区分 専門科目-広域看護学-地域看護学
ディプロマ・ポリシーとの関係
実践能力 倫理観 専門性探求
地域社会貢献 グローバル性
カリキュラム・ポリシーとの関係
豊かな人間性 広い視野 知識・技術
判断力 探求心
カリキュラム全体の中でのこの科目の位置づけ
専門科目の中の「広域看護学」に位置づけ、公衆衛生看護について理解し、実践できるための知識と技術、看護職としての役割について学習する。この科目を通して、広い視野や倫理観、多職種と連携して地域環境に根差した社会貢献が重要であることを学び、対象となる人々が健康に生きることを支援できる看護職としての能力を養う。
科目の目的
少子高齢社会のなか、保健師の活動では予防の重要性が強くうたわれ、健康な地域づくりが重要な課題となっている。現在、地域包括ケアシステムの構築が進められる上で、在宅における看護の需要の拡大から療養支援には生活の視点が重要になっている。それ故に、公衆衛生看護学は、保健師だけでなく看護師にとっても必要不可欠なものである。多くの看護職が公衆衛生看護の志向を持つことが求められているということである。この科目では、まず公衆衛生看護活動の基本となる公衆衛生や公衆衛生看護の理念、考え方を理解する。また、公衆衛生看護活動の対象や活動の場、臨床看護との違いについて理解するとともに、公衆衛生看護活動の知識や技術及び展開方法、看護職の役割について学び、理解することを目ざす。
到達目標
1.公衆衛生看護の定義や理念・目的を理解できる。2.公衆衛生看護の基本となる概念と倫理について理解できる。3.公衆衛生看護の対象について理解できる。4.公衆衛生看護活動の場について理解できる。5.公衆衛生看護活動のそれぞれの場における保健師の活動及び特徴について理解できる。6.人々の健康に関する背景・要因と健康課題について理解できる。7.地域診断・事業計画と看護活動の展開方法と地域診断・事業計画・評価について理解できる。8.公衆衛生看護管理における保健師の役割について理解できる。9.健康危機管理に関する業務および保健師の役割について理解できる。10.公衆衛生看護の歴史について理解できる。
科目の概要
公衆衛生看護活動は、公衆衛生を基盤とした看護活動である。地域住民全体の健康の保持・増進を目指し、健康増進活動、各分野の保健活動(母子保健、成人保健、高齢者保健、精神保健、難病保健、感染症保健、災害保健、国際保健等)を推進する。公衆衛生看護活動は、ポピュレーションアプローチやハイリスクアプローチ、業務分担制や地区分担制など対象者の状況を踏まえながら展開する。また、公衆衛生看護活動の展開の方法には家庭訪問、健康相談、健康診査、健康教育、地域組織づくり活動などがあり、対象者の状況(個別や集団のニーズ)を把握し推進する。活動分野は、行政機関、福祉・医療、産業、学校分野など、様々な領域に拡大している。この公衆衛生看護活動の基礎となる理念や展開方法、活動の根拠となる法律などの概要を学ぶ。
科目のキーワード
公衆衛生看護の定義、公衆衛生看護の理念、公衆衛生看護の歴史、保健師、プライマリヘルスケア、ヘルスプロモーション、地域保健法、公衆衛生看護の対象、公衆衛生看護活動の場、地区分担制、業務分担制、公衆衛生看護の展開方法、ポピュレーションアプローチ、ハイリスクアプローチ、地域診断理論モデル、コミュニティ・アズ・パートナーモデル、公衆衛生看護管理、健康危機管理、
授業の展開方法
2年前期の科目であるため、学生は看護の知識・技術も不十分であること、学生自身の生活体験も乏しい時期であり、講義前後の自己学習が必須である。事前学習では、テキストの熟読と自身の課題を発見し自己学習することを提示する。講義では、理解しやすいように公衆衛生看護活動の具体的な実践事例を取り上げることやショートのグループディスカッションなどを取り入れて、主体的に学び理解が深められるように展開する。講義の最後には、毎回、小テストや解説を行い、学修の評価を行い、個々の学生の学修力を把握し、理解が深められるように進めていく。
オフィス・アワー
宮﨑博子:研究室706:月曜昼休み、水曜昼休み
E-Mail:h-miyazaki@uhe.ac.jpすぐにお返事できない事があります。

科目コード ERN01
学年・期 2年・前期
科目名 公衆衛生看護学概論
単位数 2
授業形態 講義
必修・選択 必修
学習時間 【講義】30h
【予習・復習】60h
前提とする科目 看護学原論Ⅰ・Ⅱ
展開科目 公衆衛生看護援助論Ⅰ、公衆衛生看護実習Ⅰ・Ⅱ
関連資格 看護師、保健師、養護教諭
担当教員名 宮﨑博子・松山キャンパス教務課
主題コマシラバス項目内容教材・教具
1 公衆衛生看護の定義、理念 科目の中での位置付け 公衆衛生看護とは、公衆衛生の理念をもとに、地域で生活するあらゆる人々の健康を看護の立場から保持増進し、疾病予防・回復を図り、人々が幸せな生活を送ることを目ざす活動である。この活動は、予防的視点や生活の視点、個を通して地域全体を視ることが重要である。この視点は、保健師のみでなく多くの住民と係わる全ての看護職にとっても重要で、公衆衛生看護の志向を持つことが求められる。そのために、この科目では、公衆衛生・公衆衛生看護の理念・概念を押さえ、そのうえで公衆衛生看護活動の展開について理解できる授業内容とする。具体的には、第一回は公衆衛生看護の理念、第二回は公衆衛生看護の基盤となる概念・倫理、第三回は公衆衛生看護の対象、第四回から第七回にかけては公衆衛生看護活動の場である行政機関や職域保健・学校保健、医療施設・福祉施設・国際での保健活動、第八回は人々の健康に影響する背景・要因と健康課題、第九回では公衆衛生看護活動の展開の基盤、第十回では公衆衛生看護活動の展開方法、第十一回は地域診断、第十二回は公衆衛生看護活動の計画・実践・評価、第十三回は公衆衛生看護管理、第十四回は健康危機管理、第十五回では公衆衛生看護の歴史について学ぶ。
今回の第一回目では、最も基本的な公衆衛生看護の定義・基本理念について理解する。

標準保健師講座1 公衆衛生看護学概論 最新版(医学書院)p2~11、コマ用プリント配布資料(パワーポイント資料)、その他(公衆衛生看護活動展開事例)
コマ主題細目 ① 公衆衛生看護の定義 ② 公衆衛生看護の基本理念 ③ 公衆衛生看護の原則 ④ 公衆衛生の理念 ⑤
細目レベル ① 公衆衛生看護とは、公衆衛生の理念をもとに、地域で生活するあらゆる人々の健康を看護の立場から保持・増進し、疾病を予防していくことを目ざすものである。公衆衛生看護は、看護の立場から公衆衛生の目的を達成するために実践される、個人・家族、集団、組織を対象にした意図的・組織的な活動である。公衆衛生看護の実践には、社会的な背景もふまえた地域の健康ニーズの的確な把握を行い、地域住民との協働や地域住民の主体的な問題解決を支援することが不可欠となる。そのために実践する保健・医療・福祉活動を指す。「保健所や市町村などの行政機関での保健活動」「学校における保健活動」「職域における産業保健活動」等、それぞれの場において実践される。

② 公衆衛生は、日本国憲法第25条により国の責務として規定されている活動である。公衆衛生看護は公衆衛生を基盤にした看護活動であり、地域住民1人ひとりの健康状態をよりよい状態にすること、および対象集団全体の健康増進と疾病予防を、地域社会の組織化された努力により実現していく役割を担う。その目指すものを実現するためには、地域に出向き個々人の健康状態や生活実態・環境を詳細に把握すると同時に、地域全体に共通した健康問題や生活・環境などの実態を的確にとらえ、地域で優先的に解決すべき健康問題は何かをアセスメントし、地域の実情にあわせた活動を効果的に行うことが求められる。要するに、公衆衛生・公衆衛生看護活動は、地域住民の生命と暮らしをまもる公共的な活動を住民と共に行うのである。住民自身が健康問題を自分たちのこととして受け止め、主体的な解決や予防につながる活動に取り組んでいくプロセスを支援していくことが中核になる。

③ 一つは、対象者の生活実態を基盤にした健康問題の理解である。顕在化している部分のみでなく、問題の根源はどこにあるのかなど複雑に絡み合う背景や条件を整理しながら、構造的にとらえていくことが重要である。二つ目は、自立的な生活への支援である。公衆衛生看護では、地域で生活する対象者がみずからの健康状態を認識し、健康の保持・増進や健康問題の解決を図る主体者として、さまざまな資源を活用しながら、自分が持つ潜在能力を含めた力を最大限に発揮できるような支援を大切にすることである。具体的には、家庭訪問や健康相談、健康学習、組織化活動や自助グループ活動、地域づくり活動などを通して、個々人への支援、他者との相互作用による健康問題の意識化や生活改善への取り組みへの支援、問題を引き起こしている社会的背景に気づき、その問題を改善するための地域住民との協働活動などである。

④ 公衆衛生は、日本国憲法にも記述があり第25条には生存権として、「すべて国民は、健康で文化的な最低限度の生活を営む権利を有する。国は、すべての生活部面について、社会福祉、社会保障及び公衆衛生の向上及び増進に努めなければならない」と規定され、公衆衛生の向上と増進は、国の責務となっている。ウインスローによる公衆衛生の定義では、「公衆衛生とは、疾病を予防し、延命を図り、身体的および精神的健康を増進する科学と技術であり、また、組織的なコミュニティの努力によって、環境衛生を図り、伝染病を制圧し、各自が自分で衛生面に対処するという原則に基づき1人一人を教育し、疾病を早期に診断し治療するために必要な医療と看護のサービスを組織し、健康を維持するのに必要な生活水準を、そのコミュニティのすべての個人に保障するような社会制度を開発することを、能率的に行なうことを促進する」とある。



キーワード ① 公衆衛生看護の基本理念 ② 公衆衛生 ③ 住民との協働活動 ④ 日本国憲法第25条 ⑤ ウインスロー
コマの展開方法 社会人講師 AL ICT PowerPoint・Keynote 教科書
コマ用オリジナル配布資料 コマ用プリント配布資料 その他 該当なし
小テスト 「小テスト」については、毎回の授業終了時、manaba上において5問以上の、当該コマの小テスト(難易度表示付き)を実施します。
復習・予習課題 予習:テキスト「公衆衛生看護学概論」はしがき、および目次を読み、科目の概要を理解する。さらに、第1章、「公衆衛生看護の理念」p2~11まで、既に履修した公衆衛生学のテキストを再学習する。理解できない箇所があれば、専門書・文献を検索しノートにまとめる、資料を転記、コピーするなどしてしておく。講義の時間中には、小グループでのショートデスカッションを行うので、この時に自分の意見が他者に十分に伝えられるよう、又そのことにより学びが深められるように事前の学習を行うこと。
復習:講義の最後には、manabaによる小テストや解答・解説を行い、理解度を評価する。自己学習では、講義テキスト・配布資料・小テストを見直し復習する。小テストについては、必ずその根拠について調べ、ノートに記録する。分からないことがあれば、担当教員のオフィスアワーの時に研究室に質問に来るなど、次の講義までに、理解できるようにすること。

2 公衆衛生看護の基盤となる概念・倫理 科目の中での位置付け 公衆衛生看護とは、公衆衛生の理念をもとに、地域で生活するあらゆる人々の健康を看護の立場から保持増進し、疾病予防・回復を図り、人々が幸せな生活を送ることを目ざす活動である。この活動は、予防的視点や生活の視点、個を通して地域全体を視ることが重要である。この視点は、保健師のみでなく多くの住民と係わる全ての看護職にとっても重要で、公衆衛生看護の志向を持つことが求められる。そのために、この科目では、公衆衛生・公衆衛生看護の理念・概念を押さえ、そのうえで公衆衛生看護活動の展開について理解できる授業内容とする。具体的には、第一回は公衆衛生看護の理念、第二回は公衆衛生看護の基盤となる概念・倫理、第三回は公衆衛生看護の対象、第四回から第七回にかけては公衆衛生看護活動の場である行政機関や職域保健・学校保健、医療施設・福祉施設・国際での保健活動、第八回は人々の健康に影響する背景・要因と健康課題、第九回では公衆衛生看護活動の展開の基盤、第十回では公衆衛生看護活動の展開方法、第十一回は地域診断、第十二回は公衆衛生看護活動の計画・実践・評価、第十三回は公衆衛生看護管理、第十四回は健康危機管理、第十五回では公衆衛生看護の歴史について学ぶ。
今回の第二回目では、公衆衛生看護の基盤となる概念・倫理について、「事例」を用いて考え、理解する。

