区分 (心)心理学科基盤科目 心理学基礎科目 (犯)犯罪心理学基盤科目
ディプロマ・ポリシーとの関係
専門的知識と実践的能力 分析力と理解力 地域貢献性
カリキュラム・ポリシーとの関係
課題分析力 課題解決力 課題対応力
カリキュラム全体の中でのこの科目の位置づけ
(心)本科目は1年生の必修科目であり,心理学基盤科目の心理学基礎科目に配置されている。本科目を履修することで,2年次以降の心理学基盤科目の実践・研究スキル科目において専門的知識および実践的技能を獲得し,さらに心理学専門領域科目,心理学専門隣接科目に配置される専門科目との関連においても有機的に結びついた学習が可能となる。

(犯)犯罪心理学基盤科目に位置づけられ,心理学における実証的研究法(実験法,観察法,調査法,検査法,面接法)の基礎について学ぶ。当科目では,心理学の多様な研究法について理解を深め,2年次以降の専門的な学修に必要となる基礎知識を修得する。

科目の目的
心理学ではデータを集め,統計法を用いてそれらのデータを分析することで私たちの「心」を明らかにし理解しようとしています。実験法・調査法・検査法といった研究手法を駆使する際には,計測するデータの特性を理解し,得られたデータを処理・分析する能力が不可欠となります。この科目では心理学研究において必須である統計法の知識を得て,統計法の考えをもとに,測定するということやデータを分析するということについて理解し,その考え,技法を修得することを目的とします。
到達目標
心理統計の基礎用語について知識を持ち,提示された数値データや図表データの特徴を読み取ることができる。また,提示された数値データや図表データから統計量の算出をし,結果の記述ができる。心理学の実習や卒業研究におけるデータ解析や論文作成に必要な心理統計の基礎知識と計算技能を身につける。
科目の概要
心理学統計法の授業では,心理学領域で調査研究を行うために必要な基礎的な統計の知識および技能について学びます。心理学では,「こころ」という目で見えないものを対象とします。心理学研究法で学んだように,とらえにくい「こころ」のことを考えるためにさまざまな手法が取られています。その一つがこの授業で学ぶ統計法です。統計的手法は,ほかの手法と併用して使われ,「こころ」をとらえ明らかとするための根拠を示します。心理学統計法では初めて聞く言葉が多く登場します。これらの言葉は,心理学を学ぶ上での共通言語ともいえるもので,卒業研究を行うまで何度となく見聞きするものです。まずは,その言葉(専門用語)に触れ,その言葉について知識を得ます。また,この授業では,卒業研究で使われることの多い,相関係数,カイ2乗検定,t検定,分散分析,回帰分析,因子分析について,仮想データを用い統計量の算出を実際に行い,結果をどのように記述するかを学びます。授業時間内の学習のみでなく,テキストや配布資料を用いた復習を中心に,自主的な学習が必要となります。
科目のキーワード
①基礎統計量 ②統計的検定 ③相関係数 ④平均値の比較 ⑤実験計画
授業の展開方法
この授業は,パワーポイント,テキストと配布資料を用いて行われます。心理学統計の基礎的な知識を獲得するとともに,統計量を算出するための基礎的な計算知識の復習も行います。また,心理学でよく使われる統計量である相関係数,カイ2乗検定,t検定,分散分析,回帰分析について,表などを用い,実際に算出します。それぞれの統計量の有意確率を分布表から判断できるようにします。さらに因子分析についても学びます。毎回の講義の中で復習の時間を設け,さらに第15回目の授業ではそれまでの総括として知識の復習を行います。毎回の授業と総括の授業において,それまでの内容を復習し知識の定着をはかります。
オフィス・アワー
【火曜日】昼休み・4時限目、【金曜日】1・2時限目・昼休み
科目コード PSC102
学年・期 1年・後期
科目名 心理学統計法
単位数 4
授業形態 講義
必修・選択 必須
学習時間 【授業】90分×15 【予習】90分以上×15 【復習】90分以上×15
前提とする科目 心理学概論 心理学研究法
展開科目 (心)心理学データ解析 心理学実験法 心理学調査法 他 
(犯)行動科学基礎実験 心理学実験法 心理学調査法 
関連資格 公認心理師、認定心理士
担当教員名 吉武久美
主題コマシラバス項目内容教材・教具
1 心理学と統計 科目の中での位置付け 心理学統計法の授業では,心理学のさまざまな領域で調査研究を行うために必要な基礎的な統計の知識を学び,代表的な統計量の算出および結果の記述方法について習得します。心理学を学ぶと,「こころはどこにあるでしょう」と問いかけられることがあります。「こころ」があることは誰もが知っていることですが,「こころ」を目で見てとらえることはできません。とらえにくい「こころ」を客観的にとらえるための一つの方法が統計法です。まずは,統計法の専門用語に触れ,専門用語についての知識を得ます。また,この授業では,卒業研究で使われることの多い,相関係数,カイ2乗検定,t検定,分散分析,回帰分析について,仮想データを用い統計量の算出を実際に行い,結果をどのように記述するかを学びます。このような科目全体の流れの中で,第1回目は,ガイダンスを行い,この授業のルールや評価方法を説明します。また,心理学研究において数値データを扱うことの意義と重要性を理解し,そのために必要な数学的知識と技能について学びます。
コマ主題細目①
テキストxⅵページ

コマ主題細目②
テキスト2ページから5ページ

コマ主題細目③
テキスト304ページから309ページ

電卓
配布資料
コマ主題細目 ① 心理統計の概説 ② 研究の流れ ③ 中学・高校数学との連関
細目レベル ① 心理学には,多くの領域というものがあります。たとえば,臨床心理学,教育心理学,犯罪心理学,発達心理学,社会心理学,産業心理学などといったものです。それぞれの興味関心に合わせて研究が行われています。その研究の方法として,対象を観察する方法,面接したり,質問紙を実施したりといった方法があります。心理統計では,科学的かつ客観的な視点から心理学的事象を扱うことを目的に,データ(数値)を用いた根拠を示します。「こころ」という目に見えないものを扱うため,科学的かつ客観的である根拠を示すことに重きを置くのが心理学という学問の特徴です。多くの領域があり,研究手法もさまざまです。適切な統計的数値を示すことで,互いの研究領域について理解することができます。それぞれの関心には違いがありますが,心理学を学ぶ者は必ず統計法を学ばなければなりません。ここでは,心理学統計法を学ぶ意義を考えます。


② まず,心理学の研究がどのような流れで進められているかについてフローチャートを用いて概説します。研究の進め方を知り,研究の流れの中で,統計法がどこに位置するのかを学びます。心理学では,データに基づいて,「こころ」のあり方や行動,判断との繋がりを明らかにします。ここでは,この授業で取り扱うのは数字です。心や行動を,数字にあらわし,目に見える形にします。そのために研究計画をたて,研究を行います。最初に,漠然とした問題意識を具体的な研究テーマにします。心理学の研究では因果関係に焦点を当てていることが多く,関連や影響を示せるようにテーマを考えます。つぎに,先行研究を調べまとめます。先行研究をまとめた中から,その研究の目的や仮説を示します。さらに研究手法や対象者,調査の内容といった研究の方法を検討します。研究の流れは今後卒業研究を行うときに大切な知識です。


③ 心理学に関わる統計法が中学・高校で学んできた数学的知識とどのように関連しているのかを考えます。また,この授業で用いる初歩的な数学的知識の復習をします。たとえば,中学のころに学ぶ1次関数があります。1次関数(Y=aⅩ+b)は直線で表されます。これはテキスト110ページから112ページにある相関係数のトピックの中で出てきます。2つの変数間の関係について考えるときに知っているとより理解の進む基礎知識となります。このほか,目次のつぎ,第1章に入る前に示している記号一覧には,平均値(M)や値の総和(Σシグマ)が提示されています。これまで中学・高校で学んできた四則演算に関わる基礎知識がこの授業で扱う統計量を算出する際に必要となります。そこで,平均値や中央値,絶対値といった知識の復習をします。



キーワード ① 心理統計 ② 研究手法 ③ 統計量 ④ 因果関係 ⑤ 平均値
コマの展開方法 社会人講師 AL ICT PowerPoint・Keynote 教科書
コマ用オリジナル配布資料 コマ用プリント配布資料 その他 該当なし
小テスト 「小テスト」については、毎回の授業終了時、manaba上において5問以上の、当該コマの小テスト(難易度表示付き)を実施します。
復習・予習課題 復習として,用語の確認をします。この授業でテキストを指定していますので,まずはそれを用います。そのほか心理学の辞典などを利用してください。つぎの「仮説」,「母集団」について調べ,授業で得た知識をより深めます。また,テキストと配布資料を用いて,「テキストのxⅵページの記号一覧で知っている記号とその意味」,「テキストの304ページから309ページにある分布表」について確認します。特に,分布表の付表2「t分布表」,付表3「χ2分布表」,付表5「F分布表」は今後何度も使うものであることから,どのようなものであるか,まずは見ておきます。
予習として,次回は「データの特性と性質」について学ぶため,テキスト9ページから13ページを精読します。特に「4つの尺度水準」とはどのようなことを指すのかについて確認します。

2 データの特性と性質 科目の中での位置付け 心理学統計法の授業では,心理学のさまざまな領域で調査研究を行うために必要な基礎的な統計の知識を学び,代表的な統計量の算出および結果の記述方法について習得します。心理学を学ぶと,「こころはどこにあるでしょう」と問いかけられることがあります。「こころ」があることは誰もが知っていることですが,「こころ」を目で見てとらえることはできません。とらえにくい「こころ」を客観的にとらえるための一つの方法が統計法です。まずは,統計法の専門用語に触れ,専門用語についての知識を得ます。また,この授業では,卒業研究で使われることの多い,相関係数,カイ2乗検定,t検定,分散分析,回帰分析について,仮想データを用い統計量の算出を実際に行い,結果をどのように記述するかを学びます。このような科目全体の流れの中で,第2回目は,データの特性や性質について学びます。心理学ではデータを処理することで心理学的問題を根拠にもとづいて論理的に考えます。テキスト3ページから43ページに書かれている変数や尺度について概説します。
コマ主題細目①
テキスト3ページ~8ページ

コマ主題細目②
テキストの10ページ,16ページ,17ページ

コマ主題細目③
テキスト16ページから43ページ

電卓
配布資料
コマ主題細目 ① 心理学の研究方法 ② 量的変数と質的変数 ③ 4つの尺度
細目レベル ① 心理学の研究方法としてデータ処理が用いられることについて概説します。テキスト3ページから8ページを参照し,心理学においてデータ処理を行う理由について考えます。「こころ」をとらえるために,この授業ではデータを扱います。なぜ,データを用いるかといえば,テキスト4ページにあるように,心理学では「可能な限り確かな事実を根拠としてこころについての問題に答えを見出そうとしている」からです。客観的な事実としてデータを処理し,数値を示します。それにより,他の研究者による追試が可能となります。追試とは,同じ条件や方法を用いて同一の研究(実験や調査)を行うことです。この追試において同じ結果が得られれば,そのデータの再現性が認められます。再現性が認められることは,その研究で示された結果が広く認められることを表しており,大切なことであることを理解します。


