説明をした後に各自が練習問題を解き、その後に講義担当教員が解答や解説を示す。しかし、わからなかった問題について、聞いて納得したつもりでも、いざ自分で解こうとすると、必ずしも解けるとは限らない。このようなことを防ぐために、練習問題のプリントを配布する。これを、各自が自宅もしくは大学での空きコマ中に自力で解答することで、真の意味で理解できたといえる。よって、配布した練習問題を自力で解くこととする。ただし、解法がわからない場合は、講義中に使用した資料を参照しても良いこととする。具体的には、コマ用オリジナル資料の14ページの課題と数学プライマリーの練習16.8と練習16.9、練習19.1から19.6を解くこととする。
予習:平均値や標準偏差について学ぶため、平均値や標準偏差の使用方法などについて第7回目の講義資料やインターネットなどを用いて検索しておく。

13 .数値データの集まりの扱い方(2)平均値と中央値、分布の広がりと分散、標準偏差 科目の中での位置付け 本講義では、数値解析の基礎となる次の3項目について講義と演習を行う。具体的には、第2回の講義から第6回までの講義にかけては、数量の扱いの基本として、四則演算、有効数字、数学的表記、関数、方程式、不等式の取り扱いの習得を目的として展開される(第1部)。第9回の講義から第12回の講義にかけては、数値表示の基本として指数と対数、指数と対数を含む数の加減乗除算計算、ネイピア数、データの作図方法の習得する(第2部)。第13回の講義と第14回の講義にかけては、数値データの集まりの扱い方として、統計の基礎である平均値、標準偏差の計算法とデータの整理、表とグラフ作成と活用法を習得する(第3部)。第7回の講義では、今後のフィールド生態学科での学びでの数学の使用方法などを説明し、今後の学びの方向づけを行う。第8回講義と第15回講義は、ここまでの学びの確認のための演習を実施する。
【教材】 ① コマ用オリジナル資料p. 1 ② コマ用オリジナル資料pp. 2-4 ③ コマ用オリジナル資料p. 5 ④ コマ用オリジナル資料pp. 6-7 ⑤ コマ用オリジナル資料pp. 7-8
【参考】 ① 高橋一雄『語りかける高校数学』、ベレ出版、2013年、p. 614-616 ② 芳沢光雄『新体系・高校数学の教科書 上』、講談社、2010年、p. 70-74、 高橋一雄『語りかける高校数学』、ベレ出版、2013年、pp. 613-614 ③ 日本統計学会編『改訂版 日本統計学会公式認定 統計検定3級対応 データの分析』、東京図書株式会社、2020年、pp. 55-58 ④日本統計学会編『改訂版 日本統計学会公式認定 統計検定3級対応 データの分析』、東京図書株式会社、2020年、pp. 31-34 ⑤ 鳥居泰彦『はじめての統計学』日本経済新聞出版社、1994年、pp. 8-9、33-36
【教具】 PC
コマ主題細目 ① 代表値 ② 相加平均と相乗平均、加重平均 ③ 分散 ④ 標準偏差 ⑤ 標準偏差の意義
細目レベル ① 多数の測定値がある場合,その代表値を取り上げて議論をすすめることがよくある。今回では、数値の集まりの代表値である、平均値と中央値の意味と算出方法を学ぶ。第8回で扱った身長と体重のデータを例に挙げる。あるグループの10人の測定を行った結果をグループⅠとする。もう一つ、別の10人のグループⅡについて測定データを得たとする。この2つの集団の測定結果は似たようなものであったとしても、当然、人が異なるので値も違うものとなる。それぞれのデータグループを特徴づけるいくつかの数値を代表値と呼ぶ。代表値には次のようなものがある。最大値、最小値、中央値(メディアン)、平均値、最頻値(モード)、分散、標準偏差が挙げられる。分散と標準偏差については第10回で学ぶ。この回では、それ以外の代表値と、その求め方をおさえる。
