区分
専門基礎科目-人体の構造と機能
ディプロマ・ポリシーとの関係
実践能力
倫理観
専門性探求
地域社会貢献
グローバル性
カリキュラム・ポリシーとの関係
豊かな人間性
広い視野
知識・技術
判断力
探求心
カリキュラム全体の中でのこの科目の位置づけ
看護の対象となる患者さんの病気を理解するための基礎知識を学ぶ
科目の目的
生体を構成する各臓器について、その構造とはたらきに関する基礎的な知識を習得する。臓器の正常の構造と機能を正しく理解することにより、機能障害や疾病と関連づけて、臨床で必要とされる基本的な知識を身につける。国家試験で要求される水準の知識を、1年生から確実に学習する。この科目では、解剖生理学のうち、看護の土台となる解剖生理学、細胞と組織、皮膚と膜、血液(赤血球、白血球、血小板と凝固機能)、循環器系(心臓、動脈、静脈、門脈、リンパ管)呼吸器(上気道、気管、肺)、消化器(口腔、食道、胃、十二指腸、小腸、大腸、肝臓、胆嚢、膵臓)、泌尿器(腎臓、尿管、膀胱、尿道)の解剖と生理について学習する。看護学とは病的状態のヒトとの関わりかたを学ぶ学問であり、まずは臓器の正常の構造と機能を十分に理解してこそどこが病的なのかを知ることが出来るので、この科目はすべての基礎となる内容を含んでいて極めて重要である。
到達目標
人体を構成する各々の臓器の構造とはたらきを説明できる。各臓器の代表的な疾病と関連づけて、臓器の正常なはたらきと機能不全の状態との違いを理解する。人体の解剖と生理に関する看護師国家試験問題レベルの基本的な知識を身につける。具体的項目については、履修判定指標を参照。
科目の概要
看護の土台となる解剖生理学、細胞と組織、皮膚と膜、血液(赤血球、白血球、血小板と血液凝固、血液型と輸血)、循環器系(心臓、血管、リンパ系)、呼吸器(上気道、気管、肺)、消化器(口腔、食道、胃、十二指腸、小腸、大腸、肝臓、胆嚢、膵臓)、泌尿器(腎臓、尿管、膀胱、尿道)について、各々の構造と機能について学習する。ここでは、同じ働きを持つ人体の各部分をまとめて機能別に学ぶ系統解剖学の考え方から、それぞれの臓器について、構造(解剖学)と機能(生理学)を同時に並行して学習する。それぞれの項目に関連する臨床的に頻度の高い代表的な疾病を例示し、各々の病態、発病のしくみ、治療法と関連づけながら、臓器の正常な構造・はたらきと機能不全状態(病気)のちがいを理解する。科目担当教員は、京都大学医学部附属病院及び愛媛大学医学部附属病院で医学教育、外科医として手術・術後管理を担当した。
科目のキーワード
解剖学、生理学、ホメオスタシス、フィードバック、細胞、組織、膜、体温、血球、血液凝固、心臓、動脈、静脈、門脈、リンパ管、呼吸、ガス交換、⾷物、栄養素、消化酵素、排泄、⾎液濾過、濃縮
授業の展開方法
解剖生理学は人体の構造と機能を学ぶ学問であるが、構造については、教科書の図に示された体のさまざまな部位の名称を新たに覚える必要がある。たとえば「おしり→臀部」のように日常では使用しない医学用語、胸鎖乳突筋のようにどこにあるのかわからない筋肉の名前などを正しく漢字で看護記録に記載できるようにならなければならない。また機能については、様々な臓器のはたらきが模式的に教科書の図表に説明されている。そこで、教科書「ナーシング・グラフィカ 人体の構造と機能① 解剖生理学 第4版」の本文の記述を忠実にたどりながら、掲載されている図表の解説をすすめる。また必要に応じて理解を深めるための参考資料を配付する。また講義の理解度を自己点検するため「manaba」を用いた小テストを実施する。
オフィス・アワー
研究室704:火曜2限
E-mail:k-honda@uhe.ac.jp
科目コード
ERD01
学年・期
1年・前期
科目名
解剖生理学Ⅰ
単位数
2
授業形態
講義
必修・選択
必修
学習時間
【講義】60h
【予習・復習】30h
前提とする科目
高校の生物
展開科目
病理学、疾病・治療論Ⅰ、疾病・治療論Ⅱ、疾病・治療論Ⅲ
関連資格
看護師資格 保健師資格
担当教員名
本田和男・松山キャンパス教務課
回
主題
コマシラバス項目
内容
教材・教具
1
看護の土台となる解剖生理学
科目の中での位置付け
この科目では、看護の土台となる解剖生理学、細胞と組織、皮膚と膜、血液(赤血球、白血球、血小板と凝固機能)、循環器系(心臓、動脈、静脈、門脈、リンパ管)、呼吸器(上気道、気管、肺)、消化器(口腔、食道、胃、十二指腸、小腸、大腸、肝臓、胆嚢、膵臓)、泌尿器(腎臓、尿管、膀胱、尿道)の解剖と生理について学習する。解剖では、マクロからミクロにいたるまでの臓器の構成要素の構造と、各々の部位の医学的名称、また互いに関連する臓器や構成要素の立体的な位置関係について学習する。生理では、細胞レベルから臓器レベルまでの生化学的・物理的なはたらきについて学習する。看護の土台となる解剖生理学では、解剖学・生理学の基本的概念、解剖学的用語、ホメオスタシス、フィードバック機構について学習する。細胞と組織(体を構成するしくみ)では、細胞の構造、細胞の機能、細胞の分化と成長、老化、上皮組織、支持組織、筋組織、神経組織について学数する。皮膚と膜(体や臓器を守るしくみ)では体内の膜、皮膚、体熱産生と体温について学習する。このコマでは、解剖学、生理学、解剖生理学と看護、解剖学的用語、ホメオスタシス、フィードバック機構について学習する。
「ナーシング・グラフィカ 人体の構造と機能① 解剖生理学 第4版」12頁~27頁
コマ主題細目
① 解剖学、生理学とは ② 解剖学的用語 ③ ホメオスタシスとフィードバック
細目レベル
① 解剖学には、系統解剖学(同じ機能を持つ人体の部分をまとめて学ぶ。呼吸器系、循環器系などの分けて学ぶ)、局所解剖学(人体のある部分(例えば頭部)に何があるか学ぶ。外科手術と関連が深い)、肉眼解剖学(メスやピンセットを用い肉眼で人体の構造を観察する)、顕微鏡解剖学(光学顕微鏡や電子顕微鏡を用いて体の微細構造を調べる方法をいい、組織学とも呼ばれる)がある。生理学は人体の構成要素(細胞、組織、器官、器官系)の固有の働き(機能)を学ぶ学問で、各構成要素の機能とともに構成要素相互の作用も重要である。実際の看護の現場では、経験的に良いとわかっている看護行為にはそれを証明する科学的事実があり、解剖生理学の知識はそれらの事実を理解する助けになる。この科目では生理学と同時に学ぶので系統解剖学の方法で講義をすすめる。
② 人体のどこに何があるかを理解するためには、人体を小さく区切ると便利である。解剖学的正常位は基本となる姿勢で、両足を前に向けて直立し、上肢をわきに垂らし手掌を前に向け手指を伸ばした状態である。臨床で用いる良肢位の元となる。上肢は手と前腕と上腕、下肢は足と下腿と大腿を意味する。解剖学では手は手首から先だけ、足は足首から先だけを意味するので注意が必要である。人体の断面を示す用語として、矢状面(人体を左右に分ける面で、左右対称に分ける面は正中矢状面)、前頭面(人体を前後に分ける面)、水平面(人体を水平に上下に分ける面)がある。これらの面は、CT(コンピューター断層撮影)やMRI(核磁気共鳴画像撮影法)の画像を読影するときに重要である。体幹は、頭、頸(前面は頸、後面は項)、胸(前面)、腹(前面)、背(胸腹部の後面)、骨盤(後面上方が腰、後面下方が臀部)からなる。体腔としては胸腔と腹腔があり、それぞれ胸部内臓(心臓や肺など)腹部内臓(消化管や肝臓膵臓など)を収める。
③ 生体では、絶えず変化する外界の刺激に対して、体内環境を限られた一定の範囲内に保とうとするしくみがあり、これをホメオスタシス(恒常性)と呼ぶ。生体には環境の変化を感知するセンサー(受容器)の情報を元に調節中枢が指示を出し、エフェクター(効果器)により恒常性が保たれている。外部からの入力があるシステムで変換されて出力される場合に、その出力が入力にもどされて入力を調節することをフィードバックとよぶ。生体内で見られるフィードバックは、ほとんどが負のフィードバック(出力が多くなると入力を少なくして安定させる)である。生体内で正のフィードバック(出力が増加するとさらに出力を増大させるように制御する)がおこるのは、分娩時のホルモン制御(オキシトシンによる子宮の収縮が始まるとさらにオキシトシンの分泌量を増やして分娩を促進する)など限られた場合である。
キーワード
① 系統解剖学、生理学 ② 解剖学的正常位、矢状面、前頭面、水平面 ③ 恒常性、受容器、効果器、負のフィードバック、正のフィードバック
コマの展開方法
社会人講師
AL
ICT
PowerPoint・Keynote
教科書
コマ用オリジナル配布資料
コマ用プリント配布資料
その他
該当なし
小テスト
「小テスト」については、毎回の授業終了時、manaba上において5問以上の、当該コマの小テスト(難易度表示付き)を実施します。
復習・予習課題
予習方法:教科書「ナーシング・グラフィカ 人体の構造と機能① 解剖生理学 第4版」12頁~27頁を熟読し、読み方のわからない医学用語に下線を引いておく。また医学用語についての説明が理解できない部分もチェックしておき、講義中に疑問が解消できなければ積極的に質問して疑問点を放置しないように準備する。掲載されている図表の説明文を確認し、本文の記述のどの部分と関連しているのかを確認しておく。
復習方法:教科書の該当部に目を通し、講義で示された重要なポイントを再確認する。また図表については、その表す意味が理解出来ているか再度チェックする。当日配布された資料については、それぞれの項目について講義で示された内容を試験問題として出題された場合に備えて、簡潔に記述し説明できるか確認しておく。理解が不十分な点を自己チェックし、再度、教科書「ナーシング・グラフィカ 人体の構造と機能① 解剖生理学 第4版」の該当する記述を復習する。
2
細胞の構造
科目の中での位置付け
