区分 基盤教養科目
ディプロマ・ポリシーとの関係
SDGs力 科学コミュニケーション力 研究力
カリキュラム・ポリシーとの関係
教養 応用力 実践力
科目間連携 総合心理力
カリキュラム全体の中でのこの科目の位置づけ

科目の目的
この科目の目的は、心の科学として発展してきた心理学における心の研究の方法や考え方のみではおさまりきらない、心に関する研究を学ぶことにある。そして、心について4年間学んでいく上での、教養基盤をしっかりと身に付けることを目的としている。
 心理学は、心を機能ごとに分けて、科学的な手法で検討することによって、発展してきた歴史をもつため、臨床心理学、感情心理学、人格心理学のように、分野に分けて学ぶことを基本としている。この歩みと並行して、この授業では、「心とは何か?」という心の本質について考える時間を持ちたいと思う。この時、心に関する心理学以外の分野、心に関する哲学、生物学、情報学における議論を取り入れるようにしたい。具体的には、人間、動物、そして機械(AI)における多様な心の在り方について学ぶことに取り組む。

到達目標
この科目修得後には、人間、動物、さらには機械にとって、「心とは何か?」という問いについて、関連する学問の歴史の理解に根ざした上で、自分のなりに考えることができるようになること。
科目の概要
 心理学には、感覚・知覚心理学、認知心理学、感情心理学、学習心理学など様々な分野があり、総合心理学部においては、基盤専門科目という科目群で学んでいく。しかしながら、心については、心理学以外の学問分野、例えば、哲学、生物学、情報科学分野においても、盛んに研究されている。
 この科目では、心理学分野以外における心の科学の代表的な考え方を学ぶことが中心となる。このために、ユクスキュルト・クリサート著「生物から見た世界」(岩波文庫)を読解することに取り組み、生物学から提唱された心を理解する考え方である「環世界」についての理解を深めていく。さらに、毎回の授業において、環世界の理解を深めるのに役立つ、哲学としてカントの学説、認知科学としてアフォーダンス、情報科学としてサイバネティクという考え方やAIについて学ぶ。最後に、ユクスキュルとクリサートが提唱するような「生物から見た世界」を見ることが人間に本当に可能なことなのかについて、現代の心の哲学の土台であるネーゲルによる「コウモリであるとはどのようなことか」という論文を読むことで、各自の考えを持てるようにする。

科目のキーワード
環世界と環境、主観と客観、アフォーダンス、サイバネティクス、AI、コウモリであるとはどのようなことか
授業の展開方法
ユクスキュルト・クリサート著「生物から見た世界」(岩波文庫)を毎回、1〜2章ごと読解しながら、各回に関連する心の哲学、生物学、認知科学、情報科学分野の研究について、パワーポイントを用いて紹介。そして、毎回、最後に小テストを実施して、章の理解を確認するようにする。加えて、さらに各自が学んだことを基にして、どのようなことを考えたかについて、文章にする時間も設けることで、考えを深めることができるようにしていく。
オフィス・アワー
前期:月曜1限・木曜1限
後期:月曜1限・木曜1限

科目コード RB2040
学年・期 1年・後期
科目名 こころとは何か(動物・人間・AI)
単位数 2
授業形態 講義
必修・選択 必修
学習時間 【授業】90分×15 【予習】90分以上×15 【復習】90分以上×15
前提とする科目 なし
展開科目
関連資格
担当教員名 高野裕治
主題コマシラバス項目内容教材・教具
1 生物から見た世界の「まえがき」について 科目の中での位置付け  ユクスキュルとクリサートによる「生物から見た世界」の「まえがき」を読解することに取り組む。
「生物から見た世界」は、「まえがき」において、誰に向けて何を見せたくてこのような本が書かれたのかが宣言されており、序章でそのキーコンセプトとなる「環世界」についての詳細説明がなされ、後の章はその「環世界」の性質を理解するための事例が並んでいくという構成になっている。このため本コマにおいては、著者の執筆の動機(思い)をしっかりと理解することに取り組み、その後の理解がスムーズになることを狙いとする。
 生物から見た世界のまえがきには、「あらゆる生物は機械にすぎないという確信を固守する人は、いつの日か生物の環世界を見てみたいという希望は捨ててほしい」とまで書いてある。つまり、読者として不向きな層をはっきりと特定している。この部分を理解するために、心理学を志すものとして理解を深めておくことが必要なのが、「行動主義」という考えかたであり、読解のポイントとなる。

ユクスキュルとクリサート、生物から見た世界、まえがきpp5-10、岩波文庫
ワトソン、行動主義の心理学、第1章行動主義とは何かpp1-23、ちとせプレス
サトウタツヤと高砂美樹、流れを読む心理学史、pp44-46、有斐閣
コマ主題細目 ① 環世界 ② 行動主義 ③ 環境主義
細目レベル ① ユクスキュルが「生物から見た世界」の中で提唱する、生物それぞれが特有な感覚器官によって情報を環境から取り込み、それぞれに特有な運動器官で環境に働きかけるということのループによって生み出される主観的な世界のこと。感覚器官と運動器官は生物種ごとに固有のものとなるため、生物は種ごとにそれぞれの主観的な世界の中で暮らしているという考え方である。このためユクスキュルは、様々な生物の感覚情報処理や、運動特性を詳細に研究することで、その生物の主観的な世界を旅することができると考えていると言えよう。一方で、環境というのは、物理的な世界のことを指している。環世界説を唱える事は、生物を環境内の情報を処理する機械と見立てて、主観的な世界を認めない生物機械説という考え方と対立している。
② ドイツではじまったヴントの内観法、アメリカにおける構成主義と機能主義への批判の中から誕生した、意識や主観的な言語を廃して、客観的に観察可能な行動のみを研究対象とする姿勢を行動主義(behaviorism)という。アメリカの心理学者であるワトソン(J.B. Watson; 1878-1958)が、自然科学の実験的分野の一つとして提唱した心理学の在り方であり、1913年に「行動主義者のみた心理学」という論文が発表された。感覚器官を通じて、入力された刺激(Stimulus)とその後に表出された反応(Response)との関係を記述するSR主義という考え方に基づいており、データからの行動の予測と統制を目標とした心理学の在り方である。
③ 行動主義を提唱したワトソンの有名な言葉に、「私に1ダースの健康でよく育った乳児と、彼らを養育するための私自身が自由にできる環境とを与えてほしい。そうすれば、そのうちの1人を無作為に取り上げて、訓練して私が選ぶどのような型の専門家にでも育てることを保証しましょう。医師、法律家、芸術家、大商人、そう乞食や泥棒にさえも。彼の才能、好み、傾向、適性、先祖の民族に関係なく」というものがある(Watson, 1926, p10)。これはかなり極端な環境主義の立場であるとも言えるのだが、本コマでは、見かけの過激さに惑わされずに、ワトソンの真意を読み解くことを試みることで、心理学を学ぶ上での歴史、教養を身につけることを目指していく。
キーワード ① 環世界 ② ユクスキュル ③ 行動主義 ④ ワトソン ⑤ S-R主義
コマの展開方法 社会人講師 AL ICT PowerPoint・Keynote 教科書
コマ用オリジナル配布資料 コマ用プリント配布資料 その他 該当なし
小テスト 「小テスト」については、毎回の授業終了時、manaba上において5問以上の、当該コマの小テスト(難易度表示付き)を実施します。
復習・予習課題  復習は「まえがき」を読み返して、第1回小テストの問題を復習して満点取れるようにした上で、自分の考えを深めること。予習は序章の下読み。
 発展的な学習として、ワトソンによる「行動主義の心理学、第1章行動主義とは何か、pp1-23」(ちとせプレス)を読むことで、ワトソンの考え方についての理解を深めることを推奨する。加えて、サトウタツヤと高砂美樹による「流れを読む心理学史、pp44-46」(有斐閣)を読むことで、心理学の歴史における行動主義の位置づけを理解する。「流れを読む心理学史」の1章と2章は、心理学概論の復習にもなるので、時間を見つけては、この部分を繰り返し読み込むことを繰り返して欲しい。

2 生物から見た世界の「序章 環境と環世界」について 科目の中での位置付け 「序章 環境と環世界」を読解する。
「序章」のポイントは、環世界(生物それぞれが特有な感覚器官によって情報を環境から取り込み、それぞれに特有な運動器官で環境に働きかけるということのループによって生み出される主観的な世界)という考え方を知るために、なぜ、ダニの生態が代表的な事例として紹介されているのかを理解することが求められる。ダニの例がしっかりと腑に落ちさえすれば、後の章は全て環世界の特徴ごとの事例(最遠平面、知覚時間、目的と設計、なじみの道など)が並ぶ本となっているので、非常に読みやすくなるはずである。
 加えて、この章を深く理解していくためには、序章が「カント学説を自然科学に活用しようとするものである」と終わる部分が鍵を握っている。このため、今回より、カントの学説を概観することも試みる。カントの学説を理解するために、この授業では、西研によるNHKテキスト「100分de名著 カント純粋理性批判」を用いる。まずは、カントの「認識」に関する考えについて押さえる。