② データの特性について概説します。大きく分けて量的変数と質的変数の2種類の変数があります。ここでは,量的変数と質的変数とはどのようなものであるかを学びます。テキストの10ページ,16ページ,17ページを参照します。量的変数(データ)とは「数値で示すことができる変数(データ)」をいいます。代表的なものにはテストの得点があり,数量的な特色を持っています。質的変数(データ)とは「数値では示すことができない変数(データ)」をいいます。代表的なものには性別(女・男)があり,カテゴリーに分かれているものをいいます。量的なデータであるのか,質的データであるのかを区別できるように,具体例を含めて,その内容を学びます。


③ 4つの尺度について概説します。心理学の研究では,検査得点や質問紙に回答した得点などを測定データとして分析に用います。測定データは心理特性を測る「ものさし」などということがあります。このような「ものさし」を心理的尺度ということもあります。スティーブンス(S.S.Stevens)はこの尺度の持つ性質から尺度を4つに区別しました。1つ目は「比(率)尺度」といい,原点(0)があり,それに意味があります。2つ目は「間隔尺度」といい,等間隔である数値をいいます。3つ目は「順序尺度」といい,間隔は等しいとはいえない数値をいいます。4つ目は「名義尺度」といい,カテゴリーに分かれ計算はできない数値をいいます。ここでは,この4つの尺度の内容と具体例,そして量的変数と質的変数との関りについて学びます。


キーワード ① 質的変数 ② 量的変数 ③ スティーブンスの尺度 ④ 度数分布表 ⑤ ヒストグラム
コマの展開方法 社会人講師 AL ICT PowerPoint・Keynote 教科書
コマ用オリジナル配布資料 コマ用プリント配布資料 その他 該当なし
小テスト 「小テスト」については、毎回の授業終了時、manaba上において5問以上の、当該コマの小テスト(難易度表示付き)を実施します。
復習・予習課題 復習として,用語の確認をします。この授業でテキストを指定していますので,まずはそれを用います。そのほか心理学の辞典などを利用してください。つぎの「追試」,「質的変数」について調べ,授業で得た知識をより深めます。また,テキストと配布資料を用いて,「質的変数と量的変数の違い」,「スティーブンスの4つの尺度の相違点」について確認します。特に,質的変数と量的変数についてはその具体例を考え,書き留めます。
予習として,次回は「代表値と散布度」について学ぶため,テキスト48ページから59ページに目を通します。特に「代表値」である「平均値」,「中央値」,「最頻値」とはどのようなことを指すのかについて確認します。

3 代表値と散布度 科目の中での位置付け 心理学統計法の授業では,心理学のさまざまな領域で調査研究を行うために必要な基礎的な統計の知識を学び,代表的な統計量の算出および結果の記述方法について習得します。心理学を学ぶと,「こころはどこにあるでしょう」と問いかけられることがあります。「こころ」があることは誰もが知っていることですが,「こころ」を目で見てとらえることはできません。とらえにくい「こころ」を客観的にとらえるための一つの方法が統計法です。まずは,統計法の専門用語に触れ,専門用語についての知識を得ます。また,この授業では,卒業研究で使われることの多い,相関係数,カイ2乗検定,t検定,分散分析,回帰分析について,仮想データを用い統計量の算出を実際に行い,結果をどのように記述するかを学びます。このような科目全体の流れの中で,第3回目は,データを要約する方法の一つである代表値(平均値,中央値,最頻値)とデータの散らばりについて学びます。代表値は,集めたデータがどのようなものであるかを示す重要な数値です。また,データの散らばり具合をあらわす指標として用いられる標準偏差とはどのようなものか学びます。
コマ主題細目①
テキスト48ページから59ページ

コマ主題細目②
テキスト54ページ,55ページ

コマ主題細目③
テキスト60ページから91ページ

電卓
配布資料
コマ主題細目 ① 代表値の概説 ② 平均値と中央値 ③ 標準偏差の理解
細目レベル ① ここでは,代表値とはどのようなものかを概説します。データを要約する方法の一つとして代表値を学びます。テキスト48ページから59ページを参照します。代表値は,「分布を1つの値で要約する統計的な数値(測度)」のことをいいます(テキスト48ページ)。平均(値)は「試験の平均点」など日常的に用いられています。論文や統計の本では記号を用いてあらわされます。英語の「mean」から平均は「M」といった記号を使います。一方,中央値や最頻値は日常的にはあまり使われません。論文などでは,中央値は用いられることがあります。英語の「median」から中央値は「Me」の記号が使われます。中央値とは,収集したデータを大きさ順に並べたときに中央に位置する値のことです。最頻値とは,最も度数の多い測定値およびカテゴリーのことをいいます。これら3つの代表値を理解します。


② 代表値である平均値と中央値の算出方法とそれらの適用について概説します。平均値は,収集したすべての測定値を足して,それを総データ数で割った値のことをいいます。中央値は,収集したデータを大きさ順に並べたときに中央に位置する値のことです。中央値はデータ数が奇数か偶数かで算出方法が異なります。与えられたデータから,平均値,中央値,最頻値それぞれの値を求められるようにします。ここでは,中央値の細かな条件別の算出については問いません。テキスト54ページ,55ページの中央値の出し方①②を理解します。平均値と中央値は同じ値となることも多くあります。ただ,平均値と中央値には大きな違いがあります。それは,中央値は極端な値に左右されないという点です。取集した測定値の中に,一つだけ他の値よりも大きな値や小さな値があったとき,平均値は値が大きく影響を受けますが,中央値は影響されないという特徴があります。この違いを理解します。


③ データの散らばり具合を考慮する場合に必要な分散と標準偏差について概説します。テキスト60ページから91ページを参照し,データの散らばりと標準偏差について学びます。集めたデータがどの範囲に散らばっているのかを確認する数値として,四分位偏差や標準偏差があります。偏差値もデータの散らばり具合を示す指標の一つです。その中で,特に,心理学では標準偏差を用います。論文などでは標準偏差をSD(standard deviation)と表記し,平均値などと併記するのが通例です。「標準偏差」は測定値の平均値からの散らばり具合をあらわしたものです。同様に,「分散」も測定値の平均値からの散らばり具合をあらわしたもので,「標準偏差」と「分散」は収集したデータがどのように散らばっているのかを知るための重要な数値です。この標準偏差の値が大きければ,代表値である平均値の信頼性が低いことを示すということについて考えます。


キーワード ① 代表値 ② 平均値 ③ 中央値 ④ 標準偏差 ⑤ 散らばり
コマの展開方法 社会人講師 AL ICT PowerPoint・Keynote 教科書
コマ用オリジナル配布資料 コマ用プリント配布資料 その他 該当なし
小テスト 「小テスト」については、毎回の授業終了時、manaba上において5問以上の、当該コマの小テスト(難易度表示付き)を実施します。
復習・予習課題 復習として,用語の確認をします。この授業でテキストを指定していますので,まずはそれを用います。そのほか心理学の辞典などを利用してください。つぎの「標準偏差」,「外れ値」について調べ,授業で得た知識をより深めます。また,テキストと配布資料を用いて,「データの散らばりをあらわす標準偏差と分散」,「難しいテストと簡単なテスト」について確認します。特に,「標準偏差と分散」の記号はどのようなもので,算出する過程について確認します。
予習として,次回は「妥当性と信頼性」について学ぶため,質問項目について考えます。これまで,アンケートを受けてきた経験や卒論研究に協力した経験を思い出し,どのような質問があったか,どのような態度で回答したかを書き留めます。

4 妥当性と信頼性 科目の中での位置付け 心理学統計法の授業では,心理学のさまざまな領域で調査研究を行うために必要な基礎的な統計の知識を学び,代表的な統計量の算出および結果の記述方法について習得します。心理学を学ぶと,「こころはどこにあるでしょう」と問いかけられることがあります。「こころ」があることは誰もが知っていることですが,「こころ」を目で見てとらえることはできません。とらえにくい「こころ」を客観的にとらえるための一つの方法が統計法です。まずは,統計法の専門用語に触れ,専門用語についての知識を得ます。また,この授業では,卒業研究で使われることの多い,相関係数,カイ2乗検定,t検定,分散分析,回帰分析について,仮想データを用い統計量の算出を実際に行い,結果をどのように記述するかを学びます。このような科目全体の流れの中で,第4回目は,質問項目の妥当性と信頼性について学びます。データを集める方法として質問紙調査を取り上げ,その質問項目がふさわしい内容をあらわしているのかについて考えます。また,妥当性や信頼性を確認するための方法についても学びます。
コマ主題細目①
参考文献『質問調査の手順』5ページから9ページ

コマ主題細目②
参考文献『質問調査の手順』8ページ,9ページ11ページから15ページ

コマ主題細目③
参考文献『質問調査の手順』47ページから52ページ

電卓
配布資料
コマ主題細目 ① 質問紙調査の意義 ② 妥当性と信頼性 ③ 質問紙項目の検討
細目レベル ① 質問紙調査の特徴と意義について概説します。質問紙調査は量的データを扱う代表的な調査方法です。収集したデータを統計的に処理し,分析をします。ここでは,質問紙調査の特徴と意義を学びます。質問紙調査では,個人の内的側面(思考,態度,感情,行動傾向など)を質問紙によって測定します。一般的には質問紙よりもアンケートと言われることが多く,予め設定された選択肢から選択する形式と,自由記述形式(自由に文章を記入する)から構成されています。質問の項目があり,それに対する回答を数字(例:1.とてもあてはまる~5.まったくあてはまらない)から選択します。一度に多くの人からデータを取得でき,多変量解析などの高度な統計処理が可能となります。質問紙の調査で得られた結果が測定したい構成概念(直接観察が困難で,理論的に定義される概念)を適切に反映していることが重要となります。


② 質問項目の妥当性と信頼性について概説します。質問紙調査を行い,データを集め,それを統計的に分析します。そのとき何をどのように質問するかが重要となります。知りたい「こころ」の働きを適切に反映した質問でなければ,せっかく集めたデータが無駄になり,統計処理を行っても知りたいことを明らかにすることはできません。そのため,質問項目の妥当性と信頼性を学びます。妥当性の検討するために,質問項目が測定したい概念を過不足なく反映しているか(内的妥当性),測定した得点が測定したい概念を反映する外部基準と関連しているか(基準関連妥当性)といった方法が取られます。信頼性を検討するために,再検査法,折半法,内的整合性を算出する方法などがあります。それぞれの方法の内容について理解し,その限界も考えます。


