区分 公認心理師関連科目
ディプロマ・ポリシーとの関係
SDGs力 科学コミュニケーション力 研究力
カリキュラム・ポリシーとの関係
教養 応用力 実践力
科目間連携 総合心理力
カリキュラム全体の中でのこの科目の位置づけ
本科目は、公認心理師カリキュラムに規定された25科目の1つである。本科目は、人体の構造と機能、そして身体疾患に起因する心理的問題についての知識を修得し、身体面から心理的問題を理解することを目的とする。この講義で学んだ知識は、心理的アセスメント、精神疾患とその治療、心理演習、心理実習等の講義の基盤となる。
なお、本講義は、令和3年版公認心理師試験出題基準・ブループリントに準拠している。

科目の目的
公認心理師は心理職初の国家資格であり、その職域は、保健医療、福祉、教育、司法・犯罪、産業・労働の5分野が想定されている。各領域で出会うクライエントの中には、心理社会的要因や精神疾患への罹患から心理的問題を抱える者だけでなく、身体疾患の症状としての心理的問題や、身体疾患に罹患することによって生じた心理的問題で悩む者に出会うことがある。その際、各種身体疾患で生じる心理的問題やその支援についての知識がなければ適切な支援や適切な機関への紹介はできない。
また、身体疾患の基盤は、人体を構成する細胞、組織、器官や器官系の不調によってもたらされる。これらの人体の構造及び機能についての知識は、心理的問題のアセスメントには必要不可欠である。
本講義は人体の構造と機能、そして身体疾患に起因する心理的問題についての知識を修得し、身体面から心理的問題を理解することを目的とする。

到達目標
本講義の科目目的を達成するため、人体の構造と機能、身体疾患に起因する心理的問題の基礎知識と、各身体疾患及び身体疾患に起因する心理的問題に対する治療や支援法について理解する。
さらに、上記の目標を達成することにより、公認心理師試験の「人体の構造と機能及び疾病」に関する過去問が解けるようになることも目標とする。

科目の概要
この科目は人体の構造と機能、そして身体疾患に起因する心理的問題についての知識を修得し、身体面から心理的問題を理解することを目的とする。その目的を達成するため、第1回から第4回までを人体の構造と機能を理解するコマとする。具体的には、第1回で「身体の基本(細胞と組織」、第2回で「中枢・末梢神経と感覚器系」、第3回で「消化器、呼吸器、循環器系」、第4回で「泌尿器・内分泌系」を学ぶ。中盤以降の第6回から第14回までを身体疾患に起因する心理的問題ついて学ぶコマとする。具体的には、第6回で「がん」、第7回で「緩和ケア・遺族ケア」、第8回で「高次脳機能障害」、第9回で「循環器系疾患」、第10回で「糖尿病」、第11回で「腎不全」、第12回で「周産期・小児医療」、第13回で「臓器移植」、第14回で「難病」について学ぶ。第5回と第15回については、前半部の人体の構造と機能についてのまとめ、後半部の身体疾患に起因する心理的問題のまとめとする。
科目のキーワード
人体の構造と機能、がん、高次脳機能障害、心臓疾患、糖尿病、腎不全、周産期・小児医療、臓器移植、難病、身体疾患に対する支援
授業の展開方法
この科目は、各回で教材を準備し、その教材を使用しながら講義を進める。講義内で用いるその他の参考書や論文等を予習や復習に使用する場合には、その都度、講義内でその旨をアナウンスする。主に授業ごとの教材を、教員または学生が読み上げることで講義を進めるが、イラストや写真が必要な場合は、補助教材としてpptやkeynoteを用いる。
担当教員は総合病院精神科や小児科での勤務経験を有し、その経験に基づいて第8回、第12回については模擬事例やチーム医療の実例について話す。

オフィス・アワー
前期:水曜1限
後期:水曜1限

科目コード RG1010
学年・期 1年・前期
科目名 人体の構造と機能及び疾病
単位数 2
授業形態 講義
必修・選択 選択
学習時間 【授業】90分×15 【予習】90分以上×15 【復習】90分以上×15
前提とする科目 なし
展開科目
関連資格 公認心理師
担当教員名 武田知也
主題コマシラバス項目内容教材・教具
1 人体の基本(細胞・組織) 科目の中での位置付け この科目は人体の構造と機能、そして身体疾患に起因する心理的問題についての知識を修得し、身体面から心理的問題を理解することを目的とする。その目的を達成するため、第1回から第4回までを人体の構造と機能を理解するコマとする。具体的には、第1回で「身体の基本(細胞と組織」、第2回で「中枢・末梢神経と感覚器系」、第3回で「消化器、呼吸器、循環器系」、第4回で「泌尿器・内分泌系」を学ぶ。中盤以降の第6回から第14回までを身体疾患に起因する心理的問題について学ぶコマとする。具体的には、第6回で「がん」、第7回で「緩和ケア・遺族ケア」、第8回で「高次脳機能障害」、第9回で「循環器系疾患」、第10回で「糖尿病」、第11回で「腎不全」、第12回で「周産期・小児医療」、第13回で「臓器移植」、第14回で「難病」について学ぶ。
本講義は初回であるため、まずは授業の進め方について説明する。次に、心理的問題を主に扱う公認心理師が人体の構造と機能、そして身体疾患について学ぶ意味を述べる。最後に人体の構造と機能を理解する上で基本となる人体の基本、人体の器官を構成する細胞や組織について学び、次回以降の器官系の学習の基盤とする。

細目③
武田克彦・岩田淳・小林靖(2019). 人体の構造と機能, 10-12,人体の構造と機能および疾病,医歯薬出版株式会社.

細目④
櫻田忍・櫻田司(2002). 細胞・組織,機能形態学, 1-25, 南江堂.
コマ主題細目 ① オリエンテーション ② 公認心理師 ③ 人体の基本 ④ 細胞・組織
細目レベル ① 初回講義であるため、講義の進め方の説明を行う。具体的には、出席要件、講義の進め方、質問の仕方、成績評価の仕方について説明する。出席要件としては、本学のルールに則り、出席を管理する。講義の進め方として、まず冒頭に前回の講義終了後に回収した質問に対する回答を行う。次にコマシラバスを確認し、当該講義がカリキュラム全体、もしくはこの講義の中でどのような位置づけとなっているのか、そして当該講義回の目標を確認し、その目標を意識して講義に臨む。講義の最後には、小テストを実施する。各講義回で生じた質問はmanabaを経由して行う。なお、質問への回答を準備する時間を確保するため、質問は、原則講義実施日中に行うこととする。次に成績評価であるが、この講義の成績評価は期末試験100%とする。つまり、期末試験の成績がそのまま本講義の成績となる。各回で実施する小テストは、その講義の目標がどの程度確認できたかの指標として用いる。小テストの結果を参照し、各講義で配布される教材を用いて各自が復習を行う。
② 公認心理師カリキュラム、業務内容、職域について把握した上で、本講義で学ぶ、人体の構造や機能および疾病に関する知識が、領域横断型の資格である公認心理師になぜ必要かということを理解する。
本講義は、公認心理師カリキュラムの一つである。公認心理師とは、心理職の国家資格であり、大学4年間と大学2年間、厚生労働省と文部科学省が定めるカリキュラムを満たすこと、もしくは大学4年間のカリキュラムを満たした上で、法で定められた施設での実務経験2年を満たすことによって受験資格が得られる(公認心理師法第7条受験資格)。本講義は学部で定められた公認心理師カリキュラムに関する科目の1つである。
この講義を受講する学生の多くは、公認心理師を目指す学生であると想定される。そのため、まずは法律で規定された公認心理師の業務内容や、職域としてはどのような領域が想定されるのかを理解する。

③ 人体の基本として、体外・内の区別、分節性、位置関係を示す基準面・方向語を理解する。
人だけにかかわらず、全ての生物は細胞から構成されている。体の内(体内)と外(体外)を区切るのも細胞である。例えば、皮膚の細胞は体の表面で体内と体外を区切り、物質が自由に内外を行き来できないようにしている。では、どこが体内で、どこが体外であろうか。一般的には、体内、体外は人体の中と外で区切られていると考えられているが、実は異なっている。まずは、体外、体内をどのように区切るかを理解する。
また、体には規則性があり、それは分節性と左右対称性である。分節性を持つことにより、外部から見た人の体は、体幹、頭部、頸部、上肢、下肢に区切ることができる。さらに、人体の様々な部分の位置関係を正確に理解するためには、基準となる面や方向を理解する必要がある。

④ ここでは、細胞の構造に関する核、細胞膜、ミトコンドリア、小胞体などの細胞小器官と細胞質ゾルの働きと、組織の働きについて理解することを目的とする。
人体を構成する最小の単位である細胞と細胞が集まって構成される組織から、各臓器は構成される。さらに、各臓器の機能により、消化器系、循環器系、血液・リンパ系、呼吸器系、泌尿器系、内分泌系に分類される。
全ての生命活動は細胞のはたらきのもと行われる。細胞は、大きく、原核細胞と真核細胞に分類される。細胞の構造は、ふつう10~50μmで球形もしくは立方体であるが、それぞれの機能に応じて多種多様な形に分化する。
組織は、特定の種類の細胞がある機能を果たすように集まったものであり、形態的・機能的に上皮組織、支持組織、筋組織、神経組織の4つに分類される。人体の器官は、これら4つの組織の組み合わせによって構成されている。

キーワード ① 公認心理師の業務 ② 人体の基準面 ③ 方向語 ④ 細胞 ⑤ 組織
コマの展開方法 社会人講師 AL ICT PowerPoint・Keynote 教科書
コマ用オリジナル配布資料 コマ用プリント配布資料 その他 該当なし
小テスト 「小テスト」については、毎回の授業終了時、manaba上において5問以上の、当該コマの小テスト(難易度表示付き)を実施します。
復習・予習課題 [復習]
今回の講義では、公認心理師の業務、人体の基準面、方向語、細胞について学んだ。復習では、法で規定されている4つの公認心理師の業務について押さえる。さらに、人体の基本的な捉え方として、その基準面と方向語が何を意味するのかを理解し、例えば腹側前頭前野と言われた場合に、前頭前野のどの部位を示しているのかがイメージできるようにする。最後に人体を構成する要素である細胞・組織の構造とその機能を理解する。
[予習]
講義全体、初回講義のイメージを掴むため、まずはコマシラバスの第1回目を熟読する。その上で、そもそも公認心理の業務とはどのようなもので、どのような領域(医療や福祉など)で働くことが想定されているのかを、「公認心理師、業務、職域」をキーワードに調べてみる。その中で疑問に思ったことがあれば、メモをして講義に臨む。
また、体の構造について、自分が思う体の前と後ろ、体内と体外について考えてみる。講義では、生物学的に規定される体の前と後ろ、体内、体外について説明する。ここでの説明が驚きに満ちたものになるかは、事前に体の前や後ろ、体外、体内についてまとめられた自分の考えに影響を受けるため、しっかり考えてから受講する。

2 中枢・末梢神経と感覚器系 科目の中での位置付け この科目は人体の構造と機能、そして身体疾患に起因する心理的問題についての知識を修得し、身体面から心理的問題を理解することを目的とする。その目的を達成するため、第1回から第4回までを人体の構造と機能を理解するコマとする。具体的には、第1回で「身体の基本(細胞と組織」、第2回で「中枢・末梢神経と感覚器系」、第3回で「消化器、呼吸器、循環器系」、第4回で「泌尿器・内分泌系」を学ぶ。中盤以降の第6回から第14回までを身体疾患に起因する心理的問題について学ぶコマとする。具体的には、第6回で「がん」、第7回で「緩和ケア・遺族ケア」、第8回で「高次脳機能障害」、第9回で「循環器系疾患」、第10回で「糖尿病」、第11回で「腎不全」、第12回で「周産期・小児医療」、第13回で「臓器移植」、第14回で「難病」について学ぶ。
本講義は、中枢・末梢神経系と感覚器形について学び、第6回以降の身体疾患に起因する心理的問題の学習の基盤とする。

細目①
櫻田忍・櫻田司(2002). 神経細胞,機能形態学, 27-40, 南江堂.

細目②
櫻田忍・櫻田司(2002). 末梢神経系,機能形態学, 41-51, 南江堂.