ユクスキュルとクリサート、生物から見た世界、序章pp11-26、岩波文庫
西研、100分de名著カント純粋理性批判、第1回近代哲学の二大難問pp12- 32、NHK出版
コマ主題細目 ① ユクスキュルのダニ ② 環境と環世界 ③ カントの認識論1
細目レベル ① 序章はユクスキュルのダニとして、非常に有名な文章である。ダニの生態を例とした環世界の説明がなされている。ダニにとって意味のある刺激は3つであり、私たち人間と比べると小さくて単純な生物のように思ってしまうかもしれないが、ダニはしかるべき順で刺激がきたときに、特定の次の行動を起こすのである。ダニとって刺激の順序が重要であり、刺激ごとにトリガーされる次の行動は異なっている、つまり、ここには刺激の選択があるということを理解する。別の言い方をすれば、環境内にある刺激がダニに作用を引き起こすには、時間と空間が重要であることを理解する。そして、ダニの生態について理解することが、いかに生物に共通する環世界という考え方の事例となっているかを理解していく。
② 物理的に私たちの周りに存在しているのが環境で、それぞれの生物の主観的な心の中に存在している世界が環世界である。環世界とは、生物それぞれに特有な感覚器官によって、環境から情報が取り込まれ、感覚情報が処理されたことをトリガーとして、生物それぞれに特有な運動器官でもって、環境に働きかけるというループによって生み出されるという考え方を理解する。そして、感覚器官と運動器官が生物種ごとに固有なものであるがゆえに、そこから生み出される主観的世界となる環世界は、当然、生物ごとに特有なものとなることを押さえる。さらに、環世界は種ごとに固有なものではあるが、その生成過程においては共通する部分があるため、心とは何か?という問いを理解する上でも役立つ考え方であると理解を深めるようにする。
③ ユクスキュルの環境と環世界の考え方は、物理的な世界と主観的な世界を分けて考えるものとなるが、このような考えの基にあるのが、カントの認識論であると言える。イヌマエル・カントは18世紀のドイツの哲学者であり、代表作として「純粋理性批判」がある。この本で、カントは、人間がどのように世界を認識しており、どうやってその知識を共有していくことが可能となるのかということに取り組んでいる。具体的には、人間は主観の外に出て、客観的世界そのもの(物自体)を見ること、知ることはできないが、主観は個人差を超えた共通規格で持って生み出されるため、私たちの間ではお互いに共通理解することはできるという考え方を提案している。カントの言うところの共通規格と言う部分が、ユクスキュルの言う感覚器官と運動器官であると考えられよう。
キーワード ① ユクスキュルのダニ ② 環境 ③ 環世界 ④ カント ⑤ 認識論
コマの展開方法 社会人講師 AL ICT PowerPoint・Keynote 教科書
コマ用オリジナル配布資料 コマ用プリント配布資料 その他 該当なし
小テスト 「小テスト」については、毎回の授業終了時、manaba上において5問以上の、当該コマの小テスト(難易度表示付き)を実施します。
復習・予習課題  復習は「序章」を読み返して、第2回小テストの問題を復習して満点取れるようにした上で、自分の考えを深めること。予習は1章の下読み。
 発展的な学習として、西研による「100分de名著 カント 純粋理性批判、はじめに、pp4-11;第1回近代哲学の二大難問pp12-32」(NHK出版)を読むことで、カントの哲学が生まれた時代背景およびカントの認識論の考え方を復習することを推奨する(なお、このNHKの100分de名著はEテレで放送されたものも、NHKオンデマンドで、有料ではあるが視聴することができる)。序章が「カント学説を自然科学に活用しようとするものである」と終わることについて、カントの認識論を学ぶことで理解され、環世界についてのより深い考察ができるようになるはずである。

3 生物から見た世界の「1章 環世界の諸空間」について 科目の中での位置付け 「生物から見た世界」の「1章 環世界の諸空間」を読解する。
 序章を読解したことで環世界という考え方を理解したことになる。1章からは環世界の中身に入っていく。1章と2章は空間について、3章は時間に関する環世界の特性の紹介となっている。この構成は、やはりカントの学説に基づいている。
 カントの認識論においては、人間は主観の外に出て、客観的世界そのもの(物自体)を見ること、知ることはできないが、主観は個人差を超えた共通規格で持って生み出されるため、私たち人間では、互いに相互理解することはできると考えられており、この共通規格のことをカントは「感性」と「悟性」という二つのはたらきで説明している。さらに、カントは、「感性」の性質として時間と空間を捉えていた。このため、ユクスキュルは環世界の事例を紹介していくに際して、空間、時間と並べているのだろう。このようにカントの認識論の理解に沿って、「生物から見た世界」を読むことで、より深い理解が可能となる。

ユクスキュルとクリサート、生物から見た世界、1章pp27-44、岩波文庫
西研、100分de名著カント純粋理性批判、第1回近代哲学の二大難問pp32- 41、NHK出版
ペンフィールドとラスミュセン、脳の機能と行動、福村出版
コマ主題細目 ① ユクスキュルによる空間理解 ② 触覚に関するホモンキュラス ③ カントの認識論2
細目レベル ① 空間を作用空間、触空間、視空間というように3つに分けて考えている。生物ごとに固有な感覚器官を有していることが、これらの空間の在り方に多様性を生んでいることを理解する。具体的には、42-43ページに同じ景色について、人間、ハエ、軟体動物から見たものを想像したイメージが示されているが(この方法の妥当性については議論の余地があり、本当のところ、ハエや軟体動物が挿絵に示されているように世界を見ているかどうかはわからないが、環世界というアイデアを理解する上では有効となる)、ユクスキュルの主張は、生物ごとに感覚器官の性質を進めていくことで、その「生物から見た世界」を見ることができる(少なくとも思いをめぐらせることはできる)という部分にあるのだろう。
② 触空間においても、環世界は物理的な世界のうつしではないことが、ヴェーバーのコンパスの実験例を用いて紹介されている。人間の触空間には、指先や舌先のように空間解像度の高い部分と背中のような空間解像度の悪い部分がある。このような人間の触空間における、感度が高いような身体部位をより大きく、感度が鈍いような身体部位をより小さくさせて描いた小人の図として、ペンフィールドの感覚ホモンキュラスが有名である(Penfield & Rasmussen、1950)。ホモンキュラスは、目に見えている実際の人間と身体の比率と、人間の触空間の重みづけは異なることを理解するのに役立つ。様々な本の挿絵で見ることができるが、この立体像はロンドンの大英自然史博物館に展示されている。
③ カントは、人間の認識は、感性と悟性から生まれると考えている。本コマでは、まず感性について、カントが時間と空間という二つの軸で捉えていることを学ぶ。人間が環境の中から、対象を認識する際には、まずは視覚、嗅覚、聴覚、触角、味覚といった感覚器官が刺激される。感覚器官から生じる感覚は空間と時間という軸に従って処理されていく。例えば、りんごであるならば、赤くて、丸くて、甘い香りがするのだが、それがテーブルの中央に、いまあるといった具合である。このように、対象が認識される際には、空間と時間によって整理され、このはたらきをカントは感性と呼んだ。そして、空間と時間というものが、人間の外側にあるのではなく、人間の内にある感性が生み出すものだと主張した。
キーワード ① 空間 ② ホモンキュラス ③ (カントの認識論における)感性 ④ 空間と時間
コマの展開方法 社会人講師 AL ICT PowerPoint・Keynote 教科書
コマ用オリジナル配布資料 コマ用プリント配布資料 その他 該当なし
小テスト 「小テスト」については、毎回の授業終了時、manaba上において5問以上の、当該コマの小テスト(難易度表示付き)を実施します。
復習・予習課題 復習は「1章」を読み返して、第3回小テストの問題を復習して満点取れるようにした上で、自分の考えを深めること。予習は2章の下読み。
 発展的な学習として、西研による「100分de名著 カント 純粋理性批判、第1回近代哲学の二大難問pp33-41」(NHK出版)を読むことで、カントの認識論の考え方における「感性」について理解を深めるようにする。そして、時間と空間が人間の内なる感性から生じるということの理解を深め、客観的に存在する対象を感覚器官が処理することで認識が生まれるのではなく、人間が対象を認識することで、その対象は世界に存在しているという考え方を押さえていく。そして、なぜ、このような考え方をカントがコペルニクス的転回と呼んだのかを説明できるようにしておく。

4 生物から見た世界の「2章 最遠平面」について 科目の中での位置付け 「生物から見た世界」の「2章 最遠平面」を読解する。
 2章は1章に引き続いて、環世界の空間特性の話が続いている。生物の視力には限界があり、それぞれの生物において、どこまで遠くを見ることができるかが異なる。例えば、人間であるならば、遠くの山まで見えるときに、その山の木々は立体的にはではなく、平坦に見える(遠平面)。生物には主観的に最遠平面を感じているだろうという仮説を押さえることが本日の目的となる。
 また、引き続いて、本書の理論的基盤となっているカントの学説における認識の成り立ちについて学ぶ。今回は、認識が環境内の対象を感覚器官により空間と時間で捉えたものである感性について、それが何であるのかを判断する「悟性」のはたらきについて知ることが目的である。
 ここまでの第2-3回と今回の内容(第4回)をよく押さえてもらって、カントの認識論についてのまとめも行うことで、環世界の理解を深めることに取り組む。