標準保健師講座1、公衆衛生看護学概論最新版(医学書院)P12~22、コマ用オリジナル配布資料(保健活動実践事例)
コマ主題細目 ① 基本的人権の尊重 ② 公的責任 ③ 権利擁護 ④ エンパワメント ⑤ 公衆衛生看護における倫理
細目レベル ① 基本的人権の尊重:公衆衛生看護は、公衆衛生の目的を看護の視点から達成しようと実践されるものである。日本国憲法は第11条において基本的人権の享有を、第13条では個人の尊重、幸福追求権および公共の福祉を、代25条では生存権と国民生活の向上についての国の義務を定めている。国は憲法のこの規定に従い、基本的人権としての生存権・健康権を保障する義務がある。公衆衛生は人権を守る社会的な政策であり、公衆衛生看護もその活動を担う立場にある。とくに、障害者・高齢者および小児など人権を侵害されやすい人々に対する人権尊重への意識的な支援が重要になる。丸山は、公衆衛生による社会政策とは、「権力の上層部によって一方的に決定づけられるものではなく【社会的弱者を守る思想】の上になりたつものであり、それは、住民大衆の生活現実とそこでの要求をくみ取ることにより実現されるものである」と述べている。公衆衛生および公衆衛生看護は、住民の生命と暮らしをまもる公共的な活動である。
② 公衆衛生看護における公的責任:公衆衛生・公衆衛生看護は公共的な活動である。公衆衛生看護の目的として基本的人権を目ざすなかで、行政の保健師は、地域住民の健康をまもるために「公的責任」を果たす役割がある。公衆衛生看護における公的責任とは、顕在化している健康問題の解決だけではない。個々人の努力(自助)だけでは守ることができない、また潜在化しやすい健康問題を明らかにし、その解決のために個人や集団に対する支援だけでなく、地域全体にはたらきかけ、まちづくりやシステムを形成していく取り組みも含まれる。そして、この公共的な活動は住民とともに行うものであり、住民自身が健康問題を自分たちのこととして受け止め、主体的な解決や予防につながる活動に取り組むそのプロセスを支援していくことが中核になる。
③ 権利擁護:アドボカシーは、人々が、最も適切で最良の利益に向けて行動することであり、「単に本人の意思を代弁するだけでなく、自分自身で権利を主張できない者に対し、自己決定を援助するとともに、本人の自己決定に基づき本人に代わって本人の権利を擁護するためのさまざまな仕組みや活動の総体」である。家庭訪問や相談活動を通して、個人・家族がよりよい生活の実現ができるように自己決定・選択ができるように情報提供や支援を行い、その結果として個人や家族がエンパワメントするよう働きかけていくことが重要となる。また、自ら声を上げることが困難な人々が、他の住民と同様の生活が実現するように、地域におけるセルフヘルプグループの活動への支援や協働、社会システムや新たな体制を変革していく取り組みも大切になる。
④ フリードマンは、エンパワメントの定義を「社会的に差別や搾取を受けたり、自らコントロールしていく力を奪われたりした人々が、そのコントロールを取り戻す」であるとしている。エンパワメントは、社会の中で権利を剝奪され差別を受け抑圧された人達に対し、その抑圧から解放するための支援として使われ、そのプロセス性が重視されてきた。地域の人々がライフサイクルの中で経験する出産や育児、病気、障害、加齢などの出来事に対して、社会的サービスの不足、経済的問題、偏見、孤立など様々な影響を受けて無気力に陥った時、外部からの支援を得ながらその問題構造に気づき、自分自身に内在している力を信じて問題解決への行動を起こしていくプロセスであり、その過程を通して自信を回復し、みずからの生活と心身をコントロールする力を取り戻していくことである。このエンパワーメントの実現のために外部からの介入者として保健師の働きかけは重要となる。
⑤ 公衆衛生看護における倫理:保健師は国家資格の専門職であり、公衆衛生看護の実践には、科学的な根拠に基づいた知識と技術、専門職としての態度、その質を保証し高めていく努力が求められる。保健師としての知識・技術をどのようにして駆使し、公衆衛生看護の目的を達成していくか、その態度が問われる。その実践の上で基盤となる概念として、一つ目は「倫理」である。看護活動の方向性と考え方の良しあしを判断する根拠、考え方のもとになる。日本看護協会の「看護職の倫理綱領」は、あらゆる場で実践を行う看護職を対象とした行動指針であり、専門職として遵守すべき倫理規範を示したものである。常に、倫理的視点から意識的に見直すことが必要である。
キーワード ① 基本的人権 ② 公的責任 ③ 権利擁護 ④ エンパワメント ⑤ 看護職の倫理綱領
コマの展開方法 社会人講師 AL ICT PowerPoint・Keynote 教科書
コマ用オリジナル配布資料 コマ用プリント配布資料 その他 該当なし
小テスト 「小テスト」については、毎回の授業終了時、manaba上において5問以上の、当該コマの小テスト(難易度表示付き)を実施します。
復習・予習課題 予習:テキスト「公衆衛生看護学概論」第1章、「公衆衛生看護の基盤となる概念・倫理」p12~22までを事前に学習する。キーワードとなる基本的人権、公的責任、権利擁護、エンパワメントとは、どのようなことを示す用語なのか、テキストのみでなく、専門書や文献を検索しノートにまとめておく。講義の時間中には、グループでのショートデスカッションを行うので、この時に自分の意見を述べることができるように事前学習を行うこと。
復習:講義の最後には、manabaによる小テストや解答・解説を行い、理解度を評価する。自己学習では、講義テキスト・配布資料・小テストを見直し復習する。小テストについては、解答の根拠について調べ、ノートに記録する。分からないことがあれば、担当教員のオフィスアワーの時に研究室に質問に来るなど、次の講義までに、理解できるようにすること。

3 公衆衛生看護の対象 科目の中での位置付け 公衆衛生看護とは、公衆衛生の理念をもとに、地域で生活するあらゆる人々の健康を看護の立場から保持増進し、疾病予防・回復を図り、人々が幸せな生活を送ることを目ざす活動である。この活動は、予防的視点や生活の視点、個を通して地域全体を視ることが重要である。この視点は、保健師のみでなく多くの住民と係わる全ての看護職にとっても重要で、公衆衛生看護の志向を持つことが求められる。そのために、この科目では、公衆衛生・公衆衛生看護の理念・概念を押さえ、そのうえで公衆衛生看護活動の展開について理解できる授業内容とする。具体的には、第一回は公衆衛生看護の理念、第二回は公衆衛生看護の基盤となる概念・倫理、第三回は公衆衛生看護の対象、第四回から第七回にかけては公衆衛生看護活動の場である行政機関や職域保健・学校保健、医療施設・福祉施設・国際での保健活動、第八回は人々の健康に影響する背景・要因と健康課題、第九回では公衆衛生看護活動の展開の基盤、第十回では公衆衛生看護活動の展開方法、第十一回は地域診断、第十二回は公衆衛生看護活動の計画・実践・評価、第十三回は公衆衛生看護管理、第十四回は健康危機管理、第十五回では公衆衛生看護の歴史について学ぶ。
今回の第三回目では、公衆衛生看護の対象である個人や家族・集団へのアプローチの方法について理解する。

標準保健師講座1 公衆衛生看護学概論 最新版(医学書院)p24~31、コマ用プリント配布資料(パワーポイント資料)
コマ主題細目 ① 活動対象の特徴 ② 活動対象としての個人・家族 ③ 活動対象としてのグループ ④ ⑤
細目レベル ① 看護の対象の特徴:公衆衛生看護の対象は地域で生活する全ての人々である。その人々は、健康な人から何らかの病気で療養している人や終末期の人まで、様々な健康レベルが対象になる。また、新生児から乳幼児、学童、思春期、成人、高齢者まですべての年齢層が対象になる。地域社会を構成する要素には、家庭、学校、職場などがある。これらの中で、人々は健康を維持・増進し、病気の時は必要に応じて療養し、回復を図る。保健師は、これらの地域の人々が健康な生活を営めるように支援する。個人や家族だけでなく、様々な集団(グループ)、組織(自治体・学校・企業・組合)および地域(コミュニティ)を対象とすることは公衆衛生看護の特徴である。人々の健康は、社会との密接な関係があることから、対象となる人々が帰属している家庭や、集団・グループ・組織への働きかけが必要になる。健康課題には。個人では対応できない事柄も多く存在し、ソーシャルキャピタルの醸成が課題となる。そのため、地域社会を対象に健康な生活に関する人々の意識・つながり・文化を育むように働きかけることが求められる。

② 看護の対象としての個人・家族:一つ目は、法的根拠に基づいた個別支援対象者である。対象の中でも、法や制度で規定されている支援ニーズの高い個人から優先的に支援していく。例を挙げると、母子保健法で規定されている、妊産婦や新生児,低出生体重児・未熟児などへの支援が該当する。これらは、社会保障やハイリスクアプローチの観点から、いずれも健康管理上、個別に疾病の管理や療養生活上の個別支援が必要と考えられる対象者である。二つ目は、健康レベルから見た対象者である。a)現状では、健康状態に問題がなく、健康の保持・増進に努めるレベル、b)何らかの健康課題が顕在化し、疾病の早期発見や治療が必要なレベル、c)疾病や障害により自立した生活が営めない状況にあるレベル。三つめは、潜在的な対象者の把握を行い、支援を行う。活動対象としての家族としては、高齢者世帯で老々介護や認認介護など介護にかかわる健康課題や母子家庭などの子育ての孤立化や経済的な不安定さが児童虐待の要因の一つとしてあげられている。近年は、家族のヘルスケア機能のうち養育・介護機能が低下しているといわれている。それには、家族の意識の変化や女性の就労、狭い住宅事情、地域医療体制、近隣との相互援助の希薄化、親族間の相互扶助の減少など、様々な要因が指摘されている。人の基本的なつながりである家族を相互に作用しあうシステムとしてとらえ、家族をひとつの単位としてとらえ、支援していくことが重要である。


③ 活動対象としてのグループ:地域の中には、様々なレベルのグループ(集団)がある。地域の健康課題の解決のための対象集団は、特定集団・不特定集団および目的集団に分類できる。特定集団は同じ年代、性別、文化的特徴など共通の要素を持つ集団で、不特定集団は明確な基準が定まっていない人の集団である。目的集団とは、共通の目的や関係・利害などをもつ集団をいう。公衆衛生看護では、個人では解決できない健康課題を持つ特定集団や同じ課題や目的を持ち集まった目的集団を支援し、そのグループメンバーに共通する健康課題をともに解決するような活動を行う。グループ支援としてポピュレーションアプローチとハイリスクアプローチがある。それぞれの方法について、対象や役割、利点・欠点などについて理解することができる。


キーワード ① 公衆衛生看護の対象 ② ソーシャルキャピタル ③ 家族システム ④ ポピュレーションアプローチ ⑤ ハイリスクアプローチ
コマの展開方法 社会人講師 AL ICT PowerPoint・Keynote 教科書
コマ用オリジナル配布資料 コマ用プリント配布資料 その他 該当なし
小テスト 「小テスト」については、毎回の授業終了時、manaba上において5問以上の、当該コマの小テスト(難易度表示付き)を実施します。
復習・予習課題 予習:テキスト「公衆衛生看護学概論」第2章、「公衆衛生看護の対象」p24~31までを事前に学習する。理解できない箇所があれば、辞書や専門書を検索しノートにまとめておく。また、資料を転記、コピーするなどしてしておく。自分の課題を事前に明らかにしておくことが重要である。講義の時間中には、グループでのショートデスカッションを行うので、この時に自分の意見が他者に十分に伝えられるよう、又そのことにより学びが深められるように事前の学習を行うこと。
復習:講義の最後には、manabaによる小テストや解答・解説を行い、理解度を評価する。自己学習では、講義テキスト・配布資料・小テストを見直し復習する。小テストについては、必ずその根拠について調べ、ノートに記録する。分からないことがあれば、担当教員のオフィスアワーの時に研究室に質問に来るなど、次の講義までに、理解できるようにすること。

4 公衆衛生看護活動の場 行政機関での保健師活動(保健所) 科目の中での位置付け 公衆衛生看護とは、公衆衛生の理念をもとに、地域で生活するあらゆる人々の健康を看護の立場から保持増進し、疾病予防・回復を図り、人々が幸せな生活を送ることを目ざす活動である。この活動は、予防的視点や生活の視点、個を通して地域全体を視ることが重要である。この視点は、保健師のみでなく多くの住民と係わる全ての看護職にとっても重要で、公衆衛生看護の志向を持つことが求められる。そのために、この科目では、公衆衛生・公衆衛生看護の理念・概念を押さえ、そのうえで公衆衛生看護活動の展開について理解できる授業内容とする。具体的には、第一回は公衆衛生看護の理念、第二回は公衆衛生看護の基盤となる概念・倫理、第三回は公衆衛生看護の対象、第四回から第七回にかけては、公衆衛生看護活動の場である行政機関や職域保健・学校保健、医療施設・福祉施設・国際での保健活動、第八回は人々の健康に影響する背景・要因と健康課題、第九回では公衆衛生看護活動の展開の基盤、第十回では公衆衛生看護活動の展開方法、第十一回は地域診断、第十二回は公衆衛生看護活動の計画・実践・評価、第十三回は公衆衛生看護管理、第十四回は健康危機管理、第十五回は公衆衛生看護の歴史について学ぶ。
今回の第四回目では、地域の公衆衛生行政の中心機関である保健所の業務、および保健所保健師の主な業務と役割・機能について理解する。

標準保健師講座1  公衆衛生看護学概論 最新版(医学書院)p34~38、コマ用オリジナル配布資料(保健活動の実践事例)、「国民衛生の動向」2021/2022 第1編我が国の社会保障の動向と衛生行政の体系 第1章・2章、及び第3編、保健と医療の動向、第1章・2章・3章・4章
コマ主題細目 ① 保健師の活動の場 ② 保健所の業務 ③ 保健所保健師の業務 ④ ⑤
細目レベル ① 公衆衛生看護の実践の場となる行政機関:行政に所属する看護職は、主として保健師である。行政の保健師は保健担当部署のほか福祉担当部署にも所属し、公衆衛生看護を実践している。保健師が最も多く所属する機関は、行政(保健所・市町村保健センター)である。他には、職域、学校、医療施設、福祉施設、国際などがある。近年では、保健医療福祉に関する法制度の改正や行政組織の改変に伴い、行政内における保健師の活動の場も保健所・市町村保健センター以外のセクションへと広がっている。保健師の活動する場は広がり、とくに新たな活動の場として、福祉サービス分野で保健師が働く機会が増えている。就業先別に保健師数をみると、市町村が2万9,666人で、就業保健師数の56.0%、次いで多いのは、保健所の8,100人(就業保健師数の15.3%)である。
② 保健所の業務:保健所は、地域保健に関する幅広い所管事務と許認可権限などを有する行政機関である。保健所の業務は地域保健法(第6条)で示されている。保健所は、医師・歯科医師・獣医師・薬剤師・保健師・管理栄養士・診療放射線技師・臨床検査技師など、地域保健法施行令(第5条)で定める専門職が配置され、技術的・専門的な所掌業務や地域保健に関する調査研究・情報管理、市町村への技術支援・研修などを行っている。保健所の設置形態は、都道府県が設置するもの(都道府県型保健所)と政令市が設置するもの(政令市型保健所)の2種類に大別される。保健所の活動の基本は、市町村保健センターとは異なり、広域的な視点で地域の健康問題を査定し、健康課題への対応や健康環境の整備をすることである。
③ 保健所保健師の業務:保健所保健師は、管内の市町村や医療機関等と連携し、又その機関の他職種と協働して、管内の健康課題を把握し、その解決に向けた実践として、公衆衛生看護活動の企画・調整、広域的・専門的な保健サービスの提供、実施したサービスの評価を行う。保健所保健師の主な業務には、a)医療圏内の各種保健計画の策定などへの参画とその計画実施の推進、b)結核・感染症・エイズ・難病患者の健康相談・訪問指導、c)感染症や大規模災害に備えた健康危機管理、d)管轄市町村の保健活動への技術支援、e)管轄地域の各種統計調査および健康課題の調査・研究などである。保健所保健師の活動で、今後特に重要な業務としては、a)児童虐待予防、b)感染症などの健康危機管理、c)市町村保健師への支援があげられる。現在感染拡大している新型コロナウイルスを初めとした新興感染症への取り組みや災害への対応、精神保健活動における危機介入事例など、保健所及び保健所保健師ならではの「活動事例」を取り上げ、理解する。