細目③
櫻田忍・櫻田司(2002). 中枢神経系,機能形態学, 55-92, 南江堂

細目④
櫻田忍・櫻田司(2002). 感覚器系,機能形態学, 123-149, 南江堂.
コマ主題細目 ① 神経細胞 ② 抹消神経系 ③ 中枢神経系 ④ 自律神経 ⑤ 感覚器系
細目レベル ① ここでは、ニューロンの構成、及びニューロン間の情報伝達について理解する。
神経を構成する細胞を神経細胞(ニューロン)と呼ぶ。神経細胞は、細胞体、およびそこから伸びる1本の長い軸索と比較的短い数本の樹状突起からなる。細胞体および樹状突起は他のニューロンから特殊な接合部(シナプス)において、興奮または抑制性の入力を受容し、閾値を越えれば、活動電位が生じ、軸索電動を開始する。
ニューロンを興奮させるような環境の変化を刺激と呼ぶ。刺激には、機械的、温熱的、科学的刺激なども有効であるが、電気的刺激がもっとも利用される。
ニューロンとニューロンの間には、小さな隙間がある。ニューロンとニューロンの向かい合った箇所をところにシナプスと呼びがあり、シナプス間の隙間のことをシナプス間隙と呼ぶ。シナプス間隙では、電気信号は伝わらないため、神経伝達物質を介した情報伝達が行われる。情報を受け取ったニューロンは、活動が興奮、もしくは抑制される。これらの伝達はのことを興奮性伝達、もしくは抑制性伝達と呼ばれる。ある種の精神症状では、神経伝達物質の伝達不備から症状が生じると仮定されており、薬物療法では神経伝達物質の適切な情報伝達を可能とし、結果とし精神症状の鎮静化をはかる。

② ここでは、末梢神経系の働きを理解する。
主に情報伝達を司る神経の集合を神経系と呼ぶ。神経系は、脳や脊髄の中枢神経系、脳神経や脊髄神経の末梢神経系に分かれる。また、末梢神経は、自律神経系(交感神経、副交感神経)、体性神経系(知覚神経系、運動神経系)を持つ。
自律神経系とはその名の通り、呼吸系や循環器系のような意思と関係なく働く神経系のことである。薬理学的、生理学的機能から交感神経系と副交感神経系に分かれる。大部分の内臓臓器は、自律神経の分布を受けている。これを自律神経の二重支配と呼ぶ。両神経の働きは、拮抗的であり、一方が内臓機器の働きを促進する方に働けば、他方は反対に抑制するように働く。
脊髄神経と脳神経を併せて体性神経系と呼ぶ。体制神経系は、運動と知覚を司る。ここでは、末梢神経系の働きを理解する。

③ ここでは、中枢神経系として、脳、脊髄の構造と機能の概要を理解する。
中枢神経系は、脳と脊髄からなり、終脳(大脳皮質、大脳基底核)、間脳、脳幹、小脳、脊髄に大きく分類できる。これらは担う機能が異なっている。まずはその機能について押さえる。
中枢神経系は、神経細胞を多く持つ灰白質と神経繊維を持つ白質により構成されている。ただし、脳は、深部に脳室と呼ばれる空洞を持つ。脳室は、血液が濾過された脳脊髄液で満たされている。また、脳と脊髄は3層からなる髄膜でおおわれている。最外層を硬膜、その下をクモ膜、脳と脊髄の表面を直接覆っているものを軟膜と呼ぶ。クモ膜と軟膜の間には、クモ膜下腔という腔がある。脳に血液を供給している動脈には、内頸動脈と椎骨動脈がある。内頸動脈は脳に入ると枝分かれし前部に分布し、椎骨動脈は主に後部に血液を供給している。
脊髄は、延髄の下に位置し、頸髄、胸髄、腰髄、仙髄、尾髄からなる。脊髄は、中心部を灰白質が、周囲を白質が占めている。灰白質は、前角、側角、後角からなり、それぞれに運動神経群、自律神経群、知覚神経細胞群が分布している。

④ ここでは、特殊感覚、体性感覚、内臓感覚が生じるメカニズムの概要を理解することを目的とする。
感覚器とは、身体の内外に与えられた刺激を情報として受け入れる器官である。感覚器には、感覚受容器が供えられている。感覚受容器が刺激されると、末梢神経に興奮が伝わり、中枢神経系を通して、大脳皮質の感覚野に到達し、視覚、聴覚、味覚などの感覚が生じる。感覚受容器には、それぞれの適刺激に関して興奮反応を示すが、それ以外の刺激には反応性が低い。例えば、視覚受容器であれば光刺激が、聴覚受容器であれば音刺激が適刺激となる。
感覚は、視覚、聴覚などの特殊感覚、皮膚感覚や深部感覚(筋、腱、関節)などの体性感覚、空腹感や満腹感などの内臓感覚に大きく分類される。

キーワード ① 神経細胞 ② 中枢神経系 ③ 末梢神経系 ④ 自律神経 ⑤ 感覚器系
コマの展開方法 社会人講師 AL ICT PowerPoint・Keynote 教科書
コマ用オリジナル配布資料 コマ用プリント配布資料 その他 該当なし
小テスト 「小テスト」については、毎回の授業終了時、manaba上において5問以上の、当該コマの小テスト(難易度表示付き)を実施します。
復習・予習課題 [復習]
今回の講義では、神経細胞、中枢神経系、末梢神経系、自律神経、感覚器系について学んだ。まず、神経細胞について、その構造だけでなく、どのような方法で情報伝達が行われているかを押さえる。次に中枢神経系に属する終脳(大脳皮質、大脳基底核)、間脳、脳幹、小脳、脊髄の役割について理解する。また、末梢神経系では、交感神経と副交感神経について学んだ。これらの神経が担う機能とそれら神経の関係性について理解する。最後に感覚器系は情報を感知し、中枢神経系に伝える。感覚器系で得た情報がどのような形で中枢神経系まで伝わるのかを、例えば手のひらで感知した情報を仮定して、中枢神経系、末梢神経系、感覚器系の繋がりの中で理解する。
[予習]
まず、第2回のシラバスを熟読する。初回講義では、特に体の構造について学んだ。ここでは、体の中でも思考を司る脳について学ぶ。脳を構成する細胞は、体を構成する細胞とは区別され、神経細胞と呼ばれる。神経細胞をキーワードに自分が知っている知識をメモにまとめる。さらに気になったことがあれば、インターネットや図書館にある書籍を利用し調べる。

3 消化器、呼吸器、循環器系 科目の中での位置付け この科目は人体の構造と機能、そして身体疾患に起因する心理的問題についての知識を修得し、身体面から心理的問題を理解することを目的とする。その目的を達成するため、第1回から第4回までを人体の構造と機能を理解するコマとする。具体的には、第1回で「身体の基本(細胞と組織」、第2回で「中枢・末梢神経と感覚器系」、第3回で「消化器、呼吸器、循環器系」、第4回で「泌尿器・内分泌系」を学ぶ。中盤以降の第6回から第14回までを身体疾患に起因する心理的問題について学ぶコマとする。具体的には、第6回で「がん」、第7回で「緩和ケア・遺族ケア」、第8回で「高次脳機能障害」、第9回で「循環器系疾患」、第10回で「糖尿病」、第11回で「腎不全」、第12回で「周産期・小児医療」、第13回で「臓器移植」、第14回で「難病」について学ぶ。
本講義は、消化器、呼吸器、循環器系について学び、第6回以降の身体疾患に起因する心理的問題の学習の基盤とする。

細目①
櫻田忍・櫻田司(2002). 消化器系,機能形態学, 154-179, 南江堂.

細目②
櫻田忍・櫻田司(2002). 呼吸器系,機能形態学, 248-265, 南江堂.

細目③
櫻田忍・櫻田司(2002). 循環器系,機能形態学, 209-245, 南江堂.

細目④
櫻田忍・櫻田司(2002). 血液・リンパ系,機能形態学, 209-245, 南江堂.
コマ主題細目 ① 消化器系 ② 呼吸器系 ③ 循環器系 ④ 血液・リンパ系
細目レベル ① ここでは、食べ物が体内に入り、体外へ排出されるまでの過程とそれに関わる臓器の機能について理解することを目的とする。
消化器系とは、食べ物が口に入って排出されるまでに関わる各器官のことを指す。具体的には、口腔、咽頭からはじまり、直腸、肛門に至るまでの消化管と、消化・吸収に関わる胃、肝臓、膵臓などから構成される。
食べ物は口から摂取される。口腔内では、歯や舌、唾液腺の働きで、咀嚼・消化される。次に咽頭に入る。咽頭とは、鼻腔、口腔、喉頭の後方にあり、食道への入り口までを指す。食道は咽頭と胃をつなぐ細長い管である。食道を通り過ぎた食べ物は胃に到着する。胃は、胃液を出し、胃液と食べ物を混ぜ合わせ消化するための蠕動運動を行う。その後、食べ物は小腸に到着し、胆汁、膵液、腸液などによる消化を受け、糖質、タンパク質、水溶性ビタミンなどの吸収を行う。小腸を出た食べ物は大腸へと送られ、そこで生物学的(細菌)学的消化と水分の吸収を行い、内容物を固形化し、貯留し、半固形の糞便として肛門から排出する。
食べ物が体に入り、排出されるまでの工程を示したが、食べ物の吸収・消化には、肝臓、胆嚢、膵臓も関わる。食べ物が消化・吸収するまでの過程を知る。

② ここでは、呼吸器系に属する器官の機能及び呼吸の仕組みについて理解することを目的とする。
人が生きるためには、栄養を補給する以外にも酸素を体内に取り組むこと、また代謝により産生された二酸化炭素を体外に排出することが必要である。酸素を体内に入れ、二酸化炭素を体外に排出することを呼吸と呼ぶ。
呼吸に関する臓器や組織を総称して、呼吸器系という。呼吸器系は、鼻腔、咽頭、喉頭、気管、気管支、肺によって構成されている。空気中の酸素は、鼻腔、咽頭から体内に入り、まずは気管へと送られる、気管は、咽頭に続く約10cmの管で、終点で左右に分かれる。左右に分かれている箇所を気管支と呼び、肺(肺胞)に空気が送られる。肺胞には毛細血管が張り巡らされており、肺胞から毛細血管へ酸素を、毛細血管から肺胞へ二酸化酸素への受け渡しが行われる。

③ ここでは、血液循環を司る心臓の働きについて理解することを目的とする。
血液を全身に送り出す器官を総称して、循環器系と呼び、心臓、血管などが該当する。
心臓は、横隔膜の上方、肺に挟まれた位置にある人の拳大の臓器である。心臓の中は腔になっており、中隔によって左右に分かれている。さらに左右それぞれの上下は心房と心室に分けられる。心臓は、内腔を流れる血液から直接栄養をとることができず、心臓全体を覆う特殊な血管、冠状動脈が存在する。
心臓の働きは、血液を循環し、各臓器に酸素と栄養を送り届けることである。血液の循環には、肺循環と体循環がある。心臓は拍動して血液を送る。拍動は、自律神経の影響を受け、交感神経は心拍数を増加させ、副交感神経は心拍数を減少させる。

④ ここでは、血液、リンパ球の働きを理解することを目的とする。
心臓の主な働きは、全身に必要な酸素と栄養分を運ぶことであり、この役割を担うのが血液である。血液は、細胞成分である血球と液体成分である血漿に区別できる。血球の中に、赤血球、白血球、血小板がある。血漿は、水、無機質、栄養分、結晶タンパク質から構成される。血球、血漿には、酸素や栄養分を運ぶだけでなく、それぞれ異なる役割を担う。
外部から異物が侵入し、あるいは生体内に異物が生じた際にそれを排除しようとする普遍的な反応のことを免疫という。生体内での細胞間の情報の伝達、生体の恒常性維持と密接に関係した生体防御反応として理解されている。これらの反応を免疫反応と呼び、それを主に担うのがリンパ球である。リンパ球は血液の中だけでなく、全身に張り巡らされたリンパ管にも存在する。また、リンパ管の中には免疫応答の場所としてリンパ節がある。リンパ管とリンパ節をリンパ系と呼び、リンパの循環と免疫を担っている。

キーワード ① 消化器系 ② 循環器系 ③ 呼吸器系 ④ 血液系 ⑤ リンパ系
コマの展開方法 社会人講師 AL ICT PowerPoint・Keynote 教科書
コマ用オリジナル配布資料 コマ用プリント配布資料 その他 該当なし
小テスト 「小テスト」については、毎回の授業終了時、manaba上において5問以上の、当該コマの小テスト(難易度表示付き)を実施します。
復習・予習課題 [復習]
今回の講義では、消化器系、循環器系、呼吸器系、血液系・リンパ系について学んだ。まず、食べ物が摂取されてから排出される過程にどのような器官が関わっているかを押さえる。循環器系では、心臓から全身に、また全身から心臓にどのような過程を経て血液が循環するのかを押さえる。また、呼吸器系では、呼吸を司る肺の働きだけでなく、呼吸をすることが生命維持にとってなぜ必要か、つまり、酸素を得て、二酸化炭素を排出することをどうして人間は行うのかということを押さえる。最後に、血液系とリンパ系の中でも、赤血球・白血球が担う役割を押さえる。
[予習]
まず、第三回目のシラバスを熟読する。第二回目までは、脳、心臓、肺、腎臓、肝臓、小腸、大腸など、体の核器官を構成する細胞・組織について学んだ。今回の講義から、細胞・組織で構成される各器官について学ぶ。今回は、消化器系、循環器系、呼吸器系、血液系、リンパ系に焦点を当てる。〜系という括りは、さまざまな臓器の集合を意味する。各〜系にどのような臓器が含まれているかを、インターネットや図書館の書籍を利用して調べる。

4 泌尿器・内分泌系 科目の中での位置付け この科目は人体の構造と機能、そして身体疾患に起因する心理的問題についての知識を修得し、身体面から心理的問題を理解することを目的とする。その目的を達成するため、第1回から第4回までを人体の構造と機能を理解するコマとする。具体的には、第1回で「身体の基本(細胞と組織」、第2回で「中枢・末梢神経と感覚器系」、第3回で「消化器、呼吸器、循環器系」、第4回で「泌尿器・内分泌系」を学ぶ。中盤以降の第6回から第14回までを身体疾患に起因する心理的問題について学ぶコマとする。具体的には、第6回で「がん」、第7回で「緩和ケア・遺族ケア」、第8回で「高次脳機能障害」、第9回で「循環器系疾患」、第10回で「糖尿病」、第11回で「腎不全」、第12回で「周産期・小児医療」、第13回で「臓器移植」、第14回で「難病」について学ぶ。
本講義は、泌尿器、内分泌系について学び、第6回以降の身体疾患に起因する心理的問題の学習の基盤とする。

細目①
櫻田忍・櫻田司(2002). 泌尿器系, 機能形態学, 209-245, 南江堂.