ユクスキュルとクリサート、生物から見た世界、2章pp45-52、岩波文庫
西研、100分de名著カント純粋理性批判、第2回科学の知は、なぜ共有できるのかpp42-45、NHK出版
コマ主題細目 ① 最遠平面 ② カントの認識論3 ③ コペルニクス的転回
細目レベル ① 生物ぞれぞれに異なる地平線のあり方とその機能について、人間とハエを例として学ぶ。加えて、人間において、地平線という概念を獲得する前後で(例えば3歳程度の幼児と小学生とでは)、同じような視空間にいたとしても、最遠平面に映るものの意味付けが変化することを押さえる。つまり、人間という同一の種内であっても発達によって獲得される概念が環世界のあり方を変えることがあるということを押さえる。加えて、ユクスキュルはあらゆる動物は周りを最遠平面というシャボン玉に取り囲まれていると説明しているが、このイメージを共有できるように、これまでの章の理解を深める。なぜ、ユクスキュルは、最遠平面のことを触れてしまうと割れるようなシャボン玉という比喩で説明しようとしているのだろうか?
② カントによれば、人間の認識が環境内の対象を感覚器官により、空間と時間で整理された上で、それが何であるのかを判断するのが「悟性」の役割とされている。各感覚器官からは様々な情報がイメージとして上がってくるので、それらを束ねて、「これは〜だ」と判断すると考えられており、この機能を「悟性」と呼んでいる。感性に加えて、この「悟性」にも人間において、個人差を超えて、共通する性質があるため、感性と悟性から生まれる認識を私たちは共有し合うことができ、世界が成り立っているというのがカントの認識論である。このように考えているため、人間はそれぞれの主観的世界や、科学的な知識を互いに共有し合うことができるのだという。
③ コペルニクス(1473〜1543)は太陽が地球の周りを回っているのではなく、地球が太陽の周りを回っているという地動説を唱えた天文学者。カントは自身の認識論がこの発想と似ていると考えている。カントは「認識が対象に従うのではなく、対象が認識に従う」と述べており、客観があって主観が生じるのではなくて、主観があって客観が生じると考えた。これはコペルニクスのように、従来の考え方とは逆であり、発想の大きな転換である。そして、主観が客観に先立つとなると、客観的な世界を人間は共有し合うことができなくなるのではないかという疑問が生じるのだが、そもそも主観を成立させている感性と悟性において、私たち人間内に共通する性質が備わっているため、客観的な世界を共有できるという解決策を導いている。
キーワード ① 最遠平面 ② 発達 ③ 悟性 ④ コペルニクス的転回
コマの展開方法 社会人講師 AL ICT PowerPoint・Keynote 教科書
コマ用オリジナル配布資料 コマ用プリント配布資料 その他 該当なし
小テスト 「小テスト」については、毎回の授業終了時、manaba上において5問以上の、当該コマの小テスト(難易度表示付き)を実施します。
復習・予習課題 復習は「2章」を読み返して、第4回小テストの問題を復習して満点取れるようにした上で、自分の考えを深めること。予習は3章の下読み。
 発展的な学習として、西研による「100分de名著 カント 純粋理性批判、第2回科学の知は、なぜ共有できるのか pp42-71」(NHK出版)を読むことで、カントの認識論の考え方における「悟性」について理解を深めるようにする。ここまで理解できれば、ユクスキュルを読む上で関連するカントの認識論に関する主要なアイデアについては十二分である。
 授業では、「悟性」の性質については一つ一つ取り上げることはしないので、pp46以降を各自で確認するように。悟性の一つ一つのカントの考えは哲学を学ぶ上では、もちろん重要なのだが、現代の心理学においては、実験的にも検討できる内容であるため、心理学を学ぶ上では一つの考え方程度の理解でも支障はない。

5 生物から見た世界の「3章 知覚時間」について 科目の中での位置付け 「生物から見た世界」の「3章 知覚時間」を読解する。
 この章では、前回見たのと同様に、時間についても生物ごとに主観的な体験があり、それぞれに固有の環世界が成立すると考えることが可能であるという点を押さえるようにする。
 ここまでの章で、ユクスキュルの環世界というアイデアと、それを支えるカントの認識論の考えを理解することができると、後々の章がさらに環世界への理解を深めるための事例としての役割を担っているということを実感できるような解説を試みたい。このため、第5回は3章知覚時間のページ数が少ないこともあるが、3章の内容を読解したのちは、「生物から見た世界」のまえがき、序章、2章及び、「100分de名著カント純粋理性批判」の第一回の内容についても、再度、概観することを予定している(小テストについても問題数を多くする予定である)。つまり、本講義「心とは何か?人間、動物、AI」の前半戦の総仕上げの回としたい。

ユクスキュルとクリサート、生物から見た世界、3章pp53-57、岩波文庫
西研、100分de名著カント純粋理性批判、第2回科学の知は、なぜ共有できるのかpp46-71、NHK出版
本川達雄、ゾウの時間ネズミの時間、中央公論新書
コマ主題細目 ① 知覚時間 ② カントの認識論4 ③ 環世界とカントの認識論
細目レベル ① 時間は天体観測に基づいて、科学的に定義することができ、機械で目に見えるようにすることが可能なものであるという側面に加えて、生物が世界を認識する際にそれぞれの感性が生み出す主観的な体験でもあると考えられることを理解する。このために、本書では、ベタという熱帯魚やカタツムリにおける行動実験の例が紹介されている。加えて、時間というものの意味が生物種ごとに異なることを日本に広めたという点で、本川達雄による「象の時間ネズミの時間」という本を紹介したい。本川は、生物種ごとに、体の大きさ、運動速度、心拍数、寿命が異なっていることに着目して、それぞれの関連性を分析することで、生物種ごとに有する時間が示す意味に迫ろうと試みた。
② 上述したように、時間は一義的に定めることが可能な概念であり、時計として日常的な道具として一般的なため、人間の主観が生み出したものであると言われても、その考え方を理解するのは難しいかもしれない。しかし、カントの世界の認識に関する考え方に根ざすならば、対象を感覚器官で認識する際に、感性のはたらきによって時間情報が加えられたイメージを悟性のはたらきで判断していると捉えることができるため、時間は主観的なものでもあるとも言えることが理解できよう。退屈さを感じているときには時間を長く感じたり、楽しさを感じているときには時間を短く感じたりすることを含めれば、カントの考え方に賛同することは難しくないかもしれない。
③ 「生物から見た世界」の序章は、「カント学説を自然科学に活用しようとするものである」と終わるが、ここまでの講義を総まとめすることで、なぜ、ユクスキュルはそのように書いたのかを議論できるようになっていることだろう。ユクスキュルの言う知覚の考え方は、まさにカントの感性と悟性を用いての認識の説明であり、ユクスキュルはその認識に基づいて、世界に作用し続けることで、世界が変化して、新たな知覚が生じると言うループを想定して、この世界を変えるループが生じることで主観的な体験となると主張していると言えるだろう。カントの認識論は人間の話であるが、ユクスキュルは動物も皆それぞれの感覚、認知、運動の情報処理について、その種を示すような共通規格を有しているのだから、カントの認識論を自然科学(動物)にも拡張することができると主張したいのだと考えられる。
キーワード ① 知覚時間 ② 環世界 ③ カントの認識論
コマの展開方法 社会人講師 AL ICT PowerPoint・Keynote 教科書
コマ用オリジナル配布資料 コマ用プリント配布資料 その他 該当なし
小テスト 「小テスト」については、毎回の授業終了時、manaba上において5問以上の、当該コマの小テスト(難易度表示付き)を実施します。
復習・予習課題 復習は「3章」を読み返して、第5回小テストの問題を復習して満点取れるようにした上で、自分の考えを深めること。予習は4章の下読み。
 なお、第5回小テストは前半5回の総まとめの意味合いもあるため、よく復習すること。そして、同義の問題については、出題の方法が変わっても解答可能なように理解を深めること。このためには、「生物から見た世界の序章」と「100分de名著カント純粋理性批判、第1回近代哲学の二大難問」を繰り返し読み、自分の言葉でまとめられるようにすることが近道であろう。
 発展的な学習としては、西研による「100分de名著 カント 純粋理性批判」を最後まで読むことを推奨したい。本講義内では、本書の第三回以降は直接触れないが、カントが純粋理性批判で何を目指したかを理解するためには、最後まで読むことが必須となる。

6 生物から見た世界の「4章 単純な環世界」について 科目の中での位置付け 「生物から見た世界」の「4章 単純な環世界」を読解する。
ここまで見てきたように、環世界という生物の主観的な世界の見方をとることで、あらゆる生物に対して、心を想定できるようになると言えよう。しかしながら、ユクスキュルは4章において、環世界の中にも単純なものがあると主張しはじめる。例えば、ゾウリムシやクラゲなどの主観的な世界について、他の章の生物のエピソードと、わざわざ分けて記述している。そこで、今回は、環世界と単純な環世界とに分けて考える意義について考えることで、心についての理解を深めることに取り組みたい。どの生物に心を感じるのかという問題は、私たちの中で、最も意見が分かれやすい問題とも言え、人間にだけ心を感じる人もいれば、人間を含む哺乳類に心を感じるという人もいる、あるいは全ての生物に心を感じるという人もいる。この章を読解することで、多様な生物の心をどう理解するのかについて、各自が考えを持てるようになりたい。