② 代表値の中で最も普通に用いられるものが平均値である。平均値はデータの総和をデータの個数で割ることで表されることが最も多く、これを相加平均と呼ぶ。相加平均は算術平均とも呼ばれる。これに対して、データグループの特徴や解析の目的によって相乗平均(幾何平均ともいう)を求めることもある。これは、データの積にデータの個数のn乗根を取ったものである。例えば、年間の物価上昇率(前年比)のデータがあったとする。このとき、年間の物価上昇率の平均について、上昇率の特徴を「前年の何倍になっているのか」という風に考えると、それは3年間同じ上昇率と考えた場合の平均上昇率ということになり、相乗平均を考える方が自然である。「変化率」の平均を考える場合には相加平均よりも相乗平均をとることが適切であることをおさえる。データの数が多い場合、数字の羅列を見ただけでは全体としての傾向や特徴は何もわからない。このようなとき、データを複数のクラス(階級)に分類してクラスごとの度数を調べることが適切である各クラスの度数の集まりを度数分布といい、階級値はそれぞれの階級を示す数値で階級の中央の値を意味する。階級値と相対度数の積を積算すると平均値に近い値になる。この度数分布を柱状のグラフで表したものをヒストグラムという。ヒストグラムだけが与えられていたとき場合には、加重平均(重み付き平均)を用いることができる。加重平均は、いくつかの決まった値が出る確率が与えられているときにも応用できる。このように様々な平均値の算出方法があり、使い分けることができるようなるところまでをおさえる。
③ データの集まりの特徴を表すには、平均値や中央値だけでなく、値のばらつきの程度を示す必要がある。このばらつきを表現するために用いられるのが分散と標準偏差である。第13回ではこれらについて、その意味と算出方法を学ぶ。10個のデータからなる2つのデータ群について考えてみる。例えば、A群 = {3, 4, 6, 5, 4, 5, 7, 5, 5, 6}、B群 = {9, 5, 3, 5, 8, 6, 2, 1, 6, 5}の2つのデータ群があったとする。平均を計算してみると、ともに 5 となることがわかる。個々のデータが平均値からどのように離れているか、という量を偏差と呼ぶ。偏差の定義は、「偏差 = 個別のデータ – 平均値」である。個々のデータは平均より大きかったり小さかったりするので、偏差は正になったり負になったりする。それぞれの絶対値は、個々のデータが平均からどれから離れているかを示す値になる。絶対値の合計が大きいほど、データの散らばり方が大きいことは理解できる。データの散らばり方の程度を表すのにこの絶対値の平均をとるのもひとつの方法と考えられるが、統計処理では絶対値を取る代わりに偏差の2乗の和(平方和)の平均を取ることにしている。これを分散と呼んでいる。分散は「分散 = 偏差の平方和 / データの個数」である。ここまでの計算と、定義からその意味をおさえる。
④ 分散はデータの広がりを表す数であるが、個々のデータや平均値とは異なる次元をもつ。次元が異なるとは、平方していることを示す。同じ次元にするには分散の平方根を取ればよい。この平方根を標準偏差と呼ぶ(標準偏差^2=分散)。標準偏差と分散はデータの散らばり具合を示す代表値として広く使われる量であり、平均値とともにデータ解析の基礎的な量としてよく理解し、計算できるようにしておくことが必要である。データの散らばり具合を表すのに絶対値でなく、分散、標準偏差が使われるのは、統計数学で用いられる二項分布、正規分布において分散が重要な役割を果たすことがその理由と考えられる。二項分布、正規分布等については「統計処理法」で詳しく学ぶことになる。このことからも、ここまでの計算方法をおさえる。
⑤ データは平均値を中心としてその両側に散らばっている。そこでデータ群の性質を知るためにまず平均値が重要である。と同時に散らばり方(バラツキ)が広いか狭いかも重要である。この散らばり方を表す数値(量)が標準偏差と分散である。「標準偏差^2=分散」であるから、標準偏差、分散のどちらかがわかれば他方は計算できる。大事なことは標準偏差(あるいは分散)が大きいほどデータの散らばり方が広いということである。例えば、Aという土壌を使って収穫したイチゴが100 kgあったとする。そこから100粒(約1 kg)のイチゴを拾い出して標本(サンプル)とし、甘さ(糖度)を測定、その結果をもとに全体100 kg(母集団)の平均値を推定することを考える。標本のデータの平均値が全体の平均値にぴったり同じになるとは限らない。しかし、他に方法がないので、標本の平均値が全体の平均値だとみなすことになる。「標本平均値=全体の平均値」としたとき、それが間違っている確率は、標本データのばらつきが大きいほど、すなわち標本データの標準偏差が大きいほど高くなる。これらのことの理解を確かにするところまでをおさえる。