細目②
櫻田忍・櫻田司(2002). 内分泌系, 機能形態学, 293-325, 南江堂.

細目③
ジェイムズ・モリソン(2021). 第1部症状のレビュー. 精神症状に潜む身体疾患66 モリソン先生のルールアウト. 7-49. メディカル・サイエンス・インターナショナル.
コマ主題細目 ① 泌尿器系 ② 内分泌系 ③ 身体疾患に起因する精神症状を疑うポイント
細目レベル ① ここでは、泌尿器系に属する各器官の機能を理解することを目的とする。
泌尿器系は、腎臓とそれに続く尿管、膀胱、尿道からなり、その働きは尿の生成と排泄である。腎臓は、脊柱を挟んで左右に1つずつある。腎臓では、各臓器で行われた代謝によって生じた不要な代謝産物を尿として排出する。、また、電解質や水の排泄量を調節し、それによって、血液の浸透圧、pH、細胞外液量を一定に維持している。腎臓は、左右どちらか一方を摘出しても生命を維持できる。しかし、その働きが低下すると不要な代謝産物が体内で蓄積し(尿毒症)、死亡することがある。このような場合、人工透析や腎移植が行われる。
尿管、膀胱、尿道を尿路と良い、尿路は尿量や尿の成分には影響しないが、それぞれに役割を持つ。

② ここでは、内分泌系の働きと代表的なホルモンとしてコルチゾールの働きについて理解することを目的とする。
内分泌系は、各種ホルモンを分泌して体の調子を整える器官の総称である。ホルモンは、血管を通って特定の器官や細胞に影響を与える。
人の体には、ホルモンを分泌する細胞が様々な器官に存在する。独立した器官としては、視床下部直下にある下垂体、喉の近くにある甲状腺、腎臓の上の副腎などである。各器官が異なる器官や細胞に影響するホルモンを分泌している。
心理学においては、ホルモンの中でもストレス負荷時に分泌されるコルチゾールに着目されることが多い。ストレスが加わると視床下部から副腎皮質刺激ホルモン放出ホルモンが分泌され、これが下垂体からの副腎皮質刺激ホルモンの分泌を促し、副腎皮質からコルチゾールが放出される。コルチゾールは肝臓での糖の新生や免疫系を調整する役割を担っている。

③ これまで人体の構造と機能について学んできた。これまでの学習から人体の構造及び機能に生じた異常により、精神症状が生じることは想像に難しくない。なぜなら中枢神経系や末梢神経系、内分泌系は、精神症状でもある抑うつ気分や不安、動悸や発作などの身体反応に影響をもたらすからである。実際に身体疾患に起因する精神症状は存在する。精神科以外の科や福祉や教育領域等で勤める公認心理師は、身体疾患に起因して生じる精神症状か精神疾患による精神症状か、さらに心理社会的要因に起因した精神症状かをアセスメントする視点が必要になる。その視点を持たず、全てを精神疾患や心理社会的要因による精神症状とアセスメントすると、身体疾患に起因した精神症状を見逃し、効果的な心理支援はできない。 クライエントと初めて会う時に身体的な要因は常にアセスメントする必要があるが、精神症状を訴えるクライエントに会った際に、特にどのような時に身体疾患に起因する精神症状を疑い、適切な医療機関に紹介するべきかというポイントを理解する。
キーワード ① 泌尿器系 ② 内分泌系 ③ 身体疾患に起因する精神症状を疑うポイント
コマの展開方法 社会人講師 AL ICT PowerPoint・Keynote 教科書
コマ用オリジナル配布資料 コマ用プリント配布資料 その他 該当なし
小テスト 「小テスト」については、毎回の授業終了時、manaba上において5問以上の、当該コマの小テスト(難易度表示付き)を実施します。
復習・予習課題 [復習]
今回の講義では、泌尿器系、内分泌系、身体疾患に起因する精神症状を疑うポイントについて学んだ。泌尿器系では、特に腎臓の働きが重要である。腎臓は不要なものを体外に排出するための準備を行うが、その働きが我々が生きる上でなぜ重要かを理解する。次に内分泌系としてホルモン、特にコルチゾールについて学んだ。コルチゾールが放出される過程とその役割について押さえる。最後に、身体疾患に起因する精神症状を押さえるポイントであるが、精神症状は、心理社会的要因、生物学的要因、社会的要因のそれぞれから影響を受ける。ここでは、どのような時に身体疾患に起因する精神症状を疑うのかというポイントを押さえる。
[予習]
まず、第4回目のシラバスを熟読する。前回の講義では、消化器系、循環器系、呼吸器系、血液系、リンパ系に焦点を当てたが、今回は、泌尿器系、内分泌系に焦点を当てる。今回の予習も、泌尿器系、内分泌系に属する臓器を調べることとする。泌尿器系は想像がつきやすいが、内分泌系には調べてみて初めて知る臓器があるかもしれない。
また、誰もが気分の落ち込みや不安など精神状態が不安定になることがある。一過性のこともあれば、慢性的に続くこともあるが、その慢性的に続く不安定な精神症状の原因はなんであろうか。今回の予習では、不安定な精神症状が続く原因として、どのようなものが挙げられるかを考えて、メモにまとめてみる。

5 まとめ 科目の中での位置付け この科目は人体の構造と機能、そして身体疾患に起因する心理的問題についての知識を修得し、身体面から心理的問題を理解することを目的とする。その目的を達成するため、第1回から第4回までを人体の構造と機能を理解するコマとする。具体的には、第1回で「身体の基本(細胞と組織」、第2回で「中枢・末梢神経と感覚器系」、第3回で「消化器、呼吸器、循環器系」、第4回で「泌尿器・内分泌系」を学ぶ。中盤以降の第6回から第14回までを身体疾患に起因する心理的問題について学ぶコマとする。具体的には、第6回で「がん」、第7回で「緩和ケア・遺族ケア」、第8回で「高次脳機能障害」、第9回で「循環器系疾患」、第10回で「糖尿病」、第11回で「腎不全」、第12回で「周産期・小児医療」、第13回で「臓器移植」、第14回で「難病」について学ぶ。
本講義は、前半部分の人体の構造と機能の復習回である。これまでの授業回の内容を復習し、第6回以降の身体疾患に起因する心理的問題の学習へスムーズに移行することが可能にすることを目的とする。

コマ主題細目 ① 人体の基本と細胞・組織 ② 刺激の入力、処理、出力を司る器官 ③ 消化・吸収・栄養の運搬を司る器官
細目レベル ① ここでは、第1から5回までの講義内容が理解できるかを確認する。第6回以降はがん、心疾患、高次脳機能障害、糖尿病、腎不全、難病など多様な身体疾患と、身体疾患を抱える患者の心理的問題及び支援について学習する。その学習の基盤となるのが、これまでの学習内容である。
これまで人体の基本と細胞、組織について学んだ。人体の基本として基準面や方向語について学んだが、これらは特に体や脳の断面、方向(前方か後方)を示す際に使われる用語である。これからの講義では、体や脳の断面に関する写真やイラストも使用する。正確な断面、方向を示す用語を理解しておかないとイラストからどういう風に体をスライスしたのか理解できない。そのため、再度、基準面や方向後について復習する。
さらに、がんはがん細胞と呼ばれる細胞が増殖し、組織に浸潤し、また他の臓器に転移する。細胞や組織の基本を知らなければ、通常の組織とがん細胞の何が異なるのかを理解できない。そのため、細胞や組織の構造や機能の概要について復習する。

② 心の不調や精神神経症状は、中枢神経系や末梢神経系、感覚統合系の不調によっても生じるため、今後の講義で説明される症状の理解を深めるためにも、これらの正常な機能について復習する。
刺激の入力、処理、出力を司る器官系として、中枢神経系、末梢神経系、感覚統合系について学んだ。
中枢神経系に属する脳の疾患である高次脳機能障害などは、脳のどの部位が損傷するかによって、生じる症状が異なっている。さらに中枢神経系は、心の側面である、思考、感情、身体反応などを司る臓器である。この機能が損傷することによって、心の不調が生じることがある。
さらに末梢神経系や感覚統合系は、感覚入力と入力され情報を脳に伝え、そこで処理された情報が抹消に伝わる。末梢神経系の機能不全による神経症状は糖尿病や腎不全でも生じる。

③ 消化器系、呼吸器系、循環器系に属する臓器の機能、血液・リンパ系の働きの概要についても復習する。
消化・吸収、栄養の運搬を司る器官として、消化器系、呼吸器系、循環器系、血液・リンパ系について学んだ。これらの器官系に生じる疾患として、がん、糖尿病、腎不全などが挙げられる。
たとえば、がんは大腸、小腸、膵臓、肺と幅広い臓器に生じる可能性がある。がんにより、これらの臓器の機能不全が生じた場合には、正常な際の各臓器の機能が侵される。
第6回以降で学ぶがん、腎不全などの身体疾患の症状が生じるメカニズムを理解する上で、これらの器官の正常機能をしっかり理解しておくことが重要となる。
さらに人体を正常に機能させるためには、酸素や栄養を各臓器に送り届け、二酸化炭素を排出することが重要である。そして、体の外部から侵入してきた物質に対し、対抗する免疫も重要となる。これらの働きは、血管、リンパ系が担う。動脈硬化や免疫低下によりどのような症状が生じるのかを理解する上で、血管・リンパ系が担う機能は重要である。

キーワード ① 基準面 ② 方向語 ③ 細胞・組織 ④ 刺激の入力・処理・出力を司る器官 ⑤ 消化・吸収・栄養の運搬を司る器官
コマの展開方法 社会人講師 AL ICT PowerPoint・Keynote 教科書
コマ用オリジナル配布資料 コマ用プリント配布資料 その他 該当なし
小テスト 「小テスト」については、毎回の授業終了時、manaba上において5問以上の、当該コマの小テスト(難易度表示付き)を実施します。
復習・予習課題 [復習]
第1~4回までは、人体の構造について、人体を構成する細胞・組織、細胞・組織により構成される臓器、各臓器の集合を示す器官系について学んだ。次回以降は、各組織や臓器に生じる疾患について学ぶが、その移行をスムースに行うべく、特に重要なところを復習として抑える。まず、感覚器系、末梢神経系、中枢神経系の繋がりについてである。例えば、手や足で得られた刺激はどのような経路で中枢神経系まで辿り着き、そしてどういう風に我々の振る舞いが生じるのかを、各神経系の繋がりから理解する。さらに、我々が生きるためには、栄養をとり、その栄養を全身に送ること、不必要なものを体外へ排出することが必要となる。そのメカニズムをしっかり押さえる。
[予習]
第5回のシラバスを熟読する。その中でわかりづらいところがあれば、これまでに配布した教材の該当する箇所を読んでおく。

6 がん 科目の中での位置付け この科目は人体の構造と機能、そして身体疾患に起因する心理的問題についての知識を修得し、身体面から心理的問題を理解することを目的とする。その目的を達成するため、第1回から第4回までを人体の構造と機能を理解するコマとする。具体的には、第1回で「身体の基本(細胞と組織」、第2回で「中枢・末梢神経と感覚器系」、第3回で「消化器、呼吸器、循環器系」、第4回で「泌尿器・内分泌系」を学ぶ。中盤以降の第6回から第14回までを身体疾患に起因する心理的問題について学ぶコマとする。具体的には、第6回で「がん」、第7回で「緩和ケア・遺族ケア」、第8回で「高次脳機能障害」、第9回で「循環器系疾患」、第10回で「糖尿病」、第11回で「腎不全」、第12回で「周産期・小児医療」、第13回で「臓器移植」、第14回で「難病」について学ぶ。
本講義は、がんという疾患の成因、疫学、がん患者が抱える心理的問題、その支援について学び、がん患者への支援の実態について理解する。

細目①
厚生労働省(2019). 令和元年(2019) 人口動態統計月報年計(概数)の概況
鈴木伸一(2016). からだの病気のこころのケア, 18-29, 北大路書房

細目②、③
鈴木伸一(2008). 医療心理学の新展開-チーム医療に活かす心理学の最前線-, 20-32, 北大路書房
コマ主題細目 ① 悪性新生物(がん) ② がん患者が抱える心理的問題 ③ がん患者に対する支援
細目レベル ① がんについての疫学や、がん細胞が持つ特徴を説明し、がんという疾患について理解する。
2019年の日本の総死亡者数は1,381,098人である。死因順位別にみると、第一は悪性新生物、つまりがんである。がんによる死者数は376,392人で全死亡者数の約27.3%を占め、国民の3人に1人はがんで死亡している。この値は、死因第2位である心疾患の15.0%の約2倍となっており (厚生労働省,2019)、いかにがんが日本人にとって身近な疾患かということがうかがえる。
悪性新生物、悪性腫瘍と呼ばれるものががんと総称される。がんとは、体内の細胞が自律的でとどまることなく増殖する腫瘍を指す。体内の細胞は、秩序正しく、配置や増殖がコントロールされるが、がんはそのコントロールを離れ、無限に増殖する細胞の集積(腫瘍)である。がんは、他の細胞の塊に入っていき、そこで増殖を繰り返す。前者の機能を浸潤と呼び、後者の機能を転移と呼ぶ。これらを繰り返すことで、もともと一か所にあったがんは他の細胞、つまり臓器へと転移する。さらに、肉眼的にはがんを切り取ったとしても、体内に残り続けている細胞が増殖し、再発するという特徴を持つ。