ユクスキュルとクリサート、生物から見た世界、4章pp59-68、岩波文庫
森山徹、ダンゴムシに心はあるのか、PHPサイエンス・ワールド新書
岡田美智夫、<弱いロボット>の思考、1章pp14-34、講談社現代新書
コマ主題細目 ① 単純な環世界 ② ダンゴムシに感じる心 ③ ルンバに感じる心
細目レベル ① ユクスキュルはここまで学んできた環世界について、環境からの感覚入力と環境への運動作用のループ(機能環)を一つのみ有しているゾウリムシ、ヒトデ、クラゲなどの生物の環世界を、単純な環世界と呼んでいるということを押さえる。一方で、単純ではない環世界というものには、複数の機能環があることを押さえる。序章のダニの場合であれば、獲物が発する酪酸を受けてダニは木から落ち、獲物の体温を受けて探索をはじめ、やわらかさを受けて獲物に噛み付くというような、機能環の意味ある連鎖が生じているのである。単純な環世界の場合は、機能環が一つしかないか、複数あったとしてもそれぞれが独立で機能することを繰り返すのみで、それぞれが連動していない場合を指している。
② 生物が示す人間から見たら単純に見えるような繰り返し運動であっても、思いもよらぬことで、その単純さは破られることがある。このような時に、私たち人間はその生物に心を認めやすいという森山の主張を紹介する。例えば、ダンゴムシは水を避けるはずなのに、水路に囲まれたアリーナにおくと、突然、水の中に入るという行動が生じることがある。このような突然、その生物が有する本来の性質では考えられないような行動が生じた際に、人間はその生物に心を感じやすいという。確かに、「追い込まれたダンゴムシが一か八か泳いで逃げようとしたのかな」と私たちは思うかもしれない。このような森山の考え方は、単に人間が生物に対して擬人化したくなる場面だというように指摘することもできるが、普段は人間には見えにくいダンゴムシの心が表現されたとも言えるよう。
③ ロボットはその行動を一つ一つ、人間がプログラミングして動かすということが、かつては一般的であったが、近年のロボット制御においては、全ての行動を精緻にプログラミングすることをしなくとも、単純な命令一つで複雑な目的を実現することができるという方法論も注目されている。その代表例が、お掃除ロボットのルンバである。ルンバはあらかじめ部屋の掃除経路をプログラムされているわけではなくて、壁にぶつかったら向きをかえるという単純な命令だけである。しかし、はね返って、動いて、ぶつかって、はね返ってを繰り返しているうちに、部屋の隅々まで掃除するということを実現してしまうのである。この時、この動きを何気なく見ているとき、私たち人間は心を感じてしまう。猫もルンバに乗ってしまう(これは違う例か‥)。
キーワード ① 単純な環世界 ② ダンゴムシ ③ ルンバ
コマの展開方法 社会人講師 AL ICT PowerPoint・Keynote 教科書
コマ用オリジナル配布資料 コマ用プリント配布資料 その他 該当なし
小テスト 「小テスト」については、毎回の授業終了時、manaba上において5問以上の、当該コマの小テスト(難易度表示付き)を実施します。
復習・予習課題 復習は「4章」を読み返して、第6回小テストの問題を復習して満点取れるようにした上で、自分の考えを深めること。予習は5章の下読み。
 単純な環世界を理解するには、機能環についての理解が不可欠であり、その機能環が一つの生物の中に複数あって、それが連動していることで、環世界が生じるのだとユクスキュルが考えていることを押さえる必要がある。授業を受けて、この部分がまだ腑に落ちていない人は、序章のダニのケースをもう一度読み返して、4章に登場するゾウリムシとよく比較してみて欲しい。
 発展的な学習としては、森山による「ダンゴムシに心はあるのか」に出てくるダンゴムシの行動実験例や岡田による「<弱いロボット>の思考」の前半に出てくるルンバが出てくる箇所を読んでみることを推奨する。

7 生物から見た世界の「5章 知覚標識としての形と運動」について 科目の中での位置付け 「生物から見た世界」の「5章 知覚標識としての形と運動」を読解する。
 環世界というのは、生物ごとに固有の主観的な世界であるということを様々な事例で学ぶのが本書の魅力の一つであるが、5章は、そのことを理解するのに最適である。キリギリスという昆虫は私たち人間にとっては、動いていても、止まっていても、キリギリスであるが、コクマルガラスにとっては止まっていては意味を持たなくて、キリギリスは動いていてはじめてコクマルガラスにとっては食料としての意味を持つ。
 このように対象の形と運動によって、生物ごとにその意味が異なる例を学ぶ際に、その理解を助ける概念として、認知科学分野で広く用いられるアフォーダンスを紹介する。アフォーダンスとは、環境の形状的特徴や対象の運動が生み出す心理的機能や運動のことを指す。確かに、私たちの行動はいつも何かはっきりとした意図があって生じるばかりではなく、なぜだがよくわからないが自覚なしに生じるものもあり、その中にはアフォーダンスという考え方で説明がつくことも多い(イスの形状は座るという行動をアフォードすると使う)。

ユクスキュルとクリサート、生物から見た世界、5章pp69-77、岩波文庫
新妻昭夫と杉田比呂美、ダーウィンのミミズの研究、福音館書店
佐々木正人、知性はどこに生まれるか、講談社現代新書
コマ主題細目 ① 知覚標識としての形と運動 ② ダーウィンのミミズ ③ アフォーダンス
細目レベル ① 環世界を構成する知覚標識は、どのような形状をしているか、運動しているかによって、それぞれの生物にとって、その意味が変化するという特徴を理解する。例えば、ハエのオスはエンドウ豆くらいの大きさのものが動いていると突進するが、動いていないと突進しない。また、ハエのメスにはそのような性質はない。これらはハエの結婚飛行の性質で説明がつく。ハエのオスにとって、メスくらいの形状のものが動いていると「結婚飛行せよ」という意味を有するということである。また、オスのハエが動いているエンドウ豆をメスだと思って追いかけるということは、ハエにとっては自然では決して起こりえないことなので、このように騙されてしまうことはその動物の知性とは関係ないことだということも理解する。
② 5章にダーウィンが研究していたとされるミミズの穴ふさぎ行動が登場する。ミミズは葉っぱの細い方を穴ふさぎに用いる傾向があることが示されており、葉っぱの形状が穴をふさぐ行動を引き起こしていると考えられる。ユクスキュルは、ミミズが葉っぱの形を視覚的に弁別しているのではなく、味覚で弁別していることを示している実験を紹介することで、ミミズには形態知覚能力はなかったと結論付けている。しかしながら、ミミズが葉っぱの形状を弁別して、巣穴をふさぐことに活用していること事態は否定されることではないように思える。ユクスキュルは、なぜ視覚機能にこだわって、知覚像のことを理解しようとしたのだろうかという疑問がこの5章には残される。
③ ユクスキュルが本書を記した時代にはまだ登場していなかった考え方に、ギブソン(1904-1979)によって提唱されたアフォーダンスというものがある。これは大雑把に言えば、環境に導かれて行為が生じるというアイデアである。ミミズの葉っぱの穴ふさぎについては、葉っぱの形が、ミミズに引っ張り方をアフォードすると説明される。つまり、ミミズが意図的に行動しているのではなく、葉っぱの形によってそのように動くことが可能となると解釈される。このようなアフォーダンスということをギブソンは1950年代頃から使い始めたと言われている(佐々木, 1996)。環世界という考え方に加えて、アフォーダンスという考え方も、生物種を超えて、心のはたらきを説明することができる考え方である。
キーワード ① 知覚標識としての形と運動 ② ダーウィンのミミズ ③ アフォーダンス ④ ギブソン
コマの展開方法 社会人講師 AL ICT PowerPoint・Keynote 教科書
コマ用オリジナル配布資料 コマ用プリント配布資料 その他 該当なし
小テスト 「小テスト」については、毎回の授業終了時、manaba上において5問以上の、当該コマの小テスト(難易度表示付き)を実施します。
復習・予習課題  復習は「5章」を読み返して、第7回小テストの問題を復習して満点取れるようにした上で、自分の考えを深めること。予習は6章の下読み。
 5章に登場するダーウィンのミミズの研究については、原典の翻訳本としては、平凡社から「ミミズと土」、光文社から「ミミズによる腐植土の形成」として、入手可能である。内容を大づかみに理解するには、福音館書店から出ている絵本の「ダーウィンのミミズの研究」が大変参考になる。
 アフォーダンスについては、佐々木による講談社現代新書の「知性はどこに生まれるか」または、同じ内容が「アフォーダンス入門 知性はどこに生まれるか」として講談社学術文庫から出ている。前者は古本のみで入手可能かもしれないため、後者の方が手に入れやすい状況かもしれない。

8 生物から見た世界の「6章 目的と設計」について 科目の中での位置付け 「生物から見た世界」の「6章 目的と設計」を読解する。
 人間が生物の行動を観察する際に、特定の目的を見出してしまいがちであるが、それは幻想であると主張される。生物が示す目的的な行動はその生物と自然の設計から切り離して考えることはできないという考えが展開されている。行動の意図や目的と、環境側の要因を切り離して考えない、統合的に考えるというのは前回登場した「アフォーダンス」にも通じる。
 また、意図や目的は人間の行動についてだけは、環境から独立して使用できるように思えるかもしれないが、人間もそんなに他の動物と変わらない。例えば、二つの顔写真のどちらか好きかということは無意識的な視線の動きで決まる面もあるし(身体の運動機能からの制約)、また好きだと申告した写真ではない側を、気がつかれないように再度見せて、この写真の顔のどの辺りが好きですか?と聞いても人間は好きな理由を述べることができてしまう。つまり、自分が選んだという事実さえあれば、どちらの選択に対しても、その理由は後付けすることが可能であり、身体や環境からの制約なしに、選択に目的があるとは人間についても言えない。