キーワード ① 保健師の就業場所 ② 地域保健法 ③ 保健所業務 ④ 保健所保健師の業務 ⑤ 健康危機管理
コマの展開方法 社会人講師 AL ICT PowerPoint・Keynote 教科書
コマ用オリジナル配布資料 コマ用プリント配布資料 その他 該当なし
小テスト 「小テスト」については、毎回の授業終了時、manaba上において5問以上の、当該コマの小テスト(難易度表示付き)を実施します。
復習・予習課題 予習:テキスト「公衆衛生看護学概論」第3章、「公衆衛生看護の場」p34~38までを事前に学習する。また、併せて、「国民衛生の動向」第1編我が国の社会保障の動向と衛生行政の体系 第1章・2章、及び第3編、保健と医療の動向、第1章・2章・3章・4章を学習する。理解できない箇所があれば、専門書・厚生労働省ホームページも検索するなどしてノートにまとめておく。また、資料を転記、コピーするなどしてしておくこと。自分の課題を事前に明らかにしておくことが重要である。講義の時間中には、グループでのショートデスカッションを行うので、この時に自分の意見が他者に十分に伝えられるよう、又そのことにより学びが深められるように事前の学習を行うこと。
復習:講義の最後には、manabaによる小テストや解答解説、重要項目のまとめを行い、理解度を評価する。更に、自己学習では、講義テキスト・配布資料・小テストを見直し復習する。小テストについては、必ずその根拠について調べ、ノートに記録する。分からないことがあれば、担当教員のオフィスアワーの時に研究室に質問に来るなど、次の講義までに、理解できるようにすること。

5 公衆衛生看護活動の場 行政機関での保健師活動(市町保健センター・市町福祉分野) 科目の中での位置付け 公衆衛生看護とは、公衆衛生の理念をもとに、地域で生活するあらゆる人々の健康を看護の立場から保持増進し、疾病予防・回復を図り、人々が幸せな生活を送ることを目ざす活動である。この活動は、予防的視点や生活の視点、個を通して地域全体を視ることが重要である。この視点は、保健師のみでなく多くの住民と係わる全ての看護職にとっても重要で、公衆衛生看護の志向を持つことが求められる。そのために、この科目では、公衆衛生・公衆衛生看護の理念・概念を押さえ、そのうえで公衆衛生看護活動の展開について理解できる授業内容とする。具体的には、第一回は公衆衛生看護の理念、第二回は公衆衛生看護の基盤となる概念・倫理、第三回は公衆衛生看護の対象、第四回から第七回にかけては公衆衛生看護活動の場である行政機関や職域保健・学校保健、医療施設・福祉施設・国際での保健活動、第八回は人々の健康に影響する背景・要因と健康課題、第九回では公衆衛生看護活動の展開の基盤、第十回では公衆衛生看護活動の展開方法、第十一回は地域診断、第十二回は公衆衛生看護活動の計画・実践・評価、第十三回は公衆衛生看護管理、第十四回は健康危機管理、第十五回では公衆衛生看護の歴史について学ぶ。
今回の第五回目では、公衆衛生看護の活動の場として市町村保健センターの業務及び保健師の役割について理解する。また、近年保健師が配属されている福祉部門での業務と役割について理解する。

標準保健師講座1 公衆衛生看護学概論 最新版(医学書院)p39~43、市町ホームページからの保健活動の情報、広報誌、コマ用オリジナル配布資料(①市町村保健センターの業務、➁実践事例)
コマ主題細目 ① 市町村での活動 ② 市町村保健センター保健師の業務・役割 ③ 福祉分野での活動 ④ ⑤
細目レベル ① 市町村での活動:地域保健法の制定に伴い、対人保健サービスの実施機関が保健所から市町村に移行された。現在では、就業保健師の約5割が市町村で活動している。多くの市町村保健師が活動する場が市町村保健センターである。地域保健法(第18条)に、「市町村は市町村保健センターを設置することができる」と明記され、「住民に対して、健康相談、保健指導、健康診査その他地域保健に必要な事業を行うことを目的とする施設」と定義されている。市町村保健センターは、広範囲な対象に対人保健サービスを実施する施設である。住民の最も身近な相談者として健康教育・訪問指導などを行い、地域のニーズに沿った健康づくり活動を住民とともにつくっていくことが市町村保健センターにおける活動の特性である。
② 保健センター保健師の業務:市町村保健師は、管轄地域の住民に対し、法定の保健事業から住民のニーズに応じた支援まで地域に密着した活動を行い、管轄地域全体の健康づくりを担う。支援対象は、妊婦・乳幼児から成人・高齢者まですべての年代の人であり、健康な人から病や障害をもつ人までの幅広い健康レベルの人である。これらの人々に、母子保健活動、成人保健活動、高齢者保健活動、精神保健活動などを行う。個別支援だけでなく、住民全体に対する正しい知識の普及や啓発、地域に共通する健康問題の解決に向けた住民・関係機関との連携や地域ケアシステムの構築についても行う。市町村保健センターには従来の業務に加えて、次のような地域の健康課題への対応が求められている。それは、①育児不安や児童虐待への対応、②高齢者・障害者が地域で生活できる地域包括ケアシステムの構築、③成人の生活習慣病、④自殺予防、うつ病対策、⑤認知症の予防などである。
③ 福祉分野での活動:保健師が所属するのは市町村保健センターなどの保健分野だけではない。近年は、介護保険法・次世代育成支援対策推進法・障害者総合支援法の制定に伴い、市町村では介護保険や児童福祉・障害者福祉担当部署などの福祉分野への保健師の配置が進んでいる。介護保険担当部署では、介護保険に関する業務を行っている。また、業務を委託する場合の調整やサービスの質の向上に向けた支援も重要な役割である。児童福祉担当部署では、障害を持つ子供や虐待を受けている可能性のある子どもへの支援を行う。障害福祉担当部署では、障碍者総合支援法・発達障害者支援法・障害者虐待防止法・障害者差別解消法などに基づき、知的障害者・身体障害者および精神障害者への支援を実施している。福祉事務所や市町保健センターと連携して実施する。


キーワード ① 市町村保健センター ② 地域包括ケアシステム ③ 対人保健サービス ④ 児童福祉分野 ⑤ 障害福祉分野
コマの展開方法 社会人講師 AL ICT PowerPoint・Keynote 教科書
コマ用オリジナル配布資料 コマ用プリント配布資料 その他 該当なし
小テスト 「小テスト」については、毎回の授業終了時、manaba上において5問以上の、当該コマの小テスト(難易度表示付き)を実施します。
復習・予習課題 予習:テキスト「公衆衛生看護学概論」3章「公衆衛生看護の場」市町村保健センター・福祉部門p39~43を事前に学習する。自分の住む市や町の市町のホームページから保健活動の情報を得ておく。資料化し自分の課題を明らかにしておくと良い。講義の時間中には、グループでのショートデスカッションを行うので、この時に自分の意見が他者に十分に伝えられるよう、又そのことにより学びが深められるように事前の学習を行うこと。
復習:講義の最後には、manabaによる小テストと解答・解説を行い、理解度を評価する。更に、自己学習では、今回の講義テキスト該当箇所・配布資料・小テストを見直し復習する。分からないことがあれば、担当教員のオフィスアワーの時に研究室に質問に来るなど、次の講義までに、理解できるようにすること。

6 公衆衛生看護活動の場 職域・学校における保健活動 科目の中での位置付け 公衆衛生看護とは、公衆衛生の理念をもとに、地域で生活するあらゆる人々の健康を看護の立場から保持増進し、疾病予防・回復を図り、人々が幸せな生活を送ることを目ざす活動である。この活動は、予防的視点や生活の視点、個を通して地域全体を視ることが重要である。この視点は、保健師のみでなく多くの住民と係わる全ての看護職にとっても重要で、公衆衛生看護の志向を持つことが求められる。そのために、この科目では、公衆衛生・公衆衛生看護の理念・概念を押さえ、そのうえで公衆衛生看護活動の展開について理解できる授業内容とする。具体的には、第一回は公衆衛生看護の理念、第二回は公衆衛生看護の基盤となる概念・倫理、第三回は公衆衛生看護の対象、第四回から第七回にかけては公衆衛生看護活動の場である行政機関や職域保健・学校保健、医療施設・福祉施設・国際での保健活動、第八回は人々の健康に影響する背景・要因と健康課題、第九回では公衆衛生看護活動の展開の基盤、第十回では公衆衛生看護活動の展開方法、第十一回は地域診断、第十二回は公衆衛生看護活動の計画・実践・評価、第十三回は公衆衛生看護管理、第十四回は健康危機管理、第十五回では公衆衛生看護の歴史について学ぶ。
今回の六回目では、公衆衛生看護の活動の場である職域や学校における保健活動の概要と看護職の役割について理解する。

標準保健師講座1公衆衛生看護学概論 最新版(医学書院)p44~52、国民衛生の動向2021/2022第7編及び第9編、コマ用プリント配布資料(パワーポイント資料)、コマ用オリジナル配布資料(労働基準法、労働安全衛生法、ストレスチェック制度、学校保健安全法)
コマ主題細目 ① 職域保健活動の概要 ② 産業看護職の活動 ③ 学校保健の概要 ④ 養護教諭の職務と連携 ⑤
細目レベル ① 職域保健(産業保健)の概要:職域で行われる保健活動は、企業などの場において働く人々の健康の保持・増進を行う活動で、産業保健活動とよぶ。活動の場である企業などは、明確な目的のもと、従業員を雇用し継続的な事業を行う組織のことである。保健活動は、その活動を通して企業等の継続的な事業運営に貢献することである。労働者に対しては、よりよい労働や働き甲斐を尊重した支援を行う。単に、「健康のため」という理由だけでなく、企業の目的達成や労働者の働きがいを健康面から支援するというスタンスにたつことが重要である。産業保健活動は、企業等の組織において、事業者の責任で労働者に対して行われる保健活動であり、活動を規定する法律は労働安全衛生法においてもその責務が明確に規定されている。産業保健従事者は、事業者が産業保健活動を適切に実施するために、専門的な支援や業務の代行を行う。近年では、社員の健康を重要な経営戦略としてとらえ、積極的に健康の保持・増進にに取り組むことで企業の生産性の維持向上を目指す「健康経営」という概念が広がりを見せている。
② 産業看護職の活動:活動の特徴のひとつめは、労働と健康の調和への支援である。仕事が健康に与える影響が大きく、要因も様々である。専門職としてこれらの要因を把握し、職場環境や作業方法、作業内容の改善などに取り組む必要がある。また、人の側からの市毎への調和をはかることも重要である。二つ目は、産業保健チームにおける看護専門職としての役割である。産業看護職は、産業医や衛生管理者などの専門職や職場の人事労務担当者などから構成される産業保健チームの中で、対象者のQOLの向上を目指し、相手を全人的にとらえ、その自助力に働きかけ、気持ちや生きがいを尊重した支援を行うという看護専門職としての役割を果たす。三つ目は、看護専門職と企業の一員としての立場の両立である。産業保健活動は、「総括管理」「作業環境管理」「作業管理」「健康管理」「労働衛生教育」の枠組みで行われる。特に、健康診断の企画や事後措置、生活習慣病やメンタルヘルス対策、過重労働対策などに重要な役割を担う。
③ 学校保健の概要:学校保健とは、学校における保健教育と保健管理の活動を通して、児童・生徒の健康増進をはかり、学校教育目標が達成できるよう活動することである。対象は、幼稚園から小学校・中学校・高等学校・大学に至る教育機関に学ぶ幼児・児童・生徒・学生および教職員である。中等教育学校や特別支援学校、大学・及び高等専門学校も対象である。そこで、保健教育や保健管理を行う。保健教育は、学校教育法および学校保健安全法に基づいた教育活動として、児童・生徒が健康に関する知識を身に着けることや、活動を通して自主的に健康な生活を実践できる資質や能力を育成することを目ざす。保健教育は、体育や保健体育における「保健」および関連教科(保健学習)や特別活動の学級活動、ホームルーム活動(保健指導)、道徳での健康教育など、学校教育全体で実施する。保健管理では、児童・生徒および職員の健康の保持・増進が必要不可欠であり、そのために健康診断・健康相談・感染症予防・学校環境衛生など規定されている。活動は、校長・保健主事・養護教諭や栄養教諭と非常勤の専門職がチームとして学校保健経営に携わる。
④ 学校保健活動と養護教諭の職務・連携:学校では、学校保健計画の策定と実施が義務づけられている。養護教諭は、健康診断の結果や日常の健康観察などにより児童・生徒の心身の健康状態を把握しており、児童・生徒や地域の実情にあった計画の策定にかかわる。また、児童や生徒の安全の確保のため、学校安全計画を策定することが義務づけられている。保健管理などの業務や健康相談・保健教育、環境管理なども行う。保健室の整備や救急対応の校内体制の整備なども養護教諭の役割である。また、学校における健康課題を協議し、健康づくりを推進するための学校保健委員会の運営や児童・生徒保健委員会活動にも関わり、支援する役割がある。児童・生徒の健康課題の解決を目指し、行政の保健部門と連携し保健活動を推進することも重要である。