キーワード ① 代表値 ② 相加平均、相乗平均、加重平均 ③ ヒストグラム ④ 標準偏差 ⑤ 分散
コマの展開方法 社会人講師 AL ICT PowerPoint・Keynote 教科書
コマ用オリジナル配布資料 コマ用プリント配布資料 その他 該当なし
小テスト 「小テスト」については、毎回の授業終了時、manaba上において5問以上の、当該コマの小テスト(難易度表示付き)を実施します。
復習・予習課題 復習:今回のポイントは、標準偏差の算出方法の習得である。これを習得するためには、考え方を自分で書いてみることが必須である。例えば、「ネジをたくさん製造したが、それらはどの程度の誤差をもっているのだろう」という疑問に対し、「とりあえず、1本1本が平均からどれくらい離れているかを知れば、概観できそうだ」と考えると理解しやすい。この計算方法は式を書いてみると流れも理解できる。この算出方法と流れを身につけるために、基礎数学において、反復練習は最も重要と言える。これは、理解を深めると同時に、計算へ慣れることができるためである。講義中は、一度説明をした後に各自が練習問題を解き、その後に講義担当教員が解答や解説を示す。しかし、わからなかった問題について、聞いて納得したつもりでも、いざ自分で解こうとすると、必ずしも解けるとは限らない。このようなことを防ぐために、練習問題のプリントを配布する。これを、各自が自宅もしくは大学での空きコマ中に自力で解答することで、真の意味で理解できたといえる。よって、配布した練習問題を自力で解くこととする。ただし、解法がわからない場合は、講義中に使用した資料を参照しても良いこととする。具体的には、コマ用オリジナル資料の9から10ページの課題を解くこととする。
予習:相関関係について学ぶため、作図の方法について第11回の講義資料を見直しておくこととする。

14 数値データの集まりの扱い方(3)二種類のデータの関係 科目の中での位置付け 本講義では、数値解析の基礎となる次の3項目について講義と演習を行う。具体的には、第2回の講義から第6回までの講義にかけては、数量の扱いの基本として、四則演算、有効数字、数学的表記、関数、方程式、不等式の取り扱いの習得を目的として展開される(第1部)。第9回の講義から第12回の講義にかけては、数値表示の基本として指数と対数、指数と対数を含む数の加減乗除算計算、ネイピア数、データの作図方法の習得する(第2部)。第13回の講義と第14回の講義にかけては、数値データの集まりの扱い方として、統計の基礎である平均値、標準偏差の計算法とデータの整理、表とグラフ作成と活用法を習得する(第3部)。第7回の講義では、今後のフィールド生態学科での学びでの数学の使用方法などを説明し、今後の学びの方向づけを行う。第8回講義と第15回講義は、ここまでの学びの確認のための演習を実施する。
今回では、第3部の基礎として、作図によって得たデータ間の関係について学ぶ。また、クロス集計表の作成方法を学び、データの活用法を理解する。

【教材】 ① コマ用オリジナル資料pp. 1-2 ② コマ用オリジナル資料pp. 3-4 ③ コマ用オリジナル資料pp. 5-6 ④ コマ用オリジナル資料pp. 7-8
【参考】 ① 鳥居泰彦『はじめての統計学』日本経済新聞出版社、1994年、pp.213-215 日本統計学会編『改訂版 日本統計学会公式認定 統計検定3級対応 データの分析』、東京図書株式会社、2020年、pp. 81-86 ② 鳥居泰彦『はじめての統計学』日本経済新聞出版社、1994年、pp.213-215. 日本統計学会編『改訂版 日本統計学会公式認定 統計検定3級対応 データの分析』、東京図書株式会社、2020年、pp. 81-86 ③ 鳥居泰彦『はじめての統計学』日本経済新聞出版社、1994年、pp.216-218. 日本統計学会編『改訂版 日本統計学会公式認定 統計検定3級対応 データの分析』、東京図書株式会社、2020年、pp. 86-91 ④ 日本統計学会編『改訂版 日本統計学会公式認定 統計検定3級対応 データの分析』、東京図書株式会社、2020年、pp. 8-9
【教具】 PC
コマ主題細目 ① 正の相関 ② 負の相関と無相関 ③ 相関関数 ④ 相関係数 ⑤ クロス集計