ユクスキュルとクリサート、生物から見た世界、6章pp79-86、岩波文庫
下條信輔、サブリミナル・インパクト 情動と潜在認知の現代、ちくま新書
コマ主題細目 ① 目的と設計 ② 動物と人間 ③ 生態学的妥当性
細目レベル ① 生物の行動の目的は、その身体の設計と置かれている環境と独立には存在しえないという議論が展開されている。例えば、木にとまっている蛾に、人間が瓶の蓋をあける時の音を近くでたてると、逃げる種類と逃げない種類がいるという。この瓶の蓋をあける音は、蛾にとっての捕食者であるコウモリが発する音と似た高さとなっている。このため逃げる種類は、明るい体の色をしており、逃げない種は木に擬態できるような体色の種類であるという訳である。しかし、蛾は自分の体の色を見たことがなく、それを知りえないはずなのだから、逃げる(または、逃げない)という目的的行動は、蛾の身体の自然設計として定まっているのだとユクスキュルは主張している。
② この章では、人間が実験的に提示した感覚刺激によって、動物がだまされてしまうという事例が紹介されており、動物が目的単独ではなく、その動物の自然設計に左右されるということが主張されている。その一方で、人間は目的を持って、行動するということになるのかもしれないが、近年の心理学実験において、人間には行為の意味を後付けで合理的に解釈することができることが示されている。例えば、ジャムを2種類食べてもらい好きな方を選ばせた後に、好きな理由をもう少し聞かせて欲しいと、もう一口食べさせるときに、手品を使って選んでない方のジャムを食べさせるという実験がある。このような場合でも、人間は自分が好きだと選んだという事実により、後付けで、行為の意味を説明することができる。
③ しかしながら、この章で紹介されている実験は、まさにその生物の視点で世界を見たときには、全くありえない不自然な世界であり、生物がだまされるという実験的事実を論拠に、ユクスキュルの主張の通り、動物は人間のように生活の目的を持たないということになるのかについては疑問が残る。また、上述したように、人間も行為の意味を後付けで説明することができる。このように自然では起こりえないような場面を用いた行動実験の意義を解釈することは非常に難しく、注意を要する。生物の行動目的が、身体の設計や環境と切り離すことができないという解釈までは妥当であるが、動物は人間のように目的単独を持たないとなると、拡大解釈になってくる可能性がある。もちろん、ユクスキュルの時代に、人間にも同じような傾向があることまでは知られていなかったので、その点では無理もないことである。
キーワード ① 目的と設計 ② 動物と人間 ③ 生態学的妥当性
コマの展開方法 社会人講師 AL ICT PowerPoint・Keynote 教科書
コマ用オリジナル配布資料 コマ用プリント配布資料 その他 該当なし
小テスト 「小テスト」については、毎回の授業終了時、manaba上において5問以上の、当該コマの小テスト(難易度表示付き)を実施します。
復習・予習課題  復習は「6章」を読み返して、第8回小テストの問題を復習して満点取れるようにした上で、自分の考えを深めること。予習は7章の下読み。
 発展的な学習としては、下條による「サブリミナル・インパクト 情動と潜在認知の現代」を読むことをすすめる。まず二つの顔写真から好きな方を選んでもらい、その後に、選んでない方の顔写真を見せられていると気がつかないように、選んでない方を見せながら、その選択理由を聞くと、好きな理由を回答可能であるという実験が紹介されている(pp193-196)。この現象は選択盲(choice blindness)と名付けられた。このように騙されるはずがないと人間が信じている条件では、行動目的は後付けで定まることを人間においても示すことが可能である。ユクスキュルの時代とは違って、現代では、この点にむしろ人間と動物の共通性を見出すことができよう。

9 生物から見た世界の「7章 知覚像と作用像」について 科目の中での位置付け 「生物から見た世界」の「7章 知覚像と作用像」を読解する。
 この章は個体の内的状態によって、同じものを知覚したとしても、そこから生まれる次の行動が変わる話が紹介されている。例えば、ヤドカリが歩いていて、イソギンチャクを見かければ、貝にイソギンチャクを貼り付けて、イカからの攻撃を避けるために使用するという行動が生じるが、一方、貝をつけていないヤドカリが歩いているときに、イソギンチャクを見かけるとヤドカリはイソギンチャクの中に入ろうとする。このように、置かれている状況、内的状態によって、同じ知覚対象から生じる行動が異なるということを押さえる。
 また、この章の内容は、ギブソンが提唱したアフォーダンスの議論と重なる部分が多い。例えば、先の例であるならば、貝を身につけていないヤドカリがイソギンチャクを知覚すると、イソギンチャクの形状は、かぶるという行動をアフォードするというように記述することができる。このように、7章の読解とあわせて、アフォーダンスの理解も深まるような回としていきたい。

ユクスキュルとクリサート、生物から見た世界、7章pp87-98、岩波文庫
佐々木正人、知性はどこに生まれるか、講談社現代新書
コマ主題細目 ① 知覚像と作用像 ② 文脈 ③ アフォーダンス
細目レベル ① 生物が同じ知覚像だとしても、置かれている状況に応じて、様々な作用像を生み出すことができることを押さえる(下記の細目の文脈も参照)。加えて、同一の環境であっても、生物が変われば、知覚像も作用像も異なることを押さえる。95ページの図は同じ部屋の絵ではあるが、上段が人間が知覚し行動を生み出すのに有意味な物体に色がついており、中段はイヌ、下段はハエにとっての有意味な物体である。それぞれ色が塗られている物体は異なっており、同じ物理的な環境であっても、生物が変われば、何を知覚し、そこからどんな行動が生じるのかが異なることが理解しやすい。この挿絵をよく見比べることで、環世界とは、生物ごとの主観的な世界であるという意味を再確認できよう。
② 「生物から見た世界」の7章図28イゾギンチャクとヤドカリに出てくる上段、中段、下段の違いを心理学では文脈(context)が違うというような言い方をする。上段であるならば、ヤドカリが貝を被っている状況なので安全が確保されている文脈であり、ヤドカリはより安全を求めてイソギンチャクを貝に取り付ける。中段は、ヤドカリが貝を被っていない状況なので危険に晒されている文脈であり、貝の代わりにイソギンチャクを被る。下段は空腹の文脈であり、かつ、ヤドカリはイソギンチャク付きの貝もかぶっている状況のため、ヤドカリはイソギンチャクを食料として食べる。このような自然科学(心理学を含む)独特の文脈という言葉の使い方を理解する。
③ この章を言いかえると、文脈ごとに、環境からアフォードされる行動が変化するという話になる。つまり、ここでのユクスキュルの作用トーンという使い方は、極めてアフォードするという意味に近いと言えるだろう。環世界的に理解する場合の方がより内定な、主観的な体験を重視している表現となり、アフォーダンスで説明する場合はより外的な、自動的な行動表出であるような意味合いとなろう。このように行動の原因を内的にもとめるか、外的にもとめるかで使用される言葉が違うし、重きがおかれるニュアンスも異なるが、おおよその意味では環世界とアフォーダンスは置き換え可能な面もあり、この7章のイソギンチャクの例はイソギンチャクの形態が生み出している機能差であるため、その典型例であると言えよう。
キーワード ① 知覚像 ② 作用像 ③ 文脈 ④ アフォーダンス
コマの展開方法 社会人講師 AL ICT PowerPoint・Keynote 教科書
コマ用オリジナル配布資料 コマ用プリント配布資料 その他 該当なし
小テスト 「小テスト」については、毎回の授業終了時、manaba上において5問以上の、当該コマの小テスト(難易度表示付き)を実施します。
復習・予習課題 復習は「7章」を読み返して、第9回小テストの問題を復習して満点取れるようにした上で、自分の考えを深めること。予習は8-9章の下読み。
 本日でこの講義の中盤を終えた。環世界への理解が深まり、95ページの図が意味することは難なく理解できたであろう。95ページの図の意味するところが、スッと入ってこなかった場合は、再度、「生物から見た世界」をはじめにから一気に読み返しておくことを強く推奨する。基礎ゼミでも取り組んだが、難しいと思われる本でも、何度も何度も読み返すことで、必ず理解できる。
 95ページの図の理解に何の困難もなかった場合が、順調に、「生物から見た世界」が読解できている状況だと思われる。発展的な学習として、カントの認識論やアフォーダンスについての学習に各自で取り組んでみて欲しい。

10 生物から見た世界の「8章 なじみの道; 9章 家と故郷」について 科目の中での位置付け 「生物から見た世界」の「8章 なじみの道」および「9章 家と故郷」を読解する。
8章では、環世界における、なじみの道という性質が紹介されている。飼い主と散歩する犬にとってなじみの道という環世界があるという指摘はよくわかるし、それが盲導犬となった場合は、飼い主を安全に導くために普通の犬が自由に歩く場合には知覚されないようなものも、人間と同じように知覚することをしている点で、まさに主体それぞれに環世界が構築されるということが理解できよう。
9章では、環世界における、家や故郷の問題が紹介されている。動物種によっては、家や故郷を主観的に抱かないものも存在するが、巣や縄張り、または産卵の際に、家や故郷と解釈しうる主観的な世界を表現する動物もいることを押さえる。
 この本では生物種ごとに異なる環世界を旅してきたわけだが、この2つの章では、どちらかというと生物種を超えて、なじみの道、家、故郷というものがあるという生物種を超えての機能的な類似性を感じさせてくれる点に特徴があるかもしれない。
 8-9章は読解していく上で、難しい部分は少ないこともあり、本日は小テストの時間を長く取れる。そこで、小テストにおいて中盤のまとめをする(前半の問題も出題する)。