この科目では、看護の土台となる解剖生理学、細胞と組織、皮膚と膜、血液(赤血球、白血球、血小板と凝固機能)、循環器系(心臓、動脈、静脈、門脈、リンパ管)、呼吸器(上気道、気管、肺)、消化器(口腔、食道、胃、十二指腸、小腸、大腸、肝臓、胆嚢、膵臓)、泌尿器(腎臓、尿管、膀胱、尿道)の解剖と生理について学習する。解剖では、マクロからミクロにいたるまでの臓器の構成要素の構造と、各々の部位の医学的名称、また互いに関連する臓器や構成要素の立体的な位置関係について学習する。生理では、細胞レベルから臓器レベルまでの生化学的・物理的なはたらきについて学習する。看護の土台となる解剖生理学では、解剖学・生理学の基本的概念、解剖学的用語、ホメオスタシス、フィードバック機構について学習する。細胞と組織(体を構成するしくみ)では、細胞の構造、細胞の機能、細胞の分化と成長、老化、上皮組織、支持組織、筋組織、神経組織について学数する。皮膚と膜(体や臓器を守るしくみ)では体内の膜、皮膚、体熱産生と体温について学習する。このコマでは、細胞の大きさ、成り立ち、核、細胞膜、細胞質ゾル、細胞内小器官ついて学習する。
「ナーシング・グラフィカ 人体の構造と機能① 解剖生理学 第4版」28頁~39頁
コマ主題細目
① 細胞の大きさ、成り立ち ② 核 ③ 細胞膜、細胞質、細胞内小器官
細目レベル
① 細胞は直径10~30マイクロメーターのものが多い。形態は、球形、立方形、柱状、紡錘形、星形など多種多様である。細胞は半透膜である細胞膜に包まれで外界と境されている。内部は、核と細胞質に分けられる。細胞質には、一定の形態を持ち特有の機能を営む構造物があり、これを細胞内小器官という。細胞は、元素に分解すると炭素、酸素、水素、窒素の4種類が最もが多く含まれていてこれらの元素を元にして有機化合物がくくられる。主な有機化合物は、糖質(単糖類、二糖類、多糖類)、脂質(脂肪酸、中性脂肪、リン脂質、コレステロール、プロスタグランディン)、アミノ酸とアミノポリマー(ペプチド、タンパク質)、核酸(DNA、RNA)を作っている。その他は数種類の元素(カリウム、ナトリウム、カルシウム、鉄、要素、マグネシウム、亜鉛、塩素、硫黄、リン等)からなる。
② 核は細胞の構造と機能の遺伝的特性を決定する中枢である。核に含まれる遺伝子が細胞の代謝活性をコントロールし、生命現象を決定づける。遺伝子の本体はDNAで、いわば人体を作る設計図で生命活動に必要なすべての遺伝情報が含まれている。DNAには2つの役割があり、一つは細胞分裂の時にDNAが複製され遺伝情報を新しい細胞に伝える。またDNAは体を構成するタンパク質のアミノ酸配列情報をmRNAに伝え、mRNAは核から細胞質のリボソームに移動して、アミノ酸配列が規定されさまざまなタンパク質が作られる。核は核膜によって細胞質から隔てられ、核の内部は核質と呼ばれ染色質(クロマチン)と核小体、核液からなる。染色質は細胞分裂の時にらせん状に凝縮して光学顕微鏡で染色体として観察される。ヒトの染色体数は46本で、22対の常染色体と1対の性染色体からなる。
③ 細胞膜はリン脂質の二重層からなり、コレステロールやタンパク質が膜を貫通している。細胞膜のリン脂質は水をはじきほとんどの水溶性分枝を通さないため、細胞内の水溶性成分の流出を防ぐ。膜タンパク、はイオンチャンネルタンパク、膜ポンプタンパク、輸送タンパクなどで、水やイオン、水溶性分子を必要に応じて通過させる。又酵素やレセプターとしても働く。ミトコンドリアは細胞内エネルギー物質であるATPを作っている場である。小胞体はタンパク質や脂質の合成に関与し物質の細胞内輸送を行う。粗面小胞体は表面にリボソームが付着していて、タンパク質合成の盛んな分泌細胞で発達している。滑面小胞体はリボソームが付着していないもので、コレステロール、脂質の合成に関与する。ゴルジ装置はタンパク質を濃縮し、多糖類を付加したり一部を切り落としたりして修飾し膜で包装して分泌顆粒として送り出す。リボソームはタンパク質を合成する場である。リソソームは加水分解酵素を含み異物や老廃物を消化する。
キーワード
① 糖質、脂質、有機化合物、元素 ② DNA、mRNA、染色体 ③ リン脂質、二重層、ミトコンドリア、リボソーム、リソソーム
コマの展開方法
社会人講師
AL
ICT
PowerPoint・Keynote
教科書
コマ用オリジナル配布資料
コマ用プリント配布資料
その他
該当なし
小テスト
「小テスト」については、毎回の授業終了時、manaba上において5問以上の、当該コマの小テスト(難易度表示付き)を実施します。
復習・予習課題
予習方法:教科書「ナーシング・グラフィカ 人体の構造と機能① 解剖生理学 第4版」28頁~39頁を熟読し、読み方のわからない医学用語に下線を引いておく。また医学用語についての説明が理解できない部分もチェックしておき、講義中に疑問が解消できなければ積極的に質問して疑問点を放置しないように準備する。掲載されている図表の説明文を確認し、本文の記述のどの部分と関連しているのかを確認しておく。
復習方法:教科書の該当部に目を通し、講義で示された重要なポイントを再確認する。また図表については、その表す意味が理解出来ているか再度チェックする。当日配布された資料については、それぞれの項目について講義で示された内容を試験問題として出題された場合に備えて、簡潔に記述し説明できるか確認しておく。理解が不十分な点を自己チェックし、再度、教科書「ナーシング・グラフィカ 人体の構造と機能① 解剖生理学 第4版」の該当する記述を復習する。
3
細胞の機能
科目の中での位置付け
この科目では、看護の土台となる解剖生理学、細胞と組織、皮膚と膜、血液(赤血球、白血球、血小板と凝固機能)、循環器系(心臓、動脈、静脈、門脈、リンパ管)、呼吸器(上気道、気管、肺)、消化器(口腔、食道、胃、十二指腸、小腸、大腸、肝臓、胆嚢、膵臓)、泌尿器(腎臓、尿管、膀胱、尿道)の解剖と生理について学習する。解剖では、マクロからミクロにいたるまでの臓器の構成要素の構造と、各々の部位の医学的名称、また互いに関連する臓器や構成要素の立体的な位置関係について学習する。生理では、細胞レベルから臓器レベルまでの生化学的・物理的なはたらきについて学習する。看護の土台となる解剖生理学では、解剖学・生理学の基本的概念、解剖学的用語、ホメオスタシス、フィードバック機構について学習する。細胞と組織(体を構成するしくみ)では、細胞の構造、細胞の機能、細胞の分化と成長、老化、上皮組織、支持組織、筋組織、神経組織について学数する。皮膚と膜(体や臓器を守るしくみ)では体内の膜、皮膚、体熱産生と体温について学習する。このコマでは、細胞と間質との間の物質輸送、細胞分裂と遺伝情報細胞の分化と成長、細胞の老化について学習する。
「ナーシング・グラフィカ 人体の構造と機能① 解剖生理学 第4版」39頁~51頁
コマ主題細目
① 細胞と間質の間の物質輸送 ② 細胞分裂と遺伝情報 ③ 分化、成長、老化
細目レベル
① 細胞は細胞膜で外部から隔てられることによりきわめて特異性の高い内部環境を保っている。そのため細胞膜は物質の種類や状態によって通過させたりさせなかったりする選択的透過性を持っている。膜を通過しての物質輸送には、受動輸送と能動輸送がある。受動輸送は濃度勾配に従って物質が単純拡散することによっておこる。分子量の大きい物質が担体の助けを借りて拡散することを促進拡散という。半透膜を水が拡散することを浸透といい、水の浸透を防ぐ力を浸透圧という。細胞内液と同じ浸透圧であれば等張液、高ければ高張液、低ければ低張液という。能動輸送は、エネルギーを使って膜を通過する。溶質ポンプ輸送、エンドサイトーシス、エキソサイトーシスがある。
② 体細胞の分裂では1個の細胞から遺伝的に全く等しい2個の娘細胞が作られる。同じ遺伝情報を2個の娘細胞に渡すために、DNAの複製が行われて染色体数が2倍となり、次いで細胞質の分裂が行われて2個の娘細胞が生まれる。この過程は細胞周期と呼ばれ、DNA合成前期(G1)、DNA合成期(S)、DNA合成後期(G2),分裂期(M)にわけられる。受精は精子と卵子の合体によって起こり新しい個体が出来るが、精子と卵子はそれぞれ父由来と母由来の23本の染色体を持つ。このように生殖細胞の分裂では減数分裂という特殊な分裂が行われ、染色体の数は半減する。卵子や精子を作るため生殖細胞は2回の分裂を行うが、DNAの複製は1回しか行われない。第一分裂で父親由来のDNAと母親由来のDNAが複製され、それぞれの間で遺伝子の部分交換(交叉、組み換え、乗換え)が行われる。第二分裂でDNA量が半分で23本の染色体を持つ細胞が完成する。
③ 細胞の分化とは、何にでもなり得る細胞から、特定の機能と形態を持つ細胞に変化することをいう。細胞増殖には三通りのパターンがある、常に細胞の分裂増殖・細胞死が行われているのは皮膚や小腸上皮、造血細胞などである。普段は増殖を停止しているが必要に応じて増殖するのは肝細胞や血管内皮細胞などで、肝臓の一部が切除されると肝細胞が分裂増殖し肝臓はもとの大きさに回復する。成熟後は二度と分裂しないのは神経細胞や心筋細胞で、これらは障害を受けると再生しないため、さまざまな遺伝子工学を応用したいわゆる再生医療の対象となる。細胞の老化に対いては、染色体の末端にある特殊な構造物であるテロメアが分裂のたびに短くなり、最後には分裂できなくなる。このテロメアを修復する酵素テロメラーゼが関与しているという説もある。
キーワード
① 受動輸送、能動輸送、浸透圧 ② DNA複製、細胞周期、減数分裂 ③ 分化、老化、テロメア
コマの展開方法
社会人講師
AL
ICT
PowerPoint・Keynote
教科書
コマ用オリジナル配布資料
コマ用プリント配布資料
その他
該当なし
小テスト
「小テスト」については、毎回の授業終了時、manaba上において5問以上の、当該コマの小テスト(難易度表示付き)を実施します。
復習・予習課題