② がん患者を取り巻く問題は、身体的な問題や精神的な問題だけでない。生き方に関わる実存的問題、家族や友人とのコミュニケーションの問題、就労や経済などの社会・経済的問題など多様である。そのような多様な問題を抱えるがん患者を支援するため、以下の問題について検討することが必要である。
まずは、がんへの罹患やそれに伴う実存的・経済的問題によって生じる心理社会的苦痛である。次に、身体症状、精神症状である。がん患者に生じやすい身体症状として、疼痛、倦怠感、食欲不振、便秘、呼吸困難、嘔心・嘔吐、浮腫、発熱が挙げられる。これらの身体症状は、がんにより直接的にもたらされることもあれば、がん治療として実施された化学療法についての副作用として生じる場合がある。次に、心理師が出会うがん患者が抱える精神症状で頻度の高いものは、適応障害、うつ病、せん妄があげられる。これらの精神症状に関する知識は、がん患者への支援を行う際に必須のものとなる。
がんによってもたらされる問題とその性質や特徴を説明し、それらに対する理解を深める。

③ がん患者に対する心理支援は生物学的、社会的、心理的側面と多岐にわたる。各側面をアセスメントする枠組みとともに、支援について理解する。
がんを抱える患者への心理支援を考える上で重要なのは、身体症状、精神症状などの生物学的な問題、生活や経済面などの社会的問題について検討した上で、心理的問題を仮定し、心理支援を検討することである。
がん患者は身体症状や精神症状を抱きやすいだけでなく、がんに罹患したことにより生活面で変化が生じる。それは生活や経済的問題として現れ、治療にかかる高額な費用や仕事を退職することに伴う収入減などの金銭的問題が生じる。このことがきっかけとなり家族へ余分な負担をかけるのではと悩む患者も多い。このように社会的問題により、心理的問題が生じることもある。がん患者の心理支援に関わる心理師には、まず生物学的問題や社会的問題についてアセスメントすることが求められ、そのような問題がある場合には、必要な治療や社会福祉による支援につなぐ必要がある。生物学的問題や社会的問題をクリアしても伴う心理的問題に対する支援を心理師は担う。

キーワード ① がんの疫学 ② 身体症状 ③ 精神症状 ④ 社会経済的問題 ⑤ 心理支援
コマの展開方法 社会人講師 AL ICT PowerPoint・Keynote 教科書
コマ用オリジナル配布資料 コマ用プリント配布資料 その他 該当なし
小テスト 「小テスト」については、毎回の授業終了時、manaba上において5問以上の、当該コマの小テスト(難易度表示付き)を実施します。
復習・予習課題 [復習]
今回はがんについて学んだ。がんは身体疾患であり、身体症状や精神症状が生じる。がんに付随しやすい身体症状、そして精神症状として特に生じやすい適応障害、うつ症状、せん妄について説明できるようにする。また、がん患者はこれら症状だけでなく、実存的、社会経済的な問題にも直面することが多い。がん患者が直面する実存的、社会経済的問題がどのようなもので、その問題に対し、どのような心理支援を行うことができるかを理解する。
[予習]
今回から人体の各器官に生じる、いわゆる身体疾患について学ぶ。初回はがんについてである。まずはこれまで同様、シラバスを熟読する。また、がんに罹患した人に対して、自分が公認心理師として接することを想定した場合に、どのような心理支援が可能かを想像しておく。そうすることにより、講義の内容がより理解しやすくなる。

7 緩和ケア・遺族ケア 科目の中での位置付け この科目は人体の構造と機能、そして身体疾患に起因する心理的問題についての知識を修得し、身体面から心理的問題を理解することを目的とする。その目的を達成するため、第1回から第4回までを人体の構造と機能を理解するコマとする。具体的には、第1回で「身体の基本(細胞と組織」、第2回で「中枢・末梢神経と感覚器系」、第3回で「消化器、呼吸器、循環器系」、第4回で「泌尿器・内分泌系」を学ぶ。中盤以降の第6回から第14回までを身体疾患に起因する心理的問題について学ぶコマとする。具体的には、第6回で「がん」、第7回で「緩和ケア・遺族ケア」、第8回で「高次脳機能障害」、第9回で「循環器系疾患」、第10回で「糖尿病」、第11回で「腎不全」、第12回で「周産期・小児医療」、第13回で「臓器移植」、第14回で「難病」について学ぶ。
本講義は、がんの支援の文脈で重要視されるサイコオンコロジーや緩和ケアの考え方、そして患者を亡くした遺族への支援の実態について理解する。

細目①
サイコオンコロジー学会HP:サイコオンコロジーとは | 日本サイコオンコロジー学会 (jpos-society.org).
鈴木伸一(2008). 医療心理学の新展開-チーム医療に活かす心理学の最前線-, 20-32, 北大路書房.

細目②
鈴木伸一(2008). 医療心理学の新展開-チーム医療に活かす心理学の最前線-, 20-32, 北大路書房
コマ主題細目 ① サイコオンコロジー ② 緩和ケア ③ 遺族ケア
細目レベル ① サイコオンコロジーに基づく臨床実践の実際を把握するだけでなく、臨床実践のニーズの高まりの背景にある政策について理解する。
サイコオンコロジーとは、心の研究をおこなう精神医学・心理学(サイコロジー)とがんの研究をする腫瘍学(オンコロジー)を組み合わせた用語で、精神腫瘍学と訳される。サイコオンコロジーは、がんの人間学的側面を明らかにすることを目的に、すべての病期にある患者やその家族・介護者の情緒的な反応、発症率や死亡率に影響を与える心理的・行動的・社会因子を扱う学問である。
2007年にがん対策基本法が施行され、それに基づき厚生労働省が定めたがん対策基本計画では、75歳未満がん死亡率を20%削減すること、そして患者家族の苦痛を軽減して生活の質(Quality of life:以下QOL)の維持向上することが明記されている。これにより、サイコオンコロジーと後述する緩和ケアの重要性はますます高まっている。

② 緩和ケアとはどのようなもので、緩和ケアにおいて心理師が求められる役割を理解する。
世界保健機構(2002)によると、緩和ケアとは、生命を脅かす病に関連する問題に直面している患者とその家族のQOLを、痛みやその他の身体的・心理社会的・スピリチュアルな問題を早期に見出し的確に評価を行い対応することで、苦痛を予防し和らげることを通して向上させるアプローチと定義される。
厚生労働省は、全国各地で質の高いがん診療が提供できるよう、さらにがん診療の支援や連携を推進するため、全国にがん診療連携拠点病院を整備している。がん診療連携拠点病院の指定要件の中には、緩和ケアの提供体制に関する項があり、その中には「緩和ケアチームに協力する薬剤師及び医療心理に携わる者をそれぞれ1人以上配置することが望ましい」という記載がある。つまりがん患者とその家族のQOLの向上に心理師の役割が期待されている。

③ 遺族に対して生じやすい問題を整理し、どのような心理支援が有効かを理解する。
緩和ケアでは、本人だけでなく、家族のケアを行う。本人に対する支援については、前回の講義で扱っている。ここでは、家族に対するケアとして、特に遺族ケアについて扱う。がんに対する治療法が進歩している昨今においても、日本人の約3人に1人はがんで死亡している現状がある。がん患者の死によって影響を受ける遺族は少なくない。
死別が遺族に影響を及ぼす側面として、身体面・精神面・社会面の3つの側面がある。身体面では、心疾患や高血圧などの新たな身体疾患への罹患や食生活の変化、アルコール、たばこの消費量の増加などが指摘されている。次に精神面であるが、うつ病の有病率が上昇すること、自殺の危険性が上昇することなどが挙げられる。最後に、社会面であるが、社会活動への参加を回避し、自宅へひきこもるなどの行動の変化があり、友人関係を維持することや新しい関係性を築くことが困難になるとの指摘がある。

キーワード ① サイコオンコロジー ② サイコオンコロジスト ③ 緩和ケア ④ がん診療連携拠点病院 ⑤ 遺族ケア
コマの展開方法 社会人講師 AL ICT PowerPoint・Keynote 教科書
コマ用オリジナル配布資料 コマ用プリント配布資料 その他 該当なし
小テスト 「小テスト」については、毎回の授業終了時、manaba上において5問以上の、当該コマの小テスト(難易度表示付き)を実施します。
復習・予習課題 [復習]
今回の講義では、まずサイコオンコロジーや緩和ケアの考え方について学んだ。サイコオンコロジーとはどのような学問が融合したもので、サイコオンコロジーが学問の対象とするのはどのようなものかを理解する。そして、緩和ケアの対象がどのような病期の患者であるかを押さえる。また、がん診療連携拠点病院が担う機能とその中で公認心理師が担う働きについて理解する。最後に、遺族ケアとして、遺族に生じやすい問題を、身体・精神・社会面から整理できるよう復習する。
[予習]
まずは第7回のシラバスを熟読する。サイコオンコロジーや緩和ケアはがん患者に対する支援を考える上で、重要な概念である。一方で、今までの生活の中でこのような単語を聞いたことがなく、初めて耳にする受講生も多いと思われる。今回は、がん対策基本法やがん診療連携拠点病院に特に焦点を当て、インターネットや図書館の関連する書籍を読んで調べる。特にがん診療連携拠点病院の設置基準に着目して、その基準について調べる。
また、今回は遺族ケアについても学ぶ。ここについては、もし、自分の大切な人が自分より先に亡くなった時のことを想像し、その時どのような気持ちや感情を抱くか、どのような行動を取りやすいかをメモしてから講義に臨む。そのような事前の準備があれば、講義で紹介する遺族の気持ちやそこに対する心理職としてのケアに関する学びはより実態を伴ったものとなる。

8 高次脳機能障害 科目の中での位置付け この科目は人体の構造と機能、そして身体疾患に起因する心理的問題についての知識を修得し、身体面から心理的問題を理解することを目的とする。その目的を達成するため、第1回から第4回までを人体の構造と機能を理解するコマとする。具体的には、第1回で「身体の基本(細胞と組織」、第2回で「中枢・末梢神経と感覚器系」、第3回で「消化器、呼吸器、循環器系」、第4回で「泌尿器・内分泌系」を学ぶ。中盤以降の第6回から第14回までを身体疾患に起因する心理的問題について学ぶコマとする。具体的には、第6回で「がん」、第7回で「緩和ケア・遺族ケア」、第8回で「高次脳機能障害」、第9回で「循環器系疾患」、第10回で「糖尿病」、第11回で「腎不全」、第12回で「周産期・小児医療」、第13回で「臓器移植」、第14回で「難病」について学ぶ。
本講義は、高次脳機能障害の成因、疫学、高次脳機能障害患者が抱える心理的問題、その支援について学び、高次脳機能障害患者への支援の実態について理解する。

細目④
鈴木伸一(2016). からだの病気のこころのケア,257-271, 北大路書房
コマ主題細目 ① 脳機能と認知機能との関連 ② 高次脳機能障害 ③ 高次脳機能障害のアセスメント ④ 高次脳機能障害の支援
細目レベル ① ここでは、脳部位とその部位が司る能力との対応を理解する。
私たちは日常の中で、読書をしたり、他者と会話をしたり、仕事をしたり、スポーツをしたりと様々な活動を行う。では、各活動にはどのような能力がかかわっているのだろうか。例えば、読書をすることであれば、文字や単語を認識し、会話の意味を理解することや文章に注意を向けることが関わっている。次に他者との会話を考えてみると、相手の話したことを理解することや相手の話を聞きながら物事を考えること、表情や動作から相手の気持ちや意図を理解することが必要である。ここに挙げた様々な活動の基盤となる能力は、脳の各領域によって制御を受ける。読書を例にとると、文字や単語の認識は後頭葉、会話の意味を理解することには側頭葉、文章に注意を向けることには前頭葉が関わっている。このように脳には、様々な能力を司る領域が想定されている。脳が何かしらの外傷を受けた場合には、損傷を受けた各領域が司る能力に支障が生じる。

② ここでは、高次脳機能障害の診断基準とともに、関連する福祉サービスについて理解することを目的とする。
脳の損傷の結果生じる様々な後遺症の中で、失行、失認、失語、記憶障害、注意障害、遂行機能障害、社会的行動障害などの認知障害を高次脳機能障害と呼ぶ。
脳の損傷の原因としては、外傷性脳損傷、脳血管障害、低酸素脳症、その他が挙げられる。高次脳機能障害は、症状の現れ方が多岐にわたるが、それは損傷する脳部位によって障害される認知能力が異なるためである。そのため、高次脳機能障害の支援に関わる支援者には、脳部位とその部位が司る能力との対応を把握しておく必要がある。
2001年に厚生労働省によって開始された高次脳機能障害支援モデル事業で収集されたデータを解析した結果をもとに、行政的な高次脳機能障害についての診断基準も整理されている。行政的な診断基準に基づき、高次脳機能障害が診断されると、精神障害者手帳が交付され、医療的・福祉サービスの利用が可能となる。