キーワード ① 産業保健チーム ② 労働安全衛生法 ③ ストレスチェック ④ 学校保健計画 ⑤ 養護教諭の役割
コマの展開方法 社会人講師 AL ICT PowerPoint・Keynote 教科書
コマ用オリジナル配布資料 コマ用プリント配布資料 その他 該当なし
小テスト 「小テスト」については、毎回の授業終了時、manaba上において5問以上の、当該コマの小テスト(難易度表示付き)を実施します。
復習・予習課題 予習:テキスト「公衆衛生看護学概論」3章「公衆衛生看護の場」職域、学校p44~52、「国民衛生の動向」2021/2022第7編・第9編を事前に学習すると、理解しやすくなる。事前学習により課題を明らかにしておくことが重要である。講義の時間中には、グループでのショートデスカッションを行うので、この時に自分の意見が他者に十分に伝えられるよう、又そのことにより学びが深められるように事前の学習を行うこと。
復習:講義の最後には、manabaによる小テストと解答・解説を行い、理解度を評価する。更に、自己学習では、テキストの講義箇所・配布資料・小テストを見直し復習する。分からないことがあれば、担当教員のオフィスアワーの時に研究室に質問に来るなど、次の講義までに、理解できるようにすること。

7 公衆衛生看護活動の場 医療施設・福祉施設・国際保健活動 科目の中での位置付け 公衆衛生看護とは、公衆衛生の理念をもとに、地域で生活するあらゆる人々の健康を看護の立場から保持増進し、疾病予防・回復を図り、人々が幸せな生活を送ることを目ざす活動である。この活動は、予防的視点や生活の視点、個を通して地域全体を視ることが重要である。この視点は、保健師のみでなく多くの住民と係わる全ての看護職にとっても重要で、公衆衛生看護の志向を持つことが求められる。そのために、この科目では、公衆衛生・公衆衛生看護の理念・概念を押さえ、そのうえで公衆衛生看護活動の展開について理解できる授業内容とする。具体的には、第一回は公衆衛生看護の理念、第二回は公衆衛生看護の基盤となる概念・倫理、第三回は公衆衛生看護の対象、第四回から第七回にかけては公衆衛生看護活動の場である行政機関や職域保健・学校保健、医療施設・福祉施設・国際での保健活動、第八回は人々の健康に影響する背景・要因と健康課題、第九回では公衆衛生看護活動の展開の基盤、第十回では公衆衛生看護活動の展開方法、第十一回は地域診断、第十二回は公衆衛生看護活動の計画・実践・評価、第十三回は公衆衛生看護管理、第十四回は健康危機管理、第十五回では公衆衛生看護の歴史について学ぶ。
今回の第七回目では、医療施設や福祉施設、国際保健における保健活動と看護職の役割について理解する。

標準保健師講座1 公衆衛生看護学概論最新版(医学書院)p53~68、コマ用オリジナル配布資料(地域包括支援センターの業務・児童相談所の業務)
コマ主題細目 ① 医療施設との連携 ② 保健医療資源との連携 ③ 児童相談所の保健師活動 ④ 地域包括支援センターの保健師活動 ⑤ 保育所における保健活動
細目レベル ① 医療施設との連携・調整:地域で療養する人々は、さまざまな疾病や障害を抱え、家庭で生活を営んでいる。早期退院に向けての病院の取り組みも進められている。また、医療技術の進歩により高度な医療対応が家庭でも可能になり、人工呼吸器を装着した療養者やがん末期の療養者も増加している。公衆衛生看護を担う保健師は、地域の医療施設の種類と機能について理解することが必要である。その上で、病院や診療所との連携とともに、訪問看護ステーションなどとの連携を図り、療養者と家族への支援を行う役割がある。地域の医療施設の機能や利用方法、関係する職種を理解し、保健師としてどのように連携・調整をはかり、療養者への支援を行うか、支援体制を構築するのか考える。
② 地域の保健医療資源との連携:疾病や障害を抱えながら地域で安心して生活できるためには、保健師は地域の様々な保健医療資源福祉等に関する情報を把握し、またニーズに合わせて情報提供する。必要に応じて、関係機関や関係者との連携を図り、早急に活用できるよう支援することが重要である。難病患者・家族などへのきめ細かい相談や支援の拠点として、難病相談・支援センターが 各都道府県に設置されており、連携や調整が必要である。難病の患者に対する医療等に関する法律に基づき、難病相談・支援センターの機能強化や訪問看護の拡充が期待されている。災害時における救急医療の確保のため、都道府県ごとに災害拠点病院が設置されており、危機管理体制を整えておくことが必要である。
③ 児童相談所における保健師活動:児童相談所は児童福祉の第一線機関であり、児童福祉法に基づいて都道府県・指定都市および児童相談所設置しに設置されている行政機関である。主な機能には、a)市町村援助機能、b)相談機能、c)一時保護機能、d)措置機能がある。保健師の職務内容は、「児童相談所運営指針」に示されている。a)公衆衛生および予防医学的知識の普及、b)育児相談、1,6歳児や3歳児健康診査の精神発達面における保健指導・障害児や虐待を受けた子どもや家族への支援、c)子どもの健康・発達面に関するアセスメントとケアおよび一時保護している子どもの健康管理、d)保健センター・子育て世代包括支援センターや医療機関との情報交換・連絡調整、関係機関との協働による子どもや家族への支援である。近年は、児童虐待への対応や虐待リスクの早期発見・予防に重点が置かれている。関係機関との連携・協働と支援ネットワークづくりの力量も重要となる。
④ 地域包括支援センターにおける保健師活動:地域包括支援センターは、介護保険法に基づいて、住民の心身の健康の保持および生活の安定のために必要な援助を行い、住民の保健医療の向上および福祉の増進を包括的に支援することを目的として設置が推進されている。包括的支援事業と介護予防支援事業を地域において一体的に実施する役割を担う中核機関である。市町村または市町村から委託を受けた法人が設置することになっている。また、原則として、保健師・社会福祉士・主任介護専門員の3職種をおくことになっている。保健師には、相談などの個別相談において医療専門職としての専門性の発揮だけではなく、介護予防マネジメント事業の実施や地域特性の分析を行い他機関・他職種と・住民との連携により地域包括ケアシステムの構築の推進が求められる。
⑤ 保育所における保健活動:保育所は児童福祉法第39条に基づき、保育を必要とする乳児・幼児を日々保護者のもとから通わせて保育を行うことを目的とする児童福祉施設である。保育所における保健活動は、a)子ども・職員の健康管理および定期健康診断の実施、b)体調不良やけがなどの対処、c)疾病や障害のある子どもへの対応、d)感染症対策,e)保育所の嘱託医との連携、f)健康教育、g)保健をテーマとした保育所内研修の企画・運営などである。近年では、地域の子育て支援を担う施設としても期待され、地域開放や一時預かりなどで保護者の育児相談や保健指導を実施し、その情報をもとに市町村の母子保健部門や保健所、療育機関などとの連携が求められている。今後は、疾患や障害を持つ子ども・医療的ケアが必要な子どもが地域で更に増加すること、複合的な問題を持つ家庭への支援の必要性も更に高まることが予測される。地域連携や支援ネットワークづくりを提案する役割がある。
キーワード ① 児童相談所 ② 児童虐待 ③ 児童福祉司 ④ 要保護児童地域対策協議会 ⑤ 地域包括支援センター
コマの展開方法 社会人講師 AL ICT PowerPoint・Keynote 教科書
コマ用オリジナル配布資料 コマ用プリント配布資料 その他 該当なし
小テスト 「小テスト」については、毎回の授業終了時、manaba上において5問以上の、当該コマの小テスト(難易度表示付き)を実施します。
復習・予習課題 予習:テキスト「公衆衛生看護学概論」3章「公衆衛生看護の場」医療施設、福祉施設、国際p53~68を事前に学習する。県内の児童相談所や地域包括支援センターのホームページを検索し、資料を転記・コピーする等してしておく。講義の時間中には、グループでのショートデスカッションを行うので、この時に自分の意見が他者に十分に伝えられるよう、又そのことにより学びが深められるように事前学習を行うこと。
復習:講義の最後には、manabaによる小テスト及び解答・解説を行う。さらに、理解度を高めるために、自己学習として本日の講義テキストの内容、配布資料、小テストを見直し復習する。分からないことがあれば、担当教員のオフィスアワーの時に研究室に質問に来るなど、次の講義までに、理解できるようにすること。

8 社会環境の変化と健康課題 科目の中での位置付け 公衆衛生看護とは、公衆衛生の理念をもとに、地域で生活するあらゆる人々の健康を看護の立場から保持増進し、疾病予防・回復を図り、人々が幸せな生活を送ることを目ざす活動である。この活動は、予防的視点や生活の視点、個を通して地域全体を視ることが重要である。この視点は、保健師のみでなく多くの住民と係わる全ての看護職にとっても重要で、公衆衛生看護の志向を持つことが求められる。そのために、この科目では、公衆衛生・公衆衛生看護の理念・概念を押さえ、そのうえで公衆衛生看護活動の展開について理解できる授業内容とする。具体的には、第一回は公衆衛生看護の理念、第二回は公衆衛生看護の基盤となる概念・倫理、第三回は公衆衛生看護の対象、第四回から第七回にかけては公衆衛生看護活動の場である行政機関や職域保健・学校保健、医療施設・福祉施設・国際での保健活動、第八回は人々の健康に影響する背景・要因と健康課題、第九回では公衆衛生看護活動の展開の基盤、第十回では公衆衛生看護活動の展開方法、第十一回は地域診断、第十二回は公衆衛生看護活動の計画・実践・評価、第十三回は公衆衛生看護管理、第十四回は健康危機管理、第十五回では公衆衛生看護の歴史について学ぶ。
今回の第八回目では、地域に暮らす人々の健康に影響する背景・要因と健康課題について、人間生活や経済との関連の深い公害問題や地球温暖化等理解する。

標準保健師講座1、公衆衛生看護学概論最新版(医学書院)p70~86、国民衛生の動向2021/2022 第6編・8編、コマ用プリント配布資料(パワーポイント資料)
コマ主題細目 ① 人口と健康課題 ② 健康の社会的要因・健康格差 ③ 環境の変化と健康課題 ④ ⑤
細目レベル ① 人口及び疾病構造の変化:経済・産業、地域社会および社会格差などの社会環境の変化によって疾病構造が変化している。人口構成は少子高齢化が進んでいる。疾病構造は、生活環境や医療の改善などにより従来の感染症が減少する一方で新興感染症が猛威をふるい、人々の健康や日常生活・経済にも重大な影響をもたらしている。また、高齢化や喫煙率・食生活・身体活動の変化により悪性新生物や心疾患などの非感染性疾患(NCD,または生活習慣病)が増加している。非感染性疾患は継続的な管理が必要であるため、この疾病構造の変化により医療需要が増加している。対人関係の苦労や長時間労働なども関係してメンタルヘルスは産業保健の大きな課題である。不慮の事故や自殺は、大規模災害や経済・健康面・労働環境など時代の推移に伴い増減がみられる。2020年からの新型コロナウイルスの感染拡大のなかでの、人々の健康の保持は重要な課題である。
② 健康の社会的要因・健康格差:日本は、明治から令和へと着実に経済成長をとげてきた。昭和20年に第二次世界大戦の敗戦により経済は崩壊したが、その後は目覚ましい成長を続け高度成長期となった。生活水準や生活環境が向上し、日本の平均寿命も先進国の水準に向上した。1970年代には、第二次産業就業割合は35%に達し、高度経済成長期は公害が問題となった。近年は、代3次産業が就業割合が増加し、約70%を占める。対人関係の苦労や長時間労働なども影響しメンタルヘルスは産業保健の大きな課題となっている。企業活動や社会の変化に伴い、地域社会が流動化し、人々の関係の希薄化も課題である。また、所得や社会的地位などの社会経済的要因の格差が生じている。所得の低い高齢者の増加、子どもの貧困などの課題が生じ対策が進められている。その他、科学技術の発展は健康に良い影響を与えている反面、仕事上のストレス、VDT作業・新しい科学物質への暴露やインターネットやスマートフォンなどの普及による睡眠時間の減少や身体活動の低下が課題となっている
③ 環境の変化と健康課題:公害や地球環境の変化は、人々の健康に大きな影響を与える。高度成長期には、数々の公害が発生した。健康被害の大きかったイタイイタイ病、水俣病、新潟水俣病、四日市喘息は、四大公害病とよばれている。地球温暖化は、人類の活動などにより排出される温室効果ガスにより、温室効果が表れ、地球全体の平均気温が上昇してく問題である。このことは、異常気象や海面の上昇などを引き起こし、生態系の変化が農業や漁業への影響や人々の健康にも影響を及ぼしている。それ以外にも様々な地球環境の問題があり、世界全体でも取り組みが進められている。地震や水害などの大規模自然災害や大規模人為災害も国内外で起きており、重要な健康危機管理が重要である。


キーワード ① 疾病構造の変化 ② 健康格差 ③ 環境問題 ④ 公害 ⑤ 健康危機管理
コマの展開方法 社会人講師 AL ICT PowerPoint・Keynote 教科書
コマ用オリジナル配布資料 コマ用プリント配布資料 その他 該当なし
小テスト 「小テスト」については、毎回の授業終了時、manaba上において5問以上の、当該コマの小テスト(難易度表示付き)を実施します。
復習・予習課題 予習:テキスト「公衆衛生看護学概論」第4章、「社会環境の変化と健康課題」p70~86まで、および「国民衛生の動向」第6編・8編を事前学習する。環境省のホームページや地球温暖化や公害問題に関する文献を検索することにより関心を高める。資料を転記、コピーするなどしてしておくと良い。身近な健康と環境問題についての課題と自分たちが取り組むことのできる対策について考えてみよう。講義の時間中には、グループでのショートデスカッションを行うので積極的に臨んでほしい。
復習:講義の最後には、manabaによる小テストを行い、理解度を評価する。自己学習として、本日の講義テキストの該当箇所、配布資料、小テストを見直し復習する。分からないことがあれば、担当教員のオフィスアワーの時に研究室に質問に来るなど、次の講義までに、理解できるようにすること。