予習方法:教科書「ナーシング・グラフィカ 人体の構造と機能① 解剖生理学 第4版」39頁~51頁を熟読し、読み方のわからない医学用語に下線を引いておく。また医学用語についての説明が理解できない部分もチェックしておき、講義中に疑問が解消できなければ積極的に質問して疑問点を放置しないように準備する。掲載されている図表の説明文を確認し、本文の記述のどの部分と関連しているのかを確認しておく。
復習方法:教科書の該当部に目を通し、講義で示された重要なポイントを再確認する。また図表については、その表す意味が理解出来ているか再度チェックする。当日配布された資料については、それぞれの項目について講義で示された内容を試験問題として出題された場合に備えて、簡潔に記述し説明できるか確認しておく。理解が不十分な点を自己チェックし、再度、教科書「ナーシング・グラフィカ 人体の構造と機能① 解剖生理学 第4版」の該当する記述を復習する。
4
人体を構成する4種の組織
科目の中での位置付け
この科目では、看護の土台となる解剖生理学、細胞と組織、皮膚と膜、血液(赤血球、白血球、血小板と凝固機能)、循環器系(心臓、動脈、静脈、門脈、リンパ管)、呼吸器(上気道、気管、肺)、消化器(口腔、食道、胃、十二指腸、小腸、大腸、肝臓、胆嚢、膵臓)、泌尿器(腎臓、尿管、膀胱、尿道)の解剖と生理について学習する。解剖では、マクロからミクロにいたるまでの臓器の構成要素の構造と、各々の部位の医学的名称、また互いに関連する臓器や構成要素の立体的な位置関係について学習する。生理では、細胞レベルから臓器レベルまでの生化学的・物理的なはたらきについて学習する。看護の土台となる解剖生理学では、解剖学・生理学の基本的概念、解剖学的用語、ホメオスタシス、フィードバック機構について学習する。細胞と組織(体を構成するしくみ)では、細胞の構造、細胞の機能、細胞の分化と成長、老化、上皮組織、支持組織、筋組織、神経組織について学数する。皮膚と膜(体や臓器を守るしくみ)では体内の膜、皮膚、体熱産生と体温について学習する。このコマでは、形態による上皮組織の分類、機能による上皮組織の分類、腺、結合組織、軟骨組織、骨組織、筋組織、神経組織について学習する。
「ナーシング・グラフィカ 人体の構造と機能① 解剖生理学 第4版」51頁~61頁
コマ主題細目
① 上皮組織 ② 支持組織 ③ 筋組織、神経組織
細目レベル
① 上皮組織は体の表面や管腔の体腔をおおう細胞集団で、分泌能力を持つようになったものを腺という。細胞の形から単層扁平上皮(血管内皮、肺胞上皮などの物質交換を行う場所、胸腔・腹腔壁や臓器をおおう漿膜の上皮(中膜))、単層立方上皮(甲状腺の濾胞上皮、腎臓の尿細管)、単層円柱上皮(胃・腸の粘膜上皮)、多列上皮(単層円柱上皮の不揃いのもの:多列線毛上皮は気道)重層扁平上皮(皮膚、口腔、膣)、重層円柱上皮(結膜円蓋、軟口蓋)、移行上皮(腎盂、尿管、膀胱)がある。腺には外分泌腺と内分泌腺がある。外分泌とは体表や管腔に分泌物が放出され、導管を通ることが多い。外分泌形式として、開口分泌(エキソサイトーシス:汗腺、唾液腺など)、離出分泌(アポクリン分泌:乳腺、腋窩線)、全分泌(皮脂腺、瞼板腺)がある。内分泌では血管内皮細胞を通過して血管内に放出される。
② 結合組織は上皮細胞を裏打ちしたり、細胞や組織器官を包んだり結合したりしてこれらを支持する。結合組織は線維芽細胞が各種の繊維やほとんどの細胞外成分を産生する。そのほかには形質細胞(抗体産生)、肥満細胞(ヒスタミン産生)、マクロファージ(異物貪食)、白血球(免疫や異物処理)などが存在する。線維成分には膠原線維(1型コラーゲン)、細網線維(Ⅲ型コラーゲン)があり、組成はグリコサミノグリカンとプロテオグリカン、糖タンパクと組織液からなる。疎性結合組織、密性結合組織、細網組織、脂肪組織、膠様組織等の種類がある。軟骨組織は、硝子軟骨、弾性軟骨、線維軟骨がある。骨組織は、骨新生には骨芽細胞、骨吸収には破骨細胞が働く。
③ 筋組織は収縮運動をする筋細胞が筋繊維を形成し、アクチンフィラメントとミオシンフィラメントの相互作用により収縮する。骨格筋は縞模様のある横紋筋で作られ、随意運動をするが再生能は低い。平滑筋は縞模様がなく内臓などの不随意筋にみられ再生能が高い。心筋は不随意筋で再生しないため、心筋梗塞などで壊死をおこすと瘢痕になる。神経細胞(ニューロン)は、刺激に反応して細胞膜が脱分極して活動電位を生じ、その活動電位を軸索で伝導し、軸索末端で化学物質により興奮を他の神経細胞に伝達する。複数の細胞間を神経伝達物質を介して刺激を伝達することにより、情報を伝達する。神経組織中で神経細胞を支える細胞を、中枢ではグリア細胞、末梢ではシュワン細胞と呼ぶ。
キーワード
① 扁平上皮、円柱上皮、移行上皮 ② 線維芽細胞、骨芽細胞、破骨細胞、 ③ アクチンフィラメント、ミオシンフィラメント、神経伝達物質、グリア細胞、シュワン細胞
コマの展開方法
社会人講師
AL
ICT
PowerPoint・Keynote
教科書
コマ用オリジナル配布資料
コマ用プリント配布資料
その他
該当なし
小テスト
「小テスト」については、毎回の授業終了時、manaba上において5問以上の、当該コマの小テスト(難易度表示付き)を実施します。
復習・予習課題
予習方法:教科書「ナーシング・グラフィカ 人体の構造と機能① 解剖生理学 第4版」51頁~61頁を熟読し、読み方のわからない医学用語に下線を引いておく。また医学用語についての説明が理解できない部分もチェックしておき、講義中に疑問が解消できなければ積極的に質問して疑問点を放置しないように準備する。掲載されている図表の説明文を確認し、本文の記述のどの部分と関連しているのかを確認しておく。
復習方法:教科書の該当部に目を通し、講義で示された重要なポイントを再確認する。また図表については、その表す意味が理解出来ているか再度チェックする。当日配布された資料については、それぞれの項目について講義で示された内容を試験問題として出題された場合に備えて、簡潔に記述し説明できるか確認しておく。理解が不十分な点を自己チェックし、再度、教科書「ナーシング・グラフィカ 人体の構造と機能① 解剖生理学 第4版」の該当する記述を復習する。
5
体内の膜と皮膚
科目の中での位置付け
この科目では、看護の土台となる解剖生理学、細胞と組織、皮膚と膜、血液(赤血球、白血球、血小板と凝固機能)、循環器系(心臓、動脈、静脈、門脈、リンパ管)、呼吸器(上気道、気管、肺)、消化器(口腔、食道、胃、十二指腸、小腸、大腸、肝臓、胆嚢、膵臓)、泌尿器(腎臓、尿管、膀胱、尿道)の解剖と生理について学習する。解剖では、マクロからミクロにいたるまでの臓器の構成要素の構造と、各々の部位の医学的名称、また互いに関連する臓器や構成要素の立体的な位置関係について学習する。生理では、細胞レベルから臓器レベルまでの生化学的・物理的なはたらきについて学習する。看護の土台となる解剖生理学では、解剖学・生理学の基本的概念、解剖学的用語、ホメオスタシス、フィードバック機構について学習する。細胞と組織(体を構成するしくみ)では、細胞の構造、細胞の機能、細胞の分化と成長、老化、上皮組織、支持組織、筋組織、神経組織について学数する。皮膚と膜(体や臓器を守るしくみ)では体内の膜、皮膚、体熱産生と体温について学習する。このコマでは、漿膜、粘膜、結合組織性の膜、皮膚の構造、皮膚の機能、皮膚の付属器について学習する。
「ナーシング・グラフィカ 人体の構造と機能① 解剖生理学 第4版」62頁~76頁
コマ主題細目
① 体内の膜 ② 皮膚の構造と機能 ③ 皮膚の付属器、皮膚の成長と老化
細目レベル
① 漿膜とは、体腔(腹腔、胸腔、心嚢)の表面(壁側漿膜)や、それらの中の臓器の表面をおおう膜(臓側漿膜)で、漿膜で囲まれた漿膜腔は、外界と交通しておらず、漿膜には皮膚や粘膜との連続もない。漿膜腔には潤滑のため少量の漿液が分泌され、これらは腹水、胸水、心嚢液などである。粘膜は外海と交通のある臓器(眼・中耳・呼吸器・消化器・泌尿器・生殖器)の内面をおおう細胞集団で、潤滑な膜である。口腔や食道は扁平上皮、胃や腸では円柱上皮、泌尿器系では移行上皮である。粘膜は器官の表面を保護し、粘液を分泌して表面を粘稠に保ち、水・電解質・栄養などを吸収・分泌して粘膜下組織の環境を維持する。関節腔の内側は滑膜、脳脊髄は髄膜でおおわれる。
② 皮膚は表皮と真皮の2層でできていて、表皮には角質層と表皮細胞(重層扁平上皮)があり、ケラチンを形成して徐々に扁平となり角化がおこる。真皮は繊維性結合組織でできていて、血管・汗腺・脂腺・毛根・立毛筋・圧受容体などが存在する。その下に皮下組織があり疎性結合組織や脂肪組織で出来ている。皮膚の色素はメラニンで表皮の基底層にあるメラニン細胞で作られ、その量と存在部位、蓄積の様子によって、見かけの色が決まる。又血液の色調の影響も受け、真皮の毛細血管が拡張すると赤くなり、血量の減少や貧血で蒼白になる。ヘモグロビンの酸素飽和度が低下すると口唇が紫色となりチアノーゼと呼ばれる。皮膚の役割は、外力や温度変化、紫外線や酸、アルカリ、病原微生物などからの体の保護である。また体組織を支持したり、血流の調節による体温の調節、発汗による体温の調節を行っている。
③ 付属器として、毛、爪、皮脂腺、汗腺がある。毛は毛包から生えていてその内部の部分は毛根と呼ばれ、下部の毛球で表皮細胞が分裂して1日に約0.2 mm 伸びる。毛には脂腺・立毛筋・毛包受容器が付属している。爪は表皮細胞が角化してケラチンを産生し、1日に約 0.1 mm のびる。酸素飽和度の低下や末梢循環不全で爪のチアノーゼが観察される。肝線維はエクリン腺とアポクリン腺があり、エクリン腺は全身に分布し汗を分泌する。アポクリン腺は眼瞼・腋窩・乳房・会陰部に存在し、毛包に開口して脂肪酸やタンパク質を多く含むため細菌により異臭を発生することがある。新生児の皮膚は薄く、低体温になりやすい。加齢とともに血流が低下し、高齢者では薄くなり乾燥する。