③ 高次脳機能障害のアセスメントに用いられている代表的な神経心理学検査と多角的なアセスメント方法ついて理解する。
前述の通り、高次脳機能障害の症状の現れ方は、損傷した脳部位によって異なる。では、生じた症状の重症度をどのように測定すればよいのだろうか。ここで使用するのが神経心理学検査である。神経心理学検査は、注意、記憶、言語流暢性、遂行機能などの神経認知機能を測定する検査である。標準化された神経心理学検査を用いることにより、年齢相応、つまり同年齢集団の平均からどの程度離れているかを測定でき、認知機能の損傷の程度を把握することができる。また、損傷の程度と同時に残存する認知機能を把握することも重要である。損傷した認知機能、残存する認知機能を把握することは、今後の高次脳機能障害のリハビリテーションを実施する上で重要なアセスメントとなる。
高次脳機能障害のアセスメントは神経心理学検査だけでなく、患者の主訴や家族からの聞き取り、そして患者の日常生活の観察など多面的なアセスメントを実施することで、より患者の生活の質を向上させる支援に向けたアセスメントが可能となる。

④ 認知リハビリテーションでどのようなことが行われているかの実際を把握し、現場での実際の認知リハがどのようなものか具体的にイメージできるようになることを目指す。
高次脳機能障害患者に対するリハビリテーションは、認知リハビリテーション(以下、認知リハ)と呼ばれている。高次脳機能障害患者に対する認知リハは、主に回復と補償に分類される。
回復に焦点を当てたアプローチは、ターゲットとなる認知機能を用いる課題を反復訓練し、回復を目指す。一方、補償的アプローチは、高次脳機能障害によって生じた認知機能の障害を保証するような代替的な行動や補助スキルを発展させることを目的に行われる。認知リハは、両アプローチを用いて、高次脳機能障害患者の認知機能の改善および障害と適切に付き合う方法を学ぶことで、社会復帰を目指す過程である。

キーワード ① 脳の機能局在 ② 高次脳機能障害 ③ 認知リハビリテーション ④ 神経心理検査 ⑤ 精神障害者福祉手帳
コマの展開方法 社会人講師 AL ICT PowerPoint・Keynote 教科書
コマ用オリジナル配布資料 コマ用プリント配布資料 その他 該当なし
小テスト 「小テスト」については、毎回の授業終了時、manaba上において5問以上の、当該コマの小テスト(難易度表示付き)を実施します。
復習・予習課題 [復習]
今回の講義では、高次脳機能障害とはどのような障害で、なぜ同じ障害を負った患者であっても出現する症状が異なるのか、またその症状の重症度をどのように測定し、その結果に応じてどのような支援ができるのかを学んだ。復習では、どうして同じ疾患名であるのに、患者によって生じる症状が異なるのかを説明できるようになることが最も重要である。そのためには、脳の機能局在を理解する必要があり、特に、前頭葉、後頭葉、側頭葉、頭頂葉が担う機能を復習する。
[予習]
今回は高次脳機能障害について学ぶ。まずはシラバスを熟読する。高次脳機能障害という言葉を聞いたことがない学生も多いのではないか。脳という物は一つであるが、実はさまざまな領域に分けることができる。前頭葉、側頭葉、後頭葉、頭頂葉などは代表的な分け方である。予習として、先述した4つの領域がどのような機能を司っているのかを、インターネットや図書館で関連する書籍を用いて調べる。脳の各領域と各機能の繋がりについて知っておくことで高次脳機能障害という同じ疾患名にもかかわらず、なぜ異なる症状が出現するのかの理解が容易になる。また、脳の各領域が司る機能のことを“認知機能”と表現するHPや書籍がある。その点に注意して検索する。

9 循環器系疾患 科目の中での位置付け この科目は人体の構造と機能、そして身体疾患に起因する心理的問題についての知識を修得し、身体面から心理的問題を理解することを目的とする。その目的を達成するため、第1回から第4回までを人体の構造と機能を理解するコマとする。具体的には、第1回で「身体の基本(細胞と組織」、第2回で「中枢・末梢神経と感覚器系」、第3回で「消化器、呼吸器、循環器系」、第4回で「泌尿器・内分泌系」を学ぶ。中盤以降の第6回から第14回までを身体疾患に起因する心理的問題について学ぶコマとする。具体的には、第6回で「がん」、第7回で「緩和ケア・遺族ケア」、第8回で「高次脳機能障害」、第9回で「循環器系疾患」、第10回で「糖尿病」、第11回で「腎不全」、第12回で「周産期・小児医療」、第13回で「臓器移植」、第14回で「難病」について学ぶ。
本講義は、循環器系疾患である心臓疾患の成因、疫学、心臓疾患患者が抱える心理的問題、その支援について学び、心臓疾患患者への支援の実態について理解する。

細目①
櫻田忍・櫻田司(2002). 機能形態学, 186-188, 南江堂.

細目②
鈴木伸一(2008). 医療心理学の新展開-チーム医療に活かす心理学の最前線-, 33-41, 北大路書房

細目③
Procheska, J, O., Velicer, W, F. (1997). The transtheoretical model of health behavior change. Am J Health Promot 12(1), 38-48.
コマ主題細目 ① 循環器疾患 ② 心臓疾患患者が抱える心理的問題 ③ 心臓疾患患者に対する支援
細目レベル ① ここでは、各種心臓疾患の疫学と治療法について理解する
循環とは、体内で必要な酸素と栄養分を核細胞に運び、細胞から放出される二酸化炭素と総廃物を集め、排出することを言う。主に血液がその働きをしており、血液循環を司る臓器は心臓である。ここでは、循環器疾患として心臓疾患を取り上げる。
主な心臓疾患は、冠動脈疾患、不整脈、心筋疾患などである。これらの心臓疾患は、その重症度にもよるが突然の発作による強い苦痛や死への恐怖がもたらされる。また、心臓の機能低下によって、運動や食事が制限されるなど社会機能に影響する。
心臓疾患に対する治療として、心臓補助機器(ペースメーカーや植込型除細動器)の植込み、カテーテル治療、心臓移植などの治療法が導入されており、予後の改善に効果を上げている。

② ここでは、心臓疾患への罹患のリスクファクターとなる心理的要因と罹患後に抱える心理的問題について理解する。
まず、心臓疾患と心理社会的なリスクファクターを検討する先駆けとなったタイプA行動パターンについて説明する。タイプA行動パターンとは、心理行動特性であり、この特徴を持つものは心臓疾患への罹患リスクが高いことが明らかにされた。しかし、その後の研究でタイプA行動パターンと心臓疾患リスクの関連は十分に支持されなかった。その後、タイプA行動パターン以外の心理的特性との関連が検討され、いくつかの心理的要因が心臓疾患のリスクファクターとなることが示されている。
また、心臓の動きが停止すると死に直結するということは誰もが知っている。心臓疾患を抱えることは心臓の動きが停止するかもしれないという不安や恐怖が付きまとう。心臓疾患と告知された場合には、抑うつ症状、不安症状などが生じる患者が多い。

③ ここでは、トランスセオレティカルモデルに基づく予防教育と心臓疾患に関するチーム医療の中で心理師が担う役割について理解する。
心臓疾患を抱える患者への心理支援として、まずは心臓疾患の予防と罹患後に生じる心理的問題として抑うつ症状、不安症状に対する段階別支援について整理する。
予防段階では、前述のリスクファクターに対する支援について学ぶ。予防の難しさとして、予防の必要性を感じていない人に対してどのように予防に関する知識の普及を行うかということが挙げられる。ここでは、健康行動の獲得に関する理論モデルとして、トランスセオレティカルモデル(Prochaska & Velicer, 1997)を取り上げ、そのモデルに則して心臓疾患患者を抱えた患者に対する予防教育について学ぶ。
次に罹患後に生じやすい抑うつ症状や不安症状へは、薬物療法だけでなく、それらの症状をセルフ・コントロールできるようになることが重要である。つまり、医師や薬剤師、心理師がチームで医療にかかわる必要がある。

キーワード ① 心臓疾患 ② タイプA行動 ③ リスクファクター ④ トランスセオレティカルモデル
コマの展開方法 社会人講師 AL ICT PowerPoint・Keynote 教科書
コマ用オリジナル配布資料 コマ用プリント配布資料 その他 該当なし
小テスト 「小テスト」については、毎回の授業終了時、manaba上において5問以上の、当該コマの小テスト(難易度表示付き)を実施します。
復習・予習課題 [復習]
今回の講義では、循環器系疾患の中でも心臓疾患を取り上げた。まずは、心臓疾患の中でも冠動脈疾患、不整脈、心筋疾患でどのような症状が出現するかを押さえる。次に、従来の研究でリスクファクターとして、考えられていたタイプA行動がどのような認知・行動的特徴から構成される概念かを理解する。最後に、トランスセオレティカルモデルの各段階に基づき、その段階に応じてどのような支援を行うことが可能かを説明できるように復習する。
[予習]
今回は心臓疾患について学ぶ。まずはシラバスを熟読する。次に、自分なりに心臓疾患にかかりやすくなる要因について考えてみる。考える際には、生活面、運動面、食事面、精神面の4つの観点がヒントになる。要因について自分なりに考え、まとめておくことで、講義で紹介される各種疾患に対する予防を考えるために重要なトランスセオレティカルモデルがより理解しやすくなる。

10 糖尿病 科目の中での位置付け この科目は人体の構造と機能、そして身体疾患に起因する心理的問題についての知識を修得し、身体面から心理的問題を理解することを目的とする。その目的を達成するため、第1回から第4回までを人体の構造と機能を理解するコマとする。具体的には、第1回で「身体の基本(細胞と組織」、第2回で「中枢・末梢神経と感覚器系」、第3回で「消化器、呼吸器、循環器系」、第4回で「泌尿器・内分泌系」を学ぶ。中盤以降の第6回から第14回までを身体疾患に起因する心理的問題について学ぶコマとする。具体的には、第6回で「がん」、第7回で「緩和ケア・遺族ケア」、第8回で「高次脳機能障害」、第9回で「循環器系疾患」、第10回で「糖尿病」、第11回で「腎不全」、第12回で「周産期・小児医療」、第13回で「臓器移植」、第14回で「難病」について学ぶ。
本講義は、糖尿病の成因、疫学、糖尿病患者が抱える心理的問題、その支援について学び、糖尿病患者への支援の実態について理解する。

細目①
厚生労働省(2018). 厚生労働白書, 79.

細目②
鈴木伸一(2006). 医療心理学の新展開 チーム医療に活かす心理学の最前線, 42-56, 北大路書房.

細目③
金外淑・坂野雄二(1996). 慢性疾患患者に対する認知行動的介入, 心身医学, 36(1), 27-32.
木村穣(2007). メタボリックシンドロームに対する具体的介入方法, Medicina, 44(11), 2033-2035.
コマ主題細目 ① 糖尿病 ② 糖尿病患者の抱える心理的問題 ③ 糖尿病患者に対する支援
細目レベル ① ここでは、糖尿病の疫学、Ⅰ型Ⅱ型糖尿病の原因、病態、治療方針、合併症について理解する。
糖尿病とは、血液中の糖(グルコース)濃度(血糖値)が高くなる代謝性疾患である。厚生労働省(2018)によると、2016年の時点で糖尿病が強く疑われる人は約1,000万人、糖尿病の可能性が否定できない人は約1,000人であり、罹患している可能性のある人まで含めると患者数は約2,000万人にものぼる。
病理学的に糖尿病は、大きくⅠ型とⅡ型に分けられる。Ⅰ型とⅡ型では、その原因、病態、治療方針が明らかに異なっているため、それぞれに関する知識を身に着ける必要がある。
Ⅰ型、Ⅱ型問わず、糖尿病に特有の合併症は、糖尿病網膜症、糖尿病腎症、糖尿病性神経障害である。これらは、各臓器へ栄養を送っている血管が障害されることで生じる。これらの合併症のリスクだけでなく、高血糖状態が進行させる動脈硬化の結果として、虚血性の心疾患や脳血管障害のリスクが高まる。

② ここでは、糖尿病の発症が患者に及ぼす影響、患者の精神状態が糖尿病に及ぼす影響について理解する。
糖尿病患者の心理的苦痛として、糖尿病の発症が患者の心理状態に及ぼす影響、そして患者の心理状態が糖尿病に及ぼす影響が検討されている。
糖尿病の発症が患者の心理状態に及ぼす影響として、病気に対する誤った思い込みが心理的状態に影響する。特にⅡ型糖尿病に関しては、その発症は維持過程において、食事や運動などの生活習慣の関与が認められる。自らの生活習慣を無理にコントロールすることにより、生活全体に対する意欲を低下させてしまい、治療をドロップアウトすることもある。
次に、患者の心理状態が糖尿病に及ぼす影響であるが、糖尿病は他の慢性身体疾患同様、うつ症状や不安症状が生じやすい。抑うつ気分や不安状態が生じた結果、意欲の低下が生じ、積極的に治療に取り組むことが困難となるケースもある。