③ ワーディングの検討といった質問項目を検討する際に留意する点を概説します。知りたい「こころ」の働きを適切に反映した質問項目とするために,留意することを学びます。まず,ワーディングの検討があります。質問項目の文や選択肢の言い回し(wording)に,不適切な用語や偏向した文章がないかを検討します。たとえば,曖昧な言葉や専門用語,二重否定表現などを使わないようにします。また,キャリーオーバー効果にも気をつけます。キャリーオーバー効果とは,前の質問の内容・存在が後続質問への回答に与える影響のことをいいます。このほか,ダブルバーレル質問も避けるようにします。ダブルバーレル質問とは,二つの論点を含み,どちらが強調されているのか識別できない質問のことをいいます。このような留意点の内容を理解します。


キーワード ① 質問紙調査 ② 構成概念妥当性 ③ 妥当性 ④ 信頼性 ⑤ ワーディング
コマの展開方法 社会人講師 AL ICT PowerPoint・Keynote 教科書
コマ用オリジナル配布資料 コマ用プリント配布資料 その他 該当なし
小テスト 「小テスト」については、毎回の授業終了時、manaba上において5問以上の、当該コマの小テスト(難易度表示付き)を実施します。
復習・予習課題 復習として,用語の確認をします。この授業でテキストを指定していますので,まずはそれを用います。そのほか心理学の辞典などを利用してください。つぎの「妥当性」,「カウンターバランス」について調べ,授業で得た知識をより深めます。また,配布資料を用いて,「構成概念とはどのようなものであるか」,「信頼性の検討(再検査法,折半法,内的整合性)としてどのようなものがあるか」「妥当性の検討(内的妥当性,基準関連妥当性,構成概念妥当性)としてどのようなものがあるか」,「ワーディングの効果やキャリーオーバー効果,タブルバーレル質問の回避など質問項目を作成するときに留意すること」について確認します。
予習として,次回は「2変数の相関」について学ぶため,テキスト96ページから99ページを精読します。特に「ピアソンの積率相関係数」の図4.1.1の3つを確認します。

5 2変数の相関 相関係数 科目の中での位置付け 心理学統計法の授業では,心理学のさまざまな領域で調査研究を行うために必要な基礎的な統計の知識を学び,代表的な統計量の算出および結果の記述方法について習得します。心理学を学ぶと,「こころはどこにあるでしょう」と問いかけられることがあります。「こころ」があることは誰もが知っていることですが,「こころ」を目で見てとらえることはできません。とらえにくい「こころ」を客観的にとらえるための一つの方法が統計法です。まずは,統計法の専門用語に触れ,専門用語についての知識を得ます。また,この授業では,卒業研究で使われることの多い,相関係数,カイ2乗検定,t検定,分散分析,回帰分析について,仮想データを用い統計量の算出を実際に行い,結果をどのように記述するかを学びます。このような科目全体の流れの中で,第5回目は,2つの変数間の相関関係を求める相関係数の計算方法について学びます。さまざまな相関関係の中でも直線的な相関について概説します。2つの変数の間には関係があるのか,その関係はどのようなものであるかについて考えます。
コマ主題細目①
テキスト96ページから143ページ

コマ主題細目②
テキスト96ページから101ページ

コマ主題細目③
テキスト107ページ,144ページ,145ページ

電卓
配布資料
コマ主題細目 ① 相関関係の概念 ② 相関係数の算出 ③ 相関関係の検討
細目レベル ① 変数の間の関係を示す相関関係について概説します。テキスト96ページから143ページの第4章には2つの変数の間の関係を分析する方法がいくつも示されています。たとえば,ピアソンの積率相関係数,スピアマンの順位相関係数,ケンドールの順位相関係数,点双列相関係数といった分析方法です。ここでは,最も用いられることの多い,「ピアソンの積率相関係数」を中心に学びます。「2つの変数が関連しているのかを知りたい」場合に相関関係を検討します。たとえば,1つの変数が増加するときに,もう1つの変数は増加するのか,減少するのか検討します。2つの変数の関係(相関関係)が強いのか,弱いのかを統計的に見る指標が相関係数(r )です。ピアソンの積率相関係数はこの関係に直線(一次関数)を想定しています。相関係数の正負などを理解します。


② ピアソンの積率相関係数の算出方法と結果の記述について概説します。ここでは,これまで学んだ平均値や分散,標準偏差を使い,ピアソンの積率相関係数を算出する方法を学びます。与えられたデータを表の形式で示します。それらを用いて実際に計算し,相関係数(r )を算出します。2つの変数それぞれの標準偏差を掛けた値(SD1×SD2)で公式から算出した分散を割ることで相関係数(r )を求めることができます。相関係数(r )では,その値が正の値か,負の値かが問題となります。直線の関係の傾きが正の傾きか負の傾きを知る必要があるからです。また,直線の関係が強いものか弱いものかも結果に記述します。相関係数(r )の目安がテキスト99ページの「相関係数の評価」に示してあります。この目安については覚えることが求められます。


③ 相関関係を考えるときに留意する点について概説します。心理学の研究では,相関関係を検討することが多いです。しかし,相関関係で説明できることには限界があります。それらについて理解した上で,相関関係を検討しなければなりません。そこで,相関関係を考えるときに留意することについて学びます。まず相関関係と因果関係は違うものであることを理解します。因果関係は,原因があって,その原因から結果を説明できる関係です。一方,相関関係は2つの変数は関連していることを示しています。どちらが原因でどちらが結果であると言えません。このほか,「相関係数の表現の仕方」,「外れ値の影響」,「疑似相関の可能性」,「標本の抽出の問題」,「妥当性の検証」,「切断の効果」,「合併の効果」はどのようなものであるかについて理解します。


キーワード ① ピアソンの積率相関係数 ② 一次関数 ③ 相関の正負 ④ 関連の強さ ⑤ 切断の効果
コマの展開方法 社会人講師 AL ICT PowerPoint・Keynote 教科書
コマ用オリジナル配布資料 コマ用プリント配布資料 その他 該当なし
小テスト 「小テスト」については、毎回の授業終了時、manaba上において5問以上の、当該コマの小テスト(難易度表示付き)を実施します。
復習・予習課題 復習として,用語の確認をします。この授業でテキストを指定していますので,まずはそれを用います。そのほか心理学の辞典などを利用してください。つぎの「散布図」,「疑似相関」について調べ,授業で得た知識をより深めます。また,テキストと配布資料を用いて,「与えられたデータの表から相関係数(r)の算出方法」,「相関関係と因果関係の違い」について確認します。特に,相関係数(r)の結果の記述について確認し,実際に結果を記述します。
予習として,次回は「度数についての検定」について学ぶため,テキスト186,ページ187ページを精読します。特にノンパラメトリック検定の一つである「カイ2乗検定」とはどのようなことを指すのかについて確認します。

6 度数についての検定 ノンパラメトリック検定 科目の中での位置付け 心理学統計法の授業では,心理学のさまざまな領域で調査研究を行うために必要な基礎的な統計の知識を学び,代表的な統計量の算出および結果の記述方法について習得します。心理学を学ぶと,「こころはどこにあるでしょう」と問いかけられることがあります。「こころ」があることは誰もが知っていることですが,「こころ」を目で見てとらえることはできません。とらえにくい「こころ」を客観的にとらえるための一つの方法が統計法です。まずは,統計法の専門用語に触れ,専門用語についての知識を得ます。また,この授業では,卒業研究で使われることの多い,相関係数,カイ2乗検定,t検定,分散分析,回帰分析について,仮想データを用い統計量の算出を実際に行い,結果をどのように記述するかを学びます。このような科目全体の流れの中で,第7回目は,名義尺度データの分析(ノンパラメトリック検定)について学びます。名義尺度データとは質的データ(変数)のことです。この質的データについてはノンパラメトリック検定を用いて検討されます。ノンパラメトリック検定の中でも主にカイ2乗検定について学びます。
コマ主題細目①
テキスト186ページ

コマ主題細目②
テキスト186ページ,187ページ

コマ主題細目③
テキスト187ページから193ページ,306ページ付表3

電卓
配布資料
コマ主題細目 ① パラメトリック検定とノンパラメトリック検定 ② 度数についてのパラメトリック検定 ③ カイ2乗検定の算出と結果の記述
細目レベル ① 質的データを扱うノンパラメトリック検定の特徴をパラメトリック検定と比較しながら概説します。テキストの186ページを参照します。パラメトリック検定は母数の推定を含む検定方法のことをいい,量的データを検討するときに使われます。たとえば,平均値の差の検定(t検定やF検定),積率相関係数の有意性検定などがあります。一方,ノンパラメトリック検定は,母数の推定を行わない検定方法のことをいい,質的データを検討するときに用いられます。たとえば,度数についての検定,メディアン検定,サイン検定などがあります。ノンパラメトリック検定には,具体的な分布を仮定しないことやデータの分布型が不明な場合や標本サイズが小さい場合に適用されることなどが特徴としてあげられます。パラメトリック検定とノンパラメトリック検定の違いを考えます。


② 度数についてのノンパラメトリック検定について概説します。ノンパラメトリック検定の目的や適用できるデータについて学びます。まず,ノンパラメトリック検定の目的として,実際に観測し複数のカテゴリーに分類されたデータが,理論的度数(期待度数)に適合しているか否かを調べることがあげられます。これは,「適合度についての有意性検定」といわれます。また,データが2つのカテゴリーに分類されたとき,その2つが互いに独立したものであるか否か(連関があるか否か)を調べることがあげられます。これは,「独立性についての有意性検定」といわれます。ノンパラメトリック検定に適用できるデータとして,名義尺度,順序尺度,または間隔・比率尺度を順序尺度とみなしたデータであること,質的データであることがあげられます。このようなノンパラメトリック検定の特徴について学びます。


③ 観測度数と期待度数について解説し,集計表を利用したカイ2乗検定の算出方法を概説します。テキスト188ページから190ページを参照します。まず,ここでは観測度数と期待度数という数値を用います。「観測度数」は実際に観測された数値のことをいい,「期待度数」は仮説から考えられる数値のことをいいます。この度数には人数や頻度(例:何人か,何回か,何個かなど)といったものがあります。「クロス集計表」と呼ばれる表を作成し,周辺度数などを記入します。あらかじめ与えられた観測度数と周辺度数から,期待度数を算出します。観測度数と算出した期待度数を用い,カイ2乗値を算出し,さらに自由度も求めます。テキスト306ページの付表3を参照し,有意水準を確認します。カイ2乗値を記述するときには,自由度,カイ2乗値,有意水準を記述する必要があります。提示されたデータを用いて,カイ2乗値を算出し,結果を記述することを学びます。