ユクスキュルとクリサート、生物から見た世界、8-9章pp90-114、岩波文庫
コマ主題細目 ① なじみの道 ② 道 ③ 故郷
細目レベル ① 個々の主体にとって、なじみの道は異なるが、様々な生物において、なじみの道としか言いようがないものがあるということを学ぶ。この感覚はまさに環世界だと言えよう。例えば、盲導犬であれば、イヌの環世界としては意味を持たないような郵便ポストについて、盲導犬としての役割として、郵便ポストに気がつくように自分の環世界を拡張させ、人間と共有させることができることが紹介されている。私たち人間も、いつもの景色の中にあっても、それが何だか知らなければ気にも留めないが、一度便利なものだと理解さえすれば、いつもの景色が違って見えてくるということはあるだろう。各自の経験の中で、そのようなことが2つ3つは思い当たらないだろうか。
② 生物の中には巣を持つものと持たないものがいることを学ぶ。そして、家を起点として、縄張りを有するか、基本的には家の中で暮らす場合がある。前者の場合は家は安全に休息をする場所を意味し、後者のような生活をする例として、クモとモグラのことが紹介されている。クモの場合は狩をする場所とそのための機能を兼ね備えた家となっており、モグラの場合は下記の故郷と同義な役割となっている。モグラの巣はトンネル状であるが、その巣の中で食料を確保していること、トンネルの壁の向こうにいる食料を嗅覚で見つけることができトンネルを拡張させながら、食料確保をしているであろうことが記されている。こうして網の目状に巣を拡張させて行き、食料を確保しているが、その中央に枯葉を詰め込み休息するための家がある。
③ 生物の中には誕生した場所を、人間で言うところの故郷のように、記憶できるものがいることを学ぶ。動物種によっては、故郷は産卵場所として選択される。子育てをするための縄張りというのはその主に強さの源になるのかもしれない。本書の例だと、トゲウオのことが記されているが、縄張り内では、たとえ侵略者が自分よりも体格が大きいとしても闘争が生じた際には、縄張りを守り抜くとされている。これは実験動物のラットやマウスでも知られているが、この性質を利用して、敵地での喧嘩に連続で負けされることで、うつ病のモデル(社会的敗北実験)とすることができ、創薬の実験や神経科学におけるメカニズムの解明において、この性質が活用されている。
キーワード ① なじみの道 ② 家 ③ 故郷 ④ 巣
コマの展開方法 社会人講師 AL ICT PowerPoint・Keynote 教科書
コマ用オリジナル配布資料 コマ用プリント配布資料 その他 該当なし
小テスト 「小テスト」については、毎回の授業終了時、manaba上において5問以上の、当該コマの小テスト(難易度表示付き)を実施します。
復習・予習課題 復習は「8-9章」を読み返して、第10回小テストの問題を復習して満点取れるようにした上で、自分の考えを深めること。予習は10章の下読み。
 本日の小テストは1-10回のすべての内容を含むようになっているので、間違えた問題がある場合は、テキストの解説をよく読み返し、類似の問題であれば、今後は解答できるようにドリルを用いて備えること。これまでの部分で、自分にとってわかりにくいところを明確にし、該当箇所の復習に取り組みはじめ、次回以降の後半戦に各自が備えるようにすること。その上で、どうしても理解できない部分が残った場合は、高野まで質問にくるようにすること(こちらから、こっそりと声かけすることもあるかもしれません)。

11 生物から見た世界の「10章 仲間」について 科目の中での位置付け 「生物から見た世界」の「10章 仲間」を読解する。
 動物における社会行動について、同種他個体、さらには異種に向けられるものを概観することで、仲間という視点から動物それぞれにある環世界の理解を深める。動物における仲間の存在は、近年、非常に注目されている研究トピックである。例えば、爬虫類であるヘビも、これまで単独行動が多いとされてはきたが、繁殖のため以外にも気の合う仲間(友達)をつくることが知られるようになってきた。仲間という概念は生物種を超えて普遍性を有するかもしれない。この意味では、「生物から見た世界」の10章は、非常に先見の明のある内容だと言えよう。しかしながら、鳥類における刷り込みによる代理的な仲間形成を取り違えとして解釈する部分を強調しすぎているかもしれず(現象として、興味深く、ほほえましく見えてしまうので仕方ないのだが)、この点はまだまだ未解明な部分も多く、さらなる研究が必要であろう。

ユクスキュルとクリサート、生物から見た世界、10章pp115-123、岩波文庫
Ben-Ami Bartal, I., Decety, J., & Mason, P. (2011). Empathy and pro-social behavior in rats. Science (New York, N.Y.), 334(6061), 1427–1430. https://doi.org/10.1126/science.1210789
Hatkoff I, Hatkoff C, Kahumbu P. (2006). Owen & Mzee: The true story of a remarkable friendship. Scholastic Press.
Hatkoff I, Hatkoff C, Kahumbu P. (2007). Owen & Mzee: The language of friendship. Scholastic Press.
ペパーバーグ、アレックスと私、幻冬舎
コマ主題細目 ① 仲間 ② 刷り込み ③ 愛情
細目レベル ① 動物にも人間と同じような仲間関係を観察することができ、ここから環世界における生物種を超えた類似性を考察する。例えば、実験動物のラットでは(Ben-Ami Bartal et al., 2011)、同種他個体がトラップの中に閉じ込められているのを助けにいくという実験がある(トラップの外側に仕掛けがあり、その仕掛けを動かすことで、開けることができるような仕掛けになっている)。そして、この助ける行動はトラップの横に食料があったとしても、まずは仲間を助けた後に、他個体と一緒に食べるというように、自身の食料確保よりも優先度が高い。このような動物の向社会行動の研究が近年進展している。
② 雛鳥が大きくて動くものに対して、追いかける行動を示す。この解釈として、卵から出て、すぐ近くにいる大きな動くものは親である可能性が高いため、生存に有利であるというものがある。しかしながら、何がどこまで刷り込みなのかは、その境界を判断することは難しい。例えば、津波で母親を失い保護された子カバが、100歳を超えたリクガメと行動を共にするようになったという話がある。この場合は、刷り込みなのか、友情なのかということは興味深く、関係は子カバがリクガメについて歩き出したという刷り込みで形成されはじめて、徐々に友情が芽生えたようにも思えなくもない。ぜひ、みんなに読んでもらいたい(Hatkoff, et al., 2006; 2007)。
③ 動物が示す求愛行動、攻撃行動について、同種同士のみならず、異種に向けられた事例を通じて、動物それぞれの環世界への理解を深める。鳥類はときに愛情を人間に向けてくれると言われる。有名な研究として、アレックスというヨウムという種類のオウムの話がある。アレックスはペパーバーク博士と共に、オウムは単なるモノマネではなく、思考した上で人間の言葉を話すことができることを示してくれた。アレックスは失くなる前、その人生の最後に残した言葉が、ペパーバーク博士に向けての、アイラブユーであったという。アレックスとペパーバーク博士の研究の歩みは、「アレックスと私」という本にまとめられており、学習・言語心理学においても必須の文献である。
キーワード ① 仲間 ② 刷り込み ③ ローレンツ ④ 求愛行動 ⑤ 攻撃行動
コマの展開方法 社会人講師 AL ICT PowerPoint・Keynote 教科書
コマ用オリジナル配布資料 コマ用プリント配布資料 その他 該当なし
小テスト 「小テスト」については、毎回の授業終了時、manaba上において5問以上の、当該コマの小テスト(難易度表示付き)を実施します。
復習・予習課題 復習は「10章」を読み返して、第11回小テストの問題を復習して満点取れるようにした上で、自分の考えを深めること。予習は11章の下読み。
 文献として挙げているBen-Ami Bartal et al., 2011は英語の学術論文ではあるので、まだ読み込むには難しいかもしれないが、Owen&Mzeeについての2冊の本は、どちらも子ども向けの絵本のような位置付けである。また、日本語に翻訳されてもいるので、むしろ英語でそのまま読んでみて、日本語の翻訳と比べてみるような使い方がしやすいかもしれない。図書館にも日英どちらでも読めるようにしてある。英語でも一冊最後まで本を読んでみるという経験を積むことができると思うので、内容も含めて、その意味でも大変おすすめである。

12 生物から見た世界の「11章 探索像と探索トーン」について 科目の中での位置付け 「生物から見た世界」の「11章 探索像と探索トーン」を読解する。
 生物は生きるために探索行動を取るが、探索目的のものは、探索行動のはじまりにおいては、視野の外にあることが多く、この時、心理的な像を基にして探索行動は始まるしかない。やがて、探索目的となるものが視野に入ってきたときに、心理的な像と、物理的な対象物が感覚器官で情報処理されて結ばれる像との間に大きな差がなければ、スムーズに対象を見つけ出すことができるが、大きな差があるときは視野にはあるはずなのに見つけることが困難となる。このような予測と予測誤差との調整という問題は、人間と人間、人間と機械、機械と機械との間のコミュニケーションにおいて、共通して生じている問題であり、それぞれの間に本質的な問題はないと考え方はサイバネテックスと名付けられ、ウィーナーによって提唱された。サイバネテックスという思想は現代のAI技術の進歩にとっても非常に重要であり、本章とあわせて、学びはじめることとする。