9 公衆衛生看護活動の展開の基盤 科目の中での位置付け 公衆衛生看護とは、公衆衛生の理念をもとに、地域で生活するあらゆる人々の健康を看護の立場から保持増進し、疾病予防・回復を図り、人々が幸せな生活を送ることを目ざす活動である。この活動は、予防的視点や生活の視点、個を通して地域全体を視ることが重要である。この視点は、保健師のみでなく多くの住民と係わる全ての看護職にとっても重要で、公衆衛生看護の志向を持つことが求められる。そのために、この科目では、公衆衛生・公衆衛生看護の理念・概念を押さえ、そのうえで公衆衛生看護活動の展開について理解できる授業内容とする。具体的には、第一回は公衆衛生看護の理念、第二回は公衆衛生看護の基盤となる概念・倫理、第三回は公衆衛生看護の対象、第四回から第七回にかけては公衆衛生看護活動の場である行政機関や職域保健・学校保健、医療施設・福祉施設・国際での保健活動、第八回は人々の健康に影響する背景・要因と健康課題、第九回では公衆衛生看護活動の展開の基盤、第十回では公衆衛生看護活動の展開方法、第十一回は地域診断、第十二回は公衆衛生看護活動の計画・実践・評価、第十三回は公衆衛生看護管理、第十四回は健康危機管理、第十五回では公衆衛生看護の歴史について学ぶ。
今回の第九回目では、公衆衛生看護活動に必要な理論と展開方法について理解する。

標準保健師講座1 公衆衛生看護学概論最新版(医学書院)p88~108、コマ用プリント配布資料(パワーポイント資料)
コマ主題細目 ① 健康とは ② 生活とは ③ 公衆衛生看護活動の基盤と理論 ④ 公衆衛生看護活動の展開方法 ⑤ 公衆衛生看護活動の基本的な展開方法
細目レベル ① 健康とは:WHOは、「健康とは、病気でないとか、弱っていないということではなく、肉体的にも、精神的にも、そして社会的にもすべてが満たされた状態であること」と定義している。その定義には「人種、宗教、政治信条や経済的・社会的条件により差別されることなく、最高水準の健康に恵まれることは、あらゆる人々にとっての基本的人権の一つ」であると記されている。健康は基本的人権であり、すべての人々の健康がまもられるべきものであり、とくに心身だけでなく、社会的に満たされていることが重要である。人々の健康は、遺伝子や生活習慣だけでなく、経済状態や社会的な地位および環境などの社会的要因に大きく影響される。WHOの健康の定義からも、社会環境の違いにより人の健康状態に差が生じてはならない。健康の公平性を達成するために、健康の社会的決定要因に関して国際的な取り組みを先導することを求め、勧告を出している。日本においても健康格差がの拡大が問題になっている。人々の健康は、生活・社会と密接に関連している。人々の生活状況は、生活の構造、生活習慣から総合的にとらえることを理解する。
② 生活とは:「生活」を辞典で引くと、「生存して活動すること。生きながらえること」「世の中で暮らしていくこと。また、その手立て。生計」などと記されている。また、生活の構造面から、①生活水準、②生活関係、③生活時間、④生活空間の4つの次元からとらえることができる。生活習慣はそうすることが決まりごとのようになっていることがら、あるいは日常生活での行動様式である。それは、主に食習慣、喫煙、飲酒、休養・睡眠、運動や活動などの日常生活行動である。この日常生活の行動のほかに、働く、学ぶ、遊ぶという行動も含まれる。つまり、仕事の仕方、対人関係の取り方などその人の生き方や価値観を含んだ行動である。生活状況は心と身体の状態と密接な関係にある。さらに生活状況は、家庭生活や職業生活、社会生活と密接な関係がある。また、その生活の背景を取り巻くものとして「社会資源・制度」と「政治・経済」が影響を及ぼしている。そのため、保健師には、社会背景を含めて人々の生活状況と健康とを関連させて、総合的にとらえることが求められる。公衆衛生看護活動の展開は予防の概念とそれに基づいたアプローチ方法が重要であり、保健師の業務分担制・地区分担制の特徴を生かして活動を展開することを理解する
③ 公衆衛生看護活動の基盤ー理論:一つ目は、医療モデルと生活モデルである。公衆衛生看護活動におけるアプローチ方法のモデルとして、「医療モデル」と「生活モデル」がある。「医療モデル」は、疾患の治療を行う場合の医療者と患者の関係モデルである。「生活モデル」は、疾患や障害を持ちながら生活する療養者と支援者の関係モデルである。個々の人々の健康問題に対応する公衆衛生看護においては、対象者の病状や健康状態にかかわらず、医学的治療と生活に焦点を合わせたケアの両方が必要となる。多くの場合、医療モデルと生活モデルは併存しており、特に公衆衛生看護においては、医療モデルだけでなく生活モデルを基本において活動を展開する必要がある。二つ目は、予防の概念である。公衆衛生看護の展開において基本となる概念として、「予防」がある。一次予防、二次予防、三次予防を踏まえて展開する。
公衆衛生看護活動の方法は、個別・家族へのアプローチと集団・グループへのアプローチを駆使して活動することを理解する。

④ 公衆衛生看護活動の展開方法:展開方法にポピュレーションアプローチとハイリスクアプローチの進め方がある。また、活動方法のパターンに、業務分担制と地区分担制がある。業務分担制は、保健所や保健センターで実施される業務分野ごとに担当する方法である。保健所では、難病班(グループ)、精神保健班(グループ)、感染症班(グループ)などに分かれ、保健センターでは、母子保健班(グループ)、成人保健班(グループ)などに分かれて担当する。専門性の高い業務を系統的に遂行することができるが、他の業務との連携や調整が乏しくなるという問題点がある。地区分担制は、管轄地域をいくつかに分け、地域を1人の保健師が担当し、地域内のすべての人々を対象として地区活動を展開する方法である。個人と家族、地域全体の健康課題を把握し、健康課題を横断的・包括的にかかわる。展開方法として、家庭訪問、健康相談、健康診査、健康教育、地区組織活動などがあることを理解する。地域へのアプローチは、地区活動とともに、地域ケアシステムやネットワークの構築が重要であることを理解できる。
⑤ 公衆衛生看護活動の基本的な展開方法には、家庭訪問、健康相談、保健指導、健康診査、健康教育、地区組織活動などがある。まず、個別・家族へのアプローチとして、家庭訪問や保健指導を行う。家庭訪問は、個人や家族の生活の場に出向き、看護援助を行い、対象者の健康問題の解決を図るものであり、地域の健康課題の解決へと発展させていく重要な展開方法で公衆衛生看護活動の基本となる。保健指導は、保健師が個人を対象に適切なサービス・情報・技術を提供し、1人ひとりの健康を支援するもので、対象者が自分の問題に気付き、みずから解決していけるように支援することである。次に、集団・グループへのアプローチとして、健康診査や健康教育、グループ支援がある。健康状態の把握と予防的対策、疾病の早期発見・早期対応や地域全体の健康状態の把握と対策への反映の為である。健康教育は意図的に企画する健康に関する教育活動である。その他の展開方法として、地域へのアプローチとして、地区活動及び地域包括システム・支援ネットワークの構築を行う。このような取り組みを行う中で、地域の健康問題や背景を明らかにし、その解決の為に施策化・事業化を推進することが重要となる。
キーワード ① 健康の概念 ② 生活習慣 ③ ハイリスクアプローチとポピュレーションアプローチ ④ 業務分担制と地区分担制 ⑤ 公衆衛生看護活動の基本的な展開方法
コマの展開方法 社会人講師 AL ICT PowerPoint・Keynote 教科書
コマ用オリジナル配布資料 コマ用プリント配布資料 その他 該当なし
小テスト 「小テスト」については、毎回の授業終了時、manaba上において5問以上の、当該コマの小テスト(難易度表示付き)を実施します。
復習・予習課題 予習:テキスト「公衆衛生看護学概論」第5章、「公衆衛生看護活動の展開の基盤」p88~108までを事前学習する。理解できない箇所については、他のテキストや保健師活動の記録などを検索しノートにまとめる、また、資料を転記、コピーするなどしてしておく。自分の課題を事前に明らかにしておくことが重要である。講義の時間中には、小グループでのショートデスカッションを行うので、この時に自分の意見が他者に十分に伝えられるよう、又そのことにより学びが深められるように事前の学習を行うこと。
復習:講義の最後には、manabaによる小テストや解答・解説を行うが、更に自己学習により、講義テキスト、配布資料、小テストを見直し復習する。小テストについては、必ずその根拠について調べ、ノートに記録する。分からないことがあれば、担当教員のオフィスアワーの時に研究室に質問に来るなど、次の講義までに、理解できるようにすること。

10 公衆衛生看護活動の展開方法 科目の中での位置付け 公衆衛生看護とは、公衆衛生の理念をもとに、地域で生活するあらゆる人々の健康を看護の立場から保持増進し、疾病予防・回復を図り、人々が幸せな生活を送ることを目ざす活動である。この活動は、予防的視点や生活の視点、個を通して地域全体を視ることが重要である。この視点は、保健師のみでなく多くの住民と係わる全ての看護職にとっても重要で、公衆衛生看護の志向を持つことが求められる。そのために、この科目では、公衆衛生・公衆衛生看護の理念・概念を押さえ、そのうえで公衆衛生看護活動の展開について理解できる授業内容とする。具体的には、第一回は公衆衛生看護の理念、第二回は公衆衛生看護の基盤となる概念・倫理、第三回は公衆衛生看護の対象、第四回から第七回にかけては公衆衛生看護活動の場である行政機関や職域保健・学校保健、医療施設・福祉施設・国際での保健活動、第八回は人々の健康に影響する背景・要因と健康課題、第九回では公衆衛生看護活動の展開の基盤、第十回では公衆衛生看護活動の展開方法、第十一回は地域診断、第十二回は公衆衛生看護活動の計画・実践・評価、第十三回は公衆衛生看護管理、第十四回は健康危機管理、第十五回では公衆衛生看護の歴史について学ぶ。
今回の第十回目では、公衆衛生看護活動の地域アセスメント、アセスメントのための理論モデル、事業計画・実践・評価について理解する。

標準保健師講座1、公衆衛生看護学概論最新版(医学書院)p110~129 、コマ用オリジナル配布資料(理論モデル資料)、コマ用プリント配布資料(パワーポイント資料)
コマ主題細目 ① 地域アセスメント ② 理論モデル ③ 公衆衛生看護活動の計画・実践・評価 ④ ⑤
細目レベル ① 公衆衛生看護活動の展開における地域診断:公衆衛生看護の展開に地域診断は必要不可欠である。地域診断は、人々の健康にかかわる情報を分析し、問題とその背景を明らかにしていくプロセスである。そして、地域診断で明らかになった課題は、優先順位をつけて計画に反映させていく。地域診断の対象範囲やどのようなときに必要となるのか、どのように進めていくのかについて学修する。活動の展開の基本は、地域診断をもとに、計画(pian)、実施(do)、点検・評価(check)、調整・改善(act)、というPDCAサイクルによって進める。このサイクルは、調整・改善(act)が次のPDCAサイクルに繋がり、らせん状に繰り返されていく。活動は、地域診断に基づき、計画・実践され、目的や対象、活動方法は、地域の健康問題や課題に対応させて推進する。活動は、保健師が単独で行うものだけでなく、医療・福祉等の関係機関や住民との協働が欠かせない。そのため、関係者との連携・調整が重要な活動の要素となる。
② 地域アセスメントのための理論モデル:地域診断が効果的・科学的に行なわれるためには、偏りのない情報収集や分析が必要となる。そのための理論モデルについて学ぶ。一つは、コミュニティーアズーパートナーモデルである。地域集団を1つの単位としてその実態をとらえ、そこに生じている健康問題をアセスメントし、対策を立て実践・評価していくプロセスのモデルで、公衆衛生看護過程を表しているともいえる。地域診断において情報収集とアセスメントをきちんと位置付けることができるモデルである。住民の質的情報を取り込んでいるモデルでもある。二つ目は、プリシードープロシードモデルである。このモデルは、設定したテーマに関して、住民のニーズを把握する社会アセスメント~始まり、疫学アセスメント、行動・環境アセスメント、教育アセスメント、教育・エコロジカルアセスメント、運営・政策アセスメントと介入調整というプロセスから地域社会全体を包括的に診断していくプリシード部分と、実施からプロセス評価、影響評価、成果評価へと進めていくプロシード部分からなる。QOLをゴールとし、ライフスタイルに影響を及ぼしている因子を明らかにして、不足する因子の充足をはかる取り組みを検討していくものである。
③ 公衆衛生看護活動の計画・実践・評価:計画の策定は、多くの人と一緒に行い、策定プロセスを大切にする。計画の策定には、問題や課題の構造化と優先順位の検討が必要である。活動の実施計画が立案されたら、具体的な事業の活動を展開するために、目的目標に添い、具体的な事業ごとに事業計画を立てていく。その要素には、6W1 H、すなわち「なぜ、いつ、どこで、だれが、だれに、なにを、どのようにするのか」が含まれる。できる限り具体的に作成し、実施し、問題が生じたら修正し、調整し改善して進める。計画策定は評価計画についても備えるようにして、目標設定を明確にする。計画に基づいた評価を行うことは、公衆衛生看護活動の発展に欠かせない。評価では、PDCAのすべてのサイクルについて行うもので、企画評価、経過評価、結果評価を行う。


キーワード ① 地域アセスメント ② コミュニティアズ・パートナーモデル ③ プリシード・プロシードモデル ④ PDCAサイクル ⑤ 評価
コマの展開方法 社会人講師 AL ICT PowerPoint・Keynote 教科書
コマ用オリジナル配布資料 コマ用プリント配布資料 その他 該当なし
小テスト 「小テスト」については、毎回の授業終了時、manaba上において5問以上の、当該コマの小テスト(難易度表示付き)を実施します。
復習・予習課題 予習:テキスト「公衆衛生看護学概論」第6章、「公衆衛生看護活動における地域アセスメント」p110~129までを事前学習する。理解できない箇所については、居住地の人口動態統計や様々な計画書などを検索し、自分なりに読み取る。資料を転記、コピーするなどしてしておく。講義時間中には、小グループでのショートデスカッションを行うので、この時に自分の意見が他者に十分に伝えられるよう、又そのことにより学びが深められるように事前の学習を行うこと。
復習:講義の最後には、manabaによる小テストや解答・解説を行う。さらに、自己学習では、講義テキスト、配布資料、小テストを見直し復習する。小テストについては、必ずその根拠について調べ、ノートに記録する。分からないことがあれば、担当教員のオフィスアワーの時に研究室に質問に来るなど、次の講義までに、理解できるようにすること。