キーワード ① ノンパラメトリック検定 ② クロス集計表 ③ 観測度数 ④ 期待度数 ⑤ カイ2乗検定
コマの展開方法 社会人講師 AL ICT PowerPoint・Keynote 教科書
コマ用オリジナル配布資料 コマ用プリント配布資料 その他 該当なし
小テスト 「小テスト」については、毎回の授業終了時、manaba上において5問以上の、当該コマの小テスト(難易度表示付き)を実施します。
復習・予習課題 復習として,用語の確認をします。この授業でテキストを指定していますので,まずはそれを用います。そのほか心理学の辞典などを利用してください。つぎの「ノンパラメトリック検定」,「クロス集計表」について調べ,授業で得た知識をより深めます。また,テキストと配布資料を用いて,「与えられたデータを用いて,クロス集計表を完成させ,カイ2乗値と自由度の算出方法」について確認します。特に,テキストの306ページの付表3「χ2分布表」を見て,自由度とカイ2乗値から何%水準で有意なのか,有意ではないのかを判断できるようにします。
予習として,次回は「統計的検定」について学ぶため,仮説について考えます。テキスト166ページから168ページの6.1.2の前までに目を通します。

7 統計的検定 科目の中での位置付け 心理学統計法の授業では,心理学のさまざまな領域で調査研究を行うために必要な基礎的な統計の知識を学び,代表的な統計量の算出および結果の記述方法について習得します。心理学を学ぶと,「こころはどこにあるでしょう」と問いかけられることがあります。「こころ」があることは誰もが知っていることですが,「こころ」を目で見てとらえることはできません。とらえにくい「こころ」を客観的にとらえるための一つの方法が統計法です。まずは,統計法の専門用語に触れ,専門用語についての知識を得ます。また,この授業では,卒業研究で使われることの多い,相関係数,カイ2乗検定,t検定,分散分析,回帰分析について,仮想データを用い統計量の算出を実際に行い,結果をどのように記述するかを学びます。このような科目全体の流れの中で,第7回目は,統計的仮説の検証について学びます。心理学の調査や実験では仮説を立てて,その仮説が確かなものであるかどうか検定します。ここでは,仮説の検定のことと母集団の特性についての統計的な推定のことを学びます。
コマ主題細目①
テキスト198ページ,199ページ

コマ主題細目②
テキスト208ページから215ページ,306ページ付表2

コマ主題細目③
テキスト212ページ,214ページ,306ページ付表2

電卓
配布資料
コマ主題細目 ① 統計的仮説の検証 ② 仮説検証型の研究 ③ 第1種の過誤と第2種の過誤
細目レベル ① 仮説生成型の研究と仮説検証型の研究の違いについて概説します。科学的研究の研究スタイルとして,仮説生成型の研究と仮説検証型の研究があります。「仮説生成型」の研究では,仮説を生み出すことを目的として研究が行われます。大まかなデータを集め,そのデータの中から仮説を考えだし,つぎの研究につなげるような研究スタイルです。心理学では質的データに基づく研究において,仮説生成型のスタイルが取られることがあります。「仮説検証型」の研究では,立てた仮説が確かなものであるといえるかどうか検証することを目的とします。心理学の研究でも「仮説生成型」と「仮説検証型」の両方の研究スタイルがあります。ただ,心理学では「仮説検証型」の研究が多く行われています。そこには,現在の心理学の研究者が直面している問題が影響しています。そのような問題点を含め仮説生成型の研究と仮説検証型の研究の違いについて学びます。


② 仮説生成型の研究と仮説検証型の研究の中で,仮説検証型の研究について詳しく概説します。心理学では「仮説検証型」の研究が多く行われています。質問紙による調査や実験といった研究方法を取る研究では,特に仮説を設定し,その仮説を統計的に検証しようとします。設定した仮説が確かなものであると言えれば,「仮説は支持された」とされます。この仮説検証をするときに重要となることが,帰無仮説と対立仮説の考えです。帰無仮説(null hypothesis)は,否定されて欲しいことが設定されます。一方,対立仮説は研究仮説ともいわれ,研究者にとっては支持されて欲しい仮説となります。仮説を検定する統計量には,母集団のどのような特性について検定を行いたいかによって,t 統計量やF統計量などがあります。今後,このような統計量についても学びます。ここでは,2つの研究スタイル(仮説生成型と仮説検証型)と2つの仮説(帰無仮説と対立仮説)について理解します。


③ 第1種の過誤と第2種の過誤とはどのようなものであるかについて概説します。テキスト173ページから175ページの6.1.5を参照します。ここでは,統計的な仮説検証の「帰無仮説」と「対立仮説」の2つの仮説の問題について考えます。まず,仮に「帰無仮説」が真実だったとします。そのときに「帰無仮説」を採択すれば正しい判断が行われたと考えることができます。また,仮に「対立仮説」が真実であるとするときに,「帰無仮説」が棄却されれば正しい判断がなされたと考えられます。しかし,統計量にも弱点があり,間違いを示すことがあることが知られています。仮に「帰無仮説」が真実だったときに「帰無仮説」を棄却することを「第1種の過誤(タイプ1エラー)」といいます。仮に「対立仮説」が真実であるとするときに,「帰無仮説」を採択することを「第2種の過誤(タイプ2エラー)」といいます。このような過誤の問題を理解します。


キーワード ① 仮説検証 ② 帰無仮説 ③ 有意水準 ④ 有意確立 ⑤ 正規分布
コマの展開方法 社会人講師 AL ICT PowerPoint・Keynote 教科書
コマ用オリジナル配布資料 コマ用プリント配布資料 その他 該当なし
小テスト 「小テスト」については、毎回の授業終了時、manaba上において5問以上の、当該コマの小テスト(難易度表示付き)を実施します。
復習・予習課題 復習として,用語の確認をします。この授業でテキストを指定していますので,まずはそれを用います。そのほか心理学の辞典などを利用してください。つぎの「両側検定」,「片側検定」について調べ,授業で得た知識をより深めます。また,テキストと配布資料を用いて,「仮説生成型と仮説検証型の研究スタイルの違い」,「帰無仮説と対立仮説の違い」,「第1種の過誤と第2種の過誤の違い」について確認します。余裕があれば,帰無仮説と対立仮説について正規分布の図をもとに確認します。
予習として,次回は「2つの平均値の差の検定」としてt検定について学ぶため,テキスト198ページ,199ページを精読します。特にテキスト199ページの7.0.2「t検定の目的」について確認します。

8 2つの平均値の差の検定 t検定 ―対応のあるデータ 科目の中での位置付け 心理学統計法の授業では,心理学のさまざまな領域で調査研究を行うために必要な基礎的な統計の知識を学び,代表的な統計量の算出および結果の記述方法について習得します。心理学を学ぶと,「こころはどこにあるでしょう」と問いかけられることがあります。「こころ」があることは誰もが知っていることですが,「こころ」を目で見てとらえることはできません。とらえにくい「こころ」を客観的にとらえるための一つの方法が統計法です。まずは,統計法の専門用語に触れ,専門用語についての知識を得ます。また,この授業では,卒業研究で使われることの多い,相関係数,カイ2乗検定,t検定,分散分析,回帰分析について,仮想データを用い統計量の算出を実際に行い,結果をどのように記述するかを学びます。このような科目全体の流れの中で,第8回目は,2つの平均値の差の検定(t検定)について学びます。研究仮説を検証するために,t分布を用いた検定法(t検定)について学び,対応のあるデータを使用し2つの平均値に差があるかどうかを検定する方法を理解します。
コマ主題細目①
テキスト198ページ,199ページ

コマ主題細目②
テキスト208ページから215ページ,306ページ付表2

コマ主題細目③
テキスト212ページ,214ページ,306ページ付表2

電卓
配布資料
コマ主題細目 ① データの対応 ② 対応のあるt検定 ③ 結果の解釈
細目レベル ① ここでは,2つの平均値の差を検定する方法として,t検定について学びます。t検定とは,t分布を用いた検定方法のことをいいます。t分布表はテキスト306ページの付表2を参照します。2つの標本の平均値に有意な差(意味のある差)があるかどうかを検定します。このとき,標本であるデータをどのように抽出するかで検定方法が異なります。1つが「対応のない」データ,もう1つが「対応のある」データです。データに対応のある場合と対応のない場合のt検定について概説します。「対応のない」データとは,2つの異なるグループからデータを集めた場合をいいます。たとえば,男性と女性の平均身長を比較するときには,男性と女性という異なる2つのグループからデータを抽出します。「対応のある」データとは,同じグループからデータを集めた場合をいいます。たとえば,ダイエットの前後の体重を比較するときには,同じ人のダイエット前の体重とダイエット後の体重を収集します。データがどのようなグループから収集されたかによってt検量の算出方法が異なるため,データの違い(対応のない・対応のある)を判断できるようにならなければなりません。


② 対応のあるt検定を理解し,算出したt値を用い,有意差の判定方法を概説します。「対応のある」データとは,同じグループからデータを集めた場合をいいます。これを「対応のあるサンプル」,「参加者内,被験者内」といった言い方をすることもあります。たとえば,あるダイエット法に効果があるのかを知りたい場合,複数人の参加者を募り,同じダイエットを行ってもらいます。まずダイエットを行う前の体重を測定し,ダイエット法を実行してもらった後に体重を測定,その体重を比較します。重要なことは同一人からデータを測定し,そのデータを比較していることです。与えられたデータと式を用いて,ダイエット前後の平均値と分散からt値を算出します。自由度を求め,テキスト306ページの付表2の両側検定を見て,算出したt値が5%水準もしくは1%水準で有意であるかどうか,確認します。


③ ここでは,算出したt値を用いた結果の記述方法について概説します。対応のあるt検定を行い算出した値をもとに,結果を記述することを学びます。t検定の結果には,自由度,t値,有意水準をすべて記述します。このように詳しい内容の結果を記述することで,その結果を見た第3者が検定結果を自分でも確認することができます。さらに,得られた結果を文章でも記述します。何と何の値を比較したか,何検定を用いたか,有意水準はどのようになったか,検定結果から何が明らかになったかといったことについて記述できるようになります。これにより,t値を算出する手続きだけでなく,得られた結果を正しく示すことを学びます。今後,研究論文を読んだりするときに,どのような結果が得られているかを自分で確認し,判断できるようになります。


キーワード ① 対応のあるデータ ② 有意性 ③ t検定 ④ 分布表 ⑤ 有意水準
コマの展開方法 社会人講師 AL ICT PowerPoint・Keynote 教科書
コマ用オリジナル配布資料 コマ用プリント配布資料 その他 該当なし
小テスト 「小テスト」については、毎回の授業終了時、manaba上において5問以上の、当該コマの小テスト(難易度表示付き)を実施します。
復習・予習課題 復習として,用語の確認をします。この授業でテキストを指定していますので,まずはそれを用います。そのほか心理学の辞典などを利用してください。つぎの「参加者間,被験者間」,「参加者内,被験者内」について調べ,授業で得た知識をより深めます。また,テキストと配布資料を用いて,「t検定とはどのような検定で,どのようなデータに用いられるのか」,「対応のないデータと対応のあるデータを見分けられ,それぞれのデータに合わせてt値を算出し,有意性を判断し,結果を記述する方法」について確認します。ここでは,特に,対応のあるデータを用いたt検定を行えるように復習します。
予習として,次回は「t検定 対応のないデータ」について学ぶため,テキスト200ページを精読し,対応のあるデータと対応のないデータの相違点について確認します。