キーワード
① 扁平上皮、円柱上皮、移行上皮,滑膜、髄膜 ② 表皮、真皮、皮下組織、保護、体温調節 ③ 毛、爪、皮脂腺、汗腺、新生児、低体温
コマの展開方法
社会人講師
AL
ICT
PowerPoint・Keynote
教科書
コマ用オリジナル配布資料
コマ用プリント配布資料
その他
該当なし
小テスト
「小テスト」については、毎回の授業終了時、manaba上において5問以上の、当該コマの小テスト(難易度表示付き)を実施します。
復習・予習課題
予習方法:教科書「ナーシング・グラフィカ 人体の構造と機能① 解剖生理学 第4版」76頁~81頁を熟読し、読み方のわからない医学用語に下線を引いておく。また医学用語についての説明が理解できない部分もチェックしておき、講義中に疑問が解消できなければ積極的に質問して疑問点を放置しないように準備する。掲載されている図表の説明文を確認し、本文の記述のどの部分と関連しているのかを確認しておく。
復習方法:教科書の該当部に目を通し、講義で示された重要なポイントを再確認する。また図表については、その表す意味が理解出来ているか再度チェックする。当日配布された資料については、それぞれの項目について講義で示された内容を試験問題として出題された場合に備えて、簡潔に記述し説明できるか確認しておく。理解が不十分な点を自己チェックし、再度、教科書「ナーシング・グラフィカ 人体の構造と機能① 解剖生理学 第4版」の該当する記述を復習する。
6
体熱産生と体温
科目の中での位置付け
この科目では、看護の土台となる解剖生理学、細胞と組織、皮膚と膜、血液(赤血球、白血球、血小板と凝固機能)、循環器系(心臓、動脈、静脈、門脈、リンパ管)、呼吸器(上気道、気管、肺)、消化器(口腔、食道、胃、十二指腸、小腸、大腸、肝臓、胆嚢、膵臓)、泌尿器(腎臓、尿管、膀胱、尿道)の解剖と生理について学習する。解剖では、マクロからミクロにいたるまでの臓器の構成要素の構造と、各々の部位の医学的名称、また互いに関連する臓器や構成要素の立体的な位置関係について学習する。生理では、細胞レベルから臓器レベルまでの生化学的・物理的なはたらきについて学習する。看護の土台となる解剖生理学では、解剖学・生理学の基本的概念、解剖学的用語、ホメオスタシス、フィードバック機構について学習する。細胞と組織(体を構成するしくみ)では、細胞の構造、細胞の機能、細胞の分化と成長、老化、上皮組織、支持組織、筋組織、神経組織について学数する。皮膚と膜(体や臓器を守るしくみ)では体内の膜、皮膚、体熱産生と体温について学習する。このコマでは、体温の核心温度、体温測定、核心温度の周期的変動、熱産生、熱放散、体温調節について学習する。
「ナーシング・グラフィカ 人体の構造と機能① 解剖生理学 第4版」76頁~81頁
コマ主題細目
① 体温の分布 ② 熱の出納 ③ 体温調節
細目レベル
① 核心温度は人体内部の恒温部の温度で、直腸温・鼓膜温・食道温などが用いられる。臨床的には腋窩温・直腸温・口腔温が用いられることが多い。口腔温は腋窩温より約0.5 ℃低く、腋窩温は直腸温より約 0.8 ℃低い。核心温度には日内変動があり、概日リズム(サーカディアンリズム:circadian rhythm)とよばれ、午前2時から4時が最低で、午後の夕方にかけてが最高である。体温に伴い血中ホルモン濃度も同じように周期的に変化する。早朝起床前の体温を基礎体温と呼び、成人女性では月経周期と関連して変動する。排卵日に最低となり、その後高温相に移行する。その後月経開始とともに排卵前の体温に低下する。排卵及び黄体期に分泌される黄体ホルモン(プロゲステロン)の影響によって代謝が亢進し、体温が上昇する。
② 熱の産生には、身体活動(運動や労働による代謝亢進)、食事誘発性熱反応(食事後の代謝亢進:特にタンパク質摂取)、ふるえ:shivering(骨格筋の収縮で発熱)、非ふるえ熱産生(褐色脂肪組織:肩甲骨の間・腋窩・頸部・胸腹部大血管周囲のミトコンドリアの多い褐色の脂肪組織で行われる)がある。熱の放散は、物理的には放射(radiation)、伝導(conduction)、対流(convection)、蒸発性熱放散によっておきる。不感蒸泄は、皮膚、肺・気道粘膜からの呼気として1日に約800 ~ 1000mL放出され、500 kcalの熱が放散される。外気温の上昇や運動による熱産生でエクリン腺から発汗がおこる。温熱性発汗は全身で生じる。精神性発汗は精神的な緊張でおこり手掌・測定・腋窩・額・鼻におこる。味覚性発汗は、刺激性の食品により顔面におこる。
③ 温度受容器は、皮膚と中枢の視床下部にある。皮膚には温点と冷点が存在し、温繊維と冷繊維が自由神経終末として存在し、中枢に伝えられる。中枢温度受容器は視床下部の視索前野に温度感受性ニューロンが存在する。温度調節中枢は視床下部の視索前核にあり、体温上昇時は皮膚血管を拡張させ血流を増加させ、発汗を増やす。体温低下時は代謝を亢進させ熱産生を増大し、皮膚血流量を低下させて熱放散を減少させる。発熱は体温調節中枢への機械的刺激(脳出血・脳腫瘍・頭蓋骨骨折)と、化学的刺激:細菌感染による外因性発熱物質や内因性発熱物質(インターロイキン1やインターロイキン6などのサイトカイン)が脳内でプロスタグランジンE2を産生させこれが体温調節中枢に作用することによりおこる。精神的刺激はヒステリーや神経症に見られ大脳皮質からの影響による。
キーワード
① 核心温度、直腸温、基礎体温 ② 食事誘発性熱反応、不感蒸泄、発汗 ③ 温点、冷点、視床下部、視索前核
コマの展開方法
社会人講師
AL
ICT
PowerPoint・Keynote
教科書
コマ用オリジナル配布資料
コマ用プリント配布資料
その他
該当なし
小テスト
「小テスト」については、毎回の授業終了時、manaba上において5問以上の、当該コマの小テスト(難易度表示付き)を実施します。
復習・予習課題
予習方法:教科書「ナーシング・グラフィカ 人体の構造と機能① 解剖生理学 第4版」76頁~81頁を熟読し、読み方のわからない医学用語に下線を引いておく。また医学用語についての説明が理解できない部分もチェックしておき、講義中に疑問が解消できなければ積極的に質問して疑問点を放置しないように準備する。掲載されている図表の説明文を確認し、本文の記述のどの部分と関連しているのかを確認しておく。
復習方法:教科書の該当部に目を通し、講義で示された重要なポイントを再確認する。また図表については、その表す意味が理解出来ているか再度チェックする。当日配布された資料については、それぞれの項目について講義で示された内容を試験問題として出題された場合に備えて、簡潔に記述し説明できるか確認しておく。理解が不十分な点を自己チェックし、再度、教科書「ナーシング・グラフィカ 人体の構造と機能① 解剖生理学 第4版」の該当する記述を復習する。
7
血液の機能と成分
科目の中での位置付け
この科目では、看護の土台となる解剖生理学、細胞と組織、皮膚と膜、血液(赤血球、白血球、血小板と凝固機能)、循環器系(心臓、動脈、静脈、門脈、リンパ管)、呼吸器(上気道、気管、肺)、消化器(口腔、食道、胃、十二指腸、小腸、大腸、肝臓、胆嚢、膵臓)、泌尿器(腎臓、尿管、膀胱、尿道)の解剖と生理について学習する。解剖では、マクロからミクロにいたるまでの臓器の構成要素の構造と、各々の部位の医学的名称、また互いに関連する臓器や構成要素の立体的な位置関係について学習する。生理では、細胞レベルから臓器レベルまでの生化学的・物理的なはたらきについて学習する。血液(物質を運搬するしくみ)では、血液の機能と成分(血液の働き、血液の成分)、血球とその機能(赤血球、白血球、血小板と血液凝固および血栓の線溶(繊維素溶解))、血液型と輸血(ABO式血液型、Rh式血液型、輸血に際しての交叉適合試験、ヒト組織適合性白血球抗原:HLA)、血液の発生ついて学習する。このコマでは、血液の働き、血液の組成と成分、血漿と血漿分画、細胞成分の種類について学習する。
「ナーシング・グラフィカ 人体の構造と機能① 解剖生理学 第4版」82頁~87頁
コマ主題細目
① 血液の働き ② 血液の組成と成分、血漿と血漿分画、 ③ 細胞成分
細目レベル
① 血液は全身を循環することによって、物質の輸送を担っている。ガス交換については、末梢組織への酸素の配布と二酸化炭素の回収、肺での二酸化炭疽の放出と酸素の取り込みを行っている。また物質代謝に関しては、栄養分(糖質・脂質・タンパク質)の消化管からの回収と肝臓への移送、全身組織への配布を行っている。一方不要な代謝産物は組織から回収して、肝臓へ届けて分解させたり、腎臓へ届け体外へ排出している。又体内のホメオスタシスを保つため下垂体、甲状腺、副腎、性腺などから分泌されるホルモンの輸送し、白血球や抗体や補体などの生体防御因子、血液凝固因子の輸送や異物処理の助けを行っている。また血管の拡張・収縮により、全身の体温を一定に保つ役割をはたしている。
② 血液は液体成分である血漿と、細胞成分の赤血球、白血球、血小板からなる。血液をそのまま放置すると、血餅が出来、その上清が血清である。血清は血漿から凝固因子(フィブリノゲンなど)を除いたものである。血漿はほとんどが水で、糖質、タンパク質、脂質、電解質、各種のホルモン、ビタミンなどが存在する。血漿に含まれるタンパク質はゲル電気泳動により分子量の大きさで分画することが出来る。アルブミンとグロブリンがほとんどをしめ、分子量が小さい方からアルブミン、α1グロブリン、α2グロブリン、βグロブリン、γグロブリンに分類される。γグロブリンに属する免疫グロブリンは補体とともに生体防御の液性因子として重要である。