細目レベル ① 第13回目の講義では代表値、すなわち平均値、標準偏差などについて学んだ。またデータのグラフ化し、ヒストグラムを表示することで、数値や表だけではわからない特徴がわかりやすく示されることを理解した。この回では2種類のデータグループ間の関係と、グラフによる表示について学ぶ。第13回の講義において、10人のグループの身長と、体重のデータを扱った。このデータに、例えば1 kmの歩行時間のデータと、数学の成績のデータを追加したとする。身長と体重の関係をグラフにプロットすると、データ点は左下から右上へと右上がりに並んでいて、身長の大きい人ほど体重も重くなる傾向になるとする。このような関係を身長と体重の間には「正の相関がある」ということをおさえる。
② 次に、身長と1 kmの歩行時間の関係をグラフにプロットすると、先ほどと違ってデータ点は右下がりに並び、身長の大きい人ほどかかる時間が短くなったとする。このような場合、身長と歩行時間の間には「負の相関がある」という。 さらに、これらの人(学生)の数学試験結果を用いて、身長と成績の関係をグラフにすると、データは単に散らばっているだけで、右上がりにも右下がりにも見えなかったとする。このような関係については、身長と成績には相関がない「無相関」と言う。すなわち、2種類のデータグループ間の相関がある場合とない場合があり、相関がある場合には正の相関と負の相関の2つの場合がある。ない場合を、無相関と呼ぶ。これらの関係と名称をおさえる。
③ グラフを描くと相関の様子がわかるが、相関の性質を表す数値として、共分散と相関係数がある。それぞれ次の式で求める。「共分散 = (Σ(xの偏差)×(yの偏差)) / データの個数」、「相関係数 = 共分散 / ((xの標準偏差)×(yの標準偏差))」として求めることができる。なお、共分散のΣは、xの偏差とyの偏差の積を全て足し合わせた総和を表している。共分散、相関係数が正の時は正の相関があり、負の時は負の相関がある。相関係数(r)は次元 (単位) が無く、必ず「- 1と+ 1」の間の値になる。絶対値が1.0に近いほど相関が強いことを示す。相関の強さについては通常次のように考えられている。「0から0.2は、ほぼ相関無し」、0.2から0.4は、弱い相関有り」、「0.4から0.7は、相関有り」、「0.7から1.0は、強い相関有」とされる(ただしこれは分野によって異なることに注意する)。特に、相関係数の算出と、その意味について説明できるようになるところまでおさえる。
④ 二種類のデータを考える際に、より複雑なデータを扱うこともある。これは、「本当に関係があるかどうか、微妙なデータ」が現れたときである。例えば、「デザインを決定しようとしていて、色と指向性には何か関係があるか」という状況である。「100人を対象に実験を行った結果、青いボタンにつながるサイトを見た人が75人、赤いボタンにつながるサイトを見た人が25人いた。青いボタンにつながるサイトを見た人のうち、ボタンを押した人は20人いた。赤いボタンにつながるサイトを見た人のうち、ボタンを押した人は10人いた。」などの場合、クロス集計表を作成することで、データの活用法が見えてくる。ここでは、クロス集計表の作成方法を学び、データの活用法を理解するところまでをおさえる。
キーワード ① 正の相関・負の相関 ② 無相関 ③ 共分散 ④ 相関係数 ⑤ クロス集計表
コマの展開方法 社会人講師 AL ICT PowerPoint・Keynote 教科書
コマ用オリジナル配布資料 コマ用プリント配布資料 その他 該当なし
小テスト 「小テスト」については、毎回の授業終了時、manaba上において5問以上の、当該コマの小テスト(難易度表示付き)を実施します。
復習・予習課題 復習:ここでのポイントは、データのプロットと解釈である。卒業研究において、作図と解釈ができなければ論を進めることはできない。ここでは、得られたデータを解釈するための重要なスキルを獲得することが目的である。よって、相関係数を計算できるのみならず、その解釈までもセットで理解する必要がある。その理解のためにも、基礎数学において、反復練習は最も重要と言える。これは、理解を深めると同時に、計算へ慣れることができるためである。講義中は、一度説明をした後に各自が練習問題を解き、その後に講義担当教員が解答や解説を示す。しかし、わからなかった問題について、聞いて納得したつもりでも、いざ自分で解こうとすると、必ずしも解けるとは限らない。このようなことを防ぐために、練習問題のプリントを配布する。これを、各自が自宅もしくは大学での空きコマ中に自力で解答することで、真の意味で理解できたといえる。よって、配布した練習問題を自力で解くこととする。ただし、解法がわからない場合は、講義中に使用した資料を参照しても良いこととする。具体的には、コマ用オリジナル資料の9ページの課題を解くこととする。