9 2つの平均値の差の検定 t検定 ―対応のないデータ 科目の中での位置付け 心理学統計法の授業では,心理学のさまざまな領域で調査研究を行うために必要な基礎的な統計の知識を学び,代表的な統計量の算出および結果の記述方法について習得します。心理学を学ぶと,「こころはどこにあるでしょう」と問いかけられることがあります。「こころ」があることは誰もが知っていることですが,「こころ」を目で見てとらえることはできません。とらえにくい「こころ」を客観的にとらえるための一つの方法が統計法です。まずは,統計法の専門用語に触れ,専門用語についての知識を得ます。また,この授業では,卒業研究で使われることの多い,相関係数,カイ2乗検定,t検定,分散分析,回帰分析について,仮想データを用い統計量の算出を実際に行い,結果をどのように記述するかを学びます。このような科目全体の流れの中で,第9回目は,2つの平均値の差の検定(対応のないデータのt検定)について学びます。研究仮説を検証するために,t分布を用いた検定法(t検定)について学び,対応のないデータを使用し2つの平均値に差があるかどうかを検定する方法を理解します。
コマ主題細目①
テキスト198ページ,199ページ

コマ主題細目②
テキスト200ページから207ページ,306ページ付表2

コマ主題細目③
テキスト206ページ,207ページ,306ページ付表2

電卓
配布資料
コマ主題細目 ① データの対応 ② 対応のないt検定 ③ 結果の解釈
細目レベル ① ここでは,2つの平均値の差を検定する方法として,t検定について学びます。t検定とは,t分布を用いた検定方法のことをいいます。t分布表はテキスト306ページの付表2を参照します。2つの標本の平均値に有意な差(意味のある差)があるかどうかを検定します。このとき,標本であるデータをどのように抽出するかで検定方法が異なります。1つが「対応のない」データ,もう1つが「対応のある」データです。データに対応のある場合と対応のない場合のt検定について概説します。「対応のない」データとは,2つの異なるグループからデータを集めた場合をいいます。たとえば,男性と女性の平均身長を比較するときには,男性と女性という異なる2つのグループからデータを抽出します。「対応のある」データとは,同じグループからデータを集めた場合をいいます。たとえば,ダイエットの前後の体重を比較するときには,同じ人のダイエット前の体重とダイエット後の体重を収集します。データがどのようなグループから収集されたかによってt検量の算出方法が異なるため,データの違い(対応のない・対応のある)を判断できるようにならなければなりません。ここでは,特に,対応のないデータについて着目して学びます。


② 対応のないt検定を理解し,算出したt値を用い,有意差の判定方法,結果の記述方法を概説します。「対応のない」データとは,2つの異なるグループからデータを集めた場合をいいます。これを「独立したサンプル」や「参加者間,被験者間」といった言い方をすることもあります。たとえば,男性と女性の平均身長を比較するときには,男性と女性という異なる2つのグループからデータを抽出し,それぞれの平均身長を比較し,その差が意味のある差かどうかを検定します。与えられたデータと式を用いて,各グループの平均値と分散からt値を算出します。さらに自由度を求め,テキスト306ページの付表2の両側検定を見て,算出したt値が5%水準もしくは1%水準で有意であるかどうか,確認します。


③ ここでは,算出したt値を用いた結果の記述方法について概説します。対応のないt検定を行い算出した値をもとに,結果を記述することを学びます。対応のあるt検定と同様にt検定の結果には,自由度,t値,有意水準をすべて記述します。このように詳しい内容の結果を記述することで,その結果を見た第3者が検定結果を自分でも確認することができます。さらに,得られた結果を文章でも記述します。何と何の値を比較したか,何検定を用いたか,有意水準はどのようになったか,検定結果から何が明らかになったかといったことについて記述できるようになります。これにより,t値を算出する手続きだけでなく,得られた結果を正しく示すことを学びます。今後,研究論文を読んだりするときに,どのようなデータを用いて研究がなされているのか,どのような結果が得られたかを自分で確認し,判断できるようになります。


キーワード ① 対応のないデータ ② 有意性 ③ t検定 ④ 自由度 ⑤ 有意水準
コマの展開方法 社会人講師 AL ICT PowerPoint・Keynote 教科書
コマ用オリジナル配布資料 コマ用プリント配布資料 その他 該当なし
小テスト 「小テスト」については、毎回の授業終了時、manaba上において5問以上の、当該コマの小テスト(難易度表示付き)を実施します。
復習・予習課題 復習として,用語の確認をします。この授業でテキストを指定していますので,まずはそれを用います。そのほか心理学の辞典などを利用してください。つぎの「参加者間,被験者間」,「参加者内,被験者内」について調べ,授業で得た知識をより深めます。また,テキストと配布資料を用いて,「t検定とはどのような検定で,どのようなデータに用いられるのか」を確認し,「対応のないデータと対応のあるデータを見分けられ,それぞれのデータに合わせてt値を算出し,有意性を判断し,結果を記述する方法」について確認します。分布表の付表2「t分布表」の見方について繰り返し確認します。ここでは,特に,対応のあるデータを用いたt検定を行えるように復習します。
予習として,次回は「分散分析」の回です。分散分析は3回に渡って学びます。テキスト226ページから228ページを精読し,分散分析の考え方に関して確認します。

10 分散分析 科目の中での位置付け 心理学統計法の授業では,心理学のさまざまな領域で調査研究を行うために必要な基礎的な統計の知識を学び,代表的な統計量の算出および結果の記述方法について習得します。心理学を学ぶと,「こころはどこにあるでしょう」と問いかけられることがあります。「こころ」があることは誰もが知っていることですが,「こころ」を目で見てとらえることはできません。とらえにくい「こころ」を客観的にとらえるための一つの方法が統計法です。まずは,統計法の専門用語に触れ,専門用語についての知識を得ます。また,この授業では,卒業研究で使われることの多い,相関係数,カイ2乗検定,t検定,分散分析,回帰分析について,仮想データを用い統計量の算出を実際に行い,結果をどのように記述するかを学びます。このような科目全体の流れの中で,第10回目は,複数の平均値の差の検定について学びます。3つ以上の平均値を比較します。たとえば,新薬A・B・Cの効果を比較するときに,それらの間に統計的な差があるかを検討します。ここでは,分散分析とはどのようなものであるか,さらに1要因の分散分析について学びます。
コマ主題細目①
テキスト226ページから229ページ,234ページ,235ページ

コマ主題細目②
テキスト245ページ,250ページ

コマ主題細目③
テキスト236ページ,308ページと309ページ付表5

電卓
配布資料
コマ主題細目 ① 実験計画について ② 実験参加者の選定と配置 ③ 主効果と交互作用
細目レベル ① 実験や調査を行うときにどのように検討するか計画を立てます。こここでは実験計画について概説します。実験をするにしても質問紙調をするにしても,どのようなことが何に影響を与えているのかなどを考え,調査・実験の内容を決めます。これを実験計画といいます。第2回の授業で学んだ変数(独立変数,従属変数など)について考えます。独立変数(説明変数,予測変数)は条件の違いを表す変数のことをいいます。従属変数(基準変数,目的変数)はその条件(独立変数)の違いによって,値が異なってくるのかどうかの関心の対象となる変数のことをいいます。独立変数は要因(factor)ともいいます。独立変数が1つの分散分析を「1要因分散分析」,「一元配置分散分析」といいます。要因を構成する複数の条件のことを「水準」といいます。たとえば,性別が独立変数であれば,水準は女性と男性の2つと考えます。つまり,1要因の分散分析,2水準となります。独立変数,従属変数,要因,水準といった用語の内容について理解します。


② 実験目的に対応した実験参加者(被験者)の選定と配置について概説します。研究を行うときには,各要因について,実験参加者(被験者)間計画か実験参加者(被験者)内計画のいずれかを選択します。「実験参加者間計画」とは,各水準に異なる実験参加者を割り当てる実験計画のことをいいます。「実験参加者内計画」とは,各水準に同じ実験参加者を割り当てる実験計画のことをいいます。要因が2つあれば,それぞれに「実験参加者間」か「実験参加者内」か,決めることができます。1つの要因で「実験参加者間」を,もう1つの要因で「実験参加者内」の計画を立てたものを「混合計画」といいます。また,実験計画を考えるときに留意する点について,剰余変数のコントール,順序効果のコントロールなどについて学びます。


③ 分散分析(ANOVA, Analysis of Variance)における主効果と交互作用について概説します。分散分析は,t 検定と同様に,質的変数と量的変数との関連を見るため,平均を比較します。3つ以上の平均値の比較を行います。分散分析は,実験要因を予め設定し,データ全体の変動(分散)に影響を与えているかどうかを検討します。分散分析では,F統計量が統計的検定に利用されます。これまで学んできたカイ2乗値やt値とは異なり,F値では自由度が2つ必要です。テキスト308ページ,309ページの付表5にF分布表があります。1要因分散分析(一元配置分散分析)では,主効果(main effect),多重比較などを検討します。2要因分散分析では,主効果だけでなく,交互作用(interaction)も検討します。これらの用語が何を示しているか理解します。


キーワード ① 被験者間計画 ② 被験者内計画 ③ 交互作用 ④ 主効果 ⑤ 多重比較
コマの展開方法 社会人講師 AL ICT PowerPoint・Keynote 教科書
コマ用オリジナル配布資料 コマ用プリント配布資料 その他 該当なし
小テスト 「小テスト」については、毎回の授業終了時、manaba上において5問以上の、当該コマの小テスト(難易度表示付き)を実施します。
復習・予習課題 復習として,用語の確認をします。この授業でテキストを指定していますので,まずはそれを用います。そのほか心理学の辞典などを利用してください。つぎの「主効果」,「多重比較(テキスト236ページ)」について調べ,授業で得た知識をより深めます。また,テキストと配布資料を用いて,「順序効果のコントロール」,「実験者効果のコントロール」について,それぞれの効果がどのようなもので,どのようにコントロールするかを確認します。また,「提示されたデータが何要因で,何水準であるか」を判断できるように確認します。
予習として,次回は「2要因の分散分析」について学ぶため,テキスト242ページから244ページを精読します。特に8.2.1「複数の要因を組み合わせること」の例8.2を確認します。