③ ここでは、糖尿病患者に対する各種療法と、糖尿病患者のセルフ・コントロールを高める心理支援について理解する。
糖尿病の治療には、食事療法、運動療法、薬物療法が挙げられる。
食事療法は、身長から算出した標準体重に身体活動度などを考慮した係数をかけて算出した適正なエネルギー量の食事をとることが求められる。運動療法では、患者の状態に合わせた運動プログラムが準備される。そのプログラムを実施することで、インスリン抵抗性を改善し、血糖値の改善を目指す。食事療法や運動療法で良好な血糖コントロールが得られない場合、薬物療法がおこなわれる。
上記の治療法の中でも特に食事療法と運動療法は行動のセルフ・コントロールがかかせない。金・坂野(1996)では、糖尿病患者に対して認知行動療法を行い対処行動の自己効力感が向上することを示している。また、木村(2007)では、糖尿病患者ではないが、肥満患者に対する認知行動療法を実施することの減量効果が示されている。

キーワード ① 糖尿病 ② 肥満 ③ 自己効力感 ④ 運動療法 ⑤ 食事療法
コマの展開方法 社会人講師 AL ICT PowerPoint・Keynote 教科書
コマ用オリジナル配布資料 コマ用プリント配布資料 その他 該当なし
小テスト 「小テスト」については、毎回の授業終了時、manaba上において5問以上の、当該コマの小テスト(難易度表示付き)を実施します。
復習・予習課題 [復習]
今回の講義では、糖尿病について学んだ。まずは、糖尿病の種類として1型、2型糖尿病の病因の違いについて理解する。次に共通して出現する症状がどのようなものがあるかを説明できるよう、症状を押さえる。最後に、糖尿病の支援として、運動療法や食事療法などがあるが、それらの治療を続けるためには、自己効力感という視点が重要である。自己効力感を、効力予期、結果予期という2つの単語を使用して説明できるよう、復習する。
[予習]
ここでは、糖尿病について理解する。まずはシラバスを熟読する。糖尿病という疾患名を、生活習慣病とセットに一度は耳にしたことがある学生も多いのではないだろうか。実は糖尿病にはⅠ型、Ⅱ型と大きく2種類のタイプに分類することができる。生活習慣が大きく関連するものとそうでないものといった違いがある。今回の予習は、Ⅰ型、Ⅱ型糖尿病の違いをインターネットや図書館の書籍を利用して調べる。

11 腎不全 科目の中での位置付け この科目は人体の構造と機能、そして身体疾患に起因する心理的問題についての知識を修得し、身体面から心理的問題を理解することを目的とする。その目的を達成するため、第1回から第4回までを人体の構造と機能を理解するコマとする。具体的には、第1回で「身体の基本(細胞と組織」、第2回で「中枢・末梢神経と感覚器系」、第3回で「消化器、呼吸器、循環器系」、第4回で「泌尿器・内分泌系」を学ぶ。中盤以降の第6回から第14回までを身体疾患に起因する心理的問題について学ぶコマとする。具体的には、第6回で「がん」、第7回で「緩和ケア・遺族ケア」、第8回で「高次脳機能障害」、第9回で「循環器系疾患」、第10回で「糖尿病」、第11回で「腎不全」、第12回で「周産期・小児医療」、第13回で「臓器移植」、第14回で「難病」について学ぶ。
本講義は、腎不全の成因、疫学、腎不全患者が抱える心理的問題、その支援について学び、腎不全患者への支援の実態について理解する。

鈴木伸一(2006). 医療心理学の新展開 チーム医療に活かす心理学の最前線, 57-69, 北大路書房.

細目③
坂野雄二(2002). セルフ・エフィカシーの臨床心理学, 119-130, 北大路書房.
中村菜々子・三輪雅子・平井啓・谷向仁・佐々木淳・五十嵐友里・堀川直史(2014). 医療従事者が人工透析患者の心理的ケアにおいて必要なスキルのニーズ調査, 第9回生活習慣病認知行動療法研究会プログラム・抄録集, 14.
Grossman, Y. H., Brink, S., Hauser, T. S.(1987). Self-efficacy in adolescent girls and boys with insulin-dependent diabetes mellitus. Diabetes Care, 10(3), 324-333.
Schneider, M. S., Friend, R., Whitaker, P., Wadhwa, N. K.(1991). Fluid non-compliance and symptomatology in end-stage renal disease : Cognitive and emotional variables. Health psychology, 10, 209-215.
コマ主題細目 ① 腎不全 ② 腎不全患者が抱える心理的問題 ③ 腎不全患者に対する支援
細目レベル ① ここでは、腎不全に至る要因や症状、治療法としての食事療法、透析治療について理解する。
腎不全とは、腎臓疾患の一種で、腎機能が失われ、やがて生命の維持が困難となる疾患である。腎不全には、急性腎不全と慢性腎不全の2種類がある。急性腎不全は、数時間から数日で急速に腎機能が低下した状態であり、後述の血液透析により、大部分は数週間で回復する。一方で、慢性腎不全は、数年から数十年にかけて徐々に腎機能が低下し、腎不全に陥った状態を指す。日本での患者数は393万人である(厚生労働省, 2019)。
腎不全による症状としては、消化器症状や循環器症状だけでなく、精神症状も生じる。慢性の腎不全に陥ると腎機能の回復は不可能であり、食事療法や安静などによって残された機能の維持する保存療法が行われる。しかし、それでも腎機能は低下していき、透析治療を実施しないと生命維持は困難となる。

② 慢性腎不全患者が抱える心理的問題を治療段階に分けて整理し、段階ごとに生じる心理的問題を理解する。
腎不全患者が抱える心理的問題は、腎不全に対する各治療段階で異なっている。ここでは、腎不全保存期、末期腎不全から透析期の2期に分けて腎不全患者が抱える心理的問題を整理する。
まず、腎不全保存期である。この期の特徴は、腎機能の低下は見られるものの自覚症状は少ない。治療の中心は食事療法と服薬となる。医療者から行動管理における指導を受ける立場となり、病気の悪化に対する不安だけでなく、生活や検査数値をコントロールできない場合には、自責感を感じやすい。
次に末期腎不全から透析期である。末期腎不全期には、透析に忌避感情を持つ患者が少なくない。人工臓器に関する負のイメージが、透析を避けたい気持ちにつながる。また、透析期では、血液透析のために、週に数回施設に通う必要がでてくる。処置に伴う痛みだけでなく、自由の制限も心理的苦痛につながる。

③ ここでは、糖尿病の治療と同様、自己効力感という概念に焦点を当て、実際の心理支援について症例報告(坂野, 2002)を用いて理解する。
慢性腎不全患者に対する心理支援は、上記の心理的苦痛を理解し、患者の心理支援に対するニーズを把握した上で行う必要がある。ここでは、中村(2014)の調査をもとにまずは患者の心理支援に対するニーズの把握を行う。
腎不全保存期、末期腎不全から透析期の2期にかけて、患者は自己の行動をコントロール(セルフコントロール)することを求められる。自己効力感を心理支援の介入ターゲットとして用いた研究では、それらの介入を行うことで、食事や飲水などの治療に関するセルフコントロールや血糖値などのコントロールも良好であるという報告、さらには不安症状や抑うつ症状の軽減につながるという報告がある(Grossman et al, 1987;Schneider et al, 1991)。

キーワード ① 腎不全 ② 透析治療 ③ 自己効力感 ④ 腎不全患者の抱える心理的問題
コマの展開方法 社会人講師 AL ICT PowerPoint・Keynote 教科書
コマ用オリジナル配布資料 コマ用プリント配布資料 その他 該当なし
小テスト 「小テスト」については、毎回の授業終了時、manaba上において5問以上の、当該コマの小テスト(難易度表示付き)を実施します。
復習・予習課題 [復習]
今回の講義では、腎不全について学んだ。腎不全には、急性腎不全と慢性腎不全の大きく2つに分類できる。各腎不全の違いを、経過と出現する症状、治療法の3つの観点から説明できるように復習する。さらに、腎不全保存期と末期腎不全期での各支援法・治療法について押さえる。腎不全保存期では、食事療法や運動療法の維持が重要となってくるが、ここでは前回学んだ自己効力感が治療の維持と関連する。自己効力感をターゲットとした心理支援について復習する。最後に腎不全が慢性化すると透析治療を受ける必要が生じる。透析治療に伴って生じることが多い心理的問題について押さえる。
[予習]
今回は腎不全について学ぶ。まずはシラバスを熟読する。そして、第3回の配布資料を使用し、腎臓の働きについて復習する。それにより、腎不全となった際にどのような症状が出るのかの理解が容易になる。また、腎不全が慢性化した場合の治療法として透析治療がある。透析治療とはどのような治療法かを調べて、透析治療を受けることで患者の心理面にどのような影響が生じるか想像する。この想像をすることで、講義で扱う腎不全患者に生じる心理的問題やその支援法がより具体的にイメージしやすくなる。

12 周産期・小児医療 科目の中での位置付け この科目は人体の構造と機能、そして身体疾患に起因する心理的問題についての知識を修得し、身体面から心理的問題を理解することを目的とする。その目的を達成するため、第1回から第4回までを人体の構造と機能を理解するコマとする。具体的には、第1回で「身体の基本(細胞と組織」、第2回で「中枢・末梢神経と感覚器系」、第3回で「消化器、呼吸器、循環器系」、第4回で「泌尿器・内分泌系」を学ぶ。中盤以降の第6回から第14回までを身体疾患に起因する心理的問題について学ぶコマとする。具体的には、第6回で「がん」、第7回で「緩和ケア・遺族ケア」、第8回で「高次脳機能障害」、第9回で「循環器系疾患」、第10回で「糖尿病」、第11回で「腎不全」、第12回で「周産期・小児医療」、第13回で「臓器移植」、第14回で「難病」について学ぶ。
本講義は、周産期医療と小児医療について学び、周産期の女性や小児への支援の実態について理解する。

細目①
前川素子・大西哲生・吉川武男(2012). DOHaD(Developmental origins of health and disease)仮説からみた統合失調症, 日本生物学的精神医学会誌, 23(2), 103-107.

細目②
厚生労働省(2020). 令和2年(2020年)人口動態統計月報年計(概数)の概況. 38-39.
鈴木伸一(2016). からだの病気のこころのケア,39-44, 北大路書房.

細目③
鈴木伸一(2008). 医療心理学の新展開-チーム医療に活かす心理学の最前線-, 70-79, 北大路書房.
コマ主題細目 ① 周産期医療 ② 小児医療 ③ 小児医療で見られる心理的問題と支援
細目レベル ① ここでは、周産期に生じる母親の身体的な変化と、母親と胎児・乳児が相互に影響し合い、こどもの成長や成長後の健康に影響するというDOHad仮説を理解する。
周産期とは、妊娠22週目から出産後7日目までを指すが、この講義では、出産前後の特にメンタルヘルスケアが必要な時期という観点から、妊娠判明後から乳児育児期までの期間と定義する。
子どもを妊娠した時から母親には身体的変化が生じる。例えば、妊娠悪阻、乳房の緊満、腹部の増大、胎動の自覚、子宮の周期的な収縮である。妊娠に伴うこのような身体的変化によって、胎児の存在が強く自覚されるようになる。
他方で、母親の生活が胎児へ影響する。例えば、ウイルス感染、化学物質への暴露、薬物、アルコール摂取など、妊婦の生活環境は、胎児の器官形成、発育に強い影響をもたらす。このよう妊婦が抱えるストレスや不安が出生後のこども、そして成人後の生活習慣病への罹患に影響を与えるとする考えはDevelopmental origins of Health and disease(DOHad)仮説と呼ばれる。

② こどもがかかえる慢性疾患は、小児がん、糖尿病、心臓疾患など、これまで成人の疾患として習ったものが多いが、成人とは異なる小児医療特有の医療体制や治療上の特徴について理解する。
こどもが抱える疾患を、先天性疾患、急性疾患、慢性疾患に分類し、各疾患の特徴を把握する。先天性疾患とは、誕生時から外見や臓器の機能異常が生じている疾患のことを指す。染色体や遺伝子の異常、感染症や薬剤など多様な原因による影響を受ける。急性疾患とは、急激に発症し、経過の短い疾患のことである。1歳から4歳の小児の死因第一位は先天奇形等、第二位は悪性新生物、第三位は不慮の事故、第四位は心疾患、第五位にインフルエンザとなっており、成人と異なり、インフルエンザなどの感染症が死因となることが特徴である(厚生労働省, 2020)。慢性疾患は、経過の長い疾患のことであり、症状のケアのために自己の行動をコントロールすることが必要となってくる。ここでは、成人と同様に、糖尿病、小児がんなどが挙げられる。
小児医療でも、予防接種や抗生物質をはじめとした治療法の進歩により、急性疾患が減少し、以前は生命予後が悪かった疾患でも長期生存が可能となった。その場合、幼少期より、病気とともに生きていくこととなる。