11 地域診断 科目の中での位置付け 公衆衛生看護とは、公衆衛生の理念をもとに、地域で生活するあらゆる人々の健康を看護の立場から保持増進し、疾病予防・回復を図り、人々が幸せな生活を送ることを目ざす活動である。この活動は、予防的視点や生活の視点、個を通して地域全体を視ることが重要である。この視点は、保健師のみでなく多くの住民と係わる全ての看護職にとっても重要で、公衆衛生看護の志向を持つことが求められる。そのために、この科目では、公衆衛生・公衆衛生看護の理念・概念を押さえ、そのうえで公衆衛生看護活動の展開について理解できる授業内容とする。具体的には、第一回は公衆衛生看護の理念、第二回は公衆衛生看護の基盤となる概念・倫理、第三回は公衆衛生看護の対象、第四回から第七回にかけては公衆衛生看護活動の場である行政機関や職域保健・学校保健、医療施設・福祉施設・国際での保健活動について考える。第八回は人々の健康に影響する背景・要因と健康課題について、第九回では公衆衛生看護活動の展開の基盤、第十回では公衆衛生看護活動の展開方法、第十一回は地域診断、第十二回は公衆衛生看護活動の計画・実践・評価、第十三回は公衆衛生看護管理、第十四回は健康危機管理、第十五回では公衆衛生看護の歴史について学ぶ。
今回の第十一回目では、公衆衛生看護活動の展開に必要不可欠な地域診断の目的や対象、展開過程などについて学ぶ。既存の資料や日常業務の中から把握した情報を整理し、健康問題を抽出することなど、保健師の視点・活動を活かした地域診断とはどのようなものか、その結果をどのようにして地域の活動につなげていくのか考える。具体的な活動事例を活用して理解する。

標準保健師講座1、公衆衛生看護学概論最新版(医学書院)p110~119、コマ用オリジナル配布資料(地区踏査、コミュニティー・アズ・パートナーモデルに関する資料、活動事例プリント、PDCAサイクル個人での記入用の様式配布)        
コマ主題細目 ① 公衆衛生看護活動の展開の基本 ② 地域診断の進め方(目的・範囲・必要性) ③ 地域診断の展開過程 ④ ⑤
細目レベル ① 公衆衛生看護活動は、地域診断をもとに、計画、実施、点検・評価、調整・改善、というPDCAサイクルにより進められる。このサイクルは、調整・改善が次のPDCAサイクルに繋がり、らせん状に繰り返されていく。このサイクルにおける地域診断は、活動開始前のみではなく、実施段階の活動により得られた情報が、地域診断の情報として更新され、その結果が計画や実施および評価や改善の段階に影響を与えていくという循環である。計画は、公衆衛生看護活動の全体を示す基本計画と実施計画、個々の事業計画からなる。計画のうち、事業計画は実施段階で状況にあわせた調整を行いながら展開されることが多く、随時対応が必要になる。点検・評価は、実施内容が計画に沿い実施されているかどうかを確認・分析する。調整・改善では、点検・評価の結果をもとに計画が達成可能か判断し、必要な調整や改善を行い、次の計画につながっていく。保健活動の展開は、立案された計画に基づき実践されるが、この活動の目的の設定は、公衆衛生の理念に基づいて、地域診断をふまえた地域の健康課題や問題に対応させて示していく必要がある。人々の健康は地域を取り巻く様々な条件と深く結びついている。これらの関連を踏まえ、個人の健康ニーズ、地域の健康課題を明確にし、PDCAサイクルを展開していくことが公衆衛生看護活動の基本となる。健康課題を明確化し、計画立案していく能力は保健師の活動の基盤として不可欠である。
② 地域診断は個人・家族、地域全体の潜在的・潜在的な健康問題を把握し、その原因・背景を明らかにしながら解決方法を見出していくことを目的とする。効果的な活動の基盤となるものであり、その結果をもとに、取り組むべき課題や活動の目的を定め、地域での活動計画を立てていくことになる。保健師が行う地域診断は、健康問題を社会的条件のなかで明確にするところに特徴がある。顕在化している問題のみでなく、潜在化している問題の発掘・今後予測される健康問題の予防に行われることも特徴である。また、健康問題の明確化のみならず、それに関連する地域のサービスや人的・物的資源の活動の現状と課題を明らかにし、健康問題と関連付けて判断する。その為には、統計や資料のみではなく、地区視診や日常の保健活動等からの情報収集、保健所や市町村との話し合いから生活の実情を把握・要求を知る、歴史や生活習慣、環境を把握する等、地域の実態を把握する必要がある。多くの関係機関やその他の専門職や地域住民・関係者との協働による地域の実態や問題を明らかにするプロセスが重要である。このプロセスを通して、公衆衛生看護活動の必要性を認識しつつPDCAサイクルを協働して行うところに特徴がある。地域診断の対象範囲は、活動形態や目的によっても異なる。担当地区制や業務分担制により、又エリアを限定して親子や高齢者等に焦点を当て実施する場合もある。しかし、どの対象範囲であっても進め方の原則は同様である。地域の健康課題を抽出し、情報整理・分析する、このプロセスを各自で演習すると、対象地域の状況が分かり、どうすれば住みやすい地域になるかが具体的にイメージできることに繋がる。

③ 地域診断の展開過程:地域診断は、公衆衛生看護活動を効果的に展開していくためのプロセスである。看護過程と同様に、①情報収集、②情報の分析とアセスメント、➂情報相互の関連性の検討、④問題の明確化と優先順位の検討というプロセスをたどり、計画、実施、点検・評価、調整・改善につなぐ。地域診断の情報には、量的情報と質的情報がある。意図的に情報把握を行う場合(健康実態調査など)、日常業務からの情報把握、市町村・都道府県・厚生労働省・総務省などのホームページで公開されているものもある。具体的には、①既存の資料(地域特性、人口動態、人口静態、疾病統計、保健統計、健康指標、事業概要、社会資源の現状と利用状況、など)。②公衆衛生看護活動からの情報(集団活動、健診の結果、個別の援助活動、関係機関,住民の声、地区踏査など。意図的に行われる調査やインタビュー(健康問題や生活の実態を明らかにするために、健康調査やグループインタビュー等の方法で実態を調査)がある。地域診断を効果的・科学的におこなうためには、偏りのない情報収集や分析が必要となるので、理論モデルを活用することも有効である。


キーワード ① 地域アセスメント ② 情報収集 ③ 地区踏査 ④ 健康課題の抽出 ⑤ コミュニティー・アズ・パートナーモデル
コマの展開方法 社会人講師 AL ICT PowerPoint・Keynote 教科書
コマ用オリジナル配布資料 コマ用プリント配布資料 その他 該当なし
小テスト 「小テスト」については、毎回の授業終了時、manaba上において5問以上の、当該コマの小テスト(難易度表示付き)を実施します。
復習・予習課題 予習:テキスト「公衆衛生看護学概論」第6章、「公衆衛生看護活動の展開方法演習 C①」p130~146までを事前学習する。難解な箇所については、ノートに記載しておく。講義中は、グループでの事例を用いた演習を行うので、自分の意見が他者に十分に伝えられるよう、又そのことにより学びが深められるように事前の学習を行う。
復習:講義の最後には、manabaによる小テストや解答・解説を行うが、自己学習として本日の講義について、テキストや配布資料、小テストを見直し復習する。分からないことがあれば、担当教員のオフィスアワーの時に研究室に質問に来るなど、次の講義までに、理解できるようにすること。自分の住む町のデータを見て、健康課題や保健計画について考えることができるとより理解が深まる。

12 公衆衛生看護活動の計画・実践・評価 科目の中での位置付け 公衆衛生看護とは、公衆衛生の理念をもとに、地域で生活するあらゆる人々の健康を看護の立場から保持増進し、疾病予防・回復を図り、人々が幸せな生活を送ることを目ざす活動である。この活動は、予防的視点や生活の視点、個を通して地域全体を視ることが重要である。この視点は、保健師のみでなく多くの住民と係わる全ての看護職にとっても重要で、公衆衛生看護の志向を持つことが求められる。そのために、この科目では、公衆衛生・公衆衛生看護の理念・概念を押さえ、そのうえで公衆衛生看護活動の展開について理解できる授業内容とする。具体的には、第一回は公衆衛生看護の理念、第二回は公衆衛生看護の基盤となる概念・倫理、第三回は公衆衛生看護の対象、第四回から第七回にかけては公衆衛生看護活動の場である行政機関や職域保健・学校保健、医療施設・福祉施設・国際での保健活動、第八回は人々の健康に影響する背景・要因と健康課題、第九回では公衆衛生看護活動の展開の基盤、第十回では公衆衛生看護活動の展開方法、第十一回は地域診断、第十二回は公衆衛生看護活動の計画・実践・評価、第十三回は公衆衛生看護管理、第十四回は健康危機管理、第十五回では公衆衛生看護の歴史について学ぶ。
今回の十二回目では、公衆衛生看護活動の計画・実践・評価について、実践事例を活用し、イメージ化し、考察・理解する。

標準保健師講座1 公衆衛生看護学概論最新版(医学書院)p120~129、コマ用オリジナル配布資料(演習用に、個々の学生に実践事例プリント及びPDCAサイクル様式を配布)
コマ主題細目 ① 計画策定とプロセス ② 健康課題と優先順位 ③ 公衆衛生看護活動の評価 ④ ⑤
細目レベル ① 計画策定には、地域の政策の基本構想を基に地域の解決すべき健康課題についての具体的な計画を立てる基本計画の策定と、基本計画にそってさらに具体的な行動計画である実施計画の策定という2つのプロセスがある。基本計画は、国・都道府県・市町村において地域の状況に合わせた計画が策定される。実施計画は基本計画を具体的に実行するための行動計画である。実施計画にあがった健康課題ごとに必要な事業計画を策定する。公衆衛生看護活動の計画は、保健所では都道府県の基本計画を受け、業務単位ごとに策定される実施計画として、市町村の場合は都道府県の基本計画を受けて市町村の基本計画に沿った地域の行動計画である実施計画として位置づけられる。計画は、策定自体が最終目的ではなく、計画を実行し成果を上げることが目的である。地域の健康課題に沿い実行可能な実践に即した計画を策定することが重要である。計画に必要な5つの要素は、目標の明確化・目標達成のための条件・実施計画・基盤整備計画・評価計画である。そして、計画の策定は多くの人と一緒に取り組むことである。地域の健康に関する課題の共有化と活動における連携の推進をはかるためにも重要である。計画策定のプロセスを大切にし、住民や関係者が地域の実態を把握し、問題は何かを話し合い、解決のための様々な方法について論議することが重要である。
② 地域診断のアセスメントにより住民のニーズを把握し、健康問題と課題を明らかにできたら、それらの課題を社会背景や生活状況、健康障害が引き起こされるメカニズムなどにより構造化し、体系的に整理する。次にどの課題が重要かを検討し優先順位を決定。優先順位は、次の視点で考え決定する。①住民ニーズの緊急性・重要性があるか、②実行にあたり、自分たちのマンパワー・予算・力量で可能な範囲か、➂結果が見えやすく、実績を数値であらわせるか、又、成果として評価されることが予測できるか、④成果が出るまでの期間は短期間ですむか、⑤地域の人々が協力すれば効果が上がるか、等である。目的・目標の設定の仕方についてでは、健康課題の解決のためには、目的・目標を明確にしておくこと。目的は、計画の結果として誰に影響を及ぼすのか、何が変化するのかを明記する。目的は、実施計画の概要やねらいに焦点を当て簡単・簡潔な一文の短文で明確に記述する。目標は、目的と対応するように、「誰が、どのくらい、何によって、いつ行うか」について、具体的に記述する。さらに、実施計画の策定、活動の優先順位の設定を進め、具体的な事業計画の立案を行う。
③ 評価の目的は、それぞれの活動が公衆衛生看護活動の目的に適応しているか否かを判断することである。その活動は、地域の健康問題の解決に貢献しているのか。活動のプロセス段階の成果や実施結果から、何がどれだけ改善されたか、健康レベルは向上したか、健康問題は解決したか、を明らかにすることである。それにより、計画の修正、実施方法の改善、障害となる条件の改善や必要なサポートを明らかにしていくことができる。評価は、活動のPDCAサイクルのすべての段階について行うものである。評価は、企画評価・経過評価・結果評価の3側面からなる。1)企画評価:①地域診断と目標設定の評価、②プログラムの評価、➂評価計画の評価である。2)経過評価、3)結果評価、である。評価のために、いつ、だれ(何に)に対して、どのような方法で、どのように分析するのかという評価デザインを描いておくことで、意味のある評価をするためのデータのとり方や分析方法を示すことである。計画の際、実施計画や事業計画を立てるときに評価の計画も立てることが重要である。


キーワード ① 基本計画 ② 事業計画 ③ 企画評価 ④ 経過評価 ⑤ 結果評価
コマの展開方法 社会人講師 AL ICT PowerPoint・Keynote 教科書
コマ用オリジナル配布資料 コマ用プリント配布資料 その他 該当なし
小テスト 「小テスト」については、毎回の授業終了時、manaba上において5問以上の、当該コマの小テスト(難易度表示付き)を実施します。
復習・予習課題 予習:テキスト「公衆衛生看護学概論」第6章・第7章p120~129までを事前に熟読しておく。また、自分の住んでいる町の保健計画をホームページで読み、なぜこのような計画書が必要なのか、具体的な目標や実施計画はどのように立てられているか、考える。分かったことや分からないことについて、記録する。
復習:授業後にはmanabaによる小テストを行い、解答と解説を行い理解度を評価する。なお、更に自己学習では、今回の講義テキストの内容・配布資料・小テストを見直し復習すること。小テストについては、必ずその解答の根拠について自身で調べ、ノートに記録する。分からないことがあれば、担当教員のオフィスアワーの時に研究室に質問に来るなど、次の講義までに、理解できるようにしておくこと。