11 2要因の分散分析 ―参加者間・参加者内計画― 科目の中での位置付け 心理学統計法の授業では,心理学のさまざまな領域で調査研究を行うために必要な基礎的な統計の知識を学び,代表的な統計量の算出および結果の記述方法について習得します。心理学を学ぶと,「こころはどこにあるでしょう」と問いかけられることがあります。「こころ」があることは誰もが知っていることですが,「こころ」を目で見てとらえることはできません。とらえにくい「こころ」を客観的にとらえるための一つの方法が統計法です。まずは,統計法の専門用語に触れ,専門用語についての知識を得ます。また,この授業では,卒業研究で使われることの多い,相関係数,カイ2乗検定,t検定,分散分析,回帰分析について,仮想データを用い統計量の算出を実際に行い,結果をどのように記述するかを学びます。このような科目全体の流れの中で,第11回目は第10回目に続いて,2要因以上の分散分析について学びます。2つ以上の要因を組み合わせて,それらの効果を統計的に検討します。実験参加者間計画と実験参加者内計画の2要因分散分析を中心に学び,主効果だけでなく,交互作用についても検討します。
コマ主題細目①
テキスト242ページから252ページ

コマ主題細目②
テキスト248ページから250ページ

コマ主題細目③
テキスト242ページから255ページ,308ページ付表5,309ページ付表5

電卓
配布資料
コマ主題細目 ① 参加者間計画と参加者内計画の比較 ② 参加者間計画の2要因分散分析 ③ 参加者内計画の2要因分散分析
細目レベル ① ここでは,2要因分散分析について学びます。実験目的を考え,どのような実験参加者(被験者)から,データを得るのか考えなければなりません。研究を行うときには,各要因について,実験参加者(被験者)間計画か実験参加者(被験者)内計画のいずれかを選択します。「実験参加者間計画」とは,各水準に異なる実験参加者を割り当てる実験計画のことをいいます。「実験参加者内計画」とは,各水準に同じ実験参加者を割り当てる実験計画のことをいいます。「実験参加者間」と「実験参加者内」には,それぞれ特徴があります。たとえば,実験や調査を行ったときの実験参加者の疲労は,「実験参加者間」は小さいが,「実験参加者内」は大きくなります。このような実験参加者の選定と配置について,その内容や特徴を学びます。


② 分散分析は3つ以上の平均値の比較を行います。2要因の分散分析では主効果と交互作用,単純主効果(simple main effect),多重比較について検討します。特に,実験参加者(被験者)間計画の2要因分散分析の検定方法および有意差判定の方法について概説します。F値の算出方法と結果の記述の仕方について学びます。たとえば,要因Aと要因Bの2要因分散分析を行っている場合,要因Aと要因Bそれぞれに主効果が生じているかを確認します。与えられたデータと式を用いて,分散分析の結果を示した表を完成させます。交互作用が有意であった場合,単純主効果が生じているか見ることになります。決められた形式で結果を記述できるようになります。具体的には,何%水準で主効果,交互作用,単純主効果がそれぞれ有意であるか,有意でないかを結果に記述します。


③ 実験参加者(被験者)内計画の2要因分散分析の検定方法および有意差判定の方法について概説します。実験参加者内計画の2要因分散分析は,実験参加者間計画の2要因分散分析に比べ,算出するための手順が多くなります。F値の算出方法と結果の記述の仕方について学びます。与えられたデータと式を用いて,分散分析の結果を示した表を完成させます。交互作用が有意であった場合,単純主効果が生じているか見ることになります。決められた形式で結果を記述できるようになります。具体的には,何%水準で主効果,交互作用,単純主効果がそれぞれ有意であるか,有意でないかを結果に記述します。また,与えられたデータが実験参加者内計画によるものであるか,実験参加者間計画によるものか,判断できるようになります。


キーワード ① 2要因分散分析 ② 参加者間計画 ③ 参加者内計画 ④ 交互作用 ⑤ 主効果
コマの展開方法 社会人講師 AL ICT PowerPoint・Keynote 教科書
コマ用オリジナル配布資料 コマ用プリント配布資料 その他 該当なし
小テスト 「小テスト」については、毎回の授業終了時、manaba上において5問以上の、当該コマの小テスト(難易度表示付き)を実施します。
復習・予習課題 復習として,用語の確認をします。この授業でテキストを指定していますので,まずはそれを用います。そのほか心理学の辞典などを利用してください。「要因計画」について調べ,授業で得た知識をより深めます。また,テキストと配布資料を用いて,「実験参加者内計画の2要因分散分析の検定方法および有意差判定の方法」,「実験参加者間計画の2要因分散分析の検定方法および有意差判定の方法」について確認します。また,テキスト244ページのTry5「図8.2.1について」を回答します。
予習として,次回は「2要因の分散分析 ―混合計画―」について学ぶため,テキスト249ページから252ページに目を通します。特にテキスト250Try6に回答できるか確認します。

12 2要因の分散分析 ―混合計画― 科目の中での位置付け 心理学統計法の授業では,心理学のさまざまな領域で調査研究を行うために必要な基礎的な統計の知識を学び,代表的な統計量の算出および結果の記述方法について習得します。心理学を学ぶと,「こころはどこにあるでしょう」と問いかけられることがあります。「こころ」があることは誰もが知っていることですが,「こころ」を目で見てとらえることはできません。とらえにくい「こころ」を客観的にとらえるための一つの方法が統計法です。まずは,統計法の専門用語に触れ,専門用語についての知識を得ます。また,この授業では,卒業研究で使われることの多い,相関係数,カイ2乗検定,t検定,分散分析,回帰分析について,仮想データを用い統計量の算出を実際に行い,結果をどのように記述するかを学びます。このような科目全体の流れの中で,第12回目は,2要因以上の分散分析について学びます。2つ以上の要因を組み合わせて,それらの効果を統計的に検討します。混合計画の2要因分散分析を中心に学び,主効果だけでなく,交互作用についても検討します。また,分散分析の結果を図示した場合,どのように見えるのかを学びます。
コマ主題細目①
テキスト242ページから255ページ

コマ主題細目②
テキスト248ページから250ページ,308ページ付表5,309ページ付表5

コマ主題細目③
テキスト242ページから255ページ

電卓
配布資料
コマ主題細目 ① 実験参加者間・参加者内計画と混合計画の相違 ② 混合計画の2要因分散分析 ③ 分散分析を図表で示す
細目レベル ① ここでは混合計画の2要因の分散分析について学びます。分散分析は3つ以上の平均値の比較を行います。1要因の分散分析では,主効果と多重比較を検討します。2要因の分散分析では主効果と交互作用,単純主効果(simple main effect),多重比較について検討します。混合計画とは,2つある独立変数のうち,一つが実験参加者間のもので,もう一つが実験参加者内のものを言います。実験参加者間や実験参加者内の2要因の分散分析とは異なる検定方法を用います。この検定方法および有意差判定の方法について概説します。F値の算出方法と結果の記述の仕方について学びます。実験参加者間で学んだように与えられたデータと式を用いて,分散分析の結果を示した表を完成させます。交互作用が有意であった場合,単純主効果が生じているか見ることになります。決められた形式で結果を記述できるようになります。具体的には,何%水準で主効果,交互作用,単純主効果がそれぞれ有意であるか,有意でないかを結果に記述します。


② 混合計画の2要因分散分析の検定方法および有意差判定の方法について概説します。2要因の混合計画では,2つの要因のうち,1つは実験参加者間計画でデータが収集され,もう1つは実験参加者内計画でデータが収集されます。よくある実験参加者間計画のデータとしては,性別や学年などがあげられます。混合計画では,参加者間の部分と参加者内の部分で全体の分散が説明されるため,実験参加者間計画の2要因分散分析に比べ,算出するための手順が多くなります。実験参加者間・参加者内計画で学んだことを用いながらF値の算出方法と結果の記述の仕方について学びます。与えられたデータと式を用いて,分散分析の結果を示した表を完成させます。交互作用が有意であった場合,単純主効果が生じているか見ることになります。決められた形式で結果を記述できるようになります。具体的には,何%水準で主効果,交互作用,単純主効果がそれぞれ有意であるか,有意でないかを結果に記述します。また,与えられたデータが混合計画によるものであるか,実験参加者間・参加者内計画によるものか,判断できるようになります。


③ ここまで,2要因の分散分析について学んできました。実験参加者間・参加者内計画,混合計画の分散分析では,独立変数が従属変数に与える影響を明らかにし,得られたデータを分析した結果,主効果や交互作用が有意であるのかを示すことができます。研究論文等で得られた結果を発表するときには図表にまとめることが頻繁にあります。特に,図で示すことによって,研究がどのような結果となったかを視覚的に示すことができます。ここでは,主効果,交互作用が見られる場合と見られない場合にどのような図となるかを仮想データの図を用いて確認するとともに,図を作成するときの留意点についても触れ,分析結果を正確に,そして効果的に示す方法を学びます。


キーワード ① 混合計画 ② 交互作用 ③ 主効果 ④ 分散分析 ⑤ 自由度
コマの展開方法 社会人講師 AL ICT PowerPoint・Keynote 教科書
コマ用オリジナル配布資料 コマ用プリント配布資料 その他 該当なし
小テスト 「小テスト」については、毎回の授業終了時、manaba上において5問以上の、当該コマの小テスト(難易度表示付き)を実施します。
復習・予習課題 復習として,用語の確認をします。この授業でテキストを指定していますので,まずはそれを用います。そのほか心理学の辞典などを利用してください。つぎの「要因計画」について調べ,授業で得た知識をより深めます。また,テキストと配布資料を用いて,「実験参加者内計画の2要因分散分析の検定方法および有意差判定の方法」,「実験参加者間計画の2要因分散分析の検定方法および有意差判定の方法」,「混合計画の2要因分散分析の検定方法および有意差判定の方法」について確認します。また,テキスト244ページのTry5とTry6に再度取り組みます。
予習として,次回は「多変量解析」について学ぶため,テキスト259ページを精読します。またテキスト260ページから263ページまで目を通します。

13 多変量解析 回帰分析 科目の中での位置付け 心理学統計法の授業では,心理学のさまざまな領域で調査研究を行うために必要な基礎的な統計の知識を学び,代表的な統計量の算出および結果の記述方法について習得します。心理学を学ぶと,「こころはどこにあるでしょう」と問いかけられることがあります。「こころ」があることは誰もが知っていることですが,「こころ」を目で見てとらえることはできません。とらえにくい「こころ」を客観的にとらえるための一つの方法が統計法です。まずは,統計法の専門用語に触れ,専門用語についての知識を得ます。また,この授業では,卒業研究で使われることの多い,相関係数,カイ2乗検定,t検定,分散分析,回帰分析について,仮想データを用い統計量の算出を実際に行い,結果をどのように記述するかを学びます。このような科目全体の流れの中で,第13回目は,回帰分析を中心とした多変量解析について学びます。多変量解析とは,3つ以上の変数の関係を明らかにする方法のことをいいます。ここでは,特に回帰分析について学び,仮想データを用いて検定する方法を理解します。
コマ主題細目①
テキスト259ページ,260ページから289ページ