③ 血球は、赤血球と白血球と血小板であるが、それらはすべて造血幹細胞から作られる。まず造血幹細胞にインターロイキンが作用すると骨髄系幹細胞とリンパ系幹細胞にわかれる。骨髄系幹細胞にエリスロポエチンが作用すると赤芽球系幹細胞に変化する。さらにエリスロポエチンの作用で骨髄内で前赤芽球、好塩基性赤芽球、多染性赤芽球、正染性赤芽球となり、脱核して網赤血球の形で末梢血に移行して成熟した赤血球となる。骨髄性赤芽球にコロニー刺激因子(CFS:colony stimulating factor)が作用すると顆粒球系幹細胞に変化する。さらにCFSにより骨髄芽球と単芽球に変化し、骨髄芽球は前骨髄球、骨髄球、後骨髄球となって桿状核球の形で末梢血に移行し成熟して多核球となる。単芽球は前単球となり末梢血に移行して単球となる。骨髄系幹細胞にトロンボポエチンが作用すると巨核球系幹細胞となりインターロイキンの作用で巨核芽球、前巨核球、巨核球となり、これが細かく分かれて血小板となる。リンパ系幹細胞は骨髄で前Tリンパ球と前Bリンパ球に分かれ、前Tリンパ球は胸腺へ移動してTリンパ球に成熟し、前Bリンパ球はそのまま骨髄にとどまりBリンパ球となる。
キーワード
① 物質輸送、体温調節、生体防御 ② 血漿、血清、血漿分画、電気泳動 ③ 造血幹細胞、骨髄系幹細胞、リンパ系幹細胞
コマの展開方法
社会人講師
AL
ICT
PowerPoint・Keynote
教科書
コマ用オリジナル配布資料
コマ用プリント配布資料
その他
該当なし
小テスト
「小テスト」については、毎回の授業終了時、manaba上において5問以上の、当該コマの小テスト(難易度表示付き)を実施します。
復習・予習課題
予習方法:教科書「ナーシング・グラフィカ 人体の構造と機能① 解剖生理学 第4版」82頁~87頁を熟読し、読み方のわからない医学用語に下線を引いておく。また医学用語についての説明が理解できない部分もチェックしておき、講義中に疑問が解消できなければ積極的に質問して疑問点を放置しないように準備する。掲載されている図表の説明文を確認し、本文の記述のどの部分と関連しているのかを確認しておく。
復習方法:教科書の該当部に目を通し、講義で示された重要なポイントを再確認する。また図表については、その表す意味が理解出来ているか再度チェックする。当日配布された資料については、それぞれの項目について講義で示された内容を試験問題として出題された場合に備えて、簡潔に記述し説明できるか確認しておく。理解が不十分な点を自己チェックし、再度、教科書「ナーシング・グラフィカ 人体の構造と機能① 解剖生理学 第4版」の該当する記述を復習する。
8
血球とその機能
科目の中での位置付け
この科目では、看護の土台となる解剖生理学、細胞と組織、皮膚と膜、血液(赤血球、白血球、血小板と凝固機能)、循環器系(心臓、動脈、静脈、門脈、リンパ管)、呼吸器(上気道、気管、肺)、消化器(口腔、食道、胃、十二指腸、小腸、大腸、肝臓、胆嚢、膵臓)、泌尿器(腎臓、尿管、膀胱、尿道)の解剖と生理について学習する。解剖では、マクロからミクロにいたるまでの臓器の構成要素の構造と、各々の部位の医学的名称、また互いに関連する臓器や構成要素の立体的な位置関係について学習する。生理では、細胞レベルから臓器レベルまでの生化学的・物理的なはたらきについて学習する。看護の土台となる解剖生理学では、解剖学・生理学の基本的概念、解剖学的用語、ホメオスタシス、フィードバック機構について学習する。血液(物質を運搬するしくみ)では、血液の機能と成分(血液の働き、血液の成分)、血球とその機能(赤血球、白血球、血小板と血液凝固および血栓の線溶(繊維素溶解))、血液型と輸血(ABO式血液型、Rh式血液型、輸血に際しての交叉適合試験、ヒト組織適合性白血球抗原:HLA)、血液の発生ついて学習する。このコマでは、赤血球の産生、赤血球とヘモグロビン、ヘモグロビンと酸素の結合・解離、赤血球の寿命と死、白血球の産生と分化、白血球の形態と機能について学習する。
「ナーシング・グラフィカ 人体の構造と機能① 解剖生理学 第4版」88頁~93頁
コマ主題細目
① 赤血球 ② ヘモグロビン ③ 白血球
細目レベル
① 赤血球は、核を持たず細胞内小器官も無い。胎生3~4ヶ月では肝臓と脾臓で造血が行われ、4ヶ月以後乳幼児までは全身の骨髄で造血される。成人では椎骨、骨盤、胸骨などの骨髄で造血が行われる。骨髄系幹細胞が赤芽球系になるには腎臓から分泌されるエリスロポエチンが必要である。また赤芽球系の分化・成熟にはビタミンB12と葉酸が必要で、これらが不足すると貧血となる。正染性赤芽球の細胞核が脱落し(脱核)し網赤血球となり末梢血にでる(約0.2 ~2%)。赤血球の産生が亢進していると網赤血球の割合が増加する。赤血球は直径7~8マイクロメーターで、産生されてから約120日間循環したのち、脾臓などのの網内系で破壊されて間接ビリルビンとなり、肝臓に運ばれて直接ビリルビンとなり胆汁に排泄される。
② ヘモグロビンは、鉄を含む赤い色素のヘムとグロビンが合体した構造で、鉄に酸素が可逆的に結合することで酸素を運搬する。ヘモグロビンに酸素が結合すると鮮紅色(動脈血の色)となり、離れると暗赤色(静脈血の色)となる。酸素分圧とは血液中にどのくらい酸素が溶けているかを血液中の圧力として示したもので、単位はTorr (mmHg) で表す。酸素飽和度は酸素と結合した状態のヘモグロビンの割合で、0 ~100%で表す。酸素分圧と酸素飽和度の関係が酸素解離曲線で、酸素の多い組織(肺胞)では酸素が結合され、酸素の少ない組織(末梢の組織)では酸素が離れやすくなる。酸素解離曲線はS字型で、pHの低下、CO2分圧の上昇、体温の上昇で右方移動し、その逆の条件で左方移動する。
③ 白血球は血液1μL中に、3500~9000個含まれ、形態から顆粒球(好中球、好酸球、好塩基球)、単球、リンパ球に分類される。骨髄芽球は前骨髄球、骨髄球、後骨髄球となって桿状核球の形で末梢血に移行し成熟して分葉核球(多核白血球)になる。桿状核球と分葉核球、単球をあわせて顆粒球と呼ぶ。骨髄芽球が腫瘍化すると急性骨髄性白血病、前骨髄球が腫瘍化すると急性前骨髄性白血病となる。好中球は最も多く、貪食作用により細菌や真菌を貪食する。病原体に抗体や補体が結合すると、貪食能が亢進する(オプソニン効果)。好酸球はアレルギーや寄生虫感染で増加する。好塩基球はヒスタミン顆粒をもち、Ⅰ型アレルギーに関与する。単球は組織でマクロファージとなり、食細胞として働く。リンパ球はT細胞とB細胞に分かれ獲得免疫系で働く。
キーワード
① エリスロポエチン、B12、葉酸 ② 鉄、ヘムタンパク、酸素解離曲線 ③ 好中球、単球、リンパ球
コマの展開方法
社会人講師
AL
ICT
PowerPoint・Keynote
教科書
コマ用オリジナル配布資料
コマ用プリント配布資料
その他
該当なし
小テスト
「小テスト」については、毎回の授業終了時、manaba上において5問以上の、当該コマの小テスト(難易度表示付き)を実施します。
復習・予習課題
予習方法:教科書「ナーシング・グラフィカ 人体の構造と機能① 解剖生理学 第4版」88頁~93頁を熟読し、読み方のわからない医学用語に下線を引いておく。また医学用語についての説明が理解できない部分もチェックしておき、講義中に疑問が解消できなければ積極的に質問して疑問点を放置しないように準備する。掲載されている図表の説明文を確認し、本文の記述のどの部分と関連しているのかを確認しておく。
復習方法:教科書の該当部に目を通し、講義で示された重要なポイントを再確認する。また図表については、その表す意味が理解出来ているか再度チェックする。当日配布された資料については、それぞれの項目について講義で示された内容を試験問題として出題された場合に備えて、簡潔に記述し説明できるか確認しておく。理解が不十分な点を自己チェックし、再度、教科書「ナーシング・グラフィカ 人体の構造と機能① 解剖生理学 第4版」の該当する記述を復習する。
9
凝固系
科目の中での位置付け
この科目では、看護の土台となる解剖生理学、細胞と組織、皮膚と膜、血液(赤血球、白血球、血小板と凝固機能)、循環器系(心臓、動脈、静脈、門脈、リンパ管)、呼吸器(上気道、気管、肺)、消化器(口腔、食道、胃、十二指腸、小腸、大腸、肝臓、胆嚢、膵臓)、泌尿器(腎臓、尿管、膀胱、尿道)の解剖と生理について学習する。解剖では、マクロからミクロにいたるまでの臓器の構成要素の構造と、各々の部位の医学的名称、また互いに関連する臓器や構成要素の立体的な位置関係について学習する。生理では、細胞レベルから臓器レベルまでの生化学的・物理的なはたらきについて学習する。看護の土台となる解剖生理学では、解剖学・生理学の基本的概念、解剖学的用語、ホメオスタシス、フィードバック機構について学習する。血液(物質を運搬するしくみ)では、血液の機能と成分(血液の働き、血液の成分)、血球とその機能(赤血球、白血球、血小板と血液凝固および血栓の線溶(繊維素溶解))、血液型と輸血(ABO式血液型、Rh式血液型、輸血に際しての交叉適合試験、ヒト組織適合性白血球抗原:HLA)、血液の発生ついて学習する。このコマでは、一次止血、二次止血、止血と凝固因子の関係、線溶系について学習する。
「ナーシング・グラフィカ 人体の構造と機能① 解剖生理学 第4版」93頁~95頁
コマ主題細目
① 一次止血 ② 二次止血 ③ 線溶
細目レベル
① 血小板は、骨髄系幹細胞にトロンボポエチンが作用してできた巨核球系幹細胞から分化した巨核球が細かくちぎれて作られ、2~4マイクロメートルの不整円盤状の無核細胞である。正常では血液1μLあたり15万~40万個含まれる。一次止血とは、外傷などで血管が破綻して内皮細胞が傷つき内皮細胞の下のコラーゲンが露出すると、血小板が活性化してフォン・ウイレブランド因子(von Willebrand factor)を介して血小板がコラーゲンに粘着する。次に周囲の活性化した血小板同士でも凝集し、破綻した血管壁を緩く覆う。このように血小板血栓を形成して出血を防ぐことを一次止血というが、このままでは脆弱なので、次のステップの二次止血に進み永久止血となる。