ユクスキュルとクリサート、生物から見た世界、11章pp125-131、岩波文庫
谷口忠大、僕とアリスの夏物語 人工知能の,その先へ、岩波科学ライブラリー
松尾豊、人工知能は人間を超えるか ディープラーニングの先にあるもの、KADOKAWA
コマ主題細目 ① 探索像と探索トーン ② サイバネテックス ③ AI
細目レベル ① 探索行動には、それに先立つイメージがある。出かける前に鍵を探しているとすれば、その鍵がどんな形状のものかということについて、通常は確固たるイメージがある。何かものを切るための道具が部屋に無いかなと探しはじめるときは、切るという行動をイメージしつつ(行為のトーンと結びつけて)、探し物をすることになる(探索のトーン)。このときは特定のものはイメージしていなくカッターでもハサミでも良い。また、カッターをとって、と言われて、自分の周りにカッターを探すときには、自分の中のカッターイメージと、実際のカッターとの間に形状の違いが大きいと視野の中にあってもなかなか見つけられないということも生じる。このように探索のタイプによって、予測と予測誤差の調整の度合いが異なる。
② 人間と人間、人間と機械、機械と機械との間の情報のやり取り(コミュニケーション)には、共通して通信と制御における予測と予測誤差の修正をどのように実現していくのかという共通の課題があると考えたのが数学者であるウィーナー(1894-1964)であり、通信と制御の観点より、機械、生物、社会について統一的に考えるための学問分野としてサイバネテックス(Cybernetics)を提唱した。サイバネテックスにおける予測と予測誤差に関する議論は、現代のAI(Artificial Intelligence)技術の基盤となる考え方となり、人間、動物、そして機械(またはAI)における「心とは何か」について考えるためにも必要となる。
③ 人工知能とは、人工的に作られた人間のような知能のことを指し、またつくろうとすることによって知能自体を研究する学問分野のことを指す。心理学が人間を直接的に実験や調査で調べることによって知能を解明するのに対して、人工知能研究者はつくりながら考えるという構成論的なアプローチを取る。人間の知能いは、音声を認識する、形を認識する、次の行動を判断するなど様々な機能が含まれている。これらの機能を人間ができるのは、発達のプロセスの中で、学習して、身につけているからであり、人工知能においてもどうやって学習させるのかが鍵をにぎる。現代において、目覚ましい発展が遂げている手法として機械学習とディープラーニングがある。
キーワード ① 探索 ② サイバネテックス ③ 予測誤差 ④ 人工知能
コマの展開方法 社会人講師 AL ICT PowerPoint・Keynote 教科書
コマ用オリジナル配布資料 コマ用プリント配布資料 その他 該当なし
小テスト 「小テスト」については、毎回の授業終了時、manaba上において5問以上の、当該コマの小テスト(難易度表示付き)を実施します。
復習・予習課題 復習は「11章」を読み返して、第12回小テストの問題を復習して満点取れるようにした上で、自分の考えを深めること。予習は12章の下読み。
 本章のテーマは探索であり、探索とは予測と予測誤差の調整に基づくことから、現代において進歩の目覚ましい人工知能についての概説を今回よりはじめた。発展的な学習として、人工知能の分野以外の初学者が読み易いものとして、次の2冊を紹介する。人工知能がいかに人間のように学習していくかについては、谷口による「僕とアリスの夏物語 人工知能の, その先へ」がお勧めできる。人工知能分野の歴史と未来展望を概説する入門書としては、松尾の「人工知能は人間を超えるか ディープラーニングの先にあるもの」があり、分野外の人にもわかりやすく書かれている。

13 生物から見た世界の「12章 魔術的環世界」について 科目の中での位置付け 「生物から見た世界」の「12章 魔術的環世界」を読解する。
 環境と環世界の違い、生物種による違い、それぞれに固有の世界を見てきた。その中で、探索像、なじみの道、故郷に関する環世界というものは、外的な環境よりも内的な状態から生み出される面が多い、より主観的なものであることも見てきた。本章では、完全に主観的な世界として、人間やその他の生物において存在している魔術的な世界を概説する。この世界は、完全に、その主体にしか見えていない対象に対して、主体がはたらきかけている行動から推定される世界であるが、私たちの内側にそのような世界があることや、動物にもそのように見える行動が指摘できることまでは合意できよう(もちろん、科学的に証明せよとなったら困難がともなうが)。このような世界を構成する心的機能までを含むものを生物の知性であり、心であると定義していこうとすると、人工知能ではまだたどり着けていない心的機能だと言えるかもしれない。

ユクスキュルとクリサート、生物から見た世界、12章pp133-143、岩波文庫
谷口忠大、僕とアリスの夏物語 人工知能の,その先へ、岩波科学ライブラリー
松尾豊、人工知能は人間を超えるか ディープラーニングの先にあるもの、KADOKAWA
コマ主題細目 ① 魔術的環世界 ② 動物における魔術的世界 ③ 心とは何か?
細目レベル ① 主体にしか見えない対象に対して、その主体がはたらきかけるという現象が様々な動物で生じることから、環世界の中には魔術的な環世界というものがあるとしている。図46には、マッチ棒の先に魔女が見えている少女のことが描かれているが、マッチ箱とマッチ棒の話を用いながら、箱を家に見立てたり、棒を登場人物に見立てている中で、自らの主観的な世界に魔女を見ているというエピソードである。これに類する話は、子どもの頃であれば、世界中どこにでもありそうな話であり、自らの記憶の片隅にも、まだこのような経験をした覚えが残っている人もいるかもしれないが、とにかく当事者にとっては非常にリアルにありありとした主観的体験として語られるが、他者からは決して見ることができない世界である。
② 猫が遊んでいる姿を見たことがあるだろうか?目の前にひらひらするものを振ってあげると、猫はつかもうと一生懸命追いかけてきてくれる。しかしながら、誰もいなくても、何もしなくても、猫は1人で同じようにしていることがある。この時、猫は、主観的には何かが見えているのではないか?ということが、本章のテーマである。このように、当事者にしか感じれない、真に主観的な世界のことを魔術的な世界だとユクスキュルは論じている。これこそ、環世界を有するような生物に特有なもので、AIにはまだ実現できていない心の領域なのかもしれない。しかし、人間以外の魔術的世界について、科学的に実証することは技術的に難しく、まだまだ研究の道は続く。
③ AIは画像認識、音声認識、傾向の分析(例えば、Amazonは買い物した傾向を分析して商品を勧めてくる)、運転、将棋など様々なことが人間の心がするように、時には人間よりも優れた能力でやることができるようになった。しかしながら、AIは人間や生物が示すような完全に主観的な世界については表現することができていない。例えば、AIは人間と同じような感情を感じたり、その感情に基づいて、振る舞うことまではできていない。あくまで、画像認識などの特定の機能を実現することができるようになったのである。完全に人間のような心、知能に基づくようなものを目指す立場を強いAI、機能ごとに人間のように振る舞うことができるようなものを作る立場を弱いAIという。
キーワード ① 魔術的環世界 ② 強いAI ③ 弱いAI
コマの展開方法 社会人講師 AL ICT PowerPoint・Keynote 教科書
コマ用オリジナル配布資料 コマ用プリント配布資料 その他 該当なし
小テスト 「小テスト」については、毎回の授業終了時、manaba上において5問以上の、当該コマの小テスト(難易度表示付き)を実施します。
復習・予習課題 復習は「12章」を読み返して、第13回小テストの問題を復習して満点取れるようにした上で、自分の考えを深めること。予習は13-14章の下読み。
 発展的な学習として、谷口による「僕とアリスの夏物語 人工知能の, その先へ」を読むことを勧めたい。この本の半分はAIと人間との関係のあり方に関する小説であり、その小説の展開に合わせて、現在のAI技術の解説が加わるような構成となっている。AI技術を数学的に理解することはすぐには難しいかもしれないが、本書を通じて、AIとは何か?について考えることは可能である。AIの研究の歴史的に流れについては、松尾の「人工知能は人間を超えるか ディープラーニングの先にあるもの」であるならば、初学者でも読みやすい。

14 生物から見た世界の「13章 同じ主体が異なる環世界で客体となる場合; 14章 結び」について 科目の中での位置付け 「生物から見た世界」の「13章 同じ主体が異なる環世界で客体となる場合」および、
「14章 結び」を読解する。本日で、「生物から見た世界」を読破できたことになる。
環世界というアイデアとそれを主張する著者の動機について「まえがき」と「序章」を押さえた上で、環世界の特徴(1章から12章)について読んできた。その際に、本書を読解する鍵となるカントの学説、本書のアイデアをより発展させることに役立つアフォーダンスやサイバネテックスについて学んだ。ここまでの話は一つの個体からの視点にしぼられることが多かったが、最後は複数の視点が交差する中で、それぞれの環世界の間の関係性についての解説となる。具体的には、森のカシワの木ときこり、キツネ、フクロウ、リス、アリ、カミキリムシ、ヒメバチといった様々な生物との関係を描き、それぞれの環世界がどう影響しあうかを見ている。この章を読むことで、現実の自然と心についての理解を深めることができるようになる。

ユクスキュルとクリサート、生物から見た世界、13-14章pp145-158、岩波文庫
日高敏隆、世界をこんなふうに見てごらん、pp103-114、集英社文庫
日高敏隆、動物と人間の世界認識、pp12-47、ちくま学芸文庫
コマ主題細目 ① 同じ主体が異なる環世界で客体となる場合と結び ② 環境 ③ 環世界
細目レベル ① 自然界において様々な生物同士が、それぞれの環世界の中で、どのような意味付けになるかを考えることで、環世界の理解の総まとめとなる章である。異なる環世界生きるが、互いの環世界内でインタラクションし合うというイメージ。
② 「生物から見た世界」でユクスキュルが提案した環世界とは、生物それぞれに特有な感覚器官で環境から情報を取り込み、それぞれに特有な運動器官で環境に働きかけるというループによって生み出される主観的な世界である。そして、本書では、環世界が有する特性を知るために、様々な生物の生活をみることができた。「結び」においては、環世界のあり方が、同じ動物種である人間間においても、それぞれが注目している対象が異なれば、かなり異なる環世界を有することになるという視点へと拡張される。このために、天文学者、海洋学者のように、非常に狭い範囲に限局された興味関心を中心とした生活をしている例が用いられている。この視点は、多様な価値観を尊重しあい人間が社会を維持していくためにも有効な視点であろう。
③ 環世界とは、生物それぞれに特有な感覚器官で環境から情報を取り込み、それぞれに特有な運動器官で環境に働きかけるというループによって生み出される主観的な世界であるとして、本書を読み始めたが、読後のいま、この理解はいかがであろうか?
キーワード ① 環境 ② 環世界
コマの展開方法 社会人講師 AL ICT PowerPoint・Keynote 教科書
コマ用オリジナル配布資料 コマ用プリント配布資料 その他 該当なし
小テスト 「小テスト」については、毎回の授業終了時、manaba上において5問以上の、当該コマの小テスト(難易度表示付き)を実施します。
復習・予習課題 復習は「13-14章」を読み返して、第14回小テストの問題を復習して満点取れるようにした上で、自分の考えを深めること。予習は序章に出てくる「マダニであるとはどのようなことか」について自分なりに考えてくること。
本日でようやく「生物から見た世界」について、丸ごと一冊の解釈を終えることができた。この経験はみなさんが卒業研究に取り組むときに、必ず役立つ。より発展的な学習として、「生物から見た世界」の訳者である日高敏隆先生による「世界をこんなふうに見てごらん」を読んでみると良い。とてもやさしい本に感じるだろう。やさしすぎた場合は、「動物と人間の世界認識」を手にとってみてください。これでもやはり読みやすいと感じるに違いない。