13 公衆衛生看護管理 科目の中での位置付け 公衆衛生看護とは、公衆衛生の理念をもとに、地域で生活するあらゆる人々の健康を看護の立場から保持増進し、疾病予防・回復を図り、人々が幸せな生活を送ることを目ざす活動である。この活動は、予防的視点や生活の視点、個を通して地域全体を視ることが重要である。この視点は、保健師のみでなく多くの住民と係わる全ての看護職にとっても重要で、公衆衛生看護の志向を持つことが求められる。そのために、この科目では、公衆衛生・公衆衛生看護の理念・概念を押さえ、そのうえで公衆衛生看護活動の展開について理解できる授業内容とする。具体的には、第一回は公衆衛生看護の理念、第二回は公衆衛生看護の基盤となる概念・倫理、第三回は公衆衛生看護の対象、第四回から第七回にかけては公衆衛生看護活動の場である行政機関や職域保健・学校保健、医療施設・福祉施設・国際での保健活動、第八回は人々の健康に影響する背景・要因と健康課題、第九回では公衆衛生看護活動の展開の基盤、第十回では公衆衛生看護活動の展開方法、第十一回は地域診断、第十二回は公衆衛生看護活動の計画・実践・評価、第十三回は公衆衛生看護管理、第十四回は健康危機管理、第十五回では公衆衛生看護の歴史について学ぶ。
今回の十三回目では、公衆衛生看護管理について具体的に学ぶ。入職後の新人保健師、課長級などの管理職としての管理業務、人材の育成、事業管理などについて理解する。

標準保健師講座1、公衆衛生看護学概論最新版(医学書院)p186~205、コマ用プリント配布資料(パワーポイント資料)
コマ主題細目 ① 公衆衛生看護活動の2つの側面 ② 組織運営と管理 ③ 公衆衛生看護管理 ④ ⑤
細目レベル ① 公衆衛生看護活動は、大きく分けて2つの側面がある。1つは、住民1人1人が自分の健康を自分で守る努力を尊重しつつ、支援が必要な個人や家族に対して保健師などが専門的な立場から、保健福祉医療サービスを提供する活動である。もう1つは、これらの個々に提供される保健福祉医療サービスの量的・質的な確保および提供体制の整備、住民みずからの努力だけでは解決が困難な健康問題を解決するために必要な保健福祉サービスの整備及び関連機関のネットワークの構築など地域全体を対象とした活動である。いずれの看護活動においても、地域の課題を踏まえ、活動の目的・目標を明確にしたうえで、目標の達成に必要な手段・人・資金(予算)・組織などを効率的・効果的に活用し、活動を円滑に実施し、目標を達成するためのマネジメントやスーパービジョンが重要である。これらを看護の視点から行う個々なうことが公衆衛生看護管理である。その目的は、組織・地域の健康水準の向上、職員や住民の権利の保障、効果的・効率的な公衆衛生看護活動の実践であることを理解できる。
② 地域の住民の生活と健康を守るため地方公共団体は、「住民の福祉の推進を図ることを基本として、地域における行政を自主的かつ総合的に実施する役割を担う」とされており、地方公共団体は行政目的を果たすために幅広い施策・事業を実施している。地方公共団体という組織に所属する保健師などの職員は、組織の一員として、組織目標を達成するための施策事業に従事するが、公衆衛生看護活動においては、地域において具体的な支援活動や事務事業の実施に取り組むことになる。そのため、公衆衛生看護活動の成果は、事業を具体的に推進する職員の力により左右されることも多く、1人ひとりの職員が力量を発揮し、いきいきと働くことができる組織運営と施策の管理を図る必要がある。保健師は所属する組織について良く理解し、健康課題の提示、事業の進行管理、情報の収集・提供、他部門との連携などをおこなうことが求められる。住民・関係機関・関係部門と連携したネットワーク形成の推進役の役割を、保健師には積極的に果たすことが求められている。


③ 組織運営において重要なものは、組織を構成し、組織を動かす人である。地方公共団体においては、必要な事業を効率よく実施し、最大の効果を得ることは、自治体運営のきほんであり、事業を推進する職員1人ひとりが主体性をもち、その持てる能力を最大限発揮することが求められている。組織の活性化を図り、行政目的を達成するための人事管理や人材育成が重要になる。保健師には、地方公共団体の職員と専門職である保健師という2つの立場がある。自治体の人材育成方針により教育される一方で専門職としての人材育成方針は、まだ明確にされていない。専門職としての保健師には、専門的な能力が求められており、その向上は不可欠である。保健師は新任期から公衆衛生看護管理機能を担うことが求められており、組織の理念や支援目的、情報を共有し、関係者との連携を図りながら保健師活動を展開することを理解する。公衆衛生看護管理においての人事管理・人材育成、予算管理、情報管理、業務管理が重要であることを理解する。公衆衛生看護活動を展開する際にはさまざまな倫理綱領を遵守し、それと照らし合わせながら行動する必要があることを理解する。公衆衛生看護活動には多くの法的根拠がある。保健師は、法令を守るとともに、住民にとって必要な法令とはなにかを常に考える役割があることを理解する。


キーワード ① 人事管理 ② 人材育成 ③ 予算管理 ④ 情報管理 ⑤ 業務管理
コマの展開方法 社会人講師 AL ICT PowerPoint・Keynote 教科書
コマ用オリジナル配布資料 コマ用プリント配布資料 その他 該当なし
小テスト 「小テスト」については、毎回の授業終了時、manaba上において5問以上の、当該コマの小テスト(難易度表示付き)を実施します。
復習・予習課題 予習:教科書、第8章公衆衛生看護管理 p186~205までを事前に学習すること。また、公衆衛生看護活動には多くの法的根拠があり、保健師はその法令を守るとともに住民にとって必要な法令は何かを常に考える必要がある。このことに関する理解のために、p206~223までを読み、さまざまな活動の根拠を理解してほしい。
復習:授業の最後には、manabaによる小テストを行い、理解度を評価する。また、解答と解説も行うが、自己学習では、それぞれの解答に関連した根拠となる文献を検索し、ノートに記録すること。テキストの今回の授業内容・配布資料を再学習し、重要項目をまとめておくこと。分からないことがあれば、担当教員のオフィスアワーの時に研究室に質問に来るなど、次の講義までに、理解できるようにすること。

14 健康危機管理 科目の中での位置付け 公衆衛生看護とは、公衆衛生の理念をもとに、地域で生活するあらゆる人々の健康を看護の立場から保持増進し、疾病予防・回復を図り、人々が幸せな生活を送ることを目ざす活動である。この活動は、予防的視点や生活の視点、個を通して地域全体を視ることが重要である。この視点は、保健師のみでなく多くの住民と係わる全ての看護職にとっても重要で、公衆衛生看護の志向を持つことが求められる。そのために、この科目では、公衆衛生・公衆衛生看護の理念・概念を押さえ、そのうえで公衆衛生看護活動の展開について理解できる授業内容とする。具体的には、第一回は公衆衛生看護の理念、第二回は公衆衛生看護の基盤となる概念・倫理、第三回は公衆衛生看護の対象、第四回から第七回にかけては公衆衛生看護活動の場である行政機関や職域保健・学校保健、医療施設・福祉施設・国際での保健活動、第八回は人々の健康に影響する背景・要因と健康課題、第九回では公衆衛生看護活動の展開の基盤、第十回では公衆衛生看護活動の展開方法、第十一回は地域診断、第十二回は公衆衛生看護活動の計画・実践・評価、第十三回は公衆衛生看護管理、第十四回は健康危機管理、第十五回では公衆衛生看護の歴史について学ぶ。
今回の十四回目では、健康危機管理について学ぶ。健康危機管理の目的、対象と対応について学び、保健師の役割について理解する。

標準保健師講座1 公衆衛生看護学概論最新版(医学書院)p232~254、コマ用プリント配布資料(パワーポイント資料)
コマ主題細目 ① 健康危機管理とは ② リスクアセスメント  ③ 健康危機発生後の対応 ④ リスクマネジメント ⑤
細目レベル ① 厚生労働省の「危機健康管理基本指針」によれば、「医薬品、食中毒、感染症、飲料水その他なんらかの原因により生じる国民の健康・生命の安全を脅かす事態にに対して行われる健康被害の発生予防、拡大防止、治療等に関する業務」と定義されている。東日本大震災の災害支援活動など、大規模な災害への健康危機対応がイメージしやすいが、感染症やテロ・事故・事件への対応など、さまざまな原因により住民の健康に影響がもたらされることが想定できる。さらに、社会の変化と共にその原因も多様になる可能性もある。公衆衛生の専門職は、想定外の原因による危機が発生した場合でも住民の健康を守るために的確な対応が求められる。現在、危機的状況にある新型コロナウイルスの感染対策においても公衆衛生の専門機関である保健所、そして保健師の対応が常に報道されており、国民の期待・的確な対応が求められている状況である
② 将来起こりうるリスクについて、それが発生した場合の損害を最小限にくいとめるための対応をいう。つまり、リスクが発生するという予測に基づき事前に対応策を準備することも含む、危機発生後の適切な対応を行うための管理方法である。これを的確に行うには、リスクアセスメントが重要である。リスクアセスメントとは、事前に危険度を評価する手法のことである。リスクマネジメントは、事前準備と危機発生後の対応の二つに大別される。事前準備では、健康危機の事前評価、危機発生時の組織体制・指揮命令系統、対応マニュアルの整備、情報伝達方法・機器・必要物品の整備、対応方法の訓練・研修、住民・地域組織・企業などの対応準備・学習支援、、要援護者情報の管理が重要である。公衆衛生の機能として、住民・関係機関・企業などがこれらの準備が進められるよう、平常時からの啓発・学習支援・準備支援が求められる
③ 健康危機発生後の対応としては次のような対応を迅速に行う。①健康危機の把握・評価では、健康危機の要因・内容・規模・被害状況を迅速に把握・評価し、対応方針を決定する。②体制の確立では、必要な対応が取れる組織体制を確立し、対応方針を決定し対応計画を立案、必要な対応を行う。➂救護・安全確保及びトリアージ、④結果把握・情報提供を実施し、対応計画の見直し・評価に結び付け、的確な対応策を推進することが重要であることを理解する。感染症の流行(アウトブレイク)の場合には、感染源や感染経路を明らかにするために積極的疫学調査を行う(感染症法第15条)。事前の対策として、マニュアルやガイドラインを作成し、発生時に即対応できるような体制を整備しておく。まず、感染経路別の予防対策が必要である。発生時の初動では、疾患の特徴に応じた対応を行う。結核を例に挙げると、診断した医師が保健所に届出、保健所は速やかに医療機関に連絡し、届出内容についての確認や情報収集、患者との面談など初発患者調査を行う。まず、a)感染状況の把握と感染経路の特定:発症者への対処として、入院勧告や就業制限、行動の制限、接触者健診など行う。b)感染拡大の防止:接触者健診の優先順位を決定、感染拡大防止体制の整備、c)患者や接触者・関係者への保健指導を実施する。感染の拡大の防止には、平常時からの予防接種や集団・施設の種類に応じた対策が必要である。
④ 保健活動のリスクマネジメントとは、健康危機管理のなかでも住民の生命だけでなく生活も含めた健康被害を視野に入れたマネジメントであり、保健師としての視点が重要な部分である。大きな健康危機管理でなくても、健康被害の発生に関して公衆衛生看護の視点でアンテナをはり、住民の健康状況のアセスメントから健康被害を発見する使命も持っている。想定できる要因の健康危機に関しては可能な限り準備を進め、早期の把握方法や迅速な対応策を準備しておくことが重要である。効果的な支援には、的確なアセスメントに基づく組織的・計画的な対応が求められる。なお、中長期的な視点で対象者の健康回復を支援するのは、公衆衛生看護の重要な機能であることを理解する。

キーワード ① 健康危機管理 ② 自然災害 ③ リスクマネジメント ④ 要援護者 ⑤ 災害対策基本法
コマの展開方法 社会人講師 AL ICT PowerPoint・Keynote 教科書
コマ用オリジナル配布資料 コマ用プリント配布資料 その他 該当なし
小テスト 「小テスト」については、毎回の授業終了時、manaba上において5問以上の、当該コマの小テスト(難易度表示付き)を実施します。
復習・予習課題 予習:テキスト「公衆衛生看護学概論」第9章 健康危機管理 p232~254までを、事前学習しておく。災害白書、各省庁のホームページや身近な自治体のホームページを検索し、近年の自然災害の報告書や保健活動に関する文献を検索し資料化する。また、居住地のホームページを検索し、災害基本計画がどのように具体的に立てられているのか、確認すると理解しやすい。講義の時間中には、小グループでの自然災害に対する意識と準備についてのデスカッションを行うので、この時に自分の意見が十分に伝えられるよう考えておく。
復習:授業の最後には、manabaによる小テストを行い、理解度を評価する。また、解答と解説も行うが、自己学習では、それぞれの解答に関連した根拠となる文献を検索し、ノートに記録すること。分からないことがあれば、担当教員のオフィスアワーの時に研究室に質問に来るなど、次の講義までに、理解できるようにすること。これまでの、授業内容の重要項目をまとめ、試験や国家試験に備える。

15 公衆衛生看護の歴史 科目の中での位置付け 公衆衛生看護とは、公衆衛生の理念をもとに、地域で生活するあらゆる人々の健康を看護の立場から保持増進し、疾病予防・回復を図り、人々が幸せな生活を送ることを目ざす活動である。この活動は、予防的視点や生活の視点、個を通して地域全体を視ることが重要である。この視点は、保健師のみでなく多くの住民と係わる全ての看護職にとっても重要で、公衆衛生看護の志向を持つことが求められる。そのために、この科目では、公衆衛生・公衆衛生看護の理念・概念を押さえ、そのうえで公衆衛生看護活動の展開について理解できる授業内容とする。具体的には、第一回は公衆衛生看護の理念、第二回は公衆衛生看護の基盤となる概念・倫理、第三回は公衆衛生看護の対象、第四回から第七回にかけては公衆衛生看護活動の場である行政機関や職域保健・学校保健、医療施設・福祉施設・国際での保健活動、第八回は人々の健康に影響する背景・要因と健康課題、第九回では公衆衛生看護活動の展開の基盤、第十回では公衆衛生看護活動の展開方法、第十一回は地域診断、第十二回は公衆衛生看護活動の計画・実践・評価、第十三回は公衆衛生看護管理、第十四回は健康危機管理である。
今回の第十五回目では、公衆衛生看護の歴史について学ぶ。日本の公衆衛生・公衆衛生看護及び米国や英国の公衆衛生看護がどのように発展してきたのか理解する。