予習:これまでの講義で学んだ内容のまとめを行うため、これまで本科目で学んだ内容を復習しておくこととする。

15 まとめ 科目の中での位置付け 本講義では、数値解析の基礎となる次の3項目について講義と演習を行う。具体的には、第2回の講義から第6回までの講義にかけては、数量の扱いの基本として、四則演算、有効数字、数学的表記、関数、方程式、不等式の取り扱いの習得を目的として展開される(第1部)。第9回の講義から第12回の講義にかけては、数値表示の基本として指数と対数、指数と対数を含む数の加減乗除算計算、ネイピア数、データの作図方法の習得する(第2部)。第13回の講義と第14回の講義にかけては、数値データの集まりの扱い方として、統計の基礎である平均値、標準偏差の計算法とデータの整理、表とグラフ作成と活用法を習得する(第3部)。第7回の講義では、今後のフィールド生態学科での学びでの数学の使用方法などを説明し、今後の学びの方向づけを行う。第8回講義と第15回講義は、ここまでの学びの確認のための演習を実施する。
今回は、これまで行ってきた1部から3部の内容を総括し、これまでの学びのまとめを行う。

【教材】 ① コマ用オリジナル資料pp. 1-8 丸本嘉彦ら「数学プライマリー」、学術図書出版社、2020年、pp. 1-4、23-24、27-31、34-35、68-69 ② コマ用オリジナル資料pp. 3-4 丸本嘉彦ら「数学プライマリー」、学術図書出版社、2020年、pp. 34-35、44-52、51-52 ③ コマ用オリジナル資料pp. 5-6 丸本嘉彦ら「数学プライマリー」、学術図書出版社、2020年、p. 44-45、51
【参考】 ① 高橋一雄「もう一度 高校数学」、日本実業出版、2009年、pp. 12-27、58-59、70-71、76-77、100-103、114-117、224-245 村上道夫ら「基準値のからくり」、講談社、2014年、pp. 36-38、135-140、pp. 200-202 矢野宏『誤差を科学する どこまで測っても不正確!?』、講談社、1994年、pp. 46-66、70-76 ② 高橋一雄『もう一度 高校数学』、日本実業出版、2009年、pp. 76-81、114-117、124-133、148-151 加茂将史『生態学と化学物質とリスク評価』、共立出版、2017年、pp. 54-59 加茂将史『生態学と化学物質とリスク評価』、共立出版、2017年、pp. 60-64
③ 高橋一雄『もう一度 高校数学』、日本実業出版、2009年、pp. 118-123、134-143 高橋一雄『語りかける高校数学』、ベレ出版、2013年、p. 613-616 芳沢光雄『新体系・高校数学の教科書 上』、講談社、2010年、p. 70-74 日本統計学会編『改訂版 日本統計学会公式認定 統計検定3級対応 データの分析』、東京図書株式会社、2020年、pp. 31-34、55-58、81-91 鳥居泰彦『はじめての統計学』日本経済新聞出版社、1994年、pp. 8-9、33-36、213-218
【教具】 PC
コマ主題細目 ① 数量の扱い ② 数値表示の基本 ③ 数値データの集まり
細目レベル ① 第1部の「数量の扱い」の中で、特に重要と考えられるものは、単位と有効数字といえる。この回では、単位と有効数字について重点的に確認する。測定値の精度は測定器具や方法によって決まり、測定値の記載はその精度を踏まえた上で行わなければならない。測定値の精度を表現するために利用されるのが有効数字という考え方である。有効数字の桁の数え方と有効数字を考慮した計算について学び理解することは、基礎数学の第1部の「数量の扱い」の中で、特に重要と考えられる。理解のためにおさえるべきポイントは、「測定値の記載はその精度を踏まえた上で行う。」、「測定値の精度を表現するために利用されるのが有効数字である」ということである。