② 血小板血栓にさらに凝固因子が作用して、フィブリンが形成され永久血栓となる。凝固因子は内因子と外因子とで第Ⅰから第ⅩⅢまである。フィブリンは血液中のフィブリノゲンⅠに第Ⅱ凝固因子(プロトロンビン)が活性化されたトロンビンが作用することにより出来る。プロトロンビンの活性化には第Ⅴ因子と第Ⅹ因子が必要で、第Ⅹ因子は内因子(第ⅩⅡ因子、第ⅩⅠ因子、第Ⅸ因子、第Ⅷ因子)と外因子(第Ⅲ因子(組織トロンボプラスチン)、第Ⅶ因子)及び第Ⅳ因子が必要で、これらの連続した反応を凝固反応カスケードと呼ぶ。凝固因子の大部分は肝臓で作られるので、肝障害では凝固障害からの出血傾向が見られる。また、第Ⅱ、Ⅶ、Ⅸ、Ⅹ因子の産生にはビタミンKが必要で、これが不足すると出血傾向となる。
③ 血管内に出来た血栓は血管修復とともに除去される必要があり、この反応を線溶という。フィブリンのことを繊維素と呼びこれを溶解するので線維素溶解から線溶と呼ばれる。血液中のプラスミノーゲンというタンパク質に、組織プラスミノゲンアクチベーター(プラスミノゲン活性化因子)が作用して、プラスミンというタンパク質分解酵素となり、血栓のフィブリンを分解する。プラスミノゲン活性化因子は血管内皮細胞やほとんどの分泌液中(汗以外)、子宮壁や肺組織などに存在している。尿中のものはウロキナーゼと呼ばれ、血管内皮細胞の組織プラスミン活性化因子:t-PA)とともに、臨床的に血栓症の治療によく用いられる。
キーワード
① トロンボポエチン、フォン・ウイレブランド因子、血小板凝集 ② フィブリン、内因子、外因子 ③ プラスミン分解、プラスミン、プラスミノーゲンアクティベーター
コマの展開方法
社会人講師
AL
ICT
PowerPoint・Keynote
教科書
コマ用オリジナル配布資料
コマ用プリント配布資料
その他
該当なし
小テスト
「小テスト」については、毎回の授業終了時、manaba上において5問以上の、当該コマの小テスト(難易度表示付き)を実施します。
復習・予習課題
予習方法:教科書「ナーシング・グラフィカ 人体の構造と機能① 解剖生理学 第4版」93頁~95頁を熟読し、読み方のわからない医学用語に下線を引いておく。また医学用語についての説明が理解できない部分もチェックしておき、講義中に疑問が解消できなければ積極的に質問して疑問点を放置しないように準備する。掲載されている図表の説明文を確認し、本文の記述のどの部分と関連しているのかを確認しておく。
復習方法:教科書の該当部に目を通し、講義で示された重要なポイントを再確認する。また図表については、その表す意味が理解出来ているか再度チェックする。当日配布された資料については、それぞれの項目について講義で示された内容を試験問題として出題された場合に備えて、簡潔に記述し説明できるか確認しておく。理解が不十分な点を自己チェックし、再度、教科書「ナーシング・グラフィカ 人体の構造と機能① 解剖生理学 第4版」の該当する記述を復習する。
10
血液型と輸血
科目の中での位置付け
この科目では、看護の土台となる解剖生理学、細胞と組織、皮膚と膜、血液(赤血球、白血球、血小板と凝固機能)、循環器系(心臓、動脈、静脈、門脈、リンパ管)、呼吸器(上気道、気管、肺)、消化器(口腔、食道、胃、十二指腸、小腸、大腸、肝臓、胆嚢、膵臓)、泌尿器(腎臓、尿管、膀胱、尿道)の解剖と生理について学習する。解剖では、マクロからミクロにいたるまでの臓器の構成要素の構造と、各々の部位の医学的名称、また互いに関連する臓器や構成要素の立体的な位置関係について学習する。生理では、細胞レベルから臓器レベルまでの生化学的・物理的なはたらきについて学習する。看護の土台となる解剖生理学では、解剖学・生理学の基本的概念、解剖学的用語、ホメオスタシス、フィードバック機構について学習する。血液(物質を運搬するしくみ)では、血液の機能と成分(血液の働き、血液の成分)、血球とその機能(赤血球、白血球、血小板と血液凝固および血栓の線溶(繊維素溶解))、血液型と輸血(ABO式血液型、Rh式血液型、輸血に際しての交叉適合試験、ヒト組織適合性白血球抗原:HLA)、血液の発生ついて学習する。このコマでは、ABO式血液型、Rh式血液型、輸血に際しての交叉試験、ヒト組織適合性白血球抗原(HLA)、血液の発生について学習する。
「ナーシング・グラフィカ 人体の構造と機能① 解剖生理学 第4版」95頁~99頁
コマ主題細目
① ABO式血液型、Rh式血液型 ② 輸血の交叉適合試験 ③ ヒト組織適合性白血球抗原(HLA)
細目レベル
① A型の赤血球にはA抗原のみ、B型の赤血球にはB抗原のみ、AB型の赤血球にはA抗原とB抗原の両方がある。O型の赤血球には抗原が無い。A型の血漿には抗B抗体、B型の血漿には抗A抗体、AB型の血漿には抗体が無く、O型の血漿には抗A抗体、抗B抗体がある。血液型の判定にはオモテ試験とウラ試験があり、オモテ試験は被験者の血球を使用し、ウラ試験は被験者の血漿を使用する。Rh式にはいくつかの型があるが、D型を持つものをRh(+)、持たないものをRh(-)と呼ぶ。Rh(-)の頻度は0.5%で、Rh(-)の女性がRh(+)の男性との間で妊娠すると胎児はRh(+)となることが多く、第1子の出産時に抗D抗体が出来てしまい第2子の妊娠時に胎児死亡等がおこる。
② 輸血時には、供給された血液製剤と輸血を受ける人(受血者)の、ABO式とRh式の血液型を一致させるのはもちろんのこと、万が一のその他の血液型不一致の輸血を防止するために、供血された血液製剤と受血者の血液を体外で混合してみて凝集しないことを実際に確認する必要がある。これを交差適合試験という。交差適合試験には主試験と副試験があり、供血者血球と受血者血清を混合し凝血の有無を調べるのが主試験、受血者血球と供血者血清を混合し凝血の有無を調べるのが副試験である。両方とも陰性、つまり凝集しないことを確認して初めてその血液製剤が輸血可能となる。
③ HLA(ヒト組織適合性白血球抗原:human histocompatibility antigen)は、白血球だけではなくほとんどの体細胞に発現している抗原である。遺伝子座としてA座、B座、C座、DR座、DQ座、DP座の6種類があり、それぞれの座に数十種類の型があって、父親由来の染色体上に一セット、母親由来の染色体上に一セット持っている。その一セットの6種類の組み合わせ自体が非常に多くあり、さらにこれが父由来と母由来で二セットあるので、これらが完全に一致する確率は10万分の一といわれる。HLAは組織適合性抗原の名のとおり、臓器移植、特に骨髄移植の場合に重要な役割を果たし、一致する確率が非常に少ないので、骨髄移植ドナー登録が呼びかけられている。また、不一致の程度によって、GVHD(移植片対宿主病:graft versus host disease)をおこす確率が高くなる。
キーワード
① A抗原、B抗原、D抗原 ② 交差適合試験、主試験、副試験 ③ A、B、C、DR、DQ、DP
コマの展開方法
社会人講師
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ICT
PowerPoint・Keynote
教科書
コマ用オリジナル配布資料
コマ用プリント配布資料
その他
該当なし
小テスト
「小テスト」については、毎回の授業終了時、manaba上において5問以上の、当該コマの小テスト(難易度表示付き)を実施します。
復習・予習課題
予習方法:教科書「ナーシング・グラフィカ 人体の構造と機能① 解剖生理学 第4版」95頁~99頁を熟読し、読み方のわからない医学用語に下線を引いておく。また医学用語についての説明が理解できない部分もチェックしておき、講義中に疑問が解消できなければ積極的に質問して疑問点を放置しないように準備する。掲載されている図表の説明文を確認し、本文の記述のどの部分と関連しているのかを確認しておく。
復習方法:教科書の該当部に目を通し、講義で示された重要なポイントを再確認する。また図表については、その表す意味が理解出来ているか再度チェックする。当日配布された資料については、それぞれの項目について講義で示された内容を試験問題として出題された場合に備えて、簡潔に記述し説明できるか確認しておく。理解が不十分な点を自己チェックし、再度、教科書「ナーシング・グラフィカ 人体の構造と機能① 解剖生理学 第4版」の該当する記述を復習する。
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心臓の構造
科目の中での位置付け
この科目では、看護の土台となる解剖生理学、細胞と組織、皮膚と膜、血液(赤血球、白血球、血小板と凝固機能)、循環器系(心臓、動脈、静脈、門脈、リンパ管)、呼吸器(上気道、気管、肺)、消化器(口腔、食道、胃、十二指腸、小腸、大腸、肝臓、胆嚢、膵臓)、泌尿器(腎臓、尿管、膀胱、尿道)の解剖と生理について学習する。解剖では、マクロからミクロにいたるまでの臓器の構成要素の構造と、各々の部位の医学的名称、また互いに関連する臓器や構成要素の立体的な位置関係について学習する。生理では、細胞レベルから臓器レベルまでの生化学的・物理的なはたらきについて学習する。看護の土台となる解剖生理学では、解剖学・生理学の基本的概念、解剖学的用語、ホメオスタシス、フィードバック機構について学習する。循環器系(体のすみずみまで血液を送るしくみ)では、心臓の構造、心臓の機能、血管の形態、主要な動脈、主要な静脈と門脈系、胎児循環、結果の機能、心臓血管の成長と老化、リンパ系について学習する。このコマでは、心臓の大きさと位置、被膜、心房・心室と大血管、心臓に分布する血管について学習する。
「ナーシング・グラフィカ 人体の構造と機能① 解剖生理学 第4版」100頁~107頁
コマ主題細目
① 大きさと位置、皮膜 ② 心房・心室と大血管 ③ 心臓に分布する血管
細目レベル