③ 慢性疾患を抱えたこどもの心理的問題とその問題に対する心理支援に対する理解を深めることを目的とする。
こどもは心身ともに発達段階であり、保護者のもとで成長するという成人とは異なる特徴を持つ。そのため、例え疾患としては、成人と同じ疾患を有するとしても異なる心理的問題が生じる。ここでは、こどもにみられる心理学的問題として、①身体疾患を抱えた子どもの心理社会的問題、②医療処置における痛みや苦痛の問題、③アドヒアランスの問題、④家族の心理的問題、⑤身体疾患を抱えた子どもの友人関係と学校適応の5つの観点から理解する。
さらに、小児がん、小児糖尿病、小児心臓疾患に対する心理支援に関する研究を概観し、どのような心理的要因や心理支援が上記5つの問題に対して有効な支援となるかを把握する。

キーワード ① 周産期医療 ② DOHad仮説 ③ 小児慢性疾患 ④ 慢性疾患を抱えた小児に見られる心理的問題 ⑤ 小児医療での心理支援
コマの展開方法 社会人講師 AL ICT PowerPoint・Keynote 教科書
コマ用オリジナル配布資料 コマ用プリント配布資料 その他 該当なし
小テスト 「小テスト」については、毎回の授業終了時、manaba上において5問以上の、当該コマの小テスト(難易度表示付き)を実施します。
復習・予習課題 [復習]
今回の講義では、周産期医療、小児医療について学んだ。まずは周産期医療が対象とする問題について理解する。具体的には、周産期とはいつからいつまでを示すのか。周産期ではどのような身体的・精神的変化が生じやすいのかを押さえる。また、胎児期の環境と出生後のこどもの発育との関係を仮定するDOHad仮説について、妊婦が抱えるストレス、こどもの成長後の生活習慣病というキーワードを用いて説明できるように復習する。また、小児医療では、先天性疾患、急性疾患、慢性疾患の当てはまる疾患を一つ挙げ、その疾患の特徴、症状、治療法について説明できるよう復習する。
[予習]
今回の講義は、周産期医療と小児医療について学ぶ。まずはシラバスを熟読する。周産期とは、妊娠、出産、その後数週間の過程のことを意味する。周産期には、母体に身体的変化だけでなく、身体的変化や環境的変化を受けて、精神的変化も生じやすい。周産期に生じる身体的変化と環境的変化について調べる。また、今回は小児医療についても扱う。小児医療といっても、学ぶ疾患は心臓疾患、糖尿病、腎不全などに関わる心理的問題とその支援に関してである。まずは、心臓疾患、糖尿病、腎不全がどのような疾患であったかを、これまで配布した教材を元に復習する。その上で、大人とこどものさまざまな違いから生じる治療上の留意点について考えてみる。

13 臓器移植 科目の中での位置付け この科目は人体の構造と機能、そして身体疾患に起因する心理的問題についての知識を修得し、身体面から心理的問題を理解することを目的とする。その目的を達成するため、第1回から第4回までを人体の構造と機能を理解するコマとする。具体的には、第1回で「身体の基本(細胞と組織」、第2回で「中枢・末梢神経と感覚器系」、第3回で「消化器、呼吸器、循環器系」、第4回で「泌尿器・内分泌系」を学ぶ。中盤以降の第6回から第14回までを身体疾患に起因する心理的問題について学ぶコマとする。具体的には、第6回で「がん」、第7回で「緩和ケア・遺族ケア」、第8回で「高次脳機能障害」、第9回で「循環器系疾患」、第10回で「糖尿病」、第11回で「腎不全」、第12回で「周産期・小児医療」、第13回で「臓器移植」、第14回で「難病」について学ぶ。
本講義は、臓器移植について学び、臓器移植の実態や臓器移植に伴うドナーやレシピエントの心理的問題とその支援について理解する。

細目①、②、③
鈴木伸一(2016). からだの病気のこころのケア,52-63, 北大路書房
コマ主題細目 ① 臓器移植 ② 臓器移植に関する心理的問題 ③ 臓器移植に関する支援
細目レベル ① ここでは、日本における臓器移植の実態とドナーとなるための諸条件を理解する。
臓器移植は臓器を提供する者(ドナー)と提供を受ける者(レシピエント)の両者が存在して初めて成立する。本来、脳死下あるいは心停止下のドナーからの提供が望ましく、健康なドナーの身体に侵襲を加える生体移植はそれを補完すべきであるとされている。しかし、日本では、生体移植が臓器移植の中心を占める。
心臓は脳死下ドナーからの提供以外、選択肢はない。生体移植の対象となるのは、腎臓、肝臓、すい臓、肺、小腸である。では、日本ではどれほど臓器移植が実施されているのだろう。日本移植学会(2020)によると、脳死下、心停止下、生体移植の各条件での全臓器の総移植件数は2,680件となっている。内訳では、腎臓が2,057件、肝臓が395件,心臓が84件と,移植件数の約77%を腎臓が占めている。
また、ドナーとなるための条件として、レシピエントとの関係性、倫理的要件、医学的要件などがある。

② ここでは、ドナーとなる意思決定までの段階、移植手術前、移植手術後と段階を分け、生じやすい心理的問題について整理し、各段階において生じる心理的問題を理解する。
臓器移植にはレシピエントとドナーが存在する。臓器移植と関連する循環器系疾患及び内分泌系疾患患者の心理的問題については、ここまでの講義の中で扱っている。
そのため、ここではドナーの抱える心理的問題について整理する。日本で多い臓器移植は生体移植である。つまり、ドナーは生きたまま臓器を提供する。生体移植を行うまでの意思決定の段階でも心理的問題は生じる。さらに、移植前にも手術に関する不安等、移植後には自身の健康の不安やレシピエントの健康状態に対する不安等を抱える。

③ ここでは、臓器を提供しないことを決めたドナーに対する支援としてどのようなことが考えられているのか国内の最近の動向を把握し、現状ではどのような支援ができるかを理解する。
ドナーに生じる心理的問題は、臓器移植を行う意思決定の段階から生じる。そのため、臓器移植に関わる心理師の心理支援は意思決定を支える段階から始まる。ドナーには、周囲や患者からの期待がかかっている。さらに、医療者は患者の回復を求めるため、無自覚にドナーとなることを期待している可能性もある。そのような周囲の期待がドナーの意思決定にある種のバイアスをかける可能性がある。では、どのような姿勢・態度で意思決定を支える必要があるだろうか。意思決定を支える心理師に必要な態度について説明し、その態度を理解する。
意思決定の結果、提供を決定するドナーもいれば、提供しないことを決定するドナーもいる。提供しないことを決めたドナー候補者に対するサポート体制は現在のところほとんど構築されていない。

キーワード ① 臓器移植 ② ドナーとなる諸条件 ③ 臓器移植に関する心理的問題 ④ 臓器移植に関する心理支援 ⑤ 臓器移植に関する心理支援に必要な態度
コマの展開方法 社会人講師 AL ICT PowerPoint・Keynote 教科書
コマ用オリジナル配布資料 コマ用プリント配布資料 その他 該当なし
小テスト 「小テスト」については、毎回の授業終了時、manaba上において5問以上の、当該コマの小テスト(難易度表示付き)を実施します。
復習・予習課題 [復習]
今回の講義では臓器移植について学んだ。まず、日本で中心となる臓器移植の形態について押さえる。次に、臓器移植手術が多く行われている臓器とその理由について押さえる。さらに、臓器移植はドナーとレシピエントが存在して初めて成立する。ドナーとなるためには、各要件を満たす必要があるが、その要件について押さえる。最後に、ドナーには、臓器提供をするか否かを決定する際に、さまざまな悩み・葛藤が生じる。ドナーに生じやすい心理的問題を周囲との関係性をキーワードとして復習する。
[予習]
今回の講義では臓器移植について学ぶ。まずはシラバスを熟読する。臓器移植とはその名の通り、臓器を移植することである。例えば、養育者から子どもへ、見ず知らずの他者から臓器提供を受けることがある。臓器移植では、臓器を提供するものが必ず必要になる。まずはドナーになるための条件についてインターネットや書籍を利用して調べてみる。その上で、臓器提供を行う、行わないという重大な意思決定に際して、心理面にどのような影響が生じるだろうかということを想像して、その時に生じ得る心理的問題について整理する。

14 難病 科目の中での位置付け この科目は人体の構造と機能、そして身体疾患に起因する心理的問題についての知識を修得し、身体面から心理的問題を理解することを目的とする。その目的を達成するため、第1回から第4回までを人体の構造と機能を理解するコマとする。具体的には、第1回で「身体の基本(細胞と組織」、第2回で「中枢・末梢神経と感覚器系」、第3回で「消化器、呼吸器、循環器系」、第4回で「泌尿器・内分泌系」を学ぶ。中盤以降の第6回から第14回までを身体疾患に起因する心理的問題について学ぶコマとする。具体的には、第6回で「がん」、第7回で「緩和ケア・遺族ケア」、第8回で「高次脳機能障害」、第9回で「循環器系疾患」、第10回で「糖尿病」、第11回で「腎不全」、第12回で「周産期・小児医療」、第13回で「臓器移植」、第14回で「難病」について学ぶ。
本講義は、難病について学び、難病の実態や難病に伴う患者の心理的問題とその支援について理解する。

細目④
西澤正豊(2015). 難病相談支援のためのハンドブック. 6-7, 平成27年度厚生労働科学研究費補助金(難治性疾 患等克服研究事業(難治性疾患等政策研究事業難治性疾患政策研究事業)))「難病患者への支援体制 に関する研究班」
コマ主題細目 ① 難病 ② 難病対策 ③ 難病指定された疾患 ④ 難病を抱えた患者に対する支援
細目レベル ① ここでは、難病対策要綱が策定されるまでの経緯を理解する。
難病とは、難病の患者に対する医療等に関する法律の中で、「発病の機構が明らかではなく、治療法が確立していない希少な疾病であって、当該疾病にかかることにより長期にわたる療養を必要とすることとなる疾病」と定義されている。つまり、発病のメカニズムやその治療法が確立されていない珍しい病気のことである。
我が国では、昭和40年代にスモンという病気が契機となり、難病という言葉が使用されるようになった。スモンに対する集中的な対策が取られた結果、原因が整腸剤であるキノホルムと判明し、キノホルムの販売を中止した結果、新規患者数は激減した。このことにより、原因不明の疾病を難病と認定し、集中的に研究を進めることの意義が示され、1972年に難病対策要綱が策定された。

② ここでは、難病対策要綱や難病法についての概要を理解する。
難病対策要綱には、難病に対する対策の進め方が記載されてあるが、この要綱ができたことによるこれまでとの大きな変化としては、難病に対する医療費の公費負担が初めて目指されることになったことである。
公費負担がなされた難病及びその患者数が増加したことにより、医療費助成の対象疾患の拡大と見直しが求められ、2015年に「難病の患者に対する医療等の法律(難病法)」が制定された。これにより、安定的な医療費助成の制度が確立されることとなった。
難病法の中で、医療費助成の対象とする新たな疾患を指定難病と呼ぶことになり、令和3年4年11月の時点で指定難病は338疾病になっている。

③ 難病に指定された338疾病のうち、約4分の1が神経・筋に関わる疾患である。そこで神経・筋疾患の中でも比較的頻度の高い疾患について学ぶ。
パーキンソン病は、100万人あたり100~150人程度の有病率と言われ、神経領域の難病の中で最も患者数が多い疾患である。特徴的な症状として、振戦、筋強剛、寡動、姿勢反射障害が挙げられるが、初期にはすべての症状が生じることは少ない。うつ症状、認知機能障害、自律神経障害なども生じる。
次に筋委縮性側索硬化症は、10万人あたり1~2.5人の有病率とされる。大脳皮質にある一次運動ニューロン、脊髄にある二次運動ニューロンの双方が失われる原因不明の疾患である。筋の萎縮、筋力低下が主症状であるが、呼吸、嚥下に関わる筋の症状が生命予後に関わる。筋は萎縮し、筋力が低下するが、感覚、視力、聴力が保たれる。症状の進行スピードを遅らせる薬剤は存在するが、根本的な原因を治療する薬剤は存在しない。他にも難病指定された疾患を紹介する。

④ 難病患者の何を、どのように支援することができるのだろうか。ここでは、生活の質という概念の重要性を説明し、難病患者のQOLを向上させる支援について理解する。
難病はその定義にもある通り、発症のメカニズムがわかっておらず、治療方法も確立されていない。難病であるという告知は個人にとって今までにない状況にさらされることであり、本人にとって危機的状況となる。難病を抱えた患者は、病名を受けることでそのイメージからくるストレスを受ける。さらに、文化的、社会的レッテルによるストレスも存在する。難病患者の多くは身体機能の低下や認知機能の低下があり、日常生活を送る上で他者からの支援が必要となる。健康重視の価値観を持つ者にとっては、全面的に他人の世話になって生きることに情けなさや申し訳なさを抱くことがある。このことがストレスとなる。