② 第2部の「数値表示の基本」の中で特に重要と考えられるものは指数と対数の考え方や計算と作図の考え方である。指数の加減算では位取りの桁(指数表記の「×10^k 」の部分)に注意する。同じ底をもつ指数の乗除算はa^n × a^m = a^(m+n)、a^n ÷ a^m = a^(n-m)となる。無理数では分数の他に円周率とネイピア数であるeを使う。ネイピア数であるeを底とする対数は自然対数とされ、10を底とする常用対数と対比される。また、最も重要な性質は、この数を底とする指数関数を微分しても積分しても結果はe^xとなる。すなわち微積分に対して不変の関数を与えることである。指数関数はy=a^xで表され、その逆関数である対数関数はy=logzxで表される。この時のaは底である。実際のデータ解析では、データの数値を表やグラフにしてみることにより、データの特徴やデータとデータ相互の関係がわかりやすくなる。数直線は1本の直線で、最小値(始点)と最大値(終点)とをもつ有限の線分、始点だけ、あるいは終点だけを持つ半無限の直線、始点も終点もない無限の直線で表される。直線は1次元の図形であるが、2つを直交させることにより2次元の平面上の点を決めることができる。2次元のグラフに表示することにより、数値を単に並べただけではわからない様々な特徴が見えてくる。
③ 第3部の「数値データの集まり」の中で、特に重要と考えられるものは、分散や標準偏差の算出方法といえる。この回では、分散や標準偏差の算出方法について重点的に確認する。分散や標準偏差の基礎となる測定値の集まりの特徴を表す代表値として平均値や中央値がある。データの集まりの特徴を表すには、平均値や中央値だけでなく、値のばらつきの程度を示す必要がある。このばらつきを表現するために用いられるのが分散と標準偏差である。分散は「分散 = 偏差の平方和 / データの個数」である。分散はデータの広がりを表す数であるが、個々のデータや平均値とは異なる次元をもつ。同じ次元にするには分散の平方根を取ればよい。この平方根を標準偏差と呼ぶ(標準偏差2=分散)。標準偏差と分散はデータの散らばり具合を示す代表値として広く使われる量であり、平均値とともにデータ解析の基礎的な量としてよく理解し、計算できるようにしておくことが必要である。これらは2種類のデータグループ間の関係の理解にもつながる。
キーワード ① 接頭語 ② 有効数字 ③ 標準偏差 ④ 分散 ⑤ 相関関係
コマの展開方法 社会人講師 AL ICT PowerPoint・Keynote 教科書
コマ用オリジナル配布資料 コマ用プリント配布資料 その他 該当なし
小テスト 「小テスト」については、毎回の授業終了時、manaba上において5問以上の、当該コマの小テスト(難易度表示付き)を実施します。
復習・予習課題 復習:まとめと演習であるため、重要箇所の演習問題を多くこなすこととなる。基礎数学において、反復練習は最も重要と言える。これは、理解を深めると同時に、計算へ慣れることができるためである。講義中は、一度説明をした後に各自が練習問題を解き、その後に講義担当教員が解答や解説を示す。しかし、わからなかった問題について、聞いて納得したつもりでも、いざ自分で解こうとすると、必ずしも解けるとは限らない。このようなことを防ぐために、練習問題のプリントを配布する。これを、各自が自宅もしくは大学での空きコマ中に自力で解答することで、真の意味で理解できたといえる。よって、配布した練習問題を自力で解くこととする。ただし、解法がわからない場合は、講義中に使用した資料を参照しても良いこととする。具体的には、コマ用オリジナル資料別冊としてこれまで配布した資料や数学プライマリーの演習を解くこととする。
履修判定指標
履修指標履修指標の水準キーワード配点関連回
数量の扱いの基本 有効数字を理解した上で、解答欄に記入された解答をもとに採点し、評価する。四則演算には決まりがあり、これを守らなければ、正答を得られない。1. 乗除算を先に行う。2. 加減算を先に行うときは括弧をつける。3. 交換法則とは、加算(足し算)と乗算(かけ算)の場に成立する。4. 結合法則は、四則演算(加減乗除算)のすべてについて成立する。5. 分配法則は四則演算のすべてについて成立する。これらの知識を用いて換算ができていることを確認する。 計算順序、交換法則、結合法則、分配法則 10 2-15