コマ主題細目②
テキスト259ページから263ページ,264ページから267ページ

コマ主題細目③
テキスト264ページから289ページ

電卓
配布資料
コマ主題細目 ① 回帰分析とは ② 単回帰分析とは ③ 重回帰分析とは
細目レベル ① 3つ以上の変数の関係を分析する多変量解析の中でも回帰分析について概説します。テキストの260ページから289ページを適宜参照します。3つ以上の変数の関係を分析する多変量解析には,さまざまな方法があります。パソコンが身近になったことで気軽に使うことができるようになりました。心理学の研究領域でもよく使われ,研究論文でも重回帰分析,クラスター分析,因子分析などが分析に用いられています。ここでは特に,第6回で学んだ「相関係数」をもとにした分析(単回帰分析,重回帰分析,因子分析)の中でも回帰分析を学びます。回帰分析は変数間に因果関係を仮定します。回帰分析には,単回帰分析と重回帰分析の2つがあり,重回帰分析はある変数をいくつかの変数から説明や予測する分析のことです。


② 3つ以上の変数の関係を分析する多変量解析の一つである回帰分析には,単回帰分析と重回帰分析があります。回帰分析では,従属変数は一つのみで,目的変数ともいいます。そして,独立変数を一つと想定する場合の分析方法が単回帰分析です。独立変数が複数であると想定する場合の分析方法が重回帰分析です。ここでは,仮想データを用いて単回帰分析について学びます。回帰式によって示される直線である回帰直線の求め方を学び,回帰係数などを算出します。回帰直線はいわゆる一次関数で示される直線のことをいいます。また,回帰係数とは従属変数に対する独立変数の影響力の「大きさ」と「方向」を示した値のことをいいます。回帰直線の求めた方を学び,与えられたデータから回帰式を算出し,その結果を解釈し,文章で表せるようになります。


③ 3つ以上の変数の関係を分析する多変量解析の一つである回帰分析には,単回帰分析と重回帰分析があります。回帰分析では,従属変数は一つのみで,目的変数ともいいます。そして,独立変数を一つと想定する場合の分析方法が単回帰分析です。独立変数が複数であると想定する場合の分析方法が重回帰分析です。ここでは,単回帰分析に続いて重回帰分析について学びます。重回帰分析はある変数をいくつかの変数から説明や予測する分析のことですので,複数の独立変数から従属変数の影響力を検討することになります。また専門用語も単回帰分析と重回帰分析では異なる部分があります。たとえば,単回帰分析では「回帰係数」とされた値が,重回帰分析では「偏回帰係数」といわれます。単回帰分析と重回帰分析の相違点,留意点を学び,重回帰分析について理解します。


キーワード ① 多変量解析 ② 回帰分析 ③ 単回帰 ④ 重回帰 ⑤ 回帰係数
コマの展開方法 社会人講師 AL ICT PowerPoint・Keynote 教科書
コマ用オリジナル配布資料 コマ用プリント配布資料 その他 該当なし
小テスト 「小テスト」については、毎回の授業終了時、manaba上において5問以上の、当該コマの小テスト(難易度表示付き)を実施します。
復習・予習課題 復習として,用語の確認をします。この授業でテキストを指定していますので,まずはそれを用います。そのほか心理学の辞典などを利用してください。つぎの「回帰分析」,「回帰係数」,「決定係数」について調べ,授業で得た知識をより深めます。また,テキストと配布資料を用いて,「相関分析と回帰分析のそれぞれの内容と違うところ」,「単回帰分析と重回帰分析の違い」について確認します。さらに,仮想データを用いて回帰係数および切片を算出し,回帰式から予測されることを文章で書けるようにします。
予習として,次回は「因子分析」の回です。因子分析は回帰分析と同じ多変量解析の一つです。テキスト290ページから296ページに目を通します。特に9.3.2「因子分析の考え方」に書かれていることについて精読します。

14 多変量解析 因子分析 科目の中での位置付け 心理学統計法の授業では,心理学のさまざまな領域で調査研究を行うために必要な基礎的な統計の知識を学び,代表的な統計量の算出および結果の記述方法について習得します。心理学を学ぶと,「こころはどこにあるでしょう」と問いかけられることがあります。「こころ」があることは誰もが知っていることですが,「こころ」を目で見てとらえることはできません。とらえにくい「こころ」を客観的にとらえるための一つの方法が統計法です。まずは,統計法の専門用語に触れ,専門用語についての知識を得ます。また,この授業では,卒業研究で使われることの多い,相関係数,カイ2乗検定,t検定,分散分析,回帰分析について,仮想データを用い統計量の算出を実際に行い,結果をどのように記述するかを学びます。このような科目全体の流れの中で,第14回目は,因子分析を中心とした多変量解析について学びます。多変量解析とは,3つ以上の変数の関係を明らかにする方法のことをいいます。ここでは,特に因子分析について学びます。
コマ主題細目①
テキスト260ページ,290ページから301ページ

コマ主題細目②
テキスト290ページから296ページ

コマ主題細目③
テキスト297ページから301ページ

電卓
配布資料
コマ主題細目 ① 変数間の関係 ② 因子分析とは ③ 因子分析の手順
細目レベル ① 3つ以上の変数の関係を分析する多変量解析の中でも因子分析について概説します。テキストの290ページから301ページを適宜参照します。3つ以上の変数の関係を分析する多変量解析には,第13回に学んだ回帰分析も含め,さまざまな方法があります。パソコンが身近になったことで気軽に使うことができるようになりました。心理学の研究領域でもよく使われる分析方法の一つで,研究論文でも重回帰分析,クラスター分析,因子分析などが分析に用いられています。ここでは,第6回で学んだ「相関係数」をもとにした分析(回帰分析,因子分析)の中でも因子分析を学びます。因子分析とは,直接観察できない心理学的概念を明らかにする分析のことで,このような多変量解析の知識を修得します。


② 因子分析の考え方,相関係数と因子分析の関係について概説します。3つ以上の変数の関係を分析する多変量解析の中で,「相関係数」をもとにした分析の1つである「因子分析」について学びます。因子分析は,直接観察できない心理学的概念を明らかにする分析です。心理学は目に見えないものを明らかにしようとする学問であることから,因子分析は利用頻度の高い分析方法です。因子分析には,探索的因子分析と確認的因子分析の2つがあります。探索的因子分析は,測定する構成概念は決まっているけれども,その構成概念の中にどのような下位概念が潜んでいるのかはわからない場合に用います。確認的因子分析は,測定する構成概念も,その中に含まれる下位概念が理論から示され,それにデータが合致するかどうかを確認したい場合に用いられます。


③ 因子分析の手順と因子の解釈について概説します。ここでは,探索的因子分析について学びます。調査や実験において,参加者にさまざまな質問をします。たとえば,「○○はどのくらい好きですか」との質問項目に,「1.まったく好きではない,・・・,5.とても好き」からあてはまる数値を選択します。このような数値データを多くの質問項目を使ってたくさんの人から収集します。因子分析は相関係数をもとにした分析です。たくさん集めた質問項目同士の相関をもとに因子分析は行われます。因子分析の手順としては,「因子抽出法」を決めます。最近用いられる因子抽出法には,主因子法と最尤法があげられます。このほか,因子回転(バリマックス回転,プロマックス回転)を決め,「累積寄与率」などから因子数を検討します。因子分析で明らかになった因子構造から構成概念を考えます。


キーワード ① 多変量解析 ② 因子分析 ③ プロマックス回転 ④ バリマックス回転 ⑤ 重回帰分析
コマの展開方法 社会人講師 AL ICT PowerPoint・Keynote 教科書
コマ用オリジナル配布資料 コマ用プリント配布資料 その他 該当なし
小テスト 「小テスト」については、毎回の授業終了時、manaba上において5問以上の、当該コマの小テスト(難易度表示付き)を実施します。
復習・予習課題 復習として,用語の確認をします。この授業でテキストを指定していますので,まずはそれを用います。そのほか心理学の辞典などを利用してください。つぎの「因子負荷量」,「斜交回転」について調べ,授業で得た知識をより深めます。また,テキストと配布資料を用いて,「相関分析と回帰分析のそれぞれの内容と違うところ」,「探索的因子分析の手順に関する用語」について確認します。
予習として,次回は「総括」の回です。第1回から第14回までに学んできたことをテスト形式で復習するため,その準備をします。配布資料を中心に,これまで学んできた計算問題や専門用語について確認します。特に,計算問題は,標準偏差,相関係数,t検定(対応のあるデータ,対応のないデータ),分散分析,回帰分析のそれぞれ検定統計量の算出方法を確認します。

15 総括 科目の中での位置付け 心理学統計法の授業では,心理学のさまざまな領域で調査研究を行うために必要な基礎的な統計の知識を学び,代表的な統計量の算出および結果の記述方法について習得します。心理学を学ぶと,「こころはどこにあるでしょう」と問いかけられることがあります。「こころ」があることは誰もが知っていることですが,「こころ」を目で見てとらえることはできません。とらえにくい「こころ」を客観的にとらえるための一つの方法が統計法です。まずは,統計法の専門用語に触れ,専門用語についての知識を得ます。また,この授業では,卒業研究で使われることの多い,相関係数,カイ2乗検定,t検定,分散分析について,仮想データを用い統計量の算出を実際に行い,結果をどのように記述するかを学びます。このような科目全体の流れの中で,第15回目は,これまでの学びの総括として,第1回目から第14回目までの授業内容を復習し,心理学統計法の専門用語や検定統計量の算出方法について確認します。検定統計量の算出方法だけでなく,得られた結果の記述方法についても確認します。
コマ主題細目①
テキスト60ページから69ページ,テキスト96ページから102ページ

コマ主題細目②
テキスト186ページからから193ページ,306ページ付表3

コマ主題細目③
テキスト199ページ,テキスト200ページから207ページ,テキスト208ページから215ページ,テキスト306ページ付表2

コマ主題細目④
テキスト225ページから229ページ,234ページ,テキスト241ページ,テキスト242ページから252ページ,テキスト308ページと309ページの付表5

コマ主題細目⑤
テキスト259ページ,テキスト260ページから289ページ,テキスト290ページから301ページ

電卓
配布資料
コマ主題細目 ① 2つの変数間の関係について ② ノンパラメトリック検定について ③ 2つの平均値の差の検定について ④ 3つ以上の平均値の差の検定について ⑤ 多変量解析について
細目レベル ① 心理学統計法では,データの散らばり具合を示す値として「分散」と「標準偏差」を用います。研究論文でも標準偏差は必ず示されている指標です。第3回目では,測定値の平均値からの散らばり具合をあらわしたもので,「標準偏差」と「分散」の算出方法について学びました。与えられたデータから標準偏差と分散の値を算出できるようになります。また第5回目の授業では,2変数間の関係を示す相関係数について学びました。特に,2つの変数の関係(相関関係)が強いのか,弱いのかを統計的に見る指標が相関係数(r )であるピアソンの積率相関係数について学習しました。これまで学んだ平均値や分散,標準偏差を使って相関係数を算出しました。また,その結果には,相関係数(r )では,その値が「正」か「負」か,そして,2つの変数の関連の程度を示されなければなりません。相関係数(r )の関連の強さの目安はテキスト99ページの「相関係数の評価」に示してあります。この目安については覚えることが求められます。