15 コウモリであるとはどのようなことか 科目の中での位置付け ユクスキュルとクリサートによる「生物から見た世界」を読破して、環世界という考え方を理解すると疑問に思うかもしれないのが、理屈はわかったが、人間とあまりに違う生活をしている生物の視点に立つことが本当にできるのだろうかという問題である。ユクスキュルのダニは、非常にインパクトのある例であったが、ダニの行動と生理を理解することはでき、その主観的な世界があることまでは認めたとしても、その世界がいかなるものかという疑問である。どのようにしたら、具体的に想像できるのだろうか?行動と生理の記述が厚くなることで、主観的な世界のありようについての想像ができるようになるのだろうか?このような疑問は、至極全うであり、現代の心の哲学の土台とも言えるトマス・ネーゲルによる「コウモリであるとはどのようなことか」という論文に通じている。ユクスキュルからの環世界という提案を理解した上で、ネーゲルの論文を読み、心についての理解をより一層深めることに取り組む。
ネーゲル、コウモリであるとはどのようなことか、12章pp258-282、勁草書房
コマ主題細目 ① コウモリであるとはどのようなことか ② その生物であることはそのようにあることであるようなその何かが存在しているということ ③ 心理学
細目レベル ① ネーゲルは、人間が人間以外の動物の主観的な世界を想像することができるかを考える際に、人間とは全く異なる感覚器官と運動器官を有しているような、例えばコウモリについて考えた。コウモリは、人間には聞くことのできない超音波を発生して、その超音波の跳ね返り(反響)を分析することで、空間を把握し、自分の位置や獲物との距離を知るという。このような対象の捉え方を人間は通常はしない訳であるが、このような時(他には、犬の優れた嗅覚、ネズミのヒゲの機能など、人間にはない動物種固有な感覚機能は無数にある)、ネーゲルは、人間には他の動物の主観的な世界を想像することはできないとした。環世界という考え方を知ったいま、あなたは、どのように考えていきたいか?
② ネーゲルは生物の主観的な世界を想像することはできないとはしているが、その生物をその生物たらしめる何かが存在していることは認めている。確かに科学的な還元主義では多様な生物の主観的な世界にたどりつけないかもしれない。しかし、コウモリのソナー(音波の反響を分析して位置を知るようなレーダーのこと)の性質が科学的に明らかにされたからこそ、コウモリはコウモリたらしめられているとも言えるだろう(簡単にいえば、コウモリのソナーとは、コウモリらしさであるという考え方)。しかしながら、コウモリのソナーの精巧な性質を知れば知るほど、人間ができる範囲をどんどんと超えて行き、その主観的な世界を想像することさえ、私たちにはできないというように考えることも可能となるとも言えるだろう。
③ 私たちは、心を人間、動物、さらには機械にも感じることができる。私たちに感じられた心、全てに実体があるかどうかはわからないが、様々な心の在り方の中には、単に、人間の知能では想像することもかなわないようなものもあるかもしれない。このようにまだ心については、わからないことだらけではある。私たちが今できることは、そこに心はあると信じて、科学的に調べてみるという姿勢をもつことだろう。そして、様々な心と付き合って行く中で、心の理解は深まると考えている。このため、この授業では、心理学以外の世界で、動物種を超えて、心を考えるためのキーワードの理解に取り組み、各自が心とは何か?と繰り返し問う時間を過ごしてもらった。
キーワード ① 心の哲学 ② コウモリであるとはどのようなことか ③ 心理学
コマの展開方法 社会人講師 AL ICT PowerPoint・Keynote 教科書
コマ用オリジナル配布資料 コマ用プリント配布資料 その他 該当なし
小テスト 「小テスト」については、毎回の授業終了時、manaba上において5問以上の、当該コマの小テスト(難易度表示付き)を実施します。
復習・予習課題 復習はこれまでの小テストの問題を復習して満点取れるようにした上で、自分の考えを深めること。
 より発展的な学習としては、力だめしに、ネーゲルの論文「コウモリであるとはどのようなことか」を自力で読んでみることを推奨する。前期からはじめて、一年かけて、ユクスキュルの「生物から見た世界」を読み続けた皆さんならば、この論文をとにかく全部読んじゃうということはできるはずである。そして講義の内容や小テストの内容を参考とすれば、何度か繰り返し読むことで、内容理解にも進めるはずである。ページ数もそんなに多くはないので、ぜひ、挑戦してみて欲しい、そして一年間の成長を実感してもらえたら幸いである。この論文は英語の原文もweb公開されている。

履修判定指標
履修指標履修指標の水準キーワード配点関連回
環世界に対する理解 ユクスキュルとクリサートが「生物から見た世界」で描いた環世界と環境という考え方を理解しており、本文のどのページも読みとばすことなく、読了している状態になっていること(関連回には特に関連が深い回のみ明記している)。訳者である日高敏隆による「世界を、こんなふうにみてごらん」や、「動物と人間の世界認識」は読みやすいと感じられるようになっていること。単語の穴埋め、提示された文章を読んでの正誤を判断、200文字以上を用いて環世界を説明するなど、問題形式によらない理解が求められる。 環世界、環境、ユクスキュル 50 1, 2, 10, 11, 14
カントの哲学 ユクスキュルとクリサートが主張した「環世界」という考え方が、なぜカントの学説の自然科学への活用だと言えるのかを説明できる。特に、カントの学説の中でも、人間が世界をどのように認識しており、それを他者と共有することができるのかについて、認識、感性、悟性、判断という単語を用いて、説明することができるように、西研による「100分de名著カント 純粋理性批判」を用いて、自分の理解を整理できていること。単語の穴埋め、提示された文章を読んでの正誤判定問題が解ける程度の理解が求められる。 認識、感性、悟性、判断、カント 20 2, 3, 4, 5
アフォーダンス ギブソンが提唱したアフォーダンスの考え方で、日常の行動を説明することができ、環境が生み出す心についての理解が深まっていることが求められる。佐々木正人による「アフォーダンス入門 知性はどこに生まれるか」を読むことができ、内容を理解できる程度に理解していること。単語の穴埋め、提示された文章を読んでの正誤判定問題が解ける程度の理解が求められる。さらに、自分で例を作って、アフォーダンスについて200字以上で説明できるような力が身についていること。 アフォーダンス、環境、身体、ギブソン 10 7,8,9
サイバネテックスとAI ウィーナーが提唱したサイバネテックスという考え方が人工知能の土台であると言われる理由を説明できること。そして、現代のAIができること、できないことをしっかりと理解できていることが求められる。具体的には、谷口忠大による「僕とアリスの夏物語 人工知能の、その先へ」を読むことができ、独力で内容を理解できるようになっていること。単語の穴埋め、提示された文章を読んでの正誤判定問題が解ける程度の理解が求められる。 サイバネテックス、予測誤差とフィードバック、AI 10 6,12,13
コウモリであるとはどのようなことか ネーゲルが「コウモリであるとはどのようなことか」という論文で、伝えたかったことを理解できる。そして、自分とはまるで異なる環世界について、どのように理解していくのかについて、自分なりの考え方が持てており、それを他者がわかるように伝えることができること。単語の穴埋め、提示された文章を読んでの正誤判定問題が解ける程度の理解が求められる。さらに、ネーゲルの論文を参考に、環世界に関する考えについて、800字程度にまとめられる力が身についていること。 コウモリであるとはどのようなことか、心の哲学、ネーゲル
10 1, 2, 15
評価方法 テスト
評価基準 評語
    学習目標をほぼ完全に達成している・・・・・・・・・・・・・ S (100~90点)
    学習目標を相応に達成している・・・・・・・・・・・・・・・ A (89~80点)
    学習目標を相応に達成しているが不十分な点がある・・・・・・ B (79~70点)
    学習目標の最低限は満たしている・・・・・・・・・・・・・・ C (69~60点)
    学習目標の最低限を満たしていない・・・・・・・・・・・・・ D (60点未満)
教科書 ユクスキュルとクリサート、生物から見た世界、岩波文庫 ; 西研、100分de名著カント純粋理性批判、NHK出版
参考文献 ワトソン、行動主義の心理学、ちとせプレス;  サトウタツヤと高砂美樹、流れを読む心理学史、有斐閣;  本川達雄、ゾウの時間ネズミの時間、中央公論新書;  森山徹、ダンゴムシに心はあるのか、PHPサイエンス・ワールド新書;  岡田美智夫、<弱いロボット>の思考、講談社現代新書;  新妻昭夫と杉田比呂美、ダーウィンのミミズの研究、福音館書店;  佐々木正人、知性はどこに生まれるか、講談社現代新書;  ウィーナー、人間機械論、みすず書房;  谷口忠大、僕とアリスの夏物語 人工知能の,その先へ、岩波科学ライブラリー;  ネーゲル、コウモリであるとはどのようなことか、勁草書房
実験・実習・教材費