① 心臓は円錐形をしていて、心筋という特殊な筋肉からなる中空の器官である。大きさは握りこぶしくらいで、横隔膜の上に位置し縦隔のやや左にある。心臓の下端の心尖部は第5肋間の鎖骨中線上にある。心臓は心内膜、心筋層、心外膜の3層からなる。心内膜は薄い内皮細胞からなる膜で、大血管の内膜と連続する。心筋層は厚く心臓の大部分を占め、心筋細胞からなり線維性の強い結合組織で補給されている。また心筋層内には心臓の収縮に関わる刺激伝導系を有する。心外膜は心臓を包んでいる漿膜で、肋骨に接する壁側心膜を心嚢と呼び、両者で心膜腔(心嚢)を形成する。心嚢内には漿液が分泌され、心臓の動きをなめらかにするが、心嚢液が病的に増加すると心臓タンポナーデになる。
② 左心房と左心室、右心房と右心室があり、両者は心房中隔、心室中隔で左右に区切られている。肺循環とは、右心室・肺動脈・肺・肺静脈・左心房で、肺動脈には全身から帰ってきた静脈血が流れるので動脈という名称につられて間違えないようにすること。逆に肺静脈には肺で二酸化炭素を放出し酸素を取りこんだ動脈血が流れる。体循環は左室・大動脈・全身・大静脈・右心房である。房室弁は心房と心室の間にあり、右は三尖弁、左は僧帽弁(二尖弁)である。房室弁は検索により心室内の乳頭につなぎ止められているため、弁が心房側に反転することがない。右室から拍出されるときは肺動脈弁、左室から拍出されるときは大動脈弁を通過する。
③ 心臓そのものを栄養する冠状動脈は左右1本で、右冠状動脈と左冠状動脈は大動脈弁の基部から 1 cm の所で大動脈から直接分岐する。右冠状動脈は、右心房と右心室、および左心室後壁を灌流する。左冠状動脈はすぐに前下行枝と左回旋枝にわかれ、心室中隔の2/3 、鎖陰質の前壁と心尖部、右心室の中隔よりを灌流する。静脈は冠状静脈洞へ集合して右心房へ流入する他、テベシウス静脈と呼ばれる多数の直接心内腔へ流入する細い静脈がある。狭心症や心筋梗塞はこれらの冠状動脈の狭窄や閉塞によっておこる。冠状動脈を流れる血液量は、心拍出量の約5%で安静時には 100mL/min/100g である。左心室では収縮期内圧が高いため、拡張期にのみ動脈血が流れる。
キーワード
① 心尖部、心外膜、心嚢 ② 肺循環、僧帽弁、大動脈弁 ③ 右冠状動脈、左冠状動脈、心筋梗塞
コマの展開方法
社会人講師
AL
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教科書
コマ用オリジナル配布資料
コマ用プリント配布資料
その他
該当なし
小テスト
「小テスト」については、毎回の授業終了時、manaba上において5問以上の、当該コマの小テスト(難易度表示付き)を実施します。
復習・予習課題
予習方法:教科書「ナーシング・グラフィカ 人体の構造と機能① 解剖生理学 第4版」100頁~107頁を熟読し、読み方のわからない医学用語に下線を引いておく。また医学用語についての説明が理解できない部分もチェックしておき、講義中に疑問が解消できなければ積極的に質問して疑問点を放置しないように準備する。掲載されている図表の説明文を確認し、本文の記述のどの部分と関連しているのかを確認しておく。
復習方法:教科書の該当部に目を通し、講義で示された重要なポイントを再確認する。また図表については、その表す意味が理解出来ているか再度チェックする。当日配布された資料については、それぞれの項目について講義で示された内容を試験問題として出題された場合に備えて、簡潔に記述し説明できるか確認しておく。理解が不十分な点を自己チェックし、再度、教科書「ナーシング・グラフィカ 人体の構造と機能① 解剖生理学 第4版」の該当する記述を復習する。
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心臓の機能
科目の中での位置付け
この科目では、看護の土台となる解剖生理学、細胞と組織、皮膚と膜、血液(赤血球、白血球、血小板と凝固機能)、循環器系(心臓、動脈、静脈、門脈、リンパ管)、呼吸器(上気道、気管、肺)、消化器(口腔、食道、胃、十二指腸、小腸、大腸、肝臓、胆嚢、膵臓)、泌尿器(腎臓、尿管、膀胱、尿道)の解剖と生理について学習する。解剖では、マクロからミクロにいたるまでの臓器の構成要素の構造と、各々の部位の医学的名称、また互いに関連する臓器や構成要素の立体的な位置関係について学習する。生理では、細胞レベルから臓器レベルまでの生化学的・物理的なはたらきについて学習する。看護の土台となる解剖生理学では、解剖学・生理学の基本的概念、解剖学的用語、ホメオスタシス、フィードバック機構について学習する。循環器系(体のすみずみまで血液を送るしくみ)では、心臓の構造、心臓の機能、血管の形態、主要な動脈、主要な静脈と門脈系、胎児循環、結果の機能、心臓血管の成長と老化、リンパ系について学習する。このコマでは、脈拍と刺激伝導系、心周期と心音、心拍出量について学習する。
「ナーシング・グラフィカ 人体の構造と機能① 解剖生理学 第4版」107頁~110頁
コマ主題細目
① 脈拍と刺激伝導系 ② 心周期と心音 ③ 心拍出量
細目レベル
① 心臓の収縮は、脳からの神経支配を受けず自動的に収縮するので骨格筋とは異なる。心臓の収縮をコントロールするのは、心臓にある特殊心筋からなる刺激伝導系と自律神経系である。刺激伝導系は神経組織ではなく特殊な心筋組織で出来ている。自律神経系では心拍を増加させる交感神経と減少させる副交感神経(迷走神経)がある。刺激伝導系は、右心房の上大静脈開口部知覚の洞房結節から房室結節、ヒス束(房室束)を経由して左右に分かれ、心室中隔の左脚と右脚、心筋層のプルキンエ線維からなる。洞房結節はペースメーカーで、律動的な刺激を発生してこれで心拍数が決まる。不整脈とは心拍数あるいは調律の障害であり、心筋の興奮の発生あるいは伝達の異常によるものである。
② 心臓はポンプとしての機能を持ち、左右の心房は同時に収縮する。心房が拡張し始めると左右の心室が同時に収縮し始める。異界の拍動で心臓が収縮して弛緩するまでのサイクルを心周期という。心室の拡張期では、心房から房室弁を通って血液が心室に流入する。洞房結節は左右の心房筋に収縮のインパルスを送り、心房はからになり心室は血液で充満する。収縮期では心室内圧が上昇し、肺動脈・大動脈へ血液が流出する。心音は、心臓弁が閉鎖するタイミングで発生する音で、第Ⅰ心音は房室弁である僧帽弁と三尖弁の閉鎖音で心尖部で聴取しやすい。第Ⅱ心音は大動脈弁と肺動脈弁の閉鎖により、心基部で聴取しやすい。成人の脈拍数は通常 60~100 回/分で、60以下は徐脈、100以上は頻脈とされる。
③ 心拍出量は、1分間あたりに心臓から拍出される血液の総量である(L/min)。1回拍出量(SV:stroke volume)は心臓が1回収縮するごとに拍出される血液量で、心拍出量は、1回拍出量×心拍数である。フランク・スターリング(Frank-Starling)の法則によると、心筋線維が収縮前により引き延ばされているほど心筋の収縮力は増大する。心臓は延髄の心臓中枢から心臓に至る交感神経と副交感神経(迷走神経)の影響を受けている心拍出量に影響を与えるのは、副交感神経(迷走神経)と交感神経である。副交感神経は、洞房結節と房室結節、心房筋に分布していて、インパルス発生の速度を減少させ、心拍数と拍動力を低下させる。交感神経は洞房結節と房室結節、心房筋、心室筋に分布し、心拍数と拍動力を上昇させる。
キーワード
① 刺激伝導系、洞房結節、房室結節 ② 拡張期、収縮期、心音 ③ 1回拍出量、心拍数、フランク・スターリング(Frank-Starling)の法則
コマの展開方法
社会人講師
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PowerPoint・Keynote
教科書
コマ用オリジナル配布資料
コマ用プリント配布資料
その他
該当なし
小テスト
「小テスト」については、毎回の授業終了時、manaba上において5問以上の、当該コマの小テスト(難易度表示付き)を実施します。
復習・予習課題
予習方法:教科書「ナーシング・グラフィカ 人体の構造と機能① 解剖生理学 第4版」107頁~110頁を熟読し、読み方のわからない医学用語に下線を引いておく。また医学用語についての説明が理解できない部分もチェックしておき、講義中に疑問が解消できなければ積極的に質問して疑問点を放置しないように準備する。掲載されている図表の説明文を確認し、本文の記述のどの部分と関連しているのかを確認しておく。
復習方法:教科書の該当部に目を通し、講義で示された重要なポイントを再確認する。また図表については、その表す意味が理解出来ているか再度チェックする。当日配布された資料については、それぞれの項目について講義で示された内容を試験問題として出題された場合に備えて、簡潔に記述し説明できるか確認しておく。理解が不十分な点を自己チェックし、再度、教科書「ナーシング・グラフィカ 人体の構造と機能① 解剖生理学 第4版」の該当する記述を復習する。
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動脈系
科目の中での位置付け
この科目では、看護の土台となる解剖生理学、細胞と組織、皮膚と膜、血液(赤血球、白血球、血小板と凝固機能)、循環器系(心臓、動脈、静脈、門脈、リンパ管)、呼吸器(上気道、気管、肺)、消化器(口腔、食道、胃、十二指腸、小腸、大腸、肝臓、胆嚢、膵臓)、泌尿器(腎臓、尿管、膀胱、尿道)の解剖と生理について学習する。解剖では、マクロからミクロにいたるまでの臓器の構成要素の構造と、各々の部位の医学的名称、また互いに関連する臓器や構成要素の立体的な位置関係について学習する。生理では、細胞レベルから臓器レベルまでの生化学的・物理的なはたらきについて学習する。看護の土台となる解剖生理学では、解剖学・生理学の基本的概念、解剖学的用語、ホメオスタシス、フィードバック機構について学習する。循環器系(体のすみずみまで血液を送るしくみ)では、心臓の構造、心臓の機能、血管の形態、主要な動脈、主要な静脈と門脈系、胎児循環、結果の機能、心臓血管の成長と老化、リンパ系について学習する。このコマでは、血管の種類と構造、動脈・動脈血と静脈・静脈血の関係。吻合と終動脈、主要な動脈について学習する。