② 第6回目の授業では,質的データを扱うノンパラメトリック検定の特徴をパラメトリック検定と比較しながら概説しました。パラメトリック検定は量的データを検討するときに使われます。たとえば,平均値の差の検定(t検定やF検定)があります。一方,ノンパラメトリック検定は,母数の推定を行わない検定方法のことをいい,質的データを検討するときに用いられます。特に,授業内では仮想データを用いてカイ2乗値の算出方法について学びました。「観測度数」は実際に観測された数値のことをいい,「期待度数」は仮説から考えられる数値のことをいいます。この度数には人数や頻度(例:何人か,何回か,何個かなど)といったものがあり,「クロス集計表」と呼ばれる表を作成し,「観測度数」,「期待度数」,「周辺度数」などを記入します。あらかじめ与えられた観測度数と周辺度数から,期待度数を算出し,さらに観測度数と算出した期待度数を用い,カイ2乗値を算出し,自由度も求められるようになります。提示されたデータを用いて,カイ2乗値を算出するだけでなく,カイ2乗値を記述するときに,自由度,カイ2乗値,有意水準を記述し,結果を示すことを確認します。


③ 平均値の差の検定にはt検定と分散分析があり,特に,2つの平均値の差の検定としてt検定について学びます。第8回目と第9回目の授業で研究仮説を検証するために,t分布を用いた検定法(t検定)について学び,対応のあるデータと対応のないデータの違いを学びました。「対応のある」データとは,同じグループからデータを集めた場合をいい,これを「対応のあるサンプル」,「参加者内,被験者内」といいました。一方,「対応のない」データとは,2つの異なるグループからデータを集めた場合をいい,これを「独立したサンプル」や「参加者間,被験者間」といいました。t検定の算出方法も異なりました。与えられたデータが対応のあるデータか対応のないでデータかを判断し,示された式から,どの式を用いるかを判断できるようになる必要があります。与えられたデータと式を用いて,t値を算出し,自由度を求め,テキスト306ページの付表2の両側検定を見て,算出したt値が5%水準もしくは1%水準で有意であるかどうかを確認できるようになります。さらに,得られた結果を文章でも記述します。何と何の値を比較したか,何検定を用いたか,有意水準はどのようになったか,検定結果から何が明らかになったかといったことについて記述できるようになります。授業では,t値を算出する手続きだけでなく,得られた結果を正しく示すことを学びましたので,その確認を行います。


④ 平均値の差の検定にはt検定と分散分析があり,特に,3つ以上の平均値の差の検定として分散分析を用います。第10回から第12回目に,実験計画,分散分析の考え方,F統計量の算出方法と結果の記述について学びました。条件の違いを表す変数のことである独立変数(説明変数,予測変数)と,その条件(独立変数)の違いによって値が異なってくるのかどうかの関心の対象となる変数のことである従属変数(基準変数,目的変数)の違いを復習します。要因を構成する複数の条件のことを「水準」といい,自由度を算出し,F統計量を算出する際に理解していなければいけません。F統計量は2つの自由度から有意性を確認します。テキスト308ページ,309ページの付表5にF分布表の見方についても確認します。示された式から,どの式を用いるかを判断しF値を算出し,要因Aと要因Bそれぞれに主効果と交互作用が生じているかを確認します。何%水準で主効果,交互作用がそれぞれ有意であるか,有意でないかを,決められた形式で結果に記述できるようになります。「主効果」,「交互作用」,「多重比較」とはどのようなことかを理解します。


⑤ 第13回と第14回目の授業では,多変量解析として,回帰分析と因子分析について学びました。回帰分析(単回帰分析,重回帰分析)と因子分析は,どちらも相関係数をもとにした分析です。回帰分析は,変数間に因果関係を仮定した分析です。独立変数(説明変数)と従属変数(目的変数)のモデルを仮想データから考えました。回帰係数を算出し,その結果を解釈し,文章で示す方法を確認します。また,因子分析は,直接観察できない心理学的概念を明らかにする分析です。探索的因子分析と確認的因子分析の2つがあり,どちらも構成概念を明らかにする目的で用いられる分析方法です。因子抽出法には,「主因子法」と「最尤法」があり,因子回転(「バリマックス回転」,「プロマックス回転」)を決め,「累積寄与率」などから因子数を検討します。これらの知識についても理解します。


キーワード ① 標準偏差 ② 相関関係 ③ t検定 ④ 分散分析 ⑤ 回帰分析
コマの展開方法 社会人講師 AL ICT PowerPoint・Keynote 教科書
コマ用オリジナル配布資料 コマ用プリント配布資料 その他 該当なし
小テスト 「小テスト」については、毎回の授業終了時、manaba上において5問以上の、当該コマの小テスト(難易度表示付き)を実施します。
復習・予習課題 復習として,用語の確認をします。この授業でテキストを指定していますので,まずはそれを用います。そのほか心理学の辞典などを利用してください。これまで復習で確認した用語であるについて,その調べた内容を再度確認し復習します。特に,第1回目,第2回目,第4回目,第7回目,第14回目では専門用語に関する学びが中心であったことから,テキストや配布資料を用い,用語の確認を行います。また,これまで実施した授業内でのまとめの配布資料を用いて復習します。特に計算問題については再度取り組む必要があります。与えられたデータから,検定統計量を算出し,その結果を記述する方法まで確認します。また,テキスト303ページ以降の統計数値表の付表2,付表3,付表5などを用いて算出した値の有意性を確認できるようにします。
履修判定指標
履修指標履修指標の水準キーワード配点関連回
心理統計の基礎用語 授業内で扱った心理統計の基礎用語や専門用語を理解し,習得している。心理学統計法の授業では,心理学統計法の授業では,毎授業で,その回のまとめ問題に取り組みます。また,授業の15回目には総括の回を設けています。これらのまとめや総括では試験形式の問題を文章問題や計算問題を用いて復習しています。文章問題の中には,専門用語やこの授業で扱う記号の意味について問うものがあり,全15回の授業の中で,130問前後になります。これらの知識を理解し,用語の区別,特徴などを回答できる。 統計法,基礎用語,統計記号 30 第1回,第2回第4回,第15回
変数間の関係 まとめを中心とした内容を理解し,データの散らばり具合を示す分散や標準偏差を理解し,算出できる。心理尺度の質問項目の妥当性や信頼性の考え,変数間の関係を示す相関係数を理解し,相関係数の算出ができる。質問紙調査の特徴と意義について理解している。質問項目の妥当性を検討するための方法である内的妥当性,基準関連妥当性,構成概念妥当性について理解している。また,信頼性を検討するための方法である,再検査法,折半法,内的整合性を算出する方法について,その限界もあわせて理解している。ピアソンの積率相関係数を平均値や分散,標準偏差から算出でき,その結果の記述ができる。 分散,標準偏差,妥当性,信頼性,構成概念,相関係数 30 第3回,第5回,第6回,第15回
ノンパラメトリック検定 カイ2乗検定を代表としたノンパラメトリック検定の考えを理解し,まとめを中心とした内容からカイ2乗検定を行い,有意かどうかの判断ができる。
パラメトリック検定とノンパラメトリック検定の特徴の違いを理解している。観測度数と期待度数の違いについて理解し,与えられたクロス集計表を完成させることができる。観測度数や周辺度数から期待度数を算出することができる。さらに観測度数と算出した期待度数を用い,カイ2乗値を算出し,自由度を求めることができる。ここまでで求めた数値をもとに,付表3を参照し,有意水準を判断できる。これらの結果を形式にそって記述することができる。
ノンパラメトリック検定,カイ2乗検定,期待度数,観測度数,周辺度数 第7回,第8回,第15回
多変量解析 まとめを中心とした内容から回帰分析(単回帰分析,重回帰分析)と因子分析について理解します。回帰分析では,回帰係数を算出し,その結果を解釈し,文章で示すことができる。また,回帰分析と因子分析はどのような分析であるかを理解している。因子分析で用いる用語である,因子抽出法(「主因子法」と「最尤法」),因子回転(「バリマックス回転」,「プロマックス回転」),「累積寄与率」といった因子分析に関わる専門用語についての知識を有している。 単回帰分析,重回帰分析,回帰係数,因子分析  第13回,第14回,第15回
2つの平均値の差の検定 まとめを中心とした内容から2つの変数の平均値の差の検定(t検定)について理解し,t値といった統計量を算出し,有意かどうかの判定ができる。与えられたデータが「対応のない」データか,「対応のある」データかを判断でき,提示されている式の中から,該当する式を選択することができる。「対応のない」t検定と「対応のある」t検定のどちらでも,与えられたデータと式を用いて,付表2のt分布表から有意性を確認できる。結果を形式にそって記述することができる。 t検定,対応のあるデータ,対応のないデータ,有意性 20  第8回,第9回,第15回
3つの平均値の差の検定 まとめを中心とした内容から3つ以上の変数の平均値の差の検定(分散分析)や多変量解析(因子分析)について理解し,分散分析についてはF値といった統計量を算出し,有意かどうかの判定ができる。与えられたデータの要因数が1つなのか2つなのか,水準がいくつなのかを判断できる。また,与えられたデータの要因が,実験参加者間計画で収集されたものか,実験参加者内計画で収集されたものかを判断できる。それらの判断から,F値を算出するための式を提示された式から選択することができる。与えられた表を完成させながら,主効果,交互作用のF値と自由度2つを求め,付表5にF分布表から有意性を確認することができる。結果を形式にそって記述することができる。 分散分析,実験参加者間計画,実験参加者内計画 20  第10回から第12回,第15回
評価方法 出席回数の基準をクリアしていることを前提とし,定期試験の結果によって評価する。*成績発表後、教務課にて試験・レポートに関する総評が閲覧できます。
評価基準 評語
    学習目標をほぼ完全に達成している・・・・・・・・・・・・・ S (100~90点)
    学習目標を相応に達成している・・・・・・・・・・・・・・・ A (89~80点)
    学習目標を相応に達成しているが不十分な点がある・・・・・・ B (79~70点)
    学習目標の最低限は満たしている・・・・・・・・・・・・・・ C (69~60点)
    学習目標の最低限を満たしていない・・・・・・・・・・・・・ D (60点未満)
教科書 鵜沼・長谷川 共著 『改訂版 はじめての心理統計法』 東京図書 2,500円+税,   電卓(平方根の計算ができるもの)
参考文献 田中・山際 共著 『ユーザーのための教育・心理統計と実験計画法』 教育出版 3,045円 ,小塩真司・西口利文編『質問紙調査の手順』ナカニシヤ出版\2,200+税
実験・実習・教材費