数列と総和 数列の意味を理解し、与えられた数字の並びから規則性を見いだすことで一般項を求めることができることと、その一般項を用いて与えられた数字の総和についてシグマを用いて求めることができることを、解答欄に記入された解答をもとに採点し、評価する。数列には等差数列や等比数列、階差数列があるが、これらの数列の一般項は初項と項数、公差を用いて表される。また、シグマの計算は変数のべき数によって公式が与えられており、与えられた一般項を展開した後にべき数ごとにシグマ計算を行う必要がある。これらの知識を用いて換算ができていることを確認する。 数列、一般項、項数と公差、シグマの公式 10 3, 7-8, 13-15
測定値の代表値 数値データグループが与えられれば、中央値、相加平均、相乗平均を求めることができることを、解答欄に記入された解答をもとに採点し、評価する。比較的簡単な計算などで得られる測定値の代表値には次のようなものがある。最大値、最小値、中央値(メディアン)、平均値、最頻値(モード)が挙げられる。平均値はデータの総和をデータの個数で割ることで表されることが最も多く、これを相加平均と呼ぶ。相加平均は算術平均とも呼ばれる。これに対して、データグループの特徴や解析の目的によって相乗平均(幾何平均ともいう)を求めることもある。これは、データの積にデータの個数のn乗根を取ったものである。これを計算などで求めることできることを確認する。これらの知識を用いて換算ができていることを確認する。 平均値、中央値、最小値、最大値 10 13-15
有効数字 有効数字の意味を理解し、それを考慮して足し算、引き算、掛け算、割り算ができることを、解答欄に記入された解答をもとに採点し、評価する。有効数字では、数値の中にゼロがある場合には、その桁の読み方に注意が必要である。1. 有効数字の最初の数字は、ゼロではない最高位の数字となる。2. 二つの有効数字の間にあるゼロは有効数字である。3. 小数点以降のゼロは有効数字である。4. 十、百、千などを表すゼロの使い方について、これらが有効数字なのか、位取りなのかは一般には分からない。この場合には精度を明確に示すか、あるいは指数表記で表してもらう。5. 有効数字の桁数は、単位の取り方とは無関係である。6. 気体定数、アボガドロ定数などの定数、円周率など、これらは、最も有効数字の桁数が少ないものよりも2桁多くとり、その後の数字は切り捨てて計算に用いる。7. 実験の回数、百分率を求めるための100、原子価を示す数などについて、これらは有効数字を考えなくてよい。これらの知識を用いて換算ができていることを確認する。 有効数字、精度、定数 10 3, 7-8, 13-15
指数表示と接頭語 10のべき乗を用いた指数表示と四則演算ができる。10のべき乗と接頭語の対応関係がわかることを、解答欄に記入された解答をもとに採点し、評価する。大きな数や小さな数に単位をつけて表す時、キロ、メガ、ミリ、マイクロなどの接頭語を単位の前につけて呼ぶことがしばしばある。データを扱うときには、これにも慣れておく必要がある。与えられた接頭語が10の何乗を表すかを理解しているかを確認する。指数表記をした数の演算にはいくつかのポイントがある。加減算について、位取りの桁に注意して行う。まず、指数表記の「×10^k 」の部分を揃える、その後に仮数部を計算する。その際に、仮数部を足し算したあとの、小数点の左を一桁になおして書き表すことに注意する。乗除算について、仮数部と指数部を別々に計算し、結果を小数点の左一桁にして書き表す。これらの知識を用いて計算ができていることを確認する。 10のべき乗、接頭語、仮数部、指数部 10 2-3, 7-8, 15
分率 百分率(%)、百万分率(ppm)、10億分率(ppb)などのさまざまな分率を理解し、互いに換算することができることを、解答欄に記入された解答をもとに採点し、評価する。「百分率」は「パーセント」と呼ばれ「%」と書く。1 % は 0.01であり、つまり1×10^-2である。「百万分率」は、ppm(ピーピーエム)と呼ば
れ、1 ppm は1×10^-6である。「10億分率」は、ppb(ピーピービー)と呼ばれ、1 ppb は1×10^-9である。これらの知識を用いて換算ができていることを確認する。