「ナーシング・グラフィカ 人体の構造と機能① 解剖生理学 第4版」111頁~118頁
コマ主題細目
① 血管の形態 ② 上肢・胸腔・腹膜腔・下肢の動脈 ③ 頭頸部の動脈、大脳動脈輪
細目レベル
① 血管は、血液を心臓から送り出す動脈と血液を末梢から心臓に送る静脈、動脈と静脈をつなぐ毛細血管の3種類に分けられ、内膜(1層の内皮細胞と少量の結合組織)、中膜(平滑筋と弾性繊維)、外膜(結合組織)からなる。動脈は高い血圧に対応するため、中膜が発育している。静脈は低圧なので、中膜は薄く血液の逆量を防ぐために静脈弁を有する。筋肉の運動(筋ポンプ)や呼吸運動(呼吸ポンプ)によって静脈血を環流する。大動脈では動脈血が流れるが、肺動脈では静脈血が流れる。動脈は末梢では、次第に細くなり細動脈となり毛細血管から細静脈となる。吻合が無い動脈を終動脈という。終動脈が閉塞すると、その栄養領域の血流がたたれるので組織は壊死に陥る(梗塞)。
② 大動脈から分枝する鎖骨下動脈は、腋窩動脈、上腕動脈となり、2本に分かれて橈骨動脈と尺骨動脈となる。下行大動脈のうち、横隔までを胸大動脈、それ以下を腹部大動脈という。胸部大動脈は胸腔内で肋間動脈をだし核肋骨に沿って後ろから前へ走る。腹部大動脈は、腹腔動脈、上腸間膜動脈、左右の腎動脈、下腸間膜動脈の枝を出したのち、第4腰椎の高さで左右の総腸骨動脈に分岐する。総腸骨動脈は内腸骨動脈と外腸骨動脈に分かれ、内腸骨動脈は骨盤内臓器や腰殿部に枝を出す。外腸骨動脈は鼠径靱帯の血管裂孔をとおり、大腿動脈、膝窩動脈となり、膝窩のすぐ下で3本の前脛骨動脈、腓骨動脈、後脛骨動脈となりこれらの動脈は下腿や足を栄養する。
③ 大動脈弓から3本の太い動脈が分岐する。まず始めに腕頭動脈がおこるが、2から3cm で右総頚動脈と右鎖骨下動脈に分かれる。次に分枝するのが左総頚動脈でその直後に左鎖骨下動脈が分枝する。このため腕頭動脈は右側にしか無い。総頚動脈は外頚動脈と内頸動脈に分かれ、外頸動脈は顔面などの表面、内頸動脈は眼球と脳の大部分を栄養する。左右の内頸動脈と左右の椎骨動脈により大脳動脈輪(ウイリス動脈輪:前交通動脈、前大脳動脈、後交通動脈、後大脳動脈)が形成され、構成する動脈の1本が傷害されたり、頭頸部が激しく動いた時にも他の動脈から血流が回り込むようになっていて、脳の血流を途絶させないため重要な役割を果たしている。
キーワード
① 内膜、中膜、外膜、静脈弁 ② 鎖骨下動脈、肺動脈、静脈血 ③ 腹腔動脈、上腸間膜動脈、下腸間膜動脈、大脳動脈輪(ウイリス動脈輪)
コマの展開方法
社会人講師
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PowerPoint・Keynote
教科書
コマ用オリジナル配布資料
コマ用プリント配布資料
その他
該当なし
小テスト
「小テスト」については、毎回の授業終了時、manaba上において5問以上の、当該コマの小テスト(難易度表示付き)を実施します。
復習・予習課題
予習方法:教科書「ナーシング・グラフィカ 人体の構造と機能① 解剖生理学 第4版」111頁~118頁を熟読し、読み方のわからない医学用語に下線を引いておく。また医学用語についての説明が理解できない部分もチェックしておき、講義中に疑問が解消できなければ積極的に質問して疑問点を放置しないように準備する。掲載されている図表の説明文を確認し、本文の記述のどの部分と関連しているのかを確認しておく。
復習方法:教科書の該当部に目を通し、講義で示された重要なポイントを再確認する。また図表については、その表す意味が理解出来ているか再度チェックする。当日配布された資料については、それぞれの項目について講義で示された内容を試験問題として出題された場合に備えて、簡潔に記述し説明できるか確認しておく。理解が不十分な点を自己チェックし、再度、教科書「ナーシング・グラフィカ 人体の構造と機能① 解剖生理学 第4版」の該当する記述を復習する。
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静脈と門脈系
科目の中での位置付け
この科目では、看護の土台となる解剖生理学、細胞と組織、皮膚と膜、血液(赤血球、白血球、血小板と凝固機能)、循環器系(心臓、動脈、静脈、門脈、リンパ管)、呼吸器(上気道、気管、肺)、消化器(口腔、食道、胃、十二指腸、小腸、大腸、肝臓、胆嚢、膵臓)、泌尿器(腎臓、尿管、膀胱、尿道)の解剖と生理について学習する。解剖では、マクロからミクロにいたるまでの臓器の構成要素の構造と、各々の部位の医学的名称、また互いに関連する臓器や構成要素の立体的な位置関係について学習する。生理では、細胞レベルから臓器レベルまでの生化学的・物理的なはたらきについて学習する。看護の土台となる解剖生理学では、解剖学・生理学の基本的概念、解剖学的用語、ホメオスタシス、フィードバック機構について学習する。循環器系(体のすみずみまで血液を送るしくみ)では、心臓の構造、心臓の機能、血管の形態、主要な動脈、主要な静脈と門脈系、胎児循環、結果の機能、心臓血管の成長と老化、リンパ系について学習する。このコマでは、体静脈、肺静脈、門脈系、胎児循環の仕組み、成人循環への移行期の循環、血圧、血管の調節機構、脈拍、物質交換について学習する。
「ナーシング・グラフィカ 人体の構造と機能① 解剖生理学 第4版」118頁~125頁
コマ主題細目
① 主な静脈と門脈系 ② 胎児循環 ③ 血管の機能
細目レベル
① 体静脈系は、毛細血管で酸素を放出し二酸化炭素を取り込み静脈血を回収する。肺静脈系は、肺胞内で二酸化炭素を放出し酸素を取り込んだ動脈血を左心房へ運ぶ。門脈系は消化器系に広く分布する静脈からの血液を集め肝臓に運ぶ。食道から直腸に至るまでの消化管と肝臓、膵臓、脾臓などからの静脈血は、すべて門脈系にあつまり肝臓に流入する。門脈は消化管から吸収した栄養を肝臓に輸送し、そこで肝動脈の酸素に富んだ血液と混ざり、肝臓内では様々な生化学反応が行われ、有害物質を解毒したり消化管で吸収された多くの物質を変化させ体細胞に必要な物質を作っている。門脈と肝動脈の血液は肝臓を通過した後、肝静脈から下大静脈に合流し右心房に戻る。
② 胎児は必要とするすべての酸素や栄養を胎盤を通して母胎の血液から受け取り、排泄やガス交換も行う。胎児の心拍出量のうち55%は臍血管を流れる。胎盤とつながる臍帯には、1本の太い臍静脈と2本の細い臍動脈がある。臍静脈には胎盤で受け取った酸素と栄養に富む動脈血が流れ、臍動脈には胎児の全身から戻ってきた静脈血が流れる。臍静脈血は直接静脈管から下大静脈に合流し一部のみが門脈から未熟な肝臓に入る。胎児では肺循環の必要が無いため、右心房と左心房との間の卵円孔を通過して、直接左心系に血液が流入する。また、肺動脈と大動脈の間に大動脈管というバイパスが存在する。出生時には卵円孔の弁が閉鎖し、動脈管も収縮閉鎖する。
③ 血圧は、心臓の収縮によって血液が末梢の血管を押し広げる力でmmHg(水銀柱ミリメートル)で表す。血圧は心拍出量(CO:cardiac output)と全末梢血管抵抗(TPR:total peripheral vascular resistance)の積で表される。血圧を高める因子として、心拍出量では心機能の亢進と体液量の増加があり、末梢血管抵抗では末梢細動脈の収縮・緊張と血液の粘性の増加がある。血圧は圧受容器と化学受容器によりモニターされ高位中枢からの調節を受けている。圧受容器は大動脈弓と頚動脈洞にあり血圧が上昇すると受容器は引きのばされ中枢への刺激が増加する。化学受容器は頸動脈小体と大動脈小体にある神経終末で、動脈血中の二酸化炭素分圧の上昇、pHの低下、酸素分圧の低下を感知する。心臓血管中枢は延髄と橋の内部に存在し、自律神経の交感神経と副交感神経により血管平滑筋を収縮・弛緩させる。血圧は血液の量によっても影響を受け、副腎髄質ホルモン(ノルアドレナリン、アドレナリン)、腎臓のレニン-アンギオテンシン系、下垂体後葉のバゾプレシン等により調節される。
キーワード
① 肺静脈、動脈血、門脈血、消化器系 ② 臍静脈、動脈血、卵円孔、動脈管 ③ 心拍出量、末梢血管抵抗、圧受容器、化学受容器
コマの展開方法
社会人講師
AL
ICT
PowerPoint・Keynote
教科書
コマ用オリジナル配布資料
コマ用プリント配布資料
その他
該当なし
小テスト
「小テスト」については、毎回の授業終了時、manaba上において5問以上の、当該コマの小テスト(難易度表示付き)を実施します。
復習・予習課題
予習方法:教科書「ナーシング・グラフィカ 人体の構造と機能① 解剖生理学 第4版」118頁~125頁を熟読し、読み方のわからない医学用語に下線を引いておく。また医学用語についての説明が理解できない部分もチェックしておき、講義中に疑問が解消できなければ積極的に質問して疑問点を放置しないように準備する。掲載されている図表の説明文を確認し、本文の記述のどの部分と関連しているのかを確認しておく。
復習方法:教科書の該当部に目を通し、講義で示された重要なポイントを再確認する。また図表については、その表す意味が理解出来ているか再度チェックする。当日配布された資料については、それぞれの項目について講義で示された内容を試験問題として出題された場合に備えて、簡潔に記述し説明できるか確認しておく。理解が不十分な点を自己チェックし、再度、教科書「ナーシング・グラフィカ 人体の構造と機能① 解剖生理学 第4版」の該当する記述を復習する。