キーワード ① 難病 ② 難病法 ③ QOL ④ 難病患者が抱えるストレス
コマの展開方法 社会人講師 AL ICT PowerPoint・Keynote 教科書
コマ用オリジナル配布資料 コマ用プリント配布資料 その他 該当なし
小テスト 「小テスト」については、毎回の授業終了時、manaba上において5問以上の、当該コマの小テスト(難易度表示付き)を実施します。
復習・予習課題 [復習]
今回の講義では、難病について学んだ。まずは難病の定義をしっかり理解し、説明できるように押さえる。次に難病は、その定義からもわかるように、疾患と一緒に人生を送ることが求められる。つまり、完治ではなく、症状と付き合いながら、本人らしい生活を送ることが治療・支援目標となる。その目標を達成するためには、QoLという概念を理解することが重要となる。QoLを主観的、客観的(Subjective、Objective)な視点から押さえる。
[予習]
今回は難病について学ぶ。まずはシラバスを熟読する。難病の定義からわかるように、難病とは治療法が確立されていない疾患のことを指す。つまり、その疾患と付き合いながら生きていくことになる。病気と付き合いながら自分らしいより良い生活を送るために重要な概念は「生活の質(Quality of Life;QOL)」と呼ばれる。難病だけでなく、慢性化した精神疾患を抱えた患者に対する支援でもQOLを治療・支援ターゲットとすることが多い。QOLについて、インターネットや図書館の書籍で調べる。

15 まとめ 科目の中での位置付け この科目は人体の構造と機能、そして身体疾患に起因する心理的問題についての知識を修得し、身体面から心理的問題を理解することを目的とする。その目的を達成するため、第1回から第4回までを人体の構造と機能を理解するコマとする。具体的には、第1回で「身体の基本(細胞と組織」、第2回で「中枢・末梢神経と感覚器系」、第3回で「消化器、呼吸器、循環器系」、第4回で「泌尿器・内分泌系」を学ぶ。中盤以降の第6回から第14回までを身体疾患に起因する心理的問題について学ぶコマとする。具体的には、第6回で「がん」、第7回で「緩和ケア・遺族ケア」、第8回で「高次脳機能障害」、第9回で「循環器系疾患」、第10回で「糖尿病」、第11回で「腎不全」、第12回で「周産期・小児医療」、第13回で「臓器移植」、第14回で「難病」について学ぶ。
本講義は、第6回から第14回までを身体疾患に起因する心理的問題に関する復習回である。この講義で、これまで習ってきた身体疾患や治療法関連する心理的問題とその支援について確認し、期末テストに備える。

コマ主題細目 ① がんに対する包括的支援 ② 高次脳機能障害と循環器系疾患 ③ 糖尿病と腎不全 ④ 移植医療と難病
細目レベル ① がんという疾患の特徴とその支援に関する概要を復習する。がんに対する支援は、がんと告知された時から始まる。緩和ケアとは、治療の施しようがない患者に対して実施されるのではなく、がんという診断が患者に告知された際から、患者とその家族のQOLを改善するために行われるアプローチである。患者本人だけでなく、家族に対する支援、遺族ケアに関する知識も重要である。
がん診療連携拠点病院の指定要件の中には、緩和ケアの提供体制に関する項があり、その中には「緩和ケアチームに協力する薬剤師及び医療心理に携わる者をそれぞれ1人以上配置することが望ましい」という記載がある。今後もがん患者に対する支援に関して心理師の担う役割は大きい。

② 脳の損傷の結果生じる様々な後遺症の中で、失行、失認、失語、記憶障害、注意障害、遂行機能障害、社会的行動障害などの認知障害を高次脳機能障害と呼ぶ。障害の程度は神経心理学検査や観察による本人の行動特徴の把握、関係者からの情報収集といった多方面の情報を統合することにアセスメントされる。各症状の特徴とその支援として認知リハについて確認する。
循環器系疾患として心臓疾患の心理社会的なリスクファクターと、心臓疾患を抱えた患者が抱える心理的問題、そしてその支援について学習した。また、トランスセオレティカルモデルに関する理論は、心臓疾患だけでなく各種身体疾患の予防教育を考える上で参考になる。
ここでは、高次脳機能障害と循環器系疾患の特徴とその予防や支援に関する概要を復習する。

③ 糖尿病とは、血液中の糖(グルコース)濃度(血糖値)が高くなる代謝性疾患である。病理学的に糖尿病は、大きくⅠ型とⅡ型に分けられる。Ⅰ型とⅡ型では、その原因、病態、治療方針が明らかに異なっているため、それぞれに関する知識を身に着ける必要がある。
腎不全とは、腎臓疾患の一種で、腎機能が失われ、やがて生命の維持が困難となる疾患である。腎不全には、急性腎不全と慢性腎不全の2種類がある。急性腎不全は、数時間から数日で急速に腎機能が低下した状態であり、後述の血液透析により、大部分は数週間で回復する。一方で、慢性腎不全は、数年から数十年にかけて徐々に腎機能が低下し、腎不全に陥った状態を指す。腎不全の原因の一つが糖尿病である。
ここでは、糖尿病、腎不全の状態像と支援について復習する。

④ ここまで学んできた身体疾患は、各臓器に生じたものであった。その臓器は、心臓、肺、腎臓である。治療によって回復することもあれば、回復せず、臓器の機能不全により命の危険が生じることもある。そのような場合の手段として移植医療がある。移植医療には、ドナーとレシピエントがおり、それぞれに心理的問題が生じ、支援が必要な場合がある。移植医療とは何か、移植医療に関する心理的問題や支援について復習する。
難病とは、難病の患者に対する医療等に関する法律の中で、「発病の機構が明らかではなく、治療法が確立していない希少な疾病であって、当該疾病にかかることにより長期にわたる療養を必要とすることとなる疾病」と定義されている。つまり、患者数も少なく、まだまだどのような心理的問題を抱えるか、どのような支援が有効かということも不透明な部分も大きい。患者のQOLの向上に関してどのような支援が有効であるか、講義の概要を復習する。

キーワード ① がんに対する包括的支援 ② 高次脳機能障害と循環器系疾患 ③ 糖尿病と腎不全 ④ 移植医療と難病
コマの展開方法 社会人講師 AL ICT PowerPoint・Keynote 教科書
コマ用オリジナル配布資料 コマ用プリント配布資料 その他 該当なし
小テスト 「小テスト」については、毎回の授業終了時、manaba上において5問以上の、当該コマの小テスト(難易度表示付き)を実施します。
復習・予習課題 [復習]
今回の講義では、今まで習った身体疾患の特徴、生じやすい心理的問題とその支援について復習した。今回の講義からわかるように、我々が経験する疾患というのは、必ずしも治癒するものばかりではない。病気を抱えながら生きていくことになる場合もある。そのような時、こころにはどのような変化が生じやすいか、そして公認心理師としてどのような支援ができるかを知っておくことが重要である。1年生の段階では、身体疾患にある程度共通して生じる心理的問題(こころの不調)について、気持ちと行動にどのような特徴が生じやすいかを復習する。
[予習]
次回のテストまでに、履修判定指標、履修指標の水準、キーワード、配点を確認する。これまでの小テストの結果から、どの回が不得意な回かを確認し、それをもとに期末テストに向けた勉強に励む。テスト勉強に関しては、各履修判定指標が何回目の科目と関連するかを示す関連回の項目をとチェックすると効率的なテスト勉強が可能となる。

履修判定指標
履修指標履修指標の水準キーワード配点関連回
人体の構造と機能 人体の構造と機能について理解している。
具体的には、中枢神経系であれば脳(終脳(大脳皮質、大脳基底核)、間脳、脳幹、小脳)と脊髄の機能について説明できる。末梢神経系であれば自律神経系(交感神経と副交感神経)と体性神経系(知覚神経系や運動神経系)の機能について説明できる。血液・リンパ系であれば血中を構成する成分とリンパ球の機能について説明できる。内分泌系であれば下垂体、甲状腺、副腎から放出されるホルモンに関して説明できる。
脳、脊髄、自律神経系、血球、リンパ球、ホルモン 20 2,3,4,5
がん がんという身体疾患がどのような細胞や組織から構成されるか、がんがどのように他の臓器に転移するのか、がんという疾患に生じる身体、そして精神的、経済的、実存的側面での心理的問題に対する緩和ケアの考え方に基づいた治療法について理解している。
具体的には、がんが転移するプロセス、がんという疾患に生じる身体症状や精神的症状、そして緩和ケアやサイコオンコロジーの考え方に基づいて、それらの症状に対する治療法について説明できる。
がん細胞、がん患者に頻出する精神症状、緩和ケア 10 6,7
高次脳機能障害 高次脳機能障害がどのような原因で生じ、どうして患者によって多様な認知機能障害をきたすのかを理解している。さらに、その認知機能障害の程度を捉え、適切なアセスメントに基づく治療法を理解できている。
具体的には、高次脳機能障害の行政的な定義を説明することができる。脳の損傷部位からどのような認知機能障害が生じるかについて説明できる。認知機能障害のアセスメント法として、どのような神経心理学検査を用いることができるのか説明できる。認知リハビリテーションについて説明できる。
高次脳機能障害、神経心理学検査、認知リハビリテーション 10 8
心臓疾患 心臓がどのような臓器であるのか、心臓の機能不全が生じる疾患には何があるのか、心臓疾患を抱えた患者が抱える問題に対して、身体的・心理的支援はどのようなことができるのかを理解する。
具体的には、心臓疾患として冠動脈疾患、不整脈、心筋疾患を説明できる。心臓疾患のリスクファクターについて説明できる。身体面に対する治療法について説明できる。心臓疾患患者が抱える心理的問題とともにそれに対する支援法を説明できる。
冠動脈疾患、心臓疾患に対する治療法、トランスセオレティカルモデル 10 9
糖尿病 糖尿病がどのような疾患で、Ⅰ型Ⅱ型ではどのように原因、病態、治療が異なるのか、糖尿病に見られやすい心理的問題およびその心理的問題に対する心理支援を理解する。
具体的には、糖尿病がどのような病気が説明できる。Ⅰ型Ⅱ型糖尿病の原因、病態、治療法の異なりを説明できる。糖尿病に対する治療法について説明できる。糖尿病に見られやすい心理的問題および心理支援を説明できる。自己効力感(セルフ・エフィカシー)について説明できる。
糖尿病、透析治療、自己効力感と治療へのアドヒアランスの関連 10 10
腎不全 腎不全に至る諸要因や急性もしくは慢性腎不全の症状と治療法として食事療法、透析療法、さらに生じやすい心理的問題について把握し、それに対する心理的支援について理解している。
具体的には、腎不全に至る要因や症状、治療法としての食事療法、透析治療について説明できる。慢性腎不全患者が抱える心理的問題を治療段階に分けて整理し、段階ごとに生じる心理的問題を説明できる。それらの心理的問題に対する心理支援を説明できる。
腎不全への治療法、腎不全患者に生じやすい心理的問題、不安症状・抑うつ症状 10 11
周産期・小児医療 周産期の母親や胎児への医療とともに、小児医療の特徴を知る。さらにこどもだけでなく、こどもを支える養育者に生じる心理的問題にも目を向け、それらに対する支援を理解する。
具体的には、周産期に生じる母親の身体的な変化と、母親と胎児・乳児が相互に影響し合い、こどもの成長や成長後の健康に影響するというDOHad仮説を説明できる。
子どもがかかえる慢性疾患は、小児がん、糖尿病、心臓疾患など、これまで成人の疾患として習ったものが多いが、成人とは異なる小児医療特有の医療体制や治療上の特徴について説明できる。
周産期に生じる身体的変化、DOHad仮説、慢性疾患を持つこどもへの支援において考慮すべき点 10 12
臓器移植 ドナーとなるための条件として、レシピエントとの関係性、倫理的要件、医学的要件などがある。ドナーとなるための諸条件を説明できる。
ドナーとなる意思決定までの段階、移植手術前、移植手術後と段階を分け、生じやすい心理的問題について整理し、各段階において生じる心理的問題を説明できる。
ドナーを支えるには、どのような姿勢・態度で意思決定を支える必要があるだろうか。意思決定を支える心理師に必要な態度について説明できる。
ドナーの諸条件、臓器提供までの意思決定に関わる心理的問題、ドナーの意思決定を支える上で重要な支援者の態度 10 13
難病 難病がどのような病気かを説明できる。難病という疾患が初めて認定された難病対策要綱の概要を説明できる。医療費助成の対象疾患の拡大と見直しが求められて成立した難病法についての概要を説明できる。難病患者のストレスとなる要因を告知、日常生活で生じるレベルに分類して説明できる。実際に身体機能が低下し、日常生活において福祉支援が必要となることもある難病患者に対する心理的支援において、重視する視点として、生活の質(Quality of life)について説明できる。 難病、難病対策要綱、QOL 10 14
評価方法 期末試験(100%)によって評価する。
評価基準 評語
    学習目標をほぼ完全に達成している・・・・・・・・・・・・・ S (100~90点)
    学習目標を相応に達成している・・・・・・・・・・・・・・・ A (89~80点)
    学習目標を相応に達成しているが不十分な点がある・・・・・・ B (79~70点)
    学習目標の最低限は満たしている・・・・・・・・・・・・・・ C (69~60点)
    学習目標の最低限を満たしていない・・・・・・・・・・・・・ D (60点未満)
教科書
参考文献 ①櫻田忍・櫻田司(2002). 機能形態学, 南江堂. ②ジェイムズ・モリソン(2021).精神症状に潜む身体疾患66 モリソン先生のルールアウト. メディカル・サイエンス・インターナショナル. ③鈴木伸一(2006). 医療心理学の新展開 チーム医療に活かす心理学の最前線, 北大路書房. ④鈴木伸一(2016). からだの病気のこころのケア,北大路書房.
実験・実習・教材費