標準保健師講座1 公衆衛生看護学概論最新版(医学書院)p256~276、コマ用プリント配布資料(パワーポイント資料)
コマ主題細目 ① 日本の公衆衛生看護の歴史 ② 米国の公衆衛生看護の歴史 ③ 英国の公衆衛生看護の歴史 ④ ⑤
細目レベル ① 日本における公衆衛生の変遷をその時代背景とともに学び、公衆衛生看護の歴史を概観する。公衆衛生看護活動の創成期に各地で行われた活動や保健師教育、戦時体制下での看護活動と保健師の身分の確立、占領下・復興期の看護活動と保健所機能の拡充強化、看護制度改革や看護教育改革等について学ぶ。戦後10年以降には、疾病構造の変化や公害問題などの課題が生じ、その後も高齢化や障害者対策、危機管理対策等、時代の変化のなかで起こる様々な健康課題への対応が求められ、専門性を発揮してきた。各時期の保健師たちが、なぜそのような活動を展開してきたのか、どのように発展したのかを考え、公衆衛生看護活動の特徴をさぐる。また、現代の健康課題・公衆衛生看護の課題について理解できる。
② 先進国の中でも、日本の看護教育に影響を及ぼしてきた米国と英国の公衆衛生の発達と公衆衛生看護活動の歴史について学ぶことにより、相違点と共通点を知る機会となる。米国の歴史では、ウオルドらの活動がどのようにして公衆衛生看護の機能を社会に示し、活動の場を広げたのか学ぶ点が多い。ウオルドは、世界で初めて看護師によるセツルメント活動を行いニューヨークで訪問看護活動を開始した。1893年に、ヘンリー-ストリート-セツルメントを創設し、米国最初の公衆衛生看護の概念が導入されたことにより、米国最初の公衆衛生看護機関であると認識されている。活動対象を徐々に広げ、特にニーズの高い母子保健に影響を及ぼす社会状況の改善のために働き、子ども局の設置にこぎつけ、又、学校看護師の導入にもかかわる。僻地看護活動の拡大を提案する等、公衆衛生看護の機能を拡大した。1912年には、全米公衆衛生看護協会を結成、初代会長を務めた。このように、公衆衛生の発達と公衆衛生看護の歴史、公衆衛生看護の教育、国の保健施策と公衆衛生看護、現在及び将来に向けた課題についても学ぶことができる。

③ 19世紀の英国社会はベンサムの「最大多数の最大幸福」が主要な思潮であり、ベンサムの弟子であったチャドウイックが、1848年に社会救済として公衆衛生法を起草した。英国の公衆衛生は、社会防衛やチャドウイック全数対応を前提とした「疾病予防」に始まり、包括的で予防的な公衆衛生の機能は福祉体系から独立させなければならないとラムゼイが「福祉の体系から独立した位置」を主張。長く保健医官を務めたシモンが「人びとの知恵による衛生の規則と地方当局の規則を両輪とした施策の推進」を主張、制度として高めた。英国では、特に地方自治体が公衆衛生活動の重要な基盤であると考えられ、英国流の公衆衛生の体系は構成されてきた。この四半世紀において英国では保健医療政策の基本的変換が数回にわたり実施され、公衆衛生看護実践に大きな影響を及ぼしてきた。英国からは、自立的な地域社会の構築や医療の社会化への努力を学ぶ。現在では、包括的な計画、地方と政府のアカウンタビリティと柔軟性などが求められる中、英国の公衆衛生看護は、ディベートや政策形成過程において重要な役割を果たしてきていることを理解する。


キーワード ① 保健師の身分確立 ② 開拓保健婦 ③ 駐在保健婦 ④ 全米公衆衛生看護協会 ⑤ 公衆衛生看護師
コマの展開方法 社会人講師 AL ICT PowerPoint・Keynote 教科書
コマ用オリジナル配布資料 コマ用プリント配布資料 その他 該当なし
小テスト 「小テスト」については、毎回の授業終了時、manaba上において5問以上の、当該コマの小テスト(難易度表示付き)を実施します。
復習・予習課題 予習:テキスト「公衆衛生看護学概論」第10章、「公衆衛生看護の歴史」p256~276までを事前に学習する。保健師の活動に関する記録や書籍、文献などを検索すると理解しやすい。戦時中や戦後、感染症との戦い、離島での保健師の活動、過疎地での保健師活動など、保健活動の歴史が理解できるので、読んでおくことをお勧めしたい。講義の時間中には、特に駐在保健婦や開拓保健婦、保健婦規則などに関する小グループでのショートデスカッションを行うので、この時に自分の意見が述べられるように事前の学習を行うこと。
復習:授業の最後には、manabaによる小テストを行い、理解度を評価する。また、解答と解説も行うが、自己学習では、それぞれの解答に関連した根拠となる文献を検索し、ノートに記録する。重要項目をまとめておくこと。分からないことがあれば、担当教員のオフィスアワーの時に研究室に質問に来るなどして理解できるようにする。今回は、最終回の講義であるので、講義全体の復習を行い、試験に備えること。

履修判定指標
履修指標履修指標の水準キーワード配点関連回
公衆衛生看護の理念、定義、目的、公衆衛生の理念について理解できる。 公衆衛生看護とは、公衆衛生の理念をもとに、地域で生活するあらゆる人々の健康を看護の立場から保持・増進し、疾病を予防していくことを目指すものである。公衆衛生看護は、看護の立場から公衆衛生の目的を達成するために実践される、個人・家族、集団、組織を対象とした意図的・組織的な活動であることが理解できる。また、公衆衛生看護の実践には、社会的な背景も踏まえた地域の健康ニーズの的確な把握、地域住民との協働や地域住民の主体的な問題解決を支援することが不可欠となることが理解できる。公衆衛生看護の基盤となる公衆衛生の理念、公衆衛生活動の目的、健康の概念とWHO憲章のプライマリヘルスケアおよびヘルスプロモーションについて説明できる。 公衆衛生看護定義、理念、公衆衛生の理念、プライマリヘルスケア、ヘルスプロモーション、オタワ憲章、アルマーアタ宣言 10 1
公衆衛生看護の基本となる概念および倫理について理解、説明できる。 公衆衛生看護の実践には、科学的な根拠に基づいた知識と技術、専門職としての態度、その質を保証し高めていく努力が求められる。よって、次の内容について理解し、説明できることを求める。公衆衛生看護は住民の暮らしと健康を守る公共的な活動であることを説明できる。公衆衛生看護を実践していくうえで倫理的視点は不可欠であることを説明できる。公衆衛生看護を支える概念として、倫理・基本的人権・公的責任・権利擁護・エンパワメントは重要である。それぞれの概念について、具体的な例を挙げて、説明できる。。 基本となる概念、倫理、基本的人権、公的責任、権利擁護、エンパワメント 10 2
公衆衛生看護活動の対象(個人・集団・組織・地域)について理解できる。 公衆衛生看護活動の対象は地域で生活する人々であり、個人・家族・集団・組織、地域を対象とすることを理解し、説明できる。その活動対象としての個人の特徴を理解し、個人の抱えている健康課題を生活と関連づけてとらえることの必要性を理解でき、説明できる。家族を一つの単位として家族周期や家族システムを考えて支援することの必要性を理解し、説明できる。活動対象としてのグループ・組織・地域へのかかわりについて理解し、その住民が自ら問題を解決する力をつけていくことを目指し支援することについて理解でき、説明できる。 活動の対象、個人・家族・集団、組織、地域 10 3
公衆衛生看護活動の場及び活動の概要について理解できる。 行政に所属する看護職は、主として保健師であることが説明できる。保健師が活動する場は、行政機関・職域・学校・医療施設・福祉施設・国際など多岐にわたり、就業保健師数は増加していることが説明できる。主な就業先は市町村・保健所・都道府県が70%以上を占めることが説明できる。それぞれの公衆衛生看護活動の場における保健師の活動の概要について述べることができる。保健所保健師の業務について述べることができる。市町保健センターの保健師の業務について述べることができる。我が国の近年の健康課題と保健師の活動について述べることができる。 行政機関(保健所・市町村・福祉分野)、職域、学校、医療施設、福祉施設、国際、保健活動の場・特徴 15 4,5,6,7
社会環境の変化と健康課題について理解できる。 経済・産業、地域社会および社会格差などの社会環境の変化により疾病構造が変化している。また、情報化をはじめとした科学技術の発展や、文化・価値観の多様化、地方分権化などの進展に伴い公衆衛生活動も変化していることが理解できる。公害や地球環境の変化は、人々の健康に大きな影響を与え、水害・地震などの大規模な自然災害や大規模人為災害は重要な健康危機管理事象であり、近年その事象はますます増加し、人々の健康や生活に影響を及ぼしている。人々の健康に影響する背景・要因と健康課題について理解し、説明できる 健康と要因・健康課題、少子高齢化、疾病構造の変化、経済・産業構造の変化、男女共同参画社会、社会格差、成果主義、グローバル化、公害、地球温暖化、大規模災害、自助・共助・公助、ソーシャルキャピタル、ソーシャルネットワーク、ソーシャルサポート
10 8
公衆衛生看護活動の展開方法、地域アセスメント、計画・実践・評価について理解できる。 公衆衛生看護活動の展開方法にポピュレーションアプローチ・ハイリスクアプローチがあること。活動方法に、業務分担と地区分担制があることが説明できる。活動の基本的な展開方法について、具体的に説明できる。地域診断は、公衆衛生看護活動の展開に必要不可欠であることが理解でき、そのための理論モデルについて、説明ができる。地域診断は、人々の健康にかかわる情報を分析し、問題とその背景を明らかにしていくプロセスであることが理解できる。地域診断で明らかになった課題は、優先順位をつけて計画に反映させていくことが理解できる。健康課題を解決するために、計画を策定するが、その策定は多くの人々と協働で行い、共有し、更に評価までのプロセスが重要であることが理解できる。地域診断・事業計画・評価と看護活動の展開方法・評価について理解できる。地域診断演習では、どのような情報を収集・分析し、課題を抽出し、活動計画につなげるのか、理解できる。既存の資料や日常の保健活動等から情報収集を行うことが理解できる。
ポピュレーションアプローチ、ハイリスクアプローチ、業務分担制、地区分担制、家庭訪問、健康相談、健康診査、健康教育、地区組織活動、理論モデル、コミュニティ・アズ・パートナーモデル、PDCAサイクル、情報収集、地域診断、計画立案、実施、評価
15 9,10,11,12
公衆衛生看護管理の目的と具体的な管理の内容について理解できる。 その地域の課題を踏まえ、目的・目標を明確にしたうえで、目標の達成に必要な手段・人・資金(予算)・組織などを効率的・効果的に活用し、活動を円滑に実施し、目標を達成するためのマネジメントやスーパービジョンが重要である。これらを看護の視点から行うことが公衆衛生看護管理である。① 公衆衛生看護管理の目的は、組織・地域の健康水準の向上、職員や住民の権利の保障、効果的・効率的な公衆衛生看護活動の実践であることを理解できる。② 保健師は新任期から公衆衛生看護管理機能を担うことが求められており、組織の理念や支援目的、情報を共有し、関係者との連携を図りながら保健師活動を展開することを理解できる。③ 人事管理・人材育成、予算管理、情報管理、業務管理などが重要であることを理解できる。④ 公衆衛生看護活動を展開する際にはさまざまな倫理綱領を遵守し、それと照らし合わせながら行動する必要があることを理解できる。⑤ 公衆衛生看護活動には多くの法的根拠がある。保健師は、法令を守るとともに、住民にとって必要な法令とはなにかを常に考える役割があることを理解できる。

看護管理と保健師の役割、予算管理、人事管理、人材育成、情報管理、業務管理 10 13
健康危機管理の定義と各期および災害の種類による保健師活動について理解できる。 健康危機管理とは、大規模災害や感染症やテロ・事故・事件への対応など、さまざまな原因により住民の健康に影響がもたらされ、健康被害の発生予防、拡大防止、治療等に対する業務であり、平常時からの準備、発生時から回復期までの支援が必要となる。① 健康危機管理が重視されるようになった背景と理念が理解できる。②各期の 災害保健活動のポイントを説明できる。③ 感染症の疫学調査の意義と方法について理解できる。④ 平常時の対策及び発症時の対応について理解できる。⑤ 感染症の種類や対象となる施設により対策が異なることを理解できる。 健康危機管理指針、平常時体制、健康危機発生後の対応、危機管理における保健師
の役割
10 14
公衆衛生看護の歴史、保健婦活動、保健師教育について理解できる。 日本の公衆衛生の変遷・公衆衛生看護の歴史について述べることができる。公衆衛生看護活動の始まりと当時の健康課題について説明できる。戦時体制下・占領下・復興期の保健師の活動の展開と特徴について理解できる。疾病構造の変化と保健師活動について述べることができる。日本の保健師教育について述べることができる。保健婦の身分確立と保健婦規則の制定について述べることができる。現代の地域看護・公衆衛生看護の課題について述べることが出来る。日本の看護教育に影響を及ぼした米国と英国の公衆衛生の発達と公衆衛生看護活動の歴史についての相違点と共通点について述べることができる。 保健婦規則、開拓保健婦、駐在保健婦、保健師教育、国保保健婦、全米公衆衛生看護協会、健康日本21 10 15
評価方法 原則期末定期試験100%とします。
評価基準 評語
    学習目標をほぼ完全に達成している・・・・・・・・・・・・・ S (100~90点)
    学習目標を相応に達成している・・・・・・・・・・・・・・・ A (89~80点)
    学習目標を相応に達成しているが不十分な点がある・・・・・・ B (79~70点)
    学習目標の最低限は満たしている・・・・・・・・・・・・・・ C (69~60点)
    学習目標の最低限を満たしていない・・・・・・・・・・・・・ D (60点未満)
教科書 標準保健師講座1公衆衛生看護学概論 最新版(医学書院)3,520円(本体3,200円+税10%)
参考文献 保健師国家試験問題集2022年度版・2023年度版(医学書院) 国民衛生の動向 2021/2022(一般財団法人厚生労働統計協会)公衆衛生がみえる2021/2022(編集:医療情報科学研究所、発行:メディックメディア)
実験・実習・教材費