百分率(%)、百万分率(ppm)、10億分率(ppb) 10 2, 7-8, 13-15
測定値のバラツキ 数値データグループが与えられれば、分散や標準偏差を求めることができることを、解答欄に記入された解答をもとに採点し、評価する。偏差の定義は、「偏差 =個別のデータ – 平均値」である。分散は「分散 = 偏差の平方和 / データの個数」である。分散の平方根を標準偏差と呼ぶ(標準偏差^2=分散)。標準偏差と分散はデータの散らばり具合を示す代表値として広く使われる量である。これらの知識を用いて計算ができていることを確認する。 範囲、標準偏差、分散 10 13-15
方程式の理解 方程式を計算して解を求め、不等式の場合はその解の範囲を示すことができることを、解答欄に記入された解答をもとに採点し、評価する。未知数が2つの方程式である連立方程式の解を求めるには2つの式が必要であり、2つの式を加減法もしくは代入法を用いて解となる2つの未知数の値を求める。加減法とは消したい文字の係数をそろえる方法であり、代入法とは消したい文字をもう一方の文字で表す方法である。不等式では方程式を適切に計算し、解の範囲を明確に示すことがポイントとなる。これらの知識を用いて計算ができていることを確認する。 連立方程式、不等式、数直線 10 4-8、11、15
対数と指数の理解 対数と指数について計算できることを、解答欄に記入された解答をもとに採点し、評価する。同じ底をもつ指数の乗除算については、次に示す通りに成り立つ。a^n × a^m = a^(m+n) 、a^n ÷ a^m = a^(n-m) となる。ただし、仮数部の小数点の左を一桁になおして書き表すことや、仮数部は小数点の左に0でない数一桁として書き表すなどがポイントとなる。対数計算の公式は以下のようになる。loga1 = 0、loga a = 1である。loga MN= loga M + loga Nである。loga M/N = loga M − loga Nである。loga M^P = ploga Mである。loga b = logc b / logc aである(底の変換)。これらの知識を用いて計算ができていることを確認する。 対数関数、指数関数、底、べき乗、底の変換、暗算 10 7、9-12、15
図の作成 2次元座標を用いて測定値をプロットできることを、解答欄に記入された解答をもとに採点し、評価する。また、このとき、軸のタイトル、軸の目盛等を正しく記入できることも、作図の上で必要不可欠な要素であるため、評価する。作図については、解答用紙として専用の方眼用紙が添付されている。これには、マス目が切られているのみで、各自が自由に目盛りを打つことができるものとする。これらの知識を用いて作図ができていることを確認する。 グラフ、直交座標、軸のタイトル、軸の目盛 10 7、11-15
評価方法 期末試験(100%)により行う。 *成績発表後、教務課にて試験・レポートに関する総評が閲覧できます。
評価基準 評語
    学習目標をほぼ完全に達成している・・・・・・・・・・・・・ S (100~90点)
    学習目標を相応に達成している・・・・・・・・・・・・・・・ A (89~80点)
    学習目標を相応に達成しているが不十分な点がある・・・・・・ B (79~70点)
    学習目標の最低限は満たしている・・・・・・・・・・・・・・ C (69~60点)
    学習目標の最低限を満たしていない・・・・・・・・・・・・・ D (60点未満)
教科書 丸本嘉彦ら 「数学プライマリー」、講談社、2020年
参考文献 高橋一雄「もう一度 高校数学」、日本実業出版、2009年、村上道夫ら「基準値のからくり」、講談社、2014年、矢野宏『誤差を科学する どこまで測っても不正確!?』、講談社、1994年、加茂将史『生態学と化学物質とリスク評価』、共立出版、2017年、高橋一雄『語りかける高校数学』、ベレ出版、2013年、芳沢光雄『新体系・高校数学の教科書 上』、講談社、2010年、日本統計学会編『改訂版 日本統計学会公式認定 統計検定3級対応 データの分析』、東京図書株式会社、2020年、鳥居泰彦『はじめての統計学』日本経済新聞出版社、1994年
実験・実習・教材費 関数電